アスカ「シンジの料理に毎日少しずつ毒を入れる」(181)

アスカ「はいっ、おまちどー!」

シンジ「アスカが料理してくれるようになるなんて……」

アスカ「あんた何回それ言ってんのよ」

シンジ「だって嬉しくってさ。いただきます」

アスカ「はい。仮にも育ちざかりなんだからいっぱい食べなさい」

シンジ「あ……っと」ガチャ

アスカ「何やってんのよ。茶碗割れちゃうじゃない」

シンジ「ご、ごめん。最近なんだか身体がダルくって。ホント、もっと食べなくちゃね」

アスカ「……」

シンジ「ふぅ」

ミサト「シンジ君、最近ため息つくこと多くない?」

シンジ「え。そうですか?」

ミサト「なんだか少し痩せたようだし……体調悪いなら遠慮しないで早めに言ってね」

ミサト「エヴァのパイロットとして、身体の管理も大事な仕事よ」

シンジ「はい」

アスカ「大げさねーミサトは。はいシンジ」

シンジ「ありがとう!」

ミサト「……なにそれ」

アスカ「見りゃ分かるでしょ、ケーキよケーキ」

ミサト「なんだか、気のせいか手作りに見えるんだけど」

アスカ「気のせいじゃないわよ。私のお手製」

ミサト「えええええええっっ」

シンジ「ミサトさん、驚きすぎですよ」

ミサト「だ、だ、だってアスカが……って私の分は??」

アスカ「無いわよ」

ミサト「ぐわーん」

シンジ「ミサトさん、半分に分けましょうか」

アスカ「ダメよ! それはシンジに作ったんだから、他の人にあげるのは禁止」

シンジ「禁止って、でもミサトさんが」

アスカ「ミサトは、どっかお店でなんかテキトーに買ってくればいいじゃない」

ミサト「…………仲いいわねーあんたら。いつの間にそんな」

アスカ「勘ぐらないでよ。ただ私の料理の練習につきあわせてるだけなんだから」

シンジ「そうですよ」

ミサト「ふーん」

シンジ「じゃ、いただきます」

アスカ「……」

シンジ「……はい、はい。大丈夫ですよ。ミサトさんこそ無理しないでくださいね」

ピッ

アスカ「ミサト、今日も泊まりなの?」

シンジ「うん」

アスカ「じゃ……今夜も二人っきりね」

シンジ「う、うん」

アスカ「ぷ。なぁーに赤くなってんのよスケベバカシンジ」

アスカ「さって。じゃあそろそろご飯の準備しますか!」

カチャ…カチャ…

アスカ「どう?」

シンジ「美味しい……! すごいや、アスカ」

アスカ「ありがとって言いたいけど、あんたって常に『美味しい』だからイマイチ参考になんないわよね」

シンジ「だって本当に」

アスカ「はいはい」

シンジ「―――僕さ、ほんのちっちゃい頃以外、ほとんど一人暮らしみたいなもんだったから」

シンジ「料理なんかもすぐ自分でするようになったんだ」

アスカ「それで得意になったわけね」

シンジ「得意っていうか身にはついたけど。でも、やっぱり寂しかったんだと思う……」

シンジ「こうやって誰かと一緒に食事したり、誰かがご飯を作ってくれるのが、こんなに嬉しいって知らなかった」

アスカ「シンジ……」

シンジ「だから練習でもなんでも、ありがとう。アスカ」

アスカ「ふふん、どういたしまして」

アスカ「なんだったら、これから一生、私があんたのご飯作ってあげてもいいわよ」

シンジ「え?」

アスカ「いつかシンジが死ぬ時まで、私が料理してあげるって言ってんの」

シンジ「か……からかわないでよ」

ヒカリ「アスカ! 碇君が体育の途中で倒れたって!」

アスカ「シンジが!?」

ヒカリ「今、保健室に……」



ケンスケ「大丈夫か、シンジ」

トウジ「無理せんで次の時間サボったほうがええで」

シンジ「うん……ゴメン。びっくりさせちゃって」

ケンスケ「気にすんなよ。それより疲れが溜まってるんじゃないか? 色々、重圧あるだろうしさ」

シンジ「……ちょっと寝てれば治るよ。昨日も寝るの遅くなっちゃったから」

コンコン、ガララ

ヒカリ「失礼します」

アスカ「失礼しまーすっと。バカシンジ、生きてんの?」

トウジ「よ、お二人さん」

シンジ「アスカ。委員長。わざわざ来てくれたんだ」

レイ「……それじゃ、私もう行くから」

シンジ「あ、うん。ありがとう綾波」

ガラガラ

ヒカリ「行っちゃった。綾波さんも碇君のお見舞いに来てたの?」

ケンスケ「ああ、俺達のすぐ後に」

トウジ「あの綾波が、廊下を走って来よって驚いたで」

アスカ「…………へえ」

シンジ(今頃は数学か。授業中に学校で寝るのって、なんか落ち着かないよな)

シンジ(でもせっかく休ませてもらってるんだから、ちゃんと眠らないといけないのに……)

シンジ(……身体が寒いみたいな、熱いような、ザワつくみたいな……なんだこれ)

シンジ「く、ぅぅ」

シンジ(最近、いつもだ。どうしちゃったんだ、僕の身体)

ガラガラ

アスカ「……」

シンジ「……アスカ?」

アスカ「なによ。起きてるじゃない」

シンジ「うまく寝付けなくて。アスカこそ授業は?」

アスカ「退屈だからサボっちゃった」

シンジ「―――疲れてるんじゃないかって。ケンスケが」

アスカ「実際そうなんじゃないの。あとはココロの問題かも」

シンジ「心の?」

アスカ「そ。どっか痛むわけでも熱があるわけでもないのによく分かんないような変調きたす時って、大抵精神からやられてる時よ」

シンジ「やっぱり…………ネルフに相談したほうが」

アスカ「バーカ。あそこがまっとうな治療してくれると思う? ヘタすりゃお払い箱で、この街からポイね」

シンジ「……」

アスカ「帰ったらまた私が精のつくもの作ってあげるから、あとはも少し神経太くなんなさい」

シンジ「う、うん」

アスカ「じゃーん!」

シンジ「わ……ぁ」

アスカ「ちょっとなによ、その微妙な反応」

シンジ「あ、いや。凄いし美味しそうだし精もつきそうだなーって」

アスカ「他には?」

シンジ「う。だってその……今日は学校で倒れちゃったし具合悪いから、もう少しなんて言うか」

アスカ「だ~いじょうぶよ、その辺考えて、こう見えても味はさっぱりだから」

アスカ「人の基本は食事! バテてる時こそ思いきり食べる!」

シンジ「……そうだね。それに、アスカがこんなに沢山作ってくれたんだし」

アスカ「……」

シンジ「ありがとう。いただきます」

アスカ「ふふ」

シンジ「ハァ、ハァ」

シンジ(寝苦しい……息までヘンだ……こんなんじゃ、また今夜も……)

シンジ「ぅ、ぅぅ……くっ」

カタ

シンジ「?」

アスカ「……」

シンジ(あ。アスカ……様子見に来てくれたんだ)

シンジ「ハァ、ハァ」

アスカ「……」

ミサト「―――ねえ、シンジ君。どうしてネルフで検査しないの?」

シンジ「……」

ミサト「どう見てもやつれてるし、顔色も悪いし、これ以上ほっとけないわよ」

シンジ「……でも」

アスカ「いいじゃないミサト! 本人が嫌がってんだから」

ミサト「アスカは黙ってなさい」

ミサト「あなた達の身体があなた達だけの身体じゃないくらい、十分分かってるでしょ」

シンジ「ミサトさん。アスカは僕のこと心配してくれてるだけだから、責めないでください」

ミサト「ならなおさら検査を止めるなんてナンセンスよ」

シンジ「そんな大げさなことじゃないですよ。ただ、少し、疲れ」

どさっ

アスカ「!!」

ミサト「シンジ君!?」

シンジ「」

ミサト「……脈はある。気絶してるだけね」

ミサト「アスカ! これでも止めるようなら弾き飛ばすわよ」

アスカ「と……止めないわよ」

ミサト「じゃ、すぐネルフに運ぶから手伝って!」

アスカ「分かってる」

アスカ(……まだいけると思ったのに。思ってた以上に衰弱してたんだ)

アスカ(よりによってミサトの目の前で気絶なんて、バカシンジ!)

アスカ(でも……検査内容によっては、きっとバレない……きっと)

ミサト「アスカ、乗って」

アスカ「うん。ミサト、シンジ大丈夫よね?」

リツコ「ただの疲労ね。といってもだいぶお疲れのようだけど」

ミサト「え゛。ホ……ホントに?」

リツコ「嘘をつく理由があって?」

リツコ「4日間はこのまま入院して休養。その間の体調管理はすべて私が行います」

リツコ「その後退院。退院後もこちらが用意した生活要項をしばらくは守ってもらうわ」

ミサト「はぁ」

リツコ「質問は?」

ミサト「えっと、うーん、ない。シンちゃんが無事ならなんでもいいわ」

アスカ「なぁんだ。人騒がせなやつねー」

リツコ「アスカ」

リツコ「……あなたの価値を考慮して今回は見逃してあげるけど、オイタはほどほどになさい」ボソッ

アスカ「!」

リツコ「それじゃ。もう邪魔だから帰ってちょうだい」

4日後

ペンペン「クェェ!」

シンジ「ただいまペンペン、アスカ」

アスカ「数日ぶりの我が家はどう?」

シンジ「ほんの数日だから、別にどうとかはないけど」

アスカ「つまんないやつねー。せっかくご馳走用意してやったのに」

アスカ「そういやミサトは?」

シンジ「僕を送ってくれて、またネルフに戻ったみたい。今日もあっちに泊まりだって」

アスカ「……ふぅん」

アスカ「てことは、また二人っきりね」

リツコ「これよミサト。シンジ君の体調不良の元凶」

ミサト「ってこれ……なんかの薬? でも、いつシンジ君がそんなのを」

リツコ「アスカがこのところ妙に熱心に料理してる。と言ってたわよね?」

ミサト「!? ちょ、ちょっと、リツコ?」

リツコ「ええ。カマをかけてみたけど、まず間違い無いわ」

リツコ「アスカがシンジ君の食事にこの薬―――ある種の毒を混ぜてたのね」

ミサト「どく……リツコ!!」

リツコ「私に怒っても意味がないわよ」

ミサト「取り消しなさい」

リツコ「ミサト。もう一度断言するけど、アスカがシンジ君に毒を飲ませてた犯人よ」

リツコ「どこで手に入れたのかしら。この強烈な媚薬」

ミサト「……は?」

リツコ「中学生の男の子にこんなもの飲ませて、する事と言ったらやっぱりアレでしょうね」

ミサト「……アレって」

リツコ「言っておくけど、またシンジ君が倒れることにならないよう、自重しなさいと忠告はしたわよ」

ミサト「……」

リツコ「もっとも今日あたりは―――」

シンジ「ハァ、ハァ、ハァ」

シンジ(ま……また、身体が……入院中はマシだったのに)

ガララ

アスカ「……」

シンジ「……アスカ……」

アスカ「シンジ。具合はどう?」

シンジ「アスカ! 今、近づいちゃダメだ」

アスカ「出て行けっての? 随分な言い草ね」

シンジ「ハァ、ハァ」

シンジ(アスカ……離れててもアスカの息づかいまで聞こえる……)

アスカ「『どうしたんだろ、僕の身体』ってまた考えてんの?」

シンジ「だ、だって! こんな」

アスカ「いつも言ってるじゃない。あんた疲れてるのよ」

アスカ「疲れてると、種を残すために性欲が高まっておかしくなるの」

シンジ「そ……そうなのかな……? く、ぅぅぅ」

アスカ「ほら見なさい。もう、いつもみたいに血が噴火しそうなんでしょ……?」ギュゥ

シンジ「ふぁ、ぁっぁぁ!」

ビクッ、ビクッ

アスカ「抱きつかれただけで、なーにイっちゃってんのよ。バカシンジ」

シンジ「はぁう、ぁ、ハァァ……」

ドサッ

アスカ「ふふ」

シンジ「ダ……めだ、ダメだってば……ぁ」

アスカ「まぁた始まった。どうせ最初だけのくせに」

アスカ「どの夜も、保健室でも―――すぐにガマンできなくなって、自分から私を貪ったじゃない」

スル…パサッ

シンジ「あ、あああ」

アスカ「ほら、すごい目つき。私の肉が欲しいんでしょ? バカシンジ」

シンジ「あしゅ、あしゅか……」

アスカ「いいわよシンジ。今日もいっぱい、あまぁい毒を食べさせてあげる」

アスカ「ファーストもミサトも、なにもかも忘れて、私のことだけしか考えられなくしてあげる」

完!

えっちシーンは各人が脳内補完しようエヴァだけに

誤 アスカ「シンジの料理に毎日少しずつ毒を入れる」
正 アスカ「シンジの料理に毎日少しずつ媚薬を入れる」

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