ナズーリン「モノ探し?」(56)

ナズーリン「モノ探し?」

モブ人間「はい・・・」

ナズーリン「いきなりで申し訳ないんだが、一体何を探して欲しいというのか?」

モブ人間「髪飾りを・・探して欲しいんです。」

ナズーリン「ほうほう。なるほど。して、どのような髪飾りなのか?」

モブ人間「桜の花びらの形を模した・・ものなんです。」

ナズーリン「(ずいぶん、小さい声で話す人間だな。)・・いいだろう。探してきてあげよう。」

モブ人間「え・・それだけで・・」

ナズーリン「ああ、心配いらんよ。私にはちょっとお誂え向きの力があるのでね。」

(場所は変わって)

ナズーリン「うーん、この辺りから反応があったのだがな・・」

ルーミア「お、鼠さんだー。こんなところで何してるのー。」

ナズーリン「ナズーリンだ。人食いめが。生憎だが私は今頼まれごとを引き受けている。
      相手はしてやれんよ。」

ルーミア「頼まれるー?モノ探し?」

ナズーリン「応ともさ。私が他に頼まれることといえば、紛失癖の酷い御方の尻拭いと、
      如何にも暇人が行なっていそうなモノ探しくらいしかやることはない。
      そんな私を嗤いにでも来たのか?」

ルーミア「うー。酷い。考え方がポジティブ過ぎる。」

ナズーリン「ネガティブだ。それで、用件はなんだ?悪いが、
      食料を探せという依頼だけは受けられんぞ。
      怨霊にでも憑かれたら嫌だからね。」

ルーミア「本当に口が汚い鼠さん。せっかく探し物を手伝おうと思ったのに、
     その言い草はないよー。」

ナズーリン「なら要点だけ伝えればよし。そういうことなら益々不要だ。
      私は自分独りでも探すことが出来る。お前の力は借りん。」

ルーミア「えー。でもー。私も暇なのにー。」

ナズーリン「私も、とは引っかかるな一応これでも多忙・・(ピコン、ピコン)
      ・・ぬ?」

ルーミア「あ、すごーい。ダンシングが踊ったー!」

ナズーリン「それを言うなら、ダウジングが動いたー!だ。
      ええい、人食いなどと会話を重ねている場合ではなかった。
      職務に戻らねばな。」

ルーミア「えー、弾幕したいー。弾幕ー。」

ナズーリン「今度相手をしてやるわ。それまでにその足らん頭を整理しておけ。
      では私は失礼するよ。道草を人食いなどと共に喰っている場合ではないからな。」

(ピューんと飛んでいく)

ルーミア「あー・・そっちは・・・・まあいいかあ。
     どうせ探し物なんて人間からの依頼でしょー。
     物事をすぐに忘れてモノを失くす生き物なんて人間だけじゃん。
     あー、お腹すいたのかー・・・・やっぱアレ一人じゃ足りないねー。」

(更に場所変わって)

ナズーリン「まったく、今日は厄日なのか。人食いに無駄な時間を使うとは、なんたることだ。」

(ピコン、ピコン、ピコン)

ナズーリン「お、反応が強いな。恐らくこの下の森の中か。ぐえ・・
      ここはあの人食い妖怪の類友だらけの森ではないか・・。
      なんともはや・・・さっさと用を済ませて帰りたいな。」

(森に降りる)

ナズーリン「ふーむ。やはり陰気臭いな。この場にあの虎印のノータリンがいたら、
      流石に、顔を青くしているところかな。」

???「おやな、こりゃあメズラシイ。」???「めんこい娘子がきよった。」

ナズーリン「話すことはないぞ畜生ども。その手と口に咥えているモノと同等に穢れた貴様らに用はない。
      私は少々頼まれごとで来ているだけだ。浅ましい根性を見せびらかして近づくなよ。下郎が。」

モブ人食いA「おお、こわやこわや。御仁が怒っておるのお。」
モブ人食いB「怒っておる。怒っておる。ヒョヒョヒョ。」

ナズーリン「(あいも変わらず気色の悪い、ハゲ頭に猩々の様な身なり。
       吐き気がする醜悪さだ・・。そして何より・・)」

モブ人食いA「どうするのう弟よ。御仁はどうもコレは要らんらしいぞ。」
モブ人食いB「そうらしいのう兄者。ヒョヒョ。ワシに一本くだされ。」

(ボトッ。グチャ。ぐちゃ。ムシャムシャ。)

モブ人食いA「ううむ。やはり生娘の肉は旨いのう。口の中で溶けるようじゃ。
      主もそう思うじゃろ?弟よ。」
モブ人食いB「おお、おお、そうとも兄者。(ぐちゅ。ぐちゅ。)本当に美味じゃあ。」

ナズーリン「(この周りにある。死骸と、鼻が曲がる腐臭・・。
      耐えられんな。コレは。長居などしたくもない。)」

(ピコン、ピコン)

ナズーリン「ぬ、この近くか・・」

モブ人食いA「ほほ、仕事熱心じゃのお。何やら探し物かえ?旧鼠様。」
モブ人食いB「熱心じゃ。熱心じゃ。お仕事上手よ。ヒョヒョヒョ。」

ナズーリン「それ以上勘繰るなよ。塵芥どもが。・・・・結構。
      何か言いたいことがあるなら、前に出よ。
      我が眷属達もちょうど腹が減っているところだ。」

(チュー、チュー、チュー、 わらわら鼠がナズーリンの懐から出てくる)

モブ人食いA「おお、おお、恐ろしや。今しがた食っておったのに、食われてはかなわん。
      くわばらくわばらじゃ。」
モブ人食いB「ワシらの様な卑しいのはここから動かぬゆえ、旧鼠様の思うままに仕事をしてくだされ。」

ナズーリン「分かればよろしい。それ以上は近づくでないぞ。」

モブ人食いA&B「はは。」

ナズーリン「(兄弟揃って全く同じ顔か。気色悪さが倍増しだな。
       それにしても・・あそこに転がっているのは、やはり
       人間の・・・・・ご主人を連れてこなくて正解だな。)

モブ人食いA「流石尊い御方じゃ。やはり妖怪寺の僧ともなれば、
      ワシらのような畜生にも慈悲をくださる。これも御仏の加護じゃのう。
      弟よ。」
モブ人食いB「そうよな。そうよな。流石仏は掌が大きいのう。」
モブ人食いA&B「( ^Д^)ゲラゲラ( ^∀^)ゲラゲラ」

ナズーリン「(森でなければ五体を引き裂いた後、眷属の糞にでもしてやるところを。
       場所が場所だ。他の人食いに見られるとマズイからな・・。)」

(ピコン、ピコン、ピコン)

ナズーリン「さて、眷属達よ。仕事を頼む。お前たちの眼を借りたい。
      この近くにある人間の髪飾りを探しておくれ。」

(ザザザ! ザザザ! 鼠の大群が四方に散らばる。)

ナズーリン「ふむ、これなら数刻時間があれば直ぐに見つかりそうだな。」

モブ人間A「うほお。やはり美味いのお。」
モブ人間B「本当じゃのう兄者あ。」

ナズーリン「(人食いか・・・。白蓮様の手前、もうそのような愚行は行なってはおらんな。
       しかし、・・あの汚い猩々二匹に狩られて食われるのには流石に同じ妖怪の身としては
       同情に値はするか。・・不運なものだ。)」

あ、いけない。間違えた。

モブ人食いA「うほお。やはり美味いのお。」
モブ人食いB「本当じゃのう兄者あ。」

だった。訂正です;。

モブ人食いA「のう。弟よ。これで以前に失敗は取り戻したのお。」
モブ人食いB「そうじゃのう。兄者。これで取り返したわ。」

モブ人食いA「この前人間の小娘の二匹目喰いそこねたからのう。
      これでちょうど二人目じゃあ。」
モブ人食いB「ヒョヒョ。二人目じゃのう。」

モブ人食いA「いやあ。しかし。どちらもめんこい小娘じゃったのう。
      片方は静かじゃったのに、もうひとりはわんわん泣いて、
      やかましかったのう。」
モブ人食いB「ほうじゃほうじゃ。ヒョヒョ。兄者、そら、勲章じゃ、勲章。」
モブ人食いA「おお、おお、そうじゃったな。あの時小娘が腕を噛んだんじゃったのう。」
モブ人食いB「ほほ。流石に噛み付かれて歯型が残ったままじゃ。死ぬ気でやったのよなあ。
      すぐにワシが噛み付きの手本を見せてやったら、首の根っこごと食いちぎってしもうたよな。」
モブ人食いA「弟よ。修行が足りんのお。あれはうまいこと指の端だけ喰いちぎって悲鳴肴にするのが玄人じゃ。」
モブ人食いB「おお、そうであったか兄者、いかんのお。それじゃあワシも生娘と変わらんのお。」
モブ人食いA&B「( ^∀^)ゲラゲラ( ^Д^)ゲラゲラ」

ナズーリン「(気が散る・・・・本気で殺してえ・・)」

モブ人食いA「それにしても・・逃げた小娘は何処に行き寄ったかなあ・・」
モブ人食いB「なんじゃあ・・兄者?肉に情でも移ったかの?」

モブ人食いA「いやあ・・流石にこの森を抜けて逃げてはいまいがなあ・・、
      アレ一匹逃すくらいなら、一緒にワシの腹ん中にしまってやった方が
      幸せじゃったかもしれんのお・・」
モブ人食いB「ヒョヒョ。お優しいのお。兄者。しかしそれでは二人一緒に混ざってしもうて。
      元々何であったかわからん様になってはかなわんのう。ヒョヒョヒョヒョ!」
モブ人食いA「ふひひ・・すまんのう。・・・ところで弟よ。おんしは、
      あの小娘一匹逃す時になにか落し物をしたと言っておったの。」
モブ人食いB「おお!そうじゃった。そうじゃった。
      ワシら狩りに来るついでで忘れておったわ!髪飾りよ!」

モブ人食いA「おお、おお、そうじゃ。綺麗な色をしたもんを記念に貰っておけば、
      香霖堂の小僧にでも売ってやれば高くつくのよ。して、何処に落ちたかの?」

ナズーリン「――――――――。」

(時は遡ること・・・命蓮寺)


ぬえ「おーい。野ねずみー。仕事だぞー。」

ナズーリン「正体不明。きさま。わざと言っておるのか。」

ぬえ「なんでさ。旧鼠ってもともと野ねずみの妖怪だろ。違うの?」

ナズーリン「もういい。脳みそまで色々混濁しとるヤツに語ることはない。
      んで、仕事って何さ?」

ぬえ「いやー、さっきから寺の前でウロウロしてる未亡人を見つけてさ。」

ナズーリン「一つ言っておくが、未亡人の意味を知っていて発言はしているんだな。きさま。」

ぬえ「えーと、なんかほら妙齢の美しい女性とか。なんかふさぎ込んだ雰囲気が綺麗な不幸美人というか。」

ナズーリン「豆腐の角に頭でもぶつけて死ぬがいい」

ぬえ「ちょっと酷い!なによその言い草!」

ナズーリン「だー!!!もういい!いいからその未亡人かっこはてなかっことじか?
      呼んでこい!!」

モブ人間「・・・・・」

ぬえ「連れてきたワケだが。」

ナズーリン「・・・・」

モブ人間「・・・・・・・・・・・」

ナズーリン「・・・・・・・・・・・・・・・・・」

モブ人間「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

ナズーリン「(喋らねえ!!)」

ぬえ「あー、ごめんごめん。流石にこの人が来た経緯を話さないとダメだよね。」

ナズーリン「経緯?ぬえ、お前さっき寺の前でこの御仁がウロウロしているところを拾ってきたと言わなかったか?

ぬえ「あー、あー、アレはね。何か経緯話すと引き受けてくれないかなー。と、思って。
   嘘ついた。」

ナズーリン「頭の中カオスってるの?ってか、寺の前でウロウロしてる人って傍から見たらさ、
      不審者だよね。そんな人からの方が私依頼受けたくないんだけど、ああ、そうですか、
      結局、呑気さMAXの紛失大王ご主人の宝塔探しを苦も言わずに引き受けている私なら、
      素性もわからん未亡人という怪しさ全開ステータスの御仁からの依頼であっても受けるとふんだのか。
      はいはいそうですか。わかりました。どうせ私は暇な一日虎印のお守りをしてるだけの無銭飲食者だよ。
      御仏も遂に惰性の日々を送る私に何か天啓を開かせるために混沌系女子のぬえ様にご加護をお与えになり、
      無償で人に慈悲を尽くせとおっしゃったわけだな。そうだろうそうでなくちゃおかし

ぬえ「うおお!ストーっぷ!そんな理由ではないから、単なる人助けだからさ。」

ナズーリン「人助けえ?」

ぬえ「えーっとね。この人ね。竹林のお医者さんのところに行ったんだけどさ。
   なんか、精神の病気?ってので、突っ返されてきたんだよね。
   何でも探し物をしてるっていう理由でお医者様たずねたんだけど、
   それだったら、他に適任が居るってことで、ここまで不死鳥が案内してきたんだよ。」

ナズーリン「精神の病気?」

ぬえ「えっとね、なんかホラこの人陰鬱な気放ちまくってるでしょ。
   眼も焦点合ってないし、まるで世界中の不幸を背負い込んだみたいでしょ。
   きっと相当酷いことがあって、うつ病にかかってるらしいよ。」

ナズーリン「本人の目の前で言うお前の性格がよっぽどヒデーわ。」

モブ人間(以降、娘)「あの・・・・・。」

ナズーリン「ん?なんだね?」

娘「あなたが、・・・・探し物をしてくれる・・・・妖怪?」

ナズーリン「うん?探し物をしてくれるというのが何か引っかかるが如何にも、
      そのような能力はもっている。」

娘「探して・・・・欲しいものが・・・・」

ナズーリン「え?(いかん、声が小さすぎて聞き取れん)」

娘「あ・・・・・・ごめん・・・・・・なさい・・・・」

ぬえ「ちょーっと。野ねずみ先輩。あんたもうちょっと優しく出来ないの。
   泣きかけてるじゃん。」

ナズーリン「お ま え が い う な。」


娘「ごめん ・・・ なさい。 ごめんなさいごめんなさいごめんなさい。
  私 ・・・だけ・・・生き残って・・・・どうして・・・ごめんなさい。
  あ・・あ・・ああ・・・・う・・うく・・・くっ・・・ひぐっ・・・」

ぬえ「あー。ちょっと大丈夫?なんか発作的に泣き出しちゃったよ。」

ナズーリン「・・・・・」

娘「ごめんなさい。私だけ・・・・・私も・・・・・う・・・・うう・・・・
  死ねば・・・よかった・・・・・。」

娘「はあ・・」

ナズーリン「モノ探し?」

すんません。失敗した。

娘「はあ・・」
ナズーリン「モノ探し?」

は、不要物だった。もしも、読んでる人居たらすんません。

(訂正・・・続きから・・・)

娘「ごめんなさい。私だけ・・・・・私も・・・・・う・・・・うう・・・・
  死ねば・・・よかった・・・・・。」

(バンッ!!)

娘「ひゃっ!?」

ぬえ「ちょ!ナズ!何背中叩いてんの?」

ナズーリン「ふうむ。こりゃあいかん。欝の気が少し強すぎる。娘さんよ。
      安心めされよ。まだ、驚いて声を上げる元気が残ってる。
      心配のしすぎはいかんぞ。」

娘「・・・は・・い・・?」

ナズーリン「それで依頼だがな・・娘さんよ。」

娘「はあ・・」

ナズーリン「モノ探し?」

(場面戻る――――――)

(チュー、チュー、 ねずみの群れが何かに集まる。」

ナズーリン「あ・・」

ナズーリン「これか・・・これなのか・・」

(血でべっとり汚れた髪飾りが見つかる。)

ナズーリン「はは・・なるほどな。因果なものだ。そうだな。
      娘さんよ。安心されよ。・・見つけたぞ。・・確かにな。」

モブ人食いA「おお、旧鼠様!それは!」
モブ人食いB「おお、それぞ!小娘が落としたかんざしぞ!」

ナズーリン「そうだな・・。そりゃあ声も言葉も失うな。
      大切にしていたものが無くなるんだ・・。
      口の葉に言葉ものぼらんよな。これで一部は取り戻したぞ。
      ・・・・娘さん。」

モブ人食いA「おお、何とお優しいことじゃあ!ワシらの失くしものを探してくれるとわ!」
モブ人食いB「そうじゃあ!流石は尊い旧鼠様じゃあ!!」

ナズーリン「ははは・・これで見つけたな。一仕事はここで終わり。
      さて、これで最後の仕事か。」

モブ人食いA&B「ありがたや!!旧鼠様!それを我等に!」

ナズーリン「近づくなといった筈だ」

(ピュん!!!)

モブ人食いB「・・・・・おろ?・・・何じゃ・・ワシの腕・・・うで??」

モブ人食いA「ひいい!!お、弟よお!う、腕がなくなっておるぞおお!!」

モブ人食いB「ひぎゃあああああああああああ!!!!!
      イタイいいいいいい!!!!」

ナズーリン「言うことなしだな下衆ども。泣き声まで醜いな。」

モブ人食いA「ち、血迷うたか!!旧鼠様!ここは我等の領域ぞ!
      妖怪の賢者が狩場を許した相互不干渉域ぞ!
      な、なにゆえこのような蛮行を行われる!!」
モブ人食いB「いいでええええええいでえええええよおおお!!」

ナズーリン「ほう、蠅のたかった頭でもその程度は廻る姑息さがあるか。
      見所のあるクズだな。なら、何故お前らを撃ったのかも理解できる筈だな。」

モブ人食いA「な、なんと・・・何をおっしゃっているやら さ、さっぱり・・」

ナズーリン「簡単だ。貴様らが襲った側の小娘たちから依頼を受けた。
      簡単だ。実に簡単だ。探し物だよ。醜悪な木っ端ども。」

モブ人食いA「な、なにを・・・」
モブ人食いB「ひいい、ひいいいいい!!(゚o゚;;」

ナズーリン「その小娘から、件の髪飾りをとってきて欲しいという依頼を受けた。
      単純な話だな。私は単にこの髪飾りを取りに来た。」

モブ人食いA「な、ならば・・もはやワシらには用などない筈!!
      そ、そんな髪飾りなどいりませぬ故、どうか、その札をしまってくだされえ!」
モブ人食いB「ひいい!ひぎい!!ヽ(;▽;)ノ」

ナズーリン「一つ、下劣な脳みそでも想像を働かせる余地をやろう。
      まだ足りん。あの小娘がなくしたものがもう一つある。
      何かわかるか?」

モブ人食いA&B「(ガタガタガタガタ)」

ナズーリン「尊い人との絆だ。御仏もご本尊様もこれだけは探すことは出来ない。
      なにより、もう探しても見つからん。ただな、今ならまだ間に合うかもしれん。」

モブ人食いA「な・・・間に合う・・・とは・・?」

ナズーリン「取り戻せるかもしれん。なんとも私的な事情だがね。」

(チュー、チュー、チュー、 ねずみの群れがモブ人食いA&Bを取り囲む)

モブ人食いA&B「ひひひいいいい!!!きゅ、旧鼠様!!慈悲を!!」

ナズーリン「慈悲・・・?何を言っている。貴様らの向かう先など畜生道の果ての地獄よ。
      最初から裁きしか受けぬ身の分際で弥陀に慈悲をこうとは不信心極まりない。」

ナズーリン「殺生だ。肉片も残すな。」

(キシャーッ!!!!!! ガブッ! ガブッ!! ゴリゴリ!!)

モブ人食いA&B「うぎゃあああああああああ!!!!!!」

「ひいい!!」「やめてくれ!!」「うぐげあああ!!!」
「いぎいいいいいいい!!」「ひっぎぎぎぎぎぎ!!」
「ご・・・・!!!!!」「ぎぎぎぎぎ!!!」

ナズーリン「さて、そもさん。人は心を失くさば探すことは出来るのか?」

モブ人食いA&B「」

ナズーリン「せっぱと答えろ。餓鬼ども。もう舌も口も鼠だらけでは何も言えまいな。」

すいません。
Pcが落ちたので、スマホで書きます。
段落とかずれたらすいません。
宜しくです。

(場所は変わって---)

ナズーリン「はあ・・・」

ぬえ「お、何かすごい落ち込んでるなあ。大丈夫かい。」

ナズーリン「はは、まただよ。またやらかしたよ。あの放蕩紛失魔。
これで何回目だよ。あれか。
虎とか言ってるけど、猫なのか。
きっとそうだよね。だってだとしたら相性最悪でピッタリなんだよ。
ここまで過酷な労働ないよ。
こんどはどこ?地底?冥界?霊界?
あははは、全部行ったよそんなの。
もう私を苦しめて喜びを感じ

ぬえ「落ち着いてー!!被害妄想だからー!!」

ナズーリン「もうやだ。死にたい。」

ぬえ「完全に鬱だねー。」

ナズーリン「ん。そうだ。鬱といえば。」

ぬえ「ん?何?誰かの話?」

ナズーリン「あの娘さん。どうなったかな。ってね。」

ぬえ「ああ、あの友人を人食いに喰われて一人だけのうのうと生き残った、
あの哀れで舌足らずな娘さん。」

ナズーリン「ねえ、やっぱあんたさ、
性格悪いって言われない?」

ナズーリン「 まあ・・ね。流石にご主人には物凄い怒られたね。
普段あり得ないぐらい激昂してたし。」

ぬえ「あー。私もあのときばかりは、
ナズが星さんに殺されるんじゃないかと、
ヒヤヒヤしたなあ。」

ナズーリン「まあ、寺の外で殺生すりゃあな。
あのとき私ゃ流石に死んだかなー。って思ったな。
ははは。つくづくあの日は厄日だったな。」

ぬえ「あ、そういえばさ。
あの娘さんだけど。結局永遠亭で引き取ったらしいよ。」

ナズーリン「そうなんだ。・・・ま、私にはもう関係ないがな。」

ぬえ「(にやり)」

ナズーリン「なんだ、その顔は。」

ぬえ「べつにいー。なんかー。
ナズが嬉しそうに、
微笑んでる気がしたからねー。」

ナズーリン「な、なに言ってる!
私はな、探し物を探しただけだ!
妄言撒き散らすなごちゃ混ぜ妖怪!」

ぬえ「うわ、図星なんだ。
可愛すぎる。ブフッ・・!
そんなにあの娘さんの心配してたんだ。ブファッ!!ククク!」

ナズーリン「はは、面白い冗談だ!
よし、わかった。表へでろ!正体不明!
その触覚だか尻尾だかわからん物体へし折ってくれる!」

ぬえ「上等!
ここ最近まともに相手に恵まれてないしね。
来なさいよ。窮鼠。虎の一部を持つ私に噛みついてみろ!」

ナズーリン「つくづく人の神経を逆撫でするな。
よろしい。ならば

白蓮「あらあら、まあまあ。
楽しそうですわね。
私も混ぜていただいていいかしら。」

ナズ&ぬえ「!?」

白蓮「あら?二人とも、
戦わないのですか?」

ナズーリン「白蓮様!
経文を読みに人里へ行かれたのでは!?」

白蓮「ええ、そのつもりでしたが、
ちょっと急用が出来たので。」

ぬえ「なんつータイミング。
心臓とまりかけたわ。
って、私心臓なんてなかったっけ。」

白蓮「ナズーリン。あなた宛に、
永遠亭にいた可愛らしい娘さんから、
ですわ。」

(すっと、手紙を渡す)

ナズーリン「えっ。私に・・」

白蓮「(ニコリ)」

ナズーリン「う、受けとります。」

ぬえ「お、すごーい。あの娘手紙かいたんだ。」

(ナズーリン、内容読み。微笑む)

ナズーリン「白蓮様」

白蓮「なんでしょう?」

ナズーリン「そもさん。
人は心を失くさば探すことは出来るのか?」

白蓮「せっぱ。
真に失わなければ探すことは出来るでしょう。」

ナズーリン「しかし、私は

白蓮「まだ問答の途中ですよ。」

ナズーリン「そのこころは?」

白蓮「今、あなたの持っている髪飾りに、
あなたの求める心が宿っているのです。」

ぬえ「あ!それ!あの時の髪飾りだ!
なんで?送り返してきたの?」

ナズーリン「そうか。これだけあれば良かったんだな。
娘さん・・・
仇なんてとる必要はなかったんだな。」

白蓮「人は迷い、忘れ、失うもの。
大切な人も、モノも、尊厳も、
しかし、生きることは離別の悲しみを負うも同じこと。ならば、

ナズーリン「失ったなら、
その人を思い出す何かを心に宿す。
この髪飾りは、尊い方の心そのもの。その人の生きた証。」

白蓮「月並みですが、まあ、よいでしょう。」

ぬえ「えーっと。私だけ仲間外れー!
私も混ぜてー!」

ナズーリン「ということは、
私はまた余計な節介をしたのですね。」

白蓮「そうでもないですよ。」

白蓮「その手紙と髪飾りが送られてきたこと。
それは貴方の行いを否定するものでしたか?」

ナズーリン「・・いいえ。」

白蓮「では、あなたの行いはきっと正しいのでしょう。」

ナズーリン「・・はい。」

ナズーリン「あ、そうだ。
急用を思い出した。」

(飛び始めるナズーリン)

ぬえ「あ、ナズ!いきなりどこに行くの!」

ナズーリン「なあに。結局。
私に出来ることなど決まっているんだ。
ただ失くしものを届けることさ。」

ぬえ「永遠亭に行くの! ?」
白蓮「確り渡してくるんですよ。
それはあの娘が持つべきものですからね。」

ナズーリン「当然、責務を果たすは、
家臣の務めだ。
不肖、毘沙門天様宝塔捜索隊長、
このナズーリン。
なくしモノを届けに参る!」

(永遠亭)

ナズーリン「やあ、久しぶりだ。」
娘「あ、貴方は・・」
ナズーリン「そら、なくしたモノ、
届けに来たよ。」
娘「え、でも、それは・・」
ナズーリン「この髪飾りには、
尊い方の本尊が宿ってる。」
娘「え・・」
ナズーリン「失った心が宿る品だ。
私は探すことしかしないんでな。
こんなもん貰っても手に余る。
そら、返すぞ。」

娘「この為にわざわざ・・?」

ナズーリン「そうだが、なんだ?
この後間抜け虎の落とし物探しでな。
悪いが手短に

娘「ありがとう。・・本当にありがとう。」

(抱きつかれる。)

ナズーリン「うのおお!!?や、
やめんか!?」

-物陰-

紫「ふーん。ま、
退屈しのぎにはなるわね。」

ルーミア「でしょー。」

紫「それで、貴方の領地で、
貴方の部下があのネズミに殺されたワケだけど、
なんのお咎めもなしでいいのかしら?」

ルーミア「要らんよ。
正直彼処は塵の掃き溜めしか居ないからね。
喰い方も粗雑で矜持がない。
厄介払いが出来て寧ろ助かった。」

紫「残酷な話だわ。」

ルーミア「そうだね。
何せこの話に生きた人間なんざ一人として居ないんだよ。」

紫「どういうことかしら?」

ルーミア「残酷な話のことさ。
なんせ、あの娘は生きた普通の人間じゃない。
私が保証するよ。」

紫「・・・悪趣味なのね」
ルーミア「あはは、今さら言うの?ソレ。」

紫「随分とややこしい話ね。」

ルーミア「そうだね。でも事実だ。」

ルーミア「あの娘は三日前の晩に、
食糧にした。
なのに、五体満足で立っている。
不思議だね。」

紫「最初から知ってて見てたのね。
貴方。」

ルーミア「真実は醜い。
いつも闇が側にいる。」

紫「蓬莱人なのかしら?」

ルーミア「というより、
妖怪のなり損ないだ。
どちらかといえば、
そうだなあ・・橋姫が近いかな。」

紫「でも、復讐は遂げたわ。
あの娘。」

ルーミア「確かに。バカとネズミは
使いようだよ。」

紫「で、どうするの?」

ルーミア「何が?」

紫「ナズーリンには伝えるの?」

ルーミア「まさか。実際あの娘、
私を見かけりゃ殺しにかかるよ。
今度は博麗あたりがくるだろ。
そんな自殺行為はゴメンだ。」

紫「そうかもしれないわね。」

ルーミア「恐ろしいね。
人間ってのは。
大切なものを奪われりゃ、
例え人外になってでも取り返す。
あの娘がいい例だ。周り全てを利用した。」

紫「当然だわ。
だって妖怪を退治するのは、
人の役割ですもの。」

ルーミア「あはは、違いないね。」

紫「ふー。ま、今回はこれ以上の詮索は止めますわ。」

ルーミア「帰るの?」

紫「ぶっちゃけ私、今回は傍観者ですもの。
あのネズミと小娘は仲良くやれば、
それはそれでいいんですよ。」

ルーミア「ま、真実は永遠闇の中。
いいね。私の分野だ。」

紫「真実なんて知らなくても生きていけるわ。」

ルーミア「見たいものが
真実、
でもいいのかね?」

紫「少なくともネズミにとっては、
そのほうが幸せよ。」

ルーミア「そうだね。
さて、話も宵越しから明け方に変わる。
ナズーリン。また、一緒に。
探し物をできるといいのかー」

紫「その口癖気に入ってるの?」

ナズーリン「?」

娘「あの、どうかしましたか。」

ナズーリン「いや、なにか一瞬居たような。気のせいかな。」

娘「あの・・」

ナズーリン「ん?」

娘「また、会いに来てください・・ますか。」

ナズーリン「ああ、また何かなくしたら、呼ぶといい。
どのみち探し物をするのが仕事だ。」

娘「はい。わかりました。」

ナズーリン「よろしい。ならば。
失礼する。また会おう娘さん。」

娘「あの、・・・お気を付けて。」

ナズーリン「ああ、また・・・」

(飛び去るナズーリン)

娘「・・・」


娘「・・ふふふ。」


(終わり?)

アナタニトッテナニガ真実?

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