ほむら「美樹さんを守れる私になりたい」(311)

和子「それでは転校生を紹介します」

ほむら「暁美…ほむらです、よろしくお願いします…」



クラスメート①「暁美さんって…」

クラスメート②「やってた部活は…」

クラスメート③「長い髪だよねー…」

ほむら「うう…」

さやか「ごめーんちょっといい?」

ほむら「!」

さやか「暁美さんって放課は保健室に行かなきゃいけないらしいから、悪いんだけど話はあとあと!」

クラスメート②「えーそうだったの?」

さやか「うん。保健係のまどかは生憎休みだし、ここはクラス委員のあたしが案内してあげないとね。へへ、悪いけど暁美さんはいただいちゃうよーん」ギュッ

ほむら「え、あ、あの…っ」

クラスメート③「もー暁美さん嫌がってるじゃん!襲ったりしちゃダメだぞさやかー」

さやか「あはは、分かってるって。行こ、暁美さん!」

ほむら「えっと…は、はい…っ!」

さやか「暁美さんってば一気に人気者になっちゃったねー。転校生なんてなかなか珍しいから、皆嬉しいみたい」

ほむら「そうなんですか…」

さやか「あたしは美樹さやか。よろしくね。えっと、ほむらで良いかな?」

ほむら「私…あまり名前で呼ばれた事がなくて…すごく、変な名前だし…」

さやか「んー?何でそんな卑屈なの?緊張してる?」

ほむら「ご、ごめんなさい…っ」

さやか「あはは、謝らなくていーよ。転校初日は緊張しちゃうのも無理ないよ。でも安心して」


さやか「あたし達はもう友達なんだから、困った事があったらどーんと頼っておいでよ!」


ほむら「と、友達…」

ほむら「はぁ…はぁ…」


クラスメートD「準備運動だけで貧血とかやばいよねー」

ほむら「…」


どうしていつも、私は…


さやか「ほーむらっ」

ほむら「! 美樹さん…」

さやか「大丈夫?もっかい保健室いく?」

ほむら「…ううん、大丈夫です…」

さやか「数学の時間からずっと顔色悪いよ。解けなかったこと、気にしてるの?」

ほむら「…」

さやか「あたしもさ、あれ分かんなかった」

ほむら「えっ…」

さやか「ほむらは半年ぶりの学校なんでしょ?あたしは毎日通っててこんなんだからさー、マジやばいわ」

ほむら「ほ、本当に…?」

さやか「ほんとほんと!こんな嘘ついてもどーしようもないでしょうが!」

さやか「あたしったら数学は超絶苦手でさ、20点とか普通に取っちゃうからねー」

ほむら「えぇっ」

さやか「こらーそこ!露骨に驚かないの!」

ほむら「あ、あはは。ごめんなさい」

美樹さんは、不思議な人です。

木漏れ日の中二人で体操座りをして、初対面とは思えないくらいするすると言葉を引き出して、楽しそうに笑う。
私には絶対できません。美樹さんは笑っているけれど…私と話していて、楽しいの?

いつしかそんな不安も消えて、彼女の話を聞いていました。夢中だったんです。
自分の失敗やマイナス面を、こんな風に楽しそうに聞かせてくれる人は初めてだったから。


ほむら「えっと…美樹さんは授業には戻らなくて良いんですか?」

さやか「あたし運動神経は割りと良いからねー、走り幅跳びなんて楽勝だもん。サボったってモーマンタイよ!」

運動神経が良くて、明るくて、活発で…


そっか。美樹さんは私とは真逆なんだね。

ほむら「ふふっ」


羨ましいな。

さやか『あたしの友達にさ、仁美っていうすごい頭のいい子がいるんだ。その子にノート借りて、今度一緒に勉強しようよ!』


帰り道。美樹さんの言葉を反芻させながら歩く。
失敗ばかりの転校初日だったけど、不思議と暗い気持ちにはならなかった。

「…友達。えへへっ」


私にもお友だちができたよ!
美樹さんと仲のいい志筑さんとも挨拶ができた。そして残念ながら今日はお休みだった鹿目、まどかさん。美樹さんが紹介してくれるって言ってた。

「…新しい学校で私、頑張ってみる」

足取り軽やかに通学路を抜ける。
気分が晴れていたからかな。何事もない、静かな道だと感じた。

まどか『私、鹿目まどか。よろしくねほむらちゃん!』

ほむら『暁美ほむらです。こちらこそよろしくお願いします、鹿目さん』



翌日。昼休み。
転校する前は思いもしなかった、でも確かに夢を見ていた光景。

私…皆とお弁当食べてる…!

朝登校してすぐ鹿目さんと挨拶を済ませ、穏やかで優しい笑顔に胸を撫で下ろした。
美樹さんの周りはこんなに優しい人で溢れている。

放課のたびに質問を投げ掛けてくる人の数も次第に減っていき、とうとう誰も来なくなった昼休み、素敵な三人が現れた。
水色、ピンク、黄緑の布で包まれたお弁当箱をそれぞれ片手に引っ提げて、笑顔で私に手を振ってくれたんです。

さやか「ほむらーっお昼一緒に食べよ!」

ああ…私、幸せです。
紫の包みを慌てて鞄から取り出して、彼女達のほうへ走り出す。
そして今は屋上の風に吹かれて皆でお弁当をつついて…。

こんなに美味しいお昼は初めてだよ。
思わず口をついて出てしまった言葉に私が赤面すると、三人は優しく笑ってくれた。

~放課後~

さやか「はぁ~終わった終わった。仁美ー帰ろー」

仁美「ごめんなさいさやかさん。今日はお茶会がありまして、お母様が校門まで迎えに来てくれるそうなんですの。だからご一緒には帰れませんわ…」

さやか「あちゃー、お嬢様は大変だねぇ。りょーかい、楽しんできなよ!」

ほむら「あ、あのっ」

さやか「ん?どしたのほむら」

ほむら「えっと、その…よ、良かったら私と一緒に…」

さやか「ああ、はは。一緒に帰ろって誘ってくれてるの?サンキュ!確か途中までは一緒だもんね?」

ほむら「は、はい!」

さやか「実はあの街道はまどかや仁美ともよく待ち合わせに使っててさぁ…ん?まどか、まだ帰らないの?」

まどか「え?えと、うん。まだちょっと…」

さやか「何か用事?なんなら付き合うよ」

まどか「そんな、大丈夫だよ。ただちょっと人を待ってるだけで…」

「鹿目さーん」

まどか「! 来た!ごめんねさやかちゃん、先に帰るね」タタッ

さやか「あ、ちょっと待ちなよまどか!」


ほむら「…行っちゃいましたね」

さやか「…なんなのよ。最近付き合い悪いんだから」

ほむら「そうなんですか?」

さやか「ここ1週間近くずっとあの調子なんだあの子。今までいつも一緒に帰ってたのに、3年の先輩と仲良くし始めてたから妙によそよそしくてさ」

さやか「一緒に帰らなくなった時期から部活にも顔を出してないみたいだし、一体あの先輩と何してるって言うのよ」

ほむら「鹿目さん…心配ですね…」

さやか「まぁ危ない事に首突っ込むような子じゃないからそこを信用するしかないな。帰ろ、ほむら」

ほむら「はい!」

早いもので、私が転入してきてからもうすぐ1ヶ月が過ぎようとしています。

月日の経過と共に私と美樹さんはとても仲良くなっていて…いえ、面倒見のいい彼女が何かと気にかけてくれているだけなのかもしれません。
でも私にとっては掛けがえなく、最高に楽しい1ヶ月間でした。


今までの人生では考えられないほど、順風満帆な日々。



バンッ

さやか「まどか!」




ーーただ一つを除いて。

さやか「いい加減にしなさいよ!部活まで辞めたって…アンタ、あたし達に隠れて一体何してるの?」

まどか「さやかちゃん…」

さやか「知ってるんだよ。放課後、毎日3年生の先輩と会ってるんでしょ?あたし達と帰らなくなったのもそれが原因なんだ!」

ほむら「み、美樹さん…落ち着いて…」

さやか「おばさんに聞いたよ。アンタ家に帰るのも俄然遅くなったんだってね」

さやか「最近のまどか絶対おかしいよ!なに?脅されてるの?あの偉そうな先輩に振り回されてるの?だったらあたしが…」

まどか「やめて!マミさんの事そんな風に言わないで!」

さやか「…ふぅん、マミさんって言うんだ。だったらそのマミ先輩と遅くまで何やってんのか言ってみなさいよ」

まどか「……」

さやか「言えないんだね」

さやか「…隠し事ばっかり、もううんざりだよ」

さやか「親友だって思ってたのは、所詮あたしだけだったんだ」

まどか「そんな、事…」

ほむら「美樹さん…っ」

さやか「…怒鳴ってごめん。これからも普通に登校するし、お弁当も一緒に食べる。仁美に気まずい思いさせらんないもん、表面上は変わらず付き合っていこうね」

まどか「待ってさやかちゃん!私は、さやかちゃんの事、大切な親友だと思って…」

さやか「大事なこと何一つ聞かせてもらえない親友かぁ。あはは、冗談きついわぁ」

まどか「うっ…さやかちゃぁん…」ポロッ

さやか「…じゃあね」タタタッ

まどか「う、うう…ひっく」

ほむら(美樹さんを追い掛けないと!ああ、でも泣いてる鹿目さんを放っておけない…どうしたら…)オドオド

まどか「…ほむらちゃん。私の事はいいからさやかちゃんを追ってあげて」グスッ

ほむら「鹿目さん…」

まどか「ごめんね、変な事に巻き込んじゃって。全部私が悪いの…」


ほむら「……明日っ、絶対皆で笑ってお弁当食べましょう!絶対、です…!」タタッ

まどか「…うん。ごめんね、ありがとうほむらちゃん」





まどか「…皆の笑顔は、絶対護ってみせるから」

ほむら「み、みっ、み!美樹さん…!」タタタッ

さやか「……」

ほむら「今すぐとは言いません。でも、鹿目さん泣いてたから…明日一緒に、謝りましょう!」

さやか「……」

ほむら「この1ヶ月間美樹さんがどれだけ鹿目さんの事を心配していたか、私知ってます。ずっと近くで見てたから…」

ほむら「きっと鹿目さんにも事情が…このままじゃ駄目だと、思うんです」

さやか「…ごめん。ちょっと、頭冷やしたいんだあたし」スタスタ

ほむら「ま、待って…っ」



「あー、根暗だ」

ほむら「…っ」ピクッ

「知ってる?隣のクラスの陰キャラ転校生」

「準備体操で倒れたあの子でしょ?この前は自分の持ってたほうきに躓いたっていう。ほんとバカみたーい」

「ちょっとあれ絶対聞こえてんじゃん、あははやめたげなよー」

「いいじゃん、直接言ってやりなよ」



…あ、 視界が歪む。
あからさまな悪意が突き刺さって古傷が疼いた。足が固まって動かない。
昔の私と同じなの?また、皆にバカにされて…。
私…私は…



「キモいんだよって」




どうして此処に居るの?





さやか「おい!」

ほむら「っ!」

さやか「アンタ達最っ低だな!」

「え?み、美樹さん?ごめん、急になにを…」

さやか「今ほむらの悪口言ったろ!今すぐ取り消せよ、弱い者いじめなんかして楽しいの!?」


ああ…私なんかの為に足を止めてくれたんだね。
視界がじんわり揺れて止まった思考が弾けて手傷を負った感情が、滴り落ちる。

蟻の巣をつついたように逃げ出したいじめっ子達の後に残ったのは、泣いてすがり付く私と優しく背中を撫でてくれる美樹さんの二人だけだった。


ほむら「うっ、ひう…っあうぅ…」

さやか「ほーら泣かない泣かない。もう大丈夫だから」


この1ヶ月間、私は何度彼女に助けられたのだろう。

さやか「…その、さっきはごめん。驚かせちゃったよね」

さやか「まどかに酷いこと言っちゃったって分かってるの。でもどうしても、抑えられなかった…」

ほむら「ひっく、美樹さん…」

さやか「だってさ、あんまりじゃない。今までずっと包み隠さず本音を言い合える、そんな関係だったのに。少なくともあたしはまどかに何一つとして隠し事はしなかったよ」

さやか「仁美にさえ言えないような秘密を、打ち明けた事もあったのに。まどかは違ったって事?あんまりじゃない」

さやか「そうじゃなくても遅く帰ったり、部活辞めちゃったり、今までのあの子じゃ考えられない状況作って。こっちがどんなに心配しても、笑ってかわしちゃう」

さやか「…あんなの、まどかじゃないよ。本当にどうしちゃったの…」



背中を擦る手が止まって、美樹さんの顔に深い影が落ちる。
掛ける言葉を探して、目をさ迷わせて、いつも以上におどおどする私を前に、美樹さんはくしゃくしゃっと笑った。痛くなるような笑顔だった。


さやか「ごめんね、困らせて」



え?ち、違います美樹さん。私は…!

ほむら「み、美樹さん私…っ」

さやか「ううん、良いんだ。この話はもう無し無し」

ほむら「で、でも私は…」

さやか「それよりさーほむら、あたし明日ユウカにカラオケ誘われてんのよね。一緒に行こうよ!」

ほむら「えっ」

さやか「仁美は忙しいし、まどかは…多分来ないし。このままじゃさやかちゃん寂しいなー、ねっ、来てくれるよね?」

ほむら「わ、私…人前で歌うなんてとても…」

さやか「だーいじょうぶ」


美樹さんの手の平が私の頬を包む。
おでこがくっつきそうな距離で彼女は無邪気に笑ってみせた。



さやか「ほむらはあたしの友達だもん。本番強い子、可愛い子!」





じんわりと、胸に響いた。




ーーどうして此処にいるの?



…美樹さんの友達だから、此処にいても、良いんだよね。


美樹さんに手を引かれて帰る通学路。水分を滲ませた瞳はまた潤って、そして緩やかに乾いていった。


ほむら「…ありがとう、美樹さん」



…明日はもっとちゃんと美樹さんと話そう。
彼女の強い心に隠れた弱音を、優しく抱き締めてあげられるように。


ーー今度は私が、美樹さんを守りたい。





ほむら「抱き締めてあげられる、ように…その筈、だったのに…」

ほむら「神様はどこまでも意地悪するんだね」


窓の手すりを握り締め、空を見上げる。
天候は最悪、学校は休校、あろう事か避難勧告なんて…。



ほむら「突発的異常気象?スーパーセル?」

ほむら「何でもいいわ、美樹さんとのカラオケデビューを返してよ!」



どこまでも無情な現実に悪態を吐きながら、荷物を纏めて避難場所指定の体育館へと駆け出した。

風が強い。時に視界を遮られ、走る事が酷く億劫に感じられるほどの威力。

私…もしかして逃げ遅れてる?

誰もいない街中で、木の葉が頬をかすっていった。


中学校まではまだ遠く、不安が過って空を見上げる。立ち込める暗雲は今にも落ちてきそうなほどで、雨よりも不可解な何かを呼び寄せてきそうだと思えて震えた。怖い…。
胸中に波紋する弱音を払拭するように、最低限度の物が詰め込まれたバッグを持ち直し、息を吸い込んだ。走って早く、体育館に…!


「…そう、そんな事があったの。だから昨日はあんなに暗い顔をしてたのね」

「はい。わたしが悪いんです。ちゃんと話し合わなかったから、だから傷付けちゃったんです…」

ほむら「?」

聞き覚えのある声がした。
誰かいるの?

「大変だったわね。だからって油断しちゃダメよ?思ったより敵は強大だわ。これが、ワルプルギス…なんて禍々しい気なの…」

「わたし、絶対に諦めません。何がなんでもみんなを守ってみせます。…この命に代えても」

……この声は…
すぐそこの角を曲がり、目当ての人物に飛び付いた。

ほむら「鹿目さん!」ダッ!

まどか「ほ、ほむらちゃん!?」

ほむら「命に代えてもってどういう事ですか?どうしてそんな事、言うんですか?」

「か、鹿目さんのお友だち?」

まどか「はいマミさん。同じクラスの子で…そっか、話聞かれちゃったんだね」

ほむら「昨日のことが原因なんですか?美樹さんとケンカして…それで、そんな、悲しいことを…?」

まどか「ううん、違うよ」

ほむら「美樹さんのこと嫌いになっちゃったんですか?彼女はすごく反省していて…今日は一緒に謝ろうって話を…お、お願い。美樹さんを嫌いにならないであげて。彼女なりに悩んで一生懸命で、つい口をついて出た言葉が多少乱暴だっただけで本当は…」

まどか「ほむらちゃん、ほーむらちゃん」ギュッ

ほむら「あっ…鹿目、さん?」

優しく私の手の平を握り締めて、小動物のように小首を傾げる。淡いピンクの眸を細めて笑う表情は花が落ちてきそうなほど、可憐な笑顔で。

まどか「わたしがさやかちゃんを嫌いになるわけ、ないじゃない」

まどか「さやかちゃんも、ほむらちゃんも。仁美ちゃんやクラスのみんなも。守りたくなるくらい大切な存在なんだよ?」

ほむら「鹿目さん…」

まどか「みんなの事が大好きなんだ。だから心配しないで?」


優しい笑顔にほだされて、
暗雲も強風も一瞬分からなくなるほどで、
激しく靡く鹿目さんの桃色の髪の向こう側で、金髪の先輩が眼を伏せた。

マミ「鹿目さん、そろそろ…」

まどか「はい、分かってます。ほむらちゃんごめんね、わたしもう行かないと」

ほむら「ど、どこに?」

何も答えずにただ笑う。優しい笑顔が怖くて、私は握った手を放さないように強く握り締めた。
ーーなのに…

突風に突如見舞われて、私の髪も服も何もかももみくちゃにされて咄嗟に指先を緩めてしまった。ゴミや塵のせいで目も空けられない。

するっと指先が放れて、失態を意識する間もなく耳許で小さく囁かれた。


まどか「 さ よ な ら 」





ほむら「待って…っ」


嘘みたいに風が止み、慌てて手を伸ばしても、そこに鹿目さんはいませんでした。


さっきのは一体なに?
鹿目さんはどこに行ってしまったの?

頭の中は混乱状態のまま、ガラス越しに外の景色を見つめた。
彼女を見失ってすぐ私は広報車に拾われ、優しいながら確かな叱咤を受けた。稀に見る大型台風の来襲、強風で何が飛んできてもおかしくないのに子供が一人じゃ危ないだろうと。…じゃあ二人ならどうなんですか?

車体に雨粒が打ち付ける音が次第に強くなっていき、先輩と鹿目さんの緊迫した表情が目まぐるしく脳裏を駆け巡る。



…きっと、先に避難場所に逃げたんだ。



そう思わないと胸の動悸が押さえられなかった。

車は見滝原中学校の前で止まり、優しい消防のおじさんに手を振られながら私は車を後にした。
校門から校舎の入り口までの距離はさほど遠くはないが、強風の中で横殴りの雨の中傘を差して走る身としてはやたらと遠く感じる。
土間にたどり着く頃には雨風に吹かれびちゃびちゃに濡れていた。



ーー土間、静かだな。


靴箱の上に履き物が無尽蔵に置かれてひしめき合い、足下もまた然り。普段と違う光景と怖いくらいの静観は屋外の嵐の音を際立たせた。
土間は体育館から遠い。
背を丸めてスニーカーのかかとに指をかける。早く、会って話したい人がいる。


その時、奥から忙しない足音が聞こえた。

仁美「ほむらさん!」

ほむら「志筑さん…」

仁美「や、やっといらっしゃったんですね、遅かったじゃありませんか。心配したんですのよ」

息を乱し、膝に手をつきながら志筑さんは話した。肩は上下運動を繰り返し、取り繕うように頬に張り付く髪を退かす。察するに尋常ではない様子だ。

ほむら「何か…あったんですか?」

仁美「はぁ…はぁ、実は…」

仁美「まどかさんが、行方不明で…」

ほむら「…っ」

仁美「クラスのみんなやまどかさんのご家族総出で探しているのですが、見つからなくて…」

仁美「こんなに強力な突発的台風は近年稀に見る驚異だそうです。そんな非常事態にまどかさんは一体…」

仁美「校内を探しても見付からないのであり得ないとは思いますが、彼女の靴を…確認しにきましたの」

ほむら「…美樹さんは、美樹さんはどこにいるんですか?」

仁美「まどかさんが行方不明と聞いて血相を変えてすぐ飛び出していかれて…方向から察するにあれは北校舎のほうか…あっほむらさん!ちょっと、」

声を振り切って走り出す。
今すぐ美樹さんに会わないといけない気がした。
自分本意でただ私が、会いたかっただけなのかもしれない。

ほむら「美樹さん、美樹さあ~んっ」

北校舎は教室が連なる棟で、体育館から一番離れている場所だ。
窓がガタガタ揺れている。雲が渦を巻き、時折空の向こう側で何かがチカチカ光っているのが見えた。


…多分、鹿目さんは学校にはいないと思う。
動悸が激しくなる。
志筑さんが靴の有無を確認したのなら今頃体育館では大騒ぎになっているだろう。
美樹さんには…伝えないほうが良いよね。嵐の中を探しに行くと言いかねないから。

鹿目さん…お願い。早く戻ってきてみんなを、美樹さんを安心させてあげて。



ほむら「美樹さぁあんっ!」


私、みんなでカラオケ行って、普通に遊びたい。

ガシャアン!!

ほむら「ひゃあっ!?」

キャハハハハ、キャハッ

前方からガラスが砕ける不協和音が耳をつんざき、思わず肩を跳ね上げる。間髪入れずに無邪気な笑い声が聞こえた。無邪気なのに無機質で、今まで耳にしたことがない声だった。

キャハッキャハハ
ウキャキャ、キャ

複数いる、近付いてくる…!



ふわふわと、妖精のような、小人のような人型の「何か」が泳ぐように宙を飛び交い私に近付いてくる。
咄嗟に身構えて膝に力を入れるが反射神経が作動せず、そこから動けない。思考が回らずに「何か」を凝視していた。

キャハハッキャッキャッ
ウキャー

「何か」は私のすぐ横にある窓ガラスを砕き、そこから廊下の突き当たりまでまるで一線を引くように、真っ直ぐに飛んで破壊した。

一瞬の出来事だ。

私には窓ガラスが一斉に破裂したように見えた。ガラスの破片は飛び散り、私の上にも容赦なく降り注ぐ。

ほむら「いやああ!」

服が切れて、肌が裂かれて、私は頭を抱えてその場にうずくまった。

窓ガラスが割れ、豪雨と強風が校内を襲った。雨に濡れて服が体にまとわりつき、息ができなくなるほどの風に煽られ唇を噛み締める。「何か」はまだ暴れているのだろうか、背後で尋常ではない破壊音が聞こえた。


ほむら「ふ、あ、あぁ…」



何 が ど う な っ て る の ?



怖いよ…私、このまま死んじゃうの?




「なんだよ、これ!」


……あっ


「あぁ!ほむら!」


美樹、さん…?
青い髪が揺れた。見たかったはずの笑顔はなく、表情がひきつっている。やっと会えた…のに、


さやか「大変…!ほむら!」


だ、だめ…美樹さん、やめて。


ほむら「こっちに来ちゃダメ、早く逃げてえ!!」



私の背後から一つの塊が飛び出して、美樹さんの上にふわりと浮かぶ。彼女の頭上に不穏な影を落としつつキャハッと愉しそうに囀ずった。

遠くでも誰かが笑っている声が聞こえたような、気がした。




ーーー水の、音。


ピチョン、


水滴。
冷たい。


重い。痛くて…あちこち軋む。

意識より先に感覚が脳に伝わった。神経が伝達を初めて痛覚、冷覚、聴覚などを強く反映すると、その刺激を経て緩やかに覚醒する。瞼を押し上げて一番最初に視界に飛び込んできたのは、重苦しい灰色の空だった。


ほむら「う…っ」


重い、痛い…

自分の身体を見下ろすと、ところどころ瓦礫の下敷きになっている。制服には血が滲んでいた。


ほむら「…なんで。どうして、私は一体…」


朧気な意識のなかで一生懸命記憶の糸を手繰り寄せると、青い影が脳裏を過り、それを皮切りに全てがすとんと落ちてきた。フラッシュバック。思わず全身が震えた。


ほむら「みっ…美樹さあん!!」


心からの絶叫に返事はない。

ほむら「あ、う…うぅ…誰か…ぁ」


上空から滴が落ちてくる。
嵐は止んだの?あの恐ろしい妖精は?美樹さんは?街の皆は…?

私は瓦礫の下敷きになりつつ、胸部から上は割りと自由の利く状態だった。
顔を上げて辺りを見回してみると額から何か生暖かいものが頬を伝い、徐に拭って見てみるとまだ綺麗な血液だった。それだけで頭がぐらりと揺れて、貧血を起こしてしまいそうだ。



…美樹さんが駆けつけてくれた後のことがうまく思い出せない。
見ていないのか、はたまたショックで記憶を遮断してしまったのか。
ただ…多分、一番最後に見たと思われる記憶の中で、美樹さんが膝から崩れ落ちるシルエットを捉えていた。

じんわり、瞳が水分を滲ませていく。



街は崩壊し、雨粒以外なにも聞こえないほど静かだった。

ほむら「痛いよぉ…ぐすっ」

ほむら「美樹さぁん」

咽び泣きつつ上体を起こし辺りを必死に注視する。口から溢れるのは弱音と、大切な友達の名前だけだ。
気付けば鼻からも出血していた。掌に深紅が滴り落ちて何かが頭の中で崩れ落ちる音がし、終わりが近いと何となく悟って拳を握りしめた。

せめて最期に、会いたい。


ほむら「美、樹、さぁ」


意を決して痛い腰を捻り背後に呼び掛けたときだった。求めていた色が、飛び込んできた。

ーー濡れて瓦礫に広がる水色。力なく伏した体は、左腕と鎖骨あたりから上を残して瓦礫の下敷きになっている。
トレードマークの髪留めは、ひしゃげて辛うじて毛先にぶら下がっていた。

ほむら「みっ…」

瞳を丸める。
彼女の身体はぴくりとも動かない。乱れた髪に隠されて表情も見えない。
一番恐ろしかったのは、彼女の髪の毛にはその澄んだ色と相反するように朱が侵食していたこと。

ほむらはくしゃりと、表情を歪めた。

ほむら「美樹、さぁあ…ん」

さほど距離はない。
後ろに手をつき、精一杯力を込めて前進を試みる。が、一向に進まない。
一息ついて寝そべり、仰向けのまま両腕を駆使して這い上がろうとするが、やはり重い瓦礫はビクともしない。

ほむら「はぁ…はぁ…」

美樹さんの頭をじっと見つめる。美樹さん、美樹さん…

ほむら「…あなたにだけは生きててほしいの」

とめどなく涙が溢れ、彼女の姿がどんどん滲んでいく。

ほむら「死んじゃ駄目だよ…」

ほむら「目を覚まして。お願い、美樹さん」

ほむら「まだ、まだ始まったばかりなんだよ」

必死に手を伸ばす。近付きたいのに近付けない、触れることすら叶わない。
転校してからというもの、一番に優しくしてくれたのが彼女だった。とても可愛がってくれて、守ってくれた。だから今度は私が…って、手を引かれて帰る木漏れ日の背中に、誓ったの。

どんどん美樹さんが滲んでいく…

ほむら「貴女を守りたいって。私はまだ、何もしてあげられてないのに。…嫌だよ、ぐすっ。いや、嫌」

ほむら「美樹さんを助けたいよ!」



「それは本当かい?君のその祈りのために、命を賭けられるかい?」


ほむら「え…?」


「ボクなら力になってあげられるよ」

ほむら「な、なに?誰?」

「ボクの名前はキュゥべぇ!君の願いを聞き届けに来たんだ」

ほむら「私は…夢を見ているの?」


この辺一帯一際高く瓦礫が積まれた場所で、見たこともない小動物が赤い瞳でこちらを見下ろしている。
視界と思考がぐらりと揺れた。

キュゥべぇ「夢か否かはさほど重要じゃないんじゃないかな。君にはもう選択肢なんて残されていないんだから」

頭がぼんやりしてきた。小動物の口は全く動いていないのに、声はまるで脳に直接訴えかけるように反響する。

ほむら「一体、何を…」

キュゥべぇ「ボクと契約して、魔法少女になってほしいんだ!」

ほむら「契約…魔法、少女?」

キュゥべぇ「どんな願いでも1つだけ叶えてあげる代わりに、君には魔法少女となり使命を全うしてほしいんだ」

ほむら「魔法少女、ってなに?」

キュゥべぇ「魔女を狩る者達さ」

ほむら「魔女…?なに?なにを言ってるのか全然分からない…これは夢なの?」

キュゥべぇ「君だって見たはずだよ、学校を襲う使い魔を。あれは魔女の手下でね、不幸なことにキミの友達はそいつらの犠牲になってしまったようだね」

顔がひきつる。
あの恐ろしい妖精のこと?やっぱり美樹さんは、アイツらに…!

ほむら「目の当たりにしながら、貴方は助けてくれなかったの?」

キュゥべぇ「それはボクの力の及ぶところじゃない。キミ達が知らないだけでこの街に魔法少女は確かに存在し、そしてあの嵐の元凶となる『ワルプルギスの夜』…超大型の魔女だね、そいつと死闘を繰り広げていた」

キュゥべぇ「だが呆気ないものだ。彼女達は絶命し、この街が守られることはなかった。それがこの結果というわけさ」


ーーキュゥべぇ、と名乗る小動物は顔を上げて軽くあたりを見渡した。
意味もなくつぅ、と涙が筋を作っていった。

キュゥべぇ「さぁ、どうするんだい暁美ほむら」

ーー私の名前、知ってるんだ。

キュゥべぇ「キミがボクと契約し、魔法少女として魔女と戦う運命を背負ってくれるならどんな願いでも一つだけ叶えてあげる」

キュゥべぇ「これを拒めばキミは運命に抗えずこの場で絶命し、友達を救えないまま最期を迎えるだろうね」

ほむら「う…っ」

キュゥべぇ「さぁどうする?暁美ほむら」



ほむら「私、は…」




ほむら「ーー…彼女との出会いを、やり直したい」





ほむら「美樹さんに守られる私じゃなくて、

美樹さんを守れる私になりたい」


藁にもすがる思いって、きっとこういう事なんだね。
乾いた唇が切れて痛かったけど、喋り終わるとふいに意識が遠退いた。

血が、足りなくなっちゃったのかな。

目の前が霞む。
まるで眠りに落ちてくように、瞼が下に下がっていった。


回らない思考のなかで最後に瞳に写したものは、美樹さんの広がる水色の髪の毛と、紫色の光に包まれる自分の左手だけだった。

今回の分は以上です。
1週間前後の間を空けて投稿していく予定ですのでよろしくお願いします。

書き手として返事こそ控えてますが、労いも叱咤もありがたく読まさせていただいております。
これからもスローペースで展開も皆様のご意向に添えられないかもしれませんが、どうか温かく見守っていただけますと嬉しいです。
それでは。

ーー居心地の良い花畑で昼寝をしているような、

ーー滑らかな真綿に包まれているような、

ーー適温の水に浸って寛いでいるような、



そんな気分。
あたしは微睡んでいた。
ずっとずっと、永遠にそうしているような気がしてた。


優しい指先が、あたしの前髪をさらりと撫でる。
体温が伝わってこない。柔らかくて慈愛の籠った感触が、懐かしい。

抜けがあるかも知れんが、ここまでの本文抽出しといた

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>>126-132
>>162-166

ーーーーーーーー

ーーーーーーーー

ーーーーーーーー……


ほむら「はっ」

目を覚ます。
性急に上体を起こして飛び起きると、何もない一点を見つめ緊迫感から瞬時に固まった。張り詰めた緊張をほぐすように深く息を吐き出すと、ようやく肩が軽くなった気がする。

白いシーツ

差し込む日光

揺れるカーテンレース

独特の、消毒液の香り

ほむら「……夢…」

恐る恐る額に手を伸ばす。

ほむら「あっ」

指先から何かが滑り落ち、膝に着地すると紫色に輝いた。

ほむら「ーー宝石…?」


ーーーーー-



看護婦「もうすぐ退院ね。ほむらちゃん、お加減はどう?」

ほむら「はい、問題ないです」

看護婦「ふふ、良かった」

ほむら「……あの、」

看護婦「うん?」

ほむら「見滝原市は何事もない、ですよね?」

看護婦「? どういう事?」

ほむら「あの、いえ、別に…」

看護婦「?」

ほむら「……見滝原に、行きたくて」

看護婦「あぁ、ほむらちゃんは見滝原中学校に転入するんだっけ。退院して、お引っ越しが済んでからのお楽しみにしたらどう?遠いんだから交通費もバカにならないわよ?」

ほむら「……」

私は拳を握り締めた。

穏やかな日常が取り戻されて、空はいつにも増して晴れやかだ。

そんな普通の光景がただただ不気味で仕方ない。

ベッドの中から病室のカレンダーに目をやると、私が記憶していた日付から約1ヶ月前まで遡っている。このまま順調にいけば、数日後には見滝原中学校に転入することになるだろう。窓際に転校書類が置かれていた。
夢…というにはあまりに鮮明で、忘れられない情景を私は現実と混同してしまっている。記憶傷害?幻覚?そんな筈は…

出所不明の宝石を握り締めたまま見下ろす。瞳を揺らしてから辺りを忙しなく警戒した。


ほむら「えっと、確か…キュ、キュゥ…」


彼女の存在が絵空事なわけ、ない。


ほむら「キュゥーべぇーちゃーん!」



返事は返ってこなかった。

『魔法少女』
『魔女』
『使い魔』←魔女の手下?
『わるぷるぎすのよる』←夜?
『契約』
『魔女と戦う』

『1ヶ月くらい前にタイムスリップ?』

記憶の中の単語をかき集め、情報を整理すべく紙にメモを書き連ねた。
隣に宝石を置き、ひたすら書いた。
現状に混乱し、入院中で動けない今、やれる事といえばこのくらい。
結局答えは分からなかったが、仮説はどうにか立てられた。

ほむら「嵐に巻き込まれたあの日、私は魔法少女になった?キュゥべぇと契約して…」

ほむら「契約内容は、美樹さんとの出会いをやり直すこと…」

ほむら「魔法少女になったら魔女と戦う運命を背負う」

ほむら「魔女…」

自然と眉が下がる。

ほむら「まるでおとぎ話みたい。こんな事ってあるのかな。でもタイムスリップできたんだから信じるしかない、よね。ーー魔女は殺さないといけないのかな…。ちゃんと日本に、いるんだよね?」

ほむら「海外だったらどうしよう…」

途方に暮れて、病室の窓から傾きつつあるオレンジの夕日を見つめた。

ほむら「しゃべる小動物と契約かぁ…」

ほむら「あっ」

ほむら「どうやって変身するんだろう?」

ベッドから立ち上がる。くらりと立ちくらみがしたが何とか堪えた。

腰を見下ろす。ベルトらしき物はない。

ステッキのような物を探したが、見付からなかった。

ファンデーションケースを探すが、そもそも化粧品の類いを持っていない。

オルゴール、ブローチ、指輪…

ほむら「ない…」

ほむら「魔法少女って変身アイテムがあるものじゃないの?…えいっ!」ブンッ

ほむら「…」

ほむら「どうしよう」

その場に膝まづいて天井を見上げた。前と変わらぬ時間を歩むなら、あと数日。

ほむら「…美樹さん、何してるかなぁ」

本当に過去にタイムスリップしたのなら、彼女はきっと生きているだろう。
やがて夕日は沈んでいった。

いつも温かいコメントをくださりありがとうございます。励みになります。
私情で投稿が遅れてしまい申し訳ありません。

>>549様、ありがとうございます助かります。
こちらでも抜け部分と本日の投稿分を加えてまとめさせていただきましたので、ご活用ください。
>>1-3
>>6-8
>>10
>>12-17
>>27-33
>>61-64
>>82-85
>>88
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>>121-124
>>126-132
>>162-166
>>696-700

タイトルの台詞もそうですが、これからの展開は本編と似て非なる相違点が出て参ります。違和感を感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、お付き合いいただけると嬉しいです。
それでは、今回はこれで失礼します。

くぅ~疲れましたw これにて完結です!
実は、ネタレスしたら代行の話を持ちかけられたのが始まりでした
本当は話のネタなかったのですが←
ご厚意を無駄にするわけには行かないので流行りのネタで挑んでみた所存ですw
以下、まどか達のみんなへのメッセジをどぞ

まどか「みんな、見てくれてありがとう
ちょっと腹黒なところも見えちゃったけど・・・気にしないでね!」

さやか「いやーありがと!
私のかわいさは二十分に伝わったかな?」

マミ「見てくれたのは嬉しいけどちょっと恥ずかしいわね・・・」

京子「見てくれありがとな!
正直、作中で言った私の気持ちは本当だよ!」

ほむら「・・・ありがと」ファサ

では、

まどか、さやか、マミ、京子、ほむら、俺「皆さんありがとうございました!」



まどか、さやか、マミ、京子、ほむら「って、なんで俺くんが!?
改めまして、ありがとうございました!」

本当の本当に終わり


わるぷるぎすのよる


それは魔女とその手下達が結成した組織の名。私はそう捉える事にした。

魔女は見滝原市を丸ごと飲み込んでしまう大規模な嵐を起こせるらしい。
そして手下達は奇妙な姿で人間の命を絶ちに来る。…美樹さんの時のように。

キュゥべぇの話を纏めた末の結論だ。
魔女を倒す運命を背負え?今となってはこちらこそ願ったり、といったような心境で。私の大切なもの総てを無情に奪っていく悪い魔女だと言うなら私は躊躇したくない。罪のない人々を巻き込む、そこに情状酌量の余地は感じられないのだから場合によっては息の根を止める事だって…。

ーー…でも最初は何とか話し合いでケリを付けられないだろうか?魔女側にも何かやむを得ない事情があるのかもしれない。

そして一つ、気がかりな事がある。

キュゥべぇ『キミ達が知らないだけでこの街に魔法少女は確かに存在し…』

私以外にも魔法少女が…


<仲間>


思わずにやけてしまう。同時にくすぐったい気持ちに刈られ照れ隠しに後頭部を擦ると吐息を一つ落として、夢見心地に顔を上げた。


おジャ魔女ど*み。

セー*ームーン。


魔法少女に仲間は付き物だ。
大抵5、6人ほど。たまに3、4人。あ、2人はプリキ*アは2人かぁ。
現実の魔法少女は何人で、私は何人目なんだろう。

でも忘れちゃいけない、彼女達は魔女とその組織に負けたんだ。キュゥべぇがそう言ってたし…。


ほむら「魔法少女が負けちゃうストーリーなんて聞いたことないよ…」

夢見心地は緩やかに融解し、上げた顔を下ろして左手中指の指輪を見詰めた。

変身アイテムが無い無いと騒いだその日の晩、それは見付かった。
宝石があったはずの場所に指輪が置かれていたのだ。
「変身アイテム」の中に指輪を思い描いていた事が高じたのかもしれない。

それからは早かった。宝石と指輪の形状変化はすぐできるようになったし、変身することもできた。
思ったより地味だったけれど…この際贅沢は言わない。

自分の魔法についても把握したが思い描いていた光のビームの類いは無く、世界が灰色に染まったときは驚いた。
結局は時間停止と分かったけれど。でも攻撃力はない、どうしよう…。



…あっ。お父さんのゴルフクラブを借りれば良いかな。

魔女と言うからには相手は一応女性、嵐を起こされる前に時間を止めて背後から…こう、バキッと。


ほむら「ふふっ。美樹さん、私も頼もしくなったよね?」

ここは車の中。暇潰しに熟慮してしまうのも仕方ない。
見知った景色に気分が高揚した。

もうすぐ、見滝原に着く。




美樹さんにもうすぐ会える事が嬉しくて、私は、宝石の色が段々黒みがかっていく現状に目を瞑った。

遅くなりました。私生活が忙しくなかなか手を付けられない状態ですが、少しずつ投稿していきたいと思います。
次からはやっと話を進められそうです。

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>>867-870

さやか「恭介、お弁当作ってきたよ」 恭介「えーと、はい。500円」

さやか「あの、これ、おかずが余ったから作ってきた。あげる」

恭介「手作りのお弁当?」

恭介「ありがとう。えーと、はい。500円」

さやか「え?」

まどか「手作り弁当渡したら、500円渡された。上条君の昼食代が500円」

ほむら「その話だけで判断すると、美樹さやかが可哀想に思えるけれど」

まどか「さやかちゃんの自業自得だね」

さやか「うう、味方が誰もいない」

数週間前




さやか「恭介をカツアゲする。そして、返り討ちにあおう」

ほむら「はぁ?」

まどか「さやかちゃん、頭大丈夫? インフルエンザ?」

さやか「凡人には分かるまい」

さやか「このさやかちゃんの計画が」

さやか「まずカツアゲする。これは成功してもしなくてもいい」

さやか「成功したら、失敗するまで数日ごとにカツアゲする」

まどか「うん、それで」

さやか「失敗。つまり恭介が怒って、私に襲いかかってくる。私はあっさり負ける」

さやか「このまま襲われればよし。襲われなければ、イ本で償うと持ちかける」

さやか「既成事実ゲット」

ほむら「お断りされたらどうするの」

さやか「それはない。相手は男子中学生。工口の化身だ」

まどか「ああ、うん、頑張ってね」

さやか「まどかは応援してくれるんだね。ありがとう」

まどか「さやかちゃん・・・」

恭介「体育館裏になんか呼び出して、どうしたの?」

恭介「もしかして告白とか?」

恭介「そんなわけないよね」

さやか「恭介」

さやか「財布出せ」

恭介「え?」

さやか「今、ちょっとお小遣い足りなくて困ってんだよねー。ちょっと貸してよ。恭介の財布の中身全部」

恭介「3000円と小銭しかないけど、はいどうぞ」

さやか「え、あれ、なんで」

恭介「なんでって、さやかが欲しいって言ったんじゃない」

さやか「いや、そうだけど、普通嫌がるよね。そんな笑顔であっさり渡すかな」

恭介「いいんだよ」

恭介「さやかは僕が入院しているとき、毎日のようにレアCDを持ってきてくれていたよね」

さやか「あれは、その、ね」

恭介「さやかが困っている原因は僕にある。少しでも償えるなら、僕も嬉しい」

恭介「だから、受け取って欲しいんだ」

恭介「全然足りないだろうけど、僕にできることならなんでもするから今日はこれで許して欲しい」

さやか「う、うん、ありがとね」

恭介「それじゃこれからバイオリンのレッスンがあるから。また明日」

さやか「あ、バイバイ」



さやか「あれ?」

さやか「なんか予想と違う」

翌日


まどか「おはよ、さやかちゃん」

さやか「おはよう、まどか仁美ほむら」

ほむら「昨日、上条恭介を体育館裏に呼びつけたようだけど」

さやか「うん、カツアゲ成功したよ」

仁美「本当にカツアゲしたのですのね」

さやか「でも、怖がりも嫌がりもせず笑顔で渡された」

まどか「そうなんだ。今日はどうするの?」

さやか「とりあえず恭介が怒るまでやってみる」

さやか「半月くらいでせいこうすればいいけど。それ以上時間がかかると危ない」

ほむら「そう、適当に頑張ってね」

放課後

恭介「昨日と同じ場所に呼び出されたってことは、要件も一緒なんだよね」

さやか「まぁね。恭介、財布だして」

恭介「空っぽの財布でよければどうぞ」

恭介「ごめんよ、来月のお小遣いまで待ってくれないかな。月の頭に貰うんだ」

恭介「それでも3000円だから、昨日渡した分より少ないんのだけれど」

さやか「あ、そんなの気にしないでよ。なんかごめん」

恭介「そうだ。明日から、お弁当の代わりにパン代貰うことにするよ」

さやか「パン代?」

恭介「いつも僕はお弁当だろう」

恭介「お弁当を作ってもらう代わりに、昼食代を貰うんだ」

恭介「中沢なんかは毎日500円貰って、購買でパンを買ってるらしい」

恭介「僕も同じように出来ないか、親に聞いてみるよ」

さやか「いや、そんな」

恭介「たった500円で申し訳ないけど、さやかそれで我慢してくれ」

さやか「あの、恭介」

恭介「それじゃ、また明日。さやかも気をつけて帰るんだよ」

さやか「行っちゃった……」

翌朝


さやか「はぁ」

まどか「さやかちゃん、なんだか落ち込んでない?」

さやか「なんか、自己嫌悪におちいってる」

仁美「不謹慎ですが、面白くなってきましたわ」

さやか「仁美酷い」

仁美「自業自得ですもの」

ほむら「志筑仁美に同意」

まどか「ごめんねさやかちゃん。わたし」

さやか「大丈夫。3人とも恨んでない。大好きな友達のままだよ」

まどか「なんか私の方が申し訳なくなってきた」

ほむら「まどかが気に止む必要は一切ないわ」

昼休み



恭介「悪いが中沢、今日から別の場所で昼食とることにするよ」

中沢「ああ」

恭介「今日は天気が良い。屋上にでも行こうかな」



さやか(恭介は屋上に……)




屋上

さやか「あの、恭介」

恭介「おや、さやか。奇遇だね。今日はどうしたんだい?」

恭介「普段は教室で鹿目さん達と一緒に食べてるだろう」

さやか「ああ、その、気分転換、みたいな?」

恭介「そうか。僕と一緒、でいいのかな」

さやか「えーと、恭介。お昼ご飯は?」

恭介「借りがあるさやかに対して嘘は付かないよ。500円、今渡してもいいのかい?」

さやか「え、あの、うん」

さやか「そうじゃなくて、パン買ってこなくていいの」

恭介「一食くらい抜いたって大丈夫さ」

さやか「あー、その。偶然さ…」

恭介「ねぇ、さやか。そんなところ立っていないで、隣座りなよ」

さやか「え、うん。それじゃ失礼します」

恭介「そんなに離れなくてもいいじゃない」

さやか「ちょっ、恭介なんで寄ってくるの。なんで手を握る」

恭介「さやかの手はあったかいね」

さやか「いきなり何を言い出すかな。恭介さんは」

恭介「ああ、ごめん。親しき仲にも礼儀あり。馴れ馴れしすぎた」

さやか「恭介、なんかおかしいよ」

恭介「春の日差しが気持ちよくて」

恭介「さやかはお昼ご飯もう食べたのかい?」

さやか「昼休み始まったばかりだよ。食べ終わるわけないじゃん」

恭介「そうだよね。もう邪魔しないから、食べなよ。昼休み終わっちゃうよ」

さやか「その件、なんだけどさ」

恭介「うん」

さやか「あたし、今日さ、お弁当ってピッタリの量のおかず作れないじゃん」

恭介「そうなんだ」

さやか「少し余ったから、もう一つだけお弁当作ってきてあげたんだ」

さやか「恭介が、可哀相だから、一つあげる」

恭介「それは助かるよ」

さやか「そんな嬉しそうな顔しないでよ」

恭介「ごめんごめん。でも、嬉しかったから」

さやか「昼休み終わるから早く食べろよ。ふんっ」

恭介「いただきます」

さやか「おあがりください(小声)」

恭介「ふぅ、美味しかったよ」

さやか「ほとんど冷凍食品だよ」

恭介「卵焼きは手作りだと思ったんだけど、違った?」

さやか「それは私が作ったけど」

恭介「美味しかったよ」

さやか「ただの余り物だから」

恭介「それでありがたかった。またおかずが余ったら作ってきてほしいな」

さやか「もしも余ったら作ってあげてもいいけど、期待しないでよね」

恭介「楽しみにしてるよ」

恭介「あ、さやか」

恭介「お弁当ありがとう。はい、500円」

さやか「え、あ、うん」

恭介「今、確かに渡したからね」

さやか「・・・・・・・・・・・・・・うん、そうだね」

昼休み終了間際


ほむら「いい雰囲気に聞こえるけれど」

さやか「でね、お弁当食べ終わったあと、『これ今日の分』って500円渡された」

まどか「ぶふおぁ」

さやか「手作りお弁当食べてもらったのに、なんか悲しい。なにか違う」

まどか「さやかちゃんの愛情弁当500円也ってか。ってかwwwwww」

仁美「なんだかもう私がさやかさんに惚れそうですわ」

まどか「返り討ちにあって、少女卒業するのいつになるのかな。かな」

さやか「焦っちゃダメ。じっくり落とす。いつか必ず我慢の限界が来るから」

仁美「上条君、好きです。付き合って。返事は放課後でよろしいですわ」

さやか「ひとみぃ!?」

恭介「突然の告白ありがとう。放課後までに誠意を込めた回答を用意するよ」

さやか「恭介!?」

放課後


仁美「上条君、屋上で待ってますわ」

恭介「分かった。少し時間をずらして、5分後くらいに行くよ」

さやか「うぐぐ・・・」

さやか「仁美が相手じゃ敵わないよ。仁美も恭介のこと好きだったなんて」

さやか「親友のことなのに、全然気がつかなかったよ」

さやか「あたしって、ホントバカ」

まどか「さやかちゃんのバカ!」

まどか「大バカ!」

まどか「救いようのないバカ!」

まどか「そんなだから戦う前から負け犬になるんだよ。負け犬バカ!」

まどか「どうして最初から諦めるの。バカだよね。死ぬの?」

まどか「馬鹿なら馬鹿らしく、当たって砕けてそれから自分のバカさ加減に絶望しなよ」

ほむら「いや、まどか。いくらなんでも」

さやか「まどか・・・励ましてくれるんだ。マシンガントークの応援、まどかの心は伝わったよ」

ほむら「ここ、怒るところよね?」

さやか「あたしなりにやるだけやってみるよ」

まどか「うん、その方がさやかちゃんらしいよ」

まどか「大丈夫、きっと上手くいく」

さやか(私は恭介が好き)

さやか(馬鹿だし、美人でもない。元気だけが取り柄のダメな子だ)

さやか(そんな私が出来ること。仁美というライバルに万が一にでも勝てるかもしれない唯一の方法)

さやか(もう私は、手段を選ばない)



私は、屋上の扉を、全力で駆け上がる勢いのまま、開いた

さやか「上条恭介っ」

バタッ



さやか「上条恭介っ」

恭介「さやかっ」

仁美「さやかさんっ」

さやか「恭介、わたしは」

さやか「あなたを」

さやか「あなたを殺す」


恭介「」

仁美「なぜ」

さやか「悔しいけど、私じゃ仁美に勝てないよ」

さやか「仁美は優しいし、可愛いし、お嬢さまだし、肌はスベスベで、髪の毛フワフワ」

さやか「女の子女の子してる。それに比べてわたしなんて」

恭介「そんなに自分を卑下するな」

さやか「私なんてガサツだし、馬鹿だし、良いところなんて全然ないよ」

恭介「うん、まぁ、バカだよね」

仁美「ガサツなところ、多々ありますわね」

さやか「恭介、腕治ってよかったね」

恭介「ああ、まるで奇跡や魔法だ」

さやか「それ、私が治したんだよ」

さやか「その奇跡も魔法も、私が起こしたんだよ」

恭介「・・・・・・・・・・・何を言っているんだ」

さやか「見て、恭介。変身」

パァ

さやか「私の姿、変わったでしょ。これが奇跡の代償」

恭介「その格好は」

さやか「これは魔法少女の衣装。わたしは恭介のために」

恭介「さやかって意外とスタイルいいんだな」

仁美「スクール水着じゃ分からない魅力ですわね」

恭介「写メ写メ。くそっ、起動が遅い」

仁美「さやかさん、お似合いですわよ」

さやか「え、ありがと」

恭介「今度、撮影させてくれよ。それ、よく似合ってるぜ」

さやか「そ、そうなの、かな」

さやか「じゃなくて。危うくごまかされるところだった」

さやか「恭介、お前を殺す」

恭介「理由は?」

さやか「恭介と仁美を殺せば、奪われることもない」

さやか「ずっと私の胸の中で生き続ける」

仁美「上条君が死んだら、私も死にます。上条君、天国で、また、会いましょう」

恭介「志筑さん、君はそんなに僕を」

恭介「もしも僕らが死んだら、永遠に一緒だね」

さやか「仁美ぃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーッ」

仁美「さやかさんも告白されれば良いのでは?」

さやか「どうせ仁美には敵わない。それならいっそ…」

さやか「いっそ……恭介好きだ。付き合って。応えてくれなければ恭介殺して、私も死ぬ!」

恭介「なんで一々脅しかけるのかなっ。普通にしろよ」

仁美「上条君、好きです。付き合ってください」

恭介「志筑さんに言ったわけじゃない!」

さやか「恭介、くん。好きです。付き合ってください」

仁美「ごめんなさい。お断わります」

恭介「おい」

さやか「恭介、好きです。付き合ってください」

恭介「いいよ」

仁美「即答!?」

恭介「近々告白されると思っていたからね。もう答えは決めてあったんだ」

さやか「え、それ、どういうこと」

さやか「恭介、あたしの気持ちに気づいていたの?」

恭介「分かるさ。何年付き合ってきたと思っているんだ」

恭介「さやかの頭のバカさ加減と超展開思考くらい読めるようになるさ」

さやか「恭介はそんなに私のことを・・・」

仁美「バカにされていることにすら気付かないなんて。さやかさんかわいそう」

パチパチ

さやか「仁美」

仁美「結局、上条君をさやかさんにとられてしまいましたわ」

恭介「ごめんなさい、志筑さん」

仁美「お気になさらず。人の心は自分だけのもの、誰も貴方を責められませんわ」

仁美「このままさやかさんと、上条君はお幸せになるのですね」

仁美「そんなの私が許さない」

仁美「だから、さやかさんと恋人になる前に上条君を殺して永遠に私のものにする」ブンッ


恭介「ひぃっ」

さやか「危ないっ、きゃあ」

恭介「志筑さん、その馬鹿でかいナタどこから出したの」

仁美「乙女の秘密ですわ。死ねぇええええええええええええええ」ブンッ

さやか「させるっかぁっああああああああああああああ」キィンッ

まどか「それで、二人揃って停学処分を受けたと」

ほむら「馬鹿ね」

恭介「さやかはともかく、志筑さんがあんな子だったなんて」

まどか「上条君は誤解してるようだけど、まぁいいや」

まどか「あ、そうだ。上条君」

恭介「なに?」

まどか「好きです。付き合ってください」

ほむら「まどか!?」

恭介「ごめんなさい。他に好きな人がいます」

まどか「ちぇっ、振られちゃった。それで、上条君の好きな人って?」

恭介「暁美さん」

ほむら「え、あたし?」

恭介「鹿目さん、ごめんなさい。調子こきました。だから、頚動脈にコンパスの針突きつけるの止めてください。怖いです」

まどか「二度目は無いよ」

恭介「やっぱり、僕はさやかと付き合おうと思う」

ほむら「そう」

恭介「さやかはヤンデレで、恋人にしたら僕のバイオリニスト人生の邪魔になること間違いない」

まどか「うん、そうだね。練習時間をデートに費やせとか言っちゃうタイプ」

恭介「それでも、僕はさやかに借りがあるし、付き合いも長い。なんとかやっていけるさ」

ほむら「好きにしなさいな」

一週間後


恭介「おかえり、さやか」

さやか「ただいま、恭介。と言っても、毎日顔は合わせてたけど」

恭介「そうだね。それじゃあ続きをしようか」

さやか「なんの?」

恭介「屋上で待ってるよ。次こそ、最後まで」




おわる

なんとか埋まる前に完結できました
応援ありがとうございました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年03月16日 (日) 15:42:07   ID: Ig4S3pBY

荒らしの分まで保管してるじゃねえか

2 :  SS好きの774さん   2014年10月07日 (火) 22:07:38   ID: HymvMx8W

きちがい沸きすぎだろ

3 :  SS好きの774さん   2014年11月29日 (土) 01:09:11   ID: ZqHJfKIq

結局、ほむらが三滝原に来てからが気になるってわけよ

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