桜「夏希ちゃん! トリックオアトリート!」 夏希「……遅っ!?」 (143)

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夏希「牡丹センパイと仲良くなりたい?」 朱雀「……うん」
夏希「牡丹センパイと仲良くなりたい?」 朱雀「……うん」 - SSまとめ速報
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──部室──

夏希「いやハロウィンって10月の終わりでしょう? 出遅れなんてレベルじゃないんですけど……ほら、今もスレタイ見ただけで失笑されちゃってるじゃないですかぁ!」

桜「まあまあ落ち着いて夏希ちゃん。これにはちゃんと理由があるんだよ……ほらコレ見て!」

夏希「11月20日についに発売になった待望のBD3巻の表紙ですか?」

牡丹「私たちがお菓子製作に勤しんでいるな」

夏希「桜センパイが蛍光灯振り回して、牡丹センパイが生地ごと机を破壊する寸前の光景ですね」

桜「ほら、いたずらとお菓子が揃ってるじゃん!」

夏希「うーん…ちょっと無理やりな解釈のような気が……」

桜「それに、遅れたのにはもう一つ立派な理由があるんだよ!」

夏希「一応聞いてあげます」

桜「ガンガンオンラインで公開された最新話でも、ハロウィンネタを扱ってない!」

クレア「原作と被らないように配慮してからの踏切り……さすが桜さん、部長らしい配慮ね♪」

夏希「いや別に被ったって誰も気にしないでしょう! どんだけ自意識過剰な配慮なんだよ!」ビシッ

牡丹「それに納期が遅れるのは公式でもよくあった事……むしろリスペクトともいえるんじゃないか?」

夏希「ああ、それなら大丈夫ですね♪ ってそれはリスペクトじゃなくてdisってるって言うんだよ!」ガーン

全員(ノリツッコミだ……)

花梨「わかりました。じゃあ、ハロウィンって何をすればいいんですか?」

桜 「……」

花梨「何をすればいいんですか?」ニコニコ

桜 「……」アセタラリ

牡丹「コイツ今気づいたって顔してるぞ!?」

桜 「え、ええと……お菓子くれなきゃいたずらしちゃうぞって……」

夏希「それはもう聞きました」

桜 「あ、あううっ……」オロオロ

桜 「と、とにかく、何でもいいから楽しい事をしたいのー! 夏希ちゃんのくせに生意気だぞー!!」ジタバタ

夏希「毎スレちょっと困る度に床でじたばたすんのやめてくださいよ」

クレア「宇宙からきたいかがわしい謎の生物がエントロピーを……何とか……するのよね?」

夏希「地球のお祭りですから! 物理学に何の引き出しも無いから話広がらないし! いくら人気だからって他作品ネタを無理やりぶっこんでくる意味あるのかー!?」

牡丹 「何でも知ってるインターネッツさんによると、毎年10月31日に行われる、古代ケルト人が起源と考えられている祭りのことらしいな」

牡丹「秋の収穫祭と死者の日が融合したのが元で、悪霊などを追い出す意味合いもあったようだが、現代では主に仮装をして練り歩く民間行事として定着しているとのことだ。要するに、死者の祭りということだな」

夏希「例によって後半だけ流暢な説明になりましたね……」

桜 「よし分かりました! じゃあまずみんなで仮装をします!」

夏希「いきなり言われたってそんな用意してな」

クレア「大丈夫、こんなこともあろうかとありとあらゆるコスプレ衣装は常備してあるの♪」

夏希「この人手回し良すぎだよ!」ガガーン

カボチャ牡丹「これ頭が重いんだが」

幽霊桜「うーらーめーしーやー」

狼耳花梨「何でワンちゃんの耳なんですか?」

魔女クレア「それは狼耳よ。狼男ならぬ狼花梨さんね……可愛い♪」ギュウッ サワサワ

ヤァンッコンナトコデサワサワシチャダメデスヨー マアマアイイジャナイ ウフフ♪

吸血鬼夏希「さっそくいちゃつかないでくださいよ」ハァ……

夏希「で、仮装して何すればいいんですか?」

桜 「ここはお化けつながりで、百物語その2をやろう! 怖い気分が盛り上がった所で、続いて夜の校内で肝試し!」

夏希「ハロウィンとだんだんかけ離れてってませんか……あ、でもその企画、若干一名問題があるような気が……」

クレア「か、花梨さん! しっかりしてー!」

花梨「」ブクブク

牡丹「企画内容を聞かされただけで花梨が意識を失ったぞ!!」

夏希「怪談ネタのスレを開くこともできない花梨なら、まあそうなるよね……」ハァ

桜 「ガチな怪談だと花梨ちゃんが参加できないなぁ……どうしよっか?」
  
「夢の話とか……」

桜 「ああ、それいいかもね。じゃあ、自分が見たちょっと怖い夢の話にしよう!」ウン




花梨「あわわわ……」ガタガタ

夏希「部室暗くしてロウソク立てただけで、既に雰囲気にやられちゃってますけど大丈夫なのかな……」

クレア「大丈夫よ花梨さん! お姉さん兼婚約者の私が付いてるわ!」ギュウ

夏希「結局姉なのは譲らないんですね」

牡丹「まあ桜が満足するまで付き合うしかないな……最初は誰からいく?」

──桜の夢──

桜「アイドルデビューしよう!」

レイナ「突然だが、帰宅部の皆に折り入って相談したいことがあるんだ」

桜 「た、高円レイナ! 突然出てきてなななな何のつもり!? 私の夏希ちゃんを奪うなんて絶対させないからね!?」ギュウッ!

夏希「ちょっ、勝手に自分の扱いしつつ抱きついてこないでくださいよ!///」グイグイ

クレア「この部活を取り潰そうという陰謀なら、九重財閥の総力を挙げて粉砕するわよ……」ギラン

牡丹「勝手な他流試合は禁じられているが、いざとなれば実力行使も厭わないぞ……」ゴゴゴ

レイナ「時系列的に関係の無い過去スレの遺恨を持ち出さないでもらえないかな……」ハァ

花梨「それで、相談って何なんですか?」

レイナ「実は、この学校が廃校の危機に晒されているんだ」

全員「」

全員「……な、何だってー!?」ガガーン

クレア「で、でも一体何故?」

桜 「むー……会長の使い込みがバレたとか……?」

夏希「会長の女癖が悪すぎて、PTAで問題になったとか」

レイナ「あくまで私を悪者にしたいみたいだね君たち!」ピキッ

レイナ「悪いが私自身の素行や性癖が表ざたになったわけじゃないんだ」

夏希(あれ? 今根元から否定すべきとこだったんじゃ……)

レイナ「まず一番問題になっているのが、度重なる校舎と、グラウンドの破壊!」

牡丹「何!? そんなテロ行為に及んだ人間が、この学校にいるだと? 許せんな……!」ギリッ

夏希「いやそれ明らかにアンタが犯人だったろー!?」ガーン

クレア「でも、破壊された校舎はすぐにうちの出資で修復しているから学校に実質被害は無いはずだけれど……」

レイナ「金銭面はね。だが近隣住民の声というものがあってだね……」

全員「あー……」

レイナ「後は公園で謎の怪文書が書かれた色紙が飛び交ったり、無許可の拘束爆発マジックが行われたり、コーヒーの空き缶が宇宙に打ち上げられたり……」

夏希「って、全部うちの部活が原因かよ!?」

クレア「まさか、お金で解決できない事がこの世にあっただなんて……」ワナワナ

夏希「アンタが言うとことの他イラっとするな」

レイナ「とにかく、何とか近隣住民の皆さんの心証を良くしないと、この学校は来年3月で廃校になってしまう。私もできる限りサポートするから、君たちも責任として何かいいアイデアを出してほしいんだ」

花梨「そ、そんな……なっちゃんや先輩達との思い出の場所が無くなっちゃうなんて、いやですぅ……」シクシク

クレア「花梨さん……」ナデナデ

牡丹「ううむ……そういわれると何とかしたいが……」

夏希「急に言われてもいい考えなんて思いつかないですよ……」

桜 「……」スック

桜 「分かりました! 私に、いいアイデアがあります!」キラーンッ!

花梨「あいどるでびゅー……ですか?」

桜 「そうそう、このパソコンの動画見て!」

クレア「ああ、近頃話題になってるスクールアイドルってやつね?」

桜 「この子達も廃校の危機に立ちあがって、アイドル活動で学校を救おうとしてるんだよ! だったら私たちにもできるんじゃないかなーって!」

夏希「アンタの脳内には自信の泉が湧いてるのか」

レイナ「ふむ、しかしアイデアは悪くないんじゃないかな? スクールアイドルは社会的にも認知されているし、アピール力も期待できる」

クレア「夏希さんと花梨さんのアイドルデビュー……素敵だけれど、世間の邪な目に晒されないように、ライブも関連グッズも全部九重で買い占めるよう手配をしておかないと」ピッピッ

夏希「それじゃあ意味ないだろ!」ビシッ

牡丹「四人組のユニットか……まず名前を考えないとな」

花梨「桜先輩、プロデューサーよろしくお願いしますね!」

桜 「え? 何で私最初から除外されてんの!?」ガガン

クレア「だって万一美少女には見えない爆弾を仕掛けられたら、解除できる人間が必要じゃない♪」

桜 「ギルティジャッジの一件めちゃくちゃ根に持たれてる!?」

◇◇

のワのアザラシ「廃校ですよ、廃校!」

◇◇

夏希「いきなり活動内容じゃなくて名前から入るんですか?」

レイナ「しかし名前があった方がイメージしやすいってことはあるかもしれないな」

桜 「使い回しネタだから、”Re: u's(リユーズ)”とかどう?」

夏希「使い回し認めちゃったよこの人! 中古品って意味はいろいろマズイでしょ!」

クレア「"シンデレラガールズとその義理の母と連れ子"とか」

夏希「いろいろ余計なのが付いてる! そのユニット確実に仲悪いでしょ!?」

牡丹「”金太郎小町”はどうだ? ステージ上でクマをまさかりで成敗すれば、話題になるぞ!」ドヤッ

夏希「発想が殺伐としすぎてるよ! 確実に怖いところからクレーム来ちゃうし!!」

花梨「うーん、うーん……”放課後帰宅タイム”は?」

夏希「アイドルから離れちゃった! ていうかいい加減パクリネームは止めましょうよ!!」

桜 「もう夏希ちゃんてば、ダメ出しばっかしてないで」

牡丹「意見を出してない夏希のネーミングセンスに期待したいな」ニヤ

夏希「あ、あう……えっと……えっと……あ、そうだ! ”帰宅部 XENO」
牡丹「空気清浄語(エア・リフレッシュ・ロゴス)!!」


アザラシ「イミワカンナイ」

†黒歴史浄化中†

夏希「と、とにかく! ユニット名は後にして、活動内容を先に考えましょうよ!」アセアセ

クレア「アイドルの活動っていうと、歌を歌ったり、ダンスをしたりっていうのがメインかしら」

桜 「Wer reitet so spat durch Nacht und Wind~♪」

夏希「早速魔王を歌いだしてますけど、さすがにアイドルの曲でそれは厳しいんじゃないですか」

クレア「でも著作権的な問題になると、九重グループの力でも少々厄介かもしれないわ」

牡丹「帰宅部活動記録のサウンドトラックに収められているキャラソンはみんな素晴らしい出来なのに使えないのは残念だな……」

花梨「BD3巻には未収録曲のワクワクDays全員バージョンフルサイズも同梱されていて大好評なのに、残念ですね……」シュン

夏希「ここぞとばかりステマをぶっこんできてるのはいいとして、今からオリジナル曲ってなると……」

──学校のステージ上──

桜 「きき今日は、私たち”帰宅部活動中”のライブに来てくれてああありがと~~(震え声)!」

 ワァァァァ!

夏希「センパイ、緊張しすぎですよ」コソッ

桜 「そそそんなこといわれたって……」アセアセ

クレア「私たち、この日のために頑張って練習してきたんじゃない」

牡丹「部長として……いや、アイドルユニットのセンターとして、ビシッとしてくれ」

花梨「絶対うまくいきますよ! 頑張りましょう!」

桜 「う、うん。そうだよね……!」キリッ

桜 「それでは聞いてください! 私たちのデビュー曲”断末魔とトライアングルとカスタネットのアンサンブル”!」

花梨「たん、たん、たん、たん♪」カスタネット!

クマ「みぎぇぇぇ~~!」ダンマツマ…

花梨「たんたんたんたん♪」

クマ「ぐぼぅぇぇぇ……!」

夏希「ちーん♪」トライアングル!


観客「」

桜 「ってちょっ! 観客の人たちが全員帰っていくんですけど!?」

夏希「まあ当然の反応ですよね……」ハァ

桜 「2レス前の会話何だったの!?」ガビン

クレア「私としては花梨さんと夏希さんのアイドル衣装姿が見られたから十分満足だわ♪」

花梨「クレア先輩もとっても可愛いですぅ……」ポワァ

牡丹「おいこのクマどこに片づければいいんだ?」

桜 「」

桜 (な、何でこんなことにぃ~!?)





アザラシ「ワケワカンナイ」

──舞台袖──

レイナ「……これで決まったな……皆の転校先の手配を始めた方がいいようだ……」

桜 「そ、そんなぁ……」orz

クレア「お二人さん、まだ諦めるには早いわよ」スマホピッ

 ドォォォンッ!!

牡丹「な、何だ!? これは……砲声?」

花梨「はっ! 校庭に自衛隊の誇る10式戦車が中隊規模で隊列組んで入ってきただと!?」ヌゥッ!

夏希「何で一瞬で見分けられんの花梨!?」

クレア「廃校の危機を救う手段は、スクールアイドルだけじゃないわ」

桜 「ま、ま、まさか……」

ズゴゴゴゴゴッ!

夏希「何ですかこれ地震!?」

牡丹「いや、この揺れは……」

クレア「校舎の学園艦化作業も完了したようね……このまま一気に海まで出るわよ!」

夏希「なるほどー、そういうことですかー。さすがクレアセンパイ!」

クレア「さあ桜さん、帰宅部改め戦車道部活動記録、開始するわよ!」

ドゴォォォンッ!

桜 「待って待ってもうご近所迷惑ってレベルじゃないよ! これじゃご近所が爆散しちゃう!」ギョッ

桜 「やめて止めてぇぇぇー!!」

◇◇

アザラシ「帰宅部・ハイ!」

◇◇

桜 「って感じかなぁ、私の夢は!」

全員「……」

桜 「あ、あれ? 感想とかは? 夏希ちゃんもツッコんでいいんだよ?」

牡丹「いや改めて思ったんだが、人の夢の話なんて聞かされても微妙だよな」

クレア「それに他作品が関わってるとツッコミづらいわよね」

桜 「えええーっ!? それさんざんレス消費する前に言ってよぉ!!」

夏希「まあツッコミはともかくとして……スクールアイドルですか。最近桜センパイ、いつもその子たちの動画見てましたもんね。アタシのメールへの返事が平均7分21秒遅れるぐらい」

夏希「可愛い女の子たちのステージ見て、だらしなく鼻の下伸ばしちゃって……それで夢にまで出てきたって訳ですか……」ギリッ

桜 「ひいっ!? ちっちが……ただ私は、純粋にあの子達の心意気に感動してだねっ……」ガタガタ

夏希「本当に手のかかるセンパイですねぇ……もう一度、自分の立場ってものを思い知らせてあげないといけないかな」マグロメ

桜 (しまったぁぁぁ!? またしても夏希ちゃんのドSスイッチがオンになっちゃってるぅぅ!?)ゾクゥ

牡丹「性懲りもなく桜がまた地雷を踏んだみたいだぞ」

クレア「夏希さん、とりあえず話を進めるのが優先だと思うの。桜さんへのお仕置きは後回しにしておきましょう?」

桜 「フォローの仕方がおかしい! それ問題先送りにしてるだけだよね!?」ガーン

桜 (ううう……私はただ、スクールアイドルのツインテールのセンパイとドライな感じの後輩の組み合わせが仲良さそうでいいなぁって思って見てただけなのにぃ……)シクシク

──牡丹の夢──

牡丹「川越デート?」

桜 「ねぇねぇ牡丹ちゃん! 今日の活動はちょっと遠出してみない?」

牡丹「ああ、それは構わないが……どこに行くんだ?」

桜 「”蔵の街”小江戸こと、川越!」

牡丹「なっ……まさか、埼玉県……あの秘境に足を踏み入れようというのか……ジャングルに対応した装備が必要だぞ!?」

桜 「うん、埼玉県disるのもほどほどにしておこうね? 地元の人が見てるかもしれないからね?」アセ

牡丹「しかしまた何で急に川越なんだ」

桜 「何でだろ……ただ、何か急に干し芋を消滅させたくなって……川越って芋菓子が名産だっていうから」

牡丹「へぇ……私はてっきり、カードで人形でも呼び出す戦いでも繰り広げることになるのかと思ったぞ」

桜 「よく分かんないけど、牡丹ちゃんなら確実に生身で人形よりも強いよね」



へっぽこアザラシ「アウェイキンッ!」

牡丹「どうやって向かうんだ?」

桜 「川越には、JRと東武線、西武線が通じてるんだけど……時間的にはおおむね池袋から東武線に乗り換えるのが一番早いかなぁ。荻窪からなら1時間ぐらいだね」

牡丹「案外近いんだな」

桜 「そう、そういう交通事情だから、池袋では川越含む埼玉県民にエンカウントする率が高いと言われているんだよ!」

牡丹「そういえば、最近横浜までの直通線が開通したって話も聞いたな」

桜 「噂によると、その影響で横浜でもエンカウント率高くなってるみたいだよ?」

牡丹「世界のグローバル化は確実に進んでいるんだな」

──川越駅 駅前──

桜 「とうちゃーく!」

牡丹「何か普通の街並みって感じだが」

桜 「インターネッツさんによると、この辺は戦後に発達した区画なんだって。こっから巡回バスに乗って、観光の見どころに行けるんだよ」

牡丹「レトロな感じで雰囲気あるバスだな」

桜 「1日乗車券もあって乗り放題だからお得だね!」

ブロロ……

──蔵づくりの町並み──

牡丹「お、何だか江戸って感じの風景になってきた。黒い屋根と白い壁の重厚な作りの建物がシックでいい」

桜 「ここが川越を象徴する蔵通りだよー」

牡丹「江戸時代からの町並みが残されているのか?」

桜 「残念ながら、明治に大火事があってほとんど焼けちゃったみたいなんだよね……ただ、頑丈な作りの蔵は一部火事にも焼けないで残ったみたい。その後、観光の名所にするために再建されたのがこの辺りの区画ってことだね」

牡丹「石畳の通りとかも風情があっていいな」

桜 「大正浪漫夢通りだね。NHKドラマの舞台にもなったりとか、夜の女と日本人マフィアが活躍するゲームでも、日本人街の背景として使われてたりするよ」

牡丹「ロマンに夢か……なかなか詩的なネーミングセンスだな!」

桜 (牡丹ちゃんのテンションが上がってきた)



戦地帰りあざらし「パスタ食べたい」


桜 「ここが川越のシンボルとして名高い、時の鐘だよ!」

牡丹「上には登れないのか……残念だな」

桜 「今でもちゃんと鐘は鳴るみたいだけどね。 あ、紫芋ソフトクリームだ! 半分こして食べない?」

牡丹「あ、ああ、構わないが……干し芋を食べるんじゃなかったのか?」

桜 「ぺろぺろ……うーんおいしー! このなめらかな舌触りが最高だよー! はい牡丹ちゃんも!」サシダシ

牡丹「う、うえぇっ!? (か、間接キス……)///」

桜 「ほらほら早くしないと溶けちゃうよー」

牡丹「わ、分かった……///」ペロ

桜 「蔵造りの通りを更に進むと、菓子屋横丁があります!」

牡丹「意外に狭い範囲なんだな。すぐに歩けてしまう」

桜 「でもお店はたくさんあるよ! そして念願の干し芋げっとー!」

牡丹「昔の駄菓子屋っぽい雰囲気もあって、子ども連れとかも多いな」

桜 「甘味処とか手作りのパン屋さんとかもあるね」

牡丹「それから思ったんだが、やけにうなぎ屋が多くないか?」

桜 「昔は海で取れる魚は鮮度の問題で食べられなかったからね。川で獲れるうなぎが名物になったんだって」



アザラシ「かば焼きアザラシ」ジュージュー

──喜多院──

牡丹「それにしても、神社仏閣が多い街なんだな」

桜 「そうそう、特に喜多院は大きなお寺さんだね。見て見て! 一面の紅葉!!」

牡丹「おお……素晴らしい」

桜 「この時期しかみられない、日本の風景って感じでしょ?」

牡丹「観光地と聞いてイメージするほど、人は多くないんだな。でも逆に侘び寂びを感じられて良い雰囲気だ……」フム

桜 「わびさび……わび……さび……」ピコーン

牡丹「!!」

牡丹(まさか……言う……のか?)

桜 「わびさびってわさびと何か似てるね!!」ドヤッ

牡丹(言っちゃったー!?)

牡丹「ていうか今のボケとしてもかなり雑だな! いらなかったんじゃないかこのくだり」

──川越氷川神社──

牡丹「最近は日が落ちるのが早いな……」

桜 「というわけで今日最後に巡る川越観光スポット、氷川神社です!」

牡丹「あれ、氷川神社ってここなのか? 東京にあったような気がしたんだが……」

桜 「正確に言うと、大宮にある総本社の分社の一つだね。分社は200近くもあるらしいから、東京にもあるっていうのは間違いじゃないよ~」

ギュッ!

牡丹「うわっ! な、何で急に腕組んでくるんだ……? ///」ドキン

桜 「だって、ここって縁結びの神社なんだもん。だから雰囲気出してみよーかなって」ニコニコ

牡丹「だ、だからって、おまえなぁ……///」カァァ

桜 「あれれー、もしかして牡丹ちゃん照れてるぅ?」ニヤニヤ

牡丹(こ、こいつ分かっててやってるのか……?)

 パァッ…

桜 「あ……石畳の道がライトアップされてて……」

牡丹「幻想的な光景だな……」ボーッ

桜 「ここって神前結婚式もやってるから。結婚するカップルが通る道なんだね」

牡丹「なるほど……」

桜 「ねぇねぇ、ちょっと歩いてみようよ!」グイグイ

牡丹「おい、ちょっ……!」

桜 「ねぇ牡丹ちゃん、今日の川越デート、どうだった? 楽しかった?」コトッ

牡丹(うわぁ! 桜が肩に頭を載せかけてきて……まるで本当のカップルみたいな気分に……///)

桜 「……ねぇってばぁ」ジッ

牡丹「あ、ああ……とても楽しかった///」ドキドキ

牡丹「ありがとう、桜……おまえといると、ワクワクしたりドキドキしたりすることばかりで退屈する暇も無い」

牡丹「ときどき悪い方向にドキドキさせられることも多いけどな」ハハハ

桜 「むぅーっ……ひどいなぁ」

牡丹「今度はクレアや夏希たちとも一緒に来たいな」

桜 「クレア? 夏希? 誰それ」

牡丹「……え? 何言って……まさか帰宅部の部員の名前を忘れたわけじゃないだろう?」

桜 「牡丹ちゃんこそ何言ってんの」

桜 「帰宅部の部員は私と牡丹ちゃん、二人だけじゃない」

桜 「変な牡丹ちゃん」アハハ

牡丹(あれ……そうだった……か……?)

桜 「私には牡丹ちゃんさえ居てくれれば、他の部員なんて必要ないんだよ」

桜 「これからもずっと一緒に居てくれるよね」

桜 「二人だけで、ずっと一緒に……」グイ

牡丹(あ……あ……)

牡丹(桜の顔が近づいて……)

桜 「ね……約束の証が欲しいなぁ……私……」スッ

牡丹「さ、桜っ……///」

◇◇

「先輩としての威厳を示すために、キャラ作りしてみたよ!」

「入部を許可します!」

「ゆずらないよ、一人だって……!」

◇◇

牡丹(違う)

牡丹(これは、本当の桜じゃない)

牡丹(本当の桜の気持ちじゃない……!)

牡丹「ばっ!」

桜 「……ば?」

夏希「ふぅん……桜センパイと二人で遊びに行った夢ですかぁ……」ジト

牡丹「ゆ、夢の話だからな! 去年の初めは部員が二人だけだったから、その頃を思い出したりしたんだろう、きっと!」アセアセ

牡丹(最後の方は恥ずかしいからかなりぼかして話したんだが……それでも夏希の視線が厳しい)ドキドキ

クレア「それで、結局どこが怖かったの?」

牡丹「あ、ああ! 桜がまた妄言みたいなことを言いだしたから……」

花梨「から?」

牡丹「爆散した」

桜 「えええええ!? 突然のグロ展開!?」

夏希「桜センパイにとって怖い夢だったってオチですね……」

──クレアの夢──

クレア「夏希さんに相談があるの」

──放課後 部室──

クレア「……」ハァ…

夏希「……クレアセンパイ?」

クレア「あ、夏希さん……」

夏希「珍しいですね、センパイがため息つくなんて」

夏希「何か悩み事ですか……? アタシで良かったら、相談に乗りますけど」

クレア「ええ……じゃあ、ちょっと聞いてもらってもいいかしら」

夏希「はい!」ニコ

クレア「実はね……」

夏希「はい」コクリ

クレア「花梨さんとどうやって一線を越えたらいいのか分からないのよ!」カッ

夏希「」

夏希(そこかぁぁぁー!?)エクトプラズム!

クレア「花梨さんが可愛すぎて、いざチャンスがめぐってきても緊張してしまって何も行動することができないの! 同じ1年生という意味では夏希さんと同じなのに!」

夏希(その時点でアタシ除外されてる!?)ガーン エクトプラズム

クレア「インターネッツさんには女の子同士でどうすればいいのか詳しく動画で載ってるけど、実践経験が無いからどうしても躊躇してしまって……」

クレア「これは予行演習が必要だと思うのよね」

クレア「だから夏希さん、練習台になってもらえないかしら!」

夏希「」エクトプラズム

──クレア自室 ベッドの上──

クレア「そういうわけで、よろしくお願いするわね、夏希さん」ミツユビ

夏希「ちょ……ちょっと待って! 今途中の展開の描写が一切無かったんですけど! コピペミスじゃないですよね!?」ガーン

夏希「いつの間にかパジャマに着替えてる上に、天蓋付きの異常に豪華で巨大なベッドの上で向かい合ってるシーンから開始って……アタシの意志確認するとか無いの?」

クレア「だって、原作で私の家の描写とかが無いから参考にできないんだもの」

夏希「変なとこで原作に義理堅いな! 今までさんざん好き放題やってきたのに!」

クレア「今はツッコミが求められてる展開じゃないのよ……早く始めましょう?」ジュルリ

夏希(ひぃっ! クレアセンパイの目がめちゃくちゃ肉食系の光を放ってる!?)

 ドサッ

クレア「ふふっ……いつものドライな感じと違って、戸惑って顔を赤くしてる夏希さんも可愛いわ♪」

夏希(問答無用で押し倒されちゃった……///)

夏希「あ、あの、でもアタシ、練習台なんて急に言われても、どうしたらいいか……」

クレア「大丈夫よ、夏希さんは私に任せていてくれればいいの」

クレア「天井の最後の晩餐の構図を眺めている間に終わるわ♪」

夏希「逆W字になってるとかでしたっけ……じゃなくて! こんなとこに世界遺産の名画が!?」





名優アザラシ「裏切りに続く裏切りぃ!」

夏希「ていうか今更なんですけど、本当に練習なんて必要あるんですか……?」

クレア「?」

夏希「だからその……エッチのやり方が分かればいいんですよね? 何もアタシを練習台にしなくても」

クレア「……まだ分かっていないのね……そんな夏希さんには、この言葉を送らざるをえないわ」

クレア「精神的に」【S!】

クレア「向上心の無い者は」【K!】

クレア「馬鹿だ!」【B!】

──夏希 失格!──

夏希「えええええ!?」

夏希「何で今SKBされたのアタシ!?」

クレア「花梨さんとする時に、万が一にも痛くしたり辛い思いをさせるわけにはいかないでしょう?」

クレア「そのためには、実践に近いシミュレーションをやっておかないとダメじゃない!」

夏希(アタシならいいのかー!?)ガーン!

クレア「というわけで協力してもらえるわね?」キッ

夏希(ううう……クレアセンパイの目がマジ過ぎて逆らえない……)ゴクリ

夏希「ハイ……」

クレア「ええと……最初はキスから入るのが定石なのね」スマホカタテニ

夏希「スマホをカンペ代わりに見ながら!? ムード台無しだよ! こういうのはちゃんと把握してから展開に入ってくださいよ!」ガーン

クレア「過剰なツッコミもムード壊しちゃうわよ、夏希さん……」スッ

 チュウッ

夏希「んんっ……!」

クレア「んむっ……んちゅる……」

 ンチュルルルー ジュルッ
 
 チュパッ レロレロ

 ジュルルル コクンッ

夏希(って)

夏希(い、いきなり長いぃぃ~!?///)

クレア「んっ……ぷはぁ」

クレア「夏希さんとのキス……甘くて美味しくてクセになっちゃいそうね……」ジュルッ

夏希「はふぅ……」クテッ

クレア「あら、まだ始まったばかりなのにもう息が上がっちゃってるの? これからが本番よ?」クス

クレア「ええと……次はパジャマを脱がせるのね」シュルッパサ

夏希「あ、あうう……恥ずかしいですよぅ……///」

クレア「夏希さんのちょっとかなり控えめな胸、可愛いわ♪」チュッ

夏希「ひゃあっ!?」ビクッ

クレア「動かないで大人しくしてて、夏希さん」

クレア「次は夏希さんの身体の至る所をペロペロしないといけないんだから……」グイ

 ペロペロ レロンッ

 チュッ チュパッ

夏希「はぁぅっ……こ、これ、本当に正しい手順なんですかぁ……? ///」

夏希(あうう……センパイの舌がいやらしくアタシの身体を這いまわってるよぉ……)

夏希「あ……あのぉ……これ、本当に練習なんですよね……?」ハァハァ

夏希「ただ単に、アタシをペロペロするための口実だったとかじゃないですよね……?」

クレア「……もっもちろんよ! これはあくまで練習! 花梨さんのためにやむなく心を鬼にしてやっていることなの!」ドキーン

夏希「今の間なんなんですか!? ……で、でも、ここまですればもう十分なんじゃ……ていうか、これ以上は本当にマズイですよぉ……///」

クレア「ダメよ、何を言ってるの」マグロメ

クレア「ちゃんと最後までしないと、予行演習にならないわ」

クレア「私と花梨さんの幸せのために、最後まで付き合ってもらわないと」

夏希(ちょ、このセリフひどすぎ!!)ガーン

クレア「またキスしたくなってきたからするわね」グイ…

夏希「も、もう練習とかじゃなくて完全に欲望のままに動いてるような……///」

 バターン!!

「そこまでだよ、二人とも!」

クレア夏希「!?」ビクゥゥッ!

桜 「私の事ほったらかしといてクレアちゃんといちゃいちゃしてるだなんて……いつもはちょっとしたことでお仕置きしてくるくせに、こんなのあんまりだよー!」ウワーン!

花梨「私の事をお嫁さんにしてくれるって言ったのに……言ったのに……本当はなっちゃんの事が好きだったんですか、クレアセンパイ!」

牡丹「これは見過ごせないな……見損なったぞ、二人とも!」

夏希「なななんで3人がこの部屋に!? ていうかとんでもない寸止めかつ修羅場展開だよ! こんなの求められてない!」ガーン

クレア「お、落ち着いて、3人とも……! これは全部花梨さんのためなの! 決してみんなの目を盗んで夏希さんのことも可愛がりたいだなんて邪な欲望がしたことじゃないの……!」アタフタ

桜花梨「……」ピキッ

牡丹「よし、爆散するか」

桜花梨「……」コクリ

クレア「ちょ、ちょっと待って……話を聞いて! お願い~~!」

夏希「アタシほぼ巻き添えかよ!?」

クレア(まごうことなき悪夢なんだけれど……とてもそのまま話すなんてことはできないからかなりフェイク入れたわ///)

花梨「いいなー、なっちゃんとお泊り会なんて楽しそうです~」

桜 「むぅぅ……夏希ちゃんもクレアちゃんも何で私たちも誘ってくんないの?」プクゥ

夏希「アタシの責任じゃないんですから膨れてこっち見ないでくださいよ」ハァ

クレア(それでも桜さんたちの目が気になるわ)ドキドキ

牡丹「じゃあ最後は花梨の夢だな!」

花梨「うーん……うーん……」

夏希「どうしたの、花梨?」

花梨「うんとね……確かに最近悪い夢をみたような気がするんだけど……どうしても思い出せなくて……」

花梨「ばく…さん……で何か、思い出せそうなんだけど……」ムゥ

クレア「まあ、夢って大体そういうものよね」

「じゃあこれで全員の話は終わりね」

桜 「そうだね! 花梨ちゃんには思い出したら話してもらうことにして、ロウソク吹き消そっか!」

夏希「例によって進行雑っ! 百物語にほど遠いけどいいのかー!?」

クレア「でもいきなり百本も吹き消すのは大変そうね」

桜 「じゃあここは牡丹ちゃんにお願いします!」

牡丹「ふっ……任せておけ!」スゥゥゥ……

夏希「え、ちょっと待っ……」

 ゴォォォォ!!
 
 ビュォォォォ!!

花梨「きゃーっ! いきなり真っ暗になった上に、部屋の中で竜巻が~!?」

桜 「と、飛ばされるぅ~!?」ゴロゴロ

クレア「か、花梨さん! しっかり掴まって!」ギュゥゥ!

 ドカーン バターン!
 
 ワーワー ギャーギャー スポッ!

夏希「ちょ、ちょっと、引っ張らないでー!!」

桜 「か、懐中電灯付けてぇぇ……」

牡丹「す、すまん! 皆大丈夫だったか!?」パチッ

夏希「あ、あやうく大惨事になるとこだったよ……」

クレア「火事にならなくて良かったわね……って花梨さん!?」

花梨「はわわわわ……」グルグル

牡丹「しっかりしろ、花梨!」

夏希「ていうか中惨事ぐらいにはなってた……」ハァ

桜 「とにかく、引き続いて校内肝試しツアーを開催します!」

夏希「あくまでやるんだそれ……ていうか片付けはどうするんですか」ハァ

クレア「でももうこんなに遅い時間よ? 勝手に校内うろうろしたりして怒られないかしら」

桜 「大丈夫! 先生には許可取ったから!」

夏希「もう先生諦めの境地に入ってるな……」

桜 「脅かし役として、牡丹ちゃん先行お願い」

牡丹「了解したぞ」ビュンッ

桜 「じゃあ私たち先に出るからねー! クレアちゃんたちは後から来てね!」

花梨「あわわわわ……」ブルブル

クレア「大丈夫よ花梨さん、お姉ちゃん兼婚約者の私がついてるわ!」ナデナデ

夏希「そこもう強調する必要ないですから」

──校舎内──

桜 「~~♪ ~~」

夏希「ご機嫌ですね、桜先輩」クスッ

桜 「え? う、うんっ! だってみんなでこういうことするの、楽しいじゃない!///」

桜 (本当は夏希ちゃんと二人っきりなのもあるんだけど……///)

夏希「ふふっ、私も嬉しいですよ、先輩と二人っきりになれて」ギュウッ

桜 「はうっ!? 心を読まれた!?」ビクッ

桜 (いきなり腕組まれた……今日の夏希ちゃん、何だか積極的……?)ゴクリ

桜 「あ、あれ?」ピタッ

夏希「どうしたんですか、先輩?」

桜 「そういえば、夏希ちゃんの夢の話聞くの、忘れちゃってた!」

桜 「何でスルーしちゃったんだろ……おかしいなぁ」ウウム

夏希「ああ、そのことですか」クス

夏希「じゃあ、今話してあげますね……」

──夏希の夢──

花梨「なっちゃんが」桜牡丹クレア「増殖したー!?」

──部室──

花梨「~~♪」チョンチョン ピョコピョコ

夏希「花梨さん……アタシのくせ毛で何遊んでんの?」ハァ

花梨「えへへ……可愛い~♪」チョンチョン

夏希「やれやれ……かりんとうでも食べようっと」ヒョイ

花梨「!?」ハッ!

花梨「させるか~~!」グイッ スポッ!

夏希「わぁぁぁぁ!? アタシのくせ毛がすっぽ抜けたぁ? っていうかコレそんなに簡単に抜けるのかよ!」

ワ「……」

花梨「な、なっちゃん! しっかりしてぇぇ!」オロオロ

 ガラッバタン!

牡丹「どうした花梨!? いかん、呼吸をしてない……すぐに心肺蘇生を!」グッグッ

夏希「いやそっちはアタシじゃないですから! あくまでそっちが本体扱いかい!」ビシッ

 バタバタ

桜 「な、夏希ちゃんどうしたの!? しっかり、しっかりして……」

花梨「なっちゃん! 謝るから……かりんとうも食べていいから……死なないで~!」シクシク

牡丹「ダメだ……心拍が再開しないっ……」クッ!

ワ「」

桜 「いやぁぁぁ! 夏希ちゃん……夏希ちゃぁんっ……!」ポロポロ

夏希「何だこの修羅場……ていうかアタシ生きてますから! 話を聞いてー!」

クレア「大丈夫よみんな、私に任せて!」スマホピッ

九重SP「ウィー! iPS細胞お持ちしましたー!」

花梨「あいぴーえす?」

牡丹「日本の誇る先端技術、山中教授が開発した万能細胞か!」

クレア「よく百合スレでは女の子同士でも子供を作れるネタとして重宝しているけれど、本来は医療全ての分野で応用できる素晴らしい技術よ!」

桜 「これはステマじゃなく、大々的に誇っていいね!」

クレア「これを夏希さんの本体に注入すれば……」

 ズモモモモモ……

桜 「わぁい! 夏希ちゃんの下の部分が生えてきたー!!」

花梨「なっちゃん! 良かった!」ギュウッ

牡丹「危うくBADENDルートに突入するかと思ったぞ……」フゥ

夏希?「え……え……何この展開……?」ゾク



アザラシ 「iPS細胞の臨床応用はまだ治験段階だから良い子は真似しちゃダメだよ」

夏希「ナンデヤネン ナンデヤネン」ビシッ

花梨「いつものツッコミも戻ってきた!」

クレア「もう大丈夫ね……間に合ってよかったわ」ナデナデ

夏希?「ちょっ……それ、アタシじゃない! ねぇっ! 聞こえてないの? アタシの声!」

桜 「ちょ、ちょっと待って、みんな!」ハッ

夏希?(桜センパイ! 気づいてくれたの!?)

桜 「もしかしてこの技術を使えば、夏希ちゃんをもっと増やせるんじゃ……?」

全員「!?」

牡丹(一家に一台、夏希を……)

花梨(なっちゃんをお家にお持ち帰りできる?)

クレア(私専用の夏希さんがいれば……こっそりペロペロし放題……)

桜 (たくさんの夏希ちゃんに囲まれたハーレム生活……)

全員「……」ゴクリ!

牡丹「よし、構わん続けろ!」

夏希?「何で勝手にGoサイン出してんだこの人!?」

夏希「ナンデヤネン」



グイッ スポッ iPSチュウニュウ!×19



ミニ夏希×20「ナンデヤネンナンデヤネンナンデヤネン!」ワラワラ

桜「わぁい! 夏希ちゃんが20体に増殖したよ!」

牡丹「でも増殖するたびにサイズが小さくなっていくな」

クレア「一人5体分ね。ここらへんでやめておきましょう」

花梨「手乗りサイズのなっちゃん……可愛い♪」ナデナデ

夏希?「な、何なのコレ……アタシ、夢でも見てるの……?」

夏希?(誰もこっちのアタシには気づいてくれないし……どういうこと……?)




ミニ夏希×5「ナンデヤネン! ナンデヤネン!」ビシッビシッ

桜 「い、痛い! 5体がかりでツッコんでこないでー!」アタマカカエ

ミニ夏希×5「パクパクペロリ」

花梨「きゃ~!? 私のプリンが全部食べられてる~!?」ガーン

ミニ夏希×5「ぴこぴこ」

牡丹「な、夏希! クマ狩り用装備を勝手に売り払うのは止めてくれー!」アタフタ

ミニ夏希×5「ぺろぺろ」

クレア「あ……ああんっ……小さな夏希さんたちが私の制服の下に潜り込んできて……そ、そんなとこペロペロしちゃダメっ……///」ビクビク


夏希?「……」ボーゼン

夏希?「何なのこれ」

夏希?「何なの、何なのこれー!? 悪い夢ならさめてよもうーー!!」

──校舎内廊下──

花梨「あうううう……お化け怖いですぅ……」ガタガタ

クレア「大丈夫よ、花梨さん! 私が付いてるわ!」ナデナデサワサワ

夏希「だからところかまわずイチャイチャしないでくださいって……ていうかこの人数編成おかしくないですかね、桜センパイは一人で先に行っちゃってるし」ハァ

花梨「!?」ビクッ!

クレア「どうしたの花梨さん?」

花梨「ま、前の方に……幽霊が~!」

夏希「?」

夏希「何だ、アレ桜センパイじゃない。こんなところで止まっちゃってどうしたんだろ?」

夏希「……? 隣にいて腕組んでる小さな黒髪の女の子は誰だろ? アタシみたいなクセ毛だなぁ……」

クレア「落ち着いて花梨さん、アレは先に行った桜さんと」




クレア「夏希さんじゃない」




夏希?「……え?」

クレア「どうしたの、桜さん。何かあったの?」

桜 「うーん、うーん……夏希ちゃん、アタシを取り合ってケンカするのやめてぇ……引っ張んないでぇ……」

花梨「桜先輩! しっかりしてください!」

桜 「はっ! あれ? 私今夢見てた……」

「しっかりしてくださいよ、先輩ったらもう」クスクス

クレア「立ったまま寝ちゃうなんて……面倒みる夏希さんも大変ね」クスッ

牡丹「おーい、何やってるんだ、おまえたち」テクテク

花梨「あ、牡丹先輩!」

牡丹「いつまで経っても誰も来ないから、何かあったんじゃないかと思ったぞ」ヤレヤレ



夏希?「……何で」

夏希?「何でアタシ置いてけぼりにされてるの?」

夏希?「何でその子の事を夏希って呼んでるの……?」

桜 「何かもうグダグダになっちゃったから、そろそろこの辺で終わろっか!」

「先輩がグダグダにしたんじゃないですか」フフッ

牡丹「まあ全員揃っちゃったしな」

クレア「部室を片づけて帰宅しましょうか」

花梨「わぁい! 良かったぁ!」



夏希「……待って……」

夏希「……待って!」

夏希「アタシはここにいるの! その子はアタシじゃない! 偽物だよ!」


全員「……?」クルリ

桜「……あなたは……」

花梨「誰……?」

牡丹「こんな夜遅くに、学校で何をやってるんだ?」

クレア「私たちが言えたことじゃないけれど……お家の方、心配してないかしら?」


夏希?「……」

夏希?「……アタシの事、本当に分からないんですか」

夏希?「違いますよね? 桜センパイ辺りが思いついた、ただの冗談ですよね?」

夏希?「こ、こんなの……全然……面白くなんか……ないですよ……!」グスッ

夏希?「嘘だって……嘘だって言って……!」ボロボロ

桜 「! な、泣かないで! 言ってる意味はよく分からないけど……怖いことでもあったの?」ダッ

グイ

「待ってくださいよ、桜先輩。その子なんか変じゃないですか?」

「さっきから訳の分からないことばっかり言って。危ない人かも知れないですよ」

「近づかない方がいいと思います」

桜 「で、でも……!」ズキッ

クレア「私たちの事知ってるみたいだし……」ズキッ

牡丹「困ってるようならそのままにしてはおけないと思うんだが……」ズキッ

「帰宅部は私、安藤夏希も含めて全員揃ってるじゃないですか」

「他の子の事なんて放っておいて、もう帰宅しましょう……?」ゴゴゴゴ

花梨(何……? 急に頭が痛くなってきた……なっちゃん……?が、何を言ってるのか分からない……)ズキッ

さるくらったのでデータ転送してから再開

投下速度落ちます

桜 (うぐぐぐぐ……頭が痛い……!)ズキンズキン

桜 (でも……でも……)

桜 「あ、あなたは……夏希ちゃんなんかじゃない! 誰なの!?」

「!?」

クレア「夏希さんは一見ドライに見えるけど」ズキズキ

牡丹「本当はとても優しいんだ」ズキズキ

桜 「泣いている子を見捨てて行けなんて、言うはずが無い!」キッ!


夏希?「せ、センパイっ……!」

「くっ……ツメを誤ったわね……」ギリ

「悪夢の世界に引きずり込んで……彼女の本体を奪って、この子達の認識を眩ませて……」

「もう少しで、上手くすり替われるところだったのに……」

桜 「私たちの夏希ちゃんを返して!」

クレア「悪い夢程度で……くせ毛の一本ぐらいで……本当の夏希さんを見失うなんて……」

牡丹「もう迷わないぞ……」グッ

「させないわよ」ズォンッ!

桜・クレア・牡丹「うぁぁぁぁぁっ!」ズキィィン!

「こうなったら、もう一回……とびきりの悪夢に引きずり込んであげる……二度と疑問を持てないようにね」

夏希?「や、やめて!」ダッ

「うるさいわね」ドンッ!

夏希?「あうっ!?」ドサッ…ガクッ

「あなたの居場所はもうどこにも無いの……そこで大人しくしていなさい」

花梨「あ……あ……」ガクガク

「さあ、あなたもこっちに来なさい」

「一緒に、終わらない夢を見ましょう?」クス

桜クレア牡丹「うぐっ……くぅぅ……」ズキズキ

花梨「や、止めてください! 先輩やなっちゃんたちに、ひどいことしないで!」

花梨「どうしてこんなことするの!?」

「……妬ましいからよ」

「私はもう死んで、誰にも気づいてもらえないのに」

「あなたたちはいつも楽しそうにして」

「ファミレスで一緒に座ったり、バトンリレーに参加したりしてみたけど」

「結局気づいてすらもらえなかった」

「この悔しさ、寂しさが、あなたに分かるの?」

花梨「ほ……本物の、幽霊……?」

「そうよね、何も言えないし、何もできないわよね、あなたには」

「いつも同級生や先輩に甘えてばかりの臆病者」

「こわーいこわーい幽霊に刃向うなんて、できるわけないものね」

「足が動かないのなら、こちらから行ってあげる」ジリッ…

花梨(こ……怖いっ……)

花梨(でも……でも……)

花梨(いつも守ってもらってるばかりなんてやだ……私も皆を守りたい!)キッ

(迷える少女よ……力が欲しいか?)

花梨「!?」

花梨(あ……あなたは誰? どこかで……夢の中で、会った、ような……)

(僕と契約して魔法少女に、とは言わない)

(友達を守りたいのなら)

(あの子を助けたいのなら)

(ただ、僕の名前を呼べばいい)

(一人で迷う必要は無い)

(困った時は、苦しい時は、誰かの助けを借りてもいいんだ)

(それも君自身の力なのだから)

(君は知っているはずだ、僕の名前を)

(さあ!)

花梨「ば……ばく……」



花梨「バク……さんっ……!」

花梨「バクさん、お願い! みんなを助けて!」

 カッ!

復帰テスト

キィィィィンッ!

「な……何!? この結界の中に、外部から侵入者ですって!?」
 
 シュォォォ……

バク「ありがとう、君が名前を呼んでくれたおかげで中に入れた」

花梨「バクさん! 本当にいたんですね!」

バク「ここは彼女の結界の中……夢と現の境のような場所だからね。現の存在ではない僕もとどまることができる」

「一体何なのあなた! 珍妙な格好をして……私の邪魔はさせないわよ!」

バク「ふっ……僕が誰だか知りたいのかい?」

バク「ある時は……奇蹄目バク科バク属、マレーバク。黒と白のモノトーンの模様がチャーミングだ」

バク「またある時は、悪夢を喰らう、伝説の幻獣……獏! 悪夢はゼッタイユルサナイ!」

バク「しかしてその実態は! インターネッツのオンラインゲームで課金に課金を重ねた結果、超絶チート能力を身に着けた、廃人プレーヤーバクさんだ!」ドドドドド

花梨「バクさん……かっこいいですぅ!」ポワワ

「くうっ……アニメで一瞬しか出てこなかったモブキャラのくせに、生意気な……オンラインゲームのプレイヤーごときに何ができるというの!」ズォォッ

バク「悪夢は絶対許さない……喰らえ、スーパー……」ギュォォォォ


バク「爆! 散! 破ぁッ!」

 ドゴォォォンッ!!

「きゃあああああっ!?」

 ビュォォォォッ スポーンッ!

バク「悪夢の触媒が外れた! 早く回収するんだ!」

花梨「はいっ!」ワ ヲキャッチ!

 タタッ

花梨「なっちゃん! これを付けて!」ソウチャク!

夏希「う……うう……?」

夏希「はっ! 私気を失っちゃってた……ど、どうなったの!?」シャッキーン!

花梨「なっちゃん! 良かったぁぁぁ……」ギュウウ

夏希「ちょ、ちょっと、花梨……///」

牡丹「くっ……何だ今の爆発は……!」

クレア「頭痛が急に無くなったわ……」

桜 「夏希ちゃん! 夏希ちゃんは!?」キョロキョロ

「くっ……何てチートな威力なの……これでは結界が崩壊してしまう……」

ダダッ

桜 「夏希ちゃん無事だったんだね!? 良かったよぉ~!」ギュウウ

牡丹「すまなかったな、よく分からないが、悪い夢を見ていたようだ」

クレア「今度こそ本物の夏希さんよね!」ナデナデ

夏希「えへへ……今度こそ、間違わないでくださいね……」グスッ

花梨「ありがとうございました、バクさん!」

バク「悪い夢に惑う人々を救うのが僕の使命……気にすることはないさ」サラサラ…

花梨「あっ! 姿が消えてきてる……!?」

「夢と現の境界が破れたから、そいつはもう存在することはできないわ」ヨロッ

バク「ああ、そろそろインターネッツに戻らなくてはならないんだ」

「守るものがいなくなれば同じことよ……再び結界を張って……!」

バク「夢は夢。現は現の守護者がいる。バトンタッチだ!」シュウッ


「というわけで、後は私に任せなさい!」


夏希「また新キャラ出てきた!?」

ちいちゃん「分かりにくいから名前表示をつけておくわね」

桜 「だ、誰だ? 魔法少女みたいな格好だけど……」

クレア「ネタに詰まったあげく、ついにオリキャラを出すという暴挙に出たのかしら?」

牡丹「ち、違う! 確かにアニメでは出てこなかったが、原作第9話にちゃんと登場しただろ!」

花梨「”ちいちゃんのかげおくり”の主人公で、悪霊を天に還す影送りの技を持ってるんですよね!」

夏希「あれ牡丹センパイの勘違いじゃなかったんですか!?」

ちいちゃん「と……とにかく、原作読んでない人向けの解説ありがとう」

ちいちゃん「そうよね……原作だって3巻まで大好評発売中だし、4巻もついに12月に発売されるし、ガンガンオンラインで隔週更新中だけど」

ちいちゃん「アニメに出れなかった分、どうしても認知度低くなっちゃうわよね……」orz

夏希「盛大にステマしつつ自嘲癖披露してないで、さっさと話進めてくださいよ」

ちいちゃん「ずっと一人で、辛かったんだね」

「くっ……分かったようなことを……」ヨロッ

ちいちゃん「だけどもう、苦しまなくていいんだよ?」タッ

「いや……嫌ぁ! 消えたくない! 私は消えたくない! こんな寂しい気持ちのままでなんて、いやだぁ!」ブルブル

ちいちゃん「大丈夫」

ちいちゃん「ちゃんとあなたを待っててくれる人たちがいるから……」

ちいちゃん「だから、空へお還」
桜「ちょ、ちょっと待った!」

ちいちゃん(えええ!? 唯一の決め台詞の場面だったのに!?)ガーン

桜「事情は何となくしか分かんないけど……その子、私たちの部活に混ざりたかったんだよね?」

クレア「ファミレスの事は覚えてないけど、バトンリレーのことは覚えてるわ」

花梨「私たちが楽しそうに活動してるの見て、寂しくって……それでこんなことをしちゃったんでしょう?」

「あ……あなたたち、何を言ってるの……私は夏希と存在を入れ替わろうとしたのよ? お人よしにもほどがあるでしょう…」

夏希「まあ、確かにやり方には問題あったけど」ハァ

牡丹「小さな子に泣かれてはさすがに、な」ポリポリ

「私、泣いてなんか……! え……?」

 ポロ…ポロ…

夏希「大事な事はちゃんと言葉にしないと、伝わらないんだよ?」ナデナデ

花梨「ね……大丈夫だから……」ギュッ

桜 「私たち、あなたの友達になりたいんだよ!」ニコッ

牡丹「リレーの時も世話になったみたいだしな」

クレア「ファミレスだけじゃなくて、面白い場所もたくさん案内してあげたいわ」


「私……私……」カオアゲ

「私も!帰宅部に」
桜牡丹クレア夏希花梨「「「「「入部を許可します!!!!!」」」」」


ちいちゃん「ってフライングかよ!」

6人目の部員「ありがとう、おねえちゃんたち……」

桜「ノンノン! ここは、先輩たち、でしょ!」

6人目「……うん! ありがとう、先輩たち! それじゃあ……」

ちいちゃん「もういいかな?」ニコ

6人目「はい、お願いします」ペコリ

 シュオオオオ…

ちいちゃん「彷徨える魂よ──空へ、お還り──」

 パァァァッ

(さよなら……私の先輩たち……)




アザラシ「アザラシは名誉部員だよ」

桜 「いつでも遊びに来ていいんだからねー!!」ブンブン

花梨「さよなら、元気でね……」グスッ

クレア「生まれ変わって私の3番目の妹になってもいいのよ!」

夏希「まさか私もカウントされてる!?」

牡丹「空へと帰宅していったか……彼女に幸多からんことを」フッ

夏希「さほどうまくないですねそのセリフ……」

夏希(でも、良かったのかな、これで)

夏希(みんな優しいよね……アタシ、帰宅部に入って良かった……本当に)

ちいちゃん「やれやれ……またタダ働きしちゃったか」フフッ

クレア「いえこの件に関しては九重から正式に十分なお礼をさせてもらうわ。事務所の連絡先を教えて?」

ちいちゃん「あ、じゃあこちら名刺になりますー。報酬価格については追ってご連絡を……」

夏希「お礼するのはいいんだけどいい雰囲気がいきなり台無しだよ!!」ガーン

──部室の片づけ終了──

花梨「はぁ、今回もどうなることかと思いました~」

牡丹「しかし不思議な現象だったな。てっきり宇宙が改変されたのかと思ったぞ」

クレア「むしろ空間が」

桜「そ、そこまで! このスレ見てる人の大半が重度の百合ファンをこじらせてるだろうからって、例の映画はとっくに見てるハズなんて思い込みは危険だよ!」アセアセ

花梨「そうですね、いくら大ヒット御礼の全国ロードショーされてるからって、ネタバレの危険は回避しないとですね!」

夏希「だから何で他作品のステマまでぶっこんでくるんだよ!!」ガーン



宇宙悪徳セールス淫獣アザラシ「他作品のPRなんてわけがわからないよ」

牡丹「今回の一件で、夏希の本体の存在感がまた Pick up されてしまったな」

夏希「こんなホラーっぽい展開はもうこりごりですよ……」

夏希「ていうか今回の一件はあの子の力で認識がゆがめられただけであって、アニメ8話でわかるように別にくせ毛が取れてもアタシって分からなくなるわけじゃないから!」

クレア「その辺の微妙な設定はおいておきましょう」

桜 「とにかく、今日はもう遅いし、帰宅しよっか!」

夏希「桜センパイはまだ帰宅できませんけどね」ズン…

桜 「へっ!?」ビクッ

夏希「今まで一度たりとも桜センパイが綺麗に締めて終わったことなんて無かったじゃないですか」

夏希「当然、今回もありますよ? 恒例のお仕置きタイムが」ニコッ

桜 「そ、そんなの恒例にしないで!! ていうか、今回別にお仕置きされるよーなことしてないよねぇ私!?」ビクビク

夏希「アイドルの動画みて鼻の下伸ばしてた」ボソッ

桜 「!?」

夏希「アタシ以外の女と腕組んでデレデレしてた」ギロッ!

桜 「ち、違う! それは冤罪と誤解で……!」アタフタ

桜 「み、みんなも何か言っ」

ガラガラガラピシャン イヤータイヘンダッタナー ナッチャンガブジデヨカッタデスー! イモウトガフエルノガタノシミネ!

桜「ちょっ……テンプレで私を置き去りにしないでぇぇ!!」ドナドナー

夏希「もうリアルでも遅い時間なんですから往生際悪くじたばたしないでください」ギリッ

桜 (ひぃ……後ろからがっしり捕まえられた……下手に逆らったらまた危険な固め技が炸裂しちゃう……?)ゾクッ

夏希「せっかくのハロウィンネタなので、特別に選ばせてあげます」

桜 「え……?」

夏希「桜センパイ」

夏希「トリックオアトリート?」ニヤァ

桜 「」

桜 (そ、そんな……夏希ちゃんのいたずらは、もういたずらどころじゃないレベルまで来ちゃってるのに!?)

桜 (か、かといって……)

夏希「トリックは嫌ですか? だったら、トリートにしてあげてもいいですよ?」

桜 「で、でも……私お菓子持ってないんだけど……」

夏希「ちゃんとあるじゃないですか、お菓子」

桜 「へ?」

夏希「柔らかくて甘くて美味しそうな、桜餅が」レロッ…

桜「ひぃぃっ!?」ゾクゾクーッ!

夏希「まずは邪魔な包装を剥がしましょっか」プチプチ パサッ

桜 「あ……やぁぁ……こんなとこじゃダメぇ……」

夏希「過去スレでいちゃいちゃ禁止令出されてるにも関わらず、さんざんいろいろしてきちゃってるじゃないですか。今更ですよ」

桜 「確かにそんなのあった気がするけど! 今回収しなくても!」

夏希「あれぇ、おかしいなぁ……お菓子は喋ったり動いたりできないはずなのに」ボソ

夏希「あんまりごちゃごちゃうるさいようなら、囓って確かめてみようかなぁ」ギラン

桜 「」シロメ




桜 「幽霊より悪夢より、リアルの夏希ちゃんの方が圧倒的に恐ろしいんですけどぉぉー!?」ガガーン

──現ではないどこか──

「ここは……どこ?」

「待ってたよ」

「お父さん、お母さん……お兄ちゃんも……みんな、ずっとここにいたの?」

「そうだよ。また一緒に暮らそう」

「……うん!!」

(ねえ聞いて)

(少し帰宅するのが遅れちゃったけど)

(その間にとっても優しくて賑やかで……素敵な人たちに会ったんだよ)

(楽しい事、おかしな事、変な事……いろいろあったたくさん、みんな話してあげるね)


(帰宅部の活動記録を)




アザラシ「レジェンドオブアザラシ!」

・終わりです
・途中2回もさるくらってすまんです
・しえんさるよけ遅くまで付き合ってくれてありがとう!
・以下アニメ2スレより原作情報転載

【原作情報】
・「ガンガンONLINE」で第2・4木曜日、最新話を更新
・原作コミックス 既刊3巻 価格:各\500
・コミックアンソロジー極 帰宅部 (読み切り版収録) 価格:\600
・単行本第4巻 2013年12月21日(土)発売

【CD】
・乙女新党「2学期デビュー大作戦!!」
(初回限定盤)(DVD付)価格:\1,600(税込)
(通常版)価格:\1,200(定価)

・帰宅部@音楽室♪ アニメ「帰宅部活動記録」キャラソン&サントラ集
(初回限定盤)(DVD付)価格:\3,300(税込)
(通常版)価格:\2,700(定価)

【BD/DVD】
・帰宅部活動記録BD 価格:\6,090/DVD 価格:\5,040 全4巻 各巻3話収録
・帰宅部活動記録Vol.4 発売日:12月18日発売
*グラフィグ2種類あり
・一般店特典
・ヨドバシ特典

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