良晴「ビタミンが不足すれば病気の元。逆にコレステロールを取り過ぎるのも良くない、これも病気の元だ」
五右衛門「ううむ、ちんぷんかんぷんでござる」
犬千代「……良晴語は分からない……」
良晴「つまりだ、病弱さを無くすためには体の内側から変えていくのが効果的ってことだ!! まずは半兵衛ちゃんのその辺を改善していこうと思う!」
半兵衛(身体を内側から変えていく……良く分からない単語が多いかったけど、つまり体内の陰の気を消すことによって、療養を進める、ってことだよね……
えっと、なにかの文献で呼んだはず……確か、春秋戦国時代の……)
半兵衛「……!!」
かぁっ
良晴「ん? どうした半兵衛、顔が赤いぞ……熱か!?」
半兵衛「い、いえ、その……」
半兵衛「良晴さんがおっしゃっている療養方法……も、も、もしかして、房中術、ですか?」
良晴「ん?」
五右衛門「ッ!?」
犬千代「……」
ねね「兄さまー、ぼうちゅーじゅつとはなんでございますぞー?」
半兵衛「その、よ、良晴さんがよろしいとおっしゃるのならば……」
良晴「房中術……ねぇ」
良晴(……聞き覚えのある言葉だな……っつっても、織田信長公の野望では出てきてないはず……
ってことは……三国志とかその辺の言葉か?)
良晴「えっと、半兵衛、その房中術ってのは具体的にどんなことをするんだ?」
半兵衛「えっ、やっ、その……あうぅぅ……」
五右衛門「駄目でござる!!」
良晴「へ?」
五右衛門「房中術は一朝一夕で身に付くものではごじゃりましぇにゅ!!
ゆえに、行うとすればまずは相良氏の腕前如何が問われましゅりゅ!」
ねね「危ない術なのでござりますなー」
五右衛門「うむ。生半可な技を持ってを行えば良くないことが起こるのは自明の理。
もしどうしても行いたいというのであれば、まずは不肖この蜂須賀五右衛門でその術を試してから……」
良晴「って言っても、腹の中に入るものをこっちで用意するだけだぞ?」
五右衛門「できてしまってからでは遅いのです! 半兵衛殿を思うのであれば、まずはその試金石として拙者を……」
半兵衛「だ、駄目です! わ、私が、私が! 五右衛門さんもそんなに心配しなくても、私にも心得がありますから!!」
五右衛門「駄目でごじゃる!! 絶対に駄目でごじゃる!!」
良晴「……なに喧嘩してんだ? 栄養バランスの調整くらいで」
犬千代「……良晴」
良晴「ん?」
犬千代「そういうことを言い出すのは、あんまり良くない」
良晴「そうか? 俺としては半兵衛ちゃんを思って……」
半兵衛「ほら、ほら! 良晴さんだって、私を思ってるって!!」
五右衛門「相良氏は言葉っ足らずなだけで、性格には半兵衛殿の体調を思っておりゃれりゅだけにごじゃりゅ!!」
ねね「兄さま……ねね、ちょっぴり怖いですぞ……」
良晴「はいはい、喧嘩はそこまで! ……そうだな、じゃあいっそ、二人とも一緒に試してみるか?」
半兵衛「えっ!? ふ、二人同時に、ですか……?」
良晴「まぁ、バランス考えてメニュー作るくらいは俺でもできるからな。一人やるも二人やるも一緒だ、一緒!!」
五右衛門「……ううむ……それは……なんというべきか……」
半兵衛「一人やるも、二人やるも……確かに、昔から英雄は色を好むと……」
良晴「よし、じゃあそれで行こう!! そうと決まれば……」
ぐいっ!!
良晴「……なんだ、犬千代?」
犬千代「……良晴、それはずるい」
良晴「……はぁ!? 今度は何がずるいってんだよ!!」
犬千代「……二人だけ、ずるい……」
良晴「……まさか、お前……」
犬千代「一人でも、二人でも一緒なら……三人でも一緒」
良晴(なんなんだよこの食いつきの良さは……この時代の奴らは食に飢えてるのか?
いっそ信奈に掛け合ってみるか……気力充実を図るために兵士の食事のメニューを変える、とか)
良晴(いや、でもそれで台所番が光秀あたりに任されたら面倒だな……
折角回避した本能寺の変が、家康のもてなしイベント発生でまたフラグが立っちまうかもしれないし……)
半兵衛「一緒じゃありません! ずるいのはお二人の方です!! 私が、最初に私が誘われたんです!!」
五右衛門「半兵衛殿はご自身の立ち位置を分かっておられませにゃんだか? もし、懐妊なぞした日には、取り返しのつかない事になってしみゃいみゃす!
ここは一度、相良氏の影として使える拙者がその身を持って……」
犬千代「良晴、私も……」
ねね「むむむ、皆さまだけずるいですぞ!! ねねも、兄さま、ねねもー!!」
五右衛門「いや、さすがにねね殿は……」
半兵衛「私も、さすがにねねさんは……」
犬千代「やめておいた方がいいと思う」
ねね「うー……ねねだけ仲間外れなんて、皆さんはくじょーでございますぅ……」
半兵衛「私が、私が!」
五右衛門「なりませぬ、拙者が!!」
犬千代「どうするの、良晴?」
ねね「兄さまー、皆さんがねねにいじわるを……」
良晴「あー、もう!! お前ら一旦落ちつけぇぇぇ!!!」
ガラッ!
光秀「昼間から宴会騒ぎをやってる馬鹿が居ると聞いて来てみれば、猿先輩じゃないですか。
やっぱりというか、なんというか、先輩には周りの迷惑を顧みようって心はんあいんですか?」
良晴「げっ、光秀!?」
光秀「げっ、とはなんですか。げっ、とは。で、今度は一体何をやらかしやがったんです?」
犬千代「光秀、耳」
光秀「耳? そんな大声で言えないようなことを……」
犬千代「こしょこしょこしょこしょ」
光秀「……っ!?」
かぁっ
良晴「……また赤くなるのか……」
光秀「ばっ、ばばばっ、ばっ!! は、はれ、へ、な、ななな!!!」
良晴(……この時代の人間は、なんで食事統制に対してそんなに大げさな反応をするんだ?
寺とかに行けば粗食は当たり前だと思うが……)
光秀「ひ、昼間っからなに考えてんですか!!! 普通そういうのは、時と場所と周りの目を考えて!!!」
良晴「い、いや、俺はただ、半兵衛の体調をどうにか出来ればと思って……なぁ、半兵衛!?」
半兵衛「……あ、あの……」
光秀「ふざけんなってんですよ! そもそもどうして私というものがありなが他のチビッコ達に声かけるんですか!!
確かに婚期からは少し外れてるかもしれませんけどね、それでもあの採点おばさんなんかに比べれば!!」
良晴「だから落ちつけ! 話を聞けって!! あとさらっと酷いこと口走るのもやめろ! 後が怖いから!」
―――
光秀「……普通に考えれば、得策じゃないでしょうね。
もともと体調が優れていないし発育不全気味なんですから、一度でも危険かもしれません」
良晴「そんなに重く考えなくてもいいだろ。当たればよし、外れれば他の方法を考える、くらいで」
光秀「当たっ!? ……ったく、そういう言い回しは好きじゃねーです」
良晴「そうか? じゃあ……せいこうすればよし、とか?」
光秀「もっと直接的に言ってどうするんですか! このスケベ猿先輩!!」
良晴「はぁっ!? んな無茶苦茶な!!」
良晴「ともかく、現状を整理するぞ」
良晴「半兵衛は俺の案に賛成」
半兵衛「はい。できれば、その、初めては二人きりで……」
良晴「で、五右衛門は半兵衛に試す前に自分に試せ、と」
五右衛門「勿論。拙者は相良氏の影、つまり相良氏を陽とするならば拙者は陰でごじゃる。
房中術の基本は陰陽の交わりでごじゃるしな」
良晴「犬千代は面白そうだから混ぜろ」
犬千代「……面白そうとかじゃなく、良晴がやるなら、混ざりたい……」
良晴「そして、光秀は反対」
光秀「あたりめーです。んなことやってる暇があったらマシな事を一つでも為すべきです。
そもそもそういうのは、もっとお互いの気持ちに整理がついてからやるべきです」
良晴「さて、どうするかな」
ねね「……うう」
良晴「……よし、じゃあこうしよう! 健康体かつ半兵衛と年もそんなに離れてないねねで試す!
ねねなら俺も経過が見やすいし、織田家にも影響は出ない!! どうだ、これなら問題ないだろ!!」
「「「「っ!?」」」」
ねね「兄さま!!」
ドカッ
ガスッ
バキッ
良晴「……な、なんでだ……」
光秀「どこをどうすりゃそうなるんですか!? 仮にも兄妹ですよ!?」
五右衛門「ねね殿を恩賞として授かったことから、もしやもしやと思ってごじゃったが……」
犬千代「……鬼畜」
半兵衛「あ、あわわ……」
ねね「兄さま! ねねはうれしゅーございますぞ! さぁ、ぼうちゅーじゅつとやら、ためしましょうぞ!」
良晴「じゃあ逆に聞くが!! どうすりゃいいんだよ!! 俺はただ、半兵衛ちゃんを思って!!」
光秀「どうして思いやりが下に下に向くのかって聞いてんですよ!!!
そもそも、体調を内側から変えたいんなら他にやりようだってあるじゃないですか!!」
良晴「他に、って……他にどんな方法があるんだよ」
光秀「はぁ……無知無学な相良先輩に先人の偉大な言葉を教えてやりますね?
『医食同源』、つまり医療とは食に通ずるものであり、それを正すことによって病は防ぎ、治せるんです。
もし本当に体調の改善をしたいってんならまずはそこから……」
良晴「いや、だから俺だってそういってるだろ!!」
光秀「は?」
―――
光秀「……」
半兵衛「……」
五右衛門「……」
犬千代「……」
ねね「つまり兄さまは、つねひごろのお食事から、半兵衛さまを治そうと言っておったのですな!」
良晴「ああ、そういうことだ」
ねね「それがぼうちゅーじゅつなのですな!!」
良晴「それは知らん」
光秀「ちょ、ちょっと……どういうことですか……!! 聞いてた話と全く違うじゃないですか!!
おかげで赤っ恥ですよ!? どーしてくれるんですか!!」
犬千代「……そもそも最初に房中術って言いだしたのは半兵衛」
半兵衛「ひっ!? ……そ、その……だって、そう思うじゃないですか! 体の内側から良くするなんて聞いたら……」
五右衛門「人騒がせでごじゃる」
半兵衛「ご、五右衛門さんだって間違ってたじゃないですかー!!」
五右衛門「拙者は半兵衛殿を気遣っただけでごじゃる。房中術であれなんであれ身代わりを申し出るちゅもりでごじゃった!」
――― 夜
良晴「史実の竹中重治は肺を患って死んだわけだけど、半兵衛ちゃんはただ身体が弱いだけだしな……
もう少し動物性たんぱく質を増やして、まずは身体の発達を目指す、と」
ねね「結局、ぼうちゅーじゅつとはなんだったんでござりましょーなー」
良晴「んー……半兵衛も、五右衛門も、犬千代も、光秀も、顔を真っ赤にするだけで教えてくれなかったしな。
この辺まで出てきてるんだけど、なんだったかなー」
ねね「女癖の悪い兄さまが勘違いされることですから、きっと助平なことなのでは?」
良晴「エロい事して身体がよくなるなんて、どこの未来のエロゲだよ。あとは、新陳代謝を高めるために……」
ねね「んふふー」
ごそごそ
良晴「……ん? どうした、ねね」
ねね「今日は久しぶりの兄妹水入らずの日でしたのに、あわただしいばかりでしたから!
こうやってお布団の中で、兄妹水入らずでございまする!」
良晴「それは別にいいけどさ。お前、おねしょ癖治ったのか? 最近寒いし、朝起きたら水浸しはさすがに勘弁してくれよー、なんてな」
ねね「……さぁ! 火を消しますぞ、兄さま!!」
良晴「……そうか」
楽しい相良幼稚園 お わ り
本当は房中術知らないけどねねと夜な夜なそれに類する行為を繰り返してる蜜月エンドでしたが、ねねちゃん可愛いのでやめました
デアルカの人とかおっぱいの人とか採点おばさんみたいな織田軍の人は位が高すぎておいそれと混ぜられませんでした
反省してるので許してください、何でもしますから
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