右京「おや?貴女は?」当麻「今日から匿名に配属になった当麻ッス」(12)

当麻「さっそくなんスけど~、杉下さんって超能力とか信じる人っスか?」

右京「超能力…ですか…私はそんな非科学的なモノは信じていません」

右京「…と、言いたいところですが…最近は妙な事件ばかりでしてねぇ…」

当麻「…」ボリボリ…

右京「それこそ…超能力というモノが実在するのではないかと思ってしまうような…」

当麻「正確に言えばSPECです」

右京「SPEC…なんですか?それは…」

当麻「SPECっていうのはですね…」

当麻「…ってな感じです」

右京「…なるほど、人は普段から脳の10%しか使っておらず…」

右京「…残りの90%の部分を使うことによって発揮される特殊能力…ですか」

当麻「そっスよ」

右京「ふむ…」

当麻「ま、いきなりこんなこと言われても信じられませんよね」

右京「…はい。申し訳ありませんが」

当麻「ですよね。でも実在するんです…例えばこんな風に」

…フッ…

右京「…!?…消えた?」

当麻「後ろですよ。杉下さん」

右京「…!…いつの間に…!」クルリ…

当麻「これが私の…」

当麻「…SPECです」

右京「…!」

右京「一体どうやって…」

当麻「時間を止めたんです」

右京「時間を…止めた?」

当麻「正確には数万倍の早さで動いたんです…つまり相対性理論ってヤツですね」

右京「…それが…貴女の能力なのですか?」

当麻「いんや。これは私の弟のSPECです」

右京「…は?」

当麻「借りたんです。私の力で」

右京「では、貴女の能力とは一体?」

当麻「私のSPECは…」

…タッタッタッタ!…

甲斐「大変です!杉下さん!また新たな被害者が…!」

右京「また…ですか」

甲斐「えぇ。…ところで、この人は?」

右京「こちらは本日付けで特命係に配属となった当麻さんです」

甲斐「そうだったんですか。俺は甲斐亨といいます」

当麻「…食いなっせ」ずぃ…

甲斐「え?」

当麻「餃子、食いなっせ」もっさもっさ…

甲斐「いや、朝から餃子はさすがに…ってクッサ!」うぷ…

当麻「遠慮せんと、たぁんと食いなっせ☆」

甲斐「か、勘弁してください!」タジ…

右京「カイトくん…今回もやはり被害者の身元は…」

甲斐「えぇ。また身元は不明です…
これで三人目ですね」

右京「ふむ…」

当麻「…三人とも身元不明なんスか?…どんな状況だったんです?」

甲斐「はい。三人とも焼死体で発見されていて、どの方も遺体の損傷があまりにも激しくて…」

当麻「遺留品とかは?それに焼死なら自殺の線とかも考えられるんじゃないッスかねぇ?」

右京「それが不思議なことに身元を特定出来るものは…例えば免許証やカード類は見つかりませんでねぇ…」

甲斐「…見つからないのはそれだけじゃありません。どの遺体も首から上がないんです…」

当麻「なるへそ…それじゃ確かに自殺じゃなくて他殺…それも連続殺人の可能性が高い…か」

当麻「執拗なまでに、被害者の身元を隠そうとしてるとこが気になりますね」

右京「はい。ですが、気になるのはそれだけではないんです」

当麻「ほぇ~…他にも何かあるんですか?」

右京「実はですね…」

???「…どの遺体も激しく炎上したのは間違いないんですが、ガソリンや灯油など、可燃物をかけられた痕跡が、一切ないんですな」ぬぅ…

当麻「メガネ!?」ビクッ!

米沢「申し遅れました。私は鑑識課の米沢と申します」

当麻「お…おぅ」ドキドキ…

右京「そんなに警戒しなくても大丈夫ですよ。彼は見た目ほど怪しい人物ではありませんから」

米沢「ヒドイ言われようですな」

甲斐「ははっ…」

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