夏海「うちも狸を飼う事にしたんだ~♪」海星「……」 (18)

れんげ「なんと!?具、仲間ができたのんな!」

矢三郎「……」

夏海「うちの狸は具よりもお洒落な名前なんだよねー。さ、正宗、挨拶して」

海星「……」

れんげ「具も正宗も見詰め合ったまま動かないのん」

夏海「どうしたんだろう?」

矢三郎『もしかして君は海星なのかい?』

海星『だったら何だっていうんだよ』

矢三郎『いや、何故人になんか飼われているのかと思ってね』

海星『つまんねーこと聞くなよ!』

矢三郎『それは失敬』

夏海「何か鳴き声を出してる……。れんちょん、わかるか?」

れんげ「つまんねーこと聞くなよって言ってるのん」

矢三郎・海星『!?』

海星『な、何でこの人間、狸の言葉が……』

矢三郎『そうなんだよ。この子にはどうも動物と会話する能力があるみたいなんだ』

海星『知ってたのかよ!じゃあ何でさっき一緒に驚いてたんだよ』

矢三郎『海星があまりに驚くものだから、つい釣られて』

海星『人のせいにするなよ』

れんげ「ぷすーっ」

夏海「えっ?れんちょん、何で笑うの?」

れんげ「狸なのに、人のせいにするなって怒ってるのん。うちにはそれがツボにはまりました」

夏海「いやいやいや、狸は喋らなねーって」

海星『矢三郎は何故あの子に飼われてるんだ?』

矢三郎『色々な事があって今は一家散り散りになって、今はあの子の家でお世話になっている』

海星『プライドはないのかよ』

矢三郎『そういう海星だって、あの子に飼われてるのだろう?』

海星『くっ……』

矢三郎『まあ、何か理由があるのだろうさ。深くは聞かないよ』

海星『あの子は私の恩人なんだよ……。それだけだ』

矢三郎『恩人ねぇ……』

夏海「じゃあれんちょん、そろそろ暗くなってきたし帰るとするか」

れんげ「そうするのん」

夏海「帰るぞ、ロドリゲス」

海星「……」

れんげ「さっきは正宗って呼んでたのん!?」

夏海「あー、名前はちょくちょく変わるんだよこの子。主にうちの気分次第で」

矢三郎『おやおや、酷いご主人様だ』

海星『うるさい!具なんて妙竹林な名前で呼ばれてるお前には言われたくないね!』

矢三郎『ははは、これは一本取られた』

れんげ「具、道が暗いから明るくして欲しいのん」

矢三郎「……」ピカーッ

夏海「うぉっ!?何だよれんちょん!?その狸目から光出せんの!?いいなぁー」

れんげ「うちの具には色んな芸を仕込ませてますから」フフン

夏海「くっそー、勝ち誇った顔しやがってー……。うちの狸だってなぁ……」

海星「……」

夏海「なぁ、れんちょんの狸に負けたくないんだよ。何かしてくんないかな?あっちの狸に出来るんなら、うちの狸だって何かできるんだろ?」

海星『お前、人間の前で化け力とか使うなんてどうかしてるぞ』

矢三郎『それが、ここの田舎は化け狐や化け狸が珍しくない田舎だからどうということはないんだ』

夏海「はぁ……。ま、狸なんだし何もできなくて当然かー……」

海星「!!」

海星『矢三郎ごときに負けるなんてありえない……』ボンッ

夏海「うぉぉぉぉっ!?何これ!?うちの狸がネコバスみたいになった!?」

れんげ「すごいのん!」

夏海「の、乗ってもいいのかな……?」

れんげ「うちも乗るん!」

夏海「すっげぇー、中がフワフワだぁ~」

れんげ「柔軟剤!柔軟剤使ってるんな!」

矢三郎『……どれだけ本気を出してるんだか』

海星『フン』

矢三郎『一緒に乗っても?』

海星『レディに乗るだなんてお前はどうかしている!一人で歩いて帰れ!』

矢三郎『やれやれ』

れんげ「出発進行なのん!」

夏海「うちの家までゴー!」

れんげ「あっと   いう間になっつんの家についてしまったのん」

夏海「へへっ、うちの狸が一番だな」

れんげ「むぅっ……。でも、うちの狸は牛丼だって食べるのん!」

夏海「よくわかんないとこで張り合うなー、れんちょん」

小鞠「あれ?れんちょん、こんな遅くにどしたの?」

夏海「あ……。ごめん姉ちゃん、うちが連れてきちゃった」

小鞠「もう暗くなってるのにバカじゃないの?れんげ、今日はうちに泊まってきなさいよ」

れんげ「ありがたい申し出なのですが、姉ねぇが心配しますのん」

小鞠「あー、電話したげるから心配しないで」

夏海「そうそう。あ、姉ちゃん、うちのおかかに餌用意してー」

小鞠「おかか……?あんた、その狸の事前は軟式グローブとか呼んでなかったっけ?いい加減名前を統一しないとその子が可哀想だよ」

夏海「いいんだよ。うちとカカオは強い絆で結ばれてんだから」

海星「……」

小鞠ちゃんはね、れんげのことをれんちょんなんて言わないんだ
それに気付いたとき、もう自分が許せなくなって
なので、このスレはこのまま落として下さい

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