のび太「ドラえもん、安楽死できる道具だしてよ」
ドラえもん「え!?ど、どうしたんだい?」
のび太「安楽死できる道具、ないの?」
ドラえもん「あ、安楽死できる道具って・・・」
のび太「僕ね、安楽死がしたいんだよ。あるなら早く出してよ」
ドラえもん「ちょ、ちょっと待ってよ。いきなりどうしたんだい?」
のび太「僕は今日、わかったんだ。僕は生きていても辛いだけだって。辛いだけの人生なら歩むだけ無駄じゃないか」
ドラえもん「辛いだけの人生なんてわかるもんか!どうしてそんなことを言うんだ!」
のび太はランドセルからテストの紙を取り出す。
0点だった。
ドラえもん「これがどうした!いつものことじゃないか」
のび太「僕ね、努力したんだ」
ドラえもん「!」
のび太「最近は寝坊もせず、居眠りをせずに授業もちゃんときいた」
ドラえもん「・・・」
のび太「帰ってきて復習もした。予習もしたよ」
のび太「でも0点だった」
ドラえもん「のび太君、勉強っていうのは積み重ねだから。その努力する習慣を身につけて次はいい点をとればいいんだよ」
のび太「次、か」
ドラえもん「そう。君の努力は認める。確かに君は近頃は真面目に勉強していたよね」
のび太「でもさ、おかしいよね」
ドラえもん「え?」
のび太「僕は努力をした。でも、あまり努力してない人でも僕よりいい点を取ってるよ」
のび太「おかしいよね。どうして僕は人より多く努力しなきゃいけないの?」
ドラえもん「そ、そりゃ人には向き不向きがあるじゃないか・・・」
のび太「向き不向きはある。うん、あるよね。向いてる人はいいよ。あんまり努力しなくてもいい結果がでてみんなからちやほやされる」
のび太「じゃあさ、不向きな人はなんの為に存在するの?」
ドラえもん「え」
のび太「向いてる人の才能の凄さをわかりやすくして、向いている人をちやほやする為にいるの?」
ドラえもん「ちょ、ちょっと待って。向いてるからって努力してないわけじゃないんだからさ」
のび太「でもさ、向いている人の努力の実りやすさと向いていない人の努力の実りやすさは違うよね?」
のび太「どうして向いていない人は向いてる人より努力をたくさんしなきゃ結果がでないの?」
のび太「それなりに努力して結果を出した才能ある人がちやほやされて必死に努力して結果がそれなりの人がちやほやされない」
のび太「僕はもうこの世界にうんざりだ」
ドラえもん「ちょ、ちょっとのび太くん!」
のび太「僕はね、生まれかわって出木杉君になるんだ」
ドラえもん「!?」
のび太「出木杉君になってから努力する!そのほうが合理的だよ。この野比のび太のまま努力をしても辛いだけだ」
ドラえもん「ちょっと待ちなよ。別に世の中、勉強だけじゃないんだからさ。勉強に向いてないなら勉強以外で頑張ったらいいじゃないか」
のび太「勉強以外?」
ドラえもん「そ、そうだよ。出木杉君は確かに勉強はできるけど、それは出木杉君が勉強に向いてるからだよ」
ドラえもん「君にだって君に向いているものがあるはずだよ」
のび太「僕はね、勉強以外も頑張ったよ」
ドラえもん「え」
のび太「ランニングで体力作り、腕立て伏せや腹筋をして筋力作り。さらにバットで素振り、ジャイアンにノックもしてもらったよ」
のび太「それでも僕はエラーばかり。打席に立てば空振り三振」
ドラえもん「そ、それはたまたま野球に向いてないだけで」
のび太はさらに体力測定の結果をランドセルから取り出す。
筋力、持久力、柔軟性、瞬発力など、項目全てが最低ランクだった。
ドラえもん「・・・」
のび太「ねぇ、どうして日頃から何もしてない人より僕は筋力や持久力が劣ってるの?」
のび太「不公平だよね。ランニングも腕立てや腹筋も辛かったよ?」
のび太「なのになんでそんな辛い思いもしてない人が僕よりいいスコアを出してるのさ?」
のび太「出木杉は勉強だけじゃない。スポーツ万能、さらに音楽や図画工作でもあいつはクラス、いや学年で一番だ」
ドラえもん「のび太君・・・」
のび太「僕はこんなみじめな人生と決別したいのさ!」
のび太「努力をしたら認められ、努力を楽しいと感じられる人間」
のび太「誰からも馬鹿にされず、人生を何かに打ち込み続ける価値を持てるものにできる人間になりたいんだ!」
ドラえもん「のび太君・・・」
のび太「それにね、ドラえもん、勉強やスポーツだけじゃないんだよ。僕が死にたい理由は」
ドラえもん「え・・・」
のび太「顔だよ。これだけは努力がどうとかいう問題じゃない。確かに努力でマシにはなるけどかっこよくはなれないよね」
ドラえもん「!?」
のび太「僕は女の子にモテない」
のび太「勉強もだめ、スポーツもだめ、モテない」
のび太「さらに家がお金持ちってわけでもない」
のび太「ドラえもん、僕の人生にこれから先に何があるっていうんだい?」
のび太「人の何倍も努力して人並みかそれ以下の結果を出すみじめな人生」
のび太「そんな人生を終わらせて輝かしい人生を歩める人生がほしいんだよ!」
ドラえもん「のび太君、君の人生は君だけのものだよ。決してみじめなんかじゃないよ・・・」
のび太「どうしてさ?君はいくら努力してもなんの結果もでないどころか指をさされながら笑われる人生がわかるのかい?」
のび太「他人が当たり前のようにできることができない。理解できることが理解できない」
のび太「君はロボットだからわからないかもしれないけれど、僕はもう辛くて辛くて仕方ないんだ」
のび太「僕はこれから死に続けるよ。頭がよくてスポーツができて、イケメンに生まれ変わるまで」
のび太「だからさ、ドラえもん、そんな人間に生まれ変わるまで永遠に安楽死ができる道具を出してよ」
ドラえもん「のび太君、僕は、僕は・・・」
のび太「安楽死できる道具、ないの?」
ドラえもん「僕は、もう君を見ていられない」
ドラえもんは涙を流した。
のび太「ど、どうしたの?僕が安楽死すればセワシも楽になる」
のび太「それどころか僕が生まれ変わったあとのセワシは僕のコネや名声で幸せにしてあげられるよ」
のび太「僕は何か間違っているのかい?」
ドラえもん「もしもボックス」
ドラえもん「のび太君、どうして、どうして、そんな風に考えるんだい?君の人生は決して捨てたものじゃない」
ドラえもん「君は優しくて、思いやりがあって人の痛みがわかる温かい人間じゃないか」
ドラえもん「君は確かに鈍いところはあるよ。でも、君には君にしか持っていない良さがある」
ドラえもん「その良さは出木杉君にだって負けてないんだ。悪いところばかり見ていないで自分の良いところに目をむけなよ」
のび太「僕の良いところ?そんなの射撃とあやとりじゃないか。射撃やあやとりで価値のある人生を歩めるのかい?」
のび太「そりゃ射撃はオリンピックの競技でもある。でも、僕に果たしてオリンピックでメダルを取れるまでの才能があると思うかい?」
またお前か
悟空が世界滅ぼすやつの完全版早く
のび太「そんなの何の得にもならないただの特技さ。射撃もあやとりも。ちょっと僕以外の人間が練習したらすぐに追い抜かれちゃうよ」
ドラえもん「僕が言いたいのは射撃やあやとりだけじゃない。優しさや思いやりだよ」
ドラえもん「君は心優しい。それに勇気もある。今までだってその優しさや勇気でいろんな冒険や出会いがあったじゃないか」
ドラえもん「僕だって君に出会えてよかったと思ってる。もしものび太君がのび太君じゃなかったら僕はきっと未来へ帰ってるよ」
ドラえもん「だからもっと自分に自信を持っておくれよ。君は今でも十分に価値のある人間なんだ。出木杉君にもひけをとらないよ」
のび太「優しさや思いやりに何の価値があるんだい?」
ドラえもん「え」
のび太「僕の優しさは優しさじゃなくて度胸がないだけだよ。ジャイアンみたいに強くないし、スネ夫みたいにセコい考え方ができないだけさ」
のび太「不器用で頭が悪いからこんな生き方をしてるだけ。僕がジャイアンなら僕みたいなやつから漫画やおもちゃを取るよ」
ドラえもん「・・・」
のび太「それに本当に優しさや思いやりに価値があるなら僕はどうしてこんなみじめな思いをしなきゃいけないの?」
のび太「優しさや思いやりでこんなみじめな思いをするんなら僕には優しさも思いやりもいらないよ」
のび太「優しさや思いやりを捨てるから替わりに頭の良さや運動神経をおくれよ」
のび太「この世の誰もがそう思うはずさ。優しさや思いやり、勇気、温もりなんかより頭の良さ、運動神経、美貌がほしい、と」
のび太「仮に僕が誰よりも価値のある優しさを持っていたとしても僕には不必要なものだよ」
のび太「そんなものに重きを置いた人生はいらない。優しさなんて奪われる側、見下される側の奴を持ち上げておくための偽りだよ」
のび太「僕は勝ち組になりたいんだ。勝ち組になるために必要なのは頭の良さ、運動神経、美貌、お金さ」
のび太「優しさなんかじゃ勝ち組にはなれないんだよ」
ドラえもん「のび、太、くん・・・」
のび太「僕はこんな人生でも誰も恨まないし、誰も傷つけない。だから安楽死だけでもさせてほしいんだ」
のび太「決して我が儘じゃないだろう?誰にも迷惑はかけないように安楽死するから」
のび太「だから安楽死できる道具があるなら出してよ」
ドラえもん「のび太君、君は人生を達観してしまったんだね・・・」
のび太「?」
ドラえもん「わかった」
のび太「出してくれるの?」
ドラえもん「出すよ。君が望む道具を」
のび太「ありがとう!それでこそドラえもんだよ!」
ドラえもん「独裁スイッチ」
>>28
なかなかタイミングがなくて。始めからやればよかったですね。
ドラえもんはポケットの中を探る。
ドラえもん「安楽ジュース~」
のび太「!?」
ドラえもん「この安楽ジュースを飲めば気分が良くなってまぶたが重くなる」
ドラえもん「あとはそのまま眠るようにこの世からさようならだよ」
のび太「ドラえもん!ありがとう!ドラえもんならわかってくれると信じていたよ!」
>>1
こいつ被災地バカにして笑いとろうとしてたクズじゃん
早く死ねよ
ドラえもん「のび太君、本当にいいんだね」
のび太「もちろんさ!生まれ変わったら出木杉君みたいになるんだ!いっぱい努力するぞ!」
のび太はにこやかに安楽ジュースの蓋をあけ、一気に飲み干す。
ドラえもん「のび太君・・・」
のび太「あー、なかなか美味しいね」
ドラえもん「ごめんよ、のび太君」
のび太「じゃあね、ドラえ、もん、、、君に、出会え、、、てよか、、ったよ、、、」
>>47
何でわかるんだ?
目を覚ますのび太。
のび太「!?」
のび太「あれ、僕は死んだはずじゃ・・・」
のび太は机の上の置き手紙に気付く。
のび太「ドラえもんからだ」
のび太君へ
君が飲んだ安楽ジュースは決して安楽死を目的として道具じゃないんだ。
あれは自殺志願者を死ねなくする延命ドリンクなんだ。
のび太「な、なんだって!!!」
手紙はさらに続く。
未来には君のような精神を病んでしまい、希望を持てない若者がたくさんいる。
そんな未来で自殺する若者を止める為に開発されたのが君が飲んだ『自殺できなくなる薬』だ。
その薬を飲んだ者は決して自殺できなくなる。誰かに頼んで殺してもらうこともできない。
首を吊ろうと、毒を飲もうと、頭を撃ち抜かれようと関係ない。さっきのように目が覚めれば元通りだ。
ただ痛みや恐怖を味わうだけ。
のび太君、僕は君に生きてほしい。だから、君にこの道具を飲ませた。
君にとっては恐ろしい現実だろう。
でもね、のび太君。人生は素晴らしい。みじめなものじゃないんだ。
人間には歳をとらないとわからないものがある。それをわからせる為の道具として『自殺できなくなる薬』ができた。
毎日がみじめで苦しくて辛いかもしれない。でも、いつか、あの日死ななくてよかったと思う日がくる。
その日にまた僕は君に会いに行くよ。
その日までさようなら。
ドラえもんより
のび太「そ、そ、そんな・・・そんな・・・」
のび太「僕の人生だぞ!どう生きようが死のうが僕の勝手じゃないか!」
のび太は怒りで身をわなわなと震えていた。
のび太「ドラえもん!どこだ!どこにいるんだ!」
机の引き出しを開ける。
タイムマシンはなく、ただの引き出しに戻っていた。
押し入りを開ける。
ドラえもんはいない。
スペアポケットもない。
のび太「うわあああああああああああああああああああ!!!」
>>50
何でってこのアホが自己顕示欲丸出しでトリップなんか付けてるからだろ
23 名前: ◆kOHjepsWtM [] 投稿日:2012/03/09(金) 23:13:57.62 ID:1jwIEMwXO
地球「~~~で以下次号」
金星「スゲーじゃん。ハンター休まないね」
地球「ああ、あんまりにも連載しないから作者の故郷で大地震起こしてやったぜwwwwwww」
金星「マジかwwwwwwwやり過ぎだろwwwwwww」
地球「読者舐めてっからわりーんだよwwwwwwwでも、地震起こす位置間違えてちょっとズレちまったけどなwwwwwww」
金星「おまwwwwwww酷すぎwwwwwww」
地球「結果、被災地の方の為にも頑張りますって連載再開だぜwwwwwww俺の判断正しすぎwwwwwww」
のび太「うお、うおお!うわああああああああああああああ!!!」
のび太はのたうちまわり、暴れまくった。
髪の毛を掻きむしり、目に入るものを四方八方に投げ飛ばした。
たま子「の、のびちゃん!どうしたの!?」
のび太「ママ!」
たま子「落ち着きなさい!のび太!何があったの!?」
のび太「僕は死ねない、死ねないんだ!死ねないんだよ!死ねない!」
たま子「!?」
たま子「お願い、のび太!落ち着いて!いったいどうしたって言うの!?」
のび太「どうしてなの!?ママ、僕は死にたいのに死ねないんだ!死にたいのに!死にたいのに!」
たま子「のび太!何を言ってるの!?しっかりなさい!」
のび太「ママ、ママ、さようなら、やっぱり死んでみるよ!自分で頑張って、頑張って死んでみる!」
たま子「のび太!どこにいくの!?」
のび太は部屋の窓から屋根に出る。
たま子「やめなさい!」
のび太「嘘だ!嘘だよね!ドラえもん!僕が死ねないなんて、嘘だよね!」
のび太は一階の屋根から二階の屋根へと上る。
たま子「のび太、お願いだからやめて!」
のび太は二階からあたりを見回した。
のび太「綺麗だなー」
青い空、白い雲、緑の山々、町の風景
のび太「風が、気持ちいいや・・・」
のび太「こんなに世界は美しくて気持ちのいいものなのに僕は何をやっても駄目だなんて不条理だよ」
風がのび太の全身を撫でる。
のび太「僕は生まれ変わるんだ!生まれ変わってこの綺麗な世界にふさわしい人間になるんだ!」
たま子「のび太!早く、早く戻ってらっしゃい!」
たま子が二階の屋根をのぞく。
のび太「ママ、さようなら!次はできそこないじゃなくてできのいい子に生まれてくるからね!」
たま子「のび、太・・・」
のび太は屋根から道路へと頭から強く打ち付けられた。
のび太の首が曲がる。
>>65
その人と私は違う人ですよ。トリは同じですけど。
自殺できなくなる薬がのび太を完治させる。
のび太の曲がった首は元通りになり、出血も全て止まる。
道路に横たわるのび太。
のび太「本当に、死ねない、んだ・・・」
痛みだけがのび太の身体に残る。
のび太「痛くて動けないや・・・」
たま子が涙に流しながら走り寄る。
たま子「のび太!」
たま子はのび太を強く抱きしめる。
のび太「痛い、痛いよ、ママ」
たま子「のび太、のび太!よかった、生きていて、よかった!」
たま子はボロボロと涙を流す。
のび太「ママ、痛いったら」
それでもなおのび太を離さないたま子。
たま子「よかった、よかった、無事で、よかった!」
たま子「のびちゃん、どうして、死のうとしたの・・・」
のび太は抱きしめたままぽつりと聞く。
のび太「僕ね、もう疲れたんだ。何をやってもうまくいかないから疲れちゃった」
のび太「だって辛いことやみじめなことばっかりなんだもん。朝から晩まで怒られて、馬鹿にされて」
のび太「何をやっても駄目で・・・。それで、ふとまわりを見たらみんな要領よくやってるんだ」
のび太「僕はもう嫌なんだよ。他人より劣った人生なんてもうこりごり」
のび太「だから死のうとしたんだ。でも、それさえ駄目だった。ドラえもんが駄目にしたんだ」
のび太「僕は死ぬことさえも人並みにできない」
たま子「のびちゃん、あなたそんなにも・・・そんなにも辛かったの、辛かったのね・・・」
たま子は泣き続けた。
のび太は意味もわからずただただ自分の人生をどうしたらいいものか考えていた。
のび太(ママ、ママはどうして泣いているのだろう・・・。僕はもう八方塞がりだ。まともに生きることも死ぬこともできない・・・)
のび太(僕は、僕の人生をどうしたらいいんだろう)
その後、のび太は学校に行かなくなった。
食事もとらず、風呂にも入らず毎日毎日ただただ布団の中で過ごすだけだった。
しばらくして市の職員がやってきた。
のび太「学校?どうしていかないといけないの?」
のび太「僕は努力とか勉強をしても無駄な人間なんだ。別に学校には行ったっていいよ。その代わり努力したら努力した分だけ結果が出るようにしてよ」
のび太「僕はもう周りと比べられてみじめな思いはしたくないんだ。頑張ったら頑張った分だけ認められる。そういう努力のやり甲斐のある環境じゃないと行っても恥をかくだけさ」
のび太「え?努力は素晴らしいものだって?学校は楽しくないのかって?」
のびた「死ななくなったことだし溶岩にでも入浴してくるか。」
のび太「努力が素晴らしいのはある程度の才能のある人だけだよ。僕が努力して何の意味があるっていうの?」
のび太「それに僕は努力したさ。勉強もスポーツも。でも意味がないんだ。意味がないことをして何になるのさ?」
のび太「それに学校なんて楽しくないよ。朝は早いし、怒られるし、みじめな思いはするし・・・」
のび太「僕は生まれ変わるんだから放っておいてよ。生まれ変わって人並みの知力や運動神経がついたら学校にはきちんと行くからさ」
のび太「何もできない人間とできる人間を無理矢理一緒のところに入れるのはよくないよ。才能のある人、前途有望な人の為に学校はあるべきだよ」
職員は帰っていった。
のび太はただただ布団の中で眠り続けた。
自殺できなくなる薬によって食事や運動を止めても死ねことはない。
のび太にとって睡眠だけが人並み以上にできることだった。
夢の中なら劣等感に苛まれなくてすんだ。
何度も何度も死ぬことができて生まれ変わる夢を見た。
幸せそうな寝顔。
夢の中で生まれ変わって努力に打ち込むのび太。
夢の中で生まれ変わって学校に通うのび太。
目覚めてはまた夢の続きを見る為に眠るのび太。
そんなある日、のび太は少し変わった夢を見る。
違う人ってすげえ言い訳だな
どうして即バレる嘘つくんだよ
のび太は夢の中でおばあちゃんと縁側に座っていた。
おばあちゃん「のびちゃん、学校には行かないの」
のび太「うん。僕はね、学校に行ったって意味ないんだ」
おばあちゃん「そう。おばあちゃんも学校なんてきちんと行ってないからね」
のび太「おばあちゃんも?」
おばあちゃん「ええ、そうだよ。お勉強も何もさせてもらえなかった時代だからね」
おばあちゃん「学校がどんなところかは知らないけれど、のびちゃんが行きたくないなら無理にいかなくてもいいさね」
おばあちゃん「お勉強とか努力とかのびちゃんにはあまり意味がないものだと思うよ」
のび太「うん。そうだよね。頑張るっていうのは結果が出せる人にこそ意味があるものだよね」
おばあちゃん「そうそう、やりたくないことを無理矢理やってても意味ないさね」
おばあちゃん「そんなことに時間を費やすより楽しいことややりたいことに時間を使ったほうがいいさ」
おばあちゃん「のびちゃん、のびちゃんが眠りたいなら思う存分寝たらええさ」
のび太「うん、そうする」
おばあちゃん「お勉強をしないと偉くなれない、努力をしないと後で困る。誰がこんな世の中にしたのかしらね」
おばあちゃん「おばあちゃんが若い頃、みんなが豊かに生活できる日を夢見て戦争に耐えたのに」
おばあちゃん「結局、受験戦争、内定争い・・・。いつまでたっても人生の削り合い、楽しさや豊かさより誰かに負けないことばかり考えて震えてる」
おばあちゃん「血の滲む努力をしないと金持ちになれない、やりたいことを我慢してお勉強しないとろくな仕事に付けない。こんな世の中のどこが豊かなのかしら」
おばあちゃん「眠りたいだけ眠れるのびちゃんのほうがずっとずっと豊かな人生だとおばあちゃんは思うよ」
おばあちゃん「のびちゃん。のびちゃんはとっても頭がいい子なんだよ。ずっと、ずーっと眠りたいだけ眠ればいいさ」
のび太はおばあちゃんにひざ枕をしてもらう。
のび太「えへへ、おばあちゃん、大好き」
おばあちゃん「のびちゃん、おやすみ。おばあちゃんものびちゃんが大好きだよ」
のび太「今度生まれ変わっても僕、おばあちゃんと一緒がいいよ」
おばあちゃん「おばあちゃんもだよ。生まれ変わってものびちゃんのおばあちゃんでいたいよ」
のび太は二度と目覚めることはなかった。
のび太の寝顔は安からだった。
どんな勝ち組よりもどんな才能溢れる天才よりも、のび太は幸せそうに眠っている。
のび太は誰も負かさない。
だが、のび太は自身の理想を叶え続けるのだ。
のび太は夢の中で生き続けた。
死ねことはなく、永遠に夢を見続けるのび太。
のび太は不幸ではない。
誰よりも幸せなのかもしれない。
fin
ご精読ありがとうございました。
暗い話でしたが、またどこかで見かけたらコメント頂ければ幸いです。
またよろしくお願いします。
なにかしらの単語だったらトリくらい被るぞ
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