P「嬉しいですねぇ、ノってくれて」
ちひろ「仕事とはいえ、場所が場所ですからね。多少の羽目も外したくなりますよ」
P「えぇ……良い場所ですよね。思わず仕事ってことを忘れてしまいそうになるくらい」
ちひろ「しかしまぁ……随分とお酒あるんですね」
P「どうせ大量に飲まれることになりますから。1人1缶まででもこの量ですよ」
ちひろ「ふふ。二日酔いなんて起こしたら大目玉ですね」
P「当たり前です」
ちひろ「プロデューサーさんは、普段穏やかなだけに怒ると怖いですからね」
P「色々溜め込んでるんですよ……俺も」
ちひろ「……まぁ、私で良ければ聞きますから」
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―――
P「乾杯」
ちひろ「乾杯」
ちひろ「はぁ……おいし……」
P「……ですね」
ちひろ「プロデューサーさん、それ1缶目ですか?」
P「はい。急な連絡が入るかもしれませんし、これで終わりです」
ちひろ「なるほどなるほど」
P「……」
ちひろ「な、なんですかその目」
P「いえ、ちひろさん浴衣が良くお似合いだなと」
ちひろ「そ、ですかね……どうも……」
P「ちひろさんはどうしてもあの黄緑のイメージが強いですからね。ギャップが凄い」
ちひろ「それは、褒められてませんよね、あんまり……」
P「いいじゃないですか、アイドル達にもイメージカラーってものがありますし」
ちひろ「たまには色変えた方が良いと思いますか?」
P「そこはちひろさんのお好きに、ですよ」
ちひろ「じゃあちょっと検討してみます。感想聞かせて下さいね」
P「はい」
ちひろ「あ、プロデューサーさんもスーツとかネクタイが結構くたびれてるんじゃないですか?」
P「それは間違いないですね。俺もそろそろ替え時かなと思っていました」
ちひろ「ほら、私達ってもうすぐ二年目じゃないですか」
P「誤解を招く言い方はやめて下さいよ……」
ちひろ「あはは、ごめんなさい」
ちひろ「まぁとにかく節目ですから丁度良いですよね」
P「はい」
ちひろ「決まりですね」
ちひろ「んー楽しみです。果たしてどんなスーツなのか」
P「いやいやスーツなんてどれも同じような物じゃないですか」
ちひろ「プロデューサーとは思えない発言ですねぇ……」
ちひろ「そういうの、女性に語らせると長いですよ。聞いてみます?」
P「いや……すみません、俺が悪かったです」
ちひろ「よろしい」
ちひろ「そういえば……まゆちゃん来てないんですか?」
ちひろ「ふふ、てっきりもう二人で居るものばかり思っていたもので」
P「……」
ちひろ「あ、あの……何かあったんですか?」
P「……まゆは部屋でダウンしてるんじゃないですかね」
ちひろ「まさか湯冷めで? やけに早くにお風呂上がったと思ったらそういうことですか」
P「のぼせたんですよ」
ちひろ「……? むしろ逆じゃ?」
P「なんと言いますか……この部屋の内風呂に侵入して、俺が来るのをずっと待ってたんですよ」
ちひろ「そ、それって……!」
P「俺が見つけた時にはもうフラフラでした」
ちひろ「……1つ、お聞きしますが…………見ました?」
P「言い訳はしません。まゆを風呂から上げる際に完全に見えました」
ちひろ「……」
P「そこで礼子さんが部屋を訪ねてきてくれまして。なんでもまゆの考えに気付いて様子を見に来たみたいで」
P「で、後は礼子さんに引き渡しました」
ちひろ「……」
P「社長に報告でもします?」
ちひろ「いや……人命救助の為でしょう? 人工呼吸がファーストキスにカウントされないのと同じことです」
P「その例えはちょっと違うような……」
ちひろ「と、とにかく! 別に私は気にしません……気にしませんけども」
ちひろ(プロデューサーさんも男性なんだから……多分、きっとすごく見ちゃったんだろうなぁ……はぁ……)
ちひろ「ただ、んー……プロデューサーさんが不機嫌なのはそのせいですか?」
P「不機嫌……不機嫌、なんですかね、やっぱり」
ちひろ「顔を見れば分かります。2年間見てきた顔ですよ」
ちひろ「はい、確かにまゆちゃんのやった事は、駄目な事です」
P「もう一回釘を刺しとかなきゃいけないですね……」カシュ
ちひろ「頑張ってくださいね」
P「まったく、アイツときたら……ネット上でCDが割られる画像が出回るようになったらどうするんだと……」ブツブツ
ちひろ「多分何にも気にしないんでしょうね……」
P「……否定出来ない」ゴク
ちひろ(あれ、いつの間にか2缶目飲み始めてる……)
ちひろ「凛ちゃんなんですけどね」
P「はい」
ちひろ「ついに歌姫と来ましたか、って」
P「えぇ。夜宴の歌姫ですよ、ついに」
ちひろ「いいですね、格好良い称号じゃないですか」
ちひろ「最初から歌が上手かったですけど、歌姫と呼ばれたのは初めてじゃないですか?」
P「はい。でも間違いなく、今の凛は歌姫です」
ちひろ「つまり、正式に認められたって事で」
ちひろ「和服も似合ってましたしね、髪も相まって」
P「俺自身の好みを言うなら、このまま和服で行ってもらいたいくらいですよ」
P「慣れない、ってそわそわしてましたけどライブではあんなに堂々として……」
ちひろ「堂々と、ですか……」
P「……何か?」
ちひろ「まぁ、言わない方が良いんでしょうね」
P「ちひろさんがそう言うなら構いませんけど……」
ちひろ「私も凛ちゃんは強い子だと思ってますよ。ただ心配が無いとは思ってません」
P「分かってます、その為に俺が付いていますから」
ちひろ「さて、分かっているのか分かっていないのか」ゴク
P「そういえば……凛本人が言ってましたけど、何やら俺には秘密の出来事があったみたいですね」
ちひろ「はい。悪い事ではないので気にしないでくださいね」
P「聞いても教えてはくれないんでしょう? だから気にしないようにしますよ」
P「でも……良かったです。2年で凛がここまで凄くなって。俺は嬉しいですよ」
ちひろ「あ、泣きます? 泣いちゃいます?」
P「泣きません。泣いたら凛に怒られますよ」ゴクゴク
ちひろ「まゆちゃんの話に戻りますけど、相変わらずえげつない色気ですねあの子」
P「えげつないってまた……」
ちひろ「実際えげつないですよ。撮影見ましたけどなんですかあの表情。あぁ怖い怖い」
P「そそられる……いや、じゃない。確かに……色気ありますね」
ちひろ「プロデューサーさんもプロデューサーさんです。リボンで縛っちゃってまぁ」
ちひろ「別にいいんですよ? デビュー当時からの路線ですから」
ちひろ「ただプロデューサーさんとしてはまゆちゃんを縛りたいのか、まゆちゃんに縛られたいのか」カシュ
P「だから縛るって表現が極端過ぎるんですよ。もうちょっと柔らかい言い方はできませんか……」
ちひろ「だって実際縛ってるじゃないですか……手吊るして、足巻いて……」ゴク
P「あれは仕事だからですって……っていうか完全に話逸れてるじゃないですか」
ちひろ「全然逸れてません。最初からそういう話でした」
P(あれ、ちひろさんいつの間にか2缶目……)
P「ユッコはアホの子かわいい」
ちひろ「アホ言わないで下さい。直球過ぎです」
P「だってアイツ……うん」
ちひろ「愉快なだけじゃないですか」
P「そっちも相当な言い方じゃないですか……」
ちひろ「アホよりかはマシですよ」
P「いや、捻ってる分そちらの方がタチが悪いです」
ちひろ「……すみません、言い方が見つかりませんでした……えっと……」
P「フォローフォロー……思いつかない……」
Pちひろ「う~ん……」
ちひろ「ぼええええっ」
P「……」
ちひろ「さいきっく美声」
P「……アイツを語る上で外せない要素ですよね」
P「もうちょっと……何とかならなかったのか……」
ちひろ「CDデビューになったらどうするんですか?」
P「マストレさんに地獄のレッスンをお願いするしかないんじゃないですかね」
P「あとウチのアイドル達にも協力してもらうとして」
ちひろ「あの方向で売り出すのはどうですか?」
P「無しです。歌が上手くなったらシングルの中に通常verとさいきっく美声verを突っ込む程度が限界かと」
P「裕子はビジュアルで売っていきますよ、当分」
ちひろ「……なんでしょう、私達愚痴ばっかり言ってません?」
P「愚痴というか完全にアイドル達の悪口ですね」
ちひろ「駄目ですよこの流れ。なんとかしましょう」
P「元凶ちひろ氏、責任取ってください」
ちひろ「わ、私が元凶なんですか!?」
P「ちひろさんがさいきっく美声とか言い出すからですよ」
ちひろ「プロデューサーさんがアホの子って言い出したんじゃ!?」
P「実際えげつない。あぁ怖い怖い」
ちひろ「……えっと」
P「はい俺の勝ちです」カシュ
ちひろ「ちょっ、そもそも…………そもそもプロデューサーさんがまゆちゃんに好かれてるのが駄目なんです!」
P「全然関係ないですねそれ……」ゴク
ちひろ「ホント真剣になんとかしてくださいよあの子……他のアイドルも、私もかなり影響受けてるんですから……」
P「影響?」
ちひろ「だから、『Pさんとのお話、楽しいですかぁ?』って……」
P(やっぱ似てんな……)
ちひろ「聞 い て ま す ?」
P「すみません。ですが、俺としては現状維持しかできないんですよ。女性の扱い方が分かりません」
ちひろ「お断りでもしようものならどうなるか分かりませんからね……」
ちひろ「ですがよく言えますねぇ、あれだけ色んな女の子に声掛けといて……」
ちひろ「……この際言っちゃいますけど、プロデューサーさんは私に対しても際どい発言が多いんですよ」カシュ
P「そんなことしてませんよ……」
ちひろ「プロデューサーさん、天然ですね。そしてプロデューサーさんは『俺は天然じゃない』と言い返す」ゴク
P「ぐ……」
ちひろ「天然は、自分が天然だという事をそもそも分かる事が出来ないんですよ」
ちひろ「『私天然ってよく言われるんだ~』って人は天然じゃないです。産地偽装の100%養殖です」
ちひろ「天然と言われると否定するのが天然です」
P「酷い言われようですね……まぁ、アイドルから俺へ悪口がシフトしただけまだマシと思うことにしましょうか」
ちひろ「ほらまたそういう事言っちゃう……」
P「しょうがないじゃないですか……アイドル皆大切なんだから……」
ちひろ「いや、だからですね……」
P「言わせて下さい。皆平等で当たり前なんです……なのにすぐ拗ねるし、まゆを筆頭に追及する奴らが居るし……」
P「ホント訳分かんないですよ。俺なんかのどこが良いんですかもう……」
ちひろ「あ、あのプロデューサーさん……? ホント訳分かんないのはプロデューサーさんの方なんですけど……」
ちひろ「どうしたんです、突拍子もないこと言い出して……」
P「愚痴ですよただの」
P「……あーもうすみません。何か知らない内に缶が多数空になっているみたいですし、お開きにしましょうか」
ちひろ「出来ればお断りしたいですね。もうちょっと愚痴ってくださいよ」
P「すみません、ホントすみません。聞かなかった事にしてくださいさっきのは」
P「どうしようもない勘違い野郎の自惚れ愚痴じゃないですか……」
P「あぁもう何でこんな事に……!」
ちひろ(な、なんだろう、今日のプロデューサーさん様子が変……)
P「……申し訳ありませんでした」
ちひろ「い、いえいえ別に私は気にしてませんよ。頭上げて下さいってば」
P「酒の勢いとはいえ、意味不明な事羅列してましたね……」
ちひろ「……プロデューサーさん、お疲れなんですよ。今日はもう寝て下さい」
ちひろ「あとこの仕事が終わったら、一度休みも取ってくださいね。穴は何とか埋めますから」
P「……すみません、色々と」
ちひろ「もう、気にしてないって言ってるじゃないですか」
ちひろ「それなのに謝るなんて、そっちの方がよっぽど失礼ですっ」
P「すみ…………ありがとうございます、ちひろさん」
ちひろ「はい、よろしい♪」
―――
P「……ふぅっ」
P(完全に二日酔いだな……いつもはこんなこと無いのに……)
裕子「どうしたんですか? 何か元気無さそうですけど……」
P「別に……ただ風邪気味なだけ、だろ」
裕子「ならばユッコのさいきっく治療で治します!」
P「頼むから、静かにして……」
凛「はぁ……体調管理はしっかりしろーとかいつも言ってるクセに……」
P「……悪かった、次からは気を付けるよ」
まゆ「大丈夫ですか……?」
P「ん、あぁまゆか。心配掛けてすまないな。大丈夫だよ」
まゆ「うふ……つい飲み過ぎちゃうほどに、ちひろさんとのお話は楽しかったですかぁ?」
P「あー……やっぱりつけてたのか。身体は大丈夫か? 昨日内風呂でのぼせてたんだぞ」
まゆ「まゆは大丈夫ですよ。それより……やっぱりお酒が飲める人の方が好みなんですか……?」
P「酒はなぁ……まぁ腹を割って話せる点は良い物だと思う」
P「でもだからって人を酒が飲める飲めないで判断はしないよ。第一まゆは年齢的にそもそもアウトなんだから」
まゆ「プロデューサーさんが望むなら、まゆは頑張ってすぐにでもお酒に慣れますよ?」
P「止せ。そんなことは絶対に許さないからな」
まゆ「……はぁい……♪」
―――
P「体調は大丈夫ですか? ちひろさん」
ちひろ「はい、昨日はそんなに飲んでなかったので」
ちひろ「その……プロデューサーさんは大丈夫ですか?」
P「仕事に影響は出しません」
ちひろ「と、いう事は少々二日酔い気味と」
P「少々ですよ」
ちひろ「無理はしないで下さいね。気分が悪くなったらすぐ休むこと」
P「はい」
ちひろ(って言っても……大事な時には無茶しちゃうんだろうなぁ……)
ちひろ「二日酔いだから自業自得と言えばそうなんですけどね」
ちひろ「いざとなれば私もサポートしますから、今回の仕事は何とか乗り切りましょう」
ちひろ「終わったら、何か美味しい物でも食べに行きましょうか。ね?」
P「……はい。その時は奢らせてくださいね」
ちひろ「お断りします。私も出しますから」
P「はは……分かりました」
P「っていうかまだ浴衣なんですね」
ちひろ「え、コレ今回の仕事の正装ですよ? おまけの1/6ドリンク配っちゃいます」
P「……ねだっても?」
ちひろ「はい、構いませんよ♪」
おわり
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