恒一「見崎がウザい」(279)

恒一「見崎を無視しようと思う」

勅使河原「突然どうしたんだ?」

望月「榊原君からそんな言葉を聞くなんて思いもしなかったよ」

恒一「まぁとりあえず聞いてよ」

   「なんかさ見崎って勘違いしてるみたいなんだよね」
   「僕が見崎に惚れている、って」
   「最近、いかにも『告白待ち』みたいな態度なんだよね」

勅使河原「ん?サカキって見崎の事好きなんじゃないのか?」

望月「僕もそう思ってたんだけど」

恒一「はははっ、そんなワケないじゃないか」

   「眼帯に変な色の義眼、そして真っ白な肌」
   「ミステリアスな雰囲気が面白いからちょっと構ってやってただけさ」
   「まぁ、それが結果的に彼女の勘違いを生んだ原因なんだろうけど」

勅使河原「なるほど…」

恒一「それにさ、『特別に許可します』とか『特別に許します』とか最近言い出しやがって」
   「それがもうムカつくわけよ」

望月「確かにムカつくね…」

恒一「まぁ、そんなワケで今日から見崎の事を無視します」

勅使河原「ほう、面白そうだな」

望月「そうだね、僕達も出来る限り協力するよ」

恒一「ありがとう、二人とも!」

勝手にアンチ認定すんなよwwww


~お昼~

見崎「榊原君、屋上で一緒にお昼を食べることを特別に許可します」

恒一「……」

見崎「ねぇ、ちょっと聞いてるの?」

勅使河原「おーい、サカキ―!一緒に飯食おうぜ!」

恒一「うん、今行くよ」

見崎「え?え?ちょっと!?」

勅使河原「赤沢達も誘うか」

望月「そうだね たまには屋上なんてどうかな?」

恒一「いいね」

勅使河原「おーい、赤沢達も一緒に飯食わねぇか?」

赤沢「なんだ勅使河原か…って、ええ!?恒一君も!?」

恒一「やあ、赤沢さん お昼一緒に食べない?」

綾野「私はいいよ~♪」

杉浦「私もいいけど…泉美は?」

赤沢「食べる食べる!一緒に食べる!!」

望月「それじゃ屋上行こうか」

見崎「ちょっと、ねぇ!榊原君!」

恒一「……」

~屋上~

勅使河原「サカキの弁当美味そうだなー」

恒一「ははは、少し食べてみる?」

勅使河原「おっ、んじゃもーらい!」パクッ
      「美味ぇー!」

綾野「こういっちゃん、私にもちょーだい!」

恒一「いいよ はい、あーん」

綾野「あーん♪」パクッ

見崎「ねぇ!榊原君!私にも頂戴!コンビニ弁当ばかりじゃ飽きちゃうの!!!」

恒一「……」

赤沢「ねぇ多佳子 恒一君、見崎さんの事を無視してる…?」ヒソヒソ

杉浦「どうやらそうみたいね チャンスなんじゃないの?泉美」ヒソヒソ

赤沢「うん、泉美頑張る!」
   「ねぇ恒一君…」

見崎「うわああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」ガシャーン

一同「!?」ビクッ

見崎「何無視してんだよ!!!!酒鬼薔薇!!!!」
   「舐めてんのか!?おっ!?舐めてんのか鳴ちゃんを!!!」
   「てめぇ!!鳴ちゃん本気出したら地球半分くらい軽く吹っ飛ぶぞコラ!!!!」
   「鳴ちゃんの左目舐めてんのか!!眼帯外してやろうか!!おっ!?おっ!?」

恒一「……」

見崎「あああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!」
   「もういい!!てめぇ死ね!!私が災厄になってやる!!!!私が災厄だ!!!!」
   「食らえ『先の尖った傘の舞』」

恒一「……っく」

見崎「続けて『昇降機垂直落とし』『首刺し包丁』『中尾スライス』『重機体当たり』!!!」

恒一「……」

赤沢「ちょっと、見崎さん!恒一君になにすんのよ!?」

見崎「

                                 >¨ ̄`ヽ   ノ}
                    /⌒¨「 ̄\......____≦:::ミー‐. }ノ´彳メ}
       __          /:::::::::::://       ⌒ー竓=彳 /孑 '_/
    /¨「 ̄`ー≧、_    /:::::::::::::_仏∩_-‐ ∩ ‐- _/_ ̄`´ イ´
.   / _|_、::::::::::::::`ーf:..:::::,>'´  //  `ー | |"´     ̄

   /_/    ̄`ヽ. __. イ/   //Λ_Λ  | |
             `ー´     .| |( #`Д´)// <うるせぇ、 綾野さんぶつけんぞ!!!
                    \      |
                      |   /
                     /   /                        」


恒一「…あ、綾野さん!?」

赤沢「っく…恒一君と彩に何てことを…許さない!!!」
   「『ガラス片の豪雨』!!!」

見崎「ぎゃあああああああ!!!」

見崎「……死ね……死ね死ね死ね死ね死ね死ね!!!」

勅使河原「な、なんか凄い事になってきたな…」

望月「う、うん…」

恒一「……っ!止めろ見崎!!!」

見崎「あぁ!?今更何言ったって無駄なんだよぉぉぉおおおお!!!」

恒一「…うるせぇえええええ!!!」
   「『子宮潰しの膝蹴り』!!!」

見崎「……!?ぐ…かはっ…!?」フラフラ
  「う……うわぁぁぁあああ!!!!」ダダダッ

恒一「まだ向かってくるか…だがその程度なら簡単に避けられる!」ヒョイッ

見崎「な、何!?…って、うわぁ!?」ガクッ

ガシャーン!

恒一「フェ、フェンスが壊れた!?」

見崎「うああああああぁぁぁぁぁぁ」ドシャッ

恒一「み…見崎が落ちた……」

こうして夜見北に突然現れた災厄は嵐のような速さで去って行きましたとさ

鳴「ねえ、今日はなんで無視するの榊原君?」

恒一「……」

鳴「ねえってば!!」

勅使川原「おい、サカキ、見崎が呼んでるようが……」

恒一「ん? 気のせいでしょ。それよりお昼ご飯どこで食べようか」

望月(あ……見崎さんが泣きそうになってる)

赤沢「……!!」ガタッ

勅使川原→勅使河原
呼んでるようが→呼んでるようだが

>>48
続けろ下さい

>>48
頑張れ
鳴ちゃん可愛いよprpr

赤沢「ねぇ恒一くん 私も一緒にお昼良い?」

恒一「あっ赤沢さんも来る? もちろん良いよ じゃあ屋上で良いね」

赤沢「うん 良いわよ」

鳴「私ももちろん行って良いよね?」

恒一「‥‥」

鳴「‥‥榊原くん? どうして無視するの?」

恒一「‥‥」

鳴「わざとやってるの? 私何か悪いことした?」

赤沢「‥‥」ニヤリ

赤沢「恒一くん♪ 行きましょ」ダキッ

恒一「あっうん」

鳴「‥‥‥‥」

>>49 助言サンクス!! 助かる
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

杉浦「突然立ち上がってどうしたの泉美?」

赤沢「ちょっと黙ってて。今いいことだから」

昼食中の赤沢は箸を止め、見崎の動向を注視することにした。
クラス内で公認の夫婦だったはずの榊原夫妻に
異変が起き始めているのだ。

鳴「……うっ……えぐっ……榊原君ひどいよぉ……」

何の前触れもなく、今日の朝から無視され続けた鳴。
もしかして彼を怒らせるようなことでもしたのかと不安に思ったが、
訊いても一言も答えてくれない。ついに泣き出してしまったのだ。

勅使河原「お……おい。なんだよこの雰囲気は……」


鳴(‥‥?  私の声小さいのかな?)

スタスタスタ

鳴「有田さんこんにちは」

有田「あっ見崎さんこんにちは」

鳴「‥‥」

有田「‥‥どうしたの?」


ジャイコーゼ ミンナデオヒルダー ワーイ

鳴「あっちょっと待って 置いていかないで」

タッタッタ

>>53
続けろください

勅使河原が周囲を見渡しながら言った。

昼食中のクラスメイトらは声をあげながら
泣いてる見崎鳴のことを注目してみていた。

一緒に食事をしていた有田や小椋は、珍しいものでも
見るような目でぼーっとしていた。風見はなぜかワクワクしながら
見守ってる。他の奴らも大半がおもしろがって見ていた。

望月「ねえ、さっきから皆に注目されてるよ。
   どうにかしてよ榊原君」

榊原「ん? さっきから何の話をしてるの?」

勅使河原「今日はどうしたんだよサカキ。見崎のことだよ。
     おまえが派手に無視してるから泣いちまってるじゃないか」

鳴「うっ……ぐすっ……」

彼女が人前で泣くことなどめったにない。
何よりショックだったのが、昨日まで普通に食事してくれた榊原が、
もう自分のことを「いないもの」のように扱っていることだった。

恒一(ふふふ。いい感じだな……)

ダークサイドに堕ちてしまった恒一は、
鳴に見えない角度でにやけていた。

恒一(フラグを立てたところで一気に突き落す。
   いい作戦だろ? 見崎の奴はいずれ僕と
   付き合えるとでも思ってたに違いない)

彼は、後に今日のことをこう語る。

『楽しいからやりました。反省なんてしてません』

まさにクズである。

酒鬼薔薇くんだったか…

勅使河原や望月の必死の説得にもかかわらず、
恒一は教室を出て行ってしまった。

屋上では多々良さんと待ち合わせてしてある。

恒一「待たせちゃってごめんね」

多々良「いえ、私も今来たところですから」

恒一「へえ。多々良さんって自分でお弁当作ってるの?」

多々良「時間があるときだけですけどね。
    で、なんで見崎さんも一緒にいるんですか?」

恒一「え?」

振り返ると、背後霊のようにぴったりと鳴がしがみついていた。
人ひとり分の重量を抱えていたはずなのに、なぜ今まで気づかなかったのか。

背中に女の子がしがみついてる。こんな経験をすることは稀だろう。
それでも多々良に指摘されるまで気づかなかったのは、鳴の体重が
軽かったからに違いない。

恒一「何言ってるのさ多々良さん。
   今後ろを見たけど誰もいなかったよ?」

多々良「えっ。でも見崎さんがしがみついてるじゃないですか」

恒一「はははっ。多々良さんはジョークのセンスもあるんだね。
   それよりお弁当食べさせっこしようよ。今日のは自信作なんだ」

自然を装ってお弁当箱を広げる恒一。
このような状況でも無視し続けるのは並大抵の技ではない。

望月(くそう……どうして見崎さんを泣かせるようなことをするんだよ……)

屋上の影で見守っていた望月が爪を噛む。あきれてしまった勅使河原は
教室に残ったが、彼は密かに尾行していたのだ。

望月(見崎さんだってあきらめが悪いのは確かだよ?
   でもいきなり無視するなんて榊原君ひどいじゃないか)

高林と親しかったため、フェアプレイの精神が身についていたのだ。

鬼畜榊原の行動には論理性が皆無で、まるで鳴をいじめてるように
しか見えなかった。というよりその通りなのだが。

望月「榊原君!! もういい加減に……!!」

屋上の隅から身をだし、榊原に怒鳴り込んでやろうと思ったところ、
携帯の着信が鳴る。それは一通のメールだった。

『望月。あとで怜子さんのパンツをやる。だから黙ってろ』

この恒一からの指示により、望月は態度を一変させ、
大人しく教室へ帰ったのだった。

多々良「今誰かの叫ぶような声が聞こえませんでしたか?」

榊原「気のせいじゃない? 
それより食べさせてあげるよ。あーんして」

多々良「そ……そんないきなり////」

多々良が食事に誘われたのは今日が初めてだった。
彼女は内気だから自分から恒一に話しかけることはなかった。

以前から恒一と鳴はクラス公認のカップルだと思ってたから、
まさか自分に誘いが来るとは思ってなかった。

恒一に差し出されたミートボールを食べる。
彼は自信作だと言っていたが、どう見ても
レトルトの味だった。あえて指摘はしなかったが。

鳴「サ・カ・キ・バ・ラ君……私にもあーんして?」

恒一(ち……うざいな)

せっかくの多々良との昼食タイムの邪魔だった。
ちなみに鳴は、座ってる恒一の背中に抱き着いてる。
いうなれば親に甘える子供のような体勢である。

恒一「あー。なんだか無性に背伸びがしたい気分だなぁ」

したがってこのように椅子から立ち上がれば、
鳴はバランスを失って倒れてしまう。

鳴「いたた……どうして酷いことするの榊原君?」

恒一(うっ……こいつ腐っても美少女だな。
   そんな子犬のような目で見てくるなよ。
   でも僕は容赦しないぞ)

勃起した股間を巧妙に隠しながら、光の速さでメールを打つ。

『望月。怜子さんのブラジャーも追加する。見崎をなんとかしろ』

多々良「急に携帯を開いてどうしたんですか?
    それに前かがみになってますよ」

恒一「なんでもないよ。気にしないで。
   それにしても今日は空が青くていい天気だなぁ」

多々良(どう見ても曇り空ですけど)

いぶかしむ目で彼を見続ける多々良。
先ほどから不審な言動が多すぎるのだ。
気になっていた彼が、実は変人だったんじゃないかと思っていた。

いきり立った望月が到着するのに一分もかからなかった。

望月「あーおほん。君たち!! いないものの相手をするのは止めたまえ!!」

意味不明な文句を言いながら、鳴を引きづって退散しようとしたが、
逆上した鳴に殴り飛ばされてしまう。でも恒一は気にしなかった。

支援

多々良「あの……榊原君。さっきからずっと
    訊こうと思ってたことがあるんですけど」

恒一「なんだい?」

多々良「どうして見崎さんのことを無視してるんですか?
    あと望月君がボコボコにされてますけど、
    助けに行かなくていいんですか?」

恒一「望月か。あれはボクシングの練習してるだけだから心配いらないよ。
   見崎の件だけど、あいつは僕のストーカーなんだ」

多々良「ええっ!! 見崎さんがストーカー!?」

恒一「そうなんだよ。初めて会ったのは僕が入院してた病院だったんだけど、
   しつこく質問攻めされちゃってさ。今日にいたるまで勝手に彼女づら
   して僕に付きまとってくるんだ。本当に困ってるよ」

鳴「さかきばら……くん? 何を言ってるの?」

もっちーを再起不能にした鳴の服が血で染まっている。

たまにはアンカで進行するか(細かい描写は俺が考えるから)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

裏切られた鳴。最初話しかけてきたのは恒一の方だった。
目の前で浮気現場まで見せられ、どうしたらいいか分からない。

ここで鳴が言った一言とは……

鳴「>>73

ksk

ksk

逃がさないから

>>72

鳴「逃がさないから」

恒一「」ゾクッ

その一言は、メイがダークサイドへ堕ちたことの証明だった。
恒一とは異なる方向の闇へ。

多々良「あの……見崎さんが怒ってるようですけど」

恒一「ふ……こんなこと気にしてたらキリがないよ。
   さあ、そろそろ昼休みも終わるし、教室に戻ろうか」

鳴「ダメ。ニゲちゃ、だめ」

恒一「」ゾクッ

思わず目を見張った。鳴は太い縄を手にし、
今にも恒一を拘束しようとしていた。

多々良「見崎さん!! そんな太くて固くて艶っぽい縄を取り出して
    ナニをするつもり!? あなたまだ榊原君のこと諦めてないのね!!」

鳴「浮気相手は黙ってみてて。コロサレたくなかったらネ……」

多々良「うっ……」

圧倒的な殺意だった。仮に止めに入れば、
瞬時に抹殺されるだろうと直感で分かった。

恒一「ク、クソ……。情けないけど怖くて一歩も動けない……」

多々良「榊原君。先生か誰かを呼んだ方がいいですよ……」

鳴がじりじりを二人との距離を詰める。
捕まればすべてが終わる。調教と称した拷問などを
軽く実行してきそうな気配だ。

唐突だが、ここで中尾が現れて>>80と言った。

俺はお前に殺されたい

中尾「俺はおまえに殺されたい」

鳴「中尾君。そこどいて。邪魔」

中尾「それより訊いてくれよ見崎。
   俺はずっと赤沢が好きだった。何を隠そう俺は
   巨乳好きだったからな。だがある日貧乳も悪くないと
   思うようになった。なぜか分かるか?」

鳴「知らない。早くどいて」

中尾「おまえと榊原のイチャイチャタイムを見るようになってからだ。
   あっ。言っておくけどまだ赤沢のことは諦めてないからな?
   ただお前のその膨らみかけの胸を見てる内にこう……」

鳴「あっそ。そんなに死にたいんだ」

どこから取り出したのか、鳴は巨大なオノを構えたのだった。

中尾「はぁはぁ……いいぞ見崎。お前に殺されるなら本望だ。
   遠慮なんてするなよ? 一思いにやってくれ」

鳴「あっそ。覚悟はできてるんだ」

まさに茶番。恒一と多々良は今のうちに逃げ出した。
息を殺して手を繋ぐ姿は、まるで恋人のようだった。

『まかせろー』

断末魔の叫びが聞こえてきたが、無視する。
恒一たちは無事教室にたどり着いた。
しかしすぐ鳴が追ってくるだろう。

恒一「ふぅ。死ぬかと思った。これからどうしようかな」

風見「榊原君。さっきのやり取り見てたよ。
   なんで見崎さんを裏切って多々良さんとイチャついてるんだい?」

榊原「そんなことはどうでもいい。皆早くここから逃げないと殺さるよ?」

風見「どうでもよくないよ。そうやってとぼけようとするのが
   君の悪いところだ。僕はこれでも恋愛については真面目に
   考える方なんだ。君のような浮気する奴は許せないんだよ」

多々良「あの風見君。本当にふざけてる場合じゃないんです。
    さっき中尾君が見崎さんに殺されたっぽいんです。
    あの子は私たちを追ってすぐ教室にも来ますよ」

風見「うるさい!!」

突然怒鳴る風見。またしてもクラス中の視線を集めていた。

風見「そんな嘘誰が信じるか!! おまえらクラスのみんなの前で
   恋人ごっこするんじゃないよ!! 僕がゆかりが死んでどれだけ
   ショックだったか分かるか!? お前らみたいな奴がいるから
   災厄が終わらないんだ!!」

さらにヒートアッップする風見。机の中から凶器を取り出した。
それはなんとバイブだった。電動バイブである。

事件終了後、警察の取り調べに対し、風見はこう答えたという。

『むしゃくしゃしてたんで榊原君のケツを開拓してやろうと思いました。
 はい……きっとゆかり……あっクラスメイトの桜木さんのことなんですけど、
 彼女が死んでから頭がおかしくなったんだと思います。動機は……嫉妬ですね』

少し話がそれた。

風見「うわあああああ!!」

奇声をあげながら恒一を組み伏せようとする。

まさしく修羅場である。常軌を逸した彼の行動に
恒一は対応しきれず、このまま開拓工事をされてしまうのかと思われたが…

見崎「さかきばらくん。みーつけた☆」

恒一「み、みさき……」

ずっと無視するつもりだったのに、つい名前を呼んでしまった。
オノで殴られて地に伏せる風見を見て、それほどの衝撃を受けていた。

有田「いやああああ!!」

小椋「ちょ……やばいじゃん。風見息してる?」

教室がどよめき始める。なにせ制服を血で汚した鳴が
背後から風見を一撃したのだ。殺してはいない。
彼女は殺人を嫌い、みねうちをしたからだ。

鳴「風見君って真面目な人だと思ってたんだけどな。
  失望しちゃったよ。それと浮気相手も必要ないよね?
  じゃあね多々良さん」

多々良「えっ」

振りかぶった両手。今にも多々良に制裁が加えられようとしていた。

修羅の極みと化した少女を止める方法はただ一つ。
ここでなぜか水野が席を立ち、>>90と言ったのだった。

ksk

びっくりするほどユートピア

水野「びっくりするほどユートピア」

恒一「」

鳴「」

多々良「」

水野(ん? なんだこのしらけた雰囲気は……?
   俺が場を和ませようと盛大なギャグを言ってやったのに)

鳴「つまんないギャグだね。
  邪魔するなら水野君から死ぬ?」

水野「えっ」

江藤「もう止めなよ見崎さん」

鳴「何の用江藤さん? 言っておくけど今の私は冷静じゃないよ?」

江藤「さっきから見てれば見苦しいのよあんた!!
   榊原君は多々良さんを選んだんだから諦めなさいよ!!」

綾野「そうだよ見崎っち。諦めの悪い女は嫌われるよ?」

水野「そ……そうだ。まさしく俺はそういうことが言いたかったんだ。
   ストーカープレイはやめるんだ見崎!!」

なぜか恒一に加勢するクラスメイト達。
事情を知らない人らには鳴が悪人に見えたのだ。

しここで筆者が言いたいのは、恒一が浮気したということだ。
繰り返すが、鳴は今日突然無視され、多々良と浮気された。
この事実だけ見ればどうみても恒一が悪い。

ここでフェア精神を好む高林が黙ってるわけなかった。

高林「>>98

フェアだね

浮気ってか付き合ってもないよね?

>>96

高林「見崎さんちょっと待ってよ!!
   そもそも君たちって付き合ってすらいないよね!?」

鳴「!?」

高林「なに驚いた顔してんの!!
   付き合ってないのに榊原君が浮気したっておかしくない!?
   見崎さんが榊原君に付きまとってるだけじゃん!!」

――こんなのフェアじゃないよ

その一言は、鳴の胸に深く突き刺さったのだった。

恒一「あっごめんね、みんな。実は見崎って僕のストーカーだったんだ。
   いないもの時代にイチャラブしてたのは見崎にオノで脅されてたから
   しかたなくやったことなんだ。今まで黙っててごめん」

赤沢「ふーん。そうだったの恒一君」

赤沢は対策係で女子のクラス委員でもある。

今回の惨状について彼女に責任があるわけじゃないが、
男子のクラス委員が白目で気絶してる以上、取りまとめる必要が
あると感じていた。

松井「怖いよぉ金木ちゃん」

金木「大丈夫よ。いいから黙ってみてなさい」

恒一(へえ。松井さんもかわいいな。つーかこのクラス美人多すぎ)

もうすぐ昼休みも終わる時間だ。五時間目が始まる眼には、
なんとかして事態を収拾しないといけない。

赤沢は視界に入るレズカップルに舌打ちしながらも、
鳴を止めるため、>>105をしたのだった。

ksk

鳴に大人のキス

赤沢は鳴に話しかけ、すきを見て唇を塞いだ。

「むぅ……!?」

完全な奇襲に目を見開く鳴。
そっちの毛はないので引きはがしてやりたかったが、
赤沢が巧みに絡みついてきて離れない。

「大丈夫よ見崎さん。初めてだから優しくしてあげる」

「んん~~~!!」

抵抗むなしく、床に押し倒される鳴。
手を押さえつけられてるので自由に動けないのだ。
相手は鳴より一回り以上大きかった。

鳴が手にしていたオノなど、その辺にむなしく倒れてる。
凶器さえなければ、ただの小柄な女の子に過ぎなかった。

恒一(うわぁ……)

多々良「なに……これ……」

「素敵……素敵よ見崎さん。もっと近くで顔を見せて」

「いやぁ」

上着を脱がされ、ブラが露出した。
ここは教室だからクラスメイトらの視線が突き刺さる。
あまりにも小さい胸。発展途上というより完全に貧乳だった。

浸入してくる赤沢の舌は、とっくに鳴の口元を
唾液で汚していた。まだ男の子とキスしたことなかったのに、
突然襲ってきた女に奪われてしまったのだ。

(こんなのやだよ……助けて榊原君……)

閉じた目から涙が零れ落ちる。
やがてブラを外され、乳房を直に触られてしまった。
まるで絹に触れるかのような慎重な触り方だった。

「乳首……立ってるわよ?」

キーンコーン カーンコーン

レズセックスの最中にふさわしくない鐘が鳴る。
つまり昼休みが終わったということだ。

レズ現場をカメラで撮影していた水野が
時間割を確認すると、次は国語だった。

久保寺「さあ、授業の時間ですからみなさん席につい…」

鳴「あっ……んっ……噛んじゃだめぇ……」

赤沢「はぁはぁ。おいしいわ見崎さんの乳首……」

久保寺「」

先生が扉を開けたところ、このような惨状が目に入ったのである。
まさしく彼の中で時間の流れが止まってしまった。

松井「ねえねえ。あれすごいよ金木ちゃん。
   あの二人あんなに乱れて……すごく色っぽいよ」

金木「そうね。あとでアンタにもしてあげるから、
   家に帰るまでおあずけよ?」

松井「わーい!!」

恒一(松井さん……やっぱり可愛いなぁ。
   バイブで思いっきり犯してあげたい)

学校公認のレズカップルがイチャつくのはまだよかった。

久保寺にとって気がかりなのは何といっても見崎と赤沢だ。
彼の見解では、彼女らは恒一を取り合って争う間柄だった。

久保寺(これはおかしいですね。実に不可解な現象です)

彼は自分が最低な教師だと自覚していた。
なぜなら鳴の胸を見て興奮していたからだ。

多々良「あれやばいですよ榊原君……」

恒一「はぁはぁ……」

多々良「榊原君?」

恒一「え? いやそうだね、うん。
   女同士でやるなんて正気じゃないよ二人とも」

クラスメイトらは一歩も動けず、赤沢の奇行を見守っていた。
風見はすでに気絶してるし、中尾と望月は行方不明。
今年の災厄の恐ろしさを感じていた。

なにせあの生真面目な赤沢ですら奇行に走ってるのだ。
下手なことをすれば、次は自分が正気を失うんじゃないのかと思っていた。
自我を失う。それは死ぬに等しい恐怖だ。

ここで久保寺はズボンを脱ぎ、壇上に立った。

久保寺「>>200

アンカ間違えた

>>121 に訂正

では、私はうんこを漏らします

久保寺「では、私はうんこを漏らします」

その後は阿鼻驚嘆の地獄になった。

もはや授業どころではないので、全員でボイコットして
とっとと下校してしまった。今日は五時限目が
最終授業だったからちょうどよかった。

恒一「ふぅ……なんだかとんでもない一日だったな」

多々良「そうですね。やっぱり皆がおかしくなったのって
    災厄のせいなんでしょうか?」

恒一「たぶんそうだと思う。まさか先生までおかしくなるとは
   思わなかったけどね。これは調査の必要がありそうだ」

帰る方向は違うが、途中まで二人で歩いていた。

恒一「じゃあね多々良さん。今日は病院によらなくちゃいけないんだ」

手を振ってくれる多々良が見えなくなってから、
全力疾走して病院を目指す恒一。

どうみても健常だ。それも当然だ。
なにせ彼はもう全快してたのだから。

(……沙苗さんに会える)

これだけが目的だった。分かりやすい下心である。

沙苗「おやー。ホラー少年じゃない。
   しばらく会わなかったわね。
   今日はどうしたの?」

恒一「実は相談事があるんです」

今日クラスで起きた事件について報告した。
鳴の暴走や赤沢のレズプレイ、中尾の生死が不明なことなど。
沙苗は真剣に話を聞いてくれた。

恒一「もうクラスは滅茶苦茶です。担任の先生だって授業中に
   ウンコ漏らしちゃって……。僕、どうしたらいいんでしょう?」

沙苗(恒一キュン……)キュン

恒一の嘘泣きに不覚にもときめいた沙苗。

沙苗「思いつめない方がいいわよ恒一君。
   ネガティブになる気持ちもわかるけど、
   恒一君には私がいるでしょ?」

恒一「ありがとうございます沙苗さん。
   僕、小さいころからお姉さんにあこがれてたんです。
   沙苗さんみたいな人がお姉さんだったらよかったのに」

沙苗「……!!」

フラグだった。だが沙苗はすぐ応じるわけにはいかなった。

なぜなら、恒一の背中にはまたしても鳴がしがみついていたからだ。
恒一が真剣に話していたから今まで黙っていたのだが、もう限界だった。

恒一「見崎が僕の背中に背後霊のようにしがみついてるですって?
   やだなぁ。そんな笑えない冗談は」

鳴「榊原君。もう逃がさないよ?」

恒一「」

沙苗「ねえその子……目つきがやばいんだけど。
   二人はどういう関係なの?」

恒一「諦めの悪いストーカーとイケメンです」

沙苗「で、その見崎さんが今日赤沢さんとレズプレイしてたのね?」

恒一「そうです。女に目覚めたかと思ったら、
   まだ僕のこと諦めてなかったみたいですね」

沙苗「じゃあ恒一君。>>134しちゃいなよ」

kskst

通報

――通報しちゃいなよ。

恒一「沙苗さん。今日は何時あがりですか?」

沙苗「今日は昼勤だからもうすぐあがりだけど」

恒一「そうですか。じゃあ見崎を通報します」

沙苗「あらそうなの? さっき聞いたことはなんだのかしら?」

恒一「いいから通報させてください。無性に通報したい気分なんです」

ケータイ取出しポパピプペ♪
通報してくれま・す・か☆

警察「よく分からないけど逮捕する」カチャ

鳴「」

あー、食事休憩だ

鳴は無事逮捕された。沙苗の仕事が終わるまで
まだ一時間近くあったので、暇つぶしに水野宅によった恒一。

恒一「ただいまぁ」

水野「たいだいまじゃねえ!!
   なんでおまえが家に来るんだ?」

恒一「沙苗さんが帰ってくるまでここで待ってようかなって。
   水野君の家は僕の第二の故郷だよね」

水野「いや、おかしいだろ」

恒一「そうかな? それよりお腹減ったから夕食作ってよ」

水野「おまえ……多々良さんと付き合ってたんじゃないのか?」

恒一「多々良さんは友達だよ。まだ付き合ってない」

水野「そうなのか? 見崎を振って多々良さんとくっついたように思えたが……」

恒一「ちなみに見崎なら逮捕されたから」

水野「なっ……」

恒一「ショックだろう水野君? 君は隠れ鳴ちゃんファンだもんな。
   君が今までに見崎を盗撮した回数って百を超えるだろう?」

水野「うそだ……見崎さんが逮捕されただと……見崎さんが……
   あの見崎さんが……鳴タソが……」

聞いてない様だったので、勝手にあがらせてもらった恒一。
両親はなぜか不在だったので余裕だった。

二階の奥にある沙苗の部屋に入る。

恒一「ここが沙苗さんの部屋か」

初めて見る大人の女の部屋。すべてが未知の世界だった。
まずタンスをあさって下着を見つけた。さらに全裸になって
オナニーしようとしたところ、

鳴「こんばんわ。榊原君」

恒一「うん?」

鳴「脱獄するの簡単だったよ。もう逃がさないからね」

恒一「ふむ。どうやら幻聴みたいだね」

現実逃避して気のせいにした。
オノを構えた鳴など、いてはならない存在だからだ。

鳴を無視して猛の部屋に入る。

いかにも男らしい部屋だった。余計なモノはあまり置かれていない。
あるものと言えば、漫画本とオナホと鳴の盗撮アルバムくらいだった。

とても貴重なものらしく、厳重に保管されている。

恒一「へえ。体育の授業中の見崎ってこんな感じなんだ」

きわどいアングルで撮られた写真は確かに見事だった。

鳴「うわ。何この写真? 言っちゃ悪いけどキモイ。
  あと水野君って私のこと好きだったんだね。全然知らなかった」

恒一「水野って普通にイケメンだよね? 
   なんでこんなキモヲタみたいなことしてるんだろう」

鳴「意外と変態のイケメン率って高いのかもね。
  まえ王子君が小椋さんを怪しい目で見てたよ」

恒一「最低だね。心から軽蔑するよ」

鳴「そういえば水野君ってどこにいるの?」

恒一「玄関の前でシマウマのような体勢でうめいてるよ。
   どうやら見崎が逮捕されたのがショックだったらしい。
   気になったんだけど、脱獄って簡単にはできないよね」

鳴「鳴ちゃんの可愛さの前では警察もイチコロなのです」

恒一「死ねよメスブタ」

鳴「……は?」

恒一「ごめん。で、水野君が見崎が生きてるって知ったらどう思うだろうね?」

鳴「泣いて喜ぶんじゃないの。変態さんだから」

恒一「そうか。なあ見崎。もう帰ってくれないか」

鳴「だめ。私はどこまでも着いていくから」

困り果てた。もうすぐ沙苗が帰ってくる時間だった。
最高のショーを迎えるためには見崎鳴が邪魔だ。
まさしくお邪魔虫。

どうすればいいかと考えた挙句、

恒一「見崎。キスしようか」

鳴「うん」

熱いキスを交わしたのだった。恒一は死んでも口にしなかったが、
鳴の唇から赤沢と思われる香りがした。

恒一は初めて赤沢と握手した時、すきを見て
三回くらい匂いを嗅いだことがあった。

鳴「もっとちょうだい?」

恒一「いいよ。少しの間目を閉じててくれないかな?」

気に入らなかったのは、鉄臭い鳴の制服だった。
何人もの返り血を浴びてるらしく? 真っ赤にペイントされてる。
鳴本来の安心するような香りが殺されていた。

これはもう全裸にするしかなかった。赤沢さんと違って
優しい手つきで上着を脱がし、スカートのホックをはずした。

鳴の頬が赤く染まっていく。
クラスで公開セックスをさせられたとはいえ、
好きな男の子と交わるのは生まれて初めてだ。

薄い下着を脱がされても、鳴はじっとしていた。

恒一「きれいだよ鳴」

もう一度唇を塞ぐ。ヤンデレ化した彼女なのに、
こうしてると普通の女の子みたいだった。

「あっ……」

胸を揉まれた鳴が熱い吐息を吐いた。

「見崎の胸、ちっさいけど可愛いね」

「ん……吸っちゃだめぇ……!!」

「そんなに騒いでどうしたの? 感じてる?」

「あっ……んんっ……!!」

触ってるのは胸だけではなかった。湿ってきている秘所にまで
手は伸ばされ、徐々に深くまで侵入していた。

まだ男を受けれたことのないそこは未開の場所だった。
まだキスは止めてない。口から流れ込んでくる恒一の唾液を
受け止めながら、鳴は胸と下半身に感じる快楽に耐えていた。

「んっ……榊原君っ……」

「こんなに濡らしちゃって。見崎は淫乱だな」

「鳴って……呼んで……」

おねだりする鳴は子供のようだった。
男の手で身体のいたるところを触られても、
嫌な顔一つしない。本気で恒一のことが好きなのだ。

――もっと私を犯して

彼女の瞳はそう訴えていた。

普通ならこのまま最後までイってしまいたいところだろう。
だが、恒一にはある懸念事項がある。

(もうすぐあの人が帰ってくるころだな)

モノ欲しそうな目で見てくる鳴をいったん無視して、
窓の外を眺めた。夕日が沈みかけ、町の景色が変わろうとしてる。

良い子はもう帰らなければならない時間だ。
同時に帰宅ラッシュが始まる時間でもある。
早番だった沙苗も、もうすぐここに帰ってくる。

猛の部屋にはロープと手錠が置いてあった。
何に使うつもりだったのか分からないが、
ありがたく使わせてもらうことにした。

見崎「むぐむぐ……!?」

恒一「鳴。せめて名前で呼んであげるよ。
   しばらくしたら戻るからそこで待っててくれないか?」

見崎「んんんん~~~!!」

猛のイスに座らされ、ぐるぐるに縛られてしまった鳴。
口には何か変なものを押し込まれたのでよくしゃべれない。
よく見ると、それは沙苗の下着だった。当の鳴は気づいてないが。

恒一「さて。沙苗さんの部屋で待機するか」

猛「なあ、ちょっと待ってくれないか」

恒一「やあ水野君じゃないか。こんなところで会うなんて奇遇だね」

猛「奇遇も何もここって俺の家だしな。
  見崎さんはなんで縛られてんだ?」

恒一「ちょっとタイミングが悪かったからかな」

猛「たしか逮捕されたって聞いたが。俺の聞き間違えか?」

恒一「可愛いは正義ってことで釈放することを特別に認めたらしいよ」

猛「ああ。たしかに見崎さんは天使だよな……」

恒一「納得してなさそうだね。僕、質問攻めって嫌いなんだけど、
   まだ何か聞きたいの?」

猛「ああ……最初に訊こうと思ったんだが、
  なんで榊原は姉ちゃんのパンツを握りしめてんだ?」

恒一はしまったと思って自分の右手を確認した。
そこには確かに女物の下着が確認された。

先ほど沙苗の部屋で盗ったものだ。
ちなみに恒一は、鳴とのプレイ中もずっとこれを握りしめていた。
持ってるのがあまりにも自然だったので意識してなかったのだ。

猛「なあ榊原……あんまりこういうことは言いたくねえんだけど、
  おまえって変態なのか?」

恒一「うん」

猛「即答かよ……。さすがだぜ転校生」

恒一「もう転校して一か月近くたつんだから転校生は止めてよ」

猛「悪いな。ついクセで。それより姉ちゃんがもうすぐ帰ってくるから、
  見崎さんとかどうにかしてくれねえかな?」

恒一「残念だけどそれは無理な相談だね。
   今日は沙苗さんと一緒に寝る予定なんだ」

猛「そういうの勘弁してくれねえかな。実の姉の恋人が
  クラスメイトとか冗談きついぜ。俺にだって世間体があるし、
  分かるだろう?」

ここで恒一は鳴の脱がしたての下着を渡した。

猛「やっぱ中学生だとそういうのに興味深々だよな!!
  俺は邪魔にならないよう一階でテレビでも見てるから
  遅くならないうちに帰れよ?」

恒一(これで邪魔者はいなくなったか。さて、鳴をどうするか。
   さすがに一人にさせておくのは可愛そうかな?)

猛の部屋で置き去りにされた少女。なぜか目隠しもされていたので
不安でしょうがなかった。彼女からしてみればなぜ放置されてるのかも
分からない。新手の放置プレイかと思っていた。

いつ彼が戻ってきてくれるんだろうと心待ちにしていた。

恒一「ただいま。鳴」

鳴「ひゃはひはらふん……!!」

視界を奪われてても声で分かる。大好きな彼の声だった。
あの落ち着いたトーンが彼女を安心させていた。

それなりの間放置プレイを喰らってしまったので、
身体が燃えるように熱かった。

やっとこの苦しみから解放してくれる。
そう信じていたのだが、

恒一「まだ大丈夫そうだね」

鳴「ふぇ?」

恒一「鳴は淫乱だからまだ耐えられるよね?
   僕は沙苗さんのベッドでモフモフしに行くから、
   あと一時間くらいじっとしててね」

鳴「ふぇぇぇ!?」

『ふおおおおおおおおおおおおお!!』

一階からはフィーバしてる水野の声が聞こえる。
一人で盛り上がってる最中なのだ。

彼には鳴を直接犯す勇気などなかった。
だから下着を使って間接的に彼女を感じ、快楽を得てる。
水野猛はシャイだったのだ。

恒一「沙苗さんの匂い……くんかくんか」

ベッドに倒れるようにのしかかり、枕に顔を埋める。
沙苗の匂いに包まれるような気がして、だんだんと眠くなってきた。

人のベッドで寝ちゃダメじゃないかと自分をいさめても、
襲ってくる眠気には勝てない。隣の猛の部屋から鳴の
くぐもった悲鳴が聞こえてくるが、どうでもよくなった。

その三十分後、沙苗は帰宅したのだった。

沙苗は家の様子がいつもと違うことに気が付いた。

最初の異変はリビングだった。弟の猛が、
女性用の下着を顔に押し当てながらオナニーしていた。

下半身だけ露出した状態で何度も射精したらしく、
あたりは凄まじい匂いで包まれてる。

「ただいま」

「おう帰ってたのか姉ちゃん」

短い挨拶をすませ、二階に上がる。

「ふぁあぁぁぁぁ……ひゃはひばらふぅん……!!」

異変は猛の部屋でも起きてた。病院で逮捕されたはずの女の子が、
すまきみたいに縛られて誰かの名を呼んでいた。
足が開かれた状態で固定されてるのでアソコが丸見えだった。

沙苗は今日、久しぶりの定時あがりだった。
ここ最近仕事が多くて疲れてるので、幻覚でも
見たのだろうと考えることにした。

少し寝ようかと思って自分の部屋に行く。

全裸の恒一がベッドで寝てるのを確認し、呆然とした。

まるで自分の部屋のようにくつろいでおり、
邪気のない顔で寝ていた。なぜ服を着てないのか
気になったが、今はどうでもよかった。

沙苗(恒一キュンの寝顔……)

彼女の顔は、猛獣のそれだった。
いずれ狩ろうと思った獲物が、自ら罠の中に入ってきたに等しい。

沙苗も服を脱ぎ、ベッドに入る。
近くで恒一の寝顔を観察することにした。
たとえ変態の不法侵入者でも、やはりイケメンだった。

>>1とは何だったのか…

沙苗「恒一君……まだ寝てるの?」

ツンツンと頬っぺたをつつく。

恒一「う……ん?」

沙苗「あはっ。ちょっとだけ反応があった」

無邪気な子供のようにしか見えない恒一が、
実は自分の下着を盗んでたと知ったらどう思うだろうか。
沙苗には知る必要のない世界だった。

恒一「あっ沙苗さん。おはようございます」

沙苗「今はもう夜だけどね」

恒一「よる……? そうか僕は沙苗さんの部屋で寝ちゃったんだっけ」

お互いじーっと見つめあう。すると
二人とも裸だったので一瞬だけ恥ずかしくなった。

沙苗「恒一君……その……しよっか?」

恒一「はい。喜んで」

どちらともなくキスが開始された。
ベッドを軋ませ、何度も体勢を入れ替えながら
唇を重ね合わせた。

一度は恒一が上になり、沙苗をリードしようとしたが、
やはり経験が足らなかった。

沙苗「いい子ね。もっと気持ちよくしてあげる」

頭を撫でられ、頬にキスされてからイチモツを撫でられる。
そこはすでに爆発寸前だった。細い女性の指で触られただけで
ロケットみたいに飛んでいきそうだった。

「…………ぅん」
放課後の誰もいない教室で恒一と鳴は二人だけいた。鳴はどこかのぼせた面持ちで前屈みで椅子に座り、恒一は鳴の後ろに立ち彼女の髪を櫛でといていた。
「…………ぁん」
さっきから恒一が鳴の髪をひと房ほど手を添え櫛で流すたびに彼女は嬉しそうに喘ぐ。左手で高鳴る胸を押さえ、右手は両太股の間に伸ばしている。瞳を潤ませ、熱っぽい吐息、時折電気が走ったように小刻みに体を震わせている。
鳴のしなやかで細い髪に触れるたびに恒一もまた気持ち良さそうに顔をほころばせる。髪を添える指がたまに鳴の頭皮に触れると、まだ誰にも触れさせていない彼女の秘部に触れている感がして恒一の一部を熱くする。
「…………うっん、あっ」
とうとう鳴は背中を仰け反らせ、口の端からだらしなく唾液を垂らす。彼女の右手の指は濡れおり、左手は服の中突っ込ませだいぶ着崩れている。
恒一は鳴の耳の裏を甘噛みし、囁いた。
「ほしゅ」と

沙苗が口を大きく開け、恒一の分身をくわえた。
ねちっこい舌と唾液の感触だけですぐイキそうになってしまう。

沙苗のテクはさすがだった。それに加えてナースに
世話してもらってるというのが、恒一にとって最高のシュチュエーションだった。
幼いころに母を亡くしたため、甘えられる存在が欲しかったのだ。

恒一「ごめんなさい沙苗さん……僕……もうっ……」

沙苗「我慢しなくていいのよ。いっぱい出して?」

強い刺激が電流のように身体を駆け巡り、欲望を沙苗にぶちまけた。
沙苗の唇を見てると、引き寄せられるような気がして不思議だった。

彼女の話す言葉の一つ一つが、恒一を興奮させた。

沙苗「今度は私のも舐めてよ」

恒一「んぐっ?」

射精後の疲れから、あおむけに寝ていた恒一の上に乗ってきた。
顔面騎乗だった。頭が豊満な太ももに挟まれる。
むわっとする女の匂いで鼻が満たされた。

愛液を垂らしてるやらしい女のアソコがすぐ目の前に会った。

沙苗「舐めて恒一君」

恒一「……はい」

舌をすべらすとピチャピチャと卑猥な音が響く。
次々にあふれ出てくる愛液が恒一の顔を少しづつ汚していった。

調子に乗った恒一が腕を伸ばし、無防備だった乳房に触れる。
触ったことのないほど柔らかい感触だった。いろんな角度から
触ってみる。強くしたり弱く握ったりすると自在に形が変わる。

固くなってる乳首をつまむと、沙苗の口からせつない喘ぎ声が漏れた。

首まで真っ赤に染めて喘ぐ沙苗は美しかった。
同級生の少女たちにはない大人の魅力がそこにあった。

一時的にナヨナヨしていた恒一のアソコは再び力を取り戻す。
収まるべき場所を探して元気に主張していた。

恒一「もう我慢できません!!」

沙苗「きゃ……」

クンニを止めて沙苗を押し倒した。
足を開かせ、一気に挿入を始めてしまう。

若き情熱に身を任せ、最後まで突っ走るのである。

沙苗「あっ……ちょっ……まってっ……あっ……」

猛烈な勢いのピストンに抗議の声を上げる沙苗。だが勢いは止まらない。

沙苗「んあっ……やあぁっ……待ってってばっ……はげしすぎっ……!!」

彼女の奥まで差し込まれた恒一の分身。休むことなくピストンされ、
沙苗は休まる暇もない。呼吸も乱れ、開いた口からはよだれがこぼれる。

揺れ続ける身体に合わせて乳房も揺れた。

恒一「沙苗さん……素敵です……」

沙苗「ああっ……んああっ……こんな強引なのっ……だめなんだからっ……!!」

今の恒一には沙苗の声など耳に入ってなかった。
ただ獣のように行為に没頭するだけ。

人間の本能とはこういうものだ。彼はただでさえ災厄の中を生きている人間。
つねに死と隣り合わせにいた人間は、生への執着心が強い。

エロスは生の根源だった。

その後。恒一は二回戦まで終えてようやく満足した。
初めての経験にしては激しいプレイだったと回想した。

何気なく家に帰ったら怜子さんに怒られたが、
友達の家で遅くまでゲームしてたと嘘をついておいた。

その日はぐっすり眠れたのだが、朝起きて何か忘れてることに気が付いた。

恒一「あっ、鳴のことすっかり忘れてたよ。あの後ちゃんと家に帰れたかな?」

鳴「私なら無事に帰ったよ。水野君のお姉さんが縄解いてくれたの」

恒一「そうなんだ。今日はずいぶん朝早い登場だね。まだ五時半だよ。
   鳴も一緒に朝ごはん食べていく? どうせご飯はまだなんでしょ?」

鳴「そうね。ご一緒させてもらおうかな」

朝食の席にて、当たり前のようにいる恒一の同級生に
驚愕した怜子だが、これも恒一が適当に嘘をついて誤魔化すことに成功した。

鳴「榊原君。あーんして」

恒一「しょうがない奴だな。ほら。あーん」

鳴「もぐもぐ」

恒一「おいしい? よく噛んで食べるんだよ」

鳴「おいしい。これって榊原君が作ったの?」

恒一「うちのおばあちゃんだよ。けっこう味はいいよね」

バン!!

何が起きたのかと思って驚いたことろ、玲子が机を叩いた音だった。
叩いた音というより、大砲のような轟音だった。

恒一「れいこ……さん?」

怜子「ごめんなさい。最近疲れがたまっててイライラしてるのよ。
   たまに誰かを刺したくなるわ」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

時間なので風呂に入ってくる。保守ばかりさせてすまん

恒一と鳴は戦慄し、黙って食事をすることにした。
言うまでもなくいい年して怜子は独身である。

彼女の前でラブコメするのは誰が見てもタブーだろう。
沈黙の食事会が終了し、恒一と鳴はこっそりと家を出た。

朝起きたのが早かったのもあって、まだかなり早い時間だった。

恒一「鳴。最近は神出鬼没になったね」

鳴「いないものに任命される人って影が薄い人だけだからね」

恒一「関係あるの?」

鳴「大あり。ようは忍者みたいな人じゃないと任されないのよ」

恒一「ふーん。よく分からないけどいいや」

一見すると学生カップルそのもの。
学校の門に差し掛かると、間が悪いことに多々良と遭遇した。

多々良「榊原君……? 見崎さんのこと
    ストーカー呼ばわりしてたわりには仲良さそうですね」

鳴「当然でしょ。だって私たち恋人同士だもん」

多々良「!?」

恒一「落ち着いて聞いて多々良さん。
   そんな事実は一切ないから」

鳴「冗談じゃないよ? 本当に私と恒一君は昨日愛し合ったんだから。
  もう多々良さんの出る幕はないの」

多々良「な……」

恒一「はぁ……なんでこうなるのかな……」

話がややこしくなってるのは確かだった。鳴が朝から
不法侵入してる時点である程度の予想はできてたので、恒一は奇策に出た。

ダダダダダダダダッ シマウマのごとき疾走である。かなりの速さだ

教室には有田と中尾がいた。
さすがに始業の三十分前なので生徒の数は少ない。

中尾「おう榊原。昨日は酷い目にあったぜ」

恒一「おはよう中尾君。よく生きてたね」

中尾「みねうちだったからなんとかな。
   まだ背中のあたりが痛むが生活には支障ない」

恒一「何よりだよ。久保寺先生は今日来るかな?」

中尾「昨日教室で脱糞したばかりだからな。
   さすがに今日は休むんじゃないか?」

何気なく女子の方を見ると、有田さんがファッション雑誌を
読んでるのが分かった。女の子らしい可愛い雑誌だった。

恒一(へえ。有田さんも悪くないな……)

彼は何を想ったか、有田に話しかけてしまった。

恒一「おはよう有田さん。今日もいい天気だね」

有田「……えっ。は……はい。そうですね。
   でもどう見ても天気悪そうな気がします。
   午後から雨になるそうですよ?」

恒一「そうなのかい? 有田さんは将来天気予報の
   アナウンサーにでもなればいいよ。
   今読んでるのってファッション雑誌?」

有田「毎月買ってるんです。これからの季節だと
   キャミソールとかいいですよね」

恒一の脳内で、キャミを着た有田が浮かんだ。
なぜか有田は雨の中膝を抱えてうずくまっていた。

何かにおびえたような表情をしていて、誰かが来るのを
待ってる。その不安そうな顔と薄着が妙にマッチしていて、
恒一の中に危険な何かを生み出そうとしていた。

有田「さっきからぼーっとしてますけど、どうしたんですか?」

恒一「そのキャミソール、有田さんにぴったりだと思う」

有田「ええ!? 本当ですか!!」

彼が指差したのが、まさに有田のお気に入りの商品だった。
今年の夏休みの旅行用に買おうと思ってたのだ。

恒一「僕が保証するよ。有田さんには絶対似合う」ニコ

どんな女でも一瞬でとりこにするイケメンスマイルだった。

有田(はぅぅ……そんな目で見られたら私……)

中尾(なんだよこの甘ったるい雰囲気。榊原爆発しろよ)

多々良「今度は有田さんが好きになったんですか?」

恒一・有田「え?」

突如割り込んできた多々良に言葉を失う有田と恒一。
多々良は、野生動物のように女を物色する恒一のことが許せなかったのだ。

多々良「榊原君って見境ないんですね。本当は誰が一番好きなんですか?」
  
恒一「どうしたの多々良さん。もしかして怒ってる?
   見崎は一緒じゃなかったの?」

多々良「見崎さんなら勝手に榊原君の彼女を
    名乗ってましたから、その辺に埋めておきましたよ」

恒一「」

すでに今日の災厄が始まろうとしていた。ただしこの場合は人災のほうが
正しいかもしれない。いずれにせよ、多々良恵という人間から
計り知れないほどの殺気を感じていた。

有田「あのー、多々良さん?」

多々良「あなたには訊いてません。黙っててください」

有田「ひぃっ」

有田が小動物のように縮こまるのに五秒もかからなかった。

中尾(いいぞ。その調子でやっちまえ多々良)

密かにエールを送る中尾は完全な脇役だった。

恒一「多々良さん。落ち着いて話をしよう。
   僕はクラスメイトと親睦を深めてただけじゃないか。
   まさか有田さんをナンパしてたとでも思ったの?」

多々良「……榊原君はどうしてそんなに鈍いんですか」

恒一「えっ」

少女の怒りの意味を、鬼畜に理解出るわけなかった。

鳴「恒一君なら私の旦那だから大丈夫」

多々良「生きてたんですか見崎さん。
     どうやってあそこから脱出したんですか」

鳴「鳴ちゃんの可愛さの前ではトラップなんて無意味なのです☆」

多々良(鈍器のようなもので頭を殴りたいです)

恒一(ぶほぉ。見崎マジ美少女)

有田(ブリッコうざいです)

中尾(赤沢派なのにフルボッキしました)

と反応は人それぞれだったのだが、多々良だけ相当やばい。
すでにブチ切れ寸前である。彼女は恒一に気があるから、
なんとかして自分に振り向かせようと思っていたのだ。

赤沢「おはよう。朝から何の騒ぎよ」

中尾「おお、赤沢。訊いてくれよ。榊原の奴が多々良さんと
   見崎で二股かけてるそうなんだよ」

赤沢「なんですって? それは本当なの恒一君?」


恒一「なんのことだかさっぱり分からないな。
   僕は誰とも付き合ってないのに」

多々良「そうですね。見崎さんがストーキングしてるだけです」

鳴「だからストーカーじゃないってば。どっちかというと正妻?」

中尾「おい榊原。ハーレム禁止条例でも作ってやろうか?
   リア充は爆発しろっつの」

赤沢「うーん、誰の言ってることが正しいのか分からないわね」

有田「こういうのを茶番っていうんですよね。
   もうすぐ先生が来るから、そろそろ席に着いたらどうですか?」

赤沢「そうね。この人たちと話してたら頭が痛くなりそうだわ」

ちょうどチャイムが鳴ったので、一同はそれぞれの席に座る。
事件はこの後起きたのだった。誰もが恐れていた災厄だった。

久保寺「おはようございます皆さん。私は以前からクラスの決まりごとは
    守るようにと言ってきました。なのに皆さんの態度といったらなんですか?
    まったく学生としての節度を守っていません。ちなみにこれは一部の生徒
    達に言っています」

いきなり始まった説教に全員が面食らった。
温厚な久保寺が怒るのは珍しいことだった。

久保寺「松井さんや金木さんを筆頭に、クラス内で公然とラブコメをする人たちです。
    榊原君や見崎さんも万死に値します。あなたたちは周囲の迷惑を考えたことが
    あるんですか? 人のラブコメする姿なんて犬も食わないような
    くだらないものなのですよ?」

赤沢「あの……先生。さっきから言ってる意味がよく分かりません」

久保寺「分からなくてもいいです。とにかく私はもう我慢の限界です」

唐突に果物ナイフを取出し、「イヴァエアアアアアアアアアアア」
などと叫びながら襲いかかる久保寺。どう見ても尋常じゃない。

風見「うわあああああ!! こっちに来るぞ!!」

前島「なんなんだよこれはあああ!!」

教卓から近い位置にいる生徒に、手当たり次第に斬りつけてきた。

風見と前島らはなんとか回避し、廊下へ逃げてしまった。
後ろにいる生徒らはまだ状況が把握できておらず、呆けてる。
振り回したナイフが猿田の頬をかすった。

猿田「ほわああああ!! ぞなああああああああ!!」

王子「大丈夫か猿田!!」

猿田は死ぬほどの衝撃を受けていたが、
実際はかすり傷程度だった。

久保寺は次に松井金木カポーに狙いをつけたが、
インターネットの光回線のような速さで逃げられてしまった。

彼女らの席は廊下側なので逃げるのが容易なのだ。
ならば反対の窓際ならどうかと考えた。

「ヴゃやああああああああああああああ!!」

人間離れした雄叫をあげながら斬りかかる久保寺。
かつての優しい教師としての面影は消えていた。
いったい何が彼をここまで変えてしまったのだろうか。

有田「いやあああ!! こっちに来るよおぐりん」

小椋「うそでしょ……ここじゃもう逃げ場がないよ……」

教室内はパニックを起こした生徒でごった返してしていた。
机や椅子がその辺に飛び交い、まともに通行できそうにない。

狂人の襲撃を避けるには最悪の環境だ。
窓際の生徒らはまさに閉じ込められたようなものだった。

ベランダから飛び降りれば何とかなるかもしれないが、
そんな勇気のある者はいない。

ちなみに、赤沢と鳴はとっくに逃げだしていた。
先生がナイフを取り出した瞬間に廊下へ飛び出たのだ。

「ヴぁああああああ!! リア充死ねえええええええええええええ!!」

有田「えええ? 私リア充じゃないよおお!!」

鈍い輝きを放つナイフは、有田に向けて振り下ろされようとしていた。
あと数センチで彼女の脳天に刺さるはずだったそれを……

小椋「うわあああああ!! 松子に手を出すなああああ!!」

おぐらタックルで防いだ。十分な助走をつけたタッコー
(もしくはタコー)の威力は、先生を吹き飛ばしてしまった。

久保寺「う……ぐひぃ……」

しかし、彼はまだくたばらない。すさまじい勢いで教卓に後頭部を
ぶつけたのだが、奇声を発しながらまどろんでいる。
あと三十秒もしないうちに復活するだろう。

小椋「今のうちよ。早く逃げましょう」

有田「ありがとうおぐおぐ。ちっこいのに意外と強いんだね」

小椋「うっさいわね。ほら佐藤さんも行くわよ」

佐藤「ふぇぇ」

教師がダメージを負ってる間に全員が廊下へ脱出した。

小椋「はぁはぁ……酷い目にあったわね。
   昨日といい、今日といい、みんなどうしちゃったのよ」

有田「もう私たちダメなのかな……」

佐藤「ふぇぇ」

恒一「大丈夫だよ。先生がおかしくなったのだってきっと
   災厄のせいだ。今年は僕がいるから安心してくれ。
   誰も死なせたりしないよ」

小椋「口ではなんとでも言えるわね」

有田「でも榊原君に励まされると不思議と元気が出るね」

佐藤「ふぇぇ。後ろから先生が迫ってきてますよ?」

彼女の言うとおり、教室の扉をぶち破った久保寺が突撃していた。

『いヴェあああああああああああああああああああ!!』

迫りくる悪漢の恐怖。この迫力は体験した者にしかわからないだろう。
強盗程度の生易しいものではない。本気で殺しに来る相手の
目、凶器、殺気、どれも並大抵のものではない。

慣れてない者なら目が合っただけで戦意を喪失するだろう。
先ほどの小椋のタックルは相当見事なものだった。

杉浦「ちょ……この状況やばくない?」

望月「もう怜子さんのパンツが見れなくなるんなんてやだよ僕?」

水野「俺は日課の見崎さんの盗撮が……」

恒一「あーー!! みんなここは僕に任せて逃げて!!
   ここで固まってたら全員殺されるよ!!
   僕ならいつでも死ぬ覚悟はできてる!!
   他の校舎に行って先生に報告してくれ!!」

この恒一の号令により、一同はまとまった行動を起こした。

全員が散らばって各方面へ助けを求めに生き、
傷を負った生徒を保健室などへ運びに行った。
携帯を持ってる生徒は速やかに通報した。

今さらで恐縮だが、この時点で号令をかけるのはクラス委員だろう。
赤沢はすでに遠くへ逃亡しており、行方不明だ。クラスのことは
どうでもいいのだろうか。鳴も同様に姿をくらましてる。

風見「はぁ。どいつもこいつもクズばっかりでやになるね」

恒一「君も残ってくれたのか風見君」

風見「まあね。赤沢さんが薄情だったから少しでも活躍しようかなって」

恒一「さすがはクラス委員。尊敬するよ」

彼らは久保寺が繰り出すナイフ攻撃を巧みにかわしながら会話していた。
まるでどこかの組織(KGB)で訓練されたかのような動きである。

小椋「私もいるわよ」

恒一「小椋さんじゃないか!! 逃げなくていいのかい?」

小椋「どうせ逃げてもどっかで災厄に巻き込まれそうだしね。
    今は目の前の問題を解決してやるわ」

結託した三人の力は強かった。相手は大の大人で武器を持っていたが、
風見に急所を突かれてついに倒される。しかし楽勝とはいかなかった。

恒一「大丈夫かい小椋さん?」

小椋「いたた……ちょっとしくじっちゃったわ」

膝のあたりに切り傷があり、出血してる。恒一は、罪のない女の子を
傷つけた久保寺先生に怒りを覚えた。気絶してる先生の頭を蹴ったのだった。

恒一「すぐ保健室に連れて行こう」

風見「そっちは榊原君に任せるよ。
   僕は行方不明になった赤沢さんを探しに行ってくる」

恒一「ああ。頼んだよ。じゃあ行こうか小椋さん」

小椋「ちょ……お姫様抱っこしなくていいわよ!!」

恒一「怪我してるんだからしょうがないだろ?
   運びにくくなるから大人しくしててくれ」

保健室には軽傷を負ったクラスメイト達が何人かいた。
空いてるベッドを見つけたので、そこに小椋を座らせることにした。

恒一「降ろすよ小椋さん?」

小椋「は……早くしなさいよ。恥ずかしいでしょ」

恒一(なるほど。ツンデレってやつか)

ベッドの上に降ろし、足の具合を確かめる。
切り傷は思ったよりも深くはなかったが、けっこう血が出てる。
まずは血を洗って消毒しなければならない。

恒一「ちょっとしみるけど我慢してね?」

小椋「ひゃあぁあ!!」

恒一「消毒しただけで大げさだなぁ」

小椋「う……うるさいわね。ちょっとびっくりしただけよ」

勝気な感じの少女で、多々良や有田とはまた違ったタイプだった。
恒一にとってこういう女の子は新鮮だった。なんとなく
妹系の性格だと感じた。恒一の庇護欲がそそられる。

恒一の脳裏に、なぜか膝蹴りされて鼻血を出してる小椋が描き出された。
復活した小椋はナイフのようなものを手に取り、鳴に襲いかかろうとしてる。
正気を失い、変顔をした彼女の姿は哀れだった。

もし自分が彼女を救ってやれるのなら……。
なんでもしてあげたいと思ってしまった。

小椋「なにさっきからボケっとしてんのよ」

恒一「あぁ。ごめん。他の皆はどうしたのかなって思ってさ」

小椋「心配しなくてもこの程度でくたばる奴はいないわよきっと。
   うちのクラスって意外とタフだから」

恒一「伊達に災厄鳴れしてないよね。精神面だけなら
   全国でもナンバーワンだね」

どうでもいい話をしていたら、扉が開いて綾野が入ってきた。

綾野「由美、こういっちゃん、二人とも大丈夫? 生きてる?」

小椋「まだぴんぴんしてるわよ」

恒一「ちなみに僕のアソコもビンビンです」

お前エロパロ版で書いてた奴だろww

小椋「」

綾野「」

恒一「ごめんね。今のは冗談だから忘れて。
   綾野さん。他のみんなはどうしてるの?」

綾野「……すでに警察への通報はすんだから、あとは先生たちと
   協力して事後処理をすますそうだよ。あと赤沢さんは
   依然として行方不明だったんだけど、見崎さんは見つかったよ」

恒一「え? 鳴の奴どこにいるの?」

綾野「その……怒らないで聞いてね? 
   こういっちゃんの後ろにずっといるじゃない」

鳴「ハロー恒一君」

恒一「」

もう何度目になるか分からない背後霊パターンだった。
いつからいたのかとか野暮なことは聴くつもりはなかった。

最悪の場合、先生との戦闘中もずっとしがみついていた可能性もある。

>>268 書いてたけど全然人が来なくてがっかりだったぜ。
     小椋のエロはよく書けたと思ってたのに

さーて眠いんで今日はここまでだ。
読んでくれてありがとう。落としてくれても構わんよ

>>271
赤沢や鳴じゃないと人集まらないじゃんあのスレ

終わり方は考えてあるのか?

>>274
そうだったの? ずいぶん読者層がかたよってるな

>>275
このあと三神先生主導の合宿(全員強制参加ver)に
繋げてそこで猟奇殺人、あんどセックスを展開
適当なところで終わらせる予定だった

今日は体力的にもう限界ね。だって八時間くらい書き続けてんだよ?

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