江ノ島「わたしは苗木の事が…だから…」(139)
苗木を見ていると、自分が自分で無くなる感覚がある。そこで絶望した。
江ノ島「…って事でお姉ちゃん、台本通りお願いね」
戦刃「盾子ちゃん…?今言った意味ってどういう事…?」
江ノ島「追加の台本だよ。そんなに難しくないでしょ?」
戦刃「でも、こうする事によって…何の意味があるか私には分からなくて…」
江ノ島「あーもう!意味意味うるさい!お姉ちゃんは言う通りやってくれればいいから!ってか意味考える前に行動しちゃうのがお姉ちゃんの数少ない長所でしょ」
戦刃「でも…何で苗木君なの…?」
江ノ島「お姉ちゃん的にも都合が良いんじゃない?」
苗木を見ていると何も考えられなくなっていた自分に絶望した。
戦刃「そんな事…ないよ」
江ノ島「一番見たいのが苗木の絶望に浮かぶ顔だからね。その為にはお姉ちゃんの力が必要って訳」
戦刃「そっか…解った。やってみるよ…『苗木君と仲良くなれば』いいんだよね…?」
江ノ島「苗木が最初に信頼する相手になれるように頑張ってね!お姉ちゃん」
戦刃「うん…解ってる」
江ノ島「我慢出来くなったらヤっちゃってもいいよ」
戦刃「何を言ってるの…?盾子ちゃん…」
こんなの自分らしくない。そしてそれにまた絶望した。
「……………ウッ………ウゥ…」
目を開けると、蛍光灯の光が眩しくて顔をしかめた。再び目を瞑って状況を確認してみる。
希望ヶ峰学園に来ていきなり意識がなくなったんだ。そこで変なヌイグルミが現れて殺し合いをしなければ学園からは出さないなんてバカみたいな事を口にした。そこから先は…どうしたんだっけ?
苗木「とりあえず部屋から出ようかな…」
部屋から出ると、ある人物が扉の横で寄りかかっていた。
???「ちーっす!苗木」
苗木「え、江ノ島…さん?」
戦刃(江ノ島)「何で疑問系?殴られて記憶でも飛んだ?もう一回自己紹介とかタルイから勘弁してよね」
苗木「い、いや勿論覚えてるよ…『超高校級のギャル』の江ノ島盾子さんだよね」
戦刃(江ノ島)「何だ。記憶の方は大丈夫じゃん。んじゃ怪我の方は?」
苗木「……怪我?」
戦刃(江ノ島)「やっぱり記憶飛んでるじゃん。あんた殴られてぶっ飛んだんだよ。確か10メートルは飛んでた感じ」
苗木「そ、そんな飛んだんだ。うん。でも大丈夫っぽい」
戦刃(江ノ島)「へー。さすが『超高校級の幸運』ね。だけどさ、あのぐらいの攻撃ぐらい避けてよ。端から見れば白けるんだわ」
戦刃(江ノ島)「確かに振りはまぁまぁだったけど大振りじゃん。振りの軌道と筋肉の動き見れば大抵避けるタイミングなんか分かるから」
苗木「え、江ノ島さんっていったい何者なの…?」
戦刃(江ノ島)「(勢いで話しすぎちゃった…)今言ったのは出任せだから気にしないでいいよ…ってか早く行かない?食堂でこれから捜査結果を報告し合うんだってよ」
苗木「そうだね。僕のせいで待たせるのも悪いし」
石丸「遅いぞ君達!主に苗木君!君は捜査もロクにせずに寝ていたというのに遅刻とは何事だっ!遅刻するならちゃんと言ってくれ!」
朝比奈「言ってる事がめちゃくちゃだね…」
山田「ムムム…二人で仲良く連れ添っているという事は、もしや既にエンディングまでいってしまったという事ですかな?」
戦刃(江ノ島)「黙ってろデブ!」
山田「デ、デブですとぉーーー!!!」
桑田「いや明らかにデブだろお!?何ちょっと違うみたいな雰囲気出してんだよ」
山田「グググ…今に見てろ。ボクはまだ第二、第三の変身を残しているのだ」
十神「じゃれ合いなら他でやれ。初めるならさっさと始めろ。下らん会議だがな」
石丸「そ、そうだな!では第一回学園捜査報告会を初めるっ!」
・・・・・・
石丸「こ、これだけ集まって捜査して何も分からなかったと言うのか」
桑田「おいおい。本当に出口なんかあるのかよ!」
舞園「み、みんな落ち着いて下さい。まだ決まった訳ではないですよ」
葉隠「ここはあれか?遂に俺の活躍の場が来たって事だべ?」
苗木「そうだ!『超高校級の占い師』の葉隠君ならきっと」
セレス「しかし大丈夫なのですか…?葉隠君のプロフィールをチラっと見ましたけど確率が微妙じゃありませんでしたか?」
葉隠「占い舐めんなよ!?10回のうち3回当てるってスゲー事なんだべ!」
朝比奈「占いの事はよく分からないけど何か信用出来ないよ」
葉隠「任せるべ!絶対に当たると俺は睨んでる」
桑田「何だかスゲー自信だけど理由でもあんの?」
葉隠「実はこの学校に来る前に6回連続で外してんだべ!つまり次は8割の確率で当たるって事だべ」
朝比奈「はい、かいさーん!割の数も間違ってるし」
桑田「自信満々に言う事でもないよな」
苗木「ちょ、ちょっと待ってよ朝比奈さん!桑田君!試すだけさ!試すならデメリットはないでしょ!今は僕達は何でもいいから情報が必要でしょ!?」
朝比奈「うーん、まぁ確かに言われて見ればそうだね…分かったよぉ」
葉隠「よぉし!そうと決まれば俺ッチがビシーと決めてやんぜ!学園からの脱出の鍵!それは…トイレの中にあるべっ!」
桑田「7回目だな」
山田「ここまで外すのは逆にミラクルなんじゃ……」
葉隠「な、何で諦めムードなんだっぺ!?確かめてもいねーのに勝手な事ばっか言ってんじゃねーぞ!」
舞園「アハハ……トイレに学園の抜け道はさすがにー」
腐川「あ、あるわけないじゃない。バカじゃないの」
苗木「で、でもこれで7回って事は残りは全部当たりって事だよね!そうだよね葉隠君!?」
葉隠「外したかはまだ分からんが当たり前だべ!俺にはその自信がある」
苗木「じゃ、じゃあさっそく」
葉隠「いんやそれは無理だべ。充電しなきゃいけねーから次に、まともな占いが出来るのは一週間後だべ」
十神「ふん、実に素晴らしい時間の無駄遣いだな。俺は戻らせてもらう」
朝比奈「あーあ。バカのせいで疲れちゃった」
セレス「それでは、これにて解散ですわね」
石丸「新しい情報がないとなれば仕方ないな。これをもって会議を終了とする!」
霧切「ちょっと待って…」
霧切「学園内のマップよ。一階のだけだけどね」
苗木「す、凄いよ霧切さん!助かるよ!」
山田「ダンジョンで大切なのは食料や武器や仲間よりまずは地図と言いますからね!」
石丸「これを参考にしてまた明日から探索をすれば効率良く捜査出来るな!でかしたぞ霧切君!遅刻の件は無しにしようじゃないか」
戦刃(江ノ島)「そうだ。気になったんだけど、至るところに監視カメラがあるからもしかしてあいつがトイレ覗きとかしてるんじゃ…」
朝比奈「うぇ!?気持ちわるーい!」
舞園「さすがにモノクマさんでも常識は……ないかもですね」
モノクマ「ちょ、ちょっとまちなさーい!」
葉隠「うわ!出やがった!」
桑田「あのよ、い、いきなり出てくんの止めてくんね?なんか現実離れした物がいきなりくるとビビるって」
朝比奈「そ、そうだよ!『ピンポンパンポーン!モノクマが現れます!』とかいうチャイム作りなさいよ!」
苗木「(それ誰も得しないよ…!)」
モノクマ「グヌヌ…!いくら僕が海の様な器の大きさを持ってるからって侵害だなあ。トイレには監視カメラも盗聴機もありません!」
朝比奈「もー!どうでもいいから帰ってよ!別に呼んでないんだから!」
モノクマ「ショ、ショボーン…訂正しにきても叩かれるボクって…虐めはこうやって行われているんだね。未来ある子供達の為にPTAに報告しに行こう…虐めは会議室じゃない!学園で起こっているんだね。トホホ…」
石丸「さて邪魔者がいなくなったところで解散しようか!」
藤二咲「そ、そうだね。すっかり夜遅くなっちゃったし」
大和田「夜かもどうかも怪しいもんだけどな。仕方ねぇか」
舞園「苗木君、あの…」
戦刃(江ノ島)「よーし苗木、帰ろーよ!ついでに怪我の状況確認してあげっからさ!」
苗木「江ノ島さん、だから大丈夫だよ。本当にコブすら出来てないから」
戦刃(江ノ島)「怪我っていうのは後からくるタイプもあんの知らないわけ?ほらストレッチストレッチ!」
苗木「分かったから!江ノ島さん引っ張るのはやめようよ」
モノクマ「ムムム…あの二人怪しいですなぁ…」
朝比奈「また出てきた!」
モノクマ「怪しいなぁ…ハァハァ。もうBぐらいいっちゃってるのかなぁ…それともβぐらいまでいっちゃってるかもねっ!」
葉隠「だーから帰れっつーの!」
腐川「そ、その顔見てると吐き気がするのよ!この異常者!」
モノクマ「また虐めかあ…いいもんね!ボクは泣かない!強くなるんだもんね!!」
モノクマ「そして泣くのは君達なんだよ」
霧切「どういう意味?」
モノクマ「ウププ…別に深い意味はないよ?それは後のお楽しみって事で」
霧切「………………」
舞園「何かを初めるつもりなんでしょうか…不安です」
霧切「今は考えても仕方ないと思うわよ。それと舞園さん、彼に何か話したかったんじゃないの?」
舞園「見られちゃいましたか。大丈夫です…また話せる機会があると思いますから」
霧切「………そう」
部屋に戻った僕は、すぐにベッドに横たわり今日1日の事を考え整理した。ゲームの中にいるかの様な出来事に頭がパンクしそうだったから
苗木「(学園でのコロシアイ、モノクマ、そして学園内の謎、江ノ島さん、考える事はいっぱいだ)」
苗木「(ん…?江ノ島さん?何で江ノ島さんなんだ?今日1日彼女と行動を共にする事が多かったから?)」
苗木「(いやそれ以前から片隅には彼女がいて無意識に考えていた気がする)
苗木「(これって……………)」
江ノ島「順調じゃん!残姉ちゃん。やや危なっかしいけど落第点あげちゃおっかな。まっあたしの見本品にはならないけど」
戦刃「うん。頑張ってるよ…でもまだ皆疑心暗鬼で何もアクションは起こさないと思う…」
江ノ島「現場の雰囲気は現場でしか分からないっていうしね。大丈夫そろそろ絶望へと動かしてくからさ」
戦刃「………………」
江ノ島「どうかしたお姉ちゃん?何、やっぱり苗木を騙すのが嫌になってきた」
戦刃「あたしは盾子ちゃんの為に動くだけだよ…今までもそうしてきたから大丈夫」
江ノ島「じゃ、この調子でお願い」
苗木「はぁ…(やっぱり起きても状況は好転しないか)」
苗木「食堂に行こう」
ドアを開けて食堂に向かう。
霧切「苗木君」
苗木「うわっ!どうしたの霧切さん(横からいきなり声かけられるとビックリするな。やっぱり)」
霧切「夜時間に話したい事があるんだけど何か予定はあるかしら?」
苗木「え?えぇっと特にないかな?」
霧切「そう。じゃあ夜時間にまた会いましょう。チャイムがなったら私の部屋をノックして」
苗木「うん。覚えておくよ」
霧切「話は以上よ。それじゃあ」
舞園「おはようございます。苗木君」
苗木「やぁ。おはよう舞園さん。何か顔色悪いけど、やっぱり寝てられないよね」
舞園「はい…こうしているのが正しいのか不安でしょうがなくて」
苗木「皆で協力すれば大丈夫だよ!きっと外に出れるさ!」
モノクマ「ウププ…まだ、外に出たいなんて希望を持っちゃってるの…?滑稽だなあ」
苗木「あ、お前…!」
戦刃(江ノ島)「ナチュラルに登場してんじゃねぇよ!さっさと出てけ」
朝比奈「っていうかチャイム付けてって言ったのに…」
モノクマ「いや、ね。そろそろ何か起こらないと物語としてそれは飽きちゃうんじゃないかとボクは思ってるんだよ」
苗木「あっちいけよ!」
モノクマ「物語で一番ダメなのはマンネリ化何だ。常に刺激を与えないとダメなんだ!逆に考えれば刺激さえ与えれば物語なんかめちゃくちゃでもいいって事だよな」
葉隠「えーと、なんの話だべ…これ?」
モノクマ「と、いうわけでお前達に『動機』を与える事に決めました!」
舞園「ど、動機ってなんの為に…?」
モノクマ「ウププ、分かってるくせに…ズバリ、コロシアイを起こす為の動機なのだー!あっ言っておくけどお前らに拒否権はないからね」
モノクマ「それじゃパッパとマッハで体育館に集合してください!」
――体育館――
モノクマ「え?オマエラ何しにきたの……?」
一同「は?????」
モノクマ「なーんちゃって!ビックリした!?ビックラ越えてちょっと絶望しちゃった!?」
霧切「手短に要件を言ってくれないかしら」
モノクマ「はいはい…誰もボクと与太話なんかしたくないんだね。才能ある人物は常に嫌われるからね。しょうがないね…」
モノクマ「はい、では気を取り直して!集まって貰ったのはほかでもありません。何とボクから動機を与えようという素晴らしいイベントを企画しましたー」
苗木「………………」
舞園「………………」
モノクマ「ちなみに動機のきっかけのモノは視聴覚室にあるので向かってくださーい」
葉隠「は?体育館に集まった意味はなんなんだべ!?」
モノクマ「特にないよ…?ただ重大な発表っていったら体育館が基本じゃない?」
大和田「どこまでも人をなめころがしたヤローだなぁ!?」
戦刃(江ノ島)「いいよ。そんな奴ほっとけ。それよりさっさとその動機って言うのを見に行くよ」
苗木「あんまし気は進まないけど何か手がかりになるモノなら前に進む為には見るしかないんだね」
戦刃(江ノ島)「そういう事。危険を恐れてちゃ前に何か進めないんだから。ちなみに実体験ね」
苗木「(な、なんか江ノ島さんがいうと不思議と言葉に重みがあるんだよなぁ…)」
そして、一足早く視聴覚室に着いた僕は動機となるDVDを見て驚愕した。
「何だよこれ……」
僕の家が、家族が―――――
「なんなんだよこれ!!!!」
掠れた声はいつの間にか絶叫になり怒号になっていた。
「(帰らなきゃ………今すぐ帰らなきゃ!!)」
ボクはどこに行くのかも自分でも分からないまま視聴覚室を飛び出した。
走って走って走って、色んなところにぶつかって最終的にたどり着いたのは最初にいた教室だった。
苗木「………何でここに来たんだろ……ああ、そうか…」
僕は全てが創まったここに戻ってきて全てをやり直したかったんだ。夢なら醒めて欲しい。甘い願いを胸に秘めて
だけど奇跡なんか起こらない。これは現実なんだ。何も変わりやしない
戦刃(江ノ島)「苗木…」
苗木「え、のしまさん…」
僕は慌てて涙を拭き振り向く。そこには哀れみと憤りの表情を浮かべた江ノ島さんがいた。
戦刃(江ノ島)「奇跡なんて…起こらないよ…」
苗木「…え……?」
戦刃(江ノ島)「奇跡は…自分自身で起こすモノ…待ってたって何も変わらない…」
苗木「江ノ島さん?」
何かいつもの江ノ島さんとは違う。いつもの彼女が『剛』だとするなら今の彼女は『柔』だ。まるでこういう状況でどうしたらいいのか自分でも分かっていない。
そんな雰囲気を感じ取った。
戦刃「悲しむ暇があるなら戦わなくちゃ…絶望と……正面から戦わなくちゃ…逃げないで…」
苗木「でも江ノ島さん…僕はもうどうしたらいいのか分からなくて」
頭の中で色んな物がぐるぐる回って何からどうしたらいいのか分からない。
戦刃「私にだって分からないよ…自分の為に動いた事なんてあたしはないから…」
戦刃「でも…苗木君ならそれが出来るはず…自分自身を理解して人の為に奇跡を起こせるはず…だって……」
戦刃「(記憶を失う前の苗木君がそうだったから。私の……)」
苗木「ごめん。江ノ島さん…気を使わせちゃったよね…」
戦刃(江ノ島)「はあ?別に気なんか使ってないし!ウジウジしてるあんたにイラッとしただけ」
苗木「(え?また変わった?)」
でも何となく分かってきたかも知れない。少なくとも一つだけ確信した。
苗木「ねぇ、江ノ島さん。決意表明って事で聞いてくれるかな…?」
戦刃(江ノ島)「んー?手短に頼むね」
苗木「僕は江ノ島さんが好きだよ」
江ノ島「どうやら皆さんやっと事態の深刻さを理解したみたいですね…それもこれもわたしの動機のおかげですよね…」
戦刃「うん…そ、そうだね…全部、じゅ、盾子ちゃんの作戦通りに、す、すんでるんじゃ、ないかな…?」
江ノ島「あれれー?どうしたのお姉ちゃん?お顔が真っ赤だよー?熱でもあるー?」
戦刃「だ、いじょうぶ…全然大丈夫だから心配しなくて大丈夫だよ」
江ノ島「っつーか全部知ってから!遂に苗木にコクられちまったみてーだな!それですっかりノボセ上がってんのか!」
戦刃「そ、そんなんじゃないの…私はただ」
江ノ島「あーそうそう。お姉ちゃん今日はここにいていいよ。夜時間はあたしが寄宿舎に行くから」
戦刃「え?」
江ノ島「残姉が私様の影武者を上手く演じられているかの最終確認じゃ…何も問題なければ残姉の役目も終わりを向かえるのじゃ」
戦刃「もう、そんな段階なんだ…」
江ノ島「何か不満がおありか?」
戦刃「ないよ…ううん…何も…ないよ……」
苗木「そろそろ霧切さんとの予定の時間かな。行ってみよう」
ピンポーーン
苗木「ん?霧切さんかな?迎えにきてくれたとかかな?」
江ノ島「キチャッタ………」
苗木「え、え、えととりあえず入る…?」
正直物凄く気まずい。決意表明なんて偉そうな事言ったけど今までずっと悶えていたのは内緒にしておこう。
江ノ島「苗木ィ、キチャッタヨオ!キチャッタんだよお!」
苗木「き、来たのは分かったから落ち着いてよ!」
江ノ島「責任取ってくれる………?」
苗木「いや、いきなりそんなところまで…って……あれ?」
なんだこの違和感。
苗木「江ノ島さん…?」
江ノ島「苗木…」
苗木「いや何で近づいて来ちゃってるの!?」
やっぱりおかしい。なんだろうこの違和感。今までの江ノ島さんが狼の皮を被った犬だとしたら今の江ノ島さんは犬の皮を被った狼の様な雰囲気を感じる
でも江ノ島さんは江ノ島さんだ…間違いないはず…
江ノ島「苗木の告白の返事にきたんだけどめんどくさいからもうCまでいっちゃおうよ」
苗木「うわっ!」
江ノ島「(苗木とこうした後に後に絶望を与えれば更にその絶望は大きくなる!ウッヒャー!最高じゃん)」
苗木「だめだよ江ノ島さん」
江ノ島「は?何で?だって苗木はあたしの事が好きなんじゃないの?」
苗木「うん。僕は江ノ島さんが好きだよ………でも今の江ノ島さんは何か……怖いんだ……」
江ノ島「こ、こわい…?」
苗木「僕の知ってる江ノ島ならこんな感じじゃなくてもっと守ってあげたくなる感じなんだよ…ごめん。何言ってるか分からないだろうけど」
江ノ島「へー。そっか。じゃああたしは邪魔者って訳だ」
苗木「そ、そういう訳じゃないんだ」
江ノ島「いいのいいの!あたしはもう戻るから苗木ももう休んじゃって」
苗木「江ノ島さん…(怒らせちゃったかな…ちょっと失礼だったかも知れない…)」
苗木「………あっ…そうだ。霧切さんとの時間だ。行かないと」
部屋を出て隣の部屋をノックすると霧切さんがヒョッコリ顔を出した。
霧切「もう苗木君も疲れてるだろうから手短に言うわ」
苗木「うん。今日はちょっと色々あったから疲れちゃったよ」
もしかしたら察してくれたのかな?
霧切「明日、舞園さんと話しをしてあげて」
苗木「え?」
霧切「彼女、多分危ないわ。昨日も行動が少しおかしかったの」
霧切「苗木君は彼女と同じ中学だったんでしょ?私が聞いてもいいんだけど比較的知ってる人の方が悩みを打ち明けやすいと思うから」
苗木「あれ?同じ中学って霧切さんに教えたっけ?」
霧切「どうでもいいでしょ…とにかく明日なるべく早く聞いてあげて…手遅れにならないうちにね」
手遅れ…そう聞いた瞬間背筋がゾッとした。つまり霧切さんは舞園さんが近いうちに起こすとにらんでいるんだ
コロシアイを
江ノ島「あー久しぶりに来たなこの感覚…」
江ノ島「でも絶望とは違う…何?この感じウザイ!」
江ノ島「苗木、明日あんたに絶望を見せてあげるよ…」
苗木「ここで起きるのにも慣れてきちゃった気がする。いや本当はダメなんだけど」
モノクマ「おはよーございます!苗木君」
苗木「うわああああああああああああああああああああ!!」
モノクマ「ウププ…相変わらずのリアクションだね苗木君…じゃあ寝起きついでに体育館に集合ね」
苗木「は?何でだよ?」
モノクマ「いいからいいから!最近の子供はすぐに理由を聞くから困るんだよな~」
モノクマ「遅刻したらお尻ペンペンだからねっ!僕の鋼鉄の爪でだけど」
苗木「ったく何なんだよあいつ………行く前に江ノ島さんに謝らなくちゃな」
ドアを出るとちょうど江ノ島さんと出くわした
苗木「江ノ島さん昨日は変な事を言ってごめん…僕も精神的に参っちゃってておかしな事を口走っちゃったね」
戦刃「へ……?あ、ああ別にそんなの気にしてないよ!ってか早く行かない?とまたあのタヌキに何されるか分かったもんじゃないしさ」
苗木「何も起こらなければいいけど……」
戦刃「(もしかしたら…側にいれるのは今日が最後かも…)」
モノクマ「良く集まってくれたねーオマエラ!ボクは凄く感心しています!」
モノクマ「ただしそれと同時に酷く失望をしていますよ…!」
朝比奈「ど、どーしてあたし達が失望されなきゃなんないのよっ!」
不二咲「ふえぇ…ボ、ボク達っていつの間にかルールを破ったりとかしたのかなあ…?」
石丸「そんな訳がない!もししていたら体罰を与えられる筈だからな!」
モノクマ「ルールは守ってるよ。ただ純粋にルールを守っちゃってるからボクとしてはガッカリなんだよね…ショボーン」
腐川「い、意味が分からないわね…滝から落ちて死ねばいいのに」
モノクマ「せっかく動機を与えたっていうのにだーれも犯行に及ばないなんてちょっと予想外だよ……」
戦刃(江ノ島)「何だそんな事?だからあたし達は殺し合いなんてしないって言ってるじゃん」
朝比奈「本当だよ!そんなリアリティーのない事いきなり言われてあたし達が人を殺すと思ってんの!」
苗木「どうせ、あの映像だって捏造なんだろ。もし本当なら警察が黙っちゃいないし」
山田「そうだそうだーーー!!こんなサスペンスホラーなんかに興味はない!どうせやるならシュミレーション物にしろー!」
桑田「もういいっしょ。おめーがどんなイカサマしようと俺達は何もしねーよ。ってか俺には夢があるしそんな下らねー事をしてる暇ねーし」
モノクマ「夢?ウププ…夢ですか…」
苗木「な、何だよ」
モノクマ「夢と言えば、舞園さん。君の夢もその程度の夢だったんだねー!」
苗木「お、おい何を」
モノクマ「その程度の覚悟ならさーその制服の中に隠し持ってる包丁も、もういらないでしょ」
舞園「………!」
モノクマ「そういえば舞園さんはグループ内仲間の皆さんをとても信頼していましたね」
モノクマ「ウププ、その信頼していた仲間達が舞園さんがいなくなった時になんて言ったか教えてあげようか………」
戦刃(江ノ島)「お、おい!下らない真似してんじゃねーよ!また嘘吐いてあたしらを騙す作戦かよ」
モノクマ「ムムム、騙す…?ボクは嘘を付いた事なんて今まで一度もないよ?」
戦刃(江ノ島)「今だってデタラメな嘘降りまいて犯行を促そうって魂胆だろ!?」
モノクマ「おやおや。嘘嘘嘘嘘ってそんなに僕が嫌いですか?なら踏んで殴って蹴って焦らして吊るしたりしてもいいんだよ?
戦刃(江ノ島)「上等っ…!あたしはあんたがずっと気にくわなかったんだ!今ここで全部やり返す」
モノクマ「やれるモノならやってみろー!ボクは悪には屈しないのだー」
テコテコと歩いてくるモノクマを見て戦刃は感じた。
戦刃(江ノ島)「(あ、この合図…そっか…これであたしの役目は終わりなんだ…)」
モノクマがどんどん近づいてくる
戦刃(江ノ島)「(これで…苗木君ともお別れ…………………お別れ…………)」
モノクマ「イテ…………ッってあれ…?何だ、何もしてこないの?」
戦刃(江ノ島)「何かやる気なくなっちゃった。あたしはあんたなんか相手にするのもバカらしいし」
モノクマ「ふ~ん。まぁそれならそれでいいけどね!じゃあ話を戻すよ」
モノクマ「ねぇねぇ、舞園さん!いったい仲間達は何て言ったんだと思う」
苗木「舞園さんダメだよ!こんな奴の言葉に耳を貸す必要なんかないんだ」
モノクマ「ウププ…彼女達はねぇ、実は心の中ではずっと君の事を邪魔者扱いしていたんだよ」
モノクマ「それもそうだよね。いくら頑張ってもセンターなんか奪い取れる訳がないもん。だって舞園さんは『超高校級のアイドル』なんだから」
舞園「あなたに…!」
モノクマ「誰しも一番になりたいと思っているものです。ライバルがいなくなったんだもん。喜んでましたよ!そりゃもの凄く。ねぇねぇ舞園さん…!どんな感じ?」
モノクマ「信じていた仲間達から裏切られて、そしてそのグループももう解散しているなんてどんな絶望なの?」
舞園「あなたに私達の何が分かるって言うの!?」
モノクマ「何も分かっていないのは舞園さんの方じゃないの?ウププ…分かったふりして何も分かってない方が滑稽だけどね」
舞園「あなたが、あなたがいなければこんな事にはならなかった…!」
そう言って感情が爆発した舞園さんは僕達の間を走り抜けてモノクマに一直線に向かっていく。右手に包丁を握りながら
戦刃(江ノ島)「(危ない!)」
戦刃は長年の危機察知能力を瞬時に舞園を止めようと足を動かそうとしたが
戦刃(江ノ島)「う、動かない!何で…」
その瞬間モノクマの目があった
モノクマ「ブヒャヒャヒャヒャヒャ!!」
戦刃「(ああ、そっか…今までずっと盾子ちゃんの矛としてやってきた私が…逆らえる訳がないんだ。それも盾子ちゃんの計算の内だったんだ…)」
ドスッという鈍い音がしたと同時にモノクマの腹に包丁が突き刺さっていた。
モノクマ「ブヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ!!!」
舞園「な、何を笑ってるの………」
モノクマ「いやー、もし使い損ねたらどうしようかと思ってたんだけど上手くいって助かったよ。それ、助けてグンニグルの槍ー!」
ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ ドスッ
苗木「あ………っ!
石丸「う、……嘘だ」
舞園「ガボッ………!」
朝比奈「いやあああああああああ!!!!!」
戦刃(江ノ島)「(使い損ねた……?もし私があのままモノクマに体罰を与えたら盾子ちゃんは私を殺すつもりだった……!?)」
このSSまとめへのコメント
残姉厨って残姉を真っ当に捏造するけど妹様と同じ絶望だからな?
自分で考えない分更生もしやすいだろうが、だからこそ業が深いよな……。なんかミライ族とか出てくるSS思い出したわ
いいね