歩「セラを精一杯愛でてみよう」(197)

歩「おはよう、セラ」

セラ「はい、おはようございます、今日も髪の毛がクソ虫の巣のように荒れ放題ですよ」

歩「ははは、朝から手厳しいな」

セラ「なら早く直してください、目障りです」

歩「ああ、でも朝ごはん作ってからな、ハルナたちももうそろそろ起き出す頃だろうし」

セラ「そうですか、それじゃあ私も手伝いましょうか?」

歩「え?…セラが?」

セラ「……分かっています、ただの冗談です、それに私だってクソ虫と一緒に台所に立つなんて考えられませんし…」

歩「いや、手伝ってくれると助かったんだけど……時間無いんだ、手伝ってくれないか?セラ」

セラ「!……分かりました…でも私とは1メートル程距離離して作業してくださいね」

歩「狭すぎだろっ!」

歩「それじゃあ俺は目玉焼きでも作っておくからセラは味噌汁作ってくれ」

セラ「私が…ですか?」

歩「ああ、俺もサポートには入るから、それにセラは作り方さえちゃんと直せばきっとおいしい料理が作れると俺は思うぞ」

セラ「……こんな朝からお世辞を言えるようになるなんて、クソ虫も案外進化しているのですね」

歩「いやお世辞じゃなく、本当にセラの料理はおいしいよ、俺が保障する」

セラ「………」

歩「ほら、セラ、そこから小さい鍋取ってくれ、それで味噌汁作るからさ」

セラ「…分かっています、私だって歩がお味噌汁を作っているところは何回も見ているので」

歩「そっか、それじゃあハルナが卵焼き作りに来るまで作り終わっててくれ、アイツは自分以外の奴が台所に居ると怒るからな、技を盗むなーって言って」

セラ「はい、それじゃあ歩も精々頑張ってください」ススス…

歩「あ…やっぱり離れるんですね」

セラ「………」トントントン

ハルナ「うわー!寝過ごしたぁー!」
歩「おお、おはようハルナ」

ハルナ「何やってんだよバユムー!起こしてくれないからお前の弁当作れないかもしんないじゃーん!」
歩「いやいや、まだ後30分ぐらい猶予があるからさ、頼めるか?ハルナ?」

ハルナ「ふふーん!この天才魔装少女ハルナちゃんに任せとけー!」タッタッタ
歩「おー、任せたぞー」

セラ「………」
歩「それにしてもどうしたんだよセラ、今さっきから全然動かないし話さないじゃないか」

セラ「…いえ、別に」
歩「?」

ユウ『何かあったの?』

歩「ああ、いやただセラと一緒に朝ごはん作っただけだよ」

ユウ『………』

ユウ『…マジ?』

歩「いやマジって……大丈夫だって、ちゃんと作れてるから」

セラ「………」
ユウ「………」

ユウ『分かった、期待する』
歩「おう、期待してハルナが作り終わるまで待っててくれ」

歩「それじゃあいただきます」

ハルナ「いただきまーっす!それじゃあ味噌汁から…」ズズ…

セラ「!……ど、どうですかハルナ?今日のお味噌汁は」

ハルナ「………」

セラ「………」ドキドキ

ハルナ「うまいっ!今日の味噌汁、何だかいつもと違う味な気がするけど歩が作ったのか?」

歩「いや、今日は俺じゃないよ、今日は…」

セラ「…私です」

ハルナ「おぉ!やるじゃん葉っぱの人!バユムが作るよりもうまいぞこれ!」

セラ「っ……はい、そうに決まっています、私がクソ虫に劣るわけがないので」

歩「……よかったな、セラ」

ユウ『よかったよかった』

歩「それじゃあ俺、学校に行くから」

ユウ『いってらっしゃい、今日は午後も熱いらしいからアイスクリームも買ってきて』

歩「っ!」

妄想ユウ「おにいちゃん、ユウ、なんだか今日体がとっても熱いの……おにいちゃん、ユウの体…ひ・や・し・て♪」

歩「う~ん、とってもちゅめた~いの買ってきてあげるぬぇ~」

セラ「早く行ってください、クソ虫がこの場に居るだけで空気が汚染されるというのに」

歩「はいはい、もう行きますよーっと」

ハルナ「ハルナちゃんはアイスはストロベリーなんだかんな!忘れんなよ歩!」

歩「おーう」

セラ「………」

歩「じゃ、いってきまーす」

ユウ『いってらっしゃい』

歩「あー…熱いのか…やっぱり夏は俺の天敵だな、太陽、いつかその座から引きずりだして…」

セラ「何を独り言を言っているんですか歩、気持ち悪い」

歩「?どうかしたのかセラ、あ、そういえばお前の分のアイスは何買ってくればいいんだ?」

セラ「…そんなことより……今日の朝のことを」

歩「朝?……ああ、それがどうしたんだ?」

セラ「いえ、ただ……改めてお礼をと思って…」

歩「お礼?いいっていいって、俺はほとんど何もしてないんだから、セラがうまいものを作っただけ、だろ?」

セラ「ですが……でも……」

歩「いいってセラ、それにお礼ならもっと料理上手くなって今よりももっと旨いもの食べさせてくれたら俺はそれでいいよ」

セラ「……仕方ないですね、いつまでもクソ虫如きに借りを作るのも癪なので…今日から私も台所に立つので、歩、早く帰ってきてくださいね」

歩「ああ、それでセラはアイスどうする?」

セラ「………」

セラ「…歩と同じもので……私は構いません」

歩「ってことがあったんだよ」

織戸「おいおい、何着実に完全ハーレム計画進めてんだお前は、いやもうハーレムなんだけども」

歩「はいはい、でもどうしようか、一体どういうのを教えればいいのか」

織戸「まあセラちゃんはバイオレンスなものさえ混ぜなければ全然おいしいと……思うからな~」

歩「そうなんだよな、料理初心者って訳でもないから…うーん…」

トモノリ「何悩んでんだ?相川」

歩「ん?いや、セラが料理始めるから何から教えてやろうかと思ってさ」

トモノリ「セラフィムが?」

歩「まあな、あ!トモノリの場合、初心者っぽいけど初心者じゃない奴にどういう料理を教える?参考にしたいんだけど」

トモノリ「うーん…俺的には…」

帰路
歩「インスタントラーメンって……流石にセラでもそれぐらい作れるだろ」

トモノリ「いやでも…セラフィムならインスタントラーメンも怪しいとオレは思うんだけど…」

歩「……確かに」

トモノリ「でも頑張ってくれよ相川、セラフィムもきっと今よりも美味しい料理が作りたくてしょうがないはずだから」

歩「ああ、俺の出来る範囲で頑張ってみるよ、ありがとな、トモノリ」

トモノリ「……オ、オレも…毎日相川のために料理……が、頑張るからな!それじゃ!」

歩「……はは、俺のため…か」

歩「………」

歩「女の子にそんなこと言われるのってやっぱりいいよなぁ~」ニヤニヤ

歩「いやあ~、最高にハイな気分だぜ~」ニヤニヤ

セラ「街中をニヤニヤしながら歩くなんて、歩はクソ虫以上にクソ虫ですね」

歩「セ、セラ!?」

セラ「……全く」

歩「それでセラはどうしてこんなとこに?」

セラ「……今夜のために材料の調達を」

歩「ああそっか、そういえば今、冷蔵庫は空だったからな、助かったよセラ」

セラ「…別に、女の子とイチャイチャしながら約束をすっぽかす歩に褒められてもうれしくありません」

歩「す、すいません……ってアレ?俺がトモノリと一緒だったこと何で知ってるんだ?」

セラ「………メイル・シュトロームの邪魔をしないように…ではなく、歩が変態行為に走らないように監視していただけです」

歩「走るか!…でもゴメンな、早く帰るって約束…と、アイスも買うっていう約束も」

セラ「別に私はなんとも…それよりも早くアイスクリームを買って帰ったほうがいいと思いますよ」

歩「そうだな、それじゃあちょっとそこまで付き合ってくれるかセラ?」

セラ「……しょうがないですね、それでは私は飛びますので鈍重でクソ虫な歩はその四本足でちゃんと着いてきてくださいね」

歩「いや二本足だし!というか飛ぶな!人目につくだろ!」

セラ「ただの冗談です、それぐらい判別してください歩」ニコッ

歩「ただいまー」

ハルナ「おっそいぞー!歩ー!ストロベリー!」

歩「あー、はいはい、ほらちょっと溶けてるかもしれないけどな」

ハルナ「おぉ!バーゲンダッツじゃん!確かに溶けてるっぽいけどしゃーなしだな!」タッタッタ

歩「走ると転ぶぞー」

セラ「ハルナは歩のように鈍臭くないので心配ないでしょう」

歩「……何だか今日は毒舌の量がすごいな」

セラ「……気のせいでしょう」

歩「気のせいとは思えないんだが」

ユウ『おかえり、アイスは?』

妄想ユウ「おにいちゃんおっそーい!…もう体が火照ってしょうがないよぉ~」

歩「おっけおっけー、お兄ちゃんがその火照り、止めてあげるからね~」

セラ「………」

セラ「それじゃあ早く作りましょう歩、ハルナ達を待たせるわけにもいけないので」

歩「そうだな、それじゃあ何を作ろうか」

セラ「作るものはもう決まっています…これです」ドンッ

歩「ん?野菜炒め?……それでレシピまで準備したのか」

セラ「はい、やるからには本気で挑む主義なので」

歩「そうですか、それじゃあ作ろうか、セラ」

セラ「はい、ご指導お願いします」ペコ

歩「!…セ、セラがこの俺に頭を…!?」

セラ「確かにクソ虫と同類の歩に頭を下げるのは恥以外の何者でもありませんが……教えてもらう以上、こういう礼儀は大切かと思いまして」

歩「……そっか…俺からもよろしくな、セラ」

セラ「……はい」

ユウ「………」

ユウ『二人共、今日はとっても仲良し』

ハルナ「?何言ってんだ、根暗マンサー?」

歩「正直、レシピ通りやれば大丈夫なんだけどな」

セラ「……それが出来ないので今まで…」トントン

歩「…悪い……って、塩胡椒ないな」

セラ「塩胡椒?安心してください歩、それに代わる物はもう用意しています」

歩「あ、そうだったのか…で?その代わる物って?」

セラ「これです」スッ…(火薬)

歩「うん、炒めた途端ボカンだな」


セラ「今さっきのは冗談です……本気にしないで下さい」

歩「………」

歩『冗談と思えません』

セラ「何故ヘルサイズ殿の真似をするんですか気持ち悪い」

歩「いや!だって何か間違ったこと言えばその火薬でボカンとされるから!」

セラ「そうですか、確かにこれなら歩の体にも効きそうですね」ス・・・

歩「嘘ですすいません!冗談をいつまでも引きずってごめんなさい!」

セラ「……分かればいいんです…さあ、続きをしますよ」

セラ「………」ジュッジュ

歩「よし、ここで塩胡椒で味付けだな」

セラ「……はい」サッサ…

歩「うん、ちゃんと作れてる、やっぱりセラは料理うまいな」

セラ「…そんなことありませんよ、私だってちゃんと自覚しています、料理が下手ということくらい」

歩「何言ってるんだよ、こうやって作れてるんだから上手いに決まってる」

セラ「ですが…私が作る料理の味はいつもダメで……歩だって本当は分かっているのでしょう?」

歩「確かに味はアレかもしれないけど、料理は味だけで上手いかヘタかじゃない、他にも…」

セラ「……今日は妙に私のことを擁護しますね、何か変なものでも食べました?」

歩「いや、俺は本当のことを言ってるだけで…」

セラ「ああ、そういえば食べていましたね、今日私が作ったあのお味噌汁、やっぱりおいしくありませんでしたか」

歩「!今さっきからどうしたんだよセラ!お前のほうがおかしいぞ!」

セラ「……おかしいのは歩のほうです」

歩「いやお前のほうだ、どうして今さっきから自分のことをそんなに悪く言うんだよ」

セラ「別に、私のほうこそ真実を言っているだけです」

歩「違う!何度も言うようにお前の作る料理は旨い!俺が保障する!」

セラ「っ…そんなわけありません!……分かっています、私はハルナやメイル・シュトローム…そして歩のように料理は上手くないってことを…作り方もおかしいっていうことを」

歩「ああ、作り方はおかしいかもしれない、けど…」

セラ「もう止めてください!」

歩「っ…」

セラ「どうしてそんなことを言うんですか…なぜ私なんかにそんな言葉をかけるのですか…」

歩「……セラ」

セラ「嬉しいですよ…確かにとっても嬉しいです…たかがクソ虫に褒められるだけで私はとっても嬉しいです……でも同時に…」

歩「……同時に?」

セラ「……何でもありません…歩、申し訳ありませんでした、このようなつまらないことで熱くなってしまい……頭を冷やしてきます」

歩「………」

ハルナ「気づいてたのか、葉っぱの人」パクパク

歩「……何をだよ」

ハルナ「料理スキルの下手さに」パクパク

ユウ『でも自分では上手いと言ってた』パクパク

ハルナ「ふーん、何で気づいたんだろうな」パクパク

歩「………」

ハルナ「それよりその葉っぱの人はどうしたんだよ、全然帰ってこないし」パクパク

歩「………」

ユウ『一人になりたいときもある』

歩「……ご馳走様」

ハルナ「?…歩もう食べ終わったのか?」

歩「ああ、ちょっと食欲無くてな……セラが帰ってきたら呼んでくれ」

ユウ「………」

サラス「ほぉ、そんなことがあったのか」

セラ「ええ…それで居づらくなり…」

サラス「フッ、セラフィム、お前はそれでも吸血忍者か?」

セラ「……こんなことで挫ける私は吸血忍者として失格ですか?」

サラス「ああ、愛する男の言葉を真正面から立ち向かわない愚か者が吸血忍者の資格があるわけがない」

セラ「……!?あ、愛する男…ですか?」

サラス「そうじゃないのか?」

セラ「あ、当たり前です!誰があんなクソ虫を…」

サラス「ふむ…あの美尻を前に好意的感情がないとは…」

セラ「尻目当てなのはあなただけかと思いますが…」

サラス「だがセラフィム、お前は嬉しかったのだろう?マイ・ダーリンの言葉に」
セラ「……ええ、嬉しかったですよ、たとえ嘘だとしても」

サラス「それならそれでいいはずだ…なのに何故反発した?」

セラ「何故といわれても…」

サラス「……嘘か…私のマイ・ダーリンが嘘を言うとは思えないがな」

セラ「いえ、立派な嘘です……この私の料理が美味しいわけがないのですよ」

サラス「それならお前は今日作ったその味噌汁を飲んでどう思った?」

セラ「……いつも以上に良かったです」

サラス「そういうことを聞いてるわけではない、美味か否かだ」

セラ「………おいしかったです」

サラス「なら美味なのだろう、それを何故自分で否定する?」

セラ「……分かりません…ですが、否定してしまうのです」

サラス「………」

セラ「………」

サラス「分かった、今日は好きなだけここにいろ……だが踏ん切りがついたら帰ることだな、マイ・ダーリンの元に」

セラ「はい…ありがとうございます、サラスバティ」

ハルナ「何だか今日の葉っぱの人と歩、変だったな」

ユウ『そういう日もある』

ハルナ「そういう日?…うーん…流石に天才美少女ハルナちゃんにも分からないな~」

ユウ『分かったらハルナは本当に天才だと思う』

ハルナ「いや、今の時点でハルナちゃんは天才だっての!」

ユウ『そうだね、でも知らないこともたくさんあると思う』

ハルナ「なっ!根暗マンサー!それはこの天才魔装少女ハルナちゃんへの挑発か!?」

ユウ『む?やるか?』

ハルナ「おっしゃぁ!今日はもうすぐ寝る時間だけどしゃーなしだな!やるぞぉ!」


ハルナ「なっ!そこで空中コンボはなくねぇ!?」

ユウ『攻略wiki最高すぎる』


歩「おはよう、ユウ」

ユウ『おはよう』

歩「…その…サラは?」

ユウ『分からない』

歩「……そっか」

ハルナ「おーっい!歩ぅー!今日はちゃんと早く起きれたぞー!」

歩「ああ、おはようハルナ」

ハルナ「しゃーなしだな!それじゃあ今日の卵焼き弁当は通常の3割り増しで作ってやる、特別だかんな!歩」

歩「ありがとな……ハルナ」

ハルナ「おお!だから早く元気出して葉っぱの人と仲直りしてくれよな!」

歩「………ああ」

ユウ「………」

ユウ『頑張って、歩』

歩「……そうだな、それじゃあちょっくら行って来るわ」

ユウ『応援してる、二人共』

ハルナ「ハルナちゃんのほかほか卵焼きができるまでだかんな!早くしないと焦げ卵焼き100個一気食いの刑だかんな」

歩「そっか…じゃあ行って来る!」

ユウ『行ってらっしゃい』


サラス「どうだ?寝たらスッキリしたか?」

セラ「はい…ありがとうございました…」

サラス「まだ浮かない顔だが?」

セラ「もう大丈夫です…申し訳ありませんでした、サラスバティ、あのようなつまらない事でこのような迷惑を…」

サラス「何、気にするなセラフィム、お前も女だ、致し方なかろう」

セラ「!で、ですから私は歩のことなんて…」

サラス「フッ…だがなセラフィム、私は決してお前にマイ・ダーリンのあの美尻を渡すつもりはないぞ!」

セラ「……もういいです…ありがとうございました」

サラス「フフ…さすがはマイ・ダーリンだ、あのセラフィムまで魅惑の呪いをかけるとは…」フフフ…

歩「はぁ…はぁ…」

セラ「それで私を探してここまで?」

歩「ああ…やっぱりここに居たのか…はぁ…コスプレ喫茶」

セラ「はい、今日はサラスバティにここで寝泊りさせてもらいました」

歩「はは、そっか…そりゃよかった…」

セラ「……それにしても歩こそ、どうしてそのようにクソ虫のように這いつくばっているのですか?」

歩「そりゃあ…クソ虫だからかもな」

セラ「ちゃんと説明してください、あなたにはクソ虫と違ってちゃんと人の言葉を喋れる口があるはずでしょう?」

歩「いや俺ゾンビっすから…太陽の下はな…ハハハハハ」

セラ「……まさか私を探してるときはずっと太陽の下を?」

歩「ああ…日光から隠れながらじゃ探せるわけないし…」

セラ「………そうですか…それはご苦労でしたね」

セラ「本当に……ご苦労様です」ニコッ

歩「ハルナ達も心配してたぞ?いきなり外に出て帰ってこなかったんだからな」

セラ「そうですか……でも流石に何も言わずに出て行ったのは間違いでしたね」

歩「ああ…でもごめんなセラ、俺も言いすぎたよ」

セラ「……いえ、言い過ぎたのは私のほうです、歩の気遣いまで無碍にして」

歩「そんなことないって、俺の言葉がセラを傷つけたのは事実なんだからさ」

セラ「…違います、傷ついてなんていませんよ……逆に嬉しかったです」

歩「………」

セラ「でも私は…その…ク、クソ虫に褒められるということに慣れていなくて…」

歩「………」

セラ「ですからあのように取り乱して……歩…怒ってもいいのですよ?」

歩「怒るわけないって」

セラ「……本当ですか?」

歩「本当だって、だから早く帰ろうぜ、ハルナが朝飯作ってるし」

セラ「…はい」

ハルナ「お!帰ってきたな二人共!ハルナちゃん特製卵焼きはとっくに130個目に突入してるぞ!」

歩「いやいや作りすぎだ!一体俺はどれだけの卵焼きを弁当に詰めてもっていかなきゃならんのだ!」

ユウ『おかえり』

セラ「はい、ご心配をおかけして申し訳ありませんでした、ヘルサイズ殿」

ユウ『仕方ないよ、そういう時だってあるもの』

セラ「……ありがとうございます、こんな私のことを…」

ユウ『でも歩はもっと心配してたから、ちゃんと謝って、自分の気持ちを言ってね』

セラ「!?ヘ、ヘルサイズ殿までそのようなことを!?」

ユウ『?』

セラ「っ…わ、私がクソ虫相手に……冗談じゃありません!…全く」

ユウ『???』

ハルナ「というか歩、今さっきからフラフラしてるけど何やってんだ?新しいダンスか?」

歩「い、いやな…何だか体が重くってさ…それに頭も…」フラフラ…パタン

ハルナ「!お、おい歩!しっかりしろ!どうしたんだよおい!」

歩「ハハ…太陽はやっぱり俺の敵だ……いつかあの座から絶対に引きずりおろして…」

ハルナ「!?あ、歩!?おーい!根暗マンサァー!」

ユウ『どうかした?』ヒョコ

ハルナ「歩が!歩が突然倒れて…!」

セラ「!?あ、歩!?一体どうして!?」

ユウ『多分日光のせい』

セラ「……そうですか…やはりあの時の…」

ハルナ「と、とにかく根暗マンサー!歩を…歩を!」

ユウ『大丈夫。私に任せて』

歩「うーん…」

ユウ『普通に寝かせておけば大丈夫』

ハルナ「そうならそうってちゃんと言ってくれよな!……驚かせやがって」

セラ「………」

ハルナ「しゃーなしだな、それじゃあ天才医療系美少女ハルナちゃんが傍で見守っててやるか」

ユウ『ダメ、卵たくさん無くなったから買いに行かないと』

ハルナ「えー!でもぉー!」

ユウ『明日もし歩が学校に行くなら、卵が無いとお弁当が作れないよ?』

ハルナ「じゃあ今日作りすぎた分持って行けばいいじゃーん」

ユウ『腐っちゃうよ?』

ハルナ「うーん…しゃーなしだな、じゃあ私は行って来るよ」

ユウ『私も行く』

ハルナ「そっか、じゃあ葉っぱの人、歩むのこと任せたかんな」

セラ「………はい」

セラ「………」

歩「ん…おお…セラ…ってあれ?何で俺ベッドで寝てんだ?」

セラ「倒れたからですよ…日光に当たりすぎたせいで」

歩「ああ…そういうことか…ごめんなセラ、俺が弱すぎるばっかりにまた迷惑掛けて…」

セラ「何を言っているのですか…迷惑を掛けたのは私のほうです…私が勝手な真似ばかりをしてしまったばっかりに歩をこのような目に合わせてしまって…」

歩「違うよセラ、それこそ俺の勝手だ…俺の自業自得だって」

セラ「……ですが…」

歩「大丈夫だってセラ、それにお前が俺のことでそんな顔するなって、いつもみたいにクソ虫って言って罵倒してくれ」

セラ「………」

歩「俺の知ってるセラは今みたいにしおらしくないんだからさ」

セラ「……歩ってこういう時は遠慮なくつっかかってくるんですね」

歩「毎日俺につっかかってくるんだから、今日ぐらいはいいだろ別に」

セラ「………後で八つ裂きですよ、クソ虫」

歩「でもこうやってゆっくりセラと話することって珍しいな」

セラ「そうでしたね、私も出来るだけクソ虫と意見交換はしたくありませんからね、世間体というものがありますから」

歩「世間体って…吸血忍者もそういうこと気にするのか」

セラ「当たり前です、女装趣味の変態高校生とは違うので」

歩「……許可した途端のこの毒舌…溜まってたのか?セラ?」

セラ「別に、あなたみたいなクソ虫を前にすると自分が抑えられないだけで……っ!?」

歩「?どうかしたのかセラ?」

セラ「い、いえ!私はあなたみたいなクソ虫と違って自分の欲を抑える術はしっかり存じています!」

歩「は?……よく分かんないけど…これも罵倒の一種?」

セラ「……今の言葉は忘れてください」

歩「……そっか…でも俺に当たりたいときはいつでも当たっていいからな」

セラ「……別にストレスなんて溜まっていませんよ?」

歩「あれ?違うのか?」

セラ「………」

歩「それにしても腹が減ったな……朝飯もまだだったし…」

セラ「そうですか、それじゃあハルナの卵焼きがあるので食べますか?」

歩「ああ、そうしようかな…ごめんセラ、持ってきてくれるか?」

セラ「仕方ないですね、歩は卵焼き一つも持って来れないクソ虫ですから私が持ってくるしかありませんね」

歩「ごめんな、セラ…任せるよ」

セラ「分かりました、それでは持ってきますので待っていてください」

歩「おーう」


セラ「すごい量ですね…これを私達だけで消費するのでしょうか」

セラ「………」

サラス『ああ、愛する男の言葉を真正面から立ち向かわない愚か者が吸血忍者の資格があるわけがない』

ユウ『でも歩はもっと心配してたから、ちゃんと謝って、自分の気持ちを言ってね』

セラ「………」

セラ「今日だけですよ…歩」

歩「それで…その格好ですか?」

セラ「……別に…昨日から同じ服を着ていただけなので」

歩「そうか…でもなんでメイド服なんだ?」

セラ「何でって……他意はありません」

歩「いやありすぎでしょ流石に、メイド服って一体何を狙っているんだ!?ていうかやっぱり色々溜まって…」

セラ「溜まってないと言っているでしょう、また太陽の下に放り投げますよ」

歩「すいません、ただただ眼福です、ありがとうございました」

セラ「何とも気持ち悪い、たかが服を着替えただけで劣情に襲われるなんて、歩は骨の髄までクソ虫なんですね」

歩「……もはやクソ虫が一体何なのか僕にはもう分かりしぇん」

セラ「どうぞ、早く食べてください」
歩「あのぉ…セラさん、今何をなさっているのか分かっていますか?」

セラ「はい?何って、食べさせているだけですが」
歩「いやでも…こういうのってセラ的にはセーフなのかなあって思って…」

セラ「はい、安心してください、私は歩のことはただのクソ虫としか認知していませんので」
歩「あっ…そうですか、俺は男以前に虫ですかそうですか」

セラ「とにかく早く食べてください……私だって我慢してやっているんですから」
歩「ああ、そうだな…あーん」

セラ「っ…ど、どうぞ!」ズイッ
歩「あぐっ!?……うん…うまい、でもセラ、いきなり口に突っ込むのはナシにしてくれないか?」

セラ「何か文句でも?食べさせてもらっている立場の分際で」
歩「……無いです、すいません…それじゃあもう一口」

セラ「……あ……あー……ど、どうぞ!」
歩「あー…あむぐっ!?」

セラ「はぁ……もういいですか?」

歩「あ、ああ…もういいよ、ありがとなセラ」

セラ「別に…仕方がなかったので」

歩「そっか、じゃあちゃんと動けるようになったら俺が昼飯作るから、セラは休んでてくれ」

セラ「っ……分かりました」

じゃあ俺も飯

歩「あーっ、何だかんだで学校サボってしまったか」

セラ「そうですね、私のせいで」

歩「だからセラのせいじゃないって、強いて言うなら俺か太陽だろうな」

セラ「クソ虫程度が偉大な太陽に向かって暴言とは何様なんでしょうかね」

歩「うぅ…なんだかさらに気分が悪くなってきたような…セラが優しいこと言ってくれたら治りそうかも…」

セラ「人間様に依存してやっと生きれるクソ虫が厚かましいですね」

歩「……すいません…何でも無いです」

セラ「…ですが仕方ないですね、今日は歩への罵倒は控えましょうか」

歩「ああ、そうしてくれると助かる……たった今さっき罵倒を言うことを許可したんだけど」

セラ「いえ、歩が私の罵倒のせいで体調の悪化が進むというなら仕方がありません」

歩「いや体調というか…精神的にというか…」

セラ「精神的?」

歩「いやだって、セラがいくら俺のことを嫌いだからってここまで言われると精神的に来るもんがあってさ」

セラ「なっ!?……誰も歩のことを嫌いだなんて言っていませんよ」

歩「でもいつもクソ虫クソ虫、今日はいつも以上にクソ虫がバーゲンセールだからさ、やっぱりセラは俺のことをって思って…」

セラ「……クソ虫は被害妄想だけはご立派なんですね」

歩「はは、クソ虫ゾンビなもんで」

セラ「ですが…私は別に歩のことを嫌いだなんて思っていませんよ……嫌いなら一緒に住むなんて考えられませんし」

歩「……そっか、よかった…セラに嫌われてたらどうしようかと思ってたよ」

セラ「……嫌いになることなんてありませんよ…多分」

歩「……やっぱりいつものセラに戻ってくれ、何だかやりずらい」

セラ「一体何なんですか歩は……そういう中途半端なところがクソ虫のように鈍重な感じがするんですよ」

歩「うんうん、やっぱりこっちのセラのほうが俺は好きだよ」

セラ「!?……歩みたいなクソ虫が私に擦り寄ってこないでください、汚らわしい」

歩「よし、それじゃあもうそろそろ飯作りにいくか、ハルナ達が帰ってくる前に」

セラ「!あ、歩!」

歩「ん?どうしたセラ?」

セラ「歩はもう少し寝ていてください…お昼ご飯は私がどうにかします」

歩「……でも…いいのかセラ?」

セラ「はい、私はもう自分の料理の腕前に嘘は付きません…ですから歩」

歩「…はい」

セラ「もしおいしくなくても、ちゃんとおいしくないってはっきり言ってください……じゃないと切り刻みますから」

歩「……分かったよ、それじゃあとびっきり旨いモン期待して待ってるからなセラ」

セラ「はい、明日からもし歩が台所に立てなくなっても私のせいにはしないでくださいね、ただでさえ料理以外の家事は私に任せっきりなんですから、ヒモと呼ばれても文句はありませんよね?」

歩「すごい自信だな、マジで明日からは俺やることなくなるかもな」

セラ「それではクソ虫改めヒモ虫、調理し終えるまで休んでいてください」

歩「ああ……今日は本当にありがとな、セラ」

セラ「……いえ…お礼を言うのはこちらです」

セラ「……出来ました」
歩「おぉ!野菜炒めか……昨日は途中で終わってたからな」

セラ「申し訳ありません、昨日の分は…」
歩「ああ、俺が途中から作って食べたよ、まあ炒めただけなんだけど…でも今回は最初から最後までセラが作った野菜炒めだからな、期待が高まるってもんだな」

セラ「それでは……どうぞ」
歩「ああ、いただきます」

セラ「……今回は歩の指導も無かったので本当にちゃんと出来ているのか不安なんですが…」
歩「………」モグモグ

セラ「ど、どうでしょうか?」
歩「………」モグモグ

セラ「………」ドキドキ

歩「うん、普通においしいよ」

セラ「!…そうですか、まあ当然の結果ですね」

歩「ああ、誇っていいよセラ、この野菜炒め、確実に俺が作ったものよりおいしいからな」
セラ「……いえ、流石に歩の料理には勝てません、悔しいですが」

歩「いいや、俺のよりもおいしかったよ……やっぱりセラは料理が上手いよ、うん、この真実は絶対だな」
セラ「………ありがとうございます…これも一重に歩のおかげです」

歩「いやいや、俺じゃなくてセラがもともと料理が上手かっただけなんだってば」
セラ「……何だか素直に喜べませんし、信じられませんね」

歩「何でだ、信じられないって」

セラ「いえ…歩にこうやって認められるというのは初めてで、それに料理のことで歩以上と言われると流石に…」

歩「こういう時に嘘ついたってしょうがないだろ」

セラ「それでもです……嬉しいのですがやはり信じられないのです…」

歩「……そっか…でも明日からまためきめき腕を上げていくんだからさ、俺よりも絶対に上手くなるのは時間の問題だろうな」

セラ「…いえ、私はもうこれ以上台所には立ちません」

歩「え…何で…」

セラ「何だかんだ言って、私もハルナも、そしてヘルサイズ殿も歩の料理が食べたいのです…いくら私の料理が美味しくなったとしても意味がありません」

歩「……そういわれるのは嬉しいけどさ、ハルナ達だってお前の料理も食べたいと思っているはずだ」

セラ「そうだといいんですけど……今までハルナ達には私の料理で何度か迷惑をかけましたし…」

歩「何言ってんだよ、家族の手料理が食べたくない奴なんていなさいさ、それがおいしくなくてもな」

セラ「……家族」

歩「ああ、俺とセラとハルナとユウ、皆俺の家族だ」

セラ「………」

歩「だから俺はセラの手料理がこれからも食べたい、家族だから……ってそれじゃあ俺本当にやることなくなるな」

セラ「……歩、あなたという人はクソ虫という点以外では本当にいい人ですね」

歩「え?今まさか褒めた?」

セラ「私だってずっと悪態ばかりつくわけではないのですよ……家族なのに知らなかったんですか?やはりクソ虫はどう頑張ってもクソ虫止まりなんですね」

歩「ああ…たった一瞬で終わった…」

セラ「……でもありがとうございます歩、私のようなものを家族と言ってくれて…」

歩「……おう、だからこれからはどんだけまずくてもセラ、お前のメシは俺が全部平らげる、だからまた作ってくれよ」

セラ「はい…喜んで」ニコッ


ユウ『ハルナ、もう一回街に出ましょ』

ハルナ『天才空気読める美少女ハルナちゃんはその考えに賛成だ』

セラ「歩、体のほうはもう大丈夫なんですか?」
歩「ああ、セラの手料理のおかげでなんとかなったよ、ありがとな」

セラ「クソ虫如きに食べさせるのはもったいなかったですかね」

歩「ははは~…」

セラ「……冗談ですよ、真に受けないでください」

歩「お!セラが悪態ついた後に一言添えてきた!?うぅ…優しさが心に染みる…」

セラ「たった一言で調子に乗るなんてクソ虫歩は本当にクソで気持ちが悪いですね」

歩「とうとうクソって言ってきたぁ!……うぅ…悪口が心に刺さる…」

セラ「………」

―――自分の気持ちを言ってね―――

セラ「……あ、歩…?」

歩「ん?何だセラ?」

セラ「……今さっきの…その家族というのは一体どういう意味なんですか?」

歩「どうってそりゃ…」

セラ「………まさかとは思いますが……わ、私が歩の……妻としての意味…何ですか?」

歩「は、はぁ!?」

セラ「ど、どうなんですか!?」

歩「どうって…俺はただの家族として…」

セラ「ですから私は!……歩にとっての私の家族としての立ち位置は何なのかと思って…」

歩「……いや…その…」

セラ「は、早く答えて下さい……出来るだけ秘剣、燕返しを歩に行使したくないので」

歩「………」

セラ「………」ドキドキ

歩「いや…えっと……確かに一回考えてみると…そう…なるよな」

セラ「!?ほ、本当ですか!?」

歩「まあ、ユウとハルナは妹みたいな立ち位置だからな……だからセラは…あっ、姉っていう位置も…」

セラ「………」

歩「?…セラ?」

セラ「私が…妻…?……歩の…妻」カァ…

数分後
歩「………」

セラ「………」

歩「あのぉ~…セラさん?」

セラ「喋りかけないでください、今考えているので」

歩「あ、はい」

セラ「………」

サラス『フッ…だがなセラフィム、私は決してお前にマイ・ダーリンのあの美尻を渡すつもりはないぞ!』

セラ(サラスバティ…)

トモノリ『……オ、オレも…毎日相川のために料理……が、頑張るからな!それじゃ!』

セラ(メイル・シュトローム…)

ユウ『よかったよかった』

セラ(ヘルサイズ殿…)

ハルナ『と、とにかく根暗マンサー!歩を…歩を!』

セラ(ハルナ……私は…そんな皆を裏切って歩と…)

歩「……俺は一体どうすれば」

セラ「………」

セラ(もしも私がここで歩と誓いの…キスを行えば歩とは夫婦の関係となる…ですが)

セラ(私のこの想いは一時のものであって…時間が経てば…)

セラ(いやそれ以前に…)

セラ(私は本当に歩のことを……)

セラ「……歩」

歩「あ、はい、何ですか?」

セラ「私は…私は本当にあなたのことが好きなのでしょうか?」

歩「……え!?」

セラ「……あ」

セラ「ち、違います!あ、歩!今のは絶対に忘れてください!絶対に!」

歩「……あー…えっと…そういうのは俺じゃあ多分さっぱり分からないと思うな」

セラ「……まじめに答えないで下さい、アルティメットクソ虫、相川歩」ゴゴゴ…

歩「えー…」

セラ「……もういいです…歩、この話はやめにしましょう」
歩「え!?」

セラ「どうせ私には向いていないのですよ、妻…いや、家族などというものには」
歩「……セラ」

セラ「私は生まれてこれまでほとんど刀を取って戦ってきました…そんな私が今になって誰かと結ばれ、家庭を築くなんておかしな話でしょう」
歩「………」

セラ「ですから、歩、私のことは今後もう家族と思わないで結構です、そのような歩にとって大切なものに私が居たら…邪魔なだけです」
歩「………」

セラ「……それでは私は下でハルナ達の帰りを…」

ギュッ…

セラ「なっ!?」
歩「もらったぁっ!」

ダキッ!

セラ「……な、何をしているんですか歩!?このような真似をしてただで済むと…」

歩「ただで済むなんて思ってない!後で好きなだけ俺に秘剣をかましてくれて構わない、だから、今は俺の傍で、俺の言葉だけを聞いてくれ!」

セラ「……早く済ませてください…クソ虫とこうやって密着しているだけで気持ちが悪く…」

歩「セラ、好きだ、結婚してくれ」

セラ「なって……歩…今何と仰いましたか?」

歩「何度もいう趣味はない……流石に恥ずかしいからな」
セラ「しょ、正気ですか歩!?私ですよ!?ハルナでもヘルサイズ殿でもメイル・シュトロームでもサラスバティでもない、この私ですよ!?」

歩「分かってるよ、セラだから俺はこうやってプロポーズしてるんじゃないか」
セラ「…本当……なんですか?」

歩「ああ、本当だよセラ」

セラ「あっ…あああ…あああああ…ひ、秘剣…つ、燕返…」カタカタ

歩「って、何で刃を自分に向けてるんだセラ!?」

セラ「何でって…あ、歩が…私のことを好きになるはずがないじゃないですか…」
歩「……それこそ何でなんだよ」

セラ「……私は毎日歩に悪口ばかり言ってます」
歩「もう正直馴れたんだよな」

セラ「…時にはケンカもして、毎回歩を傷つけています」
歩「ゾンビだからな、それくらい大したことない」

セラ「………いつも反抗的な態度ばかり取っています…そんな私を好きになるわけがありません」
歩「そういう態度がセラ的には精一杯なんだろ、それぐらい分かってるって」

セラ「……後で後悔することになりますよ?…歩」

歩「ああ、毎日生傷が絶えないだろうな……でも大歓迎だ」

セラ「っ…歩…あなたという人は本当に馬鹿な選択をしましたね」

歩「また何で?」

セラ「あなたの周りには素敵な人がたくさん居るというのに……こんな私を選んで…」

歩「…確かに俺は皆のことも好きだけどさ、セラのことはもっと好きだからさ」

セラ「……こ、こういうことはあまり言われ馴れてなくて…」

歩「安心しろセラ…俺も正直言い馴れてない…」

セラ「………大事なときにカッコつかないクソ虫ですね」

歩「しょうがないだろ!正直今も動いてるかも分からない心臓がバックバクなんだからさ!」

セラ「…でも、そういう所が歩なんですよね…分かっています」

歩「はは…そっか……なあセラ」

セラ「はい…何ですか?」

歩「その…吸血忍者の里に伝わる婚約の誓いはいつ…」

セラ「………」


―――チュッ――

歩「…あっ…何でもないです」

セラ「そうですか……でも今…してしまいましたね」

歩「……ああ」

セラ「これで歩、あなたはもう私と結ばれる運命になりました……もう絶対に逃がしませんよ?」

歩「はは…そりゃおっかないな」

セラ「………あの…歩…今さっきの不意打ちではお互いの真意を測りながらでの誓いではないと私は思うので……もう一度…」

歩「………」


―――チュッ――

歩「……これで…満足か?セラ」

セラ「……もう一度です…もう一度しましょう……歩」

チュッチュ

ユウ「………」

ハルナ「………」ハァハァ

ユウ『これは……どうすれば?』

ハルナ『天才ハルナちゃん、ただいま困惑中』

ユウ『同感、私も困惑中』

ハルナ『これからどうすればいいんでしょうかね?』ガクガク

ユウ『分かりません、本当に分かりません』ブルブル

ハルナ「………」

ユウ「………」

ハルナ「卵焼き…消費するか」

ユウ「」コク

歩「えっと……結構やっちまったな」

セラ「言い方が下品です、止めてください気持ち悪い」

歩「ごめん…でも…その……あ、ありがとうございました!」

セラ「……こちらこそありがとうございました…歩」

歩「うん…じゃあもうそろそろ夕飯作ろうか」

セラ「あっ…」

歩「それにしてもアイツらはいつになったら帰って…」

ギュッ

歩「……セラ?」

セラ「私も…一緒に作ります」

歩「いやでも…セラは昼は作ったから夕飯なら俺が…」

セラ「それでも…私はあなたと一緒に作りたいのです……ダメですか?」

歩「…いや…一緒に作ろう、セラ」

セラ「はい……夫婦、初めての共同作業ですね」ニコッ

歩「いや、それは違うと思う」

翌日
歩「あ、おはようセラ」

セラ「はい、おはようございます歩…今日はいつも以上に早いんですね」

歩「ああ、今日は早めに作って自分の立ち位置を確保しようと思ったんだけど……先に取られてたか」

セラ「はい、申し訳ありませんがもうほとんどの準備を終えました」

歩「そっか…でもやっぱり旨そうだなセラの料理は…」

セラ「味見してみますか歩?」

歩「ああ、じゃあ一つもらってもいいか」

セラ「はい歩…あーん」スッ…

歩「あーん」パク

歩「……うん、旨い、やっぱりセラには料理の才能が」

チュッ

セラ「………こっちの味は…ど、どうですか?歩」

歩「ああ、いつも通りおいしいよ、セラ」

セラ「…ふふ、それじゃあもっと美味しいものを味あわせてあげます……クソ虫歩」ニコッ

edセラたんとちゅっちゅしたいがために書きました
もう悔いはありません
なので誰かユーちゃんとちゅっちゅするSSお願いします

10時間近く皆さんお疲れ様でした
それでは

セラフィムの体躯は愛でなくて大丈夫なのか?
彼女もそれを望んでいると思うんだが

age

いやまだまだ

歩「うぅ…、もうお嫁にいけない…」

セラ「何を言っています歩、童貞は守れたのでしょう?確かに失ったものは元には戻りませんが…その、代わりに私の処女をあげますから(///」

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