梓「唯先輩の夢を見たせいでよく眠れなかったんです」唯「またー?」(133)

梓「ひ、秘密ですけどね!///」

唯「そっかー」

梓「でもおかしな夢だったんです」

唯「どういうことー?」

梓「唯先輩が……あっ、でも、やっぱり言うのやめときます」

唯「ええ、気になるじゃん。教えてよっ」

梓「いや、その……あんまり、人に言うべきじゃないと思って」

唯「だいじょうぶ、だいじょうぶ。まだ部室には私とあずにゃんだけだし」

梓「でも……」

唯「言ってよあずにゃーん」

梓「わ、分かりましたから、抱きつくのはやめてくださいっ」

唯「それでそれで?どんな夢だったの?」

梓「……唯先輩が、」

梓「トラックに轢かれる夢です」

唯「…………え?」

梓「だ、だからあんまり言うべき話じゃないなーって」

唯「やめてよあずにゃん。私ただでさえ、前あずにゃんが見た夢の被害者なんだから」

梓「言えと促したのは誰ですか。前っていうと……確か、犬に追いかけられる夢でしたよね」

唯「うんうん。それを聞いた放課後、しっぽを踏んじゃった犬に本当に追いかけられたんだからぁー」

梓「あ、謝ったほうがいいんでしょうか……」

唯「あはは。まあ偶然だろうけどっ」

梓「ですよねぇ。唯先輩がトラックに轢かれたら困ります」

唯「あっ、心配してくれてるの?ありがとあずにゃーん!」

梓「だ、だから抱きつかないでくださいっ!」

よしよし良い感じ
支援

次の日

梓「あっ、澪先輩、おはようございます」

澪「…………」

梓「澪先輩?」

澪「……あ、梓か」

梓「どうしたんですか?随分顔色悪いですけど」

澪「聞いてないのか!?」

梓「わっ!なんですかいきなり大声だしてっ」

澪「唯が昨日、交通事故にあったんだよ!」

梓「え?」

澪「なんで唯のやつ、梓に連絡していないんだ!?私はてっきり」

梓「交通事故……?」

梓「それって一体、どういうことですか?」

澪「どうもこうも……」

律「澪!梓!」

梓「あ、律先輩……」

澪「律……目が腫れてるぞ」

律「仕方ないだろ?昨日唯の件で驚いたんだから……おかげで朝も寝坊だよ」

梓「あの!」

律「うん?」

梓「私、唯先輩に何があったか聞いてないんですけど!一体どういうことですか!?」

律「昨日、部活終わって放課後。帰り道に事故ったらしいんだよ、唯」

梓「事故って……」

律「ああでも安心しろ。私も最初心臓が止まるかと思ったけど、大した怪我じゃないんだってさ」

澪「それでも交通事故だぞ!あと一歩間違えてたら……」

律「唯のやつ、体だけは頑丈に出来ているよなあー。何せ、」

律「トラックに撥ねられて、軽症で済んだんだから」

梓「え……?」

澪「それにしても、何で唯は梓にだけ言わなかったんだろう」

律「そういや気が動転してたから深く考えなかったけど、病院にも梓来てなかったしな」

梓「…………」

梓「ゆ、唯先輩は、今どこに……?」

律「病院だよ。撥ねられたとき意識失ったらしくて、まあ2、3日は入院だそうだ」

梓「わ、わたし!」

澪「梓。気持ちは分かるが駄目だぞ。行くなら放課後、ムギも入れた4人で行こう」

梓「でも先輩は私のせいで!」

律「うん?梓、何かしたのか?」

梓「えっ……あ、いや、何もしてないですけど……」

澪「なら放課後にしよう。今行ったら唯にも迷惑がかかる」

梓「はい……」

放課後

梓「唯先輩!」

唯「あ、あずにゃんー。お見舞いに来てくれたのー?あれ、みんなは?」

梓「私だけ先に来ちゃいました!それよりどうして昨日教えてくれなかったんですか!」

唯「あはは、やっぱ伝わっちゃったかぁ」

梓「当たり前です!言ってくれたら私も行ったのに!」

唯「だってあずにゃん、変に意識しそうだったから」

梓「意識って…………夢、のことですよね」

唯「うん。偶然なんだから、深く捉えちゃだめだよ?」

律「おい、梓ぁ。一人だけ先に行くなんてずるいぞ」

澪「おかげで私たちまでレースをするはめに……」

紬「唯ちゃんが元気そうで安心したわあ」

唯「あっ、みんな!わざわざありがとう」

梓「…………」

唯「いい、あずにゃん。ほんと、ただの偶然なんだから。みんなにも言っちゃだめだよ?」

梓「偶然……」

梓「そ、そうですよね……私の夢にそんな力あるわけないですもんね……」

律「ん?何の話?」

唯「ううん、なんでもないっ!それより今日あったこと聞かせてよー!」



紬「どうしたの梓ちゃん?元気ないけど」

梓「あ、いえ……」

律「なんだよなんだよ。朝からおかしいやつだなぁ」

澪「唯のことが心配なんだろ。茶化すなよ」

梓「あ、あの、私」

律「なんだ?」

梓「もう一回唯先輩に会いに行こうかな……なんて」

澪「面会時間は過ぎているんだから、それは無理だと思うぞ?」

梓「あ、あはは。ですよね……」

梓(どうしよう……。昨日も私、夢見ちゃった……)

面白い

梓「病院は、安全ですよね」

律「何言ってんだよ。そんなに唯が心配か?」

紬「大丈夫よ梓ちゃん。あそこには人がたくさんいるんだから」

澪「そうそう。少なくとも交通事故に遭う心配はないさ」

梓「ですよね。交通事故なんて……ありえないですよね」

律「変なやつー」

梓「ありえない、ありえない……」

梓(唯先輩が今日もトラックで轢かれちゃうなんてこと、ありえないんだ……)

澪「それじゃあこの辺で解散だな。みんな、また明日」

夜中

梓「……あはは。何だろ、怖くて寝れないや」

梓「唯先輩起きてるかな。メール、してみようかな」

梓「でも寝てたらまずいよね。それで起こしちゃったりしたら……」

梓「あれっ。電話だ。澪先輩?」

梓「こんな夜中に何の用だろう……まさかね」

梓「もしもし、中野ですけど」

澪『梓……落ち着いて聞いてくれ』

梓「え……?」

澪『唯がさっき、交通事故に遭って亡くなった』

梓「は?」

澪『ごめん、私も詳しい話は聞いてなくて……う、憂ちゃんが』

梓「みお、せんぱい?」

澪『なっ、泣きながら連絡っ、してくれて。わ、わたぢ、』

梓「落ち着いてください。えっと、すみません。私も一応、憂に連絡取っていいですか?」

澪『ああ……でも、憂ちゃん。話せるような状態じゃ』

梓「失礼します」

梓「…………」

梓「嘘でしょ……?」

唯「んひいいぃぃぃぃぃ!おまめさんきもちいいでつぅぅぅぅぅ!!(^q^)」グシャグシャプシャアア
梓「唯先輩!部室でおまたいじりしないでって何度いったらわかるんですか!」バチーン
唯「あーう!ゆいのおまたいじりじゃまするだめー!あずなんわるいこ!しーね!しーね!(`q´)」
梓「この池沼があああ…」
唯「あーう!とんちゃ、とんちゃ。ゆいのなかにいれてみるでつ!(^q^)」
トン「ジタバタ」
梓「唯先輩!やめて!」
トン「ガブ」
唯「んぎゃあああ!と、とんちゃ、おまめさんかんだらだめーーーーー!("q")」ガクガク
ブチブチブチ!
唯「あんぎゃあああああああああああああああああ!!!おまめさん----------------!("q")」ガクガク
トン「ブチブチパクパク」
梓「食wwwべwwwたwww」ゲラゲラゲラ
唯「ぁーぅ…おまめさん…ゆいのおまめさん…("q")」ピクピク

おい……やめてよ……

梓「あ、ありえないって。何かの冗談だ」

梓「きっとあれだよ。私の調子おかしかったから、みんなでドッキリを仕掛けているんだ」

梓「だってそんな、病院にいたんだよ?唯先輩」

梓「なんで交通事故なんか、遭うわけないじゃん!」

梓「とにかく、そうだ。憂に電話してみよう」

梓「……もしもし、憂?」

憂『…………』

梓「聞いてよ。澪先輩がさ、おかしな冗談で騙そうとしてるんだ」

梓「唯先輩がし、死んじゃったなんて、そんなのありえるわけないのに」

梓「そうでしょ?憂」

憂『……』

梓「憂!何か言ってよ!!」

憂『……ほんとうだよ、梓ちゃん』

憂『お姉ちゃんは、しんじゃったんだあ』

梓「……うそ。うそうそうそ」

梓「ありえないって。唯先輩、病院にいたんだよ?」

憂『…………』

梓「ありえるわけないじゃん!なに?唯先輩は魔法でも使えたわけ!?」

梓「大体なんで病院の人は外出るの止めなかったの!?ふざけんな、みんなグルで」

憂『梓ちゃん』

梓「な、なに?あ、やっぱり嘘だった?なんだ、私まんまと騙されちゃッ」

憂『うるさいよ、梓ちゃん』

梓「え?」

憂『私、病院だから。病院では、うるさくしちゃいけないんだよ』

憂『一昨日お姉ちゃんをお見舞いしたときも、私それでお姉ちゃんに怒られ……おこ、』

憂『おこらっ……う、ううう。お姉ちゃん、おねえちゃん……なんで、なんでよぉ……』

憂『私がずっと、ずっとお姉ちゃんの傍にいれば、お姉ちゃんは!』

憂『なんで、なんで死んじゃったのお姉ちゃん!!う、あああ!』

梓「憂……あ、はは」

憂『なんで梓ちゃん笑ってるの?ねえどうして?梓ちゃんが犯人なの?』

憂『梓ちゃんがお姉ちゃんを!』

梓「違うよ、憂」

憂『……ごめん、そうだね。梓ちゃんがお姉ちゃんに何かするはずないよね……』

梓「違うけど……ごめんね、憂」

憂『え?』

梓「私が必ず、犯人を捕まえるから」

次の日

梓「…………朝だ」

梓「みんな、病院に行ったのかな」

梓「あはは。メールも着信もいっぱいだ。律先輩なんか、すっごい怒ってる」

梓「そりゃそうだよね。普通向かうのに私は、のんびり部屋で寝てたんだもん」

梓「あーあ。昨日のは夢じゃなかったのか……いや、夢なら見たんだ」

梓「そのために、私は行かなかったんだよ」

梓「私の夢の、犯人を捕まえるんだ」

放課後

梓「ムギ先輩。今日、ムギ先輩の家に泊まっていいですか?」

紬「え?」

律「梓!てめえ昨日も顔見せないで何言ってるんだよ!!」

梓「……」

澪「落ち着け、律。梓だって何か訳があるんだろ。そうだよな?」

梓「……ムギ先輩、駄目ですか?」

律「梓!澪を無視してんじゃねえよ!」

紬「りっちゃん、落ち着いて……。私は大丈夫よ、梓ちゃん。心細いのよね?」

梓「……はあ、そうですね」

澪「梓……」



紬「……それじゃあ、そろそろ寝ましょうか」

梓「私、ムギ先輩と同じ部屋で寝てもいいですか?」

紬「一応、梓ちゃん専用の部屋はあるけど……梓ちゃんがそうしたいなら、私は全然いいよ」

梓「ありがとうございます」

紬「それじゃあ、こっち」

梓「はい……」

梓(私が、絶対に見つけるんだ……)

紬「それじゃあ、電気消すわね」

梓「はい」

梓(……私の夢が、もしも本当に効果を持つのなら、)

梓(今日、ムギ先輩は自分で絞殺をして命を絶つ)

梓(その夢を昨日見たんだ……)

紬「梓ちゃん」

梓「え?はい」

紬「もっと寄ってもいい?私……心細くて」

紬「なんで唯ちゃん……死んじゃったのかしらね」

紬「あんなに良い娘だったのに……」

梓「ムギ先輩……」

夜中

梓「…………」

梓(ムギ先輩は寝たみたい。当然だよね、一昨日と昨日でたくさんありすぎた)

梓(そりゃ疲れるって……)

梓「私も……」

梓(いや、私が何とかしなきゃいけないんだ。絶対に。唯先輩のためにも)

梓「でも……この状態でムギ先輩が何かするとは思えない」

梓「気を抜いちゃ……だめだ」

梓「…………」

紬「…………」

梓「…………ムギ先輩?」

紬「っ……」

梓「トイレですか?」

紬「……」

梓「ムギ先輩、あの、」

紬「……っ」

梓「ムギ先輩!!」

梓「ムギ先輩!アンプのコード持ってどうする気ですか!!」

紬「……」

梓「聞いてますか!?あの!」

紬「……」

梓「首に巻いて……っ!?ムギ先輩!!」

紬「っ」

梓「やめて……やめてくださいっ」

梓「誰か!だれかぁー!!ムギ先輩がおかしいです!!」

紬「……」

梓「自分の首を絞めないでッ!!ムギ先輩!!」



梓「はあ……はあ……」

紬「あれ?梓ちゃん、おはよう……どうしたの。家の者、みんな集まって……」

紬「何かあったの?」

梓(そうだ……なんで気づかなかったんだろう)

梓(私が見た夢は、ムギ先輩が自ら命を絶つ夢)

梓(自殺に……犯人なんているわけない……っ)

梓「まさか唯先輩も自発的に……?」

紬「梓ちゃん?」

梓「そんなの……とめられるわけない!!」



梓「ああ……くそっ、くそっ」

純「大丈夫?梓」

梓「どうしたら……!」

梓(でも待って、そうだよ。今日のムギ先輩は止められた)

梓(助けることが出来たんだ。あのままだったら夢通りになっていたんだから)

梓「私が……全部止めれば、誰も死なない……」

純「梓……?」

梓「私がみんなを助けるんだ……!はは、そうすれば」

生徒「おい!大変だ!三年生の女子トイレで自殺があったらしいぞ!!」

梓「あ、あああ……?」

純「自殺って、一体誰が!?」

生徒「琴引だか、琴吹だか……そんな感じの生徒……」

純「梓、それってまさか……」

梓「うそだ、うそだうそだうそだ……」

純「紬先輩なんじゃ……」

梓「聞きたくない聞きたくない聞きたくない!」

純「梓!」

梓「聞いたって、どうしようもないでしょ……!!」

放課後

梓「もういやだ、もういやだ……」

律「…………」

澪「……なんで、ムギまで」

梓「う、ああああ……」

澪「ムギ、唯のことを気に病んで……?」

梓「違う!!」

澪「えっ?」

梓「あ、や……違うと思います……」

律「梓。お前、何か知っているのか?」

梓「な、なに言っているんですか。私は何も知りませんよ……」

澪「ならどうして、ムギがそうじゃないって分かるんだ?」

梓「それは、き、昨日の夜、ムギ先輩が悲しんでたから……」

律「答えになってねーよ。だったら尚更澪の言う方が合っているだろ」

律「唯の怪我の頃から、梓、様子おかしかったよな」

梓「……」

律「何を隠しているんだ?言ってくれ」

梓「私は……」

澪「……」

梓「何も、隠してません……」

澪「梓!」

梓「ひっ……」

律「澪やめろ。ならこうしよう、梓」

梓「……」

律「お前の抱えている問題を、私たちにも分けてくれ」

梓「……」

律「お前が一人で重いものを抱えているのは知っている。一人だけ何かから怯えているのも」

律「私は、私たちは、お前の力になりたいんだ。ひとりじゃない、私たちにもその重みを一緒に背負わせてほしい」

律「それが唯や、ムギのためにもなると思う。だから……頼む」

梓「……」

澪「梓、私からもお願いだ」

梓「………・・・」

梓「わかりました。話します……」

梓「でも、私にもよく分かっていません。これを先輩達に話していいのかも分かりません」

律「それでも構わない。教えて欲しい」

梓「……夢を、見るんです」

澪「夢?」

梓「唯先輩がトラックに轢かれた夢。ムギ先輩が、絞殺した夢」

律「まさか、その夢が現実になったっていうのか?」

梓「……」

澪「信じられない……」

梓「私は、昨日ムギ先輩の家に泊まって、防ごうとしました。それは成功したんですけど……」

律「……結果的に、ムギは死んでしまった」

澪「そんな馬鹿な話があるか……!」

律「梓、それは本当なんだよな?」

梓「冗談でもこんなこと言いません!!」

澪「だが……そんなの、現実的に考えてありえないだろう!」

律「でも、実際に起きているんだから信じるしかない」

澪「律!」

律「考えてみろよ。ムギの様子だって変だった。いきなり喋らなくなって、トイレに向かったかと思いきやアレだ」

澪「なら……今日梓が夢を見れば、また誰かが命を落とすのか?」

梓「……その心配はありません」

梓「でもおかしな夢だったんです」

唯「どういうことー?」

梓「唯先輩が……あっ、でも、やっぱり言うのやめときます」

唯「ええ、気になるじゃん。教えてよっあずにゃぁん」

梓「いや、その……あんまり、人に言うべきじゃないと思って」

唯「だいじょうぶ、だいじょうぶ。まだ部室には私とあずにゃんだけだし」

梓「でも……」

唯「言ってよあずにゃぁん」 ムギュ

梓「わ、分かりましたから、抱きつくのはやめてくださいっ」

唯「それでそれで?どんな夢だったの?」

梓「……ゆ、唯先輩が、」

梓「トラックに轢かれる夢です」

梓「私、もう寝ませんから」

律「なに?」

梓「寝なければ、夢を見ることもない。そうですよね、澪先輩」

澪「そ、それはそうだけど……寝ないなんて、続いても1週間だぞ?」

律「私は3日寝なかったら頭がおかしくなりそうだった」

梓「それでも……寝ませんよ。寝るわけにはいきません」

律「梓……」

梓「一度防いだくらいじゃどうにもならない。なら、この方法しかありません」

澪「そんなの、無茶だ……。梓、ここは大人の人に相談して」

梓「時間はないんです!悠長に構えてなんかいられない!私が寝ない以外の選択肢はない!!」

律「……」



梓「私は、寝ない」

梓「大丈夫だよ。人間、水さえあれば生きていけるんだ」

梓「もう誰も死なせるもんか」

梓「ギネスの最長記録って何日だったっけ?」

梓「少なくとも、その日までは起きていられる……」

梓「ち、違う!ずっと、ずっと起きているんだ」

梓「これが正しいんですよね。唯先輩……」

夜 2日目

梓「……」

梓「もし私が寝たら、きっと次の日には誰かが死ぬんだと思う……」

梓「寝ても、夢を見なければ……」

梓「ううん、もし見てしまったら終わりだ……」

梓「って何考えてるんだ、私。寝るなんて選択肢、元からないんだから」

梓「…………」

梓「唯先輩に、会いたいなあ」

>>89
俺も見たわ、超短い睡眠をとってるんだよな。寝てるは寝てるから、ギネス的にはアウトなんだろうけど

ところで、夢オチループは勘弁な

放課後

梓「…………」

澪「梓、大丈夫か?」

梓「…………」

律「これで5日目だったよな……放課後部活、と言っても何もしていないけど、ここで体力使っちゃまずいんじゃないか?」

梓「……いえ……早く帰ったら、寝ちゃいそうで……」

澪「……」

梓「澪先輩……何か、暇を潰せるものありませんか……?寝ずに済むような……」

澪「ゲームとかか?本は……眠くなるから駄目だよな」

律「くそっ、私も何か出来ないのかな……」

梓「大丈夫です、律先輩……私が頑張れば、何も起きないんです」

梓「現に、人だって死んでいないんだから……」

夜 13日目

梓「だ……め……だ」

梓(頭が……働かない……)

梓「明日は学校……欠席しなきゃな……」

梓「借りたゲーム……全部おわっちゃったし……」

梓「どうしよ……」

梓「そういえば、ねっとげーむしている人って、あんま寝てないらしいよね……」

梓「ああやば……体が動かない……」

梓「……ゆいせんぱい……」

放課後

律「梓が学校来なくなって、もう1週間か」

澪「まだ寝ていないのかな……」

律「澪も、目にくまが出来ているぞ」

澪「ああ、梓が心配でさ……」

律「……」

澪「うそ。本当は、寝ているうちに自分が死ぬんじゃないかって、怖いんだ」

律「私も同じような感じだよ。梓は……どんな気持ちなんだろう」

澪「寝たら誰かが死ぬかもしれない……私には、想像がつかないな」

夜 20日目

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………」

梓「…………あっ」

梓「…………わたし、まだねてないよね……」

梓「うん、だいじょうぶだ……まだ……」

梓「まだ……」

梓「わたしは…………」

梓「……ねな…………」

梓「…………い…………」

梓「………………………」

梓「……」

梓「……」

梓「…」



梓「…………あれ」

梓「朝だ……太陽、眩しいな」

梓「いててて、体中痛いや」

梓「というか、体が上手く動かせない。なんでだろ」

梓「病気で寝込んだときとか、よくこうな――」

梓「え?」

梓「……うそ」

梓「私、寝ちゃったの?」

梓「今いつ!?次の日?それならまだ!」

梓「……5日、経ってる」

梓「いや、でも私、疲れすぎてて夢とか……」

梓「みた」

梓「見たよ、たくさん見た。飽きるくらい……律先輩と、澪先輩の、夢も」

梓「電話だ、電話しよう」

梓「わっ、なんだこれ。着信がたくさん着てる」

梓「えっと律先輩は……つながらない。澪先輩……も、つながらない」

梓「純に、かけてみようか」

梓「もしもし、純?」

純『……梓、あんた何やってんの?律先輩も、澪先輩も……二人とも、死んじゃったよ』

梓「…………」

純『梓?聞こえてる?あんた何日も連絡寄越さないで何やッ』

梓「切断」

梓「…………」

梓「あはは、あははは、ははっ!」

梓「はははははははははははは!!」

梓「みんな死んじゃった!先輩たち、みんな死んじゃった!」

梓「私だけ残った!いえい!私が生き残りだ!あっははは!!」

梓「あっはは!はは!は」

梓「…………」

梓「夢……見たなあ。律先輩と、澪先輩……他に、もう一人」

梓「誰だったんだろ……思い出せない……」

梓「まあ、もういいか」

梓「あの二人には話せなかったけど、私もう一つだけ方法思いついたんだよね」

梓「この最悪なシナリオを終わらせる方法!」

梓「さあ、何故こんなことが起こっているのか!原因は?夢!」

梓「そしてその夢を見ているのは?私!」

梓「なら――私が死ねば、解決するね」

梓「あーあ、こんなはずじゃなかったのになあ」

梓「高校3年間を楽しく過ごして、唯先輩たちと同じ大学行って、バンドやって」

梓「社会に出たら、それぞれの道を行くけれど、バンドだけは続けるんだ」

梓「唯先輩なんか喜ぶだろうな。またみんなと会えるねって」

梓「澪先輩は泣いてそう。律先輩は無理なスケジュールとか立てちゃって、ムギ先輩はそれを本気で実行しようとか考えちゃう」

梓「それで、お婆ちゃんになっても、コンサートをやるの。学校にだって出張しちゃうんだ」

梓「それで――幸せなまま、一生を終える」

梓「……なのにこれ。何で私ロープを首に巻きつけているわけ?」

梓「こんなはずじゃなかったのになあ」

梓「こんなはずじゃ、なかったのになあ……」

梓「唯先輩……もう一度、会いたいな」

梓「みんなとも、会えるかな」

梓「あっ……くぐっ」

梓(そうだ。思い出した)

梓「ぐるじ……いッ」

梓(夢に出てきたの。律先輩と、澪先輩の他に……首吊りをしてた人)

梓「あァ……ハハッ」

梓(それって、私じゃん)

梓(最後の最後まで、こんな結末……)

梓「やダッ、じにたく……なッ」

梓「ッ…………」

梓「……」

梓(さよなら、私)

梓「……」

梓「…」

放課後

梓「……?」

唯「あっ、あずにゃんやっと起きたぁー!」

梓「唯、先輩?ここ、どこですか?」

唯「何言ってるのあずにゃん。ここは軽音部の部室でしょ」

梓「はあ……あれ?」

唯「それにしても一体いつから寝てたの?私が来るころにはぐっすりだったよ」

梓「あ……あはは。そっか、夢。夢だったんですね」

唯「うん?」

梓「あっ、ははっ!やった、夢だ!夢だったんだ!また先輩たちと一緒にいられるんだっ!」

唯「もー、どうしたの?変なあずにゃん」

唯「あ、夢といえばね。昨日、」

唯「あずにゃんの夢を見たせいでよく眠れなかったよ」

梓「…………また?」

To Be Continued

ごめんなさいすみません。
どうもホラーを書くとBAD ENDになる。
>>92には申し訳ない。
需要があったら、今度はBADにならないバージョンを続きとして書きたいです。近々
夜中まで読んでくれた人ありがとう

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