【安価】 化物語。家畜マイマイ 【蹂躙、調教】(176)

時系列は化物語の「まよいマイマイ」から

地の文、キャラ崩壊、胸糞、軽くリョナあり、原作ほとんど無視

苦手な方はUターンでお願いします

 今日は全国的に母の日だった。

 お母さんが好きな人でも嫌いな人でも、お母さんと仲がいい人でも仲が悪い人でも、日本国民ならば誰もが平等に享受する事になる、母の日。

 僕は、確固たる目的があってこの公園に来た訳ではない。ただ単に、出鱈目に、気分気ままに、足の向くままに、マウンテンバイクで駆けていたらこの公園に行き着いてしまったのだ。

 しかし、日曜日の公園に僕しかいないだなんて、まるで世界に僕しかいないみたいじゃないか。

 というのはいくら何でも大袈裟だとしても、まるでこの公園の所有権が僕にあるかのようだった。もう二度と家には帰らなくてもいいみたいな、そんな気分になった。

 僕だけ。一人だけだから。

 こんな事を考えながら一人公園のベンチに座って下を向いていたら余計に気が滅入りそうだ。

 何せ今の僕は、出掛けに自慢の妹二人、いや、正確には火憐ちゃんだけだが、しかし火憐ちゃんと月火ちゃんは二人で一人みたいなものだから、もう二人一緒でもいいだろう。

 その二人から言われてしまったのだ。「兄ちゃんはそんな事だから、いつまで経っても大人になれない」って。

 全く。なんというか、流石は僕の妹だ。僕はこう見えてもかなりデリケートな心の持ち主だというのに。

 傷ついた僕の心を癒す為に、その内、二人とも調教して、お兄ちゃん大好きと言わせてしまおう。僕だけ妹大好きだというのは、不公平だからな。兄弟は平等であるべきだというのが僕の信条だ。

 と、まあ、そんな素敵な事を考える事で僕は少し自分を取り戻したのだった。それで、ふと顔を上げると、公園の入り口あたりに一人の小さな女の子がいた。

 小学生ぐらいの子供だ。

 鳥、ひよこ、豚? とにかくそんなのをモチーフにしたような、自分の体と同じぐらい大きさのリュックサックを少女は背負っていた。髪をツインテールにしてるから、横から見たらそれが触手みたいに見えて、まるで巨大なカタツムリみたいだ。

 その女の子は、片手にメモ書きを見ながら公園に備え付けてある近隣地図を見ていた。僕以外に誰もいない公園に、ようやく訪れた誰かだ。と思っていたら、少女はすぐに走り去っていってしまった。

 公園には、また僕一人だ。

 少しセンチメンタルな気分になった僕は、携帯を取り出すと、戦場ヶ原ひたぎの電話番号を出した。

 もっとも、携帯の表示にはこう出ているのだが。

『性奴隷、一人目』と。

 僕と戦場ヶ原の関係をいうなら、それは御主人様と奴隷の関係だ。

 簡単にこれまでの事を説明すると、ひたぎを暴力で大人しくさせ、その後縛って犯して、更に恥ずかしい写メを撮って脅した、というところだ。

 あの時の、泣きながら処女を失ったひたぎは本当に可愛かった。

 それで、その後、僕はひたぎに服を着せて、拘束も解いてやって、そしてそのまま放置した。だから、その後の事については僕は全く知らない訳だが、ただ、後でひたぎから聞き出したところ、どうやらあいつはそのすぐ後に一匹の巨大な蟹に会ったらしい。

 そして、再び重さを取られたそうだ。おかげで今のあいつの体重は一キロもない。強風が吹いたら吹き飛ばされるぐらいに軽い。

 まあ、性欲処理には困らないだろうから僕はそのままほっといたけど。

 怪異絡みだから、忍野に相談すればきっとどうにかなっただろうが、生憎、そんな親切心は僕にはなかった。つまり、僕はそんな人でなしな人間だ。実際、半分は吸血鬼だし。

 とはいえ、少し気にはなったので、一応、忍野に尋ねてみたところ、どうやらひたぎが出会ったのは重石蟹という怪異らしい。人の重い、つまり思いを取ってしまうそうだ。

 結構な事だよな。

 僕がこうして警察にお世話にもならず、ひたぎも鬱病だとかそんなのにならなかった理由は、多分それのおかげだろう。辛い思いを取られたから、あいつはまだやっていけてるに違いない。少々やり過ぎた感もあって心配したもんだが、これなら何の問題もなさそうだ。本当、怪異には感謝だな。

 ただ、その後に一悶着あったから、これ以上ひたぎを追い込むのはまずいと判断した僕は、それから一切ひたぎには手を出していない。僕の命令を絶対にきくようにと再度脅してはおいたが、それだけだ。

 その時の一悶着については……まあ大して面白くもないから省略しよう。簡潔に言うなら、ひたぎが僕をカッターやらハサミやらで殺そうとしたから、僕は反撃して蹴り飛ばし、その後お仕置きとして散々ひたぎをいたぶっただけの事だ。

 本当、大して面白くもない話だ。

 もちろん僕は、その時、ひたぎの顔に傷をつけるような事はしなかった。バケツに水を入れてその中にムリヤリ頭を突っ込ませ溺れる寸前で助けるとか、逆さにして天井から吊るしロープをぐるぐるひねって回すとか、まあとにかくそんな感じで色々な事をした。

 その度にひたぎは「もう許して……!」とか「ごめんなさい……!」とか「助けてっ……!」とか言って僕に泣きついて許しを乞おうと必死だったが、僕は許さなかった。二度とそんな気を起こさせないように、そこは徹底的にやった。

 その甲斐があってか、それらの拷問に似た行為が終わった頃には、ひたぎは完全に僕の従順な奴隷と化していた。靴を舐めろと言えば、ひたぎは怯えながらすぐさま靴を舐めたし、土下座して謝れと言えば、こいつは躊躇わずにいつでもどこでも土下座した。

 僕の奴隷としてはこうでなきゃいけない。

 で、その時に少し思った事だが、ひたぎみたいな攻撃的な性格のやつは、やっぱり痛みと恐怖で支配するのがベストだという事だ。優しくして依存させるなんてとんでもない。そもそも僕の性格上、例え演技だとしても「優しく」なんてのはまず不可能だ。それが出来るとしたら、多分、僕の自慢の妹二人に対してだけだろう。

 結局、僕が思うに、ひたぎは生かさず殺さずがベストの状態だという事だ。適度に怯えさせ、適度に生ぬるく接するべきだ。追い詰め過ぎず、かといって優しくもせず、それが一番良いと思う。つまり、ひたぎは虐げる事で服従する、そういうタイプの女だという事だ。

 ただ、もしもこれが羽川だったら、きっとそれはまるで違った事だろう。多分、あいつは僕がどれだけ暴力を振るおうとも、心から僕に服従する事はないと思う。

 あくまで僕の中のイメージだが、羽川はそういうタイプの女だ。人それぞれ性格が違うのだから、それによって調教の仕方も変えなきゃいけないだろうな。

 と言っても、今の僕には羽川を奴隷にする方法というか手段が全く思い付かないんだけども。

 閑話休題。そろそろひたぎを呼びつけるとしよう。

 屋上で犯してから日も経っている。そろそろ調教を開始してもいいだろう。体と心を休める時間は十分に与えたはずだし、これ以上休ませたらまた反抗心が芽生えてくるかもしれないからな。

 僕は携帯のコールボタンを押した。ニ、三度鳴ってからひたぎが怯えた声で「……はい」と電話に出た。うん、少なくとも僕からの電話に出るぐらいには従順だ。

「ひたぎ。今すぐ○○公園に来い。30分以内だ。それと、来る時は一番可愛い服と下着を身につけてから来い。僕が少しでも気にくわなかったらその場でひんむくからな」

 それだけ言って、僕は返事を聞かずに通話を切った。

 ははっ。あいつが来るまで楽しみだ。

 それからおよそ十分後、残念な事にも、公園に現れたのはひたぎではなく先程のカタツムリ少女だった。

 あいつは前と同じで、公園の入口近くに設置されてある近隣の地図をじっと眺めている。……迷子だろうか?

 一応、僕の名誉の為に先に弁解しておくが、僕は鬼畜であると同時に誇り高い変態でもある。つまり、ロリコンでもある事に誇りを持って生きている。あのカタツムリ少女も十分に僕の許容範囲だ。思わずヨダレが出るなあ、うぇっへっへっへ。

 ま、そこら辺の冗談半分本気半分はさておくとして、とりあえず声をかけてみよう。見るとリュックに名前まで書いてある。八九寺……真宵……。はちきゅうでら……まよい、だろうか? 珍しい名字だな。

 こいつは顔も僕の好みだし、何よりその幼児体型がたまらない。あわよくばあいつも僕の性奴隷に出来ないだろうか。

 そんなやましい事を考えながら、僕はカタツムリ少女の元へと向かい、そして声をかけた。

「よう、どうした。道にでも迷ったのか」

「…………」

 こいつが迷子だというなら尚更好都合だ。拐ってそこらで犯したとしても、誰も助けには来ないからな。

 ただし、母親あたりが警察に迷子探しを頼んでいたとしたらとてつもなく厄介だ。もし見つかったら、行為に及ぶ及ばない以前に、きっと問答無用で補導されてしまう。まずはそこら辺りをうまく聞き出さないと。

 カタツムリ少女は僕の顔を訝しげにじっと見た後、こう言った。

「話しかけないで下さい。あなたの事が嫌いです」

 ははっ。立派なクソガキだ。幸い今は人気も人目もない。なら、多少しつけてやる必要があるな。……そらよっと!

「うぇっ!!」

 僕はこいつの頭を遠慮なく掴むと、掲示板にガンっと押し付けてやった。カタツムリ少女が抗議と怒りの目を僕に向ける。

「な、何をするん……ふげっ!!」

 僕は、こいつが喋ろうとしたところを狙って、腹に膝蹴りをかましてやった。全く、バカなやつめ。小学生が高校生に逆らうからそうなるんだ。

「で、お前、迷子なのか。さっさと答えろよ」

「あぐっ! 離……して……下さい……!!」

 僕はこいつの頭を強く掲示板に押し付けたままだったから、当然、このカタツムリ少女は苦しそうだ。まあ、この辺で許してやるか。

 僕はこいつの頭を離した。カタツムリ少女は僕をきっと強気な目で睨んできた。しかし、多少はやはり僕に対して怯えが出ているのは十分に見てとれた。ひたぎと似てる部分があるな、こいつ。なかなか楽しめそうだ。

「い、一体、いきなり何をするんですか! 酷いじゃないですか! あなたはそれでも大人なんですか!」

「黙れ。お前は僕の質問にだけ答えていればいいんだ。また蹴るぞ」

「うっ……!」

 足首を軽く回しつつ脅し声でそう言ってやると、こいつは明らかに怯んだ。いい感じだな。扱いやすそうだ。

「さて、それじゃ答えろ。お前は迷子か?」

「……いえ、あの……」

 カタツムリ少女は一瞬言い淀んだが、僕が蹴るそぶりを見せると、びくっと震え、それから仕方なくといった感じで答えた。

「……迷子です。……カタツムリの迷子です」

「は?」

 カタツムリ? 何の話をしてるんだ、こいつは。自分の格好と合わせての洒落か?

 カタツムリ少女は目を伏せ、言いにくそうに顔をそむけながら、そっと呟いた。

「いえ……あの……何でもありません」

 何だってんだ、一体。訳のわからないやつだな。

「まあ、いい。次に名前は?」

「人に名前を聞く時は、まず自分から名乗るのが礼儀と聞きました。あなたから話すのが筋じゃないんですか」

 なるほど、そうかそうか。

「大体、何ですか、あなたは。警察の方でもないのにレディの名前を聞くのは失礼というものです。おまけにか弱い小学生女子に向かって暴力まで振るうなんて、人として最低です」

 いやはや、全くもって楽しいやつだな、こいつは。せいっ!

「ぐげっ!!」

 僕は一つ笑ってから、こいつを蹴り飛ばした。舐めた態度をとるから……痛っ!!

「がうっっ!! がるるるる!!」

 痛い! 痛い! 噛みついてきやがった、こいつ。何すんだこのガキ! 離せよっ!! おらぁっ!!

「いげふっ!!」

 僕は思いっきりこいつの腹を殴りつけた。カタツムリ少女は意外な事にもあっさりと気を失う。それでも尚も噛みついたままだったので、もう一度殴って歯を離させた。この雑魚が。

「ふっ……。いや、笑えないな。最近、僕はどうも殴りすぎだ。……多少は自重しないと」



 小学生女子に殴る蹴るの暴行をはたらいて失神させた挙げ句、能力を使う度に寿命を削ってしまうヒーローを気取って、一人たそがれている男子高校性の姿がそこにはあった。

 というか、僕だった。

 さてさて、どうしようか。現実に返った僕は少し悩んでしまった。

 とりあえず、今ならこいつをどこか人気のないところに連れ去ってやりたい放題出来る。だが、名前や迷子になった経緯も聞かずに連れ去るのはとてつもなく心配である。不可抗力とはいえ、先に失神させたのはまずかったな。

 それに、僕はひたぎを呼びつけてもいたんだ。まあ、あいつは僕の奴隷だからここで何時間待たせようがそれは全然構わないが、とはいえ放置しておくのも微妙に心配だ。何せ、呼び出しは今回が初だからな。待ってる間に妙な気変わりを起こす可能性だってある。そもそもあいつが来ない可能性だってあるんだ。

「どうしたものかなあ……」

 僕は地面に寝転がって失神しているカタツムリ少女を見下ろした。こいつも、いつ気がつくかわからないしな。とはいえ、こんなところを誰かに目撃されたらあらぬ誤解を受けそうだ。いや、誤解というか真実か。だからこそ余計にまずいんだよな。

 参ったな……。これからどうするか。



安価↓1から↓3。行動に無理がない限り、選べるものは選びます
ただし、バッドエンドは今回もありますし、セーブポイントもやり直しもきかないので行動は慎重にどうぞ

 風呂から上がった後、ひたぎに夕食を作れと僕は命令した。ひたぎは「……ええ」と無機質な答えを返して、台所へと向かう。

 機嫌が直った、とは思わないが、少なくとも敬語を使うのだけはやめてくれたようだ。それが良い事なのか悪い事なのか、僕にはよくわからなかったが、何となく人心地ついたのは確かだ。

 冷蔵庫を開け、ひたぎが僕に尋ねる。

「……御主人様、何を作ればいいのかしら? 今、冷蔵庫の中には大した物はないけれど……」

 逆に何があるんだろうか? 買い物にまで行かせる気はなかったので、僕はひたぎの横に立ち冷蔵庫の中を覗く。

 確かに大した物はなかった。牛ひき肉が少々と昨日の残り物だと思われるシチューが少し、ウィンナー、卵、もずく、豆腐が二丁、その他バターやチーズ牛乳のり等々……。

「……冷凍食品で良ければピラフがあるけど」

 結局、それとサラダに落ち着いた。味気はなかったけど、こった物を作らせるつもりもなかったし、手軽でいいかな、と。

 電子レンジにピラフを入れて温めている間、ひたぎはレタスや玉ねぎ人参なんかを用意してまな板の上でそれを切り始めた。

 その後ろ姿を見て、何となく悪戯心を起こした僕は後ろからそっと忍び寄り、服の上から胸を揉む。

「御主人様……」

「どうした?」

 揉みしだきながら僕は尋ねる。

 目の前に包丁を突き立てられた。

 ヤバイ。ヤバイ。ヤバイ。ヤバイどころじゃなくヤヴァイ。

 あまりに唐突の事だったので、僕は完全に固まってしまい、全く身動きがとれなくなってしまった。まるで蛇に睨まれた蛙の様にその場から一歩も動けない。そして、ひたぎは蛙を睨んだ蛇の如く、冷ややかで無機質な目を僕に向ける。

「料理の邪魔ですから、両目を抉られたくなければ向こうで座っていなさい。御主人様」

「はい!!」

 かつてこれ程までにはっきりくっきりと元気の良い返事をしたのは、僕の記憶によると幼稚園の時に星組全員で出掛けた水族館見学の時以来だ。あの頃、僕はイルカという流水形の愛らしい哺乳動物が大好きだったから、よく親に水族館に連れていってのねだっていたのだが、その頃は丁度月火ちゃんが生まれたばかりだったのでその事を理由に親は全然連れていってくれず、だから水族館に行けるとあって僕の鼓動とテンションはもうはちきれんばかりで、つまり何が言いたいかと言えば、僕は迅速にその命令に従って、チーターも驚く様な瞬発力とダッシュでテーブルの前に行儀良く正座をしたという事だ。

「あ、あの、ひたぎ……さん。これで宜しいでしょうか?」

「……ええ。それでいいのよ、御主人様。そこで動物園にいるカピパラの如く大人しくしていなさい」

「はい!!」

 僕はとても良い返事をして、素直にひたぎの言いつけに従った。何かがおかしい。

次の行動、もしくはセリフ。安価↓1

 しばらくして、出来上がった料理を食べる僕とひたぎ。

 味はまあ、冷凍食品だけあってつまりそういうレベルだ。サラダも市販のドレッシングで、ひたぎは野菜を切って盛り付けただけだから、誉めようもけなしようもない。

「……まあまあだな」

「でしょうね」

 カチャカチャと音を立てる二つのスプーン。特に会話をする訳でもなく、僕とひたぎの奇妙な食事は終了した。

 というか、これから僕はこいつに対してどう接すればいいんだろう。このままだと、主従が逆転してしまいそうで、何だか怖い。

「あの……ガハラさん?」

「何かしら、御主人様」

 山中に不法投棄された粗大ゴミでも見るような目が僕に突き刺さった。ちょっと前までは駐車場に置いてある放置自転車でも見るような目だったから、確実にランクダウンしている。というか、僕もいい加減怯え過ぎだろう。

 頑張れ、暦。頑張るんだ。

 前にそんな言葉が印象に残る小説を読んだっけ。なんて事を僕は思い出しながら、ひたぎに尋ねた。

「マダ、ヲコッテマスカ……?」

「…………」

 無言。そこで会話は終了した。会話になってねえー!!

 結局その後、ろくな会話もないまま、僕とひたぎは忍野の所へと出掛ける事にした。ひたぎを自転車の後ろに乗せ、僕がペダルをこぐ。

 いや、一応言い訳をさせてもらえるなら、ひたぎは体重がほとんどないから自転車の二人乗りと言っても一人でこいでいるのとほとんど変わらないし、ひたぎにペダルをこがせるのは無理があるってだけで、つまりは物理的な問題だ。ただ、それだけで、別に僕が怖がっていたからそうしたという訳じゃない。もちろん、全部、言い訳だ。

 僕のお腹あたりに手を伸ばして、ひたぎは自転車から落ちないようにと掴まりながら尋ねる。風で飛ばされる様な体重だから必然的にそうしなければならないんだろう。

「……御主人様、これからどこに行くのかしら?」

「学習塾跡だよ。そこに忍野ってやつがいる。怪異の専門家みたいなやつだ。見かけは変態中年だけどな」

「……そう」

 僕を掴むひたぎの腕に少しだけ力がこもった。心なしか声も震えていたような気がする。不安……なんだろうか?

「……一応言っておくけど、忍野は信用出来るやつだぞ。僕の怪異も解決してもらったからな」

「……あなたの?」

「あなた、じゃなくて、御主人様だ」

 いつまでも調子に乗るな、と続けようとしたが不思議とそれは言えなかった。いや、これは本当に怖かったからとかじゃなくて、何て言うか……。

 そういう雰囲気じゃなかったんだと思う。

「……ごめんなさい、御主人様」

 ひたぎもこの時ばかりはしおらしい声を出した。

 また……僕を掴む腕に少しだけ力がこもる。

「聞いても……いいかしら? 御主人様の怪異の事」

「ああ……。別に大した話じゃないからな……」

 本当に、大した話じゃない。

 むしろつまらない話だ。面白くもない話だと思う。

 学習塾跡につくまでの間、僕は吸血鬼ーーキスショット・アセロラオリオン・ハートアンダーブレードーーとの一部始終をひたぎに話した。僕にとっては思い出したくもない忌々しい過去だが、ひたぎには包み隠さず全部話した。

 多分、これも僕の気まぐれなんだろう。

 何となく、嘘をつく気にはならなかった。

「話はこれで終わりだ」

 そう言うと、ひたぎは「つまらない話ね……」とどこか淋しそうに言った。

 その感想を聞いても、別に僕は腹を立てなかった。

 本当に、つまらない話だから。

 誰も、幸福にならなかった話だから。

 学習塾跡前に辿り着いた僕たちは、自転車を適当な所に止めて降りる。

「行くぞ、ひたぎ……さん」

「ええ……」

 とは言ったもののひたぎは一向に足を進めようとしなかった。どこか怯えた様に下の地面をじっと眺めている。その足はわずかに震えていた。

「ひたぎ……行くぞ」

「……はい」

「…………」

 やっぱり返事だけ。体は動かない。

「ひょっとして怖いのか? 怪異を祓うのが」

「いいえ……そうではないの。ただ……」

 ひたぎは学習塾跡の建物を不安気に眺める。それからずいぶん躊躇ったが、やがて口を開いた。

「御主人様……。私は……」

 また長い沈黙。何かに葛藤する様にひたぎはそうしていたが、やがて決意したのか言葉を出した。その言葉も震えていた。

「……私は……はっきり言って御主人様の事をほとんど信用していないわ……。それに……これまで私の怪異を祓うと言って近付いてきた人間は全員が詐欺師だった……。だから……」

 ……また長い沈黙が続いた。

「……つまり、忍野も詐欺師かもしれないって思ってるって事だろ。別に心配する様な事じゃないさ。もし怪異が消えなかったら代わりに僕が料金を払ってやる。だから行くぞ」

 僕はひたぎの手をとった。ひたぎは嫌がる様に振りほどこうとする。

「……違うの。そういう事じゃ……ないの……」

 じゃあ、何だって言うんだ。僕にはひたぎの言いたい事がまるでわからない。

「あ、阿良々木君……」

「……御主人様だ」

 その言葉が耳に入っていないかの様にーー実際入ってなかったんだろうがーーひたぎは続ける。

「も、もしも怒ったのなら……土下座して謝ります……。靴も舐めます……。犬の真似もします……。でも、やっぱり不安だから……」

「……あのな、ひたぎ。さっきも言ったけど、忍野は別に騙す様なや」

「あ、あの……私は今……コンドームを一つしか持ってきていないの……だから……」

「?」

「……もし、忍野さんっていう人がコンドームを持ってなかったら……そのままするかもしれない……。だから……コンビニまで……先に買いに行かせて欲しいの……。に、妊娠は……したくないから」

「…………」

 そういう事……か……。

 僕はようやく理解した。確かに僕が連れてきた場所はこんな人気のない廃ビルだ……。そして、ひたぎは忘れようのないトラウマを抱えている……。

 そう思っても仕方がないかもしれない。

 むしろ、そう思うのが普通なのかもしれない。

 こんな事を僕に言うって事は、多少は僕に対して信用があるんだろうけど、でも最悪のケースをひたぎは想像している。

 ひたぎが怖がっていたのは、怪異でも忍野でもなかった。

 僕だ。僕が嘘をつく事だった。

 僕が騙して輪姦する為にここに連れ出したんじゃないかと恐れている。

 前に僕からされた事はひたぎにとってやはり相当な恐怖だったんだ。例え、どんなにひたぎが強気を装ってはいても。例え、僕がどれだけ情けない態度をひたぎにとったとしても。それは拭えなかった。

 だからこそ、ひたぎは僕のどんな命令にも従うし、僕を怒らせるんじゃないかとこんなにも怯えている。今思えば、包丁を突きつけられた時もそうだった。あの時、ひたぎは怒っていたんじゃなくて怖がっていたんじゃないだろうか。包丁なんてものが近くにあったのだから余計に。

 そして、ひたぎは僕にそれを突き立てようとはしなかった。威嚇に使っただけだ。もうひたぎは僕に対してきっと反抗が出来ない様になっている。例えそれがどんな事であろうとも。多分、ひたぎもそれを理解しているんじゃないだろうか。

 ダカラ僕ニ騙サレル事ヲ怖ガッテイル。

 そう思って愕然とした。

「わかった……。また戻るか。コンビニにゴムを買いに……」

 多分、これ以上僕が何を言っても無駄だろう。説得なんて不可能だ。言葉じゃ駄目だ。行動で少しずつ示していくしかない。そう思った。

「あり……がとう……」

 ひたぎは俯きながらそう答えた。どんな気持ちでその言葉を吐いたんだろうな。ひたぎの視点からすれば、輪姦されるかもしれない前にただ避妊具を買いに行く事を許されただけなのに。

 僕にはまるで想像もつかないし、想像したくもなかった。

 そして、自分の身勝手さに呆れ、嫌悪した。

 だけど、僕は多分こうしてヘドが出るような最悪の偽善者としてこのまま生きてくんだと思う。鬼畜になりきれない歪な存在だ。少なくとも、ひたぎを殴り付けて無理矢理連れ込むような事はしたくなかった。

 僕はいつの間にこんな風になったんだろう。

 ひたぎと初めて会った頃なら間違いなくそうしていたはずなのに。

 それとも、今日ひたぎと色々あった事で僕自身が変わってしまったんだろうか。あるいは、こんな感情を持つのはひたぎに対してだけで、他の人間に対してはそうでもないのだろうか。

 ……ふと、僕は公園に放置してきたカタツムリ少女の事が気になった。あいつは今どんな気持ちでそこにいるんだろうな……。

 今更考えたって仕方がない事を僕は思った。

 僕とひたぎはコンビニまでゴムを買いに戻り、そしてまた学習塾跡まで来た。

 ひたぎはそれでもやはり中に入るのをかなり躊躇っていたが、もう埒があかないので仕方なく僕は「入れ」と強めに命令した。

「……わ、わかりました」

 ひたぎは処刑を言い渡された囚人の様に僕の後に従った。不本意だが、実際ひたぎの考えている様な最悪のケースの事をする訳じゃないのだから、それはもういいだろう。

 そうして中に入り、階段を上がってしばらく行くと、途中で吸血鬼の残りカスと出会った。踊り場の端の方でいつもの様に体育座りをしている。

 僕は当たり前の様にそれを蹴飛ばして、何事もなかったかの様にまた階段を上がり始めた。それを見て、横のひたぎが何か言いかけたが、結局何も言わなかった。残りカスだって何も言わない。当たり前の様に蹴られ、その場で苦痛を堪えながらうずくまるだけだ。もし、何か言うようならまた蹴飛ばすだけの事でもある。

 そのまま二人とも無言で階段を上がり、やがて忍野が住み処にしている元教室まで辿り着いた。ドアを開けると、忍野は当たり前の様に僕に言う。

「やあ、遅かったねえ、阿良々木君。またあの子を蹴飛ばしてたのかい? いっその事、見捨てちゃった方がいいと僕は思うんだけどね」

 余計なお世話だ。お前に僕たちの何がわかる。

「それは僕が決める事だ、忍野。他人に口出しされる様な事じゃない」

 僕は心の中でそう言う。

 口に出してはこう言った。

「忍野。……この娘が昼間に電話した戦場ヶ原だ。それで戦場ヶ原、あいつがさっき話した忍野。忍野メメ」

「宜しく。お嬢ちゃん」

「……せ、戦場ヶ原ひたぎです。あの……ほ、本日は……どうか宜しく……お願いします……」

 深々と頭を下げるひたぎ。事情を何も知らなければ、さぞかし礼儀正しい奥手のお嬢様に見えたと思う。

「はいはい、宜しく。で、お嬢ちゃん。そこの阿良々木君から聞いたんだけど、蟹に出会ったんだって?」

「……ええ。いえ……あの。……はい」

「ふーん……。お嬢ちゃんは、あまりそんな風には見えないけどねえ……まあ、人ってのは見かけじゃ判断出来ないからさ。……そうだろ、阿良々木君?」

 何で僕に尋ねるんだ、お前は。

「正直に言えばねえ、阿良々木君。僕はちょいとばかし驚いてもいるんだ。あれだけ変わってしまった阿良々木君が人助けをしようなんて到底思えなくてね」

「……僕の気まぐれだ。それに……僕が助ける訳じゃない」

「うん。確かにそうだね。全くもってその通りだよ、阿良々木君。君は僕を紹介するだけだし……そして、僕はこのお嬢ちゃんを助けない。お嬢ちゃんが勝手に助かるだけで、それは人助けとは言えない。君の言ってる事は間違いなく正しいよ」

「回りくどい言い方をするな、忍野。逆に恩を着せてるようにしか僕には聞こえない」

「いやいや、そんな事はないさ。もし阿良々木君がそう聞こえるんだとしたらね、それはさ、君がそう思っているからだよ。僕はそんな気はこれっぽっちもないし、そんな言い方だってしていない。まあ、そんな事はどうだっていい事なんだけどね」

「……なら、もういい。とにかく、戦場ヶ原を勝手に助かる様にしてやってくれ、忍野」

「その言い方はかなり語弊があるんだけど……まあ、いいさ。少し話を聞かせてくれるかい、お嬢ちゃん」

「あ……。はい……」

 やや戸惑いながらもひたぎは蟹の事について説明し始めた。意外そうな顔……はしてなかったと信じたい。

 その後の事は全部事務的な話だ。おもし蟹についての簡単な説明と、また今夜体を清めてここに来るという事、そして料金の話。

「払う必要はないぞ、戦場ヶ原。さっき忍野が言った通り、お前が勝手に助かるだけの話だ。忍野に感謝や恩を感じる必要なんかこれっぽっちもないからな」

「あ、でも……」

 躊躇いの表情を見せるひたぎに、忍野はいつもの調子で軽く笑う。

「やれやれ、嫌われたもんだねえ。とは言ってもさ、阿良々木君の言う通り、僕は別にどっちでもいいんだよ。生活にはそれほど困ってる訳じゃないし、それにまだ未払いのがたんまりと残っているからね」

「お前は本当にぼったくり野郎だよ、忍野」

「おいおい、今日はやけに噛みつくねえ、阿良々木君。何かいい事でもあったのかい?」

 忍野は僕の目を覗き込む様に見る。やっぱり僕はこいつが苦手だ。色々な事を全部見透かした様な目。

「とにかく。忍野にはビタ一文払う必要はないからな。行くぞ、戦場ヶ原」

「あ……。は……いえ、わかったわ……」

 帰り際、忍野が僕の背中に向けてこんな事を言った。

「阿良々木君、実はあの子に名前をつけたんだ。忍野忍って名付けたんだけどね……いい名前だろ? 忍ぶ、ってのはさ、隠れるって意味以外にも、辛い事を耐えるって意味もあるからさ。……本当に辛いのはどっちだろうかねえ」

 僕は振り向きもせず、乱暴に戸を閉めてそこを後にした。階段を下りる途中、また残りカスを思いきり蹴飛ばして。

 後日談、というか今回のオチ。

 ひたぎはその日、無事に体重を取り戻す事が出来た。僕がその場にいた事もあってだろう、ひたぎは蟹に出会った理由を一切語らなかったが、最終的には忍野が蟹を踏み潰して終わりとなった。

「形式的にはこれで終わりさ。本質的な終わりはお嬢ちゃん次第だろうけどね」

 体重を取り戻した後も、結局、ひたぎは変わらない。

「ごめん……なさい……」

 その時、どういう意味で僕に謝ったのかもわからない。

 何も解決しなかったと言っていいと思う。あえて言うなら、ひたぎの生活の不便さが少し減っただけだろう。

 ひたぎが僕に忠実な奴隷だという確認が出来たのが、今回の僕の収穫だ。代わりに失ったものも大きいし、前とは少し違う自分もいる。良くもあり、悪くもあり、僕は何とも言えない。

 ああ、そうそう。カタツムリ少女なら、その日の深夜に解放してやった。少し惜しい気もしたが、そんな気分でもなくなってしまったから。

 ちなみにその時、カタツムリ少女からは手酷く噛みつかれ、僕はこの世のものとも思えない絶叫を上げた。それを聞いていた近所の誰かが通報し、僕はまたパトカーに乗せられた。当然、事情聴取だけで済みはしたものの、何だか無性に泣きたい気分にはなった。

 翌日、羽川が「昨日は二回も大変だったね、阿良々木君」とからかうように言ってきたのは僕にとってかなり驚きだった。こいつは本当に何でも知っているとつくづく思う。ただ、その巨乳を見て僕の心が癒されたのは確かだったので、やっぱりいつかは僕の性奴隷にしようと改めて固く心に誓った。

 ただし、出来ればひたぎにした様なやり方ではなく。

 そんな事を思う僕はやっぱり変わってしまったんだろうな。

「ところで、阿良々木君。勉強の方は本当に大丈夫? 進路の事とかは決めたの?」

 それに関しては大きなお世話だったので、僕は適当にお茶を濁して会話を終わらせた。羽川はそれを察したのか、特に踏み込む訳でもなく、「そっか」と言って去っていった。頭の回る女っていうのは扱いやすいのか扱いにくいのかわからない。

 将来か……。

 ひたぎはどうするつもりなんだろうか。

 少し気になったが、それを僕が訊ける訳もなく、また絶対に訊いてはいけないとも思う。窓の外を眺めると空は雲一つない快晴で、逆に僕は憂鬱な気持ちになった。清々し過ぎて今の僕の目には痛い。まるで吸血鬼だなとまた憂鬱な気持ちになる。

 それと、母の日の事については、何とか妹二人から許しを得る事が出来た。これからは母の日にはずっと家にいるという約束のもと、それを誓約書にして書かされた上でだ。

「兄ちゃんはこれぐらいしないとダメだからな」

「むしろ、元からダメダメだけどね」

 あまりに生意気過ぎて、むしろ可愛い。可愛すぎる。僕の自慢の妹二人だ。いつかはベッドの上でヒイヒイ言わせようと思う。

 そうそう。明日からは、ひたぎの調教を進めるつもりだ。とは言っても、ゆっくりやっていこうと思う。時間はまだまだたっぷりあるし、急ぐような気分でもないからそれでいい。

 それと、羽川や妹二人を性奴隷にする方法も考えなきゃいけない。僕は現状で満足する様な男ではないからな。常に前進する輝かしい男であり続けたい。

 全く……。僕はちょっと忙しすぎだ。これじゃ勉強なんかしてる暇がないじゃないか。しばらく進路の事については棚上げにするしかないよな。

 まるでダメ人間の様の事を僕は思った。





 グッドエンドルート、完

真宵は取り損ねましたけど、一応、グッドエンドです

正規エンドとはずいぶん違った内容と終わり方になりました。なので、スレタイがよくわからない感じに。どうしよう、これ(困惑)

その内、この続きのスレを立てるとは思うので、その時はまたお願いします
次回は多分「献身モンキー」になるかと。多分ですが……

途中でずいぶん間が空いたのに、それでも保守してくれた方、ありがとうございます

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