れいか「ガシャポン……?」(95)

スーパーマーケット

あかね「つき合わせてもーて、悪かったなぁ、れいか。あと帰るだけやったーゆうのに」

れいか「いいえ、あかねさん。お店の大事ならしかたないわ、気になさらないでください」

あかね「おーきに。まぁ大事ゆーても、おかーちゃんの発注ミスでキャベツが足りんことなったー、っちゅう……なんとまぁ、しょーもないことなわけやけども」

れいか「何にせよ、気にすることは……あら?」

あかね「ん?どないしたん?」

れいか「……あの、あかねさん。前に、私達がレインボーヒーリングを習得した時の、アカンベェのことなんですが……覚えてるかしら」

あかね「おー?あの、ガシャポンが変わりよった、あれかー?」

れいか「……ガシャポン?」

※スマプリは基本バン○イさんとこで商品展開しとるもんやけ
名称は『ガシャポン』で統一させてもらうで!堪忍な!

あかね「そや。うん?なんや、その不思議そうな顔……おぉ、さすが子供もよー来るスマプリマート。ガシャポンも、結構な数そろっとんなぁ」

れいか「?」

あかね「……れいか、あんたひょっとして……ガシャポン、知らん?」

れいか「……すみません、後学のために教えていただけるかしr」

あかね「あー!あー!そ、そないかしこまらんでえぇって!うちも、ちょっと言葉があれやった……せやなぁ、この歳までたこ焼きも食べたことないー、ゆうくらいやもんなぁ」

れいか「非常識なところは反省しなくてはいけないわ……みなさんにも迷惑をかけてしまうし」

あかね「や、や。迷惑とかちゃうねん、それに非常識ともちゃうやろー」

れいか「そうですか?」

あかね「せやせや、れいかがちーっと、お嬢様やーゆうだけやって。なぁ、れいかおじょー」

れいか「お、お嬢って、もう、あかねさん!」

あかね「あっはは、じょーだんじょーだんや。それで、ガシャポンのことやったな」

あかね「あー、なんてゆえばえぇねんやろ……自販機みたいなもん、っちゅーか」

れいか「自動販売機、ですか。なるほど」

あかね「お、自販は分かるねんな?」

れいか「えぇ、なおの差し入れを持っていくときなどに、よく利用しますから」

あかね「そーゆうことか。えっとな、ここに色々なんや、アニメやらのキャラクターの絵ぇが、描かれとるやろ?」

れいか「そうね、可愛らしい猫が」

あかね「こうゆうキャラの、ちーさい玩具とかストラップとかー、が。この機械の中に入っとんねん」

れいか「玩具を買うための自動販売機のようなものである、と」

あかね「そーゆうこっちゃ」

れいか「?『ガシャポン』と言う名称に、何か理由はないのでしょうか?」

あかね「あーそか、そこを説明せなな……えっと」

あかね「……あかん、小銭あれへん。れいか、あんた今100円玉もっとる?」

れいか「すみません、私も丁度小銭が……」

あかね「……」

れいか「?あかねさん?」

あかね「(うちの『小銭が無い』は、五百円様と十円はんたち小粒しかおれへんかって、ゆう台詞や……)」

あかね「(……せやけど、れいかは)」

れいか「?」

あかね「(……あれがせめて野口はんやったら、えぇなぁ。おばはんとか……諭吉はんやったらもう、うち)」グスッ

れいか「あ、あかねさん!?どうして泣いて、えっ!?!?」

あかね「悪い、世の中の不条理に嘆いとっただけや。れいかのせいやあれへん」

あかね「ま、ともあれすまん。実際にはみせられへんのやけど、100円をそこにいれて……」

れいか「ここですか、あ、投入口と書かれていますね」

あかね「せや。で、ハンドルを回すと、ガチャガチャー、とかガシャガシャーとか音がしよって、さっきゆうとったカプセルがポンッ、ってぇ出てくんねん」

れいか「それで、ガシャポンと……ふふっ、なんだかお茶目な名称なのね?」

あかね「誰が名ぁつけたんかは、うちも知らんけどなぁ。ふーん、最近は200円のとかもあるんや……な、なんや敷居高くなった気がしていややわー」

れいか「あんな小さいカプセルなのに、すごく細かいところまで作られているみたいですね?」

あかね「せやでー、たかがガシャポンやーゆうても結構バカにできひん……お?あれ、みてみーれいか……うちらがおるで?」

れいか「……えっ!?」

れいか「これは……確かに私達が、変身した姿に……そっくりな」

あかね「あっはは、やっぱれいかは知らんかったかぁー。アニメとか興味なさそうやもんなぁ」

れいか「アニメ、ですか?」

あかね「ほら、うちら横浜で結構色んな人に見られよったやろ?」

れいか「えぇ……あの時は、皆さんバッドエナジーに囚われたりしていませんでした、から。それがなにか……?」

あかね「前からな?先輩らーの活躍で実はそこそこプリキュアって目撃されとんねん。で、今度のあれが、どこぞのテレビ屋さんに注目されよってー」

れいか「はぁ……」

あかね「で、一番めだっとったうちらの外見をモチーフにした新番組が始まったらしいんや」

れいか「な、なるほど……ところで、タイトルは」

あかね「……ゴプリキュア、やそうや」

れいか「……」

あかね「恐ろしいやっちゃで、みゆきって」

れいか「ですね」

あかね「タイトルもーやけど……なんやねん、うちのモチーフになったやつ。あんまにとらんし」

れいか「私の方も、なんだか少し冷たすぎるような印象が……あら?」

あかね「それになんや、この煽り!『熱血パワゥァ!キュアサニェー!』やて!?誰がや、誰がサニェゆうとんじゃボケ!いてこましたるぞ!」

れいか「……」

あかね「ちゃぁんとサニェーってゆうとるやろが!誰がサニェーやねんほんま……」

れいか「……マーチは、すっごく出来がいい、ですね」

あかね「はぁ、なんやもう……うん?れいか、なんかゆーた?」

れいか「あ、いえ。なんでもないですよ、あかにぇさん」

あかね「れ、れいかもゆうようになったやんこのーー!」

れいか「っふふ、さっきのお返しですっ」

あかね「寄り道してもーたから、遅なったなぁ。ほんま堪忍な、れいか」

れいか「いえ、いいんです。興味深いものも、みれましたし」

あかね「あっはは、ほんまやな。なんや、日曜の朝8時半とかにやっとるらしいから、いっぺんみてみたらどーや?」

れいか「その時間は稽古がありますから……」

あかね「あー、そかぁ。したら今度やよいん家いこか、なんや日曜は毎週、えろう早い時間から録画しとるらしいし」

れいか「そうなのですか?」

あかね「なんやよーわからへんけど、な。お、うちこっちや」

れいか「えぇ、それではまた明日、あかねさん」

あかね「おーきになー、気ぃつけやー」

れいか「はい。ごきげんよう」

れいか「……」

スーパーマーケット

れいか「……あかねさんには、お別れを言いました、けど」

れいか「この、ガシャポン?ガチャポン?が、気になって、仕方ないわ」

れいか「正確には……この、ま、マーチのお人形が」

マーチ『直球勝負っ!キュアマーチッッ!』

れいか「……えぇっと、これはその、あれです。マーチの、なおのお人形がこの中だと一番、正確ですし」

れいか「持っておきたいなら、これかなぁ、と」

れいか「特に、なおが欲しいことに理由は、別に」

れいか「でも、なおもテレビは見ないから……見せたら、驚いてくれるかしら?」

れいか「……ふふふっ」


店員「……(あのお客さん、ガシャの前で独り言長いなぁ)」

れいか「百円で、一回。でしたね?」

れいか「……と、言うことは」

れいか「……千円札ならば、十回可能、と言うことですよね?」

れいか「……さすがに十回は、やりすぎかしら」

れいか「いいえ、でも、マーチを……一枚分だけなら」

れいか「……」

クシャッ

れいか「……入らない」

100円投入口「」

店員「……えー」

れいか「折りたためば、あるいは?いいえ、でもそれでは読み込んでくれるとはとても……」

れいか「落ち着きましょう。自動販売機で初めて買ったときにも、同じ経験があったわ。なおがあの時は、助けてくれて

れいか「たしか、お札専用の大きな投入口が……あ」

れいか「ここ、かしら」

スルッ

れいか「……あ。こ、ここはただの隙間!?お札が下に落ちて、くっ!」

れいか「と、届っ、お母様からいただいた、お駄賃を!無駄にするわけに、は!」


店員「あの、お客様、手伝いましょうか?」

れいか「……恥ずかしいことを、してしまったわ」

れいか「店員さんには機械をどかしてもらって、ご迷惑をかけてしまうし……それに、百円“玉”限定だった、なんて」

れいか「……気持ちを切り替えましょう。幸い、声をかけてくださった店員さんに、両替もお願いできましたし」

れいか「……まずは、この百円玉を」

チャリンッ

れいか「……これでいいはずです。そして……えぇっと?」

れいか「これは、まずいわ。ここから先、どうするんだったかしら……」

れいか「……あかねさんに、電話を……?いいえ、そんな恥の上塗りをするわけ、には」

れいか「落ち着きましょう。あかねさん曰く、これは玩具の自動販売機」

れいか「と、なれば。私が以前利用した普通の、飲み物の自動販売機と同じく、ボタンに該当するものがある、はず」

れいか「なにか……あっ。これ、ですねっ」

カチッ  チャリンッ

れいか「……え?ど、どうして百円玉が戻って、えっ?」

返却ボタン「」

店員「……」ハラハラ

れいか「……名は体を現す、と言います」

れいか「そうです、迂闊でした。この機械の名は『ガシャポン』」

れいか「ガシャガシャ、ポンッ、で『ガシャポン』なのでした」

れいか「……よく見れば、ハンドルがこんなに大きく。それに、まわす方向まで丁寧に」

れいか「落ち着きなさい、青木れいか。さぁ、ここまでくれば……あとは、このハンドルを回すだけです」

れいか「……はっ!!!」

ガガガッ!ガチッ!

れいか「……」

れいか「ひゃ、百円玉をまだ、入れていませんでした」


店員「店長、待ってあげてください。ガチャ荒らしじゃないんです、違います。あの子も頑張ってるんです、待ってあげてください」

ガシャガシャ

れいか「……」

コロンッ

れいか「……無事、カプセルを手にしました」

れいか「……ふふふっ、これだけのことなのに、なんだか達成感が」

れいか「いいえ、喜ぶのはまだ早い、ですね」

れいか「この中身はランダム……まさかのキャンディ似のマスコットまで加えて6種類ある中から、マーチを出さないといけないのですから」

れいか「……お願いっ」

パカッ

ハッピー『未来の光!キュアハップィー!』

れいか「……」

ガチャガチャ

ピース『じゃん、けん、ぽん☆キュアピース!』

ガチャガチャ

ハッピー『未来の光!キュアハップィー!』

ガチャガチャ

ハッピー『未来の光!キュアハップィー!』

ガチャガチャ

ハッピー『未来の光!キュアハp』

ガチャガチャッ!

ハッピー『未来のひk』

ガチャガチャガチャッ!

サニー『サニェー!』

れいか「…………」


おばさん「ちょっと、店員さん!?ここの店、冷房ききすぎじゃない!?」

店員「っちょ、今正念場なんだから邪魔しないで……れ?そういやなんか異様に寒い、なんでだ???」

れいか「……結局、10回。回しました、が」

ハッピー×5 サニー×2 ピース×2 妖精×1

れいか「……道のりは、険しそうです、ね」

れいか「……最後に、一回だけ。もう一回だけ、回しましょう」

れいか「……『ガシャポン』さんも、きっと。私の熱意に……最後の、一度くらい、は」

ガシャガシャッ コロンッ



ビューティ『清き心。キュアビューティ!』

れいか「……」

れいか「そう、ですね。清き心で望まない私に……先ほど、少し、ほんの少しでも、みゆきさんたちに不快の念を抱いてしまった、私に」

れいか「なお、は……そうです、よね」

トボトボ

店員「……店長、俺をガシャ発注係りにしてください」

店長「うん、とりあえずもうこなくていいよ」

数日後

れいか「……はぁ」

あかね「れいか、なんや悩んどるなぁ」

やよい「最近あんな感じだよね。どうしちゃったんだろう」

みゆき「れいかちゃん、ハッピーじゃないのかなぁ。それじゃ、私達がなんとかしないとねっ」

なお「そうだね……でも、あたしが聞いても何を悩んでるのか、教えてくれないんだ」

あかね「なおがか?」

なお「うん。と言うか、あたしを見るとなんだか……一瞬辛そうな顔するし。だから今、みんなに相談してるんだけどさ」

やよい「け、喧嘩しちゃったの?」

キャンディ「クルぅ、プリキュア同士で喧嘩はよくないクルー!」

みゆき「ハッピーが逃げちゃうよぉ、なおちゃん!謝ろ!ねっ!」

なお「ち、ちがうよ!心当たりないんだってば!それに、そういうのは犬も食べないくらいくだらないでしょ?」

あかね「ゆうてもーたで自分で、まったくあてつけてくれんのーこの夫婦は……」

やよい「うーん……ここのところ、放課後忙しそうなことと。何か関係があるの、かなぁ?」

あかね「せやなぁ。文化祭も近いし、生徒会がなんやせわしないんやろか」

なお「ううん。昨日の放課後はたしか、生徒会の集まり、無かったはずだよ」

みゆき「入江会長が、女子はべらしてたもんねっ!」

あかね「なにしとんのやあの人」

やよい「ハーレムものの資料にってスケッチさせてもらったから、間違いないもん!」

あかね「聞いてへんし知らんし。なんや、何を描くつもりの資料やそれはちょっとやよい、あんたは健全やー信じとるでうちは」


れいか「……」

なお「あ、れいか、机に突っ伏しちゃった」

やよい「いつもキリってしてるれいかちゃんらしく、ないね」

みゆき「……よしっ!私、聞いて来る!れいかちゃんが辛いのは、放っておけないよ!」

あかね「せやな……みゆきくらいのが逆に話しやすいやもしれん」

みゆき「そ、それってどういうことなのあかねちゃん!?とにかく、行って来るね!レッツゴー、ウルトラハッピー!」

れいか「……」ウーン

みゆき「れーいっかちゃん!だいじょーぶ?」

れいか「……」ウーン

みゆき「あれれ、れいかちゃん本当に、寝ちゃってるみたい……本当に、困ってるんだね」

れいか「……みy……」ウーン

みゆき「あのね、私ってドジだし、頼りないかもしれないけど。でもね?れいかちゃんのために、一生懸命頑張るから!だから、よければどうして悩んでるか、話してほしいなぁ、なんて……」

れいか「みゆきさn……」ウーン

みゆき「えっへへ、眠ってるれいかちゃんに言っても、意味がないよ、ね……うん?れいかちゃん、何か言った!?あれ、でも寝てる……ってことは、寝言かなぁ?」

れいか「……」ウーン

みゆき「そうだ、れいかちゃんってひょっとしたら一人で思い悩むタイプなのかも。悩みすぎて、なんだか全部やめようとしちゃったり、そんな気がするよ、うん。なんとなく」

れいか「……」ウーン

みゆき「だから、うん!思わず本音が出ちゃうだろう寝言なら!れいかちゃんの悩み、聞けちゃうのかも!」

れいか「……みy」ウーン

みゆき「よーし、聞き耳聞き耳!これで、れいかちゃんをウルトラハッップィ」

れいか「っ!ハップィーはもういいですっっっっっ!!お黙りなさい!」ガバッ

みゆき「」

あかね・やよい・なお「「「……」」」

れいか「はっ!?え、わ、あら?私、なにを……み、みゆきさん……?」

みゆき「……ふぇ」ジワァァァ

れいか「!!ち、違うんですみゆきさんっ!今のは、あの!みゆきさんに言ったのではなく、違います、聞いてください!みゆきさ、みゆきさーん!待ってください!」

みゆき「うわぁああ゛あ゛ぁああん!れいかちゃんのはっぷっぷーーーーー!!!」

あかね「……はっぷっぷーてなんやねん」

れいか「……酷い誤解をうむところでした」

れいか「あの後、手負いの子猫のように泣きじゃくるみゆきさんを、みんなで囲って」

れいか「恒例の『大好き抱きしめ』で、なんとか事なきを得ました、が」

れいか「……他の方からみれば、そんなにも私は悩んでみえたので、しょうか」

れいか「……でも、理由を教えるわけにはいかないわ。とりあえず、弓道の方で伸び悩んでる、と言いましたが」

れいか「……こんな、小さなことで悩んでいる、なんて」

スーパーマーケット

れいか「……さぁ、今日こそマーチを、なおをこの手にさせてもらいます、ガシャポンさん!」

ガシャポン「」

店員「……(がんばれー)」

店員2「店長、辞めたはずの不審者が物陰に」

店長「今は客だ、好きにさせてやれ」

れいか「……」

ガシャポン「」

れいか「……」

ガシャポン「」

れいか「ちょっと、話し合いましょうか」

ハッピー×4 サニー×1 ピース×2 ビューティ×2 妖精×1

れいか「どうしてこんなにも、偏っているのですか?どうして?」

れいか「あなたは機械のはず。機械には機械なりの、人には出来ない、感情を伴わない公正な判断というものが、求められるはず」

れいか「それが、人が機械に見た理想の共生像のはず」

れいか「なのに、なんです。あなたはこんなにも……」

れいか「わたくしの部屋が、ピンクに染まってしまったらどうするのです」

れいか「恥をお知りなさいっ!!機械としての道を外れた、ご自分をっ!!」

ガシャポン「」

店員「……(ごめん、そいつは公正なんだ。悪いのは中身の比率を調整するバン○イさんなんだ)」

れいか「……少し、熱くなってしまいました。申し訳ありません」

れいか「……そうです。弓道の言葉に、こんなものがあります」

れいか「『射は進退周還必ず礼に中り、内志正しく、外体直くして、然る後に弓矢を持ること審固 なり』」

れいか「『弓矢を持ること審固にして、然る後に以って中ると言うべし。これ以って徳行を観る べし』」

れいか「中国の思想家、孔子が記した、『礼記射義』の一節です」

れいか「つまりは、何事も礼が大事である、と」

れいか「礼に従い、内面を正しくし、外面を整えて行動することで、何事も結果が出るのだ、と。わたくしはそう、日常のことにも当てはめています」

れいか「……まだ足りない、ので、しょうか」

れいか「私の、礼は。徳は、あなたには……足りないと、おっしゃいますか?」

れいか「……」

ガチャガチャッ

妖精「狂ぅ~」

れいか「……また、来ます」

トボトボ

青木家

れいか母「……駄賃の前借りですか、れいか?」

れいか「……はい」

れいか母「……」

れいか「……申し訳ありません、お母様。おかしな事を……聞かなかったことに」

れいか母「お待ちなさい、まだ何も言ってません……あなたには、不自由をさせていると思います。駄賃が入用ならば、もちろん出します」

れいか「……」

れいか母「ただ。訳は、きちんとおっしゃいなさい?」

れいか「……お母様」


れいか「礼、とは。徳とは。道とは、なんなのでしょうか」

れいか母「……難しい話ね」

れいか「わたくしは……青木家の子として、道を極めん者として、これまで生きてきました」

れいか母「苦労をさせましたね」

れいか「いえ、苦と感じたことは、一度も。ただ……」

れいか母「ただ?」

れいか「徳を積み、礼に従い……極めんとした、先に。わたくしには、何があるのか」

れいか母「……」

れいか「先、でもなく。今のわたくしに、何があるのか。何を得ることが、出来たのか。分からなくなって、しまったんです」

れいか母「……」

れいか「……」

れいか母「まだまだ青いですね、れいか。体が名にまけているようでは、いけませんよ?」

れいか「……?あ、青木だけに、ということでしょうか?」

れいか母「えぇ」

れいか「さすがはお母様」

れいか母「ふふっ」

れいか母「礼を磨いた者が、徳を積み上げたものが。手に入れるもの、得ることができるもの」

れいか「……」

れいか母「形なんて、ないのです。何も」

れいか「……え?」

れいか母「ですが、何かは残ります。何もなくとも、何か、は」

れいか「……おっしゃる意味が、わかりません」

れいか母「……れいか?あなたが作ってくれた、この湯のみ。私はとても、気に入っています」

れいか「?喜んでいただけて、嬉しいわ。お母様」

れいか母「……わかりませんか?」

れいか「?……はっ!」

れいか母「あなたの、感謝という徳によって作られたこの湯飲みは、あなたの手元にはありません。けど、あなたにはその結果、何も残っていないのかしら?」

れいか「……いいえ。お母様に喜んでもらえて、とても、とても……わたくしは、嬉しいです!」

れいか母「あなたが、今なにを欲しているかは、分かりかねます。聞くほど野暮でもありません。ですが、その物を手にして、なにを成す、なにを成せるのか。人のため、世のために礼をつくせるのか。それをもう一度考えて、事に及びなさい。いいですか?」

れいか「はい、はいっ、お母様っ!ありがとうございます」

れいか母「ふふっ。しかとはげみなさい?」

スーパーマーケット

れいか「……ごきげんよう、ガシャポンさん」

ガシャポン「」

れいか「……あなたは、気づいてらしたのね?私の、自分のことしか考えていない心に」

れいか「……謀らずも、最初の日に己の名乗りに諭されたことを、省みていませんでした」

れいか「……私は、マーチが。なおの人形が、欲しいです。ですが、もう。それだけでは、ありません」

れいか「あの時、いい訳のように言ってしまいましたが」

れいか「それを持って、なおを。なおと共に、驚きと、笑みを、共有したい」

れいか「弟妹達のために朝から頑張って、休日も満足に休めない、なおを。喜ばせて、あげたい」

れいか「ですから」

チャリンッ

れいか「……お願いっ」

ガチャガチャッ



マーチ『直球勝負!キュアマーチッッ!』

れいか「っ!」

れいか「……認めて、くださったのですか?」

ガシャポン「」

れいか「……ガシャポンさん。いえ、師、ですね。あなたのおかげで、私はまた礼を磨くことができました」

れいか「ありがとうございます、師(せんせい)。きっともう、お会いすることもないでしょうが……あなたから得た教えは、きっと、きっと……」


けいた「あ!れいかねーちゃんだ!」

ゆうた「えー?れいかねーちゃんがこんなとこに……あぁー!」

こうた「れいかねーたーん」

れいか「?あら、けいた、ゆうた、こうた。それに、はるとひなまで。ふふっ、みんなでおつかい?」

はる「んー!なおねーちゃん、今日はぶかつだから。れいかねーちゃんは、なにしてるのー?」

れいか「あぁえーっと、ね?おねえちゃんも、その、買い物を……」

ひな「あー!ぷりきゅあがあるー!」

はる「?あー、ほんとだねー。ひなの大好きな」

れいか「そうなの、ひな?」

ひな「んー!あのね、かっこよくってね、かわいいのー!」

けいた「えー、あんなのだっせーじゃんかー」

ゆうた「あのね、れいかねーちゃん。にーちゃんはね、あんなこといってるけど、ぜったいみのがさないんだよ?」

れいか「そう、ふふっ、こうた?別に恥ずかしいことじゃないのよ?」

けいた「そ、そんなんじゃねーもん!なーこうた!こうたもだっせーとおもうよなー!?」

こうた「けーちゃん、みどりーのがすきー」

れいか「あら、こうたは嘘なんてつかないわよ、けいた?」

けいた「……だ、だってさー。あのみどりの、ね、ねーちゃんににてるし」

はる「うん、うん!れいかねーちゃん、あのね!きゅあまーちね、すっごくかっこいいの!おねーちゃんみたいに!」

ひな「なおねーちゃんといっしょで、ひなだいすきー!」

れいか「……そう」

ミスってもーた

はる「?あー、ほんとだねー。ひなの大好きな」

れいか「そうなの、ひな?」

ひな「んー!あのね、かっこよくってね、かわいいのー!」

けいた「えー、あんなのだっせーじゃんかー」

ゆうた「あのね、れいかねーちゃん。にーちゃんはね、あんなこといってるけど、ぜったいみのがさないんだよ?」

れいか「そう、ふふっ、けいた?別に恥ずかしいことじゃないのよ?」

けいた「そ、そんなんじゃねーもん!なーこうた!こうたもだっせーとおもうよなー!?」

こうた「けーちゃん、みどりーのがすきー」

れいか「あら、こうたは嘘なんてつかないわよ、けいた?」

けいた「……だ、だってさー。あのみどりの、ね、ねーちゃんににてるし」

はる「うん、うん!れいかねーちゃん、あのね!きゅあまーちね、すっごくかっこいいの!おねーちゃんみたいに!」

ひな「なおねーちゃんといっしょで、ひなだいすきー!」

れいか「……そう」




れいか「それじゃ……これ、あげる。はい、ひな」

ひな「!まーちだーーー!」

はる「えっ!?わー!ほんとだー!すごーい!」

れいか「マーチだけじゃないの……はい、ゴプリキュア全員」

けいた「す、すっげー!れいかねーちゃん!」

れいか「あと、妖精?よね。これも、みんな一緒に飾ってあげて?」

ゆうた「い、いいの?れいかねーちゃん?こんなにそろえるの、たいへんだったんじゃ」

れいか「ううん、いいのよ。それより、なおねーちゃんなら、こんな時なんて言えって、みんなに言うかしら?」

こうた「ありがとー!れいかねーたん!」

けいた・ゆうた・はる・ひな「「「「れいかねーちゃん、大好き!」」」」

れいか「ふふっ、私もよ?」 ニコニコ

ゆうた「かいものもてつだってくれてありがと、れいかねーちゃん」

れいか「ううん、おねえちゃんはあんまり役に立ってないわ。みんな、ちゃんと棚を覚えてて偉いわね」

けいた「そんなことねーよ。れいかねーちゃんがいなかったら、またこうたがかごおとしてないてた」

こうた「てたー」

れいか「そう?なら、いいんだけど。帰りは本当に大丈夫?」

はる「うん!れいかねーちゃん、また遊びにきてね!」

ひな「ごぷりきゅあ、みんなでみよーね!」

れいか「えぇ、きっと。じゃあね」

けいた・ゆうた・こうた・はる・ひな「「「「「ばいばーーーい!!!」」」」」

れいか「ばいばーい」



店員「……良かったんですか、あげちゃって」

れいか「……えぇ、きっと」

れいか「きっと、なおがあれを渡されて誰よりも喜ぶのは、あの子たちですから」

れいか「私は、なおも、あの家族みんなも大好きなんです。その幸せのために、なれたなら」

店員「でも、それじゃああなたは」

れいか「私には、なにも残らない、と?ふふっ、いいえ。とってもとっても大切なものが残りましたよ、私にも」

店員「?」

れいか「お母様。れいかは、また一つ。徳を積むことができました」

店員「はぁ……なにがなんだかわかりませんが、とにかく、よかったですね!」

れいか「はい……それで、あの」

店員「?えぇ、なんですか?」

れいか「……ど、どなた、でしょうか」ビクビク

店員「えっ!?」

店員2「てんちょー、あいつがついに女子中学生に声かけてますー」

店長「大丈夫だ、警備員は既に呼んである」

店員「っちょ、お、おれはお客さんのためをおもttあ、もう従業員じゃねーからダメ?ですよn待って待ってまってぇーー!!」

れいか「……スーパーマーケットというのは、面白いところなのね。ふふっ、もう用はないと思ったけれど、また来ようかしら」

青木家

れいか「……ともあれ、このたくさんの、ゴプリキュアの人形……どうしましょう」

れいか「……それと、カプセルの山、も」

れいか「……あぁ、せめてもう一回、マーチが出るまで頑張るべきだったで、しょうか」

れいか「……師(せんせい)は、私にもう一度、チャンスを」

ガラッ

れいか兄「やぁ、れいか。なんだい?師に厳しい指導でもうけたかい?」

れいか「!お兄様、かえってらしたのですか。いえ、そういうわけでは」

れいか兄「そうか。僕には弓のことはわからないから、何もしてやれないが……おっと、そうだ。れいかは、こういうのは好きかな?」

れいか「?なんですか、お兄、さ……」


マーチ『直球勝負!キュアマーチ!』

れいか「」

れいか兄「いやぁ、帰りがけのスーパーでスポーツ飲料の粉末をまとめ買いしていたら、近くにガシャポンがあってね」

れいか「」

れいか兄「懐かしくって、手近にあったものをやってみたんだ……そういえばなんだかこれを出したら、血眼になって飛びついてきた男がいたよ。素人に技かけるのはまずいから、足払ってこけさせたが」

れいか「」

れいか兄「れいかは、なんだい?こういうキャラクターっていうのは詳しくないだろうけど、ほら、なんだかこれ、なおちゃんに似ているだろう?気に入るかなぁ、と……」

れいか「……お兄様」

れいか兄「うん?」

れいか「私、お兄様のこと嫌いです」ニコッ

れいか兄「そうkえぇえええええ!?!?」

れいか「わたくしの部屋に二度と入らないでください、あ、それは置いて。では、ごきげんよう」

れいか兄「っちょ、れい、れいか!?僕がなにかしたかい!?それなら謝る、謝るからっちょ、まってやめて母さん仕込の合気はやmいったたたたたたああああ!!」




なお「ね、ねぇみんな。これ、キュアビューティ、だっけ?これだけねーちゃんにくれない?だめ?っくぅ……おかぁさーーん!あのさぁー!今月のお小遣い……!」

今度こそ 完

たまには乙女なれいかさんもどーでっしゃろ?
変身が無い回とかあるんかな?まぁなんにしろ、れいかさんを妹にもつれいか兄なんて爆発してもーたれ!
じゃあの!


 ABC朝日放送 日曜朝八時半

 スマイルプリキュア! 
 
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