ぼく「おばあちゃん、あけましておめでとう!」 (78)

ぼく「ぼくがこの家に来たのは中学校2年生の時だっけなぁ…」



ぼく「今日からお世話になります」

おばあちゃん「いろいろ大変だったねぇ、今日からは私に甘えてくれていいんだからね」

ぼく「えへへ、ありがとう!」

ぼく「…グスン」ボロッ

おばあちゃん「あらあらゆーちゃん!その怪我どうしたの!?」

ぼく「…友達と、喧嘩、して…」グスン

おばあちゃん「まぁ…。悲しいことがあった時は甘い物が1番だよ、おやつにしましょう」

ぼく「うん…」

おばあちゃん「明日は仲直りするんだよ」

ぼく「うん…」(いじめられてるなんて、言えないな…)

ぼく「舐められないようにしなきゃ」

ぼく「…」ピアッサー

パチッ

ぼく「…っ」

ぼく「…うん、これで、いいんだ」


おばあちゃん「ちょっと、ゆうちゃん!その耳のは何!?」

ぼく「ピ、ピアスだよ」

おばあちゃん「外しなさい」

ぼく「なんでさ!」

おばあちゃん「お父さんお母さんにもらった大事な身体を傷つけちゃいけないよ?」

ぼく「…うん」

DQN「おいwwwこいつピアス開けるの失敗してるぜwwwザコっwww」ゲシッゲシッ

ぼく「ううっ…」

DQN「センセーwwwこいつピアス開けてますよーwww」

先生「なんだって!?ゆうや君、後で先生のところに来なさい」

ぼく「…はい」

先生「反省文を明日までに書いてくること、いいな」

ぼく「…」コクリ

ぼく「ちくしょう…なんでぼくばっかり…」

ぼく「そうだ、タバコを買おう、不良になろう」

ぼく「DQNより悪くなるんだ」

ぼく「…でもお金が…」

ぼく「…」

ぼく「おばあちゃん、ごめんなさい…箪笥のお金、借ります…」

おばあちゃん「あら、私は箪笥のお金をどこに置いたかしら?」

ぼく「…さ、さぁ、僕はわからないな…」

おばあちゃん「不思議だねぇ…」

僕「…」

僕「タバコの自販機…」

僕「適当に、これを買おう…」ピッ


DQN「…あいつ最近タバコ臭くね?」ヒソヒソ

DQN「意気がってキモいよなwww」





僕「…」スパー

???「ちょっと、君」

僕「あ?」

お巡りさん「君さ、未成年だよね?」

僕「あっ、や、やばい!」

おばあちゃん「この度は孫がご迷惑おかけしました…」

おばあちゃん「ほら、ゆうちゃんも謝って!」

ぼく「すみませんでした…」

お巡りさん「今回は注意だけにしておくけど、もうこんなことしちゃダメだからね!」

ぼく「はい…」

お巡りさん「こんないいおばあちゃんに迷惑かけさせちゃダメだよ?お金盗んでまでタバコは吸うものじゃないからね」

ぼく「うっ…うっ…」

おばあちゃん「もうこんなことしちゃだめよ?」

ぼく「はい…」グスン

おばあちゃん「さ、帰ってお夕飯にしましょう」

ぼく「うん…」

おばあちゃん「高校はどこにするんだい?」

ぼく「公立の進学校に行くよ」

おばあちゃん「そうかい?そこの私立高校の方が近いわよ?」

ぼく「でも私立はお金がかかるから…」

ぼく「頑張って、公立に行くね」

おばあちゃん「まぁ!…頑張るんだよ」

ぼく「うん!」

ぼく「…」カリカリ

おばあちゃん「毎日遅くまで頑張ってるわね、はい、これ、お夜食食べて頑張りなさい」

ぼく「ありがとう!」

ぼく「それじゃあ受験に行ってきます!」

おばあちゃん「これお弁当よ、頑張ってね!」

ぼく「うん!」




試験官「では問題を始めてください」

ぼく「…」カリカリ

ぼく(難しい…)

ぼく「はぁ…午前は難しかったなぁ…」

ぼく「お弁当食べよう…」

ぼく「!ソースカツ弁当だ!手紙も入ってる…」

『試験に"勝つ"お弁当だよ、がんばりなさい!』

ぼく「…」

ぼく「よし、午後も頑張るぞ!」

ぼく「あのさ、おばあちゃん、明日の合格発表…一緒に来てくれる?」

おばあちゃん「いいわよ、一緒にみましょう」

ぼく「うん」





「それでは、結果を掲示します!」

ぼく「…」ガタガタガタガタ

おばあちゃん「大丈夫よ、ゆうちゃん。あんなに頑張ったんですもの」

ぼく「うん…」

ぼく「172番…172番…」

ぼく「!あった!あったよ!!やった!やったよおばあちゃん!!」

おばあちゃん「私は合格するって信じてたわよ!」

ぼく「あり、ありが、ありが、とう…うわぁぁぁぁん!!」

おばあちゃん「よしよし、今夜はごちそうにしましょうね!」

ぼく「うん!!」グスン

ぼく「高校ね、みんないい人だよ!」

ぼく「試験の成績も良くてね、生徒会に推薦されちゃった!」

ぼく(DQNもいないし、頑張ってここに来れて良かった…)

おばあちゃん「そうなのね、ゆーちゃん、高校に入ってから生き生きしてくれて本当によかったわ!」

ぼく「うん、これからも頑張るよ!」

…人というのは慢心をするとすぐに転落するものである

2年に入る頃にはサボり方も覚え点数は赤点が目立ち、順位は下から数番目となる


ぼく「まぁ…いいか…」

おばあちゃん「どうだい、勉強は頑張っているかい?」

ぼく「う、うん!今パソコンでまとめてる所だよ!それより部屋に入る時はノックしてよね!」

おばあちゃん「それは悪かったわねぇ…」

ぼく「…はぁ、ゲームしよう」

先生「そろそろ進路を決めてもらうぞ」

先生「進学希望校を調べてまとめておくように」

ぼく「進学かぁ…」

ぼく「うわぁ、今の成績だと公立大学の合格ラインに全然達してない…」

ぼく「私立…」

ぼく「お金が、なぁ…」

ぼく「…勉強、しないと…大学受験まであと半年かぁ…」

ぼく「センター試験直前模試…」

ぼく「志望校の判定が軒並みDだ…」

ぼく「どうしよう…」

おばあちゃん「ゆうちゃん、どうしても大学に行きたいのかい…?」

ぼく「うん…今まで遊んでいたぼくが言えたことじゃないけど、大学で、勉強がしたい」

ぼく「今まで散々迷惑をかけてきた分、色々な人の役に立てるようになりたいんだ」

おばあちゃん「…そうね」

おばあちゃん「おじいさんが、あなたの為にお金を少し、とっておいたのよ」

おばあちゃん「これを使っていいから、私立大も考えてごらんなさい」

ぼく「おばあちゃん…うん、頑張るよ!」

ぼく「…」

ぼく「はぁ…センター…大失敗だ…」

ぼく「…私立大、本気で頑張らないと…」

ぼく「おばあちゃん、ぼく、○○私立大学に行くね。今度こそ、合格するからね!」

おばあちゃん「高校受験だってうまくいったのよ、ゆうちゃん、頑張りなさい!」

ぼく「うん、ありがとう!」

ぼく「最後の最後死ぬ気で勉強しました…神様お願いします…!」

おばあちゃん「菅原様のところでお祈りしてきましたからね、はい、お守り」

ぼく「おばあちゃん…ありがとう!」

おばあちゃん「それと、はい、お弁当」

ぼく「ありがとう!行ってきます!」

おばあちゃん「いってらっしゃい!」

ぼく「神様、おばあちゃん、…よろしくお願いします!」

ぼく「おばあちゃん、合格発表、また一緒に来てもらってもいい?」

おばあちゃん「いいわよ、私は幸運の女神だからね」

ぼく「うん、おばあちゃんとなら、合格できる気がする!」



ぼく「815番…815番…」

おばあちゃん「!あるわよ!815番!」

ぼく「やったぁ!おばあちゃん!ありがう!!」

おばあちゃん「ゆうちゃんが頑張ったからだよ!」

ぼく「それでも、ありがう!!」

ぼく「大学って講義を自分で組んで単位を取るんだね」

ぼく「ということは空き時間にバイトができる!」

ぼく「学費、少しくらいは自分で出さないと!」




ぼく「おばあちゃん、今夜はバイトがあるから帰りが遅くなるね!」

おばあちゃん「気をつけて帰ってくるんだよ、いってらっしゃい」

ぼく「いってきます!」

ぼく「うぅ…こんなに遅くなっちゃった…」

ぼく「ただいまー…」

おばあちゃん「おかえり、遅かったわねぇ」

ぼく「おばあちゃんこんなに遅くまで!寝ててもよかったのに!」



ぼく「もうすぐ日付がかわるなぁ…ただいまー…」

おばあちゃん「おかえりなさい」




ぼく「ただいま…」小声

おばあちゃん「おかえりなさい」

ぼく「?知らない番号から電話だ」

ぼく「もしもし…」

「私、○○病院の者なのですが…」

ぼく「おばあちゃんが倒れた!?」


ぼく「おばあちゃん!おばあちゃん!大丈夫!?」

おばあちゃん「大丈夫よ、ちょっと疲れちゃっただけだから…」

ぼく「ご、ごめんなさい、ぼくにあわせて、朝早くから夜中まで起きてたから…」

おばあちゃん「本当に大丈夫よ、ちょっと疲れちゃっただけだから」

ぼく「明日からぼく、もっと早く起きて手伝うから!バイトも…すぐにはやめられないけど、早い時間にしてもらうから!」

ぼく「おばあちゃん、おはよう!」

おばあちゃん「あらゆうちゃん、今日も早いのねぇ」

ぼく「ぼくだってもう成人なんだ、それくらいするさ!」

ぼく「あとね、就職なんだけど、就職先が決まりそうなんだ!」

ぼく「県内だから、ここから通えるんだよ!」

おばあちゃん「あら、おめでとう!ゆうちゃん、いつの間にか立派な大人になったわねぇ…」

ぼく「採用ですか!ありがとうございます!」

『こちらもゆうやさんには期待していますからね、よろしくお願いします』

ぼく「はい、こちらこそ、よろしくお願いします!」

ぼく「おばあちゃん!おばあちゃん!就職決まったよ!」

ぼく「…ただね、向こうの手違いらしくて県外の支部らしいんだ…」

ぼく「それでもそんなに遠くないし週末になったら絶対帰ってくるからね!」

おばあちゃん「外に出てみるのも、大人になるのには大切なのよ?頑張るんだよ、ゆうちゃん!」

ぼく「うん!」

ぼく「えーっと、今日からお世話になるゆうやです!よろしくお願いします!」

先輩社員「おっ、よろしく頼むよフレッシュマン!」



ぼく「はぁ、ひとり暮らしに新しい職場…疲れるなぁ…」

ぼく「お、おばあちゃんから宅配が届いてる!」

『ご飯はしっかり食べるんだよ』

ぼく「お米に野菜にレトルトも…」

ぼく「よし、お礼の手紙を書こう!」

ぼく「おばあちゃんに手紙を書くの、始めてだなぁ…」カキカキ

ぼく「ただいまおばあちゃん!」

おばあちゃん「おかえりゆうちゃん!お仕事の調子はどう?」

ぼく「ぼちぼちだよ!僕の大学の後輩も入社したり、班のサブリーダーになったり!上司もいい人だよ!」

おばあちゃん「昔からゆうちゃんは頑張り屋さんだったからねぇ、頼りなかったけれど。それがもうこんなに立派になって…」

おばあちゃん「できれば生きているうちにゆうちゃんの奥さんが見たいわねぇ…」

ぼく「やめてよおばあちゃん!恥ずかしいよ!」

ぼく(奥さんかぁ…彼女だってまだなのに…)

ぼく「そうだ、今年はこっちで年越すね!」

ぼく「年末年始、有給多めに当てていいって言われたから!」

おばあちゃん「あら!今年の年末は楽しくなるわねぇ!」

ぼく「そうだ、美味しいお蕎麦屋さん見つけたからそこでお蕎麦を買って行こう」

ぼく「おばあちゃん喜んでくれるかな…」

ぼく「おばあちゃんただいま!年越しそば買ってきたよ!」

おばあちゃん「ゆうちゃんいらっしゃい!寒かったでしょう、さぁおこたにあたりなさい」

ぼく「うん!」

おばあちゃん「はい、お蜜柑」

ぼく「いただきます!…こうやって一緒にみかん食べるのも久しぶりだねぇ…」

おばあちゃん「そうねぇ…」

おばあちゃん「それじゃあ私は年越す前に、お風呂に入ってこようかしら」

ぼく「うん、わかった!じゃあお蕎麦の用意しておくね!」


ぼく「~♪」

ぼく「こうやってテレビ見るのも久しぶりだなぁ…」

ホーセイ マイ フレンド

ぼく「wwwwww」

ぼく「それにしてもおばあちゃん、今日は長湯だなぁ…」

ぼく「…」

ぼく「そろそろ1時間…」

ぼく「おばあちゃん?まだお風呂?」

ぼく「お蕎麦伸びちゃうよ?」

ぼく「おばあちゃんー?」


ぼく「…おばあちゃん…?」

本当にろくでもない年越しだった

裸の祖母に毛布をかけて、119番

近所の人は何事かと思っただろう

祖母は結局、ぼくと年を越せなかったのか

ぼく「…」

ぼく「クソスレでも建てるか…」



ぼく「おばあちゃん、あけましておめでとう」

チラ裏なのにありがと
明日も元気に出勤するよ、おやすみ

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