アマデウス「……ご覧いただけただろうか……」

アマデウス「このように！　切った白いとこの爪が何事もなかったかのように再生する！　こいつらは……」

TV『化け物だぁ！』

「…………？」

えらいおっさん「一体どういうことだねこれはぁ！！」ﾀﾞﾝｯ

ショーコ「え？　え？」

カイン大佐「ふ……完璧な演出による完璧な証明。我らの一手によって、革命家気取りの学生たちは終焉の時を迎える。どうだね彼らの様子は」

アードライ「映像出ます」

ｻﾞﾜ　ｻﾞﾜ

ﾅﾝﾀﾞｲﾏﾉ　ｻｷﾁｬﾝｶｵｴﾛｲ　ﾂﾒｷﾚｲ…

ﾓｯﾄｳﾂｼﾃ！

カイン大佐「ふむ……これは」

アマデウス「少々刺激が足りなかったかもしれませんな」

カイン大佐「爪切り後の即時再生……彼女の異常性は充分に理解できると考えたのだが……」ﾊﾃ？

アードライ「大佐。恐れながら具申いたします」

カイン大佐「言ってみろ」

アードライ「はっ！　現在の映像では爪が再生したかどうか、定規のメモリではどうにも小さくて把握しずらかったのかと存じます。つきましては」

アードライ「比較対象が必要かと」

カイン大佐「比較対象」

アードライ「切った爪と切っていない爪、つまり」

アードライ「このみぎぃてとぉ」

カイン大佐「このひだぁりてぇええ！」

カイン大佐「両手の指を揃えた状態で切るということか、やってみよう」

TV『というわけで、化け物だぁ！』

サキ（なにこれ）

カイン大佐「芳しくなかったようだな」

アードライ「申し訳ありません」

カイン大佐「君が気にすることはない、よくやってくれた。しかし次の策が必要になったな。導き出される結論は……」

アードライ「大佐。恐れながら具申いたします」

カイン大佐「言ってみろ」

アードライ「毛です」

カイン大佐「毛……？」

カイン大佐「ふっなるほど、確かに彼女の長い髪の毛をこのサーベルでバッサリと切った途端に再生すれば、彼女の異常性は見逃せないものなるか」

カイン大佐「さすがだ。アードライ」

アードライ「いえ大佐。髪の毛ではありません」

カイン大佐「ほう……？」

アードライ「髪の毛では目にも止まらぬ早さでこちらがかつらを被せたと取られてしまう恐れがございます。ここで切るべきいや、剃るべき毛は……」

アードライ「産毛です」

カイン大佐「……！」

カイン大佐「確かに産毛を剃って瞬時に再生すれば、それはどう見てもトリックではない……」

カイン大佐「しかし彼女はTVアイドル。ムダ毛の処理を怠っているとは思えないが」

アードライ「いえ、彼女の太ももの付け根あたりならばうっすらと生えている事を確認済みです」

カイン大佐「ふっ。私はとんでもない怪物を育て上げてしまったようだ。君の才能が末恐ろしいよ、アードライ」

アードライ「はっ！　恐縮であります」

サキ「おいまてこら」

カイン大佐「よし、放送を再会しろ！」

サキ「おいやめろ！　死ね！　死ねえええ！！」

カイン大佐「ふっ。うら若き乙女がかくも醜い姿をさらすとは、世も末だなアードライ」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

アードライ「まったくであります。大佐もう少し右です。落ち着いてください。肌を傷つけてしまいます」

カイン大佐「そうか」ﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙﾌﾟﾙ

イクスアイン「各国で視聴率95％を突破！　かつてない注目度で視聴者が熱狂しております！」

アマデウス「諸君！　今からご覧にいれよう！　異常性の証明をぉ！」

アードライ「今です！　大佐！」

クーフィア「ズームイン♪」

……ｼｬｯｼｬｯ

……ﾆｮｷ

TV『こいつらは……化け物だぁ！』


カイン大佐「ふっ。刈ったな」

アードライ「カイン大佐！　各国の反応の速報が続々と！」

カイン大佐「ふっ。彼らの支持者も現実を受け止めてくれたようだな」

アードライ「いえ……それが」

カイン大佐「なに……？」

ｲｲｿﾞﾓｯﾄﾔﾚ!　ｻｷﾁｬﾝﾍﾟﾛﾍﾟﾛ　ﾃﾗｺﾔｽ　
ﾜｷﾉｹﾓｳｯｽﾗﾊｴﾃﾙﾝｼﾞｬﾅｲ?　ﾉﾌﾞﾆﾓﾐｾﾃﾔﾘﾀｶｯﾀｾﾞ……

カイン大佐「馬鹿な！？　これは一体！？」

クーフィア「あーらら！　失敗失敗！」

アードライ「大佐の作戦は完璧だったはず！？」

イクスアイン「ハーノインが言っていたのはこれなのか……！？」

カイン大佐「ふっ……滑稽だな……万策尽きるとはこのことか……幾千の時を超えてきたマギウスの終焉が、こうもあっさりと訪れるか……」ｶﾞｸ

アードライ「大佐！」

アマデウス「大佐ぁ！」

サキ「ばぁぁぁぁっかじゃねええのぉおおお！？」

カイン大佐「！？」

サキ「そんな立派なサーベル持ってんだから後ろからズブゥってやってさっさと抜いて見せればそれですむ話じゃない！！」

カイン大佐「なっ！？　きっ君は突然ナニを言い出すんだ///」

アードライ「きさまぁ！！　この期に及んで甘言で大佐を誘惑するとはなんと卑劣なぁ！！」

サキ「ちげーよ！！　毛とか爪とかしてないでさっさと殺すとこ見せれば早いでしょ！」

カイン大佐「なんだと！？　そんな、ぶっ物騒なっ」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞ

アードライ「なんて恐ろしい考えを持った女だっ」ｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀｶﾞﾀ

アマデウス「しししかし、確かに今までの中で一番わかりやすく手っ取り早い方法かと」ｶﾞﾝﾒﾝｿｳﾊｸ

クーフィア「じゃあぼくがや」

カイン大佐「いや私がやろう。この大事な役目を部下にやらせるわけには、げぼぇ」ｵﾛﾛﾛﾛ

アードライ「大佐ぁ！！」

イクスアイン「目隠しをどうぞ」

カイン大佐「うおぇ……すまない。……よし、撮影再開だ」

ﾊｲｲｷﾏｰｽ　３　２　１　ｷｭｰ

カイン大佐「あわわわわわわ」ｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞ

サキ「いだだだだだ！！　ゆっくり刺す奴があるかああ！！　もっとさっとやってｽﾊﾟｧｯとぬけえ！！

カイン大佐「むりむりむりむりひいいいいいぃぃぃ」ｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞｽﾞﾌﾞ

サキ「あぎゃああああああああああああああああああ！！！　あっ………」ｶﾞｸﾝ

カイン大佐「あぁぁああぁぁぁあぁぁあああっぁ」ｼﾞｮﾎﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞﾎﾞ

アードライ「カイン大佐ぁああ！！」

…………

TV『というわけで、化け物だぁｵﾛﾛﾛﾛﾛﾛ』

えらいおっさん「一体どういうことだねこれはぁ！！」ﾀﾞﾝｯ

ショーコ「しらねーよ」


おわれ