幼馴染「幼馴染が好きすぎて辛い」 (46)

俺「おはよー」

幼馴染「………遅い。20分も待った」

俺「朝の占い見てたら遅刻しちゃったぜ」

幼馴染「………-」

俺「ちなみに今日のお前のラッキーアイテムは生八つ橋だ」

幼馴染「はぁ」

俺「冷蔵庫になかったから代わりに
三角定規を持ってきた。ぜひ受け取ってくれ」

幼馴染「………わーうれしー」




幼馴染「かしてかしてー」

俺「おう、ほらよ」

幼馴染「わーありがとー……フンッ!!」(ペキッ!)

俺「あぁっ!三角定規がっ!!」

俺「お前なんてことを!」

幼馴染「……ごめん。イライラが抑えられなかった」

俺「それにしたってお前……」

幼馴染「俺くん。占いの結果よりも先に、私に言うべきことがあるんじゃない?」

俺「え?」

幼馴染「……私20分も待ったんだよ?」

俺「………そうか。そうだったな」

俺「幼ちゃん」

幼馴染「うん」

俺「その割れた三角定規の名前の欄、よく見てみろ」

幼馴染「……ハァ?いやいや、そうじゃなくてさ」

俺「いいから見てみろって」

幼馴染「???」

俺「見ればわかる」

幼馴染「……あ」

俺「うむ」

幼馴染「私の名前が、書いてある……」

俺「実はそれ、この前幼ちゃんから借りてた定規なんだ」

幼馴染「………」

俺「ジョークを挟みつつ小粋に返すつもりだったんだがな……」

幼馴染「……俺くん」

俺「おう」

幼馴染「死ーね♪」

幼馴染「バカな俺くんにもう一度きくよーっ?」

俺「はーい」

幼馴染「20分も待ち続けた私に対してー
真っ先に言うことがあるよネー?何かわかるカナー?」




俺「…あ、そういえば髪留めがいつもと違う」

幼馴染「えぇっ!?……まぁ、うん」

俺「前の髪留めもよかったけど
幼ちゃんは可愛い系が一番似合うね。かわいい」

幼馴染「……そう?えへへ、ありがとー
って、そうじゃなくて!」

幼馴染「遅刻した人が言わなきゃいけないことがあるでしょうが!!
5分10分なら私だって気にしないよ!でも20分だよ?!20分!!
何か一言あってもいいんじゃない!?」

俺「蜘蛛の巣に引っかかったお婆さんを助けていたら遅刻しました!」

幼馴染「ナニソレウケルー……じゃあ先に学校行ってるねー」(スタスタ

俺「うおいっ、ちょっとちょっと!」

幼馴染「……なに」

俺「待たせて悪かった。すまん」

幼馴染「……」

俺「許してくれ」

幼馴染「許さん」

俺「許してくれ」

幼馴染「許さん」

俺「許し……テナガザル」

幼馴染「……」

俺「許しテナガザル!!」

幼馴染「何を言ってる……?」

俺「今日は珍しくつっかかるなぁ」

幼馴染「……昨日の約束覚えてる?」

俺「え」

幼馴染「駅前のパン屋で限定パンを買おう、って約束」

俺「あ」

幼馴染「やっぱり忘れてた……」

>>19
の続き

俺「許しテナガザル!」

幼馴染「……」

俺「許しテナガザル!」

幼馴染「ゆ」

俺「ゆ?」

幼馴染「許サンショウウオ!」

俺「怒ってるなら乗っかっちゃダメだろー」

幼馴染「……っ」

俺「あ、足踏まんといてっ!」


その後>>21

>>21

俺「す、すまん!」

幼馴染「パン楽しみにしてたのに……ひどいよ……」

俺「明日朝イチで並んで買って来るから!
もちろん全部奢る! ほんとごめん!」

幼馴染「今日ね、私の誕生日なんだ」

俺「なっ」

幼馴染「今日くらいは贅沢したかったんだぁ……」

俺「今すぐ行く。すぐ行く。売り切れてたとしても新しいのができるまで待つ
それでも買えなかったら、作り方教えてもらって俺が作る」

幼馴染「まぁ嘘なんだけどね」

俺「おいコラ」

駅前のパン屋さん

幼馴染「限定パンまだ残ってるって!早く並ぼ!」

俺「ほんとか!?よかったー……」

幼馴染「ダメ元でも来てみるもんだねー」

俺「ほんとにな」

幼馴染「でも俺くんのことはまだ許してナイジェリアだから」

俺「許してくれると嬉シーラカンス」

幼馴染「はい、地名じゃないから俺くんの負けー」

俺「いつのまにそんな縛りが……」

ガヤガヤ……ガヤガヤ……

俺「すごい列だな……」

幼馴染「うわー時間かかりそー……」

俺「学校間に合うかね」

幼馴染「学校……あー、そっか。今日学校か」

俺「制服着ながら何寝ぼけたこと言ってんだ」

幼馴染「誰かさんが朝から寝ぼけたことを言うから
私にも移っちゃったんだよきっと」

俺「すみません」

幼馴染「学校かー。んー……」

俺「パンは俺が並んで買っておくからお前は学校行け」

幼馴染「えっ。それだと俺くん1人じゃんww」

俺「2人で遅刻するよりは1人の方がいいだろ」

幼馴染「……本気?」

俺「本気」

幼馴染「もしかして今朝のこと気にしてる?」

俺「そりゃ……まぁ」

幼馴染「俺くんは変なところで律儀というかなんというか……」

俺「………」

幼馴染「めんどくさい性格してるよね」

俺「うぐっ……」

幼馴染「俺くん」

俺「はい」

幼馴染「ジュースを買ってきなさい」

俺「それは構わないけど……」

幼馴染「それで今朝のことは全部帳消しにします」

俺「……許してくれるのか?」

幼馴染「許す」

俺「ほんとにいいの?」

幼馴染「許す」

俺「しかしだな……」

幼馴染「許スナフキン」

俺「でもなぁ……」

幼馴染「許酢こんぶ」

俺「しかしなぁ……」

幼馴染「次余計なことを言ったら俺くんを殴ります」

俺「……」

幼馴染「今朝のことはもういいよ。別に気にしてないし」

俺「……」

幼馴染「遅れてきたくせになかなか謝まらなかったのはイラっとしたけど、
しょうもないネタを延々と引っ張られた時には流石にイライラっとしたけど、
謝れと遠回しに言ってることに気づいていながら
ズレた解答し続けたことはとても腹立たしいけど、
自分の三角定規を自分で割らされた時は割とマジで殺してやろうかとも思ったけど、
髪留めを褒められて喜ぶ私をニヤニヤしながら見ていた時は
よしぶっ殺すと思ったけど……

なにもかも全部許します」


俺「す、すみませんでしたぁ!!!」

幼馴染「許すっていってるでしょうが!!」(ゴリィッ!

俺「ブフォウっ!」

幼馴染「ウジウジめんどくさいなぁ!
いいから早く飲み物買ってきて!私はコーヒー!」

俺「う、うっす」

タッ、タッ、タッ!
俺「幼馴染先輩!飲み物買ってきたっす!」

幼馴染「………これはなに?」

俺「コーヒーっす!」

幼馴染「……紅茶花伝にしてと言ったはずよ!」(ビシィッ!

俺「ガハァッ!さっきはコーヒーって言ったのに!」

幼馴染買「あなたが遅いから気分がかわったの。
全く……使えない豚ね。酢豚にしてやるわ」

俺「お待ちください!……こちらを、どうぞ」(スッ

幼馴染「これは……紅茶花伝!?あなたまさか!!」

俺「他にもポカリ、コーンポタージュ、天然水、その他諸々買い揃えておきました」

幼馴染「……豚にしてはやるじゃない。あなたは今日からイベリコ豚よ!」

俺「ありがたき幸せ……ブヒィ」

幼馴染「……冷たっ!ちょっと!
この紅茶花伝冷たいやつじゃないの!!気を利かせなさいよ!!!」

俺「ブヒィ!」

俺「限定パンが奇跡的に一個だけ残っていました」

幼馴染「やった!」

俺「しかし、私たちは代わりに大切なものを失ってしまいました」

幼馴染「何かなくしたの??」

俺「……時計見てみろ」

幼馴染「……遅刻確定だね」

俺「この時間じゃどうあがいても遅刻だな」

幼馴染「うん……」


俺「……よし!さぼろう!」
幼馴染「……よし!走ろう!」

俺「………」
幼馴染「………」


俺「……やだ!」

幼馴染「一限ならまだ間に合う!まだいけるよ!」

俺「やだ!!」

幼馴染「私達ならできるって!ほら走ろ?」

俺「いやだああああるあああ!!」

幼馴染「……大の男が駄々こねるんじゃないよ!」(ビシイッ!

俺「いたい!しっぺ痛い!しっぺやめて!走るからやめてっ!」

タッ、タッ、タッ、

幼馴染「一限にはっ、なんとかっ、間に合いそうっ……だね!」

俺「せやな」(トコトコ

幼馴染「あ、ちょっと!なに歩いてるの!走って走って!」

俺「これなら歩いても間に合うよ」(トコトコ

幼馴染「かなりギリギリだよ?」

俺「いけるいける」

幼馴染「でもなぁ……」

俺「俺を信じろ!お前が信じるお前じゃない!お前が信じる俺を信じろ!」

幼馴染「……グレンラガンの台詞のつもり?何もかも間違えてるよそれ」

俺「あれ」

俺「お前台詞正確に覚えてるのか。流石アニオタ」

幼馴染「オタクじゃないし
……ていうか、わたし深夜のアニメは全然知らないからオタクじゃないし」

俺「でも朝と夕方のアニメなら全部見てるんだろ?オタクやん」

幼馴染「見るだけなら誰だってできるよ
オタクってそんなに敷居が低いものじゃないと思うけどなぁ」

俺「そうかなぁ……」

幼馴染「スタッフロールをみないと
誰がどこの原画なのかとかわたし判別できないし」

俺「でも同じ作品の作画監督の癖とかは分かるんだろ?」

幼馴染「あれは慣れれば誰だってわかるもん」

俺「おたくに対するこだわり半端ねーな。流石オタク」

幼馴染「だからオタクじゃないって!」

幼馴染「はっ!無駄話してる場合じゃない!急がないと!」(ダッ!

俺「これ以上走りたくない。めんどくさい」

幼馴染「………」

俺「もう無理マジ無理。マジ無理1000%」

幼馴染「……俺くん 」(ピタッ)

俺「はい」

幼馴染「な ぜ ベ ス ト を 尽 く さ な い の か !」

俺「……相変わらずTRICK好きね、お前」

幼馴染「トリックで思い出したんだけど」(トコトコ

俺「うん」(トコトコ

幼馴染「来年TRICKがシリーズ最後の
映画を作るんだって。知ってた?」

俺「マジか」

幼馴染「13年かけてついに完結!ちょつと感慨深いよねー」

俺「俺はこの前の再放送が初見だったからなー。
感慨深さでいくとそれほどでもないかも。楽しみではあるけどな」

幼馴染「にわかめ!」

俺「うるせー」

俺「お前だって見たのはここ数年だろ?
TRICKの放送当時は俺たちまだ5歳だし」

幼馴染「2期の時からリアルタイムで見てたもん」

俺「二期だと小学生の時か
……あれ、でも初期のトリックって夜中に放送してなかった?」

幼馴染「うん」

俺「どうやって見てたの?」

幼馴染「リアルタイムで見てたけど」

俺「いけない小学一年生だ……」

幼馴染「最後の映画楽しみだねー」

俺「そうね」

幼馴染「一緒に見に行かない?」

俺「行く行く」

幼馴染「行こう行こう」

俺「あ……でも座席はお互い離れた場所にしてよね
一緒に観て、友達に噂されると恥ずかしいし」

幼馴染「……どこの藤崎さんですか貴方は」

俺「今のは言ってみたかっただけ。隣で見ような」

幼馴染「うん」

俺「お、学校着いた。あっという間だったなー」

幼馴染「………」

俺「どうした幼馴染。急がないと二限目が始まるぞ」

幼馴染「………一限の授業に全然間に合ってないじゃんか!!」

俺「やめてっ!つねるのやめてっ!」

幼馴染「俺くんのアホーー!!」

教室

俺(扉ガラガラ)

お前ら「「「「ごきげんよう、俺さん」」」」

俺「ごきげんよう、お前ら」

お前らA「……あら?タイが曲がっていてよ、俺さん」

俺「あらほんと……ふふっ、こんなんじゃマリア様に笑われちゃうわ♪」


お前ら「「「まぁ、俺さんったら!お転婆ですこと!」」」

俺「ふふっ……それでは、ごきげんよう」(サーっ)←風のように去る音

お前ら「「「ごきげんよう」」」(サーっ)←風のように去る音

俺「おはよー女ちゃんー」

女「おはよー。……なんです?今のやりとり」

俺「深窓の令嬢なりきりゲーム。男子の間で流行ってるんだよ」

女「それに一体どんな意味がっ……」

俺「あいつらの青春には女の子の1人も登場しないからな
自分で自分の理想の女子になりきることで
女っ気皆無な青春を慰めてるのさ」

女「惨めすぎますよそれ!」

俺「そう言ってやるなって
これはあいつらモテナイ系男子達の精一杯の悪あがきなんだよ」

女「悪あがきにもなってないですし……
もっと建設的なことをしましょうよー」

俺「建設的なことをしようにも
あいつら女子全員から拒絶されちゃってるからなぁ……
頑張りようがないのさ……」

女「それは……ちょっと気の毒ですね」

俺「とにかく可哀想な連中なんだよ……。
せめて俺たちだけでも優しくしてやろうぜ?」

女「まるで他人事のように言う」

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