明久「君といる未来のために」 (10)
バカテスのss書いてみました。
某大手男性アイドル事務所のアイドルが作詞した、クリスマスにプレゼントを持って恋人を待つが、恋人は来ず、自らの行いを反省する悲しい男の歌を基盤に置かせていただきました。決して盗作ではありません。
設定は、冬休み前の終業式後に、かねてから想いを寄せていた優子に明久が告白し、優子が返事をイブまでまって欲しいと伝える。優子は2日かけて、明久との思い出を思い返し、明久と恋人となる決意をしたが、眠り込んでしまい、約束の時間に目が覚めるといったものです。
自慰作品ですが、最後まで読んでいただけたら幸いです。
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1366332007
12月24日PM7時 駅前の時計台下
街をきらびやかに照らしているネオン、嬉しそうに腕を組み微笑みあいながら行き交う恋人たち。
吉井明久は、そんな恋人たちを目で追いながら、ふと時計に目をやった。
「7時か…」
雄二「メリークリスマス!!」
一同「メリークリスマス」
同刻頃、雄二、秀吉、ムッツリーニ(康太)、瑞希、美波、愛子は翔子の家で、クリスマスパーティーを楽しんでいた。
美波「ケーキ!ケーキ!」
秀吉「うむ、このチキンは、格別じゃ」
愛子「このシチュー、僕が作ったんだよ!どう?ムッツリーニ君??」
康太「…なかなかやるな、工藤愛子」
愛子「えへへ。あっ、弟君、そのチキンは愛子が焼いたんだよ」
秀吉「そうじゃったか。霧島!すごいのう、おいしいのじゃ!」
翔子「ありがとう。雄二、おいしい?」
雄二「工藤!このシチューうまいてててて、おいしいです、チキンすっごくおいしいです」
翔子「雄二のために愛情いっぱい入れたから」
雄二「…」
瑞希「お二人ともアツアツですね」
雄二「…(こいつは徐々にFクラスに感化されてきているのが、最近特に顕著だ)」
美波「そういえばアキは?今日どうしたの?」
瑞希「明久君何かようじですか?」
雄二「ああ、明久は昨日朝一で電話があって、今日は来れなくなったそうだ」
瑞希「残念です、せっかく明久君のためにガトーショコラを作ってきたのに…皆さん、どうぞ食べてください…」
雄二「このケーキうまっ、島田が買ってきたのか??つい食べ過ぎた、甘いものはもう十分だ」
秀吉「わしも甘いものは苦手でのう、甘いもの好きの明久がいなくて残念じゃ」
康太「…もうシチューで満腹」
翔子「大丈夫、冷蔵庫に入れておけば明日まで持つ、明日吉井に渡せばいい」
瑞希「ありがとうございます、翔子ちゃん」
康太・雄二・秀吉「明久も喜ぶ!(ぞ!)(のじゃ!)」(…助かったぁ)
瑞希「はい、明日西村先生の補習の時に、明久君に渡します。」
翔子「私も明日雄二に差し入れ持ってく」
雄二「お前は補習ないだろ」
翔子「雄二が登校するなら休日でも登校する、雄二が登校しないなら平日でも登校しない。明日はクリスマス、夫に寄り添うのが妻の役目」
雄二「…(一難去ってまた一難)」
愛子「そういえば優子はどうしたのかな?弟君何か知らない?」
秀吉「えっ、あのじゃな…(姉上は一昨日家に帰ってきてからトイレと風呂以外は食事もせずに一度も部屋から出てきていないが、言っていいのかのう)」
翔子「優子は、どうしてもはずせない用事が出来たって、メールがあった」
愛子「そっかぁ、優子のシシカバブ食べたかったなぁ」
PM7時30分・駅前の時計台下
「寒さが身にしみるや」
明久は、かじかんだ手をポケットに入れ、指輪が入った箱を握りしめ待っていた。
さっきまで自分と同じように一人佇んでいた男たちも、やがてそれぞれの思い人がやってきて、街へと消えていった。
時を遡ること2日前
体育館裏の大きな木の下にて。
優子「大事な話があるから放課後に体育館裏の大きな木の下に来てくれって、告白!?名前も出さずに出してくるなんていい度胸ね、どうせ私宛じゃなくて秀吉宛とかっていうオチだろうけど」
優子は何の期待もなく、またどうせいつも通りの弟宛の告白のつもりが何かの間違いで自分が呼び出されたのだろうと、少しイラついていた。
「木下さん!」
優子「吉井…君?」
「木下さん、僕大事な話があるんだ!」
優子「えっ?」
「僕はずっと前から、君のことが好きだった。僕と付き合って下さい。」
優子「えぇっっっ〜?」
優子「吉井君、今誰に告白している?」
「木下優子さん、僕と付き合って下さい」
優子は予想外の、かつてない体験に、どうしたらいいか分からなくなっていた。
相手は学園一のバカで、バカの代名詞である観察処分者の称号を唯一在校生で得ている者。
仮の姿ではあるが、学校を代表する優等生として猫をかぶり、ここまでの地位を築いてきた自分にとって、この男とつきあったところで、いいステータスには決してならない。
しかし、初めて秀吉でなく自分を好きになってくれた、その想いを真剣に伝えてくれた明久に対し、自分も真剣に向き合いたいと、そう思った。
優子「吉井君、ありがとう。でも突然のことですこし戸惑っちゃって、明日一日考えさせてもらってもいいかしら?明後日結論をだすわ」
「じゃあ、明後日の夕方6時半に、駅前の時計台の下で待ってるから、そこで聞かせてよ。あと、木下さんが出した答えなら、僕はどんな答えでもうけとめるよ。」
そう言うと明久は校舎の方へ走って行った。
ごめんなさい、チキンを焼いたのは「×愛子」→「○代表(翔子)」です。
12月22日、木下邸
バタンッ
秀吉「姉上、お帰りなのじゃ」
優子「…」
トントントントン、バタンッ
秀吉「(姉上のやつ、いつもなら鞄を放り投げてスエットに着替え、居間でBL本を読み漁るというのに、今日は様子がおかしいのじゃ。こんな時、力になってやりたいのもやまやまじゃが、無理にこじ開けても仕方ないのう、姉上が心の扉を開いてくれるまで待つとするかの。)」
優子「はぁ、吉井君。何回か接する機会はあったけど…そういえば、秀吉に影武者として学園のPVに出てもらったとき、吉井君私のこと秀吉だと思って『秀吉のお姉さんって美人だし、すごいよね』とかって言ってたっけ、あの時は秀吉のせいで吉井君のこと締めちゃったけど、あの時も私のこと(秀吉の影武者だったけど)見ててくれてたんだ。」
優子「そういえば、私がお気に入りのハンカチ落としちゃったとき、何でか分からないけど、ボロボロになりながら落とし主を探してたっけ、自分が落し物をするだらしない女って周りから思われたくなかったから名乗りだせなかったけど、何故か愛子が名乗りでて、あとでこっそり私に渡してくれたんだったっけ。」
優子は明久との接点を、夜が明け日が昇り、そしてまた夜が更けさらにその夜が明けるまで一つ一つ深く思い返していた。
12月24日PM6時30分 木下邸
秀吉「行ってくるのじゃ」
優子は秀吉の声で目が覚めた。
優子「うーん、よく寝た。今何時かしら、あぁ6時半ね、って約束の時間じゃない!!」
髪はボサボサ、着ていく服も決まっていない、優子はとりあえずシャワーを浴びるべく、1階へ降りた。
どうしようと考える間もなく、とりあえずシャワーを浴び、一番お気にりの服に着替え、時計に目をやった。
PM7時8分
優子「吉井君帰っちゃったかしら、寒い中待っていて凍え死んでないかしら、遅刻する女に幻滅してないかしら。」
優子は、家のドアを開け、バス停へと走った。
優子「駅へはバスで30分、今日はイブだし、渋滞に巻き込まれなければいいけど。」
PM8時 駅前の時計台下
「来ないかなぁ、僕は観察処分者だし、美人で成績優秀、スポーツ万能の木下さんとじゃ、僕とは釣り合わないのかなぁ」
サンタからの恋人たちへのクリスマスプレゼントであろうか、街はだんだん雪色に染まって行き、12年ぶりのホワイトクリスマスとなった。
「こうなることなんてわかっていたことなんだ、僕がもっと頑張っていれば…」
明久はプレゼント箱を握りつぶした。
木下さんには、成績優秀でイケメンな、そう、久保君みたいな人じゃないと、釣り合わないんだ。
僕の知らない大きな影に寄り添いながら、勝ち組の人生を送っていくんだ。
明久はしゃがみ込んでうつむき、肩を落としていた。
今日のことを思い、緊張して一睡もしていなかったこともあり、そのまま眠り込んでしまった。
「白い雪もいつか溶けて、明日を描く」
いつか僕にも春がやってくるだろう
PM8時42分
優子「結局2時間以上遅れちゃったわ、せっかく吉井君が私を好きになってくれた、私も吉井君を好きになった。なのにどうして、どうして私は…」
駅員「君!しっかりしなさい、こんなところで寝てしまっては、死んでしまうよ!」
優子「こんなとこで寝るなんてとんだバカがいるものね、…バカ?、吉井君?」
優子は駅員のところへ駆け寄った。
そこには、疲れ果ててすやすや眠っている明久の姿があった。
優子「すみません、その人私の彼氏なんです、私が遅刻しちゃって…」
駅員「そうかい、彼3時間もここにいたから、心配していたんだよ、それで、ちょっと目を離したすきに…疲れていたんだろう。彼女さんの顔を見れば、それもふっとぶだろうけどさ。」
優子「吉井君、起きて、吉井君!」
「うーん、むにゃむにゃ、雄二、ここは何の川だっけ?」
優子「吉井君、その川は渡っちゃダメ!戻ってきて。」
「むにゃむにゃ、木下さん!?来てくれたんだ。」
優子「吉井君ごめんなさい、遅れてしまって。」
「木下さん、来てくれてうれしいよ。」
優子「吉井君、いえ、明久君、一昨日のお返事ですが、私と付き合って下さい!!」
「そうだよね、木下さんが僕と釣り合うわけな…って、はい、よろしくお願いします!!!」
明久は少し混乱しつつも、ポケットの中でさっき握りつぶしてしまった箱から、器用に指輪だけ抜き取り、優子に渡した。
「木下さん、はい、僕からのクリスマスプレゼント」
優子「ありがとう、ちょうどぴったしだわ、左手の薬指に…」ぽっ
「僕がつけてあげるよ」
そういって、明久は優子の左手の薬指に指輪をはめた。
優子の目から、涙があふれ出した。
優子「私、明久君が寒い中待っていたのに、遅れちゃって、せっかく秀吉でなく私を好きになってくれたのに、せっかく両想いになれたのに、こんなことになっちゃって、」
「そうだね、なら、これからずっと、一生、僕たちがおじいちゃんおばあちゃんになっても、僕と一緒にいてよ、そうしたら今日のことは、許してあげるよ」
そういって明久は優子の涙をかき消すかのように、優子のあたまを自分の胸に抱き寄せた。
しばらく抱き合った後、二人は手を取り合い、夜の街へ消えていった。
とりあえず終了です。
感想、批判、指導頂けたら幸いです。
このSSまとめへのコメント
ちょっと真面目臭いなーw