幸子「勇者サチコと魔王の城」 (101)
幸子「勇者サチコと魔王の城」
国王「世界レベルの実力者と名高い勇者ヘレンを筆頭に、無敗の剣士タマミ、サイキッカーユッコ、遊び人アンズというそうそうたる面々を送り出したものの、行方知れずとなってはや一ヶ月……」
国王「彼女らのことも心配ではあるが、魔王軍の侵攻が止まらぬ以上、そろそろ次の手を打たねばならん」
国王(社長)「勇者サチコよ、お主も今日で15歳。世界を恐怖で支配する魔王を倒すため、今こそ旅立つのだ!」
―――――――
モバマス二次創作SSです
「事務所主体で、某勇者ヨシヒコのような低予算ドラマを作っている」という設定で進めます
「」で括られたセリフは電波に乗っている(向こうの世界でTV放送されている)もので、基本的に台本
()で括っているセリフは幸子の思考なり、放送に乗らない小声の会話です
中の人ネタあり、台本という体でのキャラ崩壊あり
最後まで書き上がっているのでどんどん投下しますが、なにぶん不慣れなので何かあれば仰ってください
では、よろしくお願いします
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1385390048
輿水幸子「王様!その前にひとつ質問がございます!」
国王「む、なんだ」
幸子「ボクは『全国カワイイ大会』で優勝したご褒美をもらいに来ただけなのに、なんで魔王討伐なんて話になってるのでしょうか」
幸子「普通、そういうのは兵士とか騎士の仕事でしょう!」
国王「あー、そこか」
国王「世界レベルの実力ですら無理だったのだから、ただ強者を送っても意味はないと思っての。勇者の条件について調べてみたのじゃ」
国王「すると異邦人の文献に『カワイイは正義』という一文があっての」
幸子「いい言葉ですね」
国王「そして勇者とは正義の戦士。
『勇者=正義』
『正義=カワイイ』
『カワイイ=勇者』
と、こうなったわけじゃ」
幸子「意味がわかりません。というか、ボクは今年で14歳です」
国王「……さあゆくのだ、サチコよ!」指パッチン
幸子「ええ!?まあカワイイボクなら世界を救うくらい余裕ですけどね?それはもっと平和的な方法であって……」
幸子「あ、待って、鎧着せないで!引っぱらないで!うわぁぁぁん……」ズルズル
国王「ではまた会おう!」
~第一話~
―山道―
幸子「もう!あんな人が王様でよく国が回っていますね!やっぱり時代は民主主義ですよ!」
幸子「とはいえ、魔王を倒すまでは帰れませんし……覚悟を決めるしかないようですね。カワイイボクは切り替えも早いですね!」
幸子「まあ、ひととおりの装備はくれましたし、武器は……」
【むかきんのけん】
敵の頭を攻撃し、当たり所が良ければ眠らせることができる伝説の武器
幸子「つまりただのナマクラじゃないですか!」ベシッ
幸子(さて、台本どおりならそろそろ敵が現れるんですが……)
デデデン!
スラ○ム があらわれた!
幸子(国民的RPGのアレに似ているようで似てない!権利関係でお金が発生しないようにしてますね……)
幸子「出たな魔物め!えいっ!」
サチコのこうげき! スラ○ムに5のダメージ!
スラ○ムのこうげき!
幸子「ごふっ!」
サチコに10のダメージ!
幸子「ぐっ、やっぱり素人には厳しいですね。このままでは……」
??「お、お願い……やっつけて」
がいこつがあらわれた!がいこつはスラ○ムにおどりかかった!
スラ○ムに20のダメージ!スラ○ムをたおした!
幸子「えっ?」
??「この辺は、た、旅人の、墓場だから……まも、魔物が多くて、危ない、よ……?」
幸子「いつの間にかそんな場所に入ってたんですね。ボクはサチコです。貴方は?」
白坂小梅「コウメ……ネクロ、マンサーの、コウメ」
幸子「コウメさんですね!助けていただきありがとうございます!」
小梅「じ、じゃあ、気をつけて……」
幸子「待ってください!ボクの仲間になりませんか!」
小梅「……え?」
幸子「ボクは世界一カワイイ勇者として魔王を倒す旅をしているんです!」
幸子「貴方が仲間になってくれれば、ボクのカワイさに戦力が加わって向かうところ敵なしですよ!」
小梅「仲間と一緒……う、嬉しい……行く」
コウメが仲間になった!
幸子「さあ、世界の平和を取り戻しに行きますよ!」
小梅「と、友達、うふふ…」
To be continued……
―物陰―
コソコソ
マキノ「勇者め、仲間を手に入れたか……」
マキノ「だが所詮はヒヨっ子の集まり。私が貴方たちの情報を筒抜けにしてあげるわ!」
マキノ「魔王軍の精鋭諜報員マキノ、行動開始よ!」
幸子(旅をしている雰囲気を出すため、各話冒頭では賊と戦うようです)
幸子(魔物は晶葉さん作のロボですが、賊は人間です)
幸子(ここは基本アドリブで、事務所で手の空いている人が来てくれるそうですが……)
ガサガサ
前川みく「にゃーはっはっは!山猫ミクにゃん参上にゃ!お魚以外の食料と有り金を置いていくのにゃ!」
幸子「1人で挑んでくるとは、命知らずな盗賊ですね!」
みく「ふふふ、今日のミクはひとりじゃないのにゃ!」
みく「猫ちゃんズ、カモン!」
一行「…………」
みく「あれ?」
幸子「あ、何か来ましたね」
のそっ
ヒョウくん「んあー」
みく「ちょ」
小梅「と、トカゲ…」
みく「なんでにゃ!猫ちゃんズが来るんじゃないの!?」
幸子「きっと予さn…いえ、人望が足りなかったのでしょう」
みく「え、ひどくない?」
幸子「ほら、トカゲさんも危ないから帰ってください」
ヒョウくん「んあー」のっしのっし
みく「えっと…」
みく「こうなったら肉弾戦にゃ!猫パンチ!」
幸子「リーチが違います!」ズバッ
みく「なんでにゃー!」
~第二話~
幸子「この洞窟を抜ければ、次の村ですね」
小梅「う、うん……魔物は、いるけど。そんなにつ、強くないから、大丈夫、うん」
幸子「ちゃっちゃと抜けて宿屋で休みましょう。華奢でカワイいボクにこの旅はハードすぎます!……うん?」
??「フ、フヒ……」ガタガタガタ
魔物「キシャアアアアア!!」
小梅「ひ、人が、襲われてる…!」
幸子「大変です!助けましょう!」
サチコのこうげき! まもののふいをついた!
かいしんのいちげき! まものに20のダメージ!
幸子「コウメさん!トドメを!」
小梅「む、無理……」
幸子「え!?」
小梅「ここに、は、死体が、ないから…し、使役、できない……」
幸子「ああ、さっきは墓場でしたもんね……ってどうするんですか!」
小梅「えっと、えっと……ふ、ふれー…ふれー…サチコちゃん」
幸子「ええい、いいでしょう!カワイイボクの本気を見せてあげます!」
ズバッ ガスッ
フギャー!
フレー フレー
・
・
・
まものをたおした!
幸子「さ、最初の会心の一撃が無ければ危ないところでした……」
小梅「サチコ、ちゃん…すごい…」パチパチ
??「あ、あの……」
幸子「あ、ご無事でしたか」
??「この度は…助けてもらって…どうも…」
幸子「いいんですよ!人助けもカワイイボクに課せられた使命ですから!」
小梅「この先の、む、村の、人……?」
??「う、うん…薬用のキノコを取りに来たら、襲われて……。お二人は…?」
幸子「ボクは世界一カワイイ勇者・サチコです!魔王を倒し、世界に平和を取り戻すために旅をしています!こちらは仲間のコウメさんです」
小梅「は、はじめ、まして」
??「私は、ショウコ……。魔王を…ってことは、も、もしかして、魔王城に、向かってる…?」
幸子「魔王城?まあ、そうなりますね」
星輝子「ヒ…」
小梅「ヒ?」
輝子「ヒャッハーーー!!!」
「「!?」」
輝子「コイツは神の思し召しかァ!?それとも悪魔の囁きかァ!!」
幸子「え?え?え?」
輝子「Hey!そこのイカしてイカれたイカタケ野郎!」
幸子「ボ、ボクですか?」
輝子「その地獄巡りのLIVEツアー!私も着いていってやるぜぇ!!」
幸子「えっと、仲間になりたいってことですか?」
輝子「OK正解だ!物分りのいい奴ァ嫌いじゃないぜ!!」
幸子「とりあえず普通に喋ってください」
輝子「アッハイ、スミマセン」
幸子「着いてくると言っても、危険な旅ですし一般の方には……いや、ボクだってホントは一般人なんですけどね?」
小梅「ま、魔王城に、何か、あるの……?」
輝子「う、うん…魔王城の周りには、幻の…そう、幻のキノコって呼ばれる、希少なキノコが、生える…」
輝子「万病に効く、魔法のキノコ…欲しい…フヒ」
幸子「でもやっぱり危険じゃ……」
輝子「私、ファーマシストだから、薬作りは得意……ケガとか、病気とか、治せる……」
幸子「それは魅力的ですが……」
小梅「ケ、ケガなら、私も、治せる…よ?」
小梅「……死体になったあとなら」
幸子「ショウコさんでしたね!共に世界のために戦いましょう!!」
ショウコが仲間になった!
To be continued……
<参考画像>
イカタケ
http://blogimg.goo.ne.jp/user_image/5e/0f/c730e34cceec0ccc643d2f537e9d7ef4.jpg
マキノ「勇者め、かなりダメージを受けているわね……」
マキノ「戦況分析の結果、今なら私でも倒せると出たわ!一流諜報員のナイフ術を見せて……」ゴソゴソ
ザクッ
マキノ「いたっ、指切った」
マキノ「……」グスッ
マキノ「私は精鋭諜報員!直接戦闘なんてスマートじゃないわ!」
マキノ「さあ、尾行を続行よ!」
一行「……」
ドラゴン?「」どーん
幸子「あの手作り感あふれるドラゴンは一体……」ヒソヒソ
小梅「あ、晶葉さんのメカ、にしては…作りが、雑…」ヒソヒソ
輝子「セットなのか…そういうネタなのか…どっちだろう」ヒソヒソ
一行「……」
一行(((スルーしよう)))
ドラゴン?「ちょ、待ちんしゃい!」
幸子「喋った!?」
ドラゴン?「初心者向けに分かりやすくボケたっちゃけん、せめて一言突っ込み入れちゃらんねっ!?」
小梅「え、えと、じゃあ」
小梅「なんで、やねーん…?」
スポッ
上田鈴帆「いやなんでやねん!」
鈴帆「なんでやねんって言えばツッコミになるって風潮おかしかろうもん!」
鈴帆「政治か!?政治が悪いんか!?」
鈴帆「って変装脱いでもうたやないかーい!」
幸子「ええいうっとうしい!」ズバッ
鈴帆「ぎゃーす!」バタリ
幸子(この寸劇必要ですか!?)
~第三話~
―ツクエノシタ村―
モブ「ここはツクエノシタ村だよ!」
幸子「お友達ですか?」
輝子「うん、教会につ、勤めてる友達が、いる…」
輝子「強力な、結界術の使い手…一緒に来てくれると、きっと心強い…フヒ」
幸子「ふむ、とにかく会ってみましょうか」
―教会―
幸子(茅葺きの日本家屋に十字架。ミスマッチですね……ん?)
小梅「……」
幸子「コウメさん、どうかしましたか?」
小梅「う、ううん、なんでも、ない…」
幸子(小梅さんの周りだけロウソクの炎がすごい揺れてる!)
幸子(……演出ですね。そう思っておきます)
小梅「そ、それがいい、うん」
幸子「!?」
輝子「え、えっと、ごめんくださーい……」
クラリス「あらショウコちゃん。いらっしゃい」
幸子「ほう、なるほど神通力の強そうなシスターさんですね」
輝子「ち、違う…私の友達は、そっち……」
幸子「教壇……の下?」
??「なんですか、いぢめにきたんですか」
輝子「ノノ、久しぶりー…フヒ」
乃々「ショウコちゃんですか。晴れた日に来るなんて珍しいですね」
輝子「う、うん、ちょっと、お誘い…」
乃々「?」
幸子「ふふーん!このカワイイボクが率いる勇者一行に、あなたを加えてあげようというお話です!」
乃々「結界!」
キンッ
幸子「へぶっ!」
輝子「ちょ」
小梅「き、教会の結界…この子が、は、張ってたの…」
乃々「またそのお誘いですか……」
乃々「前にも国のお役人が来ました……。無理やり連れて行こうとしたから結界で追い払いましたけど」
幸子「国の…ヘレンさんの仲間の候補に挙がってたんですね」
シスター「お許し下さい。この子、人見知りが激しくて」
幸子「いえ、お気になさらず。これだけ強力な結界、魔王との戦いできっと役立つはずです!」
幸子「教会のシスターということは、ノノさんも博愛の精神をお持ちなのでしょう?苦しんでいる世界のため、その力を活かしませんか」
幸子「きっと、その結界は神様がこの時のために与えてくださった守護の力。人々を守り、世界を照らすための光に違いありません」
幸子「ボクがこのカワイさで世界を照らして回ってもいいんですが、安心して旅もできないようじゃそれもままなりません」
幸子「世界のため、非力なボクたちに、どうか力を貸して下さいませんか?」
輝子「ノノ…私からも、頼む…。ノノと一緒だと、私も、心強い……」
小梅「」コクコク
シスター「皆さん……」
シスター「ああ、年若い少女達が、こんなにも気高い信念を胸に戦っている……。この世界の光は、まだ絶えていなかったのですね」
幸子「さあ、一緒に行きましょう!」
乃々「え、普通に嫌なんですけど」
幸子「ちょ」
乃々「だいたい、世界の危機を小娘の集団に丸投げって意味がわからないんですけど」
幸子「いや、それはボクも思いましたけど」
乃々「ちっちゃな村じゃあるまいし、国がやるなら素直に軍隊を送ればいいじゃないですか」
幸子「そこはほら……お約束?」
乃々「そんな意味の分からない理由で魔物と戦うとか無理なんですけど」
輝子「み、身も蓋もないね……フヒ」
乃々「という訳で帰ります……じゃなかった、帰ってくださいお願いします」
幸子「えぇー……」
―町外れ―
輝子「な、なんか、ごめん……」
幸子「正直、改めて正論を突きつけられた事のほうがダメージ大きかったです」
小梅「げ、元気だして?」
幸子「それもこれも、魔王が全て悪いんです!さっさと倒して王様に文句言いに行きましょう!」
幸子「次の村へ出発です!」
To be continued……
マキノ「いえ、ですから私は万引きなんて……」
マキノ「証拠と言われても、盗ってないものをどう証明しろっていうんですか!」
マキノ「あーもう私は急いでるんですよ!早く勇者を追いかけないと!」
マキノ「身元引受人?いません!私は天涯孤独です!」
マキノ「ああ、いえ、お気になさらず……」
マキノ「おのれ勇者め……すぐに追いついてやるからなー!」
幸子(徒歩の旅は厳しい。魔物がうろついている世界ならなおさらです)
幸子(魔物といっても晶葉さんのロボだし、ケガしない程度に調整もされているけれど、攻撃されれば痛いものは痛い)
幸子(何しろ、前衛が勇者しかいません。必然的にダメージはボクに集中します)
幸子(ここらで戦士とか武闘家が仲間になって欲しいところです)
幸子(前回の乃々さんの流れで、輝子さんとユニットを組んでいる美玲さんとか前衛っぽいんじゃないかと期待しているんですが……)
ザッ
美玲「待てッ!オマエら!」
幸子「来たー!」
美玲「!?」ビクッ
幸子「あ、失礼しました。続けてください」
美玲「え?えーっと」
美玲「ウチの名はミレイ!この爪でひっかかれたくなかったら、食料と有り金を置いていけッ!」
幸子「ミレイさんですね!ボクはサチコといいます!貴方に耳寄りな情報があります!」
幸子「なんと今なら!こんなにカワイイボクの仲間にしてあげます!感謝してください!」
美玲「はあ?ウチは馴れ合いなんてゴメンだッ!いいからさっさと食料を出さないとひっかくぞ!」チャキッ
幸子「いい爪ですね!防御力の高そうなワイルドな毛皮も、優雅でカワイイボクと対になってていい感じですよ!」
美玲「わ、分かるのか!?頑張って手作りした冬の新作なんだ!」
幸子「ふふーん、たしかに今でもなかなかですが、カワイイボクと一緒にくればもっと素敵なアレンジを教えちゃいますよ!」
幸子「ボクは美的センスも抜群ですから!」
美玲「うぅ…分かった!ウチも着いていくぞッ!」
ミレイが仲間になった!
輝子「い、いいのかな、これ…?」
小梅「サチコちゃん…す、すごい、気迫、だったね……」
~第四話~
―森―
幸子「ツクエノシタ村で集めた情報によると、ここに四天王の一人がいるそうです」
小梅「四天、王?」
美玲「聞いたことあるぞ。地方ごとに魔物を率いてる、魔王の腹心の部下だな」
輝子「フヒ、強そう……倒せる?大丈夫?」
幸子「仲間も増えましたし、カワイイボクなら余裕です!」
幸子(まあ、途中で打ち切りになるかもしれないから早めに進めろと言われてるだけなんですけどね)
幸子「さあ、行きますよ!」
魔物A「ギャース!!」
幸子「はぁっ」ズバッ
魔物B「キシャー!!」ブンッ
幸子「ひぃっ」スカッ
美玲「お、おお、アイツ意外と動けるんだなッ」
小梅「ふれー…ふれー…」
輝子「あ…薬になるキノコだ…フヒ」
幸子「戦 っ て く だ さ い よ ! !」
幸子「なんでまたボクだけが前に出てるんですか!」
幸子「ミレイさんも前衛手伝ってくださいよ!そのパンクなツメは飾りですか!」
美玲「え?そうだぞ?」
幸子「へ」
美玲「だってほら、プニプニだし」プニプニ
幸子「え?」
幸子「えーと、今更ですがミレイさん、あなたの職業は?武闘家?盗賊?」
美玲「ビーストテイマー」
幸子「」
美玲「肝心のビーストがゼンゼン手懐けられな……じゃない、趣味の合う奴がなかなかいなくてなッ!」
幸子「」
美玲「あ、いや、あんまりグイグイくるもんだから言い出せなくて……」
美玲「なんか、ゴメン」
幸子「いえ…いいんです。ボクのカワイイ早とちりです」
輝子「さ、幸子…なんなら、街に引き返しても…」
幸子「いえ、奥の手を使います」
美玲「奥の手?」
幸子「できれば使いたくなかったんですが…」ゴソゴソ
幸子「小梅さん、これを!」
小梅「こ、これ……!」
【イカのひもの】
村の商店で売っていた大きなイカの干物。スルメともいう。炭火で炙ると香ばしい
小梅「お、おっきくて…イカ臭い…」
幸子「ある程度の原型が残った死体なら使役できるということだったので、非常食を兼ねて買っておきました!」
輝子「さ、流石に…厳しいんじゃ…?」
小梅「え、えい」
イカ「ワッショイ!!」ウネウネ
※忍者が上から糸で吊っています
小梅「できた…」
美玲「マジか」
幸子「ボクの先見の勝利です!さあ小梅さん、一気に畳み掛けますよ!」
小梅「う、うん…!」
スバッ!ペシペシ!
ガオーー!
ヒイイイイ!!
美玲「おおッ、形勢逆転したぞッ!けど……」
輝子「じ、地味、すぎる……」
美玲「だから『できれば使いたくなかった』のかもな」
幸子「せりゃっ」ズバン
小梅「さ、最後の、一体、だね…」
美玲「雑魚は倒した!さあ出てこい四天王!」
??「ほう、ここまで来るとは思わなかったぞ勇者よ」
木場真奈美「私はマナミ!牙の四天王と呼ばれている」
真奈美「私を怒らせたからには…地獄の辛苦を味わう覚悟はできているのだろうな?」
幸子(さて、台本では、一人目の四天王『牙のマナミ』は見た目は大仰だけど勇者の会心の一撃で倒れるという設定でした)
幸子(なので、適当に切り結んだあとで思いっきり剣を振りおろせば終わり、なんですが…)
真奈美「どうした勇者…かかってこい」ゴゴゴ…
幸子(割と本気で怖くて踏み込めません)
美玲「」ビクビク
小梅「」ガタガタ
幸子(2人なんて足が震えてるじゃないですか。木場さん、プロ意識高すぎです)
真奈美「ふむ、来ないのならこちらから行くぞ!」
ドンッ!!
美玲「がっ!」
ズンッ!!
小梅「うっ」
幸子「ひぃっ」
真奈美(派手なのは音だけで痛みはないんだがな。さて、肝心の勇者様がひるんでしまったようだが、どうするか)
チョンチョン
真奈美「うん?」
輝子「え、えい」
バサッ
真奈美「うっ、なんだこの粉は!?」
輝子「し、しびれ効果のある、キノコの胞子だよ…」
輝子「幸子、い、今だ…!」
幸子「と、とりゃああああ!!」
ズバンッ
真奈美「ぐっ、ぐああああああ!!」
真奈美「ま、魔王さまに栄光…あれ…!」ガクッ
マナミをたおした!
輝子「さ、サチコには、頼りっぱなし…だから。たまには、年上の威厳、見せないとね…フヒ」
幸子「ショウコさん……」
幸子「……うん?」
真奈美「」ブルブル
幸子(あの、輝子さん?木場さんの目がすごい腫れてるんですけど…)ヒソヒソ
幸子(しびれキノコの胞子って、小道具の偽物ですよね?)ヒソヒソ
輝子(…………フヒッ)
幸子(……あとで謝りに行きましょう。逃げないでくださいね)ヒソヒソ
輝子(ハイ…スミマセン)
To be continued……
―しばらくして―
マキノ「やっと森が見えた…急いでマナミ様に奴らのことを伝えないと!」
真奈美(アイシングとメイクでどうにか撮影できるレベルまで落ち着いたな)
真奈美(目が腫れたのには驚いたが、とっさのアドリブで友人を救った星君の行動は賞賛に値する)
真奈美(その友情に免じて、今回の件は笑って許してやったさ)
マキノ「マナミ様!」
真奈美「諜報員のマキノか…遅かったな。勇者に敗れてこの有様さ…ぐっ」
マキノ「い、今肩をお貸ししま…ブフォッww」
真奈美「…………」
マキノ「あの、その……」
真奈美「どうした、遠慮せずにもっと笑え」
マキノ「あ、あははは…」
真奈美「ふふふ…」
真奈美「ふふふふふふ……!」
真奈美(とはいえストレスは溜め込まないに限る。この子に付き合ってもらうとするか)
幸子(前回の収録のあと、Pさんとちひろさんにすごく怒られてしまいました)
幸子(木場さんに使ったキノコの粉の事もそうですが、本編に関わらないはずのアドリブコーナーで勝手に仲間を増やしたのも不味かったようです)
幸子(メインキャラが増えると、出演料や小道具の経費がかさむとかなんとか)
幸子(目的だった前衛の増強も果たせず、ボクにとっては踏んだり蹴ったりです)
幸子(さて、今週の賊は……?)
水野翠「お待ちしておりました、勇者御一行」
梅木音葉「本日のご気分は…いかがですか?」
小梅「ふ、二人組の、弓使い…」
輝子「これは、手ごわそう…」
翠「私はダークエルフのミドリ。正確無比に矢をつがえては獲物を撃つ様から、『水飲み鳥』の異名を賜る狩人でございます」
音葉「同じく…木と葉の声を聞くシャーマン、オトハでございます。依頼により、皆様の命を狩りに参りました」
翠「我が氏族の流儀ゆえ、姿を見せてのご挨拶に伺いました。それではこれより狩猟の時間とさせていただきます」
翠「いざ」
ボンッ
幸子「え、煙幕!?」
美玲「アイツ、このままどこかに隠れてウチらを狙う気だッ!」
幸子「コウメさんはショウコさんを守って!」
幸子「初撃で敵の居場所を掴んで、一気に反撃します!」
小梅「う、うん…お願い、グラバーズ(※イカの干物)…!」
イカ「ワッショイ!!」クネクネ
輝子「煙が、晴れるよ…!」
幸子「なんとしても一射目を防ぎますよ!」
翠「」ピクピク
音葉「あ」
一行「…………」
一行(一歩も動けずうずくまってる……)
翠「あ、足が、しびれて……」
音葉「だから、石の上で正座して待つのはやめた方がいいと言ったのに…」
幸子「なんでまたそんなことを……」
翠「人を、あぅっ…待つときは正座が、基本ですので…あぁんっ」
輝子「こ、これ…放送、できるのかな…?」
小梅「ど、どうする…?」
幸子「正直、この際まともに戦えるなら後衛でもスカウトしようかなーって思ってたんですが」
幸子「いくらなんでも残念すぎるので結構です。では」ズバッ ズバッ
翠「ひうっ、あ、足はだめです…!」バタッ
音葉「私も…ですか…」ガクッ
幸子「さて、サクサク進めましょうか」スタスタ
輝子「幸子が…やさぐれてきてる…フヒ」
~第五話~
―セイジン村―
モブ「こんな村にお客さんたぁ珍しい。ここはセイジン村だ」
輝子「の、のどかな漁村だね…」
小梅「潮の、香りって…し、死骸の匂い、なんだって…ふふ…」
幸子「さて、ここで船を手に入れたいと思います」
美玲「船?どっか行くのか?」
幸子「2人目の四天王の情報は乏しいですが、海の魔物を指揮している四天王がいるとは言われています」
幸子「なので、こちらから海に出て手がかりを探そうというわけです。もしかしたら向こうから仕掛けてくるかもしれませんし」
輝子「攻めの姿勢、だね…フヒ」
幸子「本当は大きな軍艦がいいんですが、王様がケチなせいで中古の漁船を買う予算しかありません。なので、船を売ってくれる人を探しましょう」
美玲「なら、人が集まる場所に行かないとな」
小梅「い、今は、昼だから…漁師さんたちは、漁からか、帰って、お酒を飲んでる、頃…」
幸子「ふむ、では酒場に行ってみましょうか!」
―酒場【ウサミン】―
安部菜々「お帰りなさいませご主人様!ピッチピチの17歳!看板娘の、ナッナで~す☆」キャピッ
菜々「未成年者にはお酒は出せません!でもジュースもあるのでごゆっくりどうぞ~」
幸子「ふむ…漁師さんと思しき男性も何人かいますね。」
小梅「だ、誰に、する…?」
美玲「というか、商売道具を売ってくれって結構ムチャな話だよな…」
美玲「って、酒臭ッ!なんだよオマエッ!」
幸子「どうかしました?」
高垣楓「あらあら可愛らしいお客さん…こんな寒村に何のご用?」
楓「よければ、旅のお話を聞かせてくださらない…?」
三船美優「ちょっとカエデ、やめなさいよ…」
美優「ごめんなさい、いつもはこんな子じゃないんだけど、今日は悪酔いしてるみたいで」
幸子「い、いえいえ、お気になさらず」
楓「ねぇいいでしょ…?さあさあ、こちらにいらっしゃい…」
小梅「と、止めて…!」
イカ「ワッショイ!!」ビュンッ
バシッ
楓「いたっ」
幸子「こ、コウメさん!何を…」
小梅「あ、あなた…何者……?」
楓「いつつ…なんのことかしら…?」
小梅「とぼけても、無駄…。ネ、ネクロマンサーには…年齢とか、寿命が、嗅覚でわかる……」
小梅「こ、この酒場には、20代から40代の、匂いしか、しない…」
菜々「えっ」
小梅「でも、それに混じって、かすかに…臭う。すごく、寿命の長い…魔族の、匂い」
小梅「匂いの、元。そ、それが、あなた……!!」
美優「ちょっと、なんてことを言うんですか!人に向かって魔族だなんて…」
楓?「ふふ…」
美優「え?か、カエデ?」
楓?「お見事ね、小さな死霊使いさん」
ブオッ
幸子「うっ、なんですかこの強大な魔翌力は!?」
美玲「ア、アイツの姿が変わったぞッ!」
柊志乃「私は幻惑の四天王、シノ。勇者を騙して毒でも飲ませる算段だったのだけど…。まさか、こんなに簡単に見破られるとは思わなかったわ」
輝子「し、四天王…!?」
小梅「ずいぶん、い、潔い、ね…。意地でも、人間のフリをするかと…思った、けど…」
志乃「他人を欺いてこそ私の生き様だもの。誰か一人にでもバレたら、それは既に私の負け…」
美優「ど、どういうこと?カエデをどこへやったの!?」
志乃「彼女なら無事よ?私の迷宮に閉じ込めてあるけれどね」
志乃「今日のところは退くわ…。カエデを返して欲しければ、西の谷の迷宮へいらっしゃい…歓迎するわよ…」
志乃「楽しい騙し合い、期待しているわね…」フッ
美玲「消えた…」
輝子「こ、この展開は、予想外…」
幸子「しかしこれはチャンスです。まったく手がかりの無かった四天王が、わざわざ向こうから来てくれたんですから」
美優「勇者様!どうか、どうかカエデを!夫を亡くした私を支えてくれた、かけがえのない友達なんです!」
幸子「任せてください!正義感あふれるカワイイボクが、困っている人を放っておくわけがないでしょう!」
美玲「そもそも、ウチらが村に来たせいでさらわれたんだけどな…」
―西の谷の迷宮―
幸子「なるほど、小さな洞窟が迷宮の入口なんですね」
小梅「な、中は広い…ね」
美玲「うぅ…なんか不気味だな…」
カチッ
一行「!?」
幸子「あからさまに嫌な予感のする音が!」
幸子「う、ウチじゃないぞッ!」
幸子「フヒ…もしかして岩が転がってくる、アレ…?」
幸子「ど、どうし、よう…」
一行「……」
一行「!?!?」
幸子「さ、幸子がいっぱいいるッ!?」
幸子「幸子が、4人…」
幸子「まさか、ボクの溢れるカワイさが小さな体に収まりきらず、ついに独立してしまったんですか!?」
幸子「ち、違う…私、小梅…」
幸子「お、オマエら落ち着け!きっとこれが罠だッ!」
幸子「み、みんなの、姿…一緒に、なる、ま、魔法…」
幸子「ボクらを混乱させてチームワークを乱す気ですね。ちょこざいな!」
幸子「ど、どうする…?誰が、誰だか…」
一行「…………」
幸子「わ、分かる…ね」
幸子「ボクら、言動から一挙手一投足に至るまで個性が強いですからねぇ」
幸子「この姿でも、背筋伸ばせない、私…フヒ」
幸子「どんな姿勢でもボクはカワイイので問題ありません!」
幸子「どうだ四天王!ウチらにはこんなの効かないぞッ!」
ポンッ
幸子「あ、戻りましたね」
美玲「フンッ、せこい手使いやがって!」
輝子「ハァ…この先、こんなのがいっぱいあるのか…」
小梅「た、大変…」
幸子「しかし、ここまで来て引くわけにもいきません。前進あるのみです!」
―数分後―
ポチッ
小梅「あっ…ご、ごめん」
美玲「こ、今度はなんだッ!?」
輝子「…?サチコ、どこ行った…?」
グルルルルル……
一行「!?」
美玲「魔物ォ!?」
小梅「ま、まさか、サチコ、ちゃんが…食べられ…」
魔物「ガルガルガル!」
輝子「ひぃぃっ」
美玲「た、戦うしかない!コウメ、イカだッ!」
小梅「ぐ、グラバーズ……!」
イカ「ワッ」バッ
魔物「ガル!」ポーズ
小梅「え?」
イカ「ショイ?」
魔物「ギャウ!」ポーズ
魔物「ギャス!」ポーズ
魔物「ガウウ!」フフーン
美玲「……サチコ?」
輝子「……サチコ?」
小梅「……サチコ…ちゃん?」
<幸子視点>
幸子「ふんふーん…あれ?皆さん遅れてますよ?お疲れですか?」
幸子「おや、どうしました?そんなにまじまじとボクを見て…」
幸子「まあボクはカワイイですからね!いつでもどこでも見たくなるのは当然です!」
幸子「仕方ないですねぇ、今日はサービスです」
幸子「ふっ」ポーズ
幸子「せいっ」ポーズ
幸子「こんなのも!」ポーズ
幸子「ふふーん!」ドヤァ
輝子「仲間が、魔物に見える罠…フヒ」
美玲「これ、本人には見えてないみたいだな」
小梅「ご、ごめん、ね…サチコちゃん…」
幸子(そんな感じで撮影は進み…)
小梅「い、いる…!この扉…!」
美玲「これを抜けた先に、四天王がいるんだなッ!」
幸子「カワイイボクを魔物に変えたり水着にしたりメイド服にしたり!さんざん弄んでくれたお返しをしてやります!」
幸子(要するに今回、テコ入れ回です)
輝子「あ、開けるよ…!」
ギィィ…
志乃「ふふ…いらっしゃい。待っていたわ…」
幸子「来週に続きます!」
To be continued...
~第六話~
志乃「ふふ…いらっしゃい。待っていたわ…」
志乃「まさか罠がことごとく通じないとは思わなかったけれど…流石は勇者様ね…」
幸子「牙の四天王と違い、貴方は搦め手専門。肉弾戦に持ち込めばこっちのものです!」チャキッ
美玲「ガルルル!」
小梅「か、覚悟…!」
イカ「ワッショイ!!」ウネウネ
志乃「あら、せわしないのね。夜は長いのだから、もっとじっくりと楽しみましょう…」
志乃「お食事を用意させていただいたわ…召し上がってくださる?」
志乃「では、『皆様、テーブルへどうぞ』」
カッ
美玲「がっ!?」ビタッ
輝子「体が、動かない…」
志乃「食前酒はそうね…小さなレディには少し弱めに。『ミモザ』を」
さんのあめが ふりそそぐ!
幸子「ああ、鎧が……!」
志乃「前菜はシンプルに…『フレンチサラダ』」
むすうのやいばが きりきざむ!
志乃「食欲が高まったら…前菜ね。今日は『テリーヌ』」
からだがゼラチンでおおわれる!いきができない!
志乃「そして、食中酒。『ヴィネ』」
トマトジュースが からみつく!
幸子「全身から血が噴き出すとかじゃないんですか」
小梅「そ、それ…見たい…」
志乃「さあ、いよいよ本番…。『本日の魚料理はシイラでございます』」
きょだいなさかなが きばをむく!
志乃「そして…メインディッシュ。『レアのフィレステーキに季節の野菜を添えて』」
ゴゴゴゴゴ……
輝子「アワワ…これは、やばそう」
美玲「技の名前から内容が想像できないぞ…!」
小梅「…………」
志乃「メインディッシュの次は、また前菜に戻るわ。永遠のディナーをお楽しみなさ…ハッ!?」
イカ「ワッショイ!!」ビシィッ
志乃「くっ、この…!」
ボオオオオ
イカ「ワッショ…イ」プスプス
志乃「これはあのネクロマンサーの…?確かに幻覚に捉えているのに…」
小梅「ぐ、グラバーズは、イカの干物…。目も、耳も、無い…」
小梅「だから、視覚や、聴覚を、操作しても、む、無駄…!」
志乃「し、しまった!気を取られて魔法が…」
幸子「今です!」スバッ
美玲「ガオーッ!」ペシッ
志乃「ぐぅっ!」
幸子「幻で助かりましたよ!ボクの体に傷でも付いたら世界の損失です!」
志乃「くっ、ただの干物だと思って舐めていたわ…」
美玲「ダメだ!倒しきれてないぞッ!」
幸子「ならもうひと押し!」ダッ
志乃「遅い…もう一度幻の世界へ囚われなさい…!」
ガラッ
「ああ、やっと見つけた」
「「!?」」
志乃「か、カエデ!?どうしてここに!?」
楓「あれ?シノさん、ダメじゃないですか。こんな小さい子に乱暴なんて」
幸子「貴方が、誘拐されたというカエデさんですね?危ないので下がっていてください!」
楓「あら?貴方は…ふふっ、運命を感じるわね」
志乃「こうなったら、カエデごとまとめて幻覚にかけるしかない…!」
志乃「『ああ、まだ席をお立ちにならないで』」
ズンッ
美玲「うっ、体が重くて立っていられない…!」
志乃「ふぅ…ヒヤッとしたわ…」
志乃「さて、ディナーの続きを…」
楓「ああもう、何してるんですか。かわいそうじゃないですか」ケロッ
志乃「な、なんで動けるの?私の幻術は世界一のはず…!」
楓「ちょっとした魔法です。天界の機械天使の力と、地獄の死神の力、ついでに魔人レヴィアタンの力なんかも呼び出して抵抗してます」
志乃「天界…?地獄…?そんなものあるわけ…」
楓「ありますよ?別の世界にですけど」
志乃「ま、まさか貴方の魔法は…!」
楓「ふふ、でもちょっと困った副作用があるの」
楓「ミユから引き離されると怒りが収まらなくなる」
楓「ミユには私がいないと駄目なのに…私はミユがいないと生きていけないのに…」
楓「なんで私たちを引き裂いたの?ねえ…なんで?」
楓「ただただ貴方が憎い…」
楓「憎い憎い憎い憎い憎い…!!」
志乃「あ、あ…」
楓「…今すぐ私の前から消えて。『輝く世界の魔法』」
志乃「ゆ、ゆる」
ボシュッ
幸子「あ、跡形もなく消し飛んだ…」
楓「ふぅ。さてと」スタスタ
輝子「ヒィッ」
楓「わぁ、いい匂い…」ヒョイ
イカ「ショイ…」
小梅「あ…グラバーズ…」
楓「えっと…日本酒はどこ?」
幸子「いや、ありませんけど」
楓「えっ?まさかスルメにワイン?それはちょっと…」
幸子「あの、ボクたちを助けに来てくれたん…ですよね?」
楓「いえ、迷宮をうろうろしてたらイカを炙る匂いがしたから、てっきり酒盛りでもしてるのかしらって思って…」
美玲「えー…」
小梅「ぐ、グラバーズ、食べちゃ、ダメ…」
楓「うーん、お酒がないんじゃ仕方ないし…帰りましょうか。ミユも心配してるかしら」
輝子「フヒ…ひどいオチだな」
楓「ああ、あと髪のハネてる勇者さん。村に着いたら話があるの」
幸子「話?なんのですか?」
楓「それは聞いてのお楽しみ♪」
―2日後・漁港―
美優「ほんとうに、ほんとうにありがとうございました」
幸子「いえいえ!慈愛に満ちたカワイイボクにとっては、この程度の人助けは当然です!」
美玲「こっちこそ、船ありがとなッ!」
美優「夫の形見ですが、皆さんのような方々に使っていただけるなら本望です。夫も天国で喜んでいるでしょう」
輝子「カエデさん…や、やっぱり、来てくれないんですか…」
楓「ええ、私がいないとミユが心配だから」
美優「もう、心配させたのはどっちですか!」
楓「それに、ミユから離れたところで魔法を使うと副作用が…ね」ボソッ
輝子「お、おう…」ボソッ
幸子「残念です。カエデさんが来てくれれば千人力だったんですが」
楓「5人そろえばセンタイ、って言うものね…ふふっ」
小梅「?」
幸子「さあ、そろそろ出発です!ミユさん、カエデさん、お元気で!」
美優「ご武運をー!」
楓「昨日の話、忘れないでね」
幸子「出航!」
輝子「よ、よーそろー…」
To be continued...
マキノ「いらっしゃいませご主人様!」
菜々「こらこらマキノちゃん!いらっしゃいませ、じゃなくて、お帰りなさいませ!です!」
マキノ「あ、はい、すみませんナナちゃん」
菜々「それにもっと笑顔で!」
菜々「お帰りなさいませご主人さま!」キャピッ
マキノ「お帰りなさいませご主人さま!」キュルン
マキノ「くっ、資金難からシノ様を頼って来てみれば、まさか既に敗れておられたとは…」
マキノ「海の向こうの勇者め!すぐに船を手に入れて後を追うからなー!」
菜々「行ってらっしゃいませご主人さま!」キャハッ
マキノ「行ってらっしゃいませご主人さま!」ニパッ
幸子(今回の撮影は海…ではなく、プールに来ています)
幸子(壁一面にCG合成用の緑の布が貼ってあります。正直、安っぽさが否めません)
幸子(まあ、またいつぞやのように海でモリ突きやらされるよりはずっといいんですけどね)
幸子(さて、今回の賊は……)
ドンドンドンドン
氏家むつみ「大海賊ムツミ参上!水と食料をありったけ置いていくのです!」
輝子「か、海賊…」
美玲「やなこった!痛い目見る前に帰れッ!」
むつみ「ほう、これを見てもそんなことが言えますか?」スッ
【ぼうけんのダイス】
魔女が作った魔法のダイス。甲板で振って偶数が出れば相手の船が、奇数が出れば自分の船が沈むリスキーなアイテム
幸子「な、なんて物騒なものを!」
むつみ「ふふふ…そして、これを私が持っている。その意味が分かりますか?」
小梅「……?」
むつみ「私がこれまで、この賭けに勝ち続けてきたってことです!その数、実に5連勝!」
むつみ「幸運の女神は私の味方!いざ勝負!」
コロン
【3】
美玲「あ」
輝子「あ」
小梅「あ」
むつみ「えっ」
ゴゴゴゴゴゴ……
むつみ「あわわわわ…」
幸子「海賊さん、博識でカワイイボクが最後にいいことを教えてあげます」
幸子「貴方はこれまで5連勝。これはだいたい3%の幸運ですが…」
幸子「真の幸運を持つ部族、アンタン族は、1%未満の確率をあっさり引き当てるそうです」
幸子「幸運の女神を信じるには、まだまだ早かったですね」
むつみ「そんなー!」
ドカーン
輝子「爆発した…フヒ」
小梅「だ、大迫、力…」
美玲「ん?なんか浮いてるぞ?」
サメ「」プカプカ
幸子「今の爆発で気絶しちゃったんですね。助けてあげましょうか」
~第七話~
サメ?「歯が全部抜けるかと思うくらいビックリしたでごぜーますよ!」
輝子「け、怪我がなくて、良かった…フヒ」
サメ?「でもあのままなら溺れ死んでいたのです!だからおねーさんがたは命の恩人!このサメニナ、恩返しするですよ」
小梅「お、恩返しって、言われても…」
美玲「じゃあ、ウチの使役獣になってくれッ!ツメは無いけどそのキバ、気に入った!」
仁奈「おや、そっちのおねーさんはビーストテイマーでいやがりますか!末永くお世話になるですよ」
美玲「つ、ついにウチにもビーストが…!」
幸子「海での戦いには心強いですね!」
仁奈「ところで、おねーさんがたはなんでこんなとこに来たです?」
幸子「ああ、それは……」
仁奈「なるほど、海の四天王を探しに来なさったですか」
仁奈「それなら安心!サメニナは居場所を知ってるですよ!」
輝子「ほ、ホントに?」
幸子「情けは人の為ならずって本当なんですね」
小梅「人…?」
美玲「よしサメニナ、最初の命令だ!ウチらを四天王のアジトまで連れていけッ!」
仁奈「アイアイサー!」
―孤島の洞窟―
輝子「ここに四天王が…」
幸子「これまで以上の強敵な上に、慣れない水上戦ですからね。気を引き締めていきましょう」
美玲「おいまだかー?」
仁奈「もうすぐそこでごぜーますよ」ジャブジャブ
ザザザザザザ……
小梅「な、波が…」
??「オーホッホッホ!来たわね勇者!」
幸子「この世代差を感じる高笑いは!?」
早苗「私の名は荒波の四天王・サナエ!」
早苗「人生の荒波を味わい尽くしていることから、そう呼ばれているわ!」
輝子「お、おう…」
早苗「その『引くわー』みたいな顔も、すぐに海の藻屑にしてあげる!」
早苗「いでよ、クラーケン!」
ザバァ
タコ「ラッシャイ!!」
美玲「で、デカイッ!」
輝子「10mはあるね…」
小梅「あ、あんなの、どうすれば…」
仁奈「サメニナのお口には大きすぎるですよ…」
幸子「ふふーん、皆さん慌てないでください!ボクに策ありです!」
早苗「なにぃ…?ふん、下手なハッタリはするだけ無駄よ!」
幸子「先日、カエデさんから教わった魔法…。勤勉でカワイイボクは、不完全ではありますが既に習得しているのです!」
幸子「それを使えばこんなタコ、一撃でタコ焼きにできてしまいます!」
輝子「な、なんだってー」
<回想>
楓『いい?こことは別の、全く異なる法則が支配する世界から力を呼び出す魔法…』
楓『それが世界で7人にしか許されない秘法、『輝く世界の魔法』よ』
楓『あまりに特殊で希少な力ゆえ、自身の魔性に気づかずに一生を終える人もいたそうよ』
楓『でも、貴方は私に出会った。だから今こそ、貴方の魔性に気づきましょう……ふふっ』
幸子『……』
楓『こほん。さあ、感じ取りなさい。貴方の持つ異世界の力を…』
美玲「ど、どんな力を呼び出したんだ…!?」
幸子「ふふふ…なんと!」
幸子「直径46cmの火の玉を、9発同時に撃つ魔法です!」
幸子「くらえ!『輝く世界の魔法』!!」
ドドドドドドドドド!!
早苗「ぐ、ぐわああああああ!!」
小梅「す、すごい…」
美玲「やったか!?」
モクモクモク…
早苗「フフフ…」
輝子「き、効いてない…?」
美玲「いや、後ろの壁…」
小梅「穴が…8つ…」
一行「…………」
幸子「め、命中率はあんまりみたいですね!」
早苗「オーホッホッホ!大層なことを言っておいて、無様ね勇者!」
美玲「おいおいおい!どうすんだよッ!」
幸子「でも1発は当たっています!それなりのダメージはあるはずです!」チャキッ
美玲「結局戦わなきゃダメなのか…頼むぞサメ!」
仁奈「ガッテンショーチですよ!」
小梅「グラバーズも、お願い…!」
イカ「ワッショイ!!」バッ
早苗「フフ、そんな貧弱な戦力で勝てるとお思いかしら?」
早苗「クラーケン、やっておしまい!」
タコ「ラッシャイ…?」
早苗「え、ちょっとどうしたの?」
イカ「ワッ…ショイ!?」
タコ「ラッシャイ!!」
イカ「ワッショイ…!」
仁奈「なんと、お二人にそんな過去が…」
美玲「いや、なんて言ってるんだ?」
輝子「わっしょい!らっしゃい!ってお祭りみたいだね…フヒ」
仁奈「ツーヤクするですよ」
タコ『イカ美……?』
イカ『そういう貴方は…ジャンバルさん!?』
幸子「あのイカ、女の子だったんですね…」
タコ『人間に捕まり、もう二度と会えないと思っていた君にこんな所で会えるなんて!』
イカ『奇跡だわ…!』
タコ『しかし、そんなにやつれてしまって…人間にひどいことをされていないかい?』
イカ『ええ、干されたり焼かれたり…なかなか大変ね』
タコ『なんだって!?やっぱり人間は信用できないな』
タコ『イカ美、もう君と離れたくない。一緒に遠くの海へ逃げよう!』
イカ『ジャンバルさん…』
イカ『ごめんなさい』
タコ『なんだって!?』
イカ『お酒のツマミになって終わるはずだった私の一生だけど、彼女たちに買われたおかげで第二の人生を歩めているの』
イカ『この大変だけど充実した時を、今はめいっぱい楽しみたい…!』
タコ『そんな…考え直してくれ!愛しているんだ!』
イカ『ダメよ…あなたとは一緒に行けない…!』
タコ『なぜだ!僕に何か不満があるのか?言ってくれれば努力する!だから…!』
イカ『だって…だって!』
イカ『貴方はタコで私はイカなんだもの!』
タコ『ど、努力してもイカには…なれない…』
イカ『そうよ。だから、私と貴方は結ばれない…!』
タコ『う、うわあああああああ!!』
早苗「え、ちょ、どこ行くのよクラーケン!?」
早苗「きゃああああ!!」
ザバーン
早苗「げほっげほっ、主人を放り出して行くなんて何考えてるのよ!」
早苗「男なら種族の壁くらい越えて見せなさーい!」
チョンチョン
早苗「何よ!今忙しいのよ!」
仁奈「エサの気持ちになるですよ」
早苗「」
ガブッ
早苗「痛い痛い!ちょっと、ホントに痛いって!」
仁奈「ガジガジガジ!!」
早苗「ひぃぃぃぃ!!」ザバババ
サナエは にげだした!
仁奈「逃がさねーですよー!」ザバババ
幸子「……あー、ボクらの勝ちでいいんですかね?」
小梅「ぐ、グラバー…じゃなくて、イカ美さん…あ、ありがとう…」
イカ「ワッショイ!!」
輝子「ま、また、ひどいオチだな…」
美玲「あ、サメ!おーい!戻ってこーい!!」
その後、サメが戻ってくることはなかった……
To be continued……
ギーコギーコ
マキノ「ふぅ、ふぅ、手こぎボートも楽じゃないわね…」
マキノ「酒場のバイトではこれが限界だったとはいえ、流石に無理がある気がするわ」
マキノ「……ん?」
ザババババババ
早苗「ひぃぃぃぃぃ!!」
仁奈「フッ○船長の気持ちになるですよおおおお!!」
マキノ「ええええ!?」
早苗「あ、マキノ!乗せて!乗せてぇぇぇぇ!!」ザバーン
マキノ「じ、事情はよく分かりませんが、あのサメを追い払えばいいんですね!」
マキノ「てやあ!」バシーン
仁奈「へぶっ」
マキノ「オールで強敵を倒した剣士もいるくらいだし、サメだって…」
仁奈「うぅ…」グスッ
マキノ「え」
仁奈「痛いですよおお!!」ビェェェ!!
早苗「あー!マキノ泣かしたー!」
マキノ「ええ!?私が悪いんですか?」
マキノ「ああもう泣かないで!ごめんなさいってば~」
仁奈「スキありですよ!」ガブッ
マキノ「ぎゃああああ!!」
マキノ「おのれ勇者!絶対に許さないんだからー!!」
ご覧頂きありがとうございます。
だいたい半分終わりました。15分くらい休憩させてください
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キャラの使い捨てが多くてすみません。
再開します
幸子(前回の放送はちょっと不評でした)
幸子(流石に、やったこともないグリーンバックでの撮影は無理があったようです)
幸子(加えて、早苗さんの水着姿になんやかんやと言われたそうです)
幸子(さて、今回の賊は…)
ゴゴゴゴゴゴゴ…
輝子「え、何だこの音…」
蘭子「凍れる刻よ!(止まりなさい!)」
幸子「えっ」
蘭子「和を損なうか?(どうしました?)」
幸子「あ、いえ、続けてください」
幸子(ここで蘭子さん…?てっきり魔王役かと思っていたのに)
蘭子「その身に烙印<スティグマ>を望まぬならば、我に供物を捧げよ!(ケガしたくなかったら、食料とお金を置いていきなさい!)」
美玲「よ、よく分からないけど喧嘩なら買うぞッ!」
蘭子「ククク…愚者の悲鳴!(痛い目を見ないとわからないみたいですね!)」
ゴゴゴゴゴゴ…
輝子「フヒ、また…」
蘭子「大地に還りし聖人の血潮よ…永久(とわ)の滅びに囚われしその魂は穢れ、我に力を与えん…」
幸子「詠唱?」
美玲「な、なんかやばそうな空気が…」
蘭子「我が盟友ブリュンヒルデの名のもとに、死して十字の教えに背きし汝らを導かん!」
蘭子「禁呪…『エターナルf
小梅「あ、あの、詠唱…間違ってます…」
蘭子「え?」
小梅「き、キリスト教は、復活系の定番…ゾンビもよくそれで、生まれる…」
小梅「でも…そ、それで蘇るのは、罪人だけ…」
小梅「せ、聖人は、黙示録に記された…復活の時のために、お墓の中で、眠り続けるん、です」
小梅「キリスト教圏で、土葬なのも、体を残すためなんです…」
蘭子「え、えっと…」
小梅「だ、だから、聖人の体は、永遠には滅びない…」
小梅「それに…聖人は、殉教者がお、多いから…死んでから、裏切る人は、いないんじゃないか、な…?」
小梅「ブリュンヒルデは、よ、よく知らないけど…たぶん、その詠唱じゃ、何も、起きない…」
蘭子「それは、その…」
幸子「さ、さすがネクロマンサー!死者と復活に造詣が深いんですね!」
幸子(ホラー映画を楽しむために仕入れた、ガチのオカルト知識じゃないですか…)
美玲「どうだ黒魔術師!ウチのネクロマンサーの方が上手だッ!」
蘭子「うぅ…」グスッ
蘭子「」ゴシゴシ
蘭子「フハハハ!刹那の微睡みを与えん!(いったん出直します!)」
蘭子「再臨の日は近いぞ!(次こそは負けませんからー!)」タタタタ
一行「…………」
幸子「行きましょうか」
輝子「うん」
美玲「だな」
小梅「ま、また、お話、できるかな…」
幸子「やめてあげてください」
~第八話~
―港町ジュウシ―
モブ「ここはジュウシ!港町だよ!」
輝子「次はどうする?」
美玲「ウチのサメ…」
幸子「四天王も残すところあと1人。残っているのは、四天王の中でも最強と名高い騎士という噂です」
幸子「まあボクのカワイさの敵ではないでしょうが、念の為に情報を集めたいと思います」
小梅「居場所と…じゃ、弱点…分かると、いいね…」
美玲「ウチのサメェ…ん?」
輝子「そ、そんなにうまくいけば、いいけど…」
美玲「居場所はこの街の北にある、ふるせん?あ、古戦場か。弱点は無いから探すだけ無駄だってよ」
幸子「へ?」
美玲「ほらアレ」
【果たし状】
勇者へ
本日正午、この街の北にある古戦場で待つ。貴様も勇気ある者ならば逃げずに来い
我々に弱点はないので、無駄な情報収集で遅刻することのないように
輝子「こっちの都合、完全無視だね…フヒ」
幸子「いや、まず高札で果たし状ってサムライじゃないんですから」
小梅「ど、どうする…?」
幸子「仮にも騎士なら、罠ということもないでしょう」
幸子「受けて立ちます!幻惑の四天王と同じように返り討ちです!」
輝子「お、おー」
美玲「ん?今って何時だっけ?」
街の時計台「ボーンボーンボーン」
幸子「…お茶でも飲んでから行きましょうか」
―町外れの古戦場―
仮面A「遅いですな…」
仮面B「…………」
騎士「世界に目を向ければ、スローライフな人々はいくらでもいる。問題ないわ」
仮面A「なるほど、さすが騎士どの!」
騎士「ふふ、当然よ」
ザッ
幸子「お待たせしました!」
幸子(全身甲冑の騎士と、仮面で目元を隠した人が2人、ですか…)
仮面A「待ちかねたぞ、勇者!」ポイッ
輝子「す、すみません…」
仮面A「いえ、言ってみたかっただけなのでお気になさらず」
仮面A「あ、ちょっと鞘を拾わせてください」
小梅「?」
騎士「ふふ、怖気づいて逃げたのかと思ったわ」
幸子「背中を見せたら、カワイイボクの顔を見せられないじゃないですか。果敢でカワイイボクは常に前身です!」
騎士「いい心がけね。さあ、日が暮れる前に始めましょう」
騎士「行くわよ2人とも」
仮面A「推して参ります!」
仮面B「…………」
仮面B「」パタリ
一行「えっ」
仮面A「だ、大丈夫ですか仮面Bどの!」
輝子「ちょ、ちょっと、見せて…ふむ」
輝子「……熱射病だね」
幸子「ね、熱射病?」
輝子「私たちが、長いこと炎天下で待たせたせい、かな…」
美玲「ケーキおかわりしたのがまずかったか」
小梅「お、おいしかったよね、あのケーキ…」
騎士「あなたたち、決闘すっぽかしてお茶してたのね」
輝子「服を緩めて、水、薬草…」
―15分後―
仮面B「……お騒がせしました」
輝子「ま、まだ無理しないほうが…」
仮面B「いえ、意識さえ戻れば超能力で回復できますから」
幸子「えー、では改めて」
幸子「いざ、尋常に勝負!」
騎士「行くわよ2人とも」
仮面A「刮目して見よ、この剣技!」
バシッ
美玲「ぐぐっ…!」
仮面A「ほう、止めますか…!」
美玲「卑怯だぞッ!こっちは武器を持ってないだろッ!」
仮面A「ツメがあるじゃないですか」
美玲「これはファッションだッ!」
仮面B「さあ、私の相手はどなたですか!?」
小梅「わ、私…!」
小梅「みんな、お願い…」
カシャカシャカシャ
骸骨s「シャアアアア!!」
小梅「し、死体さえ、あれば…ネクロマンサーは、無敵…!」
仮面B「なるほど、ここは古戦場ですからね」
仮面B「ですが甘い!『サイキック・力技』ッ!」
ゴッ
骸骨s「ギャアアアア!!」
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騎士「さあ、かかっておいで」
幸子「言われなくても!」
ギンッ
幸子「ふんぬぬぬ…!」
騎士「力を入れているの?まるで手応えがないわ」
幸子「『輝く世界の魔法』!」
騎士「何!?」
ドドドドドドドドド
幸子「絶対に初撃は受けるタイプだと思いましたよ!」
幸子「この距離なら外すこともないし、もう決まりですね!」
ガシャンガシャン
幸子「え?」
??「残念ね。この鎧は、一度だけどんな攻撃にも耐える魔法の鎧なのよ」
【えいゆうのよろい】
これを着れば、どんな攻撃を受けてもなんともない魔法の鎧。ただし一度攻撃を受けると粉々になってしまう
大魔王を倒した騎士が着ていたと言われる逸品
幸子「9発当たったはずなんですが…い、いえ、そんなことよりあなたは!?」
ヘレン「細かいことを気にしていては、世界レベルに到達できないわよ」
幸子「ボクの前に旅立った、勇者ヘレン!」
仮面A「バレてしまいましたか」スッ
珠美「そう、我々はかつての勇者パーティ!」
仮面B「しかし今は魔王直属の遊撃隊!」スッ
裕子「魔王様の偉大さに感銘を受けた者です!」
幸子「行方知れずとは聞いていましたが、まさか敵に寝返っていたとは…」
輝子「サチコ、あの人たちは操られてると思う…」
輝子「ど、毒キノコを食べて幻を見てる人に、症状が似てる」
幸子「ふむ、どうすれば目が覚めるんです?」
輝子「う、うん…あのタイプは、普通の薬じゃ無理だと思う」
輝子「どうにかして、気絶させるしかない…かな」
美玲「結局それか」
幸子「分かりやすくて結構です!来ますよ!」
小梅「う、うん…!」
骸骨's「シャアアアア!!」
珠美「必殺・核熱剣!」
裕子「『サイキック・風おこし』!」
骸骨s「シュラララ!!」
美玲「ガオーッ!!」
幸子「『輝く世界の魔法』!」
ヘレン「世界レベルの剣術に心震わせなさい!」
<ダイジェスト開始>
幸子(モノローグ)「ボク達の死闘は日没まで続きました」
幸子(モノローグ)「まず骸骨に抱きつかれた剣士タマミが恐怖で気絶」
幸子(モノローグ)「こちらもコウメさんが負傷するも、隙を突いてエスパーユッコを撃破」
幸子(モノローグ)「そして…」
<ダイジェスト終了>
ヘレン「ふふ、残るはあなたひとりね」
幸子「よくもショウコさんとミレイさんを…許しません!」
ヘレン「貴方が許さなくても世界が許す。そういうことよ」
幸子「世界ならボクのカワイさの前にひれふしていますよ!」
ギンッ ギンッ ギンッ
幸子「くっ、やっぱり強い!」
ヘレン「あら、もう終わり?」
幸子「今、ヘレンさんは水着姿…一発入れれば勝てるのに…!」
ヘレン「それがレベルの違いよ。分かる?」
幸子「伝説の鎧を砕かれたくせに偉そうなことを!」
ヘレン「…っ!?」
幸子「様子が…もしかして!」
幸子「さぞ貴重で高価な鎧だったんでしょうね!」
ヘレン「うっ…!」
幸子「立派な鎧でしたもんね、今では鉄くずですけど!!」
ヘレン「ううっ!」
幸子「もしかして代金の支払いが終わってなかったりして!」
ヘレン「うああああっ!」
幸子「隙あり!!」
ゴスッ
ヘレン「かはっ」バタッ
幸子「カワイイは正義!正義は勝つんです!」
ヘレン「はっ!?」
輝子「フヒ…起きた」
ヘレン「私はいったい…」
珠美「どうやら、魔王の策略に嵌って操られていたとのことで」
裕子「この人たちが助けてくれたんです」
ヘレン「あなたたちも…」
ヘレン「全く、私としたことがとんだ失態ね。とても恐ろしい夢を見ていた気がするわ…」
幸子「あ、鎧に入っていた請求書は現実でしたよ」
ヘレン「くっ!」
幸子「しかし、あなたほどの使い手が簡単に操られてしまうなんて…いったい誰に?」
ヘレン「…魔王よ」
小梅「ま、魔王に、会ったんだ…」
ヘレン「ええ、雪のように白い魔王だったわ。一目見たあとの記憶はないのだけれど」
美玲「白い魔王…」
幸子「ともあれ、元に戻って良かった。これからどうするおつもりで?」
ヘレン「私は、報告のために国に戻るわ」
裕子「私もお供します。このケガでは超能力も発揮できないので!」
ヘレン「そう…では、タマミ。貴方は彼女たちと一緒に行きなさい」
珠美「た、タマミがですか?しかし…」
ヘレン「貴方、旅立つ時に自分が言ったことを覚えているかしら?」
珠美「もちろんです!」
珠美「もののふを志す者として、世のため人のため、刀折れ矢尽きるまで戦うと誓いました!」
ヘレン「ならば、貴方の旅はまだ終わっていないわ」
ヘレン「私たちに代わって魔王を討たんとする彼女らと共に、その誓いを果たしなさい」
ヘレン「自分で立てた誓いを果たせない人間が通用するほど、世界は甘くないのよ」
珠美「ヘレンどの……不肖タマミ、感激の極み!必ずや、彼女らと共に魔王を倒してご覧に入れます!」
ヘレン「楽しみにしているわ」
輝子「あ、相変わらず、こっちの都合お構いなしだね…」
幸子「まあ、戦力が増えるのはありがたいので受け入れましょう」
小梅「み、みんな、ありがとう」
骸骨s「シャー」ノシ
To be continued...
マキノ「サメから逃げていたら、えらく遠くまで来てしまったわ…」
マキノ「サナエ様ともはぐれてしまうし、一体これからどうすれば…ん?」
マキノ「こんなところに祠?ずいぶん古いものみたいだけど」
マキノ「こ、これは…!」
幸子(何はともあれ、ついに念願の前衛が増えました)
幸子(これで少しはボクの負担も減るでしょう)
幸子(物語の方も終盤に入り、現場を熱を帯びているようです)
幸子(それでも賊のコーナーはやります。ちなみに前回の瞬間最高視聴率は、ヘレンさんを押さえて蘭子さんが持っていったそうです)
コロン
幸子「え?」
ボンッ
珠美「え、煙幕ですと!?」
輝子「ど、どこから…」
幸子「煙が晴れますよ!」
ゴーレム?「がおーっ!」
一行「……えぇー」
ゴーレム?「あ、あれ?派手な煙幕と威圧感たっぷりの見た目で、つかみはバッチリのハズじゃ…?」
輝子「煙幕は、ミドリさんがやったから…」
幸子「張子のモンスターはスズホさんがやりましたよね」
美玲「おい!ウチの雄叫びを真似するなッ!」
ゴーレム?「ええっ、そんなぁ」
小梅「ど、どうする…?」
ゴーレム「ま、まだです!ギャンブルで勝負です!」
幸子「大海賊ムツミさんとやりました」
ゴーレム?「私の超魔術をご覧あれ!」
幸子「ランコさんと被ります」
珠美「エスパーユッコ殿にも似ています!」
ゴーレム?「う、うぅ…」
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矢口美羽「ええい!こうなったら肉弾戦です!」
美羽「みうさぎキック!」
珠美「甘いっ!」バシッ
幸子「そのパターンは山猫ミクにゃん!」ゴスッ
美羽「ぐはっ」
幸子「いやあ、剣士が2人いると楽ですね!」
珠美「ヘレン殿もかなりの使い手でしたが、サチコ殿もなかなかですな!」
アハハハ
美羽「うぅ…私の個性が…」ガクッ
~第九話~
幸子「あの山が?」
珠美「ええ、あの険しい岩山を超えたところに魔王城があります」
珠美「我々は健脚な者が多かったので、どうにか歩いて越えましたが…」チラッ
輝子「ヒィ…ヒィ…」
小梅「み、ミイラになりそう…」
幸子「ボクだって体力のある方じゃないですし、厳しそうですね」
珠美「ならば、何か方法を考えなくてはなりませんね」
美玲「あー、そういえば」
幸子「?」
美玲「この辺に最近、若いワイバーンが棲みついたってギルドで聞いたような」
幸子「ワイバーン…翼竜ですね」
珠美「御することができれば、岩山も越えられそうですな」
美玲「ただ、誰も手懐けられない凶暴な竜らしいぞ」
幸子「しかし他にアテもありませんし、行くだけ行ってみましょう」
輝子「も、もうちょっと、休憩させて…」
美玲「いたぞ!」
輝子「フヒ、なんという早さ」
幸子「へえ、アレがワイバー…ん?」
UH-1J ヒューイ「」どーん
幸子(なんかドラゴンっぽい顔の描かれたヘリが置いてある…あれをワイバーンと言い張るつもりですか)
幸子(いえ、そんなことよりヘリということはまさか…!)
幸子「やはり危険です!別の方法を探しましょう!」
珠美「もう行ってしまいましたが?」
美玲「おーいワイバーン!ちょっと乗せてくれー!」
幸子「ちょっ」
輝子「ど、ド直球…」
ワイバーン(ヘリ)「ザッ…我が誇り高き翼竜と知っての言い草か?人の子よ…プツッ」
幸子(すごい無線っぽい音がしてる…)
美玲「な、なんだよ!ちょっと山の向こうまで乗せて欲しいだけだ!怒らなくてもいいだろ」
輝子「スミマセンスミマセン」
ワイバーン「ザッ…無礼な…身の程を弁えぬ猿など塵芥と変えて…ん?後ろのお主らは…プツッ」
幸子「ボ、ボクらですか?」
小梅「……?」
ワイバーン「ザッ…おお、やはり…!あの時の勇者ではないか…!プツッ」
幸子「あの時?ボクにドラゴンの知り合いなんて…あっ」
小梅「ミクにゃんさん、の…」
<回想>
みく「え、ひどくない?」
幸子「ほら、トカゲさんも危ないから帰ってください」
ヒョウくん「んあー」のっしのっし
<回想終わり>
幸子「あの時のトカゲさんですか!?」
ワイバーン「ザッ…うむ、お主らと別れた後、修行を積んでこの姿となった。敵でありながら命を助けられた恩、忘れたことはない…プツッ」
小梅「せ、成長期…?」
幸子「しかし話が通じるなら願ったりです!ボクらを山の向こうまで運んでいただけませんか?」
ワイバーン「ザッ…容易いことだ……と、言いたいところのなのだが、少々状況が悪くてな…プツッ」
ワイバーン「ザッ…実は、魔王軍は空からの侵入を警戒して『対空魔導兵器』を用意しているのだ…プツッ」
珠美「名前からして強そうですな…」
ワイバーン「ザッ…ああ、我も一度、知らずに近づいて撃墜されかけた…プツッ」
小梅「ケガ、してない…?」
ワイバーン「ザッ…侮るな。あの程度の砲をかわす程度造作もない。だがお主らを乗せ、さらに着陸となると難しいだろうな…プツッ」
幸子「ふふーん!それなら大丈夫です!僕の魔法で地上の兵器を破壊すればいいんです!」
美鈴「いや、オマエの魔法当たらないじゃん」
幸子「うっ…」
ワイバーン「ザッ…ふむ、ならばこれを使え…プツッ」
ポイッ
幸子「」
ワイバーン「ザッ…竜族に伝わる秘具『ラッカ=サン』だ…プツッ」
輝子「ぱ、パラシュート」
幸子「え、そんなの聞いて…え?」
ワイバーン「ザッ…我らが砲を引きつけている間にこれで地上へ降り、兵器を破壊するのだ…プツッ」
幸子「いえ当てますから!絶対に空から当てますから!」
ワイバーン「ザッ…ふむ、ところで此度の勇者は天使だと聞いたが?…プツッ」
幸子「よくご存知ですね。そう、ボクがこの世に舞い降りた天使です!それが何か?」
ワイバーン「ザッ…天使ならば空を舞うのも問題なかろう。では行くぞ…プツッ」
幸子「え、ちょ、待って!なんで皆さん押し込むんですか!」
輝子「が、頑張れ、サチコ」グイグイ
小梅「ふれー、ふれー…」グイグイ
美玲「代わりにやれって言われるのはイヤだからな」グイグイ
幸子「なんなら代わってあげても…って先回りしないでくださいよ!」
幸子「うわぁぁぁん!」
キュイーーーン
バラバラバラバラ……
―魔王城上空―
バラバラバラ
輝子「フヒ…思ったより高いね」
小梅「は、初めて、乗った…楽しい」
美玲「ななななかなかの乗りごご心地だなッ!」
珠美「そそそそうですな!貴重な体験です!」
ワイバーン「ザッ…そろそろ来るぞ…プツッ」
バンッ バンッ バンッ
美玲「ほ、ホントに撃ってきたぁ!?」
小梅「だ、大迫力…」
ワイバーン「ザッ…さあ、行くのだ勇者よ!…プツッ」
幸子「」ビクッ
幸子「ま、まあボクは2回目ですから?もう慣らしたもんなんですけどね?」
幸子「優しいボクは、この貴重なチャンスを皆さんに譲ってあげてもいいかなーと思っているんです!」
幸子「どうです?一生に一度あるかないかですよ?」
輝子「あ、あの雲、キノコに似てる…フヒヒ」
小梅「寒くなってきた、かも…コート、コート…」
美玲「なあなあ、このボタン押したらどうなるんだ?…墜落!?ホントに!?」
珠美「押さないで下さいねミレイ殿!」
幸子「無視ですか!ついに無視を決め込みましたか!」
幸子「もういいです!世界一の人間は常に孤独なんです!」
幸子「ボクの勇姿をその目に焼き付けて下さい!てぇい!」バッ
ヒュウウウウウ…
幸子「ひいいぃぃぃぃ……」
珠美「…悪いことをしてしまったかもしれませんね」
美玲「じゃあオマエ、代わりにやるか?」
珠美「いえ、それは遠慮させていただきます」
ワイバーン「ザッ…安心するのは早いぞ、勇者の同行者よ…プツッ」
ワイバーン「ザッ…これから砲の回避運動だ…プツッ
一行「えっ」
グイングイングイン
バンッ バンッ バンッ
輝子「ヒィィィィ!!」
美玲「揺れる揺れる揺れるううううう!」
小梅「」
珠美「せ、世界が回っているうううう!!」
ワイバーン「ザッ…フハハハハ!…プツッ」
―地上―
バサッ
幸子「よっと」ズザー
幸子「ふぅ、さすがボク!2回目ともなれば着地もカンペキですね!」
幸子「さて、目標の対空魔導兵器とやらは…」
87式自走高射機関砲「」ドンッ ドンッ ドンッ
幸子(完全に自衛隊の戦車?だ…カメラの死角から隊員さんたちが手を振っています…)
幸子「ああもう、これ以上好きにはさせません!」チャキッ
幸子「『輝く世界の魔法』!」
ドカーーン(火薬)
幸子「けほっ けほっ」
幸子「もう嫌!」
―合流地点―
幸子「あ、皆さん!見ていましたかボクの勇姿を!まあボクを見捨てたことについては?誠心誠意謝ってボクを褒め称えるなら許してあげないこともありませんよ?寛大でカワイイボクに感謝してください!……って、あれ?」
輝子「」ずーん
小梅「」ずーん
珠美「」ずーん
美玲「…オエッ」
幸子「…どうしました?」
珠美「て、敵の攻撃が熾烈になるにつれ、ワイバーン殿の回避も激しいものになりまして…ウプッ」
美玲「まだ頭がグラグラする…」
小梅「あっ、あの子が、呼んでる…うふふふ」フラフラ
珠美「コウメどの!行っては駄目です!」
輝子「さ、サチコ…」
幸子「は、はい!」
輝子「無視して、ゴメン…」ガクッ
幸子「ショウコさーーーん!!」
To be continued...
幸子(前回の撮影では散々な目に遭いました)
幸子(なんでも、最初は古い祠で空飛ぶアイテムを手に入れるシナリオだったらしいんですが)
幸子(ボクの華麗なダイビングがTVで流れてから空挺部隊の志願者が増えたとかで、陸上自衛隊の方々がお礼にと協力してくださったそうです)
幸子(つまり、全てボクがカワイかったからこその出来事だったわけです!カワイイって罪ですね!)
幸子(ちなみに、ボクに黙って話を進めていたPさんには遊園地に連れて行ってもらいました。『2周年イベント直前なのに』と泣いていましたがなんのことでしょうか?)
幸子(さて、今回の賊は誰でしょう?そもそも魔王城の周りにいる賊って一体…)
グルルルルル…
珠美「ま、魔物!?」
美玲「どこだ!?姿が見えないぞッ!」
小梅「あ、あれ…」
ぴにゃこら太「グルルルル……」
幸子「なんですか、このブサイクなちっちゃいのは」
珠美「魔王城の近くにしては拍子抜けですな」
輝子「あ、あんまり近づくと危ないんじゃ…」
幸子「こんなのにいちいち怯えていたら先に進めませんよ。さっさと片付けて行きましょう」チャキッ
珠美「ですな。では僭越ながらタマミから参ります」スラッ
珠美「でりゃあ!」
ぴにゃこら太「キシャーー!!」ガブッ
珠美「ぐわあああ!」
美玲「は、速いぞッ!」
珠美「さ、サチコ殿!任せます!」
ぴにゃこら太「シャーー!!」ガブガブ
幸子「うわああ!ショウコさん!」
ぴにゃこら太「フーー!!」ギリリ
美玲「いてて!あっちいけー!」
ウワー ビュンッビュンッ イッタゾー ヒィィ
ぴにゃこら太をたおした!
幸子「に、人間より硬いものは噛めなくて助かりましたね…」
小梅「グラバーズ、大丈夫…?」
イカ(歯型付き)「ワッショイ!!」
美玲「呼び方、戻したんだな」
輝子「この先、こんなのがいっぱいいるのか…ハァ」
~第十話~
美玲「ここが、魔王城…!」
【魔王大学】
小梅「大学?」
幸子「情報によると、ここで魔王軍の幹部になるインテリ系の魔物を養成しているそうです」
幸子「そして魔王軍総帥にして学長が魔王なんだとか」
幸子(今回のロケ地は、移転して無人になった大学です)
幸子(魔王城は山の中という設定でしたが普通に街中です。背景にもビルとか映りこんじゃってます)
幸子(ちなみに、移転先のキャンパスは本当に山の中なんだとか。学生さんもお気の毒に)
珠美「気をつけてください。この城には強力な門番がいます」
珠美「我々はエスパーユッコ殿の力で魔王の前まで一気に進んだので戦わずに済んだのですが、かなりの使い手だという話です」
ザッ
??「あれ、お客様かな?」
幸子「あ、あなたがたは!」
渋谷凛「最近はお客様が多いね」
北条加蓮「まあ、何しろ魔王様だし」
神谷奈緒「ったく、応対も楽じゃねーってのにな」
珠美「彼らが魔王城の門番三人衆、通称『トライアドプリムス』です」
珠美「リーダーのリンはサチコ殿と同じ『輝く世界の魔法』の使い手、という噂さえあります。要注意です」
輝子「これは、強そうだね…」
凛「それで、アンタたちは魔王様に御用があるってことでいいの?」
幸子「そうです!世界の平和のため、魔王を倒しに来た勇者サチコです!」
加蓮「はいはい、人間も飽きないね」
奈緒「じゃあ、タダで通すわけにはいかねーな」
美玲「か、勝てるのか!?」
珠美「彼らに勝てぬようでは魔王など相手にできません!」
凛「じゃあ、残していこうか。サインと料金」
幸子「……は?」
加蓮「少し前まではタダだったんだけど、戦闘で壊れるお城の修繕費がバカにならなくてさ。挑戦者からはお金を取ることになったんだよ」
奈緒「5人だよな?じゃあ500Gな。現金以外に手形も使えるぞ」
輝子「い、意外とリーズナブル」
幸子「えーと、皆さんは門番なんですよね?」
凛「そうだけど?」
幸子「ボクらを追い払うとかしなくていいんですか?」
奈緒「いや、門番ってお客さんの用件を聞いて応対するのが仕事だろ」
凛「料金踏み倒そうっていうのなら相手になるよ?久々に魔翌竜を呼び出すのも悪くないし」
幸子「払います!500Gですね!」
幸子「思ったより安くて良かったです」
小梅「な、なんか、想像と違った、ね…」
珠美「無駄な血を流さずに済んだことを喜びましょう」
美玲「お、ここじゃないか?」
【第3応接室】
輝子「立派な部屋だね…すごく」
幸子「ここで迎えの人が来るのを待てばいいんですね」
―15分後―
小梅「う、梅こぶ茶、美味しい…」
輝子「しいたけ茶まで置いてるとは、思わなかった…フヒ」
美玲「お前さっきせんべいも食べてただろッ!」
珠美「そういうミレイどのはどれだけ食べるおつもりですか!」
幸子「皆さん、少しは緊張感を持ちましょうよ…」
ギャアアアアアア
一行「!?」
輝子「ひ、悲鳴…?」
珠美「第1応接室の方からでしょうか?」
ヤメテクレエエエエエエ
一行「!?!?」
美玲「と、となりの第2応接室だッ!」
幸子「応接室を順番に回っているということですか?」
コンコン
一行「」ビクッ
小梅「さ、サチコちゃん…」
幸子「どうせ逃げ場はありません。覚悟を決めましょう」
幸子「どうぞ!」
ガチャ
諸星きらり「おにゃーしゃー!!!魔王ちゃんの側近のキラリだにぃ!」
一行(あ、終わった…)
きらり「魔王ちゃんは忙しくてわたわただからー、キラリに勝った人だけ会えるにぃ!」
きらり「じゃあいっくよー☆」
ズォォォォォォォォォォ…カッ
きらり「『きらりん☆ビーム!』」
ドオオオオオオオオオオオオオオン
サチコたちは あとかたもなくけしとんだ!
凛「はい、残念でした」
奈緒「また来いよー」
珠美「うぅ…」
美玲「し、死ぬかと思った…」
幸子「死んだんですよ…勇者の加護(という名のご都合主義)で生き返りましたけど」
小梅「死体になっても…戦えるよ?」
輝子「そ、それはやめておきたい…」
美玲「でもどうするんだ?絶対勝てないぞあんなの」
幸子「ふむ、仕方ありません。馬車に待機しているメンバーと交代しましょう」
輝子「馬車、あったんだ…」
幸子「馬車、カモン!」
ブロロロロ
キキーッ
木村夏樹「よう!待たせたな!」ドルンドルン
向井拓海「馬車を引いてきたぜ!」ダッダッダッダッ
原田美世「やっほー!いい天気だね!」
珠美「…ちょっとよろしいですか?」
珠美「貴方は?」
夏樹「馬だ!」ドルルル
珠美「となりの貴方は?」
拓海「見りゃわかるだろ。馬だよ」ダダダッ
珠美「そして後ろの貴方は?」
美世「御者だよっ!」ブオオン
珠美「さ、左様ですか」
輝子「馬、いらないよね…」
拓海「あぁん?」
輝子「スミマセンナンデモナイデス」
美世「で、誰を連れて行く?」
幸子「それでは…」
―第7応接室―
コンコン
幸子「どうぞ」
きらり「あー☆また来てくれたんだねー!キラリはぴはぴしちゃうにぃ!」
きらり「じゃあ行っくよー!きらりん☆ビーm
幸子「ところでこちらをご覧下さい」
杏「Zzzz……んぁ?」
幸子「ヘレンさんパーティーの元メンバーで、先日の戦いの際は岩陰で寝ていたアンズさんです」
杏「んーアメ舐めたい…」
きらり「……Excellent」
杏「げえっ、キラリ!」
きらり「きらりん☆ハーウス!」ガシッ
杏「ぐえっ」
きらり「今日は午後休をいただくにぃ!」ズダダダダ
キラリは しょくむをほうきした!
幸子「よし、側近を倒しました」
小梅「い、いいのかな…」
珠美「タマミの中にある勇者のイメージが崩れてゆく…」
幸子「さあ、次はいよいよ魔王戦ですよ!」
To be continued...
幸子(長い戦いでした…)
幸子(こんな雑で行き当たりばったりなドラマなのに、毎週応援メッセージをくれる人もいると、Pさんが言っていました)
幸子(ならば、カワイイボクには応援に応える義務があります。最後の戦い、勇者としてもアイドルとしても負けられません!)
~最終話~
―最上階―
【学長室】
輝子「こ、ここに魔王が…!」
美玲「側近であの強さだろ?ウチらで勝てるのか?」
珠美「魔王の力は未知数です。何しろ、我々は姿を見た瞬間に洗脳されたのですから」
珠美「とにかく、強力な魔法の使い手であることは間違いないでしょう」
幸子「そして、外見が白い。分かっていることはそれだけですね」
小梅「だ、大丈夫、かな…?」
幸子「大丈夫です!むしろ、ボクらが戦力で勝っていたことがありましたか?」
小梅「……ない、ね…」
輝子「よ、よく、ここまで来れたよね…」
幸子「でもひとつだけ、どんな相手にも負けていなかったものがあるでしょう?」
輝子「う、うん…!仲間のだんけt
幸子「そう、カワイさです!」
美玲「」ズルッ
幸子「ついでに仲間との絆もボクらが一番です!」
輝子「お、おう」
珠美「勇者とは一体…」
幸子「と、冗談はこの辺にしておきましょう」
美玲「どっちが冗談だ?前だよな?前の方だよな?」
幸子「さあ行きましょう!これが最後の戦いです!」
ギィィィィ…
??「……」
ゴオッッッ
美玲「うおっ!」
幸子「今です!」
幸子「ボクはカワイイ!ボクはカワイイ!ボクはカワイイ!ボクはカワイイ!ボクはカワイイ!ボクはカワイイ!」
小梅「呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ呪われよ…」
輝子「キノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコキノコォォ!!」
美玲「ガオオオオオーッ!!ワオオーーーン!!」
珠美「明鏡止水常住戦陣知行合一義を見てせざるは勇なきなりぃ!!」
一行「はぁ…はぁ…」
??「……?」
幸子「要は魔王の意志が入り込む隙間が無いくらい頭をいっぱいにしていればいいんです!」
珠美「心に隙間があったとは武士として一生の不覚…ですが今のタマミに隙はありません!」
美玲「さあ、姿を見せろ!魔王!!」
??「……」
ザッ
こずえ「…………」
輝子「し、白い魔王…」
幸子(そう、魔王役は新人の遊佐こずえさんです。Pさんも大抜擢と言っていました。)
幸子(普段のイメージは魔王とはかけ離れていますが、果たして…?)
こずえ「誰の許しを得て我が眼前に立つ?矮小なる人の子よ」
一行「!?」
こずえ「我が威容に声も出ぬか。洗脳を弾いた割に脆弱な精神だ」
幸子(初仕事で、台本を一目見ただけで覚えた才能は伊達じゃないってことですか)
幸子(いいでしょう。ならばこちらも先輩の威厳を見せるだけです!)
幸子「ふふん、ボクのカワイさは貴方ごときの姿ではかすみもしませんよ!」
幸子「希望を背負った勇者として、この世に降り立った天使として!魔王、その命を貰い受けます!」
こずえ「愚かな…大人しく我が治世を享受すれば命までは取らずにいたものを…」
ゴゴゴゴゴゴ…
こずえ「『焼き尽くせ、炎よ』!」
幸子「『輝く世界の魔法』!」
ガガガガガガガッ
こずえ「ほう、炎は互角か…」
珠美「魔王、覚悟!」ビュッ
こずえ「遅い…」ヒョイ
珠美「かわされた!?」
小梅「ぐ、グラバーズ…!」
イカ「ワッショイ!!」バッ
こずえ「弱い…」ベシッ
イカ「」ピクピク
こずえ「勇者以外はあまりに不甲斐ないな…ならば」
珠美「! サチコ殿!もう一度貴方に絞って洗脳をかけるつもりです!」
珠美「先ほどのような小細工は通用しませんぞ!」
幸子「ならばその前に決めるまでです!」ダッ
こずえ「間に合うと思うか。『我が傀儡とな
美玲「ガオオオーーーッ!!」
輝子「ヒャーーーッハァァァーーーー!!」
こずえ「」ビクッ
こずえ「大声で集中を…!」
幸子「決まりです!」バッ
こずえ「くっ、こんなことでえええ!!」
マキノ「魔王様!!」ビュンッ
幸子「!?」
ズバッ
マキノ「ぐうっ」
珠美「女性が絨毯に乗って飛んできた!?」
美玲「ヤバい、魔王に攻撃が当たってないぞッ!」
こずえ「ククク…よくやったぞマキノ」
幸子「ううっ」
こずえ「『我が傀儡となれ、勇者よ』」
幸子「…………」
輝子「さ、サチコ…?」
幸子「ふふ…」
幸子「ふふふ、魔王も大したことないですね!」
美玲「サチコ!大丈夫かッ!?」
幸子「ボクを誰だと思ってるんです?あの程度、どうということはありません」
幸子「魔王、恐るるに足らず!ミレイさん、コンビネーションを仕掛けますよ!」
美玲「おう!」
幸子「では」チャキッ
珠美「!? ミレイ殿、危ない!」
美玲「え?」
ズバッ
幸子「ふふん」
美玲「な、なんで…」ガクッ
幸子「まったく、ビーストテイマーは脳みそも動物並なんですか?こんな手に引っかかるなんて」
幸子「まあ、使役獣もまともに扱えないテイマーじゃこんなものですかね!」
小梅「さ、サチコちゃん…?」
珠美「近づいてはいけません!今の彼女は魔王の傀儡です!」
こずえ「クク、かつての戦友を斬れるか…?もっとも、貴様らの戦力では今の勇者は倒せんがな」
幸子「貴方がたのような、地味で可愛げの無い人間とつるむのもうんざりです」
幸子「ボクの引き立て役くらいにはなるかと思いそばに置いていましたが、魔王様という最高のパートナーを得た今、貴方がたに用はありません」
幸子「今までご苦労様でした。『輝く世界の魔法』」
ドドドドドドドドド
輝子「ヒィィ」
珠美「くっ、目を覚ますのですサチコ殿!」ダッ
ガキッ
珠美「ぐぐぐ…」
幸子「軽いですねぇ」ブンッ
珠美「うわっ」
幸子「ふん、ヘレンさんとは大違いですね。さぞ足を引っ張っていたのではありませんか?」
珠美「ま、惑わされませんよ!今の言葉は魔王が言わせているだけです!」
幸子「ふん、現実も直視できませんか。つくづく嫌気が差しますね!」
幸子「あの世でヘレンさん達を待って謝りなさい!」チャキッ
小梅「さ、させない…!」
イカ「ワッショイ!!」ガシッ
幸子「なっ、は、離せ!」
美玲「一旦逃げるぞ!タマミ、立て!」
珠美「ミレイ殿!大丈夫なのですか!?」
美玲「あの剣、ナマクラだからな!」
輝子「こっち、こっち…!」
タッタッタッ…
幸子「くっ、イカが離れない…!」
こずえ「逃がしたか…」
幸子「申し訳ございません魔王様!」
こずえ「曲りなりにもキラリを退けた勇者の仲間だ。確実に息の根を止めよ」
幸子「はっ!」
―城下―
輝子「で、出られた」
珠美「あの短時間で外に通じる小径を見つけるとは、さすがですショウコどの!」
美玲「でもどうする?いくらなんでも相手が悪すぎるだろ」
小梅「ぐ、グラバーズも、おいてきちゃった…」
珠美「魔王の洗脳は普通の薬では解けず、打突で気絶させるしかないのでしたか」
輝子「う、うん…だから、みんなに協力してほしい…」
美玲「作戦があるのか?」
輝子「危険な手、だけど…」
小梅「や、やる…!」
珠美「タマミもです!」
美玲「やらなきゃおしまいだもんな!」
輝子「じ、じゃあ、まずは…」
幸子「彼女らの足は速くない…そう遠くには行っていないはず」
幸子「体力の低さを考えても、一旦どこかに隠れていると考えるのが妥当でしょう」
幸子「ワイバーンと合流されると厄介ですが…」
ガサッ
幸子「!そこの茂みですか!」
ガサッ ガサッ
幸子「逃げても無駄です!」ダッ
ガサッ ガサッ ガサッ
ガサガサッ
幸子「くっ、思ったより速いですね!ボクの足がダメージで鈍っているんでしょうか」
ガサッ
幸子「! そこ!」ズバッ
カラン
幸子「これは…丸太に紐を付けて引っ張っていただけですって!?」
珠美「今です!」バッ
美玲「おおっ!」バッ
輝子「ヒャッハー!」バッ
幸子「……と言うと思いましたか?」ヒョイ
幸子「ふん、あんな子供だましに騙されるとでも」
珠美「うおお!」
バフッ
幸子「な、なぜ地面を叩いて…粉?」
輝子「あ、足元をよく見てみるといい…」
幸子「これはキノコ?こんなものが何の…うっ、頭が…!?」
輝子「私がサチコたちに同行した、最初の理由…覚えてる?」
幸子「」ハッ
幸子「万病に効く、魔法のキノコ…!」
輝子「ふ、普通の薬でダメなら…普通じゃない薬を飲ませればいい…」
輝子「キノコの胞子で元に戻れ、サチコ…!」
幸子「う、うわああああ!!」
―魔王城・謁見の間―
こずえ「」ウトウト…
こずえ「うむ?」
幸子「魔王様、ただいま戻りました」
こずえ「して、首尾は…上々のようだな」
幸子「ええ、この通り」
小梅「」
輝子「」
美玲「」
珠美「」
こずえ「クク…『輝く世界の魔法』の使い手もこれで2人目…。着実に世界は我がものとなりつつある」
こずえ「これからの働きにも期待しているぞ?サチコよ」
幸子「ところで魔王様、お耳に入れたいことが」
こずえ「どうした」
幸子「間諜のおそれがありますので、お近くに…」ススッ
こずえ「ふむ」
幸子「……『輝く世界の魔法』!!」
ガガガガガガガガッ
こずえ「ぐ、ぐああああああ!!」
幸子「はああ!」
ギンッ ギギギギギ…
こずえ「ぬぅ…!」
幸子「よくもボクにあんな真似をさせてくれましたね!許してもらえると思わないでください!」
こずえ「何故だ…貴様は蒙昧な国王に否応なしに送り出されただけの勇者のはず…!」
こずえ「それがなぜ、ここまで立ち上がれる!」
幸子「ボクは世界の光です!ボクが照らす世界に、争いごとなんて似合いません!」
幸子「だから、ここで争いの元凶を断つためにボクは何度でも立ち上がります!」
こずえ「戯言を…我が消えたとて人の世から争いはなくならぬ!勇者ごときが思い上がるな!」
幸子「ボクらは旅の中で、いろんな人に会いました」
幸子「中にはボクらよりずっと強い人もいましたが、争いを好まず、自分の小さな幸せと大切な人を守るために力を使っていました」
幸子「しかしこのまま魔王の進撃を許せば、彼女らも戦わざるを得なくなります!そんなことはさせない!」
こずえ「力を持つ者が戦うのは当然だ!」
幸子「力を持っているというだけで戦場に送られるなんて間違っています!」
幸子「全ての争いは無くせなくても、そんな人たちを戦わせないために勇気を持って前に出る者。それが勇者なんです!」
こずえ「勇気で民がまとまるのなら王などいらぬわ!」
幸子「王であろうと、人の心を踏みにじることはゆるされません!」
こずえ「稚拙な理想論を並べるな!『焼き尽くせ、炎よ』!」
珠美「させません!」ガシッ
輝子「ヒャッハァァ!!」ガシッ
こずえ「き、貴様らあああ!!」
幸子「世界が平和にならなくても、少しでも前に進むために!」
幸子「魔王!覚悟!!」
ザンッ!!
こずえ「わ、我の、野望が…」
まおうを たおした!
~エピローグ~
―王国近くの海岸―
幸子「終わりましたね…」
美玲「なんか、終わってみればあっけなかったな」
輝子「で、でも、確かに、勝った…」
珠美「ええ、我々の勝利です!」
小梅「み、みんな、これから、どうする…?」
幸子「ボクはいったん王国に帰ったあと、全国カワイイ大会優勝者として世界を周ろうと思います」
幸子「本来、ボクが世界を平和にするっていうのはそういう方法でですから!」
輝子「わ、私は…ノノと遊びに行きたい…」
美玲「ウチは今度こそ相棒を探しに行く!あとサメも見つけるぞッ!」
小梅「し、死霊の研究…しようかな…」
珠美「全国を行脚し、剣の道を極めたいと思います!」
幸子「ふふ、見事にバラバラですね」
珠美「しかし、我らの心はひとつです!」
輝子「ま、また、一緒に旅、しようね」
美玲「まあ、たまには一匹狼をやめて付き合ってやるよッ!」
小梅「た、楽しみ…」
幸子「おっと、ボクはここでお別れです」
幸子「それでは、またいつか!」
幸子(モノローグ)「こうしてボクらの旅は終わり、世界は少しだけ平和になりました」
幸子(モノローグ)「しかしこの半年後、後に『血のバレンタイン事件』と呼ばれる事件が起こり、ボクらは再び戦いに身を投じることになります」
幸子(モノローグ)「……と、言っておけば劇場版が作られたり、このSSがまとめサイトに載ったりするかもしれないので」
幸子(モノローグ)「一応言っておく次第です」
幸子(モノローグ)「では、また会う日まで」
幸子「勇者サチコと魔王の城」
完
くぅ疲(様式美)
拙作ながら最後まで読んでくださり、ありがとうございました。
初投稿で色々戸惑いましたが、以上で完結です。
なんとか幸子の誕生日のうちに投稿しようと急いだ挙句、日付をまたいでこんな時間になってしまいました
ともあれ、無事に書き終えたので明日も憂い無く頑張ろうと思います。
何か質問、叱咤などありましたら受け付けますのでどうぞ
ヨシヒコっぽいと言っていただけて嬉しいです。
・無駄に豪華な友情出演
・強引だけど意表をつく伏線
・中の人ネタ
など、ヨシヒコの要素をなるべく再現しようと頑張った甲斐がありました。
あ、言うの忘れてた
幸子、誕生日おめでとう!!
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