一護「惚れ薬?」浦原「はい」(124)

一護「なんだそりゃ?」

浦原「文字通りの惚れ薬ですよ黒崎さん」

一護「・・・あのなあ、いくらなんでもそんなもん信じると思うか」

浦原「それが本当なんですって。是非頑張っている黒崎さんに試していただこうかと思いまして」

一護「いらねえよ。どうせまた怪しい経路を辿ってきた怪しい品だろ?」

浦原「いやいやいや!本当なんですって!」

浦原「今度ばかりは騙しなし!黒崎さんにちょこーっとでも好意を持ってる人はメロメロですよ!」

一護「好意だあ?」

浦原「ええ!かっこいいだとか、素敵だとか、割と良いなとか!どんな些細な好意でもOKなんです!」

浦原「これさえ飲めばそんな思いを抱きつつ隠してきたあんな人やこんな人とムフフな関係に・・・」

一護「やっぱ帰るわ」

浦原「ああ!待ってください黒崎さん!」

一護「いらないっての。そんな薬だったら浦原さんが飲めばいいだろ」

浦原「これは日ごろから傷だらけになってる黒崎さんへの労いの・・・」

一護「じゃあな~」

浦原「ああ!・・・かくなるうえは鉄裁さんやっちゃってください!」

鉄裁「お任せあれ、ぬおおおおお!」

一護「な、なんだ!?

鉄裁「縛道の六十一!六杖光牢!」

シュバババ!

一護「うお!」

鉄裁「ふっふっふ捕まえましたぞ」

浦原「やりましたね鉄裁さん!さあ黒崎さん、ぐいっとやっちゃって下さい!」

一護「くそ、生身の体じゃ鬼道を破れねえ」

浦原「そーれ一気!一気!」

一護「やめろ!また面倒ごとになるに決まってるんだ!やめろーおぶっ!?」

ゴクゴク

一護「ぶはっ!まっずい!何て味だ!」

浦原「お気に召しませんか?」

一護「お気に召してたまるか!あーあー、呼ばれて来たら不味い物飲まされただけかよ!」

浦原「いやいや黒崎さんこれから!これからですから!数分もすれば効果覿面ですよ、ねえ鉄裁さん?」

鉄裁「・・・・・・」

浦原「鉄裁さん?」

鉄裁「・・・黒崎殿」

一護「な、なんだよ」

浦原「・・・不味いことになりましたよ黒崎さん」

一護「はあ?」

鉄裁「黒崎殿ー!」ドタドタ

一護「うわあああ!」

鉄裁「お慕いしておりますぞー!」

浦原「あっちゃ~」

一護「やめろ、俺に触るなー!」

鉄裁「つれない所も素敵ですぞ!」ギュー

一護「」ゾワワワ

浦原「黒崎さん、どうやらこの惚れ薬男女ともに見境なく効果発揮しちゃうみたいで・・・」

一護「ふざけんなぁ!」

浦原「いや~すいませんねえ」

一護「謝る前にこのおっさんどうにかしてくれ!」

浦原「あーそうですね。男子高校生とおっさんの絡みなんて見てても気分悪くなるだけですから」

浦原「ほら鉄裁さん、離れて離れて」

鉄裁「ぬう!店長といえど邪魔はさせませんぞ!」ギュー

一護「いやー!」

浦原(ここまで強力な薬とは・・・黒崎さんで実験せずに売ればよかった)

一護「早く助けてー!」

浦原「ああ、そうでしたね。ゲフンゲフン」

浦原「縛道の四!這縄!」

鉄裁「ぬおおお!?」グルングルン

浦原「破道の十一!綴雷電!」

鉄裁「ふおおお!?」ビリビリ

鉄裁「む、無念・・・」

浦原「・・・いや~驚きましたね黒崎さん」

一護「驚きましたねじゃねえよこの下駄帽子!」

浦原「あっはっは」

一護「なに笑ってんだ!さっさと動けるようにしてくれ!」

浦原「すいませんねえ。まさか鉄裁さんまで影響を受けるとは思わなくて」

浦原「でもこれでお分かりいただけたでしょ?本物の惚れ薬だって」

一護「本物でも嬉しくねえよ!」

浦原「いやいや、今のは相手が鉄裁さんだからですよ。外に出れば女の子にだって」

一護「あんなスキンシップされたら相手が女でも嫌だわ!」

浦原「またまた黒埼さん、照れちゃって~」

一護「誰が照れるか」

浦原「そんなこと言って、内心ではそんなに悪くない・・・はっ!」

一護「ん?どうしたんだよ浦原さん」キラキラキラキラ

浦原「く、黒崎さん」

一護「だからなんだよ」キラキラキラキラ

浦原「不味いことになりました」

浦原「どうやら僕も駄目みたいです」

一護「?」キラキラ

浦原「・・・かっこいい」

一護「ああ!?」

一護「ちょっと待て!なんであんたまで」

浦原「いや~頑張ってる黒崎さん見てると、女だったら惚れちゃうなって常々思ってたんすよ」

一護「うわ気持ち悪い!」

浦原「ひどい。でもそんなところが・・・」

一護「はっ鬼道が解けた!今のうちだ!」ダダッ

浦原「ああ黒崎さんどこへ」

一護「お前のいない所へだよ!」

一護「くそ!だから飲みたくなかったんだ~!」ダダダダダ!

一護「はぁ、はぁ、ここまで来れば大丈夫だろ・・・」

一護「しっかしあの薬えげつねえなあ。どうにかして効果を消さないと」

一護「ほっといたらどれぐらい効果が続くのかも分からない・・・」

一護「できるだけ誰にも会わないようにしながら、浦原さん以外で頼れる人を探すしか」

??「あれ、お兄ちゃん?」

一護「!?」

遊子「やっぱりお兄ちゃんだ」

一護「ゆ、遊子」

遊子「どうしたのそんなに汗かいて。お友達の所に行くんじゃなかったの?」

一護「ああ、まあそうなんだけどな。ちょっとそいつが病気になっちまったみたいで・・・」

遊子「大変!お父さんに診てもらった方がいいんじゃないの?」

一護「いや、たぶん親父でも治せないなあれは・・・」

遊子「そんなに重い病気なの!?」

一護「ああっと重いって言ってもそのうち治る類の病気だから!遊子は気にするな、な!?」

遊子「・・・?変なお兄ちゃん」

一護「あはは・・・」

遊子「とりあえず、汗ふきなよ。私のハンカチ使って?」

一護「ああ、ありがとう」ピト

遊子「!?」

一護「いや~涼しくなったけど走ると汗かくな」

遊子「う、うん。そう、だね・・・」

一護「サンキューな遊子」キラキラキラ

遊子「あ、あ、あの」

一護「どうした?」キラキラキラ

遊子(ど、どうしよう)

遊子(ドキドキしてきちゃった・・・)

一護「おいどこか痛いのか?」

遊子「う、ううん!平気だよ」

一護「そうか。何かあったら俺に言えよ」

遊子「うん・・・」

遊子(お兄ちゃんと手が触れてドキドキしてるなんて言えない・・・)

一護「じゃあ、俺ちょっと用事ができたからもう行くな」

遊子「え?またどこか行っちゃうの?」

一護「ああ。今日は、ちょっと遅くなるかもしれない」

一護(薬の解毒方法を探すのにどれだけ時間がかかるか・・・)

遊子「で、でも今日お休みの日だよ?何の用事があるの?」

一護「それは、そのだな」

一護「ちょ、ちょっとな」

遊子「・・・また遠くに行っちゃうの?」

一護「違うって!」

遊子「本当?」

一護「本当だって。もう遠くに行ったりしない。今日だってその、そんなに大事な用事じゃないんだ!」

遊子「そう、なの?」

一護「そうだ!」

遊子「じゃあ、お兄ちゃん急いでるわけじゃないの?」

一護「まあ、そうだな」

遊子「じ、じゃあ私と・・・」

一護「ん?」

遊子「私とデートしてくれる!?」

一護「」

一護「デ、デート?」

遊子「う、うん。駄目かな」

一護(これはどっちだ?遊子は元からその、お兄ちゃん子といえばそうだけど)

一護(惚れ薬のせいで変なことを言っているだけなのかもしれない)

一護(判別できないぞ・・・)

遊子「お兄ちゃん、そんなに悩まなくても駄目なら別に」

一護「駄目ってことはないけど・・・」

遊子「本当!?」

遊子「やったぁ!」

一護(・・・どっちでもいいか。最近遊んでやれなかったし)

遊子「じゃあお兄ちゃん行こう!」

一護「おう。どっか行きたいとこあるのか?」

遊子「ううん。お、お兄ちゃんと一緒だったらどこだっていいよ」

一護「嬉しいこと言ってくれるじゃないか。よし、公園でも行ってのんびりするか?」

遊子「うん!あ、あのお兄ちゃん」

一護「なんだ」

遊子「手、繋いでもいいかな?」

一護「お、おう」

遊子「いいの?」

一護「いいけど、遊子もまだ子供だな。手繋ぎたいなんて」

遊子「こ、子供じゃないもん!」

一護「ははは、悪い悪い」ギュ

遊子「あ・・・」

一護「よし、行くか!」

遊子「うん!」ギュ!

遊子(お兄ちゃんの手大きいなー)

一護「お前そういえば背が少し伸びたんじゃないか?」

遊子「そ、そうかな?」

一護「ああ。遊子も成長期なんだなー」

一護「俺ももう少し背が伸びてくれればいいんだけど」

遊子「お兄ちゃんは」

一護「ん?」

遊子「お兄ちゃんは今のままでも十分かっこいいよ!」ニコッ

一護「」

一護「そ、そうか?遊子はお世辞が上手いな」

遊子「お世辞じゃないのに~」

一護(やばい。今のは絶対普段の遊子なら言わない一言だ)

一護(しかも何でときめいたんだ俺、相手は実の妹・・・)

一護「これでは駄目だ!」

遊子「わっ!びっくりした、どうしたの突然?」

一護「あっ悪い何でもないぞ」

一護「さあ、公園に着いたぞ遊子」

遊子「懐かしいね~昔一緒に遊んだの覚えてる?」

一護「ああ、子供の頃はよく夏梨と三人で来たっけか」

遊子「うん。でもお兄ちゃんが大きくなってからはあんまり・・・」

一護「ご、ごめんな」

遊子「え、ううん!全然気にしてないよ!」

一護(うーん)

一護(惚れ薬の効果とはいえ、折角だから今日は遊子と色々と話そうか)

一護「よし遊子、ベンチに座ってのんびりしよう」

遊子「うん!」

一護「あー良い天気だな」

遊子「そーだねー」ノンビリ

一護「その、最近学校とかはどうだ遊子」

遊子「お兄ちゃんったら、お父さんみたいだよう」

一護「そ、そうか?」

遊子「うん、なんだかおじさんみたい」

一護「ぐっ・・・」

遊子「あはは、嘘だよ。お兄ちゃんは、その・・・」

遊子「お、お父さんより、かっこいいから・・・!」

一護「」ズキューン

遊子「えへへ」モジモジ

一護(なん、だと!?)

一護(俺が二度もときめいてしまった、妹の遊子に!)

一護(今までこんなこと一度も無かったのに、まさかこれも惚れ薬の効果か!)

一護(だとしたらやばい・・・このまま遊子と一緒にいるのは危険だ!)

一護(開けたらいけない扉を開けてしまう!)

遊子「お兄ちゃん?」

一護「な、なんでもないぞ!ところでだ遊子!」

遊子「なあに?」

一護「あのな、ちょっとゆっくり話そうと思ってたんだけど俺もう行かないと!」

遊子「ええ!?そんな、どうして突然・・・」

一護「だけどこれだけは言っておきたい!」

遊子「?」

一護「いつもありがとう!それといつもお疲れ様!」

遊子「ええ!?」

一護「まだ自分だって遊びたいだろうに、家事全般をやってくれてるお前に俺はすっごく感謝してる!」

遊子「お兄ちゃん・・・」

一護「お前の料理は、他の誰が作った料理よりも美味いぞ!一生食っててもいいぐらいだ!」

遊子「一生って、そ、そんな・・・なんだか」

遊子「プ、プロポーズされたみたいだよ」モジモジ

一護「」キュン

一護「う、うわああああ!ご、ごめん遊子、俺もう行くからな!」ダダッ

遊子「お兄ちゃん、どうしたんだろう?」

遊子「でも・・・えへへ」テレテレ



一護「はぁはぁ」

一護「一体どうなってんだ・・・あの薬、相当やばいものだったんじゃ」

??「む、なにをやっているんだ一護」

一護「そ、その声は!」

チャド「む」

一護(だ、大丈夫なのか!?)

一護(いや、大丈夫なわけがない!)

一護(浦原さんや鉄裁さんでも駄目だった薬の効果が、チャドに耐えられるはずが・・・)

チャド「どうかしたのか?」

一護「い、いいや?何でもないけど?」チラッチラ

チャド「明らかに挙動不審だぞ一護」

一護「そんなことねえって!それより、何やってんだよ休みの日に一人で」

チャド「お前も一人だろ?」

一護「さ、さっきまでは遊子と一緒だったんだけどな~。は、ははは」キョロキョロ

チャド「・・・・・・」

一護「・・・・・・」

チャド「・・・・・・」

一護「・・・・・・」キョロキョロ

チャド「・・・・・・」

一護「・・・・・・」キラキラキラキラ

チャド「・・・・・・むぅ」

一護「ど、どうしたんだよ」キラキラキラキラ

チャド「・・・・・・かっこいい」

一護「はぁ!?」

チャド「一護、前々からお前に言いたいことがあったんだ」

一護「ちょっと待てチャド!それ今言わないと駄目か!?」

チャド「ああ、今聞いて欲しい。俺は今までずっとお前と共に戦ってきた」

チャド「その中であまり・・・いや、ほとんど役に立てなかった俺を」

一護(自覚あったのか!)

チャド「お前は案じて、励ましてくれた。この間のフルブリングの時も・・・」

チャド『すまない一護。敵の能力のせいとはいえ、俺はお前に・・・』

一護『気にすんなって。全部月島のせいだったんだから、お前が謝る必要はねえよ』

チャド『しかし・・・』

一護『だぁー!俺がいいって言ってるんだからいいんだよ!お前は俺の友達だ、こんなことで仲違いしない』

一護『そうだろ、チャド』キリッ


チャド「俺にあんなに優しい言葉を」

一護(言ったかなそんなこと・・・)

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