俺の世界の異物(10)
”RPGツクール”というゲームシリーズをご存知だろうか?
その名の如く『RPGを創るゲーム』だ
本来は一人用のゲームだが僕が今プレイしているのはオンライン専用のRPGツクール
ただし正規の物ではない
いわゆる個人製作、同人ゲームだ
オンライン専用なだけあって不特定多数のプレイヤーがひしめき合っている
今は僕がゲームマスターとして世界を構築している
僕が創った(創っている)この世界は
基本的にドラクエの世界観にポケモンの町の名前を付けている
アイテムは手当たり次第のごちゃ混ぜだったりする
各プレイヤーは簡単なキャラメイクの後始まりの村であるマサラから始まる
出入り口は北側にある一つのみ
東西を木々で囲まれ、南側は水路になっているが勿論序盤では航れない
北口から出ようとするとチュートリアルが始まる
本来はポケモンを貰う所だが忘れてはならない、世界観はドラクエだ
出入り口に足を踏み出すと呼び止められる
しかし相手はオーキド博士ではなく兵士
そのまま有無を言わさず研究所?に引き連られて行くと内装は国王の間
本来オーキド博士がいるべき場所に玉座に腰掛けている国王
そこで旅立ちに最低限必要なアイテム一式を受け取り、ようやく操作が可能になる
プレイヤー達は勇者ではなく冒険家として世界を旅する
各町にはジムの代わりに遺跡があり探索が可能
遺跡の最深部には中ボスが存在し、倒せばイベントアイテムの”紋章の欠片”が手に入る
”紋章の欠片”は全部で8つあり、全て集めると『勇者の紋章』になる
『勇者の紋章』を持ってセキエイ高原に行くと魔王軍四天王や魔王と闘える
取り敢えずの目標としては魔王を倒すことにあるが
魔王は歴代ドラクエのボスキャラで倒される毎に別の魔王に交代し、新たな挑戦者を待っている
因みに全ボスキャラが倒されると色違いになりループする
1~7色→1~7色→…という具合に
~とあるプレイヤーside~
友人から自由度の高いゲームだと誘われて始めてみたけど
まだ出来て間もないみたいで面白味がわからない
取り敢えずキャラメイクの自由度は高かった
ドラクエにある筈の勇者が選べなかったけど盗賊をベースに少し弄ったら忍者っぽくなったし
魔法や特技の名前を変更できる点も評価できる
「秘術・創造再生」と改名したホイミとかちょっと興奮した
掲示板にはプレイヤー同士で対戦できる闘技場があるから技名の変更ができるらしいけど、始めたばかりだからレベル1なんだよね
~side out~
×できるらしい
○できるようになったらしい
闘技場を初めとした新設備や新能力を追加してより良い環境作りを心掛けている
が、しかし
そうそう上手く事が進む筈もなく『荒らし』が現れた
自己紹介文では罵詈雑言や放送禁止ワードの多用
他のプレイヤーの戦闘に乱入しては邪魔の繰り返し
果てはサポートセンターに匿名だけど同じIDで誹謗中傷の数々
ログインを禁止しても別IDを使い同じ事を繰り返す
どうしたら良いかわからなくなって、ふと.hack/を思い出して『アレ』を実行してみた
セキエイ高原にて冒険者ギルドを設立
グランディアにあったような名ばかりのギルドではなく歴としたクエスト受注可能なギルドだ
今回、荒らし対策として迷惑プレイヤーを此方で用意したNPCと偽りPK許可を出して討伐依頼を発注した
(PK/プレイヤーキル:MMORPGに於いて迷惑行為の一種。今回は限定空間のみPKを可能とした)
冷静になって考えると訴えられそうな気もするが再三に渡って行った勧告を無視した荒らしが悪いんだよね
荒らし対策のクエストは意外にも好評だった
荒らしの行為は他のプレイヤーも目の敵にしていたようで、それを対象にしたPKクエストは瞬く間に参加数が増えていった
PKに於いては倒しても経験値は獲られないがクエスト達成報酬として経験値が与えられる
PK可能領域に指定した『魔宵の森』(元イワヤマトンネル)では今もPKは行われているがクレームは今の所無い
あぁ、平和って素晴らしい
あれから1年が経った
利用者は1万人まで増え、鍛冶屋による装備強化や大工によるマイホームの建築、ペット要素に『何かの卵』、新種族として『魔族/エルフ/機人』を追加したりと充実した冒険を提供している
しかし最近マンネリ化して来たので僕もいちプレイヤーとしてこの世界を冒険してみようとFMDを装着した
(FMD/フェイスマウントディスプレイ:顔面に装着する周辺機器で迫力ある臨場感が味わえる)
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