やよい「唇の季節♪」ヌリヌリ (24)
やよい「こ~の時期は~♪」ヌリヌリ
伊織「……可愛い」
千早「……可愛いわ」
やよい「く~ち~びる~っが~乾燥~するから~♪」ヌリヌリ
伊織「……自作の歌よ」
千早「……聖歌かと思ったわ」
やよい「ちゃんと~リップクリーム塗りましょう~♪」ヌリヌリ
伊織「……リップスティックになりたい」
千早「……高槻さんの唇になりたい」
P「お~い、やよい、そろそろ行くぞ~正直遅刻ギリギリだ~!!」
やよい「はわっ!! は、は~~い!! すぐ行きま~~す」コトン
伊織「……!!」
千早「……!!」
やよい「えっと、べろちょろ、持った、髪の毛は……大丈夫っ!! 笑顔もぉ~OK!!」ニコッ
伊織「がんばってね可愛いやよい、あんまり無理しないでね!!」ニコリ
千早「がんばって素敵な高槻さん、笑顔が可愛いっ!!」ニコリ
P「何やってんだ? やよい、ほら? 行くぞ?」
やよい「あ! はい!! じゃあ、千早さん、伊織ちゃん、行ってきま~す」パタパタ
伊織「はふぅ……」
千早「天界の住人だわぁ……」
小鳥「あ~プロデューサーさん、ネクタイ!! ネクタイ忘れてますよ!!」
P「うわっ!! わわ、す、すいません、音無さん」
小鳥「もう、やよいちゃんじゃなくて、プロデューサーさんが気をつけないと……はい!! できましたっと」
P「ありがとうございます!! うわっ!! やべぇ!! 行くぞやよい!!」バタバタバタ
伊織「……」
千早「……」
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伊織「さて、と」
千早「……ね」
伊織「……」
千早「……」
伊織「忘れて、いったわね」
千早「そうね」
伊織「……」
千早「……」
伊織「やよいが、リップスティックを忘れていったわね」
千早「そうね」
伊織「……」
千早「……」
伊織「これは」
千早「うん」
伊織「……」
千早「……」
伊織「私が回収すべきね」
千早「それは否ね」
伊織「……」
千早「……」
伊織「いや、アレは私が回収すべきでしょ」
千早「その意見に関しては完全に否定の立場をとらせていただくわ」
伊織「……」
千早「……」
伊織「え? じゃあどうするの?」
千早「私が、回収するわ」
伊織「え?」
千早「私が回収するわ」
伊織「……念のため聞いておきたいんだけど、私がダメで千早が良い理由は?」
千早「私の方が……安全、だわ」
伊織「安全……どう言う意味かしら?」
千早「……例えば、例えばよ?」
伊織「……うん」
千早「高槻さんのリップスティックを狙う、不届きな輩共に囲まれた時」
伊織「……うん、うん?」
千早「私は水瀬さんより手足のリーチが長いから、有利に立ち回れると思うの」
伊織「……うん」
千早「だから、私が回収するわ、私が預かる、私が、守る、守りきってみせるわ、水瀬さん」
伊織「……ちょっと待ってもらえるかしら」
千早「……何かしら?」
伊織「……一回、考えさせてもらって良いかしら?」
千早「どうぞ」
伊織「……」
千早「……」
伊織「うん、やっぱりその理屈から言うと、私の方が適任だわ」
千早「…………もしよろしければ理由を聞かせてもらっても、良いかしら?」
伊織「私は常日頃から車で移動をしているわ」
千早「そうね」
伊織「つまり、やよいのリップスティックを狙う不届きな輩共に囲まれると言う状況事態少ないと言う事にならないかしら」
千早「……そうね」
伊織「千早は飲み込みが早くて助かるわ」
千早「……」
伊織「と言う、事で、このリップスティックは私が責任を持って」
千早「待って」
伊織「……何かしら?」
千早「うんざりだわ」
伊織「……突然ね、どうしたの千早?」
千早「たられば話はもううんざり、茶番は辞めにしましょう、水瀬さん」
伊織「……どちらかと言うとたられば話を始めたのは千早の方だったと思うけど」
千早「腹を割って話そうって言っているの」
伊織「どう言う、事かしら?」
千早「例えば、水瀬さん、貴女がこのリップスティックを回収したとしましょう」
伊織「ええ」
千早「……高槻さんのリップを回収した貴女は」
伊織「……どうだって……言うのかしら?」
千早「自分の唇にもソレを使うわね?」
伊織「は、はぁ!? 何を根拠にそんな 千早「私は使うわ!!!!」
伊織「……っっ!!」
千早「…………塗るわ、塗りたくるわ!!」
伊織「……」
千早「高槻さんの唇に塗りたくられたそのリップスティックを、私の唇に押し当てて思う存分撫で回すわ!!」
伊織「……っっ」ギリッ
千早「だからね、水瀬さん、ここは目を瞑っていて欲しいの」
伊織「……どう言う、意味よ」
千早「このリップスティックは私が貰う、高槻さんには同じ物の新品を買い与えるわ」
伊織「……だから、私に、アンタの行動を見逃せって?」
千早「水瀬さんは 理 解 が 早 く て 助かるわ」
伊織「くっ……」ギッ
千早「そう……そういう時に出るのよ「くっ」って言う言葉はね」ニタァ
伊織「ダメよ……そんなのっ……絶対だめ!!」
千早「あら? 何故かしら、高槻さんは新品を手に入れる、私も宝物を手に入れる」
伊織「…………」
千早「こう言うのをウィンウインの関係と言うのでしょう? 何が気に入らないのかしら?」
伊織「…………アンタが」
千早「…………私が?」
伊織「アンタが無条件に宝物を手に入れるのが気に入らないって言ってるのよ!!」バンッ!!
千早「……」
伊織「……」
千早「ふふ、ついに本性を現したわね、水瀬さん」
伊織「えぇ……えぇ!! そうよ!! やよいの使用済みリップスティックよ!? そんなの!! 億積んでも手に入らない財宝じゃない!!」
千早「先ほど貴女は、リップスティックを使わないって言ったはずだけど?」
伊織「曲解は辞めてくれるかしら千早、アンタはさっき「唇に」と言ったはずよ」
千早「……リップスティックは唇に使う物、少なくとも私はそう認識していたけども?」
伊織「私なら、そんな風には使わない」
千早「…………?? ……………………貴女っ!! まさか!!」ガタッ!!
伊織「細かく刻んで、食べるわっ!!」
千早「…………くっ!!!!」
伊織「……ふふ、見たかった、その顔を、そして聞きたかったわ、その声を」ニヤァ
千早「水瀬…………伊織ぃっ!!」ギリィ……
伊織「でも安心して千早」
千早「……何を安心しろって、言うのかしら?」ギッ
伊織「そんな怖い顔で睨まないで、私はアンタとは仲良くしたいの」
千早「…………」
伊織「同じ仲間、とりわけ同じ志を持つアンタと、争いたくは無いわ」
千早「それは……私だって同じよ……」
伊織「そこでね? 双方にとっても納得の行く解答を今、思いついたの」
千早「……一応、聞かせてもらおうかしら」
伊織「……シェアよ」
千早「シェア?」
伊織「このやよいのルーシーがタップリ付いたリップスティックをシェアしようって言うのよ」
千早「ちょっと待って、それは交代で使うと言う意味だったら、最初に使う者とその次に使う者ではその価値が雲泥の差だわ!!」
伊織「落ち着きなさい」
千早「落ち着いてられる場面じゃ!!」
伊織「縦に二等分」
千早「……っ!?」
伊織「リップスティックを縦に二等分、これでどうかしら?」
千早「……なるほど、ね」
伊織「水瀬の力をフルに使って、それこそコンマ数ミリも違わず、二等分にして見せるわ」
千早「それは、非常に公平な取引ね」
伊織「そうでしょ?だからひとまずこのリップスティックは私が預かるわ」スッ
ガシッ
伊織「……」
千早「……」
伊織「……どう言う、つもりかしら?」グッ
千早「……待ちなさい」ググッ
伊織「離しなさい千早、話はついたはずでしょう?」
千早「確かに非常に公平な取引だわ」
伊織「でしょう? ならば手を」
千早「だからこそ、信用できない」
伊織「…………ふふ、おかしなこと言うわね」
千早「おかしい?」
伊織「これ以上無い公平な取引、私達両方が満足できる唯一の手段だわ、それが信用できない、これはおかしいわ」
千早「水瀬さんの賢(さか)しさは信用できるわ、でも、水瀬伊織と言う人間が、私は信用できない」
伊織「…………」ギッ
千早「…………」ジッ
伊織「…………ふぅ、困ったわね、じゃあどうしろと?」パッ
千早「真っ二つになるまでの工程、そして私の手に渡るまでずっと監視させてもらうわ」
伊織「……チッ」
伊織「……こう言う事はあまり言いたくないんだけどね、千早」
千早「何かしら」
伊織「私、あまり手荒な真似はしたくないのよね」
千早「や は り ね」
伊織「……」
千早「独り占めする気だった、そうでしょ?」
伊織「……その通りよ」
千早「何て汚い……っっ!!」
伊織「あら? 逆の立場だったら貴女もそうしてた、違うかしら?」
千早「……」
伊織「……」
千早「結局、似た者同士と言う事、かしらね」
伊織「そうね、そして私達の決着は、どちらかの独占、これでしか決着しないわ」
千早「……悲しいわね」
伊織「……えぇ、悲しいわね」
千早「……」
伊織「……」
千早「水瀬伊織ぃ!!」ガタッ!!
伊織「如月千早ぁ!!」ガタッ!!
………
小鳥「……」ズズズ
小鳥「ふぅ……」
小鳥「今日も事務所はいつも通り……平和ねぇ」
………
伊織「離せ!! 離しなさいよ!!」グイー!!
千早「水瀬さんこそ離しなさい!!」ギュー!!
伊織「大体ね!! アンタ変態なんじゃない!? 何が塗りたくるよ!!」ドタン
千早「刻んで食べるって発言してた人がよくも人の事変態何て言えた物ね!?」バタン
伊織「毎日大事に少しずつ削って食べようと思ってたのに!! もう!! はーなーせー!!」ドタン
千早「高槻さんとの濃厚な関節チッスチャンスをみすみすと他の人に渡すわけ無いでしょ!! はなしなさいぃいいい!!」バタン
伊織「ちょっと!! やよいのルーシータップリのリップスティックが壊れるでしょ!! アンタなんて1989年11月10日でドイツで崩壊すれば良かったのよ!!」ドタン
千早「水瀬さんはゲル・ドルバ照準の方でも向いてなさいよ!! 邪魔なの!!」バタン
伊織「きぃいいいい!!!! 誰がソーラ・レイよ!!!!」ドタン
千早「人の事ベルリンの壁扱いしていおいてよく言うわね!!!!」バタン
伊織「あーもー!! 離しなさいよー!!」ポカポカポカポカ
千早「痛っ!! やったわね!!」ポカポカポカポカ
伊織「ふぁーなーふぃーなーふぁーふぃー!!」ムギギギギ
千早「そっふぃふぉふぉーー!!」ムギギギギ
カツン!!
伊織・千早「「あぁ!!!!」」
伊織・千早「「私のリップスティック!!」」バッ!!
コロコロコロコロ
伊織「あぁ!! もう!! アンタのせいで蓋が外れちゃったじゃない!!」
千早「汚れちゃったらどうしてくれるの水瀬さん!!」
伊織「アンタのせ……」クンッ
千早「水瀬さんが……」スンッ
伊織「……」
千早「……」
伊織「ねぇ、これ、やよいのお日様のような口内の匂いがしなくない?」
千早「水瀬さんの言う通りね、これは…………新品、だわ……」
伊織「……」
千早「……」
伊織「そんな!! そんなバカな!? やよいは確かにリップスティックを自分の机の上に!!」
千早「えぇ!! 私も見たわ、すり替える隙なんてどこにも……」
伊織「……」
千早「……」
ブーン
P「~~♪」ヌリヌリ
やよい「あれ~?」
P「ほんの些細な~言葉に~傷ついた~~♪」ヌリヌリ
やよい「あ~! プロデューサーも同じリップスティックなんですねぇ」
P「ん? あぁ、これ?」ニコニコ
やよい「はい!! 私も同じの使ってるんです、事務所に置き忘れて来ちゃったんですけどぉ」
P「そっかぁ!! これ、凄く良い匂いと味するよな!! やよいっ!!」ニコニコニコニコ
やよい「う? 私は匂いとか味はしなかったかな~って思いますけど~」
P「はっはっは、じゃあ、俺のが 特 別 だったのかもな、ふふふふ」パクン
やよい「変なプロデューサー、それ食べるものじゃないですよ~? 唇にぬりぬり~ってするんです」
P「ははははははは、はーーっはっはっはっはっはっはっは!!!!!!」
やよい「うっ!?」ビクッ
P「一人勝ちと言うのはこうも気分の良いものか!!はーーっはっはっはっはっはっはぁああ!!!!」
やよい「あの、ま、前、前みて運転してくださいぃ!!」
…………
小鳥「と、今頃なっている所でしょうけども」
小鳥「まぁ、本物はネクタイつけてた時に私がスッてたんですけよね~~」
小鳥「プロデューサーさんが持って行ったのはたまたま同じの使ってた社長の忘れ物」
小鳥「そして本物は~~」
スチャ
小鳥「こちら~~」
伊織「……」
千早「……」
小鳥「~~♪」ヌリヌリ
小鳥「ん~~、やよいちゃんらしい太陽の味ね」ヌリヌリ
伊織「……」
千早「……」
小鳥「ん、良い感じ~♪」テカテカー
小鳥「伊織ちゃんも千早ちゃんもプロデューサーさんも所詮は小童ね~~♪」
伊織「……」
千早「……」
小鳥「ぴよ~~~っぴょっぴょっぴょっぴょっぴょ~~!!」
伊織「へぇ」
千早「ふぅん」
小鳥「…………あ」
リップスティックを貸し借りするうれしはずかしアイドル話が書きたかったのに。
あ、終わりです。
乾燥した季節になってきました。
皆様も唇のケアにはお気をつけ下さい。
何だコレ。
あ、やっちまった。一つ抜けちゃいました。
【P「何やってんだ? やよい、ほら? 行くぞ?」】
伊織・千早「「っっっっ!!!!」」
伊織・千早「「アイツ!!!!!!」」
伊織「やら……れた……」
千早「あの……時?」
伊織「そうよ、あの一瞬、アイツ、私達の目の前を不自然に横切ったもの……」
千早「その一瞬で、すり替えを……」
伊織「しかも、ただ奪うだけじゃなくて、すり替えたって事は……」
千早「私達のこの争いを見越しての……」
伊織・千早「「くっ!!!!!!」」
伊織「…………きぃいいいいいい!!!!! アイツ!! 私達を弄んだのね!!」
千早「そんな事よりも……今、この時も、プロデューサーの手の中に……っっ!!」
伊織「…………間違いなく、塗りたくってるわね」
千早「プロデューサーだったら、咥えるくらいの事はしてそうね……っっ」
伊織「…………これは……これは許せないわね……っっ!!」
千早「えぇ……帰ってきたら死んだほうが良かったと思えるような責め苦を与えましょう……」
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