ベルユミ【 脳内麻薬 】※近未来パロ(133)


ベルユミ短編小説。

・近未来パロ。
・ベルトルトが色んな意味でおかしい。
・ホラー風味だけどホラーにあらず(多分)

苦手な奴はそっ閉じ推奨。

では大丈夫な奴だけ下へどうぞ…

あ、…名前書く気無かったのに失敗した。
まぁ… いっか。ではいこう。




彼女はいつの間にか僕の頭の中に住んでいた。


ユミル「よぉ、今日も死んだような顔しやがって」

ベルトルト「君は今日も憎たらしいね、ただの僕の想像の人物のくせに」

ユミル「はは、その方があんたにとって都合が良いだろ?」

ベルトルト「……まぁね」


僕は必ずこの時間をどろどろとした空間で、独りぽつんと立っていた。

右も左も、上も下もわからない空間。
これは夢だとわかっていた。

それでもこの吐き気と頭痛は現実と同じ。

様々な絵の具をぐちゃぐちゃにかき混ぜたような空間で、僕は独りその苦しみに耐える。

ただ、それだけの時間。

そんな僕を彼女はいつの間にか遠くで見ていた。






ユミル「なぁ、苦しいか?」

彼女は必ずそう僕に問う。
初めて出逢った時は、第一声がこれだった。

そうして、僕は返事の代わりに彼女を押し倒し…

ユミル「…っぐ、…は、…ぁ」

細い首を両手で締める。



何て不愉快な夢だろう。
夢のくせに手には暖かな温度と、空気をせき止められた事によりピクンと苦しげに跳ねる喉の感触がしっかりとある。

ユミルと言う名の僕の偶像が涙目で僕を見る。
それでも、彼女はただ自分の服を握り締めて耐えるだけ。

ああ、本当に不愉快だ。

どうしてこの偶像は僕の望み通りになってくれないのだろう。



酸素を求めて開きっぱなしの口に舌を入れて、彼女の舌と絡ませる。

ぬちゃぬちゃとした音が酷くいやらしい。

そうしていると彼女は夢の人物なのに、ぐったりと気を失うのだ。

静かになった所で、彼女の色気も何もない服を剥ぐ。

そうすると、無駄な脂肪が付いていないスレンダーな身体が現れる。


あぁ、でも最近。
これもまた夢の筈なのに、彼女の胸と尻がふっくらと丸みを帯びて来たような気がする。

服を全て剥ぎ取ると、まずは小ぶりな胸を揉みし抱く。

ふにふにと柔らかな胸。触っていると何故か心が安らぐような気がする。

だが身体は高ぶって来る。
堪らなくなって胸にしゃぶりつく。
気を失っているから、喘ぎ声などの反応は返っては来ない。
だが、胸の中心にある乳首は僕の愛撫を喜ぶかのように堅く勃起してくる。

ベルトルト「ん…はぁ、はぁ、ん…」

ちゅぱ…ちゅ、…ぴちゃ…



どろどろの空間に自分の熱い吐息と欲深い水音だけが通り拡散する。

彼女は自分の理想の女性像とはかけ離れている。
なのに、こうしている間は頭が痺れ、考える事が出来なくなる。
この、淫らな行為だけに没頭出来る。

だから、止められないのだ。

あぁ、頭が痺れる。痺れる。痺れる。

心地良い。何も考えなくて良い。
何て楽なんだろう。



ぼんやりとしている内に、いつの間にか彼女の秘部に自分の雄を突き刺して細い腰を揺さぶっていた。

彼女はまだ起きない。
でも、その神秘の穴はどこまでも自分を受け入れると錯覚する程に潤い、包み込み、程よく僕を締め付ける。



自分の肉と彼女の肉がぶつかる音。
ぱんぱんぱんぱん。
何て単調で陳腐な音だろう。文章にすればたった2つの文字が交互に並ぶだけ。

ぐっちゅ、ぐち、ぬりゅ、ぐちゅ。
一方こっちはまだレパートリーが多い。
だが濁点の多い文字は何だか聞いていると心がざわつく。
まぁ…此方の方が彼女と繋がっていると実感させられる音だから、そう思うのかも知れない。


気持ち良い、気持ち良い。
夢だとわかっているのに、どうしてこんなにも気持ちが良いのだろう。

これが人間という生物の性なのだろうか。
繁殖を促す為に快楽というおまけを身に付けた生物。
快楽に身を任せていれば、ぽこぽこと数を増やす生物。

何て、卑しくて、愚かなんだろう。

でも、それは自分もだ。

気持ち良い気持ち良い。きもちイイ。


どうせ夢じゃ子供は出来ない。
男は女性のように、想像ですら生命を宿せない。

それなら、こんなにも浅ましくなくて良いのに。

そうぼんやりと思いながら、腰を振る。

ベルトルト「は…っ、も、出るっ、…ぐっ」

そうしていると、精巣から種が放出され、精液と呼ばれる液体になって、グロテスクな棒の先から飛び出す。

さらさら外に出すという選択肢は無い。
どうせ、これは夢なんだ。

棒で子宮の入り口をこじ開けその中の肉壁に叩き付けるように射精した。



結局、彼女の中へ何回か出した後。
ようやく欲は満たされ、彼女の中から雄を引き抜いた時にはごぷりと小さな音を立て精液が溢れ出て来た。

この瞬間が、僕は堪らなく好きだった。
憎たらしいだけの彼女が美しく見え、酷く愛おしく思える。

だから、後処理なんてしない。
どうせ無意味だし、せっかくのこの光景を潰すのは勿体ない。

夢の中なのに、射精した後の気だるさに負けて倒れる。

この倦怠感が心地良い。



ユミル「あーあ、またぐちゃぐちゃじゃねぇか」

しばらくしてやっと彼女が目を覚ました。
どう返事をして良いのかわからない、だから返事はしない。

ユミル「あんた、本当に馬鹿だよなぁ」

裸のままの彼女が顔を覗き込んで来てそう言う。
わかっている、自分でもそう思う。
だからまた返事はしない、変わりに寝返りを打って背を向けた。

ユミル「…何むくれてんだよ、でっかいくせに中身はガキだなぁ」

気を失っていない彼女は嫌いだ。
僕が嫌がる事ばかりを口にする。




ユミル「本当に馬鹿な奴…」

僕は、彼女が嫌いだ。




.



カーテンを締め切った薄暗い部屋で目を覚ました。まだ日は昇っていない。

小さなスタンドライトがぼんやりと辺りの風景を暗闇から浮かび上がらせる。

備え付けのベッド。必要最低限の家具。暇を潰す為だけの本。

自分の部屋の中を見渡してみても…

当然、彼女がいる訳がない。



枕元に置いてある時計を見たら、まだ4時半だ。
寝汗を流して、制服を着て、朝食を済ませてみても、家を出るにはまだ早過ぎる時間だろう。

もう一回眠ろうと布団の中へと潜り込む。
暖かい筈なのに寒く感じるのは何故だろう。

目を閉じても、瞼の裏を見ているだけだ。

あぁ、嫌だなぁ。絶対に二度寝なんて出来そうにない。

寒いなぁ…。

一人で眠るのが当たり前なのに、それに違和感を覚えるのは何故だろう。

寒いなぁ…寒いよ。

結局、目覚ましが鳴るまで眠気は一向に訪れる事は無かった。


ユミル「よう、また暗い顔してやがるな」

ベッドに倒れるようにして横になると、いつものようにいつの間にか、彼女がそばに立っている。

ユミル「あんたもよく飽きずにそんな顔出来るもんだな」

返事はしない。
兎に角居心地が悪いので、何となく座って自分の胴体と折り曲がった膝の間の暗がりに顔を埋める。

ユミル「その歳で体育座りが様になってるのはあんた位なもんだ」

背中にずしりと重みがかかり、遅れて重なる部分からじんわりと温もりが伝わる。

ベルトルト「…重いよ」

ユミル「私は細身なんだがな」


ユミル「なぁ、ベルトルさん。苦しいか?」

また、お決まりの台詞。

ベルトルト「…苦しいよ、そんな風に体重をかけてもたれられると」

ユミル「そうか。よ~しよし、悪かったな」

ベルトルト「僕は犬や猫じゃないよ」

ユミル「知ってる。だけど拗ねた子供だからな」

ベルトルト「…拗ねてないよ」

ユミル「そうか」


ユミル「今日は学校、どうだったんだ?」

ベルトルト「別に。いつも通りだよ」

ユミル「…ふーん、ならあんたの幼なじみもか?」

ベルトルト「…そうだよ」

ユミル「ふーん、そうか…」

背中の彼女が何だか体制を変えている。
彼女は僕の想像から成り立った者の筈なのに、何をしたいのかさっぱりわからない。
どうでも良いから考えもしないけど。


ユミル「なぁ、ベルトルさん」

ユミル「顔、上げろよ。自分の腹なんて見ても楽しくねぇだろ?」

ベルトルト「…楽しい、楽しくないの問題じゃないよ」

ユミル「良いから、上を向け。でなきゃ無理やり向かせるぞ」

僕が彼女を嫌いな要点はまだある。
それがこれだ、彼女は横暴だ。
彼女は何が何でも自分の要求を曲げない。

今僕が顔を上げなければ、僕首を痛めるのも厭わず力ずくで上を向かせるだろう。
これは夢だけど、夢にいる間はやっかいな事にその首の痛みも鮮明に感じてしまう。

だから億劫に思いつつも、のろのろと上を見上げる。



ユミル「ん…ふ…」

視界いっぱいに逆さまの彼女の顔が映ったかと思えば、唇を覆われるようにキスをされる。

そのままヌルヌルの生暖かい舌が僕の唇を舐めて捲り、閉じられた歯の歯茎を舐めるので仕方なくそれを迎える。

口付けの熱が増すと同時に僕の視界を今度は瞼とは別の物が遮る。
これは彼女の下乳だ。しかも、生の。
あぁ、さっき脱いだんだね。

彼女が動く毎に、顔の上半分に胸が乗りふにふにと柔らかな感触が視界を蝕む。
離れたら、離れたで…今度はツンと尖った乳首が濃厚なキスと合わさり僕の正常な精神をガリガリと削っていく。


ユミル「ぁ…はぁ、ふ…ん、はぁ」

ベルトルト「は、…はぁ、…は」

濃厚過ぎるキスは呼吸を忘れる程に甘美で、彼女の唾液がトロリと彼女の舌から僕の口内へ流れながら唇が離れる頃。
二人共々息が上がり、仕掛けた筈の彼女ですら酸欠のせいか目尻に涙が浮かんでいる。

彼女が酸素を欲して、唾液でベタベタの口から空気を取り込む度に頭に先ほどの柔らかさが当たる。

ユミル「ふふ、なぁ。苦しいか?」

ベルトルト「…当たり前じゃないか。呼吸出来ないと死ぬよ」

ユミル「そうか」



ユミル「なぁ、ベルトルさん。しようぜ?」

ベルトルト「…今日はそんな気分じゃないよ」

ユミル「私がしたいんだよ」

ベルトルト「僕は君が嫌いだ」

ユミル「知ってる」

ベルトルト「その見透かしたような物言いが特に嫌いだ」

ユミル「知ってる」



ユミル「だから、しようぜ?」

ベルトルト「…意味がわからない」

ユミル「ははっわからなくて良いよ」

彼女が目を細めてさも愉快とばかりに笑う。

やっぱり、
僕は、彼女が嫌いだ。

今回は以上。

今の所、ホラー要素は皆無。
近未来要素も皆無。

それでもこれはホラー風味の近未来パロディだと言い張る。

ではな。

うむ、やはりパロディ系は苦手や奴多いのかな?

ま、少数でも…読んでくれる奴がいるのならば晒し続けよう。

では、いこうか。


また夜明け前に目を覚ます。
整ったベッドの上、当然自分以外誰もいない。

空気が寒く感じる。
温もりが酷く欲しくて、布団の中へと潜る。

布団の中は何故か良い香りがして
温かかった。

これで寒くない。
痛くない。

気持ちが良い。


今日も同じ事の繰り返し。

家を出る。
学校に行く。
授業を受ける。

幼なじみの女の子と、同じ金髪の同級生が手を繋いでいるのを見かける。

早足で昇降口へ向かう。


家に帰る。


ユミル「ひでぇ顔だな」

ベルトルト「五月蠅い」

ユミル「そんなに苦しいか?」

彼女に枕を投げつける。当たらなかった。

.


ユミル「可哀相に…」

ベルトルト「五月蠅い」

ユミル「あんたも楽に生きれば良いのに」

ベルトルト「五月蠅い」

ユミル「あの二人も好きにやってんだからさ」

ベルトルト「五月蠅い」

ユミル「それが出来なきゃ逃げれば良いだろ」

ベルトルト「五月蠅い」

ユミル「誰もあんたを咎めやしないよ」

ベルトルト「…五月蠅い」

ユミル「本当に、馬鹿だなぁ…」

ベルトルト「五月蠅い」


夜明け前に起きる。
誰もいない。寒い。寒い。

布団を被る。
良い匂い。温かい。あたたかい。
落ち着く。

二度寝の成功。


家を出る。
学校に行く。
授業を受ける。

昼休みに金髪の女の子が来る。
一人で屋上へ向かう。
冷たい風が吹く中でコンビニのパンを食べる。
寒い。寒い。

屋上の端で黒髪の女の子を見つけた。

家に帰る。



ユミル「おかえり」

ベルトルト「ただいま」

ユミル「可哀相に。外は寒かっただろ」

ベルトルト「うん」

ユミル「眠れば良い、あんた布団の中落ち着くんだろ?」

ベルトルト「うん」

ユミル「おやすみ」

ベルトルト「おやすみ」


ユミル「おいで、ベルトルさん」

ベルトルト「嫌だ」

ユミル「何でだ?」

ベルトルト「僕は君が嫌いだ」

ユミル「つれねぇな、いつもあんたがベッドに入ったら夜明け前まで一緒なのに」

ベルトルト「気持ちの悪い言い方をしないでくれ」

ユミル「だはは、事実じゃねぇか」



ベルトルト「君は現実にはいない」

ユミル「ああ、そうだな」

ベルトルト「僕が目を覚ませば君はいない」

ユミル「ああ、そうだな」

ベルトルト「君は所詮僕の夢でしかない」

ユミル「ああ、そうだな」

ベルトルト「消えろよ」

ユミル「無理だな」



ベルトルト「…」

ユミル「どうして、とか聞かないのか?」

ユミル「教えてやろうか?」

ユミル「それはな…」

僕は彼女の首を絞める。
彼女の首は温かい。
どくどくと皮膚と血管に守られた血液が止まる。

彼女が気を失う。

だから、抱いた。



夜明け前に起きる。
誰もいない。彼女もいない。
寒い。寒い。寒い。

布団を被る。
その中でごろりと寝返りを打つ。
良い匂いがする。温かい。あたたかい。

寒くない。寒くない。
気持ち良い。

二度寝しよう。

ベルトルト「おやすみ」

ユミル「おやすみ」

じーわ…

じーわ…じーわ…

そんな感じで今回は以上。
ではな。

読んでくれてる奴がいて嬉しいぞ。
コメントしたお前達有り難うな。

一応オチは二通りある。
勘が良くて、自分と似たような漫画を読む奴なら両方先読み出来るようにしている。

話が見えて来た奴は当たるだろうか。楽しみだな。

では、いこうか。


今日もまた億劫な1日が始まる。

家を出る。
学校に行く。
授業を受ける。

屋上でパンを食べる。
寒い。
遠回りして玄関口へ向かう。
寒い。

家に帰る。

ユミル「おかえり」

ベルトルト「ただいま」


ユミル「今日も寒かったな」

ベルトルト「うん」

ユミル「手足冷えてるんじゃないか?」

ベルトルト「うん」

ユミル「今日は湯を張って温まってから眠れよ」

ベルトルト「うん」

ユミル「良い子だ」

ベルトルト「うん」


ベルトルト「ユミル」

ユミル「ん?」

ベルトルト「ユミルは僕の想像上の人物だよね」

ユミル「あぁ、そうだな」

ベルトルト「なら…」

ユミル「…なら?」

ベルトルト「…何でもない」

ユミル「はは、何だよそれ」


ベルトルト「ユミル」

ユミル「ん?」

ベルトルト「首、絞めてごめん」

ユミル「ん」

ベルトルト「苦しかっただろ?」

ユミル「まぁな」

ベルトルト「ごめん」

ユミル「はは、私は所詮お前の想像上の人物だぞ?謝る必要ねぇだろ」


ベルトルト「うん、…でも、ごめん」

背中に彼女の温もりがじんわりと伝わる。

ユミル「ん、気にするな」

ベルトルト「うん」

ユミル「お前が苦しんでる事は知ってるからよ」

ベルトルト「うん…」

ユミル「泣くなよ」

ベルトルト「泣いてないよ」


ユミル「そうか」

ベルトルト「そうだよ」

ユミル「鼻水付けるなよ」

ベルトルト「付けないよ」

ユミル「そうか」

ベルトルト「そうだよ」

ユミル「……何もないこの空間、退屈だな」

ベルトルト「そうかな?」

ユミル「そうだよ」


ベルトルト「ユミル」

ユミル「ん?」

ベルトルト「何でもない」

ユミル「…女子かよ」

ベルトルト「…違うよ」

ユミル「はは、むくれるなよベルトルさん」


また夜明け前に目が覚める。
でもまたすぐに布団に潜った。

周りなんて見渡す必要がない。
暖かい。暖かい。
慣れない、慣れてはいけないこの部屋で、
唯一ベッドの中だけが僕の居場所だ。

暖かい。暖かい。

目を閉じると心地良い眠気がすぐに襲ってくる。

ベルトルト「おやすみ」

ユミル「おやすみ」


マルコ「最近ベルトルト痩せたね」

いつもと同じように、
家を出て学校に行き、授業を受けて昼食は屋上で食べて、帰ろうとした時マルコがそう声をかけてきた。

ベルトルト「そう、かな。自分では気にしてないんだけど」

ジャン「マジかよ。お前自分の顔鏡で見てねぇのか?ここ1ヶ月位でかなり変わったぜ?」

コニー「ちゃんと飯食ってんのかよ。一人暮らしでめんどくさがって食わねぇとか止めろよ?」

ベルトルト「はは、大袈裟じゃない?体調は崩してないし平気だよ」

ジャン「いや…そうかも知れねぇが…」

マルコ「これからジャン達と駅前の新しい店に行くんだ。君も行こうよ」

ベルトルト「僕は…」


ベルトルト「ただいま」

ユミル「おかえり、遅かったな」

ベルトルト「今日はマルコ達と食べて来たよ」

ユミル「お、良かったじゃねぇか」

ベルトルト「うん。これお土産」

ユミル「私にか?」

ベルトルト「うん。テイクアウト出来る店だったから」

ユミル「本当に、私にか?」

ベルトルト「うん」


シャワーを浴びて布団に入る。

ベルトルト「ユミルもっと奥に行って、僕入れない」

ユミル「必要ねぇだろ」

ベルトルト「…なんで?どうして?」

ユミル「…わかった」

ベルトルト「ん、ありがとう」

ユミル「お前さ…」

ベルトルト「なぁに?」

ユミル「何でもない。おやすみ」

ベルトルト「おやすみ」


ベルトルト「ユミル」

ユミル「ん?」

ベルトルト「お土産、美味しかっただろ?」

ユミル「ん…ああ、そうだな」

ベルトルト「良かった」

ユミル「なぁ…」

ベルトルト「ん?」

ユミル「…大丈夫か?」


ベルトルト「なにが?」

ユミル「…わかんねぇのか?」

ベルトルト「なにが?」

ユミル「お前は…おかしいぞ」


ベルトルト「なにが?」

ユミル「気付いてないのか?」

ベルトルト「なにが?」

ユミル「…」

ベルトルト「なにが?」

ユミル「…可哀想に」

ベルトルト「なにが?」

ユミル「…よしよし」

ベルトルト「ねぇ…なにが?」


ベルトルト「ねぇ、ユミル。なにが?」

じくじく…じくじく…

暖かいけど、心がいたひ…

そんな感じで、今回は以上。

また1日が始まる。

ベルトルト「おはよう」

ユミル「おはよう」

家を出て学校に行く。
授業を受けて、屋上で昼食。
彼女の黒髪が風になびいて、とても綺麗だ。


ライナー「おい」

ベルトルト「あれ?珍しいね、ライナーが一人でいるなんて…クリスタは?」

ライナー「今日はいない、お前…痩せたな」

ベルトルト「そう?栄養はちゃんと取ってる筈なんだけど…」

ライナー「そうか…」

ベルトルト「何か用?」

ライナー「特に用はないが…何を見ていたんだ?」

僕は彼女を指差した。


ライナー「…お前、大丈夫か?」

ライナーが真剣な面持ちでそう聞いてくる。

ベルトルト「なにが?」

ライナー「…ベルトルト…」

ベルトルト「なにが?」

ライナー「…」

ベルトルト「彼女にも言われたんだ」

ベルトルト「ねぇ、なにが、大丈夫か…なの?」


家に帰る。

ベルトルト「ただいま」

ユミル「おかえり」

ベルトルト「今日久し振りにライナーと話したよ」

ユミル「へぇ、良かったじゃねぇか。あんた最近フられっぱなしだったもんな」

ベルトルト「その言い方やめてくれよ」

ユミル「はは、事実じゃねぇか」

ベルトルト「…」

ユミル「悪かったって。そんな睨むなよ」


ベルトルト「…ライナーがね」

ユミル「うん」

ベルトルト「君と同じようにね」

ユミル「うん」

ベルトルト「大丈夫か?って聞いてきたんだ」

ユミル「…うん」

ベルトルト「なにが?って聞き返しても答えてくれなかったよ」

ユミル「…そうか」

ベルトルト「うん」


ユミル「…あー、それはあれだ。 あんた最近痩せたからだろ?」

ベルトルト「そうかな?」

ユミル「おう、朝家出てから何か食ってるか?」

ベルトルト「昼にコンビニで買ったパンを一つ」

ユミル「げっ…あんた女子かよ。いや、女でももう少し食べるぞ」

ベルトルト「食欲がなくて…」

ユミル「駄目だ!だから顔色悪いんだよ、この馬鹿!そんなデカい図体してんだっ、もっと食え!」

ベルトルト「えー」

ユミル「えーじゃない!」


お風呂に入って布団に潜り込む。

ベルトルト「ユミル」

ユミル「ん?」

ベルトルト「…呼んでみただけ」

ユミル「女子か」

ベルトルト「違うよ」

ベルトルト「抱き締めて良い?」

ユミル「…好きにしろよ」

ベルトルト「うん」


ユミル「あんた…苦しいか?」

ベルトルト「ううん」

ユミル「そうか…」

ベルトルト「うん…おやすみ」

ユミル「…おやすみ」


その日は夢を見なかった。


目を覚ましたら午前6時半。
夜明け前じゃない。

ベルトルト「…ユミル?」

ユミル「おはよう、ベルトルさん」

ベルトルト「…良かった。いなくなったと思った」

ユミル「…いなくなった方が良い事なんだがな…」

ベルトルト「?」

ユミル「さっさと起きて寝癖直して来い」

ベルトルト「…あ、うん」スタスタ…


ベルトルト「…っ!?」

ベルトルト「ユミル!ユミル!」バタバタ!

ユミル「?どうしたんだよ」

ベルトルト「酷いんだ…あんまりだよ!」

ユミル「…だから、どうし」

ベルトルト「すっごい寝癖!」

ユミル「……」

その朝にユミルがした呆れ顔は久し振りに見る物で、何だか可笑しくてつい吹き出したら怒られた。


アニ「凄い寝癖だね」

学校に行ったら久し振りにアニが話し掛けて来た。

ベルトルト「はは、これでも直った方なんだけど…」

アニ「そう…じゃあね」

ベルトルト「あ…アニっ!」

アニ「…何だい?」

ベルトルト「そ、その…アルミンとは上手くいってるかい?」

アニ「……」


ベルトルト「あ、…ご、ごめん。その…」

アニ「わかってる、…アルミンは良い奴だよ。そんな心配するんじゃないよ」

ベルトルト「なら…良かった…」

アニ「ベルトルトこそ、痩せ過ぎだよ。気持ちはわかるけどちゃんと食べな」

ベルトルト「はは、うん。そうするよ」

アニ「じゃあね」

ベルトルト「うん、…またね」


今日は昨日に引き続いて良い日だ。
駄目なのかも知れないけど、本当はもっと二人と話したい…それが本心だから。

今日も屋上で昼食を取ろうと席を立ったら、コニーが果物をくれた。実家から沢山送って来たからお裾分けらしい。

一緒に来たライナーがどうして屋上で食べるのか、と聞いてきた。

僕はほんの少し迷った。
クリスタが教室に来るから…なんて、ライナーに言える訳がない。


その時、彼女が此方を見て穏やかに笑った。
ああ、今日も風にサラサラなびく黒髪が光に当たってとても綺麗だ。

そうだ。これを理由にすれば良い。

ベルトルト「だって、ここには彼女がいるから」

そう笑って言ったら、ライナーの顔が一気に険しくなった。

ライナー「ベルトルト、お前は本気で言ってるのか!?」

ベルトルト「?ライナー…どうしたの?」

ライナー「あの女は…っ…!」


ライナーは何かを言いかけたけど、彼女を睨んで屋上からいなくなってしまった。

訳がわからず彼女の方を見ると、ただ穏やかに笑っていた。

ライナーの事は気になるけど、彼女が笑うのなら大した問題じゃないんだろう。

帰りにライナーに声をかけようとしたら、僕が鞄に荷物を詰めている間に帰ってしまったのだろう。ライナーの席はもう空だった。


ベルトルト「僕何かしたかな?」

ユミル「そうか…ライナーも可哀想にな」

ベルトルト「?」

家に帰って来てもライナーの事が気掛かりで、風呂上がりの髪を乾かしている間にベッドに座るユミルに相談してみると…彼女は悲しそうにポツリと呟いた。

ユミル「ベルトルさん、ライナーもきっと苦しいんだよ。気にしないでそっとしてやれよ」

ベルトルト「…そっか」

ユミル「そうだ。暫くしたらまた普通に話せば良い」

ベルトルト「うん」


ユミル「だが、今後は屋上で会っている事は一切口に出すな…ああ、いやいっそのこと私が此処にいる事も誰にも話すなよ、良いか?」

ベルトルト「どうして?」

ユミル「…可哀想なベルトルさん。私はお前が心配なんだよ」

ベルトルト「ユミル…」

ユミル「お願いだから言う事を聞いてくれ、なぁ?頼むよ…」

彼女が余りにも泣きそうな顔で言うから、僕は疑問に思いながらも頷いて…今日も彼女を抱き締めて眠った。

じくじく…じくじく…じくじく…

じく…どろり。

滲み出る。それはかくも甘く優しい。

そんな感じで今回は以上。

年末は忙しいからいけない、妄想する暇もないよ。ドラ○もん。

今回の投稿で共通ルートは終わり。
次は一つ目のEDだと思う。

では、いこうか。

今日も1日が始まる。

最近は目覚ましの通りに起きるようになった。
あのぐちゃぐちゃな場所にいる夢も見なくなった。

ベルトルト「おはよう」

ユミル「おはよう」

顔を洗って、ふと顔を上げると鏡に自分が映っている。
当たり前だがクマも無くなった。
こうやって見ると…確かに少し前の僕は酷い顔をしていたと思う。

彼女に怒られてから朝食も食べるようになった。
最初は非常食にもなる固形の栄養補給食品を食べていたけど…何も言わない彼女が何だか眉をひそめて渋い顔をしていた。


だからと言って僕は料理なんて余り出来ないので、試しにヨーグルトも付けてみた。
少しだけ眉間のシワが浅くなったような気がした。

その次はヨーグルトにフルーツを入れてみた。
眉間のシワが無くなった。
ちょっとした工夫だけで彼女の表情が変わるのが可笑しくて笑ったら、案の定怒られた。

でも何だか可愛く思えて、怒られている最中も唇は弧を描いていたらしく…もっと怒られた。
…慣れると彼女は可愛い人物だと思った。

その次は固形の栄養補充食品を止めた。
近場のパン屋で買った食パンをトーストして、スクランブルエッグとウインナー、サラダ、彼女が多分気に入ったフルーツ入りのヨーグルト。

少しスクランブルエッグの火の通りがまちまちだったので、彼女はそれに文句を言っていたけれど満足そうだった。


コニー「ライナーまだ病気治らないのか?」

学校に行くとコニーがそう聞いて来た。

ベルトルト「そうみたいだね、僕も詳しくは知らないんだ。お見舞い行こうとしたら移るから必要ないって断られたよ」

マルコ「ライナーらしいね」

ジャン「心配する事ねぇだろ?毎日クリスタが看病しに行ってるしな」

コニー「クリスタは移らねぇのか?」

マルコ「予防接種した後にライナーが倒れたらしいから大丈夫って言ってたよ」

ジャン「あぁ~…彼女持ちは良いよな。病気になってもお幸せそうで」

マルコ「はは、なら寂しい四人組で放課後遊びに行こうか」

コニー「お、ならゲーセン!今度こそ俺が一番になってやる!」


ベルトルト「結局凄い気合い入ってたコニーが四位だったよ」

ユミル「はは、コニーってあれだろ?バカの坊主頭だろ?」

ベルトルト「運動神経は良いんだけど、ちょっとフェイントとか入れただけで簡単に乗ってくるから…」

ユミル「んな困った顔すんなら負けてやれば良いじゃねぇか」

ベルトルト「それは駄目だ、そんなのやったらコニー物凄く怒るよ。それに負けても何だかんだで楽しそうだしね」

ユミル「おーおー美しい友情だな。妬けるぜ」

ベルトルト「……」

ユミル「…何だよ?」

ベルトルト「別に?」


ユミル「何で寄って来んだよ」

ベルトルト「んー…君が妬けるって寂しそうに言うから?」

ユミル「…お前も医者に行って来い」

ベルトルト「えー」

ユミル「抱き付くなよ、うぜぇ!」

ベルトルト「嬉しいくせに」

ユミル「お前マジで医者行け。んでもって暫く入院しろ」

ベルトルト「嫌だよ、そしたらユミルはこの部屋で一人になる」

ユミル「…お前本当に重症だな」

ベルトルト「そうかもね」

彼女を抱き締めて眠るのが当たり前になった。


ユミル「今日は午後から雨らしいぞ、傘持ってるか?」

ベルトルト「大丈夫、折り畳みを鞄に入れてる」

ユミル「そうか、なら行って来い」

ベルトルト「行って来ます」


朝。そんなやり取りを彼女とした。

昨今の天気予報に外れは無い。
午後から雨が降り出し帰る今になっても一向に止む気配がない…酷く面倒で損した気分になる。

キース先生に明日の授業の準備を頼まれたので少し遅くなってしまったからだ。
折り畳み傘を差して昇降口から正門へ向かう。

歩いている人間は僕一人。

体育館から部活に勤しんでいる生徒の声が聞こえる。
他の生命を感じるのはそれ位しかない。残りは全て雨音だ。


雨は苦手。
足元が濡れて気持ち悪いし、そこから体温が奪われて寒いし、嫌な記憶を連想させる。

そうすれば自然と足は大股になり、歩調も早くなる。足に傘で防ぎきれなかった雨が当たり、余計に濡れる。

悪循環だ。最悪だ。死んでしまえば良いのに。


ふと足元を見ていた顔を上げると、正門で一人の生徒がいた。
段々と距離が縮まるに連れて、最近幼なじみとよくいる人だとわかった。

あの人とは極力関わりたくない。あまり言葉を交わした事はないが…恐らく幼なじみを取られたような気がして苦手意識が芽生えてしまったんだろう。

なので、
僕は気付かない振りをする事に決めて歩を進める。

「最近楽しそうだね」

通り過ぎようとした時。
それは、ポツリと呟くような声だった。


遅れて声をかけられた事に気が付く。
周りには誰もいないので確実に自分に向けられたのだろう。

本当はそのまま帰ってしまいたいが仕方なく足を止めて振り返る。

金髪のその人物は冷たい雨が滴り落ちる傘のその向こうで…
可愛いと評判の笑顔ではなく、ただ僕をじっと見ていた。


本当に、ただ、ただ、それだけだ。



その顔には何の感情も込められてはいない。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年01月05日 (日) 23:20:28   ID: CU6ySZ2V

先が超気になる!
何となく話の成り行きは想像できたけど期待して待ってます!

2 :  SS好きの774さん   2014年04月29日 (火) 16:05:19   ID: c351bMen

なしゴン様のベルユミSSだっっっっい好きなんです!なしゴン様も好きでs((蹴
これからの展開を超絶期待してまふ(・∀・)

3 :  SS好きの774さん   2014年08月05日 (火) 14:36:09   ID: L11EN-VG

続きってこれありますか?あるのなら今後も期待!完結なら乙!

4 :  SS好きの774さん   2014年08月26日 (火) 17:42:47   ID: EPf5l5nq

«1 なんだと…!?貴様なぜ成り行きが分かった…!?はい、おふざけは終わりにしてまだまだ期待ですよー!なしゴンさん頑張って下さい!あ、成り行きが分からないのは事実でーす。なんてったって、コニー並の馬鹿ですから( ´・ω・)

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