椿野美幸「初詣に来たものの」 (40)

美幸「1人きりだよもー」

美幸「まさかみんなに断られるなんて…嫌われてるのかな」

美幸「…もー、こんな日に暗い話は無しだよもー」

美幸「1人でも初詣楽しんじゃうよ」

美幸「神社でのマナーは梢ちゃんに習ったからばっちりだよ」

美幸「……梢ちゃんにも断られちゃうなんて…私なにか悪いことしたかな…」

美幸「みんな何してるんだろ…やっぱり私以外のみんなで初詣してるのかな…」

美幸「……暗い話は無しってさっき言ったのにもー…」

美幸「早く参拝して帰ろ…」

美幸(私の番が来た…どうしよう)

美幸(みんなと仲良くなれるようにお願いしよう。お賽銭は…これだけあれば御利益あるよね?)

洋榎「おいセーラ見てみいこの人お賽銭で1万出しとるで」

セーラ「ホンマやオレらと年変わらなそうなのに凄いな」

美幸「もーなんなのもー…あれ?あなた達は…」

洋榎「うちらのこと知っとるんか?まあ関西でうちを知らん人間はおらんもんな」

セーラ「もしかして劔谷の椿野美幸ちゃう?」

美幸「え?私のこと知ってるの?」

セーラ「今までに対戦した学校の事ぐらい覚えとるわ」

美幸「嬉しいよもー」

セーラ「オーバーやなあ」

洋榎「なにうちのこと無視して盛り上がっとんねん!」

美幸「ごめんね愛宕さん。江口さんに知って貰えてたのが嬉しくって」

洋榎「いいもん…どうせうちは名前知らんかったもん…でもな対戦しとったらうちだってちゃんと覚えとったはずやもん…」イジイジ

美幸「本当にごめんね。元気だして」

セーラ「こんなとこで何いじけとんねん他の人の迷惑やろ」

洋榎「そやな」

美幸「えぇー!!あっさり立ち直っちゃうの?!」

美幸「…早く参拝しちゃおうよ」

セーラ「せやな」

洋榎「無事に関西中の神社廻れますように」

美幸「え!?廻ってるの…関西中?」

洋榎「そやで。新年開けてからチャリで廻ってんねん」

美幸「自転車で!?凄いね」

洋榎「せやろ、さすがやろ!」

セーラ「ま有名どこを適当に廻っとるだけやけどな」

美幸「それでも凄いよ」

洋榎「美幸はなんてお願いしたん?」

セーラ「ちなみにオレは1ヶ所ごとに違うんやけど、ここでは来年のインハイでの千里山の優勝をお願いしたで」

洋榎「おい、ちゃんと神社廻れるようにお願いしろやー」

セーラ「いやいやおかしいやろ!なんでお願いしに行けるようにお願いせなアカンねん」

洋榎「それもそやな」

美幸「…」

セーラ「どないしたん?」

美幸「2人とも仲良いなあと思って」

洋榎「誰がこんな奴と!」

セーラ「それはこっちのセリフや!」

美幸「いいなあ」ボソッ

洋・セ「ん、何か言うた?」

洋・セ「……」

美幸「やっぱり仲良いね。うらやましい…」

洋榎「美幸にだって1人くらいおるやろこんな奴?」

美幸「…友達だと思ってたんだけど初詣断られちゃった…」

セーラ「そ、それはあれや…ホンマに都合悪かったんやろ」

洋榎「うちの友達の何人かも年末年始は家族と過ごす言うとったから考え過ぎや思うで」

美幸「そうだよね…」

セーラ「で、美幸はなんてお願いしたん?」

美幸「みんなと仲良くなれますようにって…お賽銭もご縁が有るように五円にしたよ」

洋榎「さっき1万出してたのにいっきに下がり過ぎやろ」

美幸「金額の大きさよりこういうのの方が重要かと思って…」

セーラ「ま、こういうのは気持ちが大事やからな」

洋榎「そやな。こんだけ気合い入っとったら神様もきっと願いを叶えてくれる思うで」

美幸「そうかな…」

洋榎「大丈夫やってそないな顔しとったら叶う願いも叶わんで」

美幸「うん」

セーラ「メアドとか交換しよか?せっかく友達になったんやし」

美幸「友達…」

洋榎「うちらもう友達やろ?」

美幸「…ありがとう嬉しいよ」

洋榎「次はおみくじ引き行こか」

セーラ「今度は負けへんで」

美幸「今度は?」

洋榎「ここの前の神社でうちが中吉でこいつが小吉だったんや」

セーラ「戦績は今んとこ1勝1敗1分やけどな」

美幸「何回もおみくじ引いてるんだね」

洋榎「神社行ったらおみくじ引かな」

美幸(おみくじの意味が無い気がする…)

セーラ「勝負や!」

洋榎「おう!」

洋・セ「せーの!」

洋榎「大吉!」
セーラ「大吉!」

洋榎「なんやと!」

セーラ「マジかー」

洋榎「決着は次に持ち越しやな」

セーラ「美幸は?」

美幸「末吉だよもー」

洋榎「凶やなくて良かったやん」

セーラ「一応は吉なんやからきっと良いことあるで」

美幸「ありがとう」

洋榎「ほなうちらは次の神社行かなアカンから」

セーラ「また遊ぼーな」

美幸「うん、またね」

美幸「良い人たちだったな」

美幸「良い友達が出来て良かったよもー」

美幸「……今ごろみんなも私の知らない友達と仲良くしてるのかな…」

美幸「こんな事考えてちゃダメだよね……でも卒業も迫ってきたしみんなとの思い出をもっと作りたいな」

美幸「ん?莉子ちゃんからメールだ」

美幸「学校まで来てください。か……どうしたんだろ?」

美幸「2日ぶりくらいかな莉子ちゃん」

莉子「あけましておめでとうございます先輩」

美幸「あけましておめでとう。用事が有るって言ってたのに急にどうしたの?」

莉子「…えーと……ごめんなさい!」

美幸「………インハイの事まだ気にしてたんだね」

莉子「え?」

美幸「気にしないで良いんだよ。私が活躍出来てたらあんなことにはならなかったもん…莉子ちゃんだけのせいじゃないよ」

莉子「……はい」

美幸「莉子ちゃん泣かないで…」

莉子「ごめんなさい思い出してしまって……先輩も泣いてますよね?」

美幸「私も思い出しちゃって……ちょっと休もっか?」

莉子「そうですね」

美幸「自販機で飲み物買ってきたよ。お茶で良いよね」

莉子「お茶ですか…」

美幸「嫌だった?」

莉子「いえ、そうじゃなくて…私達古塚先輩の影響で飲み物イコールお茶になってる気がして…」

美幸「確かにそうかも…」

莉子「ですよね!?」

美幸「でも友香ちゃんのいれる紅茶もおいしいよ」

莉子「結局はお茶…って仲良いんですね2人…」

美幸「インハイの時に同室だったからね、莉子ちゃんも今度いれてもらったら良いよ。凄くおいしいから」

莉子「はい、今度お願いしてみます」

莉子「あっ!」

美幸「どうしたの?」

澄子「どうも依藤澄子です」

美幸「どうしちゃったの?」

澄子「いえなんとなく」

莉子「依藤先輩どうしてここに」

澄子「それは私も…」

澄子「自分だけ先輩としゃべってズルいとは思わないの?」ヒソヒソ

莉子「そんなこと言われてもジャンケンで決めたじゃないですか?」ヒソヒソ

美幸「2人ともどうしたの?」

澄子「部長として部員に指導を」

美幸「真面目なんだね。でも私に聞こえたらまずいのかな?……私…邪魔かな…」

莉子「どうするんですか?凄くへこんでますよ」ヒソヒソ

澄子「そんなこと有りませんよ。汚い言葉で罵ってたので先輩に聞かれたくなかっただけですから」

美幸「えー…」

美幸「澄子ちゃんって以外と……あれ?澄子ちゃん用事は?」

澄子「え、えーと……」

美幸「澄子ちゃん?」

澄子「……用事はもう済みました。今から遊びに行きましょう!」グイッ

莉子「え?」

美幸「そうだね思いっきり遊ぼっか!」

莉子「えー!!」

美幸「莉子ちゃんも行くよね?」

莉子「も、もちろんですよ!」

美幸「やっぱり友達と一緒だと楽しいね。次はどこに行く?」

莉子「どうするんですか?古塚先輩に怒られちゃいますよ」ヒソヒソ

澄子「そろそろ学校に戻ろう」ヒソヒソ

莉子「このタイミングでそれは不自然じゃないですか?」ヒソヒソ

美幸「2人とも聞いてる?」

澄子「すみません。実は学校に忘れ物をしたみたいで…」

莉子(ナイスです)

美幸「じゃあとりに行こっか」

澄子「はい、すみません」

友香「やっと見つけましたよ」

美幸「友香ちゃん!見つけたってなに?」

友香「それはですね…んぐ」モガモガ

美幸「澄子ちゃん何で友香ちゃんの口塞いでるの?」

澄子「……見つけたって言うのは莉子の事ですよ!ね、莉子?」

友香「んー」ブンブン

美幸「否定してる気がするけど…」

澄子「そんなこと無いですよ!」

莉子「友香ちゃん話し合わせないと先輩にバレちゃうよ」ヒソヒソ

友香「ん」

澄子(ナイスフォロー)

友香「莉子と一緒に先輩と遊ぼうと思ったら莉子がいなくなってたんです」

美幸「そうなんだ」

澄子「私のせいでごめんなさい。今から学校に戻るところだから」

友香「了解でー」

美幸「友香ちゃんと莉子ちゃんは一緒だったんだね…」

友香「そうですよ」

莉子「な、何か問題でも?」

美幸「……ごめんねいちいち詮索して来てウザいよね…」

莉子「そんなこと無いですよ!」

友香「先輩が可哀想なんですけど」ヒソヒソ

澄子「もう少しの辛抱だから」ヒソヒソ

友香「そういえば戻って来ないからメールするって古塚先輩が言ってましたよ」ヒソヒソ

澄子「え?」

澄子(本当だ……この文面…そうとう怒ってるなあ…)

美幸「澄子ちゃん大丈夫?」

澄子「はい大丈夫です!そんなことより早く学校に行きましょう」

美幸「う、うんそうだね」

莉子「依藤先輩どうしたんだろ?」ヒソヒソ

友香「古塚先輩がカンカンでー」ヒソヒソ

莉子「怖そうだね…」ヒソヒソ

美幸「忘れ物の場所に心当たりはある?」

澄子「たぶん部室だと思います。用事がすんだ後部室に行きましたから」

美幸「そうなんだ…部長として来年も頑張ってね」

澄子「新入部員入ってくれますかね?」

美幸「大丈夫だよ!だから自信を持って頑張ってね」

澄子「はいありがとうございます」

莉子「着きましたよ」

友香「部室でー」

美幸「早く見つけちゃおう」

莉子「あっ」

ガチャ

美幸「えっ梢ちゃん大丈夫!?」

梢「……準備で力尽きちゃって…えっ!美幸ちゃん?」

莉子「お疲れ様です」

澄子「ごめんなさい」

美幸「…これ梢ちゃんが準備したの?」

友香「みんなで準備してました!途中までですけど…」

澄子「準備のめどが付いたから椿野先輩を確保しようとしたら色々ありまして…」

梢「……もっとちゃんとサプライズする予定だったのに…」

美幸「梢ちゃん私いま凄く驚いてるよ…それにとっても嬉しい」

澄子「もう気づいてる思いますけど…私達の用事はこれだったんです」

梢「全部手作りなんだけど大変だったよ…途中から人が減って行ったから…」

澄子「本当にごめんなさい」

莉子「ケーキ持って来ました」

友香「準備okでー」

澄子「それじゃあ改めまして古塚先輩お願いします」

梢「美幸ちゃんあけましておめでとう。そしてお誕生日おめでとう」

美幸「ありがとう…とっても嬉しいよ」

梢「準備のためとはいえ寂しい思いさせてごめんね」

莉子「私達も先輩と一緒に年末年始過ごしたかったです」

梢「来年からはサプライズは違う方向でやるね」

友香「先輩はもう初詣しちゃいましたよね…?」

澄子「一緒に行きたかったです…」

美幸「確かに行っちゃったけど、明日みんなで一緒に行こうよ」

莉子「初詣って何回も行って大丈夫なんでしょうか?」

美幸「大丈夫だよ。友達は1日に何回も初詣行ってるって言ってたし、おみくじだって行くたびに引いたらしいよ」

梢「じゃあ明日一緒に初詣行こう」

美幸「もちろんだよ」

美幸(早速願いが叶って良かったよもー)



カン

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