キクコ(14)「今日もゴースといっしょ!」 (31)

テクテク

キクコ「もう12月だねえ」

ゴース「ティリリティリリヴォォン…」

キクコ「はーっ…ほら、もう息が白い。寒いねえ」

キクコ「私、12月って好き。何もかも静かで、でも温かい感じがするの」

ゴース「ティリリ」

キクコ「ふふ、そう。ゴースも好きなんだ」

ゴース「ティリリリ…ヴォ」

キクコ「大晦日もいいよね。静かな夜に響く鐘の音なんか聞いたり」

ゴース「ヴォ―」

キクコ「いつのまにかイルミネーションも点いたねえ。綺麗」

ゴース「ヴォ―ゥ」

キクコ「ん?」

ラブラブカップル「うふふふふあははははは」イチャイチャ

キクコ「チッ…!」

ゴース「ヴ、ヴォオ…」

キクコ「えっ 声に出ちゃった!?ごめんねゴース」

ゴース「ティリリ…」

キクコ「目つきが悪い?わたし?」

ゴース「ヴォウ」

キクコ「だって仕方ないじゃないか、一人なんだから…」

ゴース「ティリ。ティリリ」

キクコ「いや、あいつらはそんな関係じゃない…」

ゴース「ティ?ティリリリリwww」

キクコ「ち、違うってば。片方はマイペースすぎるし、片方はなよなよしてるし」

ゴース「ティーリリリリリ…」

キクコ「別に、芯が強いところがいいとか、優しいとか…長所が無いわけじゃ…ないけど」ゴニョ

ゴース「ヴォオオオオオオオ…www…はっ!?」

キクコ「…」ギロリ

ゴース「ティ、ティリリー」

キクコ「あはは、いいよ。驚かせてごめんね…」

https://www.youtube.com/watch?v=meyaufCF_r8

タータカタータカタータカタータカター…

チャララチャーララー チャララチャッ チャ- チャララチャーララーチャラー チャッ チャー

キクコ「こ、この不快な音楽!」

ユキナリ「ボンジュール!」キラッ

キクコ「やはり!出たなモミアゲ!!!」

フジ「やあ、久しぶりだね」ニョキ

キクコ「それに抱き合わせのニット帽!」

ユキナリ「おまえ、幼馴染にモミアゲって…」

フジ「い、いいじゃないかニット帽だって!温かいんだよ!?」

キクコ「ふん、モミアゲにモミアゲと言ってなにが悪い」

キクコ「それにフジはいつもニット帽被ってるじゃない。あまり密閉するとハゲるよ」

ユキナリ「ルパンと言われるよりましだが…」

フジ(まだ大丈夫!まだ大丈夫!)

キクコ「で、何か用?」

ユキナリ「そうそう、大事な用があったんだよ」

キクコ「用?」

フジ「うん。キミにしか頼めないことなんだ」

キクコ「…?ドレスのモデル?とか?」

ユキナリ「俺たちが調査のためにシロガネヤマに行っていたことは覚えてるか?」

キクコ「こんにゃろ」

フジ(ドレスかぁ…それもいいかも)

ユキナリ「それで、気になるものを見つけてな」

キクコ「気になるもの?」

フジ(でも今のメイド服っぽいのも似合ってるなぁ)

ゴース「…」フワフワ

フジ「僕たちは、あるポケモンの情報を聞いて現地に向かったんだよ」

キクコ「あるポケモン?」

ユキナリ「ああ。虹色に輝く羽をもつポケモンと、銀色に輝く羽をもつポケモン」

キクコ「うーん?知らないわね…」

ユキナリ「俺とフジはポケモンの調査研究をしながら旅をしてるから、ある程度心当たりがあってな」

フジ「目撃情報があったのは10年以上だから、そんなに期待はしていなかったんだけどね」

ユキナリ「…」ゴソゴソ

フジ「…」ゴソゴソ

キクコ「…?」

ユキナリ「これを、見つけた」スッ

キクコ「なにこれ…タマゴ?」

ユキナリ「そう、タマゴだよ」

キクコ「何の?」

フジ「それがわからないんだ…」

キクコ「はあ?」

ユキナリ「どんな資料と照らし合わせても、こんな卵は確認されていないんだよ」

キクコ「へえ、すごいじゃない。新種発見てこと?」

フジ「厳密に言えば、違う。推論だけど…これは僕たちも良く知ってる生物の卵の可能性があるんだ」

キクコ「なに?」

ユキナリ「そこにいる、ゴースの仲間だよ」

キクコ「え?」キョロ

ゴース「…」フワフワ

フジ「これは多分、ポケットモンスターのタマゴなんだ」

キクコ「…っはぁ!?そんなわけないじゃない。ポケモンがタマゴから生まれるなんて聞いたことないわよ」

フジ「じゃあ、ポケモンはどうやって生まれてくると思う?」

キクコ「それは、コウノトリさんが天から運んでくるって、お父さんとお母さんが…」ハッ

ユキナリ「………、…」

フジ(どういうことだ親友)

ユキナリ(そういう家庭なんだよ)

ユキナリ「詳しい説明は省くが…とにかく、これはポケモンのタマゴである可能性がある」

フジ「だとすれば、とんでもない発見なんだよ」

キクコ「まあ、本当だとすればね」

ユキナリ「で、だ」

キクコ「ん?」

フジ「ここには今…三つのタマゴがある」

ユキナリ「おまえにひとつを預かって欲しいんだ」

キクコ「えっ なんで!?」

フジ「まず、ポケモンへの愛情。これを持っていない人には任せられない」

ユキナリ「そしてポケモンバトルの腕前。強くなければ、このタマゴを守れない」

フジ「3人に分ける理由は…」

キクコ「強奪を防ぐためね…3人で分担していた方が、ひとつひとつは安全」

ユキナリ「そういうことだ」

キクコ「いいわよ、預かってあげる」

ユキナリ「よかった」

フジ「それぞれ、どのタマゴにする?」

キクコ「レディーファーストって言葉は好きじゃないのよね」

ユキナリ「じゃあ…」スッ

キクコ「先手必勝!このタマゴを育てるわ!!」バッ

フジ「せっかくだからぼくはこの赤い卵を育てるかな、ずっと抱いてたし」ナデナデ

ユキナリ「」

キクコ「そうだ、せっかく会ったんだからバトルしましょうよ」

フジ「ならまずは僕が相手になるよ」

キクコ「よーし!いくよゴース!」

ゴース「ティリリティリリヴォォオ」

フジ「よし、がんばってくれポニータ!」

ポニータ「デデーォウ」

キクコ「新入りちゃん?」

フジ「うん、知り合いに交換でもらったんだ。大人しくていい子だよ」

キクコ「いくよ!」スッ

フジ「ああ!」



キクコ「よーし勝った!」

ゴース「……」モジモジ

キクコ「どうしたのゴース…」

ゴースト「ヴゥー…アッ!」

フジ「進化!すごいや」

ユキナリ「じゃあ次は俺の番…」ピピピ

キクコ「なに?」

ユキナリ「…わるい、用事が入った。バトルはまた今度な」

キクコ「ええー久しぶりに会ったのに…」

ゴースト「」ニヤニヤ

キクコ「! …ふん!!」ズバッ

ゴースト「!?」ボフッ

フジ「さて、行こうかユキナリ」

ユキナリ「それじゃあ元気でな、キクコ。今月中にまた会おう」

キクコ「うん、またね。 …ところで」

ユキナリ「ん?」

キクコ「『ボク』は卒業したの?」ニヤニヤ

ユキナリ「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!バイビー!」ダダッ

フジ「あ!?またねキクコ!」タタタ

https://www.youtube.com/watch?v=meyaufCF_r8

キクコ「行っちゃった」ポツン

ゴースト「…」ナデナデ

キクコ「ふふ、ありがとうゴースト」ニコ

キクコ「さて、このタマゴも大事に育てなくちゃね…本当に何が生まれてくるんだろう」

ゴースト「ヴォ―」

キクコ「よーし今日はたくさん歩こう!タマゴにもいろんな景色を見せてあげなくちゃ!」

ゴースト「ヴォオヴォ」

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キクコ「今日は野宿だよ!くっついて寝よう」

ゴースト「ヴォ!」

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キクコ「このタマゴ、温かいなあ。なんだか落ち着く…」

ゴースト「ティ…ヴォ!」

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キクコ「ケホケホ…あっ見て!少し動いたよね!?」

ゴースト「ヴォ? …っヴォ!」

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