真「池袋西口公園で、ボクはその人と出逢った」(279)

いち

―――

夜・池袋西口公園


その日のボクは……西口公園で、ダンスの練習をしていた


真「(……もっと、たーかめて果てなく♪)」

真「(こーころーの、おーくまーで♪)」

真「(あーなーた、だけが使えるテークニックで……♪)」


CDは流してないけど、曲も構成も、頭の中に入っている

色々なことがあって、ここまでやってきて……
ここ、「池袋西口公園」でダンスをしている人たちを見つけた

その姿を見て……ボクは気が付くと、彼らのように公園の一角で踊っていた
踊っている最中は、何もかも忘れられる……だからなのかもしれない

……そしたら、あの人が話しかけて来たんだ


………

真「(……はげ、しく!♪)」

真「……フゥ」


パチパチパチパチ


真「…………?」

?「いや……スゴかった。ウエストゲートパークでダンサーたくさん見てきたけど、一番かもしんねえ」

真「(ウエスト……?)誰ですか?」

?「ああ、わりぃわりぃ。俺マコトって言うんだ」

真「!?」

真「え、ま…まこ……!?」

マコト「ああ、真島マコト。池袋で果物屋やってるマコト」

マコト「なんかアンタのダンスがすげー上手くてさぁ。見入っちゃった」

真「…………」

マコト「あ、えーと……別にナンパとかそういうんじゃないんだけどさ、よかったら名前教えてよ」

真「な、名前って……その……」

マコト「?」

真「え、っと……」

マコト「……え、何?どうしたの?」

真「ぼ、ボクの名前……」

マサ「おーいマコト~!」

真「はい?」クルッ

マサ「……え?誰…ですか?」

真「……あ」

マサ「あの……マコト、この娘誰?」

マコト「いや……何かさっきダンスしてて、すげぇ上手かったから声かけちゃった」

マサ「へぇ~……俺マサって言うんだ。名前は?」

マコト「それがさぁ、教えてくんねぇんだよ」

真「いや、あの……ボクの名前は……」

マサ「名前は?」

真「ボクの名前は……」

真「……」グッ

真「菊地真です!」

マコト「……」

マサ「……え、真?」

真「そうです、真ですよ!」

マコト「……俺?」



池袋西口公園で、ボクは「マコト」さんと出逢った


―――

池袋ウエストゲートパーク 765の回

―――

マサ「いやぁまさかなー、同じ名前だったなんてなー」

真「そうですよ。しかもマコトさんは男なのに、ボクは女だし……」

真「言いづらかったし、なんだか複雑な気分だし……」

マコト「いや別にいいじゃねえか、マコトは男でも女でも通用する便利な名前なんだよ」

真「男でも女でも……ですか……」

真「……ボクは、それがイヤなんですよ……」ハァ

マサ「え、何で何で?」

真「昔っから、親の都合で男っぽい格好とか、空手とかやらされてて……」

真「でもボク……そう、このボクって言い方も、直らないのがコンプレックスで……」

マコト「……それで?」

真「でもボク、本当はもっと女の子らしく、可愛い感じになりたいんですよ」

マサ「ふ~ん、それが真ちゃんの悩みかぁ」

マコト「へぇー……」カチッ

真「す、すいません。初対面なのにいきなりこんなこと」

真「しかも変な悩みで……面倒くさいですよね」

マコト「……」フゥー

マコト「いや……俺はいいと思うけど」

真「え?」

マコト「俺の彼女さぁ、ヒカルって名前なんだけど……あ、今ちょっと遠くにいて会えてないんだけど」

マサ「(マコト……)…………」

マコト「そいつさ、すげーメンドクセーんだよ。他の女と話してるだけで怒ったり」

真「はは……」

マコト「でもさ、俺はそいつのメンドクセーとこも含めて、可愛いと思ってる」

マコト「だから真もさ……あー自分の名前と同じだとややこしいわ……」

マコト「真もさ、ちょっとメンドクセーとこあった方が可愛くなんじゃねーのかな」

真「面倒くさい所…ですか……」

マコト「あ、でもさっきのダンスすげーカッコよかったから、あのままだと可愛くは難しいかも」フッ

真「なっ……!ぼ、ボク、可愛いダンスだって踊れますよ!?」

マサ「おー見てみたい見てみたい!ていうか俺、真ちゃんのダンス見てないんだよねー、見せてよ」

真「いいですよ、可愛く踊ってやりますから!」

マコト「おーおー、見てやろうじゃねーか」


―――

翌日・昼・池袋西口公園


真「……あ」

マコト「よう」

真「……本当に一日中いるんですね。果物屋はいいんですか?」

マコト「いいのいいの。ウチは酔っ払い相手の商売だから、稼ぎは夜」

真「ふーん……」

マコト「……今日は昼からダンスの練習?」

真「ま、そんなとこですよ。マサさんは居ないんですか?」

マコト「あいつボウリング場でバイトしてんだよ」

真「そうですか。……じゃあボク、勝手に踊ってますよ?」

マコト「おう。……気が向いたらでいいからさ、メシ食ったり遊び行ったりしようぜ」

真「…………」

マコト「あ、ちげーよ?そういうんじゃないっつーか、ていうかヒカルと付き合ってるって昨日言ったよな?」

真「ふふ……知ってますよ。面白い人ですね、マコトさんって」

マコト「……そうかな」

………


真「(とーどかーないメーッセージー♪)」

真「(不可視なラ・ビ・リ・ン・ス!♪)」


マコト「やっぱアイツのダンスすげーなぁ……」

G-Boys1「あ、マコトさんチーッス!」

G-Boys2「チーッス!」

マコト「お、よう」

G-Boys1「どうしたんですか?ダンサーなんか見て」

G-Boys2「ていうかあれ、どこの男すか?」

マコト「バーカ女だよ。本人気にしてるみたいだから言ったら怒られるぞ」

G-Boys1「ひょっとしてマコトさんの……」

マコト「ちげーよ!ダンス上手いから話しかけたら仲良くなったの」

G-Boys2「ふーん……」

マコト「ていうかお前らも毎日毎日、タカシの銅像磨きに来んなよ」

マコト「清掃会社なんだろ?ビルとかそういうところ掃除して来いって」


タカシ像・「G-BOYSキング・安藤タカシ 1980~永久に不滅」


G-Boys2「キングの像を磨く。これが、俺たちの日課なんすよ」

G-Boys1「分担して磨きに来て……やっぱこれやるとやらないとじゃ、一日のやる気も違いますよ!」

マコト「……あーそー。で、タカシは何やってるんだよ」

G-Boys1「ビバヒルだって言ってました?」

マコト「ビバヒル?」

G-Boys2「一年前の抗争ん時の怪我がやっと治ってきたんで」

G-Boys1「そうそう、それで車椅子も卒業なりぃ~って、最近は病院でビバヒルしてます」

マコト「へぇ~ビバヒル……ビバヒル?」

真「(……リハビリだよ…………)」

………


真「(みーつめあ・い・たーいのー……♪)」

真「……フゥ」

マコト「……はぁ~……」

マコト「やっぱすげーわ」パチパチパチパチ

真「……止めてくださいよ。褒めても何も出ませんよ?」

マコト「いやだって、マジですげーもんはすげーよ」

マコト「お前ダンサーとかで喰っていけるんじゃねえの?」

真「……」ピクッ

マコト「……?」

真「ダンサー……ですか」

マコト「……あれ、何か変なこと言っちゃった?」

真「いえ、いいんですよ……」

真「……ダンサー……か……」ボソッ


………


P「……よし、ライブ会場の手配も済んだな」

P「西口公園……ちょっと休憩してくか」


真「……それでその時、ヒカルさんどうしたんですか?」

マコト「いやそれがさぁ、泣いて泣いて!わけわかんねーっつーんだよな!」

真「それは…いくらなんでもマコトさんが悪いですよ」

マコト「え、俺!?」

真「放ったらかしにされるのって、女の子は凄く傷つくんですよ?」

真「自分のことを考えてくれるはずの人が、自分を裏切ったって感じるんですから」

マコト「そーなのかよ……ただのデートでも?」

真「ただのデートでもです!」

マコト「……露天の指輪じゃなくて、ヤンマガ買うのに夢中になっただけでも?」

真「ダメです」

マコト「あっちゃー……俺やっちゃってたかぁ」

真「もう…ヒカルさんに謝んないとダメですよ」

マコト「はは……サンキュな」


P「……なんか聞き覚えのある声が……」

P「……」

P「ま、まさか……」チラッ

P「……!?真!」

真「!?」バッ

マコト「え?呼んだ?」

P「ま、真……こんなとこに居たのか」

真「プロ……」グッ

真「……来ないで下さい!」

P「真……事務所にも来ないで……一体何やってるんだ!」

マコト「……え、何?どうすればいいの?」

真「……プロデューサー…………」

真「プロデューサーには…どうせボクの気持ちなんてわかるわけないんです」

真「とにかくボクは……このままだったら、事務所には戻りませんからね!」

真「ま、マコトさんすいません……それじゃあ!」


ダッ


マコト「え、あ、ちょ、おい!」

P「待て、真……!」

P「……ハァ、まったく……」

P「真のヤツ……何も知らせないで……こんな所で……」

マコト「……あの、オッサン。とりあえず『真』って言いながら悪態つくのやめてくれねーかな」

P「…………どなたですか……って」

P「ひょっとして君……真島マコトくんかい?」


―――

西口公園近くの喫茶店


マコト「765プロダクション?」

P「ああ。芸能事務所なんだけど、そこでプロデューサーをやっている」

P「これ名刺」スッ

マコト「どうも。プロデューサー……なんかテレビの偉い人?」

P「あ、えーと…その人とはちょっと違って……」

P「芸能事務所にいる人たちに、こういう風な芸能人になっていこう、って方針を考える人」

マコト「……はぁ~……大体分かった。ていうかなんで俺のこと知ってんの?」

P「事務所が池袋にあるんで、そういう話もよく聞くんだ」

P「一年前のストラングラー事件の解決とか、カラーギャング一掃させたりとか」

P「『池袋のトラブルシューター』って言うんだっけ?今は探偵らしいね」

マコト「いや、全部が全部俺が解決したわけじゃねえよ。それに探偵も気が向いた時だけな」

マコト「……で話し戻すけど、真も芸能人なのかよ」

P「ああ。駆け出しのアイドルで、最近ちょっと人気が出てきたんだ」

P「もっとも…気付かれなかったんだから、まだまだかな」

P「バッグに確か……あ、あった」ガサゴソ

スッ

マコト「……『エージェント夜を……住む、住く』」

P「往く(ゆく)」

マコト「うっせーよ!」

P「うわっ!怒らないでくれよ」

マコト「怒ってねーよ!」

マコト「……CD……アイドル……」


―――

マコト「お前ダンサーとかで喰っていけるんじゃねえの?」

真「……」ピクッ

マコト「……?」

真「ダンサー……ですか」

―――


マコト「うわー……俺やっちゃったじゃん」

P「?」

マコト「いや…なんでもねえ。それで、真がどうしたって?」

P「あ、ああ……」

P「実は俺は、彼女の以前までの担当プロデューサーだった」

マコト「おぉ」

P「が、担当するアイドルたちの数が多くなりすぎた」

マコト「え、765プロってどんくらいいるの?」

P「ウチはまだ小規模な事務所でね。所属アイドルは真を含めて12人」

P「でもプロデューサーは2人で、事務員に至っては1人しかいない。恥ずかしい話だが」

マコト「……あんた1人で何人相手にしてんだよ」

P「もう1人が3人組のアイドルグループを担当しててね、『竜宮小町』って知らない?」

マコト「竜宮……あ、テレビで見たかも。3人組だろ?」

P「おおありがたい。そう、お陰さまで竜宮が知名度も上がって軌道に乗ってきたんだ」

P「で俺は、残りの9人を相手に……まあ、なんとかやってたんだ」

マコト「なんか…大変だな」

P「いや、まあ、まだデビュー前でレッスンしてる娘とかも中にはいたからね。そこまででは」

マコト「あれ…以前までのって言ってたけど、今あんたは真のプロデューサーじゃねえの?」

P「ああ…そのことなんだが……」

P「もう1人は竜宮の担当で忙しかったが、最近は方向性が定まってきた分、負担は少なくなってきてね」

P「こっちの担当人数が多すぎるのは考え物だったから、何人かを彼女に任せてみようということになったんだ」

P「で、真もそのうちの1人だった。俺が担当していたんだが、もう1人に任せてみることになった」

マコト「ふーん……」

マコト「……ズズッ」…ゴクッ

P「そうそう、ちなみにもう1人のプロデューサーは『秋月律子』って言って

マコト「!?」ブーッ!

P「うちょ!?」

マコト「ゲホッ…ゲホッ」

P「どど、どうしたんだい急に!」

マコト「い…や、だってアンタ……『真』の担当プロデューサーが…『律子』ぉ!?」

P「い、今はそう…だよ……?」

マコト「……マジで勘弁してくれよ」ゲホッ

P「……?」


―――

夜・真島フルーツ(マコトの実家)


マコト「母ちゃんただいま~」

リツコ「あいよ、おかえりマコト~。今日は焼きそばだよ~」

マコト「お、よっしゃ。マヨネーズは?」

リツコ「……あ、買うの忘れてた」

マコト「ちょ、おいババアふざけんなよ!マヨネーズ無しでどうやって焼きそば食うんだよ!」

リツコ「母さんは無くても食べれます~。欲しけりゃ自分で買ってきな!」

マコト「……ったくよぉ」


トボトボ


マコト「マヨネーズ切らしてんじゃねぇよ……母ちゃんも俺もよぉ」

マコト「はぁ~……」

マコト「『真』に『律子』かよ……」


―――

P「それで担当が律子に変わってしばらくしてから、真が事務所に来なくなった」

マコト「りつ……そのプロデューサーのせいだってことか?」

P「かもしれないが……律子に直接聞くわけにもいかないし、そういう感じではなかったように見えたな」

マコト「じゃあなんで?」

P「……こっちも、それがわからないんだよ」

マコト「……んだよそれ」

P「真が居たのが西口公園で、しかも君と交友があったなんてな……」

P「……真島マコトくん。探偵として、トラブルシューターとして君に……

マコト「ちょ、おい!引き受けねーからな!そーゆうメンドクセーのは!」

P「……お礼ならするよ。真が事務所に戻ってきてくれれば一番いいんだが…」

P「原因がわかるだけでもいい。今度会う機会があったら、真から聞き出してみてくれないか」

マコト「いや、お礼って言われてもさぁ……」

P「……弱小でも、ウチも芸能事務所なんだ。律子の担当アイドルだし、竜宮のギャラから出すことも可能だ」

P「ウチの事務所は良い娘ばっかりだ。真のため、となったら彼女たちもそれくらいの協力はしてくれる」

マコト「ギャラって……竜宮小町ってギャラいくらくらいすんの?」

P「そうだなぁ。テレビの出演一回につき……」

―――


マコト「金に釣られて引き受けてよかったのかなぁ……」

マコト「あーもう、メンドクセー……」


トボトボ


―――

同時刻・765プロダクション


律子「池袋西口公園……そこで真に会って……どうしたんですか?」

P「いや、それが…プロデューサーに自分の気持ちはわからない、このままだったら事務所には戻らない」

P「……って言われて走って行っちゃった」

律子「…………あー……」

P「なんだよ」

律子「いやなんでも」

P「ていうか、今はお前が担当プロデューサーだろ。協力してくれよ」

律子「……ハァ。そんなこと言ってるから真は出てったんですよ」

P「え?」

律子「(こりゃあかんわ。忙しいのは百も承知だけど……プロデューサーがあれじゃあね)」フゥ

P「ところで律子、この名刺、この前打ち合わせしたディレクターのじゃないのか?」

律子「ああ…いいですよ、あげます」

P「あげますって…お前が貰ったんじゃないか」

律子「……なぁんか、肌に合わなかったんですよね、その人」

律子「他にも仲良いテレビ局のディレクターはいますし、その人はいいです」

P「はは……有能だね。俺も見習わないとな」

律子「……」

律子「お世辞は結構ですけど……」

律子「原因が何か、自分の胸に手を当ててよーく考えて…真を事務所に戻してきて下さいよ」

P「…………はい」

律子「(今の私が言葉をかけたとして、真は事務所に戻ってきてくれるかしら……)」

律子「(信頼関係がない…わけじゃないだろうけど……)」

律子「(担当が替わっただけであの有様じゃあ……私では力不足かしらね)」

律子「(一番早いのは、プロデューサー殿に気付いてもらうことなんだけど……)」

P「……どうした律子、難しそうな顔して」

律子「……」ハァ

律子「本当に頼みますよ……プロデューサー殿?」

P「?お、おう……」





?「……」

?「池袋……西口公園……」

?「…………」


―――

翌日・朝・真の家


その日のボクは、いつも以上に憂鬱だった
小鳥さん、プロデューサー、そして律子からの留守電
どれも申し訳ないとは思うけど、でもボクは事務所に行く気にはなれなかった

それでも、身体を動かしていないと、なんだか不安になる
踊れるならどこだっていい……一昨日、西口公園にいたのだって、単なる気まぐれだ

でも何故かボクは、あの男性…真島マコトの顔を思い出す
好き……という感情とは、ちょっと違うと思う
アイドルとしてではない、ボクの踊りを純粋に評価してくれた、まっすぐだけど変わった人
ボクと同じ名前の男性…そんな彼のことが、もっと知りたくなった

昨日のことがあって…果たしてプロデューサーは、マコトさんと話をしたんだろうか
マコトさんはボクのことをどこまで知っているんだろうか
もやもやした不安感と、彼に対する好奇心、身体を動かしたいという焦燥感

色々な感情が混じりあって、
ボクはたまらず家を出て、走り出した……池袋西口公園まで


―――

昼・池袋西口公園


マサ「よう!」

マコト「おう」

マサ「誰か待ってんの?」

マコト「ああ、ちょっと真をさ……」

マサ「マコトが、真を待ってんのか。ややこしいな」

マコト「うっせーよ」

マコト「……」


―――

昨日・喫茶店


P「まだ駆け出しとは言え、真もアイドルなんだ。なるべくなら目立った行動はさせたくない」

マコト「公園で踊ってんのはいいのかよ」

P「本当は止めさせたいんだけど……こちらも真の様子を逐一観察する余裕なんて無いしな」

P「事情を聞きだすのが難しかったら、真の動向を伺ってくれれば、それでも十分だ」

マコト「……わかった」

―――


マコト「……」

マサ「おいマコト、どうしたんだよ」

マコト「いや…別に……」

マサ「ひょっとして真ちゃんに惚れちゃった?」

マコト「バカちげーよ」

マサ「本当かなぁ~?よくよく見たらさ、真ちゃん結構可愛いじゃん?」

マコト「お前さ、とりあえず『真ちゃん』とか『可愛い』とか言うの止めろよ」

マコト「俺のこと言われてるみてえですげー気持ち悪ぃから」

マサ「そんなこと言うなって、な、マコトちゃん?」

マコト「てめ……!」

マサ「冗談だって冗談!……で、本当に惚れたとかじゃないの?」

マコト「だからちげーって。そもそもあんまタイプじゃねーし」

真「……タイプじゃなくて悪かったですね」

マコト「!?」

マサ「お、真ちゃ~ん!」

真「……どうも」

マコト「……お、おう」

真「……」

マコト「……」

真「マコトさん……昨日、プロ…あの人に何か言われました?」

マコト「あ~……」

マコト「えっと、なぁ…

G-Boys3「あ、マコトさんチーッス!」

G-Boys4「マコトさんチーッス!」

マサ「なんだよG-Boys、またキング像の清掃かぁ」

G-Boys3「うっせ!キング舐めんじゃねえぞ!」

マサ「はいはいわかってるよ」

マコト「……」

真「……」

G-Boys4「ああそれはそうとマコトさん、ちょっとお話が」

マコト「あー、悪ぃ。いま話中だからさ、用事あるなら後にしてくんない?」

G-Boys4「でもマコトさん。この人がマコトさんに話があるって」

G-Boys3「そうそう……姉ちゃん、マコトさん居たぞ~」

マコト「……姉ちゃん?」

真「?」

真「……!?」

マサ「うっわ、すげえキレイ」

真「な、なんで……」

マコト「……誰?」




貴音「……久しぶりですね、真」

ごめん休憩する

昼ごろに再開するけど、落ちてたら書き溜めてSS速報にでも投下し直すよ



SSの時期としては、

最終回(サムライ)~スープの回

の間辺りの話だと思ってください。2001年前後くらい?

支援してくれる人多いから、今書き溜めてる分までは行くことにする
スマホからだけど

真「たかね……」

マサ「あれ、知り合いなの?」

貴音「確かに真ですね、ありがとうございました」ペコリ

G-Boys3「いや、いいけど姉ちゃん…マコトさんはこっちだぜ?」

マコト「……」チラッ

真「……」

マサ「あれ、これひょっとして……マコト違いってヤツ?」

G-Boys4「はぁ?」

マコト「いや、多分その姉ちゃん、俺じゃなくて……なんつーか…」

真「……プロデューサーに言われて来たのか?」

マコト「……」

貴音「…………」

マサ「ま、真ちゃん?」

G-Boys3「え、あの女マコトって言うのか?」

G-Boys4「マコトさんと同じ名前かよ…あれ、てことは姉ちゃん、マコトさんじゃなくて

マコト「ちょっとお前たち黙ってろ」

貴音「……わたくしは、プロデューサーがここで真に会った、と偶然耳にしただけです」

貴音「プロデューサーや律子嬢に、行けと言われて来たわけではありません」

真「じゃあなんで……!」

貴音「…………」

貴音「……理由もわからぬまま、事務所に来なくなってしまった同僚の顔を見に来ただけです」

貴音「事務所よりも……この公園のほうがよほど面白いのだろうか、と」

真「……嫌味言いに来ただけだったら帰ってくれよ」

真「それにボクはもう、あそこには戻らない」

真「ボクの望むものなんて、もうあそこには何もない」

貴音「……」

真「……マコトさんマサさん、行きましょう!」

マコト「え!?」

マサ「い、行くってどこに!?」

真「どこだって…ボウリングでもカラオケでも、何でもいいですよ!」

真「ほらこの前、遊んだりしような、って言ってたじゃないですか」

マコト「いや、お前…そりゃ言ったけどさぁ」

真「いいから行きましょうよ!」グイグイ

マコト「いや、おい引っ張るなって……」

貴音「……」

貴音「…………そう、ですね」

真「何か言いたいことでもあるのかい?」

貴音「ええ」

貴音「……わたくしも付いていきますが、よろしいですか?」

マコト「!?」

真「な…!?」

マサ「え、とても美しいあなたも来てくれるんですか!?」

マコト「なんで敬語だよ」

真「貴音…な、何考えてるんだよ、そんなの

マコト「いいよ来いよ」

貴音「……!」

真「なっ!?」

貴音「……では、ご一緒させていただきましょう」

貴音「それではお二方……案内していただき、ありがとうございました」ペコリ

G-Boys3「あ…ど、どうも」

G-Boys4「こ、こちらこそ……」

マサ「じゃー……最初はボウリングにすっか!」

貴音「……」

真「マコトさんどうして……!」

マコト「……いいから遊ぶんだろ?人数多いほうが楽しいじゃねえか」

真「いや、それは…その……」

G-Boys3「……どーなってるんだ?アレ」

G-Boys4「さぁ?」


―――

ボウリング場


ガコーン!

[ストライク]


マコト「…うしっ!」グッ

真「すご……」

貴音「……素晴らしい腕前ですね」

マサ「あいつボウリングはプロ並に上手ぇんだよ~」

マコト「ほれ、次は真の番な」

真「はい…よっし!」スクッ

マコト「……」チラッ

貴音「……?わたくしが何か?」

マコト「いや、まぁ…」

マサ「つーかマコトも知ってたら教えろよ!真ちゃんも貴音ちゃんも、アイドルなんだって!?」

貴音「……そうですね。アイドル事務所に所属しております故、そうなるかと」

マサ「くぅ~っ、俺アイドルの娘と遊ぶとか初めてだよぉー!」

マサ「ひょっとしてボウリングしてるとこ撮られちゃったり!?スキャンダルじゃね!?」

マコト「テンション高ぇよ……」

マサ「ていうか何で来てくれたの!?何で!?」

貴音「……」

貴音「そう……ですね」

貴音「真が事務所を放ってまで西口公園に来る理由……その一端にあなた達がいるのでは、と」

貴音「純粋に興味が湧きましたので……ご一緒させていただきました」

マサ「うひょー!?俺たちのこと気になるってよ!これ脈アリじゃね!?脈アリじゃね!?」

マコト「……悪いね。うるさいのと一緒で」

貴音「ふふ…いえ、気にしておりませんよ」

マコト「(……雰囲気がなんか……カナに似てるな……)」

マコト「(……あいつも今じゃ普通の保母さんだっけ)」ジーッ

貴音「……?わたくしの顔に何かついておりましたか?」

マコト「あ、いや……なんでもねえ」

貴音「…………」

貴音「真を……」

マコト「え?」

貴音「真を……宜しくお願い致します」

マサ「え、何?どういうこと?」

マコト「……別にそーゆー、付き合う付き合わないって関係じゃねーし」

貴音「いえ、好き合う間柄になって欲しい、というわけではありません」

貴音「……ああ見えて真は、脆い一面があります」

貴音「どうか真が西口公園にいる……あなた達と交友を持っている間だけでも、支えになってあげて下さい」

マサ「貴音ちゃん……」

マコト「……んだよ。そんなことかよ」

貴音「……?」

マコト「俺は、仲良くしたいと思ったヤツとは仲良くするし、そいつが困ってたら全力で力になってやりてぇ」

マコト「真がアイドルだとかそういうのも関係ねぇ。俺にとって真は、すげーダンスの上手い一人の友達だよ」

貴音「……そう…でしたか。……ふふ、わたくしのお節介だったようですね」

マコト「……アンタもアンタで、真のために何かしようとしたんだろ。ならそれでいいじゃねえか」

貴音「……!まこと……面白きお方ですね」

マコト「……なんだよ、俺は別に面白くねーよ」

マサ「マコト……多分貴音ちゃんの言ってる『まことに』ってそーいう意味じゃねーぞ」

マコト「じゃあどういう

真「ていうかボク終わったから、次はマサさんの番ですよ!」

マサ「うひょぉ!?」

マコト「……あれ?」

真「あれ、じゃないですよ。ボクは終わったのにみんな話し込んでるし……」

マコト「わ、悪ぃ……」

マサ「そ、そっか次は俺か俺か…よぉーっし!」スクッ


真「で……何の話してたんだよ貴音」

貴音「いえ、特には」

真「……マコトさん、本当ですか?」

マコト「……そう、だな」

マコト「真も……メンドクセーとこあるなって話」

真「はい?」

マコト「……な?」チラッ

貴音「……!」

貴音「ふふ…そう、だったかもしれません」

真「な、なんだよそれぇ!?」

書き溜め分投下できちゃったよ……
仕方ないから寝る

速報で書くのも悪くないけど、即興の方が書きやすいタイプなんで
メンドクセーですが、出来ればこのスレ残して置いて欲しいです


―――

カラオケボックス


マサ「うわぁ~…アイドルの生歌聞けちゃうのかよぉー!」

マコト「真ってさ、歌もうたえんの?」

真「ふっ……バカにしないで下さいよ。ボクがダンスだけの芸能人だと思ってるんですか?」

マコト「いや、そういうわけじゃねえけど……」

マコト「(この言い草……ぜってーこの前の俺が言ったの気にしてるよ)」

貴音「真…何を歌うのですか?」

真「そうだなぁ……」

真「……」

マコト「ていうかお前の歌入ってんの?」

真「入ってますよ……ありがたいことに」

真「……よし、決まりました」ピッ


………

歌いながら、ボクは自分が何をやっているのか、と少し虚しくなった

先月出たばかりの新曲、『迷走mind』

今日の昼に踊っていたからちょうどいい、と選曲した1曲だ
レッスンやレコーディング、まだまだ小規模だけど、お客さんを前にしてのライブ
もう飽きるほど歌ってきたその曲を、ボクは今、こんなカラオケボックスで歌っている

プロなのだから下手な歌は聞かせられない、というちっぽけなプライドか
それともマサさんに「アイドルの生歌」と煽られたからか
それとも何故か付いて来た貴音に、サボっても歌唱力は落ちてないと認めさせたいのか

それとも、「ダンサー」扱いされたマコトさんに実力を見せてでもやりたいのか
……自分でもそこはよくわからなかった。ひょっとしたらその全てかもしれない

ともかくボクは、カラオケで歌うような軽い乗りではない
そんなレベルの感情の込め方、歌い方、発声、表情をしていた
でも今更中途半端なクオリティで歌いなおすのは、それこそボクのプライドが許さない

……気が付いたらもう曲のサビ、そしてもはや汗だくになりながら、ボクは熱唱していた

真「とーどかーないメーッセージ♪」

真「不可視なラ・ビ・リ・ン・ス!♪」


事務所にも行かず、レッスンも受けず
なのにこんなところで意地になって、
素人相手に本気の歌声を披露……だなんて真似

それを少し遠めから冷めた目で見る自分が居て、ボクは虚しさを感じていた
ボクが目指していたアイドルって……一体何だったんだろう


………

真「見つめあ・い・たーいのー……♪」


曲が終わり、大きく息を吐く

そして恐る恐るみんなの顔を見渡す
ドン引きされているのか、はたまた呆気に取られているのか

……マサさんはそういう意味では、呆気にとられている様な感じだ
あんぐりと口を開けているその姿を見ると、
虚しさは残るものの、自分の歌声でこんな風になったのか、と少々誇らしい

貴音は「腕は衰えていないようですね」と言っているかのような、何かに納得した顔
でもその笑顔がボクに向けられると、それもまた仲間に認められているようで心地よかった

マコトさんはどうなのかと……


真「!?」

真「ま、ま……マコトさん!?」


マコトさんは……号泣していた


マコト「……」パチパチパチパチパチパチ

マコト「ズズッ……」パチパチパチパチパチパチ

真「ちょっ、やっ、あの……え、えぇ!?」

真「や、やめてくださいよぉ!そんな泣くほどのことでもないでしょう!?」


ボクが何を言っても、マコトさんは泣き止んでも、拍手を止めてもくれなかった

マコト「だってさぁお前……俺ってば全然お前のことわかってなかったじゃん」

マコト「スゲーいい曲だよ、スゲー感動した。だから泣いてんだよ」

マコト「なのに俺は、お前がこんなに歌が上手いのも、そのためにどれだけ頑張ってきたかも知らねぇ」

マコト「それなのにあんなこと言っちゃってさぁ……俺ってばバカじゃん」

真「ちょっ、いやあの……もう色々恥ずかしいですよぉ……あのことだったら気にしてませんから!」

マサ「あー無理無理、マコトこうなるともう止まんねーから」

貴音「ふふ……これで、真がアイドルであるとわかってもらえたのではないですか?」

真「もー貴音ってばぁ!煽らないでくれよぉ!」


……ボクなんかの歌に感動してくれて、しかも惜しみない拍手をくれる
そんなマコトさんを見ていたら、自分が感じていた虚しさや不安がとてもちっぽけなものに感じた

その後で貴音も歌って、またもや同じようにマサさんは呆気にとられ、マコトさんは号泣

マサさんはしきりに
「やっぱアイドルってスゲーんだな~!俺今日のことみんなに自慢するよぉー!」
と興奮気味に

マコトさんは
「いやもう、お前達のファンになっていいかな。マジで感動したわ」
と言ってくれた


貴音「真……久しぶりに歌ってみてどうでしたか?」

真「……」

貴音「わたくしもレッスン代わりになれば、という軽い気持ちだったのですが……」

貴音「しかし、今日は非常に良い体験をさせていただきました」

貴音「……こうしてわたくし達の歌声で、心を動かされる人々が居る」

貴音「それをその場で感じ取ることができるのは、もしかするととても幸せなことなのかもしれませんね」

真「……そう……だね」

ボクは今まで「自分が可愛くなれれば」と
その目標のためにアイドル事務所に入り、芸能活動をしてきた


……でも……


『アイドル』という職業に、もう一度真面目に向き合ってみようかな

ここ数日、西口公園で踊って、そしてマコトさんたちと出会って
ボクは改めてそう感じた


マコト「じゃーな」

マサ「また遊ぼーねー!」


カラオケボックスを後にしてマコトさんたちに別れを継げたあと、
ボクは貴音と一緒に765プロダクションへと向かった

みんなに頭を下げることに、とっても怒られることになるだろうけど……

そんなことを嫌がるようなちっぽけなプライドは、今のボクにはもうなかった

―――

1週間後・池袋西口公園


マコト「……」フゥー

マサ「よっ」

マコト「……おう」

マサ「誰か待ってんの?」

マコト「別に……」

マサ「…………」

マコト「……んだよ」

マサ「真ちゃんたち……来なくなっちゃったな」

マコト「…………で?」

マサ「いやぁー、アイドルだぜ?ボウリングとカラオケだけなんてもったいなかったってー!」

マサ「もっと仲良くなりたかったぁー!」

マコト「…………」フゥー

?「マコちゃ~~~ん」

マサ「!!」

マコト「……あ?」クルッ


ギュム


マコト「うわ!?……鼻つまむなっての」

タカシ「んっふっふー、おひさしぶりナリぃ~」

マサ「ど、どうも……」

マサ「ってあれ……病院にいたんじゃ?」

タカシ「そーねー、まだリハビリ中だけどぉ、マコちゃんに会いたくて抜け出してきちった!」

マコト「バーカ、真面目にやっとけ。また車椅子に戻っても知らねーぞ」

タカシ「でもでもマコちゃーん、病院ってさーぁ、週刊誌とかたくさん置いてあるんだぁ」

マコト「は?」

タカシ「こーんな記事見つけちゃってさぁ……やっぱ本人に直接確かめたいじゃーん?」


バサッ


マコト「…………」


先日、ダンスの上手いアイドルを対象に行われるオーディション

"Dance master"において見事、優勝の座を射止めた、

765プロダクションのアイドル『菊地真』

端正なルックスとキレの良いダンスパフォーマンスで、

新たな人気アイドルの仲間入りを果たした


しかしそんな彼女に、ブレイク直後にも関わらず突然のスキャンダルが


所属するプロダクションの男性プロデューサー、ファンと思われる池袋在住の男性

プロデューサーとの自宅での『打ち合わせ』や、ファンとのカラオケでの『親睦会』

匿名の人物から提供されたこれらの写真は、

彼女が様々な男性たちと関係を持ち、遊び歩いている

それを証明するものとなっていた

タカシ「どーなの?やっぱアイドルの女の子、ご馳走様しちゃったわけぇ?」

マサ「な…なんだよこれ……」

マコト「…………」ワナワナ


スッ

ピッ、ピッ


マサ「ま、マコト!?」

タカシ「?誰の名刺~?」

マコト「……確かめんだよ、プロデューサーにな」


prrrrrrr、prrrrrrr、prrrrrr


ピッ


マコト「あ、おいプロデューサーか!?あの週刊誌の記事どーなってんだよ!」

『…………』

マコト「黙ってねーで何とか言えよ、真のこと心配してただろ!?あんなこと書かれていーのかよ!」

『……どーなってんだ……はこっちのセリフだよ……!』

マコト「!?プロ……んん!?」

マコト「な、なんで……」


マコト「なんで吉岡が電話に出てんだよ!」


吉岡『はいそーですよ、マコトのことは小さいときからよぉーく知ってる』

吉岡『池袋警察署の副所長、吉岡ですよ』


マコト「…………」

吉岡『ここのプロデューサーの秋月律子ってヤツがな』

マコト「り……!?」

吉岡『彼女が事務所の金を横領してるってタレこみと、証拠があってな』

吉岡『事務所の人たちの携帯も、連絡を取って証拠を消されたりしないように、預かってたんだ』

マコト「…………マジかよ……」

吉岡『マジかどうかを調べるのが、俺たちの仕事だ』

マコト「おい……待ってろよ、今そっち行くからな!」

吉岡『んなぁ!?お、おぃ余計なことに首を突っ込む

ピッ


マコト「あーもう……メンドクセー……」


ダッ


マサ「ちょっ、おいマコト!どこ行くんだよ!」

マコト「765だよ!」

マサ「な、765プロぉ!?場所わかんのかよ!」

マコト「名刺に書いてあるんだよ……行くぞ!」

タカシ「へぇ~……面白そうだからついていこっかなー」

マコト「リハビリ中のヤツ気使ってる余裕はねーぞ」

タカシ「気にしない気にしなーい♪……ひょっほー!」

ダッ

マサ「あっ!ま、待ってくれよ二人ともぉ!」


―――

池袋・765プロダクション


吉岡「マコトと金魚の糞はともかく……」

マサ「金魚の糞じゃねーよこの野郎!」

吉岡「……なんでお前まで来てるんだよ……」

タカシ「あはっ★」

マコト「いいからプロデューサーか真に会わせろよ」

吉岡「ダメだっつーのに!」

マコト「…………」

マコト「母ちゃんの下着」

吉岡「!?」ピクッ

マコト「母ちゃんの下着」

吉岡「りりり、リツコさんの……した、した下着……!?」

マコト「ああ、母ちゃんの下着」

吉岡「……そそ、そそそそ、それがどうかしたのかね!?」

マコト「別に……欲しけりゃ

吉岡「それ以上言わんでいい!」

マコト「……」

マサ「……」

タカシ「……」

吉岡「わかった……マコト一人で、あと俺が一緒にいることを条件に話をさせてやろう」

マコト「へっ……話が分かる人でよかったよ吉岡さん」

吉岡「その代わり……いいな!?」

マコト「はいはい」

―――

765プロダクション・事務室


ガチャ


P「!?」

律子「……誰ですか?」

マコト「……よう」

P「ま、マコトくん……!」

吉岡「コイツが話したいって言うからな……特別だぞぉ!?」

マコト「……で、アンタに聞きたいことがいくつかある」

マコト「まずあの週刊誌、真がアンタや俺と関係を持ってるって記事」

P「ああ、あれか……」

マコト「あんなこと書かせといていーのかよ?」

P「……良い訳がない……ないけど……」

マコト「?」

律子「……」

律子「プロデューサー、私に話をさせて下さい」

P「……わかった」

マコト「?……アンタは?」

律子「初めまして真島マコトさん……私は秋月律子……横領をした、とされている張本人です」

マコト「!?」

律子「そこにいらっしゃる警察の方には信用してもらえないでしょうが……」

律子「私はあるテレビ局のディレクターに嵌められました」

マコト「!?」

吉岡「……ふんっ、タレこみと証拠があったら、警察は捕まえるお仕事をしなきゃいけないんだよ」

吉岡「何も好きでアンタたちのことを困らそうとしてるわけじゃないの」

律子「ええ、存じ上げています……ですから、たわ言だとでも思って聞いてください」

マコト「……いいから続けろよ」

律子「……以前テレビ局でお会いしたディレクター」

律子「その方に、遠まわしにではありましたが……アイドルを使っての枕営業の誘いを受けました」

吉岡「!?」

P「…………」

マコト「……あの、悪ぃ、枕営業って何?」

律子「……え?」

マコト「だって枕使ってどうやって仕事すんだよ。枕は寝るためのもんだろ」

律子「…………」

P「ま、マコトくん……」

吉岡「……ハァー」

マコト「……え、何この空気。だから枕使ってどうやって仕事すんだって

吉岡「アイドルが偉い人とエッチなことして仕事貰うのが枕営業なんだよぉ!」

マコト「!?」ビクッ

吉岡「……俺が言える立場じゃないが……困らすんじゃないよもう」

マコト「……わ、悪ぃ」

律子「……話続けていいですか?」

マコト「……お願いします」

律子「で、そのディレクターに枕営業を誘われたんですが、きっぱり断ったんです」

律子「その人の関わる番組には出ないように、と対策もしていました」

律子「……けど、それが気に食わなかったんだと思います」

律子「先日、また同じようにその人からのお誘いがあって……同じように断りました」

律子「そしたら……『君がそういうつもりならば、私も手段を選ばないよ』と」

律子「ただのハッタリだと思っていたんですが……」

マコト「……アンタが警察に逮捕されそうなのも、真の週刊誌も、全部そいつのせいだってことかよ」

律子「……おそらくは」

吉岡「悪いけど……そんな憶測でアンタの疑いが晴れたり、その人を捕まえたりは出来ないよ」

吉岡「アンタの話が本当だって証拠もないしね」

律子「わかってますよ。でも話しておきたかったんです」

マコト「……わかった」

マコト「ていうか……アイドルは?」

マコト「真探してんだけど」

律子「真は家で休ませてます。他の皆も、混乱にならないように帰らせました」

吉岡「ま……証拠資料を見たらアンタしか関わってないみたいだったからね」

マコト「…………」

律子「…………」

律子「すいませんちょっとお手洗いに……」

吉岡「はいはい……婦人警官つけてやれ」


P「マコトくん……そういう訳で、この間のお礼もまだ出来そうにない」

マコト「いや…アレは別に……」

P「真が事務所に戻ってきてくれたのに……本当にすまない」

マコト「だ、だからやめてくれって!俺は別に特別なことは何もしてねーよ」

P「……そう、か…………」

マコト「そーだよ」


………

律子「お待たせました」

律子「……あれ、マコトさん……服にゴミがついてますよ」

マコト「あ?」

律子「ほら、ここです、ここ」


スッ


マコト「…………!」

律子「……取れたみたいですね」

律子「じゃあそういうわけで……私から話せることは以上です」

吉岡「……だ、そうだ。これで満足か?」

マコト「……ああ、話してくれてありがとな」

吉岡「いいかマコト!?くれぐれも……くれぐれもアイドルと会ったりするんじゃないぞ!?」

吉岡「あとこの人たちと話をさせた御礼を持って来いよ!近いうちに!」

マコト「あいよ」

―――

ガチャ

マサ「!?」

マコト「おう悪ぃ悪ぃ、お待たせ……」

マコト「…………何してんの?」

タカシ「ずいずいずっころばしぃー!」

タカシ「はいごまみそ、ずいっ!」

マコト「…………」

マサ「な、なんか急にやりたい、って言い出して……」

マコト「……ガキじゃねーんだからさぁ」

真美「うん。真美も流石にぃ、それは子供っぽすぎるよぉって言ったんだけどねー」

マコト「ふーん……」

マコト「…………」

マコト「誰!?」

昼ごはん食ってくる

―――

池袋西口公園


マコト「ヒカルの虎と馬とはちげーのかよ」

マサ「だーかーらぁ、ヒカルのはトラウマで生まれた二重人格」

マサ「この娘は竜宮の双海亜美の、姉ちゃんの双海真美」

マコト「だから同じ双子だろ」

マサ「……あ……そうだね、うん、同じ双子」

マコト「あ、おいマサ手前ぇ、説明を諦めんじゃねーよ!俺にちゃんと教えろって!」

真美「も~~、マコっちゃん怖いよぉ」

タカシ「マコちゃん怖いよぉ~」

マコト「うっせーよ!」

マコト「あーもういいや……で、お前はなんでタカシたちと遊んでたんだよ」

真美「だっていきなり事務所来るなって言われたらぁ、逆に気になっちゃうじゃん?」

真美「そんで来てみたらけーさつの人いっぱいでさぁ」

タカシ「そーそー、こわーい人たちいっぱいで怯えてる娘がいたから、助けてあげたの!」

真美「まー助けてもらったってゆーか、面白そうな兄ちゃんだったからねー」

真美「逆にけーさつの人いるから、変な人でも危なくなかったしね」

マコト「……あっそ」

マサ「真美ちゃんもアイドルなの?」

真美「そーだよ!……って言いたいとこだけど、まだデビューしてないんだよね」

真美「はやく亜美と一緒に歌ったり踊ったりしたいんだけどねー」

マコト「…………」カサッ

タカシ「マコちゃんその紙なーにー?」

マコト「……いや……」

マコト「…………」

―――

律子「……あれ、マコトさん……服にゴミがついてますよ」

マコト「あ?」

律子「ほら、ここです、ここ」


スッ


マコト「…………!」

―――

マコト「(あの女……どさくさでポケットに何か入れてきやがった)」

マコト「……しかも何だよコレ……」


『真島マコトさんへ

765プロダクションからの依頼です。

私が行ったとされる横領については、

たとえ無罪潔白であろうとも、私が少しの痛みを感じれば済む話です。

しかし、ディレクターの事務所への行為はそれでは終わらないことでしょう。

ですからお願いします

どうか、私たちの事務所のアイドルを守っていただきたいんです。

プロデューサーにも話をつけておきますので、具体的な話は彼から聞いてください

よろしければ是非、私達の力になってください。


報酬としましては、

真を事務所に戻してくれたお礼も含めまして―――


マサ「とんでもねー額じゃねーかぁ!!」

マコト「!?」ビクッ

マサ「ま、まこ、マコト!真ちゃんとか貴音ちゃんとか真美ちゃんとか、守ってやろーぜぇ!?」

マコト「てゆーか勝手に覗き見してんじゃねーよ!」

マコト「……ったくよぉ……」

タカシ「……」

マコト「タカシ、G-Boys使わせてもらっていいかな」

タカシ「いいよーん、報酬ちょーだいね」

タカシ「あと昔と違って、今はちゃんとした会社だからぁ…大っぴらには活動できないよ」

マコト「大丈夫だよ……サンキュな」

真美「マコっちゃん、どーしたの?」

マコト「……オメーらのこと守ってやるんだよ」

真美「へ?」

マコト「とりあえず……真の家まで案内してくれ」

マコト「あいつと話してえ」

真美「わ、わかった……」

―――

真の家


ボクは沈んでいた

プロデューサーに裏切られた…と勝手に思い込んで
ヤケになって公園でパフォーマンスを始めて
ボクと同じ名前の男の人に出逢って

そしてアイドルの道を、
もう一度真剣に歩いてみようと思った

……事務所に戻ってからは、
プロデューサーとの距離は遠いままだったけど……
でもボクは今まで以上に努力した
努力して、オーディションでも結果を残すことができた

なのに……


真「はは……マコトさんはともかく……プロデューサーと『そういう関係』か……」

真「むしろそうであって欲しいのに……なんでそうじゃないんだろうな」


ボクは沈んでいた

今朝、なんだか事務所が騒ぎになっているとかで休むように言われた

でもどの道……こんな記事が出ちゃっているんだから、
ボクがライブをしようと、オーディションに出ようと、上手く行くことはないだろう

この記事が真実なら、
「何が悪いんだ」と開き直ることもできた
プロデューサーという大事な人との関係を、むしろ世間に見て欲しいと思えたかもしれない


真「ちが……うんだもんなぁ……」ポロッ

真「あははは……ボクとプロデューサーには…何もないんだもの……」ポロポロ


プロデューサーはきっぱりと否定するだろう

この記事のようなことはない
この写真は、本当に自宅でただの打ち合わせをしただけだって
そして、実際にその通りなんだけど

そう……ボクのことなんて、一人の「アイドル」としてしか見てないんだ
それを思うと、涙が止まらなかった


prrrrrrr、prrrrrrr


と家の電話が鳴る

今日は家にボク一人だけ
……出ないわけにもいかないだろう

涙をムリヤリ止めて、顔をこする
そして重たい身体をあげて、電話へと向かった


―――

prrrrrr、prrrrrr、prrrrrrr


真美「あるぇ~、出ないなぁ?」

マコト「何やってんだよ……てゆーか場所知らねーのかよ!」

真美「番号知ってたんだからいーじゃん!細かいこと気にするとハゲちゃうよ?」

マコト「ハゲねーよガキ!」

真美「……ん~ダメだ出ない!わかんないや!」

マコト「ったくよぉ……」

マサ「!?」

タカシ「あれぇー?」

マコト「どうしたんだよお前ら」

タカシ「まーみちゃーん、あれって君のお仲間じゃないの?」

真美「え……?」

真美「!!み、ミキミキじゃん!」

マサ「うわ、星井美希じゃん!すげぇ!」

マコト「いや…誰だよ」

真美「んもー、765プロのアイドルなんだよ!……ミキミキ~」


美希「……あれ真美、どうしたの?」

真美「こっちのセリフだよー、ミキミキはこんなとこで何してるの?」

美希「えっとねー、ハニーたちが困ってるのを助けてくれる人がいるっていうから、来たの」

真美「それってマコっちゃんのこと?」

美希「真くん?なんでそこで真くんが出てくるの?」

真美「あー……えっと、何ていうか……ややこしいんだけど」

美希「何が?」

真美「えーとね、一から説明するとぉ……」


美希「ふーん」ジロジロ

マコト「んだよ」

美希「あなたが、マコトって人なの?」

マコト「そうだよ、だったら悪ぃかよ」

美希「ううん……真くんと全然違うから…面白いって思ってたの」

マコト「面白くねーよ……あ、そういや貴音のヤツも俺のこと面白いとか言ってやがった」

マサ「だからアレはそういう意味じゃねーって」

マコト「じゃあどーゆう意味だったんだよ!」

真美「んもーマコっちゃん、だから怖いってぇ!」

マコト「てゆーかお前ぇも『マコっちゃん』って言うなっつの!その言い方ヒカル思い出すから!」

真美「あ、ちょーどいいや、ミキミキ。765の方のマコちゃんの住所知らない?」

美希「知ってるけどなんで?」

真美「こっちのマコっちゃんが、マコちゃんに用事があるんだって」

美希「え?家は知ってるけど……真くん、今いないよ?」

マコト「は?」

マサ「ん?」

真美「え、なんで?」

美希「あのね、てゆーかぁ、ミキが言ってた『ハニーを助けてくれる人』って、この人じゃないよ」

マコト「……え?」

美希「ミキが今日事務所から帰らされた後にね、電話が来たの」

美希「君のプロデューサーが、最近の色々な騒動によって困っているみたいだ」

美希「私は○○というテレビ局のディレクターなんだが、是非君たちのプロデューサーの助けになりたい」

美希「だからその相談をするために、ミキと話がしたい……って」

マコト「…………マジかよ……」

美希「ハニーが困ってるなら、ミキも助けてあげたいもん!だから待ち合わせ場所の西口公園で待ってたの」

真美「み、ミキミキ……それってちょっと……」

美希「?」

マサ「あ、あの美希ちゃん……そのディレクターって人さ、実は


「お前らこんなとこで何してんだ?」


マサ「!?」

タカシ「あらら」

真美「誰っ!?」

美希「あれ」

マコト「……サル……」

サル「サルって言うなっての!」

真美「え、お猿さんなの?」

マサ「ばっ、俺らはいいけど真美ちゃんたちは関わっちゃダメだよ!」

マサ「こんなナリでも、ヤクザの若頭なんだから」

サル「『こんなナリ』は余計だっつーの」

美希「ふーん…ミキ、ヤクザさん見るのは初めてなの」

サル「……まぁ、アイドルの娘たちはあんまり俺なんかと会わない方がいいかもな」

マサ「あれ知ってんだ?」

サル「まぁな、アイドルの娘たちと直接は関係なくても、テレビ業界とは関わり深いしな」

真美「そ、そーなんだ……」

美希「……あんまり聞きたくなかったの」

美希「あ……ねえそこの人」

マサ「マサだよ!」

美希「さっきの、ディレクターさんが実は……の後って何なの?」

マサ「あ、あぁ……」

マサ「……」チラッ

マコト「……そいつが、お前らのプロデューサーを困らせてる張本人なんだよ」

美希「え?」


………


美希「そ、そんな……!」

美希「ハニーたちはそのせいで苦しんでるの!?ひどいの!」

マコト「……俺だって何とかしてーけどよぉ……」

サル「……マコト、ちょっとこっち」

マコト「?あ、おぅ」


サル「そいつ、俺たちと以前繋がりあったわ」

マコト「!?」

サル「ウチがスポンサーになってる芸能事務所のヤツらを使わせてもらっててな」

サル「サービスは良かったんだけど、アイドルに手ぇ出そうとしたりで…結局縁切ったんだ」

マコト「お前んとこはそーゆーのやってねえの」

サル「当たり前だろ。仕事もらえるからって商売道具を傷つけさせてどーすんだよ」

サル「……で聞いた話だと、そのディレクターが俺らのライバルの京極会と組んだらしい」

マコト「!?」

サル「まあどんだけディレクターの力でごり押ししても、京極会がスポンサーの事務所のヤツらは平々凡々だ」

サル「その部分でウチが負ける要素はねえ……」

マコト「いや、それよりもお前、京極会って……!」

サル「……765プロダクションの事情は耳に入ってる、ディレクターとのこともな」

サル「間違いなく京極会の差し金だろうな、スキャンダルや横領騒動」

マコト「……!」

サル「あの美希って娘も運がいいな。俺らやマコトが西口公園にいるから、下手なこと出来ないはずだ」

マコト「あ、あぁ……」


美希「ま、真くんが危ないの!」

マコト「え、俺?」

美希「違うよ真くんの方だよ!」

美希「み、美希……真くんと一緒に、待ち合わせする予定だったの」

マコト「!?」

真美「う、うそっ!?」

美希「ほ、ほんと……真くんがもうその人と会ってて、西口公園で真くんたちと、3人で集まろうって」

美希「そーいう風に、電話で誘われた……!」

美希「だ、だから……真くんがその酷い人にもう会ってるってことは、真くんが危ないの!」

真美「ま、マコちゃん……!」サァー

マサ「嘘だろおい……真ちゃん……」

サル「(やばいな……)おいお前ら、事務所にこの件報告して来い」

黒服たち「「ウス!」」


タカシ「…………」

ピッ……prrrrrrr、prrrrrrr

タカシ「もしもしG-ボーイズぅ?全員、西口公園に今すぐしゅーごー、いいね?」


マコト「ふざけんなよ……!」

マコト「おい真美、もっかい電話してみてくれよ!」

真美「う、うん……!」


ピッ


prrrrrr、prrrrrr、prrrrrr


真美「出ない……どうしよぉ全然出ないよぉ……!」ジワァ

マコト「泣くんじゃねぇ!泣くんじゃねーよ!」

マコト「…………!」

美希「どうしよう……真くんが、真くんが……!」

マコト「いいからちょっと黙ってろ!」

マサ「マコト……」


マコト「…………あーーーー!!」

マコト「もうメンドクセーーー!!」


ダッ

―――

765プロダクション


律子「ふぅ……」

小鳥「り、律子さん……」

社長「律子君、私たちは何があっても君の味方だ。協力できることがあれば何でもしよう」

P「ああ、少しの間だけ我慢してくれ……絶対に無実を証明してみせる」

律子「ふふっ……気持ちだけ、受け取っておきますよ」

吉岡「……じゃあそういうわけで、秋月さんにはご同行願い……


ガチャ!


マコト「おいプロデューサーぁ!」

律子「!?」

吉岡「ま、マコトまた来たのか!?」

マコト「いいからプロデューサー!」

P「な、何だ、どうした!?」

マコト「真がディレクターに攫われた」

P「何……だって……!?」

律子「嘘……」サァー

小鳥「ま、真ちゃんが……!」

社長「き、君っ、それは本当なのかね!」

マコト「……いや、まだ確定したわけじゃねえ」

マコト「でも真の携帯には繋がらねーし、連絡が取れねえ」

社長「……吉岡さん、これこそ警察の仕事ではないですか!?」

吉岡「しゃ、社長さんそう言われましても……」

マコト「チッ…結局、事件になるまでは動けねーってことかよ…わかったよ」

律子「ま、マコトさん……お願いします!」

マコト「ああ、言われなくてもな。あとプロデューサーも一緒に来てくれ!」

P「お、俺が!?」

マコト「ああ、多分この事務所で真のことに一番詳しいのはアンタだ」

P「いや、いやそうは言っても今の担当は律子だし……」

マコト「いやアンタだ。そもそも律……そいつはまだ自由に行動できねえ」

吉岡「おいマコト!こっちのプロデューサーの方にもまだ話を聞く必要が

マコト「うるせーよ、そいつが一人でやったことだってお前が言ったんじゃねえか!」

吉岡「ぐむっ……!?」

マコト「ちょっとプロデューサー借りるぜ」

律子「……はい、頼みました」

P「律子……わ、わかった」

マコト「よし……行くぞ!」

―――

池袋西口公園


タカシ「はーい、みんなちゅうもーく」

G-Boys1「!」

G-Boys2「!」

G-Boys3「!」

G-Boys4「!」





タカシ「いいですかぁ、この菊地の方のマコちゃん」

タカシ「彼女の行方がわからなくなりましたぁ」

タカシ「探し出した人には、765プロのプロデューサーからご褒美もらえまーす」


G-Boys「「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」」


P「すごい……」

タカシ「でもぉ、俺たち今は立派な社会人なのでぇ~」

タカシ「『清掃員』として、探してもらいまーす」

タカシ「元祖G-Boysはヤクザとはつるまなかったけど、事情が事情なんでおサルさんにも協力してもらいまーす」


サル「……」


タカシ「これ、おサルさんから聞いた、ディレクターのいる会社や、使用していたホテル」

タカシ「あとはあんま首突っ込みたくないけど、京極会が経営してるビルねー」

タカシ「清掃員として以上の建物の掃除をしつつ、真ちゃんを見つけてくださーい」

タカシ「ボクちんからは以上です」


マコト「……みんな、俺の友達のために集まってくれてありがとう」

マコト「ただ真はアイドルだし、京極会にお前達に恨み買わせるようなことはしたくねえ」

マコト「騒ぎになりそうだと思ったら、俺かプロデューサーに電話してくれ」


タカシ「……だ、そうでーす」

マコト「あと俺たちも、お前達とは別方向でアプローチかけてみる」

マコト「協力欲しくなったら電話するかもしんねえから、そのつもりでいてくれ」


タカシ「……だ、そうでーす」

タカシ「じゃあ……よーい……」

タカシ「ドン!」


G-Boys「「「「「!」」」」」ダッ


タカシ「でお仕事始めて下さいね」


G-Boys「「「「「!?」」」」」ズルッ


タカシ「よーいドン」


G-Boys「「「「「……」」」」」


タカシ「早く行けぇ!!ホワッチャー!!」

G-Boys「「「「「!?」」」」」ダッ

休憩する。夜に再開する。やはりIWGPといえば夜だ

落ちるぞ

>>169
もし落ちたら速報で挙げ直すよ
出来ればこのスレで終わらせたいけど、保守し続けてもらうのも悪いかな?

タカシ「お仕事お仕事~♪」

タッタッタッタッタ……


マコト「…………」

P「マコトくん……俺たちは何をすればいい?」

マコト「ああ、まずここにいないアイドルたちの連絡は?」

P「それなら大丈夫だ、さっき全員分済ませた。事情を話して、警備をつけてもらうことにした」

P「本意ではなかったが……斎藤(サル)さんの羽沢組の人を警備に使わせてもらった」

サル「……今回はマコトの頼みだったんでね、ボランティアっつーことで」

サル「ウチは本腰で芸能活動してるわけじゃなく、資金集めのためにスポンサーになってるからな」

サル「よっぽどじゃなきゃ、卑怯な手を使ってまで他の事務所と対立する気はないよ」

マコト「ふーん……」

サル「つーことで次に会うときは、正々堂々、芸能事務所のライバル同士として行きましょう」

P「……ありがとうございます」

マコト「ここにいない全員だから、真美と美希と……」

貴音「…………」

マコト「貴音以外のヤツらってことだな」

P「そうなるな。そこの3人と……」

P「真以外は……連絡を完了した」

マコト「……クソッ」


美希「……真くん……真くん……」

真美「ミキミキ落ち着いてよ……真美だって心配だけどさ……」

貴音「…………」

真美「お姫ちんは……どうしてここに来たの?」

貴音「……なにやら、胸騒ぎがしまして……」

貴音「真に連絡を取ろうとしても電話に出てはくれなかったので、ここにいるのでは……と」

真美「……そっか…………」

マコト「…………」

マコト「大丈夫だ、真も、お前達も、俺やプロデューサーが守ってやる」

マコト「あっちの女のプロデューサーから頼まれたし、そうでなくても真は友達だからな」

真美「うん……マコっちゃんありがとう」

貴音「…………」


―――

マコト「俺は、仲良くしたいと思ったヤツとは仲良くするし、そいつが困ってたら全力で力になってやりてぇ」

マコト「真がアイドルだとかそういうのも関係ねぇ。俺にとって真は、すげーダンスの上手い一人の友達だよ」

―――


貴音「ふふ……素晴らしき人ですね」

マサ「まーな」

マコト「お前ぇが返事すんなって」


―――

池袋のスタジオ


G-Boys1「はいはい失礼しまーす」

G-Boys2「掃除に来ましたー」


―――

ラブホテル


G-Boys3「……」ジーッ

G-Boys4「どう、いた?」

G-Boys3「……」ジーッ

G-Boys4「普通に客のセックス見てんじゃねーよ!」スパーン

G-Boys3「いてぇ!?」


―――

池袋西口公園


真美「…………」

美希「……」グスッ

貴音「…………」

マサ「……」

マコト「…………」


~♪~(Born to be wildの着メロ)


P「!?」

マコト「……出るぞ」

P「……ああ」

ピッ

マコト「はいマコト」

『マコト……頼まれてた件だけど、大体調べ終わったよ』

マコト「!?はえーな和範!」

和範『うんまあね。……○○TVのディレクター、名前は××××』

和範『テレビ局の管理システムを見たけど、昼頃……出かけてる』

マコト「どこに行ったかわかったか?」

和範『マコトから貰った、その人がよく行くスタジオのリストなんだけど……』

和範『どこのスタジオも、その人が入ったって言う形跡はなかったよ』

マコト「……そっか」

和範『あ、でも……京極会が建物のオーナーになってるスタジオがあって……』

マコト「!?」

和範『リストになかったとこだったんだけど調べてみたら……ビンゴだった』

マコト「ま、マジか……!?」

和範『うん。でも早く行ったほうがいいかも……』

和範『そのスタジオ、普段はAVの撮影とかも行ってる場所らしいから……』

マコト「……やべぇ…………」


―――

池袋・某スタジオ


目の前にいる、太った男
ボクは今その男に深い憎しみを抱いている

手足が縛られ、猿轡をされ、
身動きの出来ない状況……絶望を感じるであろうそのシチュエーションで、
それでもボクは怒りや憎しみが先に沸き起こる

ディレクター……プロデューサーを助けてくれる、と言ってボクを呼び出した
しかしボクは眠らされ、この男に乱暴されようとしている

わかってる
よくわからない人を簡単に信用するからいけないんだ

でもしょうがないじゃないか

だって、プロデューサーを助けてくれるって言ったんだ
ボクなんかがプロデューサーの助けに一役買うことが出来たなら……
そうやって甘いことを考えてたのが悪いんだろうけど、

でもボクはその一縷の望みに賭けようとした
賭けに失敗した今、この有様さ

D「いやぁ、蓮沼さんに感謝しておかないとねぇ」

真「……」

D「って……あっちもあっちで大変みたいだからなぁ」

D「俺に媚売って、生き残ろうと必死なのかなぁ……はっはっは」


ディレクターはボクをものにできると思ってご機嫌なのか、
聞いてもいないことをベラベラと喋ってくれた


京極会

関西で力をつけたヤクザの事務所
関東にも進出しようと、一年前に池袋に事務所を構える

一年前の、「G-BOYS」と「BLACK ANGELS」のカラーギャング抗争
BLACKの側で暗躍し、池袋をかき乱した人たちだ

……が、最近は羽沢組と呼ばれる、池袋を拠点とする組に勢いを削がれ、
活動の規模も収縮気味らしい


ここからはボクの憶測だけど……
……そんな状況だからこそ、蓮沼って組長はこんな男とも手を結んだのかもしれない

きっと、このディレクターが問題を起こしても
逆に京極会が活動できなくなっても

どちらかが問題を起こせば、
その瞬間にこの協力関係はすぐさま消えるのだろう

京極会はすぐにでも知らん顔して、この人を平気で切り捨てるだろうし
ディレクターは京極会が大変な時でも一切協力せずに、別の協力者を探すのだろう
そんな形だけの繋がりが、この人の自信を生み出している


765プロダクションで、仲間たちと一緒に協力して高みを目指す

そんな活動をしているボクにとっては、
ディレクターの高笑いもひどく滑稽に思えた


……けど、問題なのはこの状況に他ならない
ディレクターがどれだけ惨めな人間でも、
そんな人間に乱暴されそうになっているのは事実だ


D「さぁて……防音スタジオを借りられて良かったよ」

D「真ちゃん、君は知らないかもしれないが……律子ちゃんに枕営業を薦めたことがあってねぇ」

D「あの娘は頑固だったからなぁ……」

D[でも君が、俺の良い様になるって言うなら……デカイ仕事も回してあげよう」

真「フーッ……フーッ……」

D「悪い話じゃないだろう?あ、でも君は空手やってたみたいだから、手足はそのままね」

D「俺だってムリヤリやるのは……まぁ嫌いじゃないけど、出来れば避けたいなぁ」

D「どうだい?スキャンダルで思うように活動できない中……この条件は魅力的じゃないか?」


そのスキャンダルも自分が画策して起こしたものだ
って、さっき散々ボクに言ってきたクセに……

あとこの人が勘違いしていることが一つある


ボクは、765プロのアイドルを相手にした『枕営業』の話を、以前から知っていた


律子が誰か……いや、今にして思えばこの人だったかもしれない
律子がこのディレクターと打ち合わせをしていたときのこと

たまたま部屋の前を通りがかったボクは、
律子と打ち合わせ相手が
「アイドルを斡旋する代わりに番組を回す」
という話をしているのを聞いた

その場で律子はやんわりと断っていたけど……
自分には縁の無い話だと思っていた枕営業

それが急に目の前に現れたような感覚で、
ひどく混乱したのを覚えてる


そしてその次の日に、プロデューサーの担当が替わって……
ボクは、事務所に行かなくなった


「自分のことを大事に思ってくれているはずの人に裏切られた」


そう、律子とプロデューサーに裏切られた、と思ったんだ


真「……」

D「おやおや、流石に抵抗するのも疲れてきたのかな」

D「うーん……しかしここまで来て泣かないとは、強いねぇ」

D「最近の軟弱なアイドルに見せてやりたいよ……」

D「まぁ、事が始まれば変わるのかもしれないけど」ニヤリ


いやらしい笑顔をボクに向け、ディレクターが近づいてくる

真「(ごめんなさい……律子、プロデューサー……)」


きっとこれは、あの時みんなに迷惑をかけた罰なんだ
そう思えば、この後のことも乗り越えられるかもしれない

……最初にそういう体験をするなら……
本当だったら、プロデューサーとしたかった……

ボクの中の「女の子」が、こんな状況でプロデューサーへの思いを強くさせる
そしてディレクターの手がボクに触れようか、という瞬間に、
今までボクが押し殺してきた我慢が、限界を迎えた

真「……」ポロッ

真「ふろひゅーさぁ!!はふけへぇ!!」

D「うひひひ、いいねえ。やっぱり女の子はこうでなくちゃね」

真「ふろ……ふろりゅーさぁ!!」


イヤだ、こんな人に初めてをあげたくない
プロデューサー助けて下さい


……プロデューサー……



バァン!!!



と大きな音がした
ボクもディレクターも、驚いて音の出た方を見る

防音スタジオのドアだ

もちろん防音だから、ボクの叫び声が聞こえたわけじゃないだろうし、
逆にドアの向こうで誰かが何かを言っているのを聞いたわけでもない

でもボクは、音を聞いて瞬間に半ば確信していた


あの音を聞いて、頭にすぐに思い浮かんだ人物
音の正体は……
ううん、プロデューサーもそうだろうけど……

きっとプロデューサーだけじゃない。あの荒々しい音の正体は……


バガァン!!!


マコト「真ぉ!!」

真「まほとさん!」

P「まこ、真!無事か!?」

D「な……なん、なんで……」ワナワナ

マコト「……アンタがディレクターか。真を返せよ」

D「きっ、貴様……!一体誰なんだ、急にやってきておいて!」

マコト「うるせーよ、オメーこそ大事な友達に何しようとしてくれてんだよ」


真美「まこちゃん……よ、よかった……」

美希「真くん、真くん!良かった、まだ襲われる前みたいなの!」

貴音「間一髪……という所でしたね」


D「き、貴様らぁ……」


あはは、真美に美希、貴音まで一緒だったのか
見慣れた顔を前にして、急に力が抜けてきた

でもその緩んだ筋肉が、すぐにまた強張る


グイッ

D「ここ、こ、コイツがどうなってもいいのか!」

真「!?」

マコト「手前ぇ……」

D「べっ、別に俺はいいさ、捕まったってなぁ」

D「でもこの小娘はどうなる?……男に襲われるなんて……最高のスキャンダルだ」

D「俺が付けた無数のスタジオカメラで、ここの映像をスイッチ一つで配信できるんだ」

D「流れた瞬間に、この娘のアイドル生命は終わる……そうじゃないか?」

P「……貴様……!」ギリッ

マコト「…………」

マサ「ま、マコトこれって……」

真「…………」

マコト「ああ」


そしてマコトさんはディレクターを見て、フッと鼻で笑った


マコト「そのカメラ……もう使えねーよ」

D「は!?」

マコト「やっぱ持つべきものは……電波オタクだな」


マコトさんたちからだいぶ遅れて、一人の男性がスタジオに入ってくる

容姿は……よく言えばふくよかな、ディレクターに似た体系の人だ
チェックのシャツに汗を染み込ませながら、
両手に謎の機械を持っていた


電波「いやぁ、やっぱ素人のセッティングはダメですねー」

電波「まさか5分かからずに全滅させられるとは思いませんでしたよー」

D「なん……」サァー


ガバッ

とディレクターが、慌ててスイッチを押す
しかし、スイッチのランプは全く光らない


電波「だーかーらぁ、妨害電波が出てるからカメラは使えませんよぉ」

電波「これからは僕やプロの方に頼んだほうがいいですね、はい」

後から教えてもらったけど、
この人の名前……というかあだ名は「電波くん」

電波オタクで盗聴マニア……らしい

正直それだけ紹介されても、ボクらアイドルからしたら恐ろしい存在でしかない
……けど、この人がマコトさんの友人で、
またボクのピンチを助けてくれたことも事実だ


D「ど、どうして……どうしてこんなことに……!」

マコト「……テメーで考えるんだな」


マコトさんはズカズカと大胆にディレクターに近づき、
呆気にとられているその隙に、ボクをひっぺがした
手足の縄を解き、猿轡を外される


マコト「ほらよ」

真「わわっ」

P「よっと……」ポスッ

P「おかえり……心配させて、本当にすまなかった、真」

真「…………プロデューサぁ……」

プロデューサーに抱きかかえられた安心感が、ボクを包む

さっきとは全く逆の意味で、涙が止まらなかった


D「お、お前達……こんなことをしてただで済むと思っているのか!?」

D「おお、俺は京極会とも繋がりのある男なんだぞ!?」

D「きっ、貴様らなんか簡単に消してしまえるんだからな!」

マコト「……ハァー」


P「……ディレクターさん、それでも結構です」

P「ですが……俺は消されても、アイドルたちは必ず守ります」

P「今回はマコトくんの力を借りましたが……次は俺一人の力で、必ず」


マコト「……だってよ」

D「……かか、関係ないわ!おぉ、ぉぉ、お前ら全員消して


タカシ「はーいお待たせー!」

こんな状況に似つかわしくない間の抜けた声

振り返ると、まるでライオンのような髪型をした人が立っていた


マコト「タカシ……」

タカシ「あ、外にいるおサルさんからは許可もらったよぉーん」

タカシ「マコちゃんとかプロデューサーさんが手を汚すことないでしょぉ」

タカシ「後は俺にまかせてよ」

マコト「いやでもお前……」


何かを言い合う二人、タカシと呼ばれていた男性が、マコトさんに

バサッ

っと何かの紙の束を手渡す


タカシ「プロデューサーさんにあげてよ。この人の会社、掃除してたら見つけたの」

マコト「何だこれ?」

タカシ「会社の横領の記録がバッチリ載ってる資料」

P「!?」

D「な…に……!?」

タカシ「多分だけどぉ、765プロ横領の資料って、これをちょちょいっと改造したものなんじゃないの~?」

タカシ「これあったら、その人の疑いも晴れるかもね~」

P「あ……ありがとう!!こんな……」

タカシ「いーのいーの、その代わりご褒美奮発してね」

P「あ、あぁ……もちろんだ!」


見る見る顔面が青くなっていくディレクター

ガクガクと足が震え、冷や汗が止まらない


D「ま、待ってくれ……金か!?金が目当てなのか!?」

タカシ「……ハァ~ア」


タカシさんが手の動きで、

「ここから出てって」

と伝えている。ボクやマコトさんたちは、もう用はない、と部屋を後にした


………

D「おい、ひひ、人の話を聞いていたのか!?」

D「金ならいくらでも……!」

タカシ「そーねぇ、前もぉ、同じようなこと言ってる人いたねー」

タカシ「歯医者さんで、女の首絞めるのが好きな変態さんね」

タカシ「でもその人のときも言ったんだけどぉ……」

タカシ「アンタたちの世界じゃ必要なのかもしれないけど、ここでは金があってもコネがあっても、意味ないの」

タカシ「わかる?」

D「ふっふざけるな!わかるわけがないだろうが!」

タカシ「……ふざけてんのはそっちでしょー?」

タカシ「アイドルの娘に手ぇ出して、マコちゃんにも迷惑かけてぇ」

タカシ「ま、資料を警察に出されたらアンタもオシマイだけどね」

タカシ「でもその前にぃ……バカボンに出てくる……本官にしてあげる」ニヤリ


もう壊れてしまった、防音スタジオのドア
そこから、この世のものとは思えない、男性の野太い悲鳴が聞こえた


―――

池袋西口公園


真「本当に……みなさんご迷惑をおかけしました……すいませんっ!」ペコリ

マコト「気にすんなって」

マサ「そーそー、真ちゃんが無事で良かったよ」

真美「そーだよ!」

P「ああ……むしろ真、お前をこんな危険な目に合わせてしまって……申し訳ない」

P「負担を軽くする、なんて言って律子にまかせっきりにしようとした俺の責任だ……」

P「今まで以上に、みんなのことを守っていくぞ……さっき言ったことを本当にするためにな」

真「プロデューサー……はいっ!」


貴音「……一件落着ですね」

マコト「ああ、悪かったな巻き込んじまって」

貴音「……」

マコト「……んだよ」

貴音「あなた様は真のために、何かをしようとした……」

貴音「わたくし達にとっては、その気持ちだけでも十分すぎるほどでしたよ」

マコト「……ははっ、そーか」

貴音「ええ」ニッコリ


真「マコトさん!」

マコト「よう」

貴音「ふふ……ではわたくしはこれで」スッ

マコト「あぁ、わかった」

真「……」

マコト「……久しぶりじゃん」

真「そうですね……一週間ぶり、くらいですかね」

真「……ありがとうございました」

マコト「まぁ……助かったんなら良かったじゃねーか」

真「ええ……」

マコト「…………」

真「…………」

マコト「お前さ」

真「はい?」

マコト「アイドル続けてくれよ」

真「……!」

マコト「あんな記事書かれて、今日こんなことあってさ、イヤになったかもしんねーけど……」

マコト「でも俺さ、お前のダンスとか歌とか、スゲー好きなんだ」

マコト「CDも買ったよ、今度……ライブも見に行くよ」

真「ま、マコトさん…………」

マコト「だからさ、やっぱ辞めたりすんのもったいねーよ」

マコト「まぁ……真が元々辞める気ねーんならいいんだけどさ」

真「……」

マコト「あとあのプロデューサーも、多分アタックすれば行けるって」

真「!?」

真「なん……え、き、気付いて……!?」

マコト「フッ…バーカ……俺でも気付くっつーの、バレバレだよ」

真「あ、あうぅ……///」カアァァァ

マコト「……やべ、スゲー可愛いわ」

マコト「うわー恋する乙女やべーわ……やっぱアイドルってスゲーわ……」

真「え、えぇぇ~!?からかわないでくださいよぉ!///」

マコト「ははははは!」


やっぱりそうだ

ボクの心の中の大部分を占めるのは、プロデューサー

だけど、一番強く輝きを放ってるのは、

ひょっとしたらマコトさんなのかもしれない

顔面を真っ赤にしながら……ボクはそう思った

マサ「あ、マコト!お前なに真ちゃんと言い雰囲気になってんだよ!俺も混ぜろ!」

マコト「うっせー、俺はな、恋のキューピーしてたんだよ」

マサ「……キューピー?」

マコト「おう、恋のキューピーだよ。これ……マヨネーズな!」


サッとポケットから、マコトさんはマヨネーズを取り出した


マコト「これでいつ焼きそばが来ても安心だ!」

真「…………」

マサ「…………」

マコト「なっ!?」ニカッ


―――

http://www.youtube.com/watch?v=7VLONONmWjI

―――


―――

池袋西口公園


マコト「……」

マサ「よっ」

マコト「おぅ」

マコト「…………」

マサ「CD?何聞いてんの?」

マコト「ああ、真の新曲」

マサ「あ、そーか……どう?」

マコト「……やっぱやべーよ」グスッ

マサ「いや……お前さぁ……」

マサ「『自転車』ってそんな…泣くような曲じゃねーぞ?」

マコト「いーんだよ俺には泣ける曲なんだから!」

マコト「…………」

マコト「……フゥー」カチャkチャ

マサ「……満足か?」

マコト「おぅ」

マサ「……良かったよな、765プロ」

マサ「ディレクターの悪事が全部バレて、横領の逮捕も取り消し」

マサ「スキャンダルも全くの出鱈目だって報道されて……な」

マコト「……そーだな」

マコト「……」

マサ「……なんだ、やっぱり好きだったのか」

マコト「はぁ!?」

マサ「最近さぁ、さらに可愛くなってるもんな、真ちゃん」

マサ「やっぱもったいないことしたよなー!?」

マコト「……だからちげーっつーの」

マサ「あ、そ……」

マサ「あ、じゃあひょっとしてプロデューサーの律子

マコト「お前それ以上言ったらぶっ殺すからな!?」

マサ「……はぁ~い…………」

マコト「……」フゥー

マコト「真も、プロデューサーも、りつ…女のプロデューサーも……」

マコト「良かったんじゃねーの?」

マサ「……だな」


―――

765プロダクション


律子「真は今日はボイスレッスン、午後には終わるから、それで帰って大丈夫よ」

真「わかったよ律子」

律子「一週間後にはライブがあるからね……あんまり喉を使いすぎないでよ?」

真「へへっ、お気遣いありがと律子。でも大丈夫!」

律子「そう?無理だけはしないでね?」

真「はいはい」


小鳥「……あの二人も、中々上手く行くようになりましたね」

P「そうですね。真も前までは俺にベッタリだったのに……今は完全に律子が担当プロデューサーですね」

小鳥「……寂しいですか?ぐふふふふ」

P「……そうですね」ボソッ

小鳥「え!?」

P「いや……何でも」

真「そっか、午後休みか……」

律子「どうかしたの?」

真「いやぁ、久しぶりに踊りに行こうかなって」

律子「踊りにって……どこに?」

真「そんなの決まってるじゃないか」

真「池袋西口……じゃないや、間違えた」

律子「はぁ?」





真「池袋ウエストゲートパークだよ!」










おわり

ボウリングのくだりまで書き溜め、そこから即興

大体の流れは決めてましたが、
即興故に矛盾や回収し忘れなどもありました

まぁ本家IWGPのようなスピード感は、その分出てたと思います


保守と支援本当にありがとうございました




あとごめんなさい、

最後の

「おわり」




「おわりますん」


にするべきでした

ちなみに、

ドラマの設定で書いてました



ドラマと小説は、キャラ設定がかなり違うので、
このSSでキャラに興味持った人は、
レンタルでドラマを見てみてください

特にキングとかがかなり違う



まぁ、SSの中でいくつかネタバレしちゃったけどね……

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