超遅筆なのでご容赦ください
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暦「…」
閣下「…」
暦「…」
閣下「…」
暦「なぁ、デーモン」
閣下「なんであるか、阿良々木」
暦「これで、良かったのかな」
閣下「うむ」
暦「そっか、まぁお前がそう言うんならそうなんだろうな」
忍「お前様、そんな野暮な事を聞くものではないぞ」
閣下「阿良々木…貴様もわかっておったろうに、いちいち確かめる様に聞きおって」
暦「悪い悪い、でも…」
閣下「でも?」
暦「なんとなく、なんとなくだけど聞いておきたかったんだ」
僕、阿良々木暦が何故こうも強面の、と言うよりも10人が見れば9.9人が変態と勘違いするであろう男とこうも悲しい顔をしあいながら立ち尽くしているのか。
もちろん僕の横には忍がいて、やはりどこか僕達と同じように悲しげな顔しているように見えるのだが。
それを説明するのには少しばかりの時間を要してしまう事になってしまう。
忍、羽川、戦場ヶ原、八九寺、神原、千石、そしてファイヤーシスターズ等など、普通の人間では恐らく人生を何十回とやり直そうと到底経験できない出来事に関わってきた僕が、
それらの出来事と同じくらいに、いやもしかしたらそれ以上に忘れられなくなるであろう、まるまる二日間の珍道中を。
貳日前
僕がその変態仮面、もとい…その男と出会ったのは今から二日前になる。
八九寺真宵という存在を失い。千石撫子という存在を救うことが出来なかった僕は、なんというか柄にもなく一人になりたい気持ちで橋の上から川を眺めていた。
いや、今まで一人じゃなかったのかと言われればこれもまた…でも決して僕には友達がいなかったとかいうわけではなく、え?あれ?僕友達いたよね?
とにかく、一人で黄昏に浸りたかったのだ。まだ朝10時くらいだったけれど。そんな時だった。
閣下「うぅむ…本当にここであっているのであろうか?」
もし神様というものがいるのであれば、一応神様なんて名がついたものはいっぱいあるんだろうけれど、そういうのではなく僕に都合の良い事ばかり叶えてくれる女神様がいるのならば、
僕はその女神様の靴底を舐めてでもお願いしただろう。もっとも、靴底を舐めるなんてプレイは僕にとって単なるご褒美でしかないのだろうけれど。
どうか、どうか女神さま。
暦(この変なのを僕の近くから消してください)
閣下「うぅむ」キョロキョロ…
閣下「うぅむわからん、相も変わらず適当な情報のみで飛ばしおって…」
暦「…」
閣下「こういう時には土地勘のあるものに聞くのが一番なのであるが」
暦「…」
閣下「むっ?」
暦「」
閣下「おぉ、おるではないか!おい!そこのやる気の無さそうな顔をした人間!」
女神様はいなかった。
暦「ぼ、僕のことですか?」
閣下「貴様以外におらんだろうが、我輩この辺に人っ子一人いなくて難儀していたのである」
暦「そうですか、それでは僕は先を急ぐのでお気をつけて」
閣下「待つのである」ガシッ!
暦「いやぁっ!!!!」
閣下「我輩は貴様にこの街の事を聞きたいのである」
暦「離せ!離して!離してください!」
暦「おまわりさーん!変な人が!変な人がいまーす!」
閣下「えぇいやかましい!静かにせんか!」
いつものクールな僕であれば、もちろんこんな酷い取り乱し方はしない。しかしそんなクールな僕を壊してしまうほどにこの変態仮面の容姿は歪過ぎた。
暦「…」
閣下「な、なんであるか?静かになったと思えば、急に我輩の顔をジロジロを見おって」
簡単に言えば、80年代とかそこらに流行ったヘヴィメタとかそんな感じの風貌。
顔にはしっかりとメイクを施して、金色の髪はバッチリと逆だっている。一人称は我輩、語尾にはである。
これはもうあれだ。怪異に違いない、怪異中の怪異、怪異の王の忍が聞けば怒ることは間違いないだろうけどそれでも言わずにはいられない。
この変態は怪異だ。
暦「うっ…」
閣下「むっ?なんであるか」
暦「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
閣下「やっ、喧しい!なんであるか貴様!黙ったり叫んだり忙しいやつだな!」
暦「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
閣下「静かにせんか!我輩ただ聞きたい事があるだけd…」
暦「ひゃぁぁぁぁぁぁぁあああああ!!!!」
閣下「聞きたい事g…」
暦「ウヒョォォォォォ!!!!!」
閣下「聞きt」
暦「ウッヒョォォォォォ!!!!!」
閣下「…」イラッ…
暦「あばばばばばばばばば!!!!!」
ゴツンッ!
突然の変態怪異の出現に、ほんの少しばかり取り乱してしまった僕の意識が途絶えたこの時。
僕とこの男、デーモン小暮と名乗る可笑しな惡魔との出会いのシーンが終わった。
惡魔語 こぐれべあー
とりあえず、以上です…最近最後まで書ききれていないので頑張りたい
惡魔。
その言葉を聞いて連想できるものといえば、読んで字のごとく悪い魔物。
なんとなくではあるけれども、アンパ○マンに出てくる永遠のハヒフヘホみたいな格好をしているイメージもある。
要するに悪い奴、そんなところだろう。
閣下「やっと落ち着いたか、この愚か者が」
どうやら僕の目の前で、プンプンという擬音がつきそうなほどに険しい顔をしているこの男は悪魔らしい。
悪魔らしい、というのはとにかくこの男が自分の事を悪魔だと称しているからなのであって、何も僕自身が
阿良々木「わー悪魔だー!」とか
阿良々木「きゃー助けてー悪魔よー!」とか
何かしらのきっかけがあってこの男を悪魔だと認識したというというわけではないからだ。
自分で言ってはなんだけど、恐らく今の僕はそこらにいる男子高校生の何十倍、いや何百倍と言えるであろう不思議体験をしてきたわけだけれども、
それでも何というか、目の前にいる男は僕が今まで見たことのないほどの異様なほどの変質者オーラを放っていた。
暦「えっと、すいません…なんだか今までに経験した事のないジャンルのものに出会って取り乱してしまって」
閣下「なんであるか、そのジャンルというものは…まさか我輩の事を言っているのではあるまいな?」
そう、そのまさかである。だけど、ここでそんな事がバレてしまうとまた殴られかねないな。
暦「まさか、その…いやっ!その…でも自分のことを悪魔って言っているからって別に!」
閣下「いくら何でも誤魔化しが下手すぎるであろう!」
暦「いや、誤魔化しだなんてそんなっ!」
閣下「貴様、そんな事では将来社会に出て上司におべっかの一つも言えんようなダメ社員になってしまうぞ?」
偉く生々しい説教を垂れてくる自称悪魔だ。
閣下「まぁとにかくである、貴様が我輩の事を変質者だと勘違いしたことはこの際不問にしよう」
暦「えっ!?許してくれるんですか!」
閣下「あぁ許そう、それで?貴様は我輩の事を変質者だと思っておったのか?」
暦「そりゃあ、いきなりこんな格好な人が現れたら誰だってそう思いますy…」
閣下「貴様!やはり我輩を変質者だと思っておったのだな!?」
暦「えぇ!?ハメられたァ!?」
しまった、いつもの僕ならなんなく捌くカマ掛けも、経験したことのない圧倒的変質者を前にして頭の回転が鈍っている。
閣下「本来ならば、この場で蝋人形にしてやってもいいのであるが…しかし我輩には任務がある」
閣下「その任務遂行のために、貴様が我輩に情報をもたらすというのであれば…我輩を侮辱したという罪は本当に不問にするのである」
暦「ちょ、ちょっと待ってください!任務、情報って、多分だけど僕は貴方が欲しがるような情報は何一つだって持ってませんよ!」
閣下「ほう、貴様は我輩が欲しがるような情報がどういうものであるか見当がついているというのであるか?」
暦「そりゃまぁ、なんとなくではあるけれどもついていますよ」
閣下「ほう、それは一体どのような情報だ?」
暦「パンツの中が見放題で触り放題の少女とか、金髪ロリロリ幼女とかの居場所ですよね?生憎ですけどそれh…」
ゴツンッ!ゴツンッ!
何とも言葉では表せないような、とにかく冷たい視線を自称悪魔に浴びせられた直後、音でもわかるように僕は見事なまでの鉄拳制裁を頭の上に二発くらった。
しかしあれだな、生まれて初めてたん瘤の上にたん瘤が出来たけど、こんな事現実に起こりうる事なんだな。てっきり漫画の中の世界だけのものだと思っていたけれど。
閣下「しかしあれであるな、たん瘤の上にたん瘤というのは出来るのであるな…漫画の中だけの事だと思っておったが」
なによりこの、ソフトグリーム型たん瘤の作成者が驚いているのだから相当に珍しいことなのだろうきっと。
暦「ったく!いきなり何するんだ!」
閣下「いきなり何を言っておるんだ貴様は!」
暦「何って、僕はあんたが求めているものを言おうとしただけで!」
閣下「誰が少女やロリロリ金髪の話をせいといった!我輩はそんな情報求めておらん!」
暦「そ、そんな…」
閣下「何をがっかりしておるのだ…我輩はその貴様の反応にがっかりしておるぞ」
僕の頭にソフトクリームができてしまったことはこの際、事の本題には一切関係ないのでこれくらいで割愛させてもらおう。
ここからは少しばかり本題の部分に入っていきたいと思う、何故この自称悪魔がこの街に現れたのかという事に。
暦「ところでその、デーモンさん…いや小暮さん?」
閣下「どちらでも呼びやすい方で呼べば良い、敢えて言うのであれば閣下と呼ぶことを我輩は推s…」
暦「それじゃあデーモンさん」
閣下「あくまでも、閣下とは呼ばないのだな?」
暦「デーモンさんはこんなところで一体何をしていたんですか?まぁこんなところでぼーっとしていた僕が言うのもなんなんですけど」
閣下「あぁ、そんな事であるか…先程も言ったであろう、我輩は任務の遂行のためにこの街に降り立ったのだ」
暦「任務…」
そう言えば、さっきたん瘤を作られた時の流れでそんな事を言っていたような気がするな。
しかし任務っていったい何だ?世界線がどうのこうのとか、機関の陰謀を食い止めるためとか、まさかそんな事を言い出すんじゃないだろうな。
そうだとすれば、この人はコスプレの延長線上でキャラになりきりすぎて、その結果僕にまで迷惑をかけているだけの自称悪魔。
本当に本当に自称悪魔なだけであって、単なる痛いおっさんなんじゃないだろうか。
暦「その…差支えがなければ聞きたいんですけれど、デーモンさんが言う任務っていうのはいったいどんなものなんですか?」
閣下「むっ?任務の内容であるか?」
暦「もちろん、差支えがなければですけど…デーモンさんは僕に情報をもたらせっていったじゃないですか、それならその任務とやらのさわり部分ぐらい聞かせてもらわないと」
閣下「うむ…それは確かにそうかもしれんが」
暦「どうかしたんですか?」
閣下「いや、なんとなくであるが…その」
暦「なんとなく?」
閣下「貴様、我輩が実は単なるコスプレ好きな自称悪魔のおっさんで、この街に来た理由は世界線がどうのとか、機関の陰謀だとか」
閣下「そんな事を言い出すのを期待しておるのではないかと思ってな?」
暦「…」
ドンのピシャである。一瞬、頭の中を何か鋭利なものでパッカリといかれて僕の脳内ワールドをそれはそれは赤裸々な部分まで見られてしまったのではないか勘違いするぐらいに、
この男の言っていることは当たっていた。もちろん、その通りの事をこの自称悪魔が言い出せば全力で逃げ出すことは確定事項であったのだけど、というかそうなる事を欲していたのだけど。
暦「や、やだなぁ閣下…僕がそんな事思うわけないじゃないですか」
閣下「貴様は本当に嘘が下手な奴であるな、頭も尻も隠れておるわ」
暦「っと、それで?金髪ロリや世界線が目的じゃないっていうのなら、いったいどんな理由でこの街に来たんですか?」
閣下「話を無理に戻しおって!まぁしかし良いであろう、余談も長くなりすぎた」
暦「…」
閣下「貴様、名を阿良々木といったな?」
暦「え?あぁ、そうですけど」
話題が本題に入ろうとした時。
不意に、ほんの一瞬の間に。言うならば僕が瞬きをする間に要する時間ぐらい。
それぐらい短い時間の中で、さっきと同じ容姿をしているはずの自称悪魔の雰囲気が少し変わった。
閣下「阿良々木よ、世の中には多くの不可思議と理不尽が存在することを知っておるか?」
暦「不可思議と、理不尽ですか?」
それは今の僕にとって何とも言えない言葉だ。
多くの不可思議に出会い、その過程の中で理不尽にだって出会ってきた。
閣下「うむ、不可思議は…まぁ貴様らが言う所の超常現象であるとか心霊現象とかであるか」
暦「はぁ、でもそれと理不尽がどうして言葉の隣に並ぶんですか?」
閣下「良い質問である!良いか阿良々木よ、不可思議は理不尽によって生まれるのだ」
この男の言葉に偉く納得してしまう僕がいる気がした。ここでこの男が言う不可思議を、僕が知るところの怪異というもので当てはめれば、確かにそうかもしれない。
閣下「そしてまた同様に、理不尽は不可思議によって生まれるのである」
閣下「であるからにして、不可思議と理不尽は決してイコールではないが隣に並び立つのである」
暦「なんというか、多分ですけどデーモンさんが言っている意味はわかります」
閣下「我輩はその理不尽と不可思議を消滅させに来たのである」
世界線がどうとか、機関がどうとか、文面だけで見ればこれらの二つと理不尽と不可思議の話は変わらないだろうけれど、それでもこれは違う。
雰囲気―そう、雰囲気が違った。
暦「その、理不尽がどんなもので不可思議がどんなものかは聞きませんけど、いったいデーモンさんは僕になんの情報を求めてるんですか?」
閣下「なに、そんなに難しいことではない!この街で起こった変わった出来事とその出来事が起こった場所に我輩を案内して欲しいのだ」
変わった出来事。普通の出来事と、変わった出来事の境界線をどこに置くかで話は大幅に変わってくるんだろうけど、僕にとってのそれはかなり難しいことだ。
恐らくだけど、この男は只者じゃない。いや、只者じゃないというのは変質者とかそういうことではなく。
この男は僕が関わっているようなことを知っている男だ、つまりそう、怪異とかそういう類のものを知っている。
暦「変わった出来事って、そんな事そうそう起きるもんじゃないですよ」
閣下「であるから、あくまでも貴様が知っている範囲での不思議な事でいいのである!とにかく今は少しでも情報や手がかりを手に入れたい」
もし、この男が怪異の存在を知っているとすれば、これは相当に言葉を選んでいかなくてはいけない。
自称悪魔ということと名前しか判明していないこの男に余計なことを言えば、何か良くない事態を引き起こす可能性だってある。
具体的に言えば、こいつは僕の周りの誰かに危害を加える可能性がある。
暦「変わった出来事ねぇ」
閣下「どうであるか?何か思い当たるような事はないか?」
暦「うーん、やっぱり思い出すようなことはないですかね」
閣下「ふむ、そうであるか」
さぁ、僕がここでトボけたところでこの男はいったいどういう態度を見せるか。この男が何か知っているのならば何かしら動いてくるはずだ。
粘るか、それともあっさりと引き下がるか。
閣下「しかし…阿良々木よ?」
暦「あぁ、なんですか?」
粘ってきたか…これで決まりだ、やっぱりこの男は何かを知っている。
その目的はまだ読めないけれど、この自称悪魔は僕の何かに気づき、怪異に関する情報を得ようとしている。
閣下「それだけ蝙蝠の匂いを体から出しておいて、不可思議な事など知らんというのは…些か無理がある思うのであるがな?」
暦「蝙蝠の、匂い?」
今日の分はおしまいです、早くも終わりが見えない
このSSまとめへのコメント
これは期待続きが早く見たい(ФωФ)