京子「空から結衣と綾乃の新婚生活を見てみよう」(126)

京子「ラムじいじゃ」

ガチャッ

結衣「ただいまー」

パタパタパタパタ...

綾乃「船見さん、おかえりなさいっ」

結衣「ただいま綾乃。今日も疲れたよー」

綾乃「お疲れさま。カバン持つわね」

結衣「ありがと」

綾乃「お夕飯までもう少し掛かるけれど、先にお風呂にする?」

結衣「んー……いいや、出来るまで待ってるよ。お腹ペコペコでさ」

綾乃「ふふ、わかったわ。なるべく急いで作っちゃうわね」

結衣「楽しみにしとくよ」

綾乃「よーし、船見さんの為にファイトファイトファイファイビーチよ!」

結衣「ブふっ!」

綾乃「それじゃあ船見さんはテレビでも見て待っててくれるかしら」

結衣「うん、わかった」

ポチッ

TV「夜のニュースをお伝えし」

ピッ

TV「なんと今ならダンベルを更に更に8セッ」

ピッピッピッ

結衣「……この時間帯は面白い番組やってないな」

プツッ

結衣「……」チラッ

綾乃「~♪」テキパキ

結衣「……」ジー

綾乃「とーはいえおなかはへっちゃうし♪」トントン

結衣「(あ、ごゆるりワールド……)」

綾乃「とーはいえつづきはきになるし♪」グツグツ

結衣「(リズムに合わせてポニテがぴょこぴょこ……可愛いな)」

綾乃「せんべいポリポリたべちゃうの♪」ジュージュー

結衣「(それに……)」

綾乃「うーまれかわったら、あのこになる~♪」

結衣「……綾乃って」ボソッ

綾乃「すーきーすーきーだーいすーきー、ふーな――え? なにか言った?」

結衣「お尻エロいよな」

綾乃「」ドンガラガッシャーン

結衣「うわっ!?」

綾乃「」ピクピク

結衣「ど、どうしたの綾乃! 大丈夫!?」

綾乃「大丈夫じゃないわよ! 包丁握ってる時にヘンなこと言わないでくれる!?///」

結衣「え、私なんか言ったっけ?」

綾乃「言ったわよっ! わ、私のお尻が、その、ぇ……えろぃ……って!///」

結衣「え゛!? えー……ごめん、完全に無意識だった」

綾乃「えぇぇ……」

結衣「ほんとごめん。包丁でケガしたりしてない?」

綾乃「あ、ええ、大丈夫みたい。心配はノンノンノートルダムよ」

結衣「ブふっ! そ、それならよかった……」ホッ

綾乃「……船見さんって、そんなに優しいのにすけべーなのよね」

結衣「ちょ、その言い方は心外なんだけど」

綾乃「あら、言い訳できるのかしら?」

結衣「……返す言葉もございません」

綾乃「」フフン

結衣「ぐぬぬ……」

……

結綾「「いただきまーす」」

パクッ

結衣「うん、美味しい」

綾乃「ほ、ほんとっ?」

結衣「嘘ついてどうするんだよ」クスッ

綾乃「だって……」

結衣「料理上手な奥さんがいて、私は幸せ者だよ」ニコッ

綾乃「~~~っ!」カァッ

結衣「」フフン

綾乃「ぐぬぬ……///」

結衣「うん、ほんと美味しい」パクパク

綾乃「ほ、褒めすぎよ……だいたい、料理なら船見さんの方が上手じゃない」

結衣「そう? そんなことないと思うけど」

綾乃「そんなことあるわよ。船見さんに比べたら私なんか……」

結衣「オイコラ」コツン

綾乃「きゃっ。ふ、船見さん?」

結衣「目の前で美味しくご飯を食べてる人がいるのに、作った人が卑屈になっちゃダメだよ」

綾乃「ぁ……」

結衣「それとも、綾乃は私が信じられない?」

綾乃「そ、そんなわけないわ! 私はあなたを誰より信じてるアムステルダムよ!」

結衣「あむすて……ブふっ! げほっ、げほっっ!」

綾乃「ふ、船見さん大丈夫!?」

……

結衣「」モグモグ

綾乃「あ、船見さん船見さん。これも食べてみて?」

結衣「漬け物?」

綾乃「ええ。口に合うといいんだけど……」

結衣「どれどれ……」パクッ

綾乃「……」ドキドキ

結衣「ん、美味しっ」

綾乃「ほ、ほんと!?」

結衣「ほんとほんと、いい味してるよ。どこで買ったの?」

綾乃「ふ、ふふんっ? 実はね、その浅漬け……私が作ったのよ!」キリッ

結衣「綾乃が?」

綾乃「ええ。この前千歳が遊びに来た時に作り方を習ってたの」キリリッ

結衣「へ~、千歳直伝かぁ……そりゃ美味しいわけだ」パリポリ

綾乃「むっ……その言い方だと、千歳のレシピだから美味しいみたいに聞こえるわ」

結衣「えー? 疑り深いなぁ……大丈夫、ちゃんと綾乃の愛情も漬かってるから」ニコッ

綾乃「な……ななぁッ!?」

結衣「あれ、また私おかしなこと言った?」ニヤニヤ

綾乃「ぐ、ぐぬぬぬぬ……///」

……

結衣「あ、今日帰りにさぁ」

綾乃「なぁに?」

結衣「………………ぁー……」

綾乃「船見さん?」

結衣「ごめん、なんでもない」

綾乃「えー? なにか言いかけてなかった?」

結衣「いや、なんでもないよ」

綾乃「なによー、気になるじゃないの」

結衣「いやいや、ほんと、なにも」

綾乃「え~?」

結衣「綾乃、愛してるよ」キリッッッ

綾乃「ふ、船見さん///」チョロッ

結衣「(チョロい)」

……

綾乃「あ、そうだ船見さん。聞いて聞いて?」

結衣「うん?」

綾乃「今日ね、スーパーでご近所さんと会ったの」

結衣「へぇ」

綾乃「それで、しばらく世間話をしたのね」

結衣「ふんふん」

綾乃「で、おしゃべりも終わって、別れ際にそのご近所さんが言ったの」

結衣「なんて?」

綾乃「……、ふ」

結衣「ふ?」

綾乃「『船見さんの奥さんは働き者ねぇ』……って///」キャー

結衣「」

綾乃「や、やっぱりまだ照れるわよねっ。お、奥さんだなんて……///」

結衣「」

綾乃「もー顔が真っ赤になっちゃって困――ふ、船見さん?」

結衣「んー?」

綾乃「どうして私を見てニヤニヤしてるの……?」

結衣「えー、ニヤニヤなんてしてないよー」ニヤニヤ

綾乃「し、してるわよ! すっごく締まりのない顔してる!」

結衣「いやー、だってさー」ニヤニヤ

綾乃「だって?」



結衣「『船見さんの奥さん』は、いつまで私のことを『船見さん』って呼ぶつもりなのかなぁって」


 

綾乃「っ!?///」

結衣「ね?」

綾乃「ぁ……ぅ……///」

結衣「あれ? どうしたの綾乃、顔が赤いよ?」

綾乃「だ、だって、船見さんが」

結衣「ふ・な・み・さ・ん・が・?」

綾乃「くぅ……っ!///」

結衣「」ニヤニヤ

綾乃「……………………………………………………、ゆ」

結衣「!」



綾乃「……ゆ、結衣さんのいじわる……///」



結衣「(綾乃かわいすぎ笑った)」ニマーーーーーーーーーー

綾乃「」ビクッ

結衣「それにしたってなかなか慣れないね、名前呼び」

綾乃「し、仕方ないじゃない。苗字で呼ぶ間が長かったんだもの」

結衣「まあね。でもそろそろ慣れてくれたっていいと思うんだけど」

綾乃「それはそうなんだけど……恥ずかしくって……」

結衣「……私の名前ってそんなに卑猥かなぁ?」

綾乃「そ、そういう意味じゃなくって! ていうか、わざと言ってるでしょ!?」

結衣「ははは」

綾乃「笑ってごまかさないで! もうっ、結衣さんのばかぁ!」

結衣「お、今のは自然だったよ」

綾乃「へ?」

結衣「その調子で少しずつ慣れていこうね、綾乃」ニコッ

綾乃「……もう、ばかっ」

……

結衣「ふう、ごちそうさま」

綾乃「お粗末マサチューセッツ州よ!」

結衣「ブふっ! ……あ、お茶もらえる?」

綾乃「いいわよ、ちょっと待っててね」

コポコポコポ...

綾乃「はい、どうぞ」

結衣「ありがと。綾乃は?」

綾乃「私はまだ洗い物が残ってるから……」

結衣「真面目だなぁ。その前に少しだけ隣、だめかな?」

綾乃「……し、仕方ないわねっ。少しだけなんだから!」ストン

結衣「ふふ、ありがと」

ズズー...

結衣「ふぅ……お茶おいしいな」

綾乃「ええ、日本人はやっぱり緑茶よね」

結衣「食後は特にね」

綾乃「あッ、食後といえば!」

結衣「?」

綾乃「食後のデザートを買ってたのを思い出したわ! すぐ用意するわね!」

結衣「いいね。ちなみに何?」

綾乃「もちろんプリンよ!」

結衣「和ッツ!?」

綾乃「おまたせ~♪」ルンッ

結衣「ずいぶんご機嫌だね綾乃」

綾乃「当然よ! なにせこれは古谷さんのお店の特製プリンなんだから!」

結衣「古谷さんの!? うわぁ、それなら納得かも……」

綾乃「でしょ?」フフン

結衣「でもよく買えたね綾乃。ひょっとして先輩後輩の力関係を利用して?」

綾乃「し、失礼なことを言わないで頂戴! この船見綾乃、プリンに関しては何よりも平等院正々堂々よ!」

結衣「ブふっ! びょ、びょうどういんせいせいどうどう……」プルプル

綾乃「さっ、早くいただきましょ?」

結衣「う、うん。そうだね、いただこう」

結綾「「いただきまーす」」

パクッ

結綾「「!!!」」

結衣「な、なにこれ、今まで食べたプリンの中で一番美味しい!」パクパク

綾乃「すごい……評判には聞いていたけれど、まさかここまで美味しいなんて!」パクパク

結衣「やば、こんなの食べちゃったらもうコンビニのプリンじゃ満足できないよ……」

綾乃「会計中、ずっと古谷さんが私の方をギラギラ睨んでたのも納得だわ……」

結衣「え、古谷さんが? どうして綾乃を睨むの?」

綾乃「もう結衣さんったら……古谷さんと言っても、櫻子さんの方よ?」

結衣「へ? あ……あー、そっか。そうだっけ」

綾乃「そうよ。結衣さんこそいつまでも慣れないわね」クスッ

結衣「ごめんごめん、あの二人は特に強烈だったから……」

綾乃「それはわかるけど。でも、もう覚えてあげないと二人に失礼だわ」

結衣「ほんとだね。二人とも、今では二児のお母さんなんだもん」

綾乃「ええ。時が経つのは早いものね……」シミジミ

結衣「まったく、その通りだよ……」シミジミ

綾乃「あ、なんか静かだと思ったらテレビがついてないのね」

結衣「うん。そういえば消しっぱなしだったよ」

綾乃「つけましょうか。何か面白い番組はやってたかしら……」

ポチッ

TV「続いて次のニュースです」

結衣「まだニュースの時間か」

TV「本日お昼頃、富山の六百六十六森大学で爆発事故がありました」

TV「それにより、被験体Mさんの髪が爆発的に伸びるなどの影響はありましたが、幸いにも怪我人は出ませんでした」

TV「実験を行っていたN氏は、『爆発はあくまでも想定の範囲内』とコメントしています」

結衣「物騒だなぁ」

綾乃「ほんと。世も末スウェーデンね!」

結衣「ブふっ!」

ピッ

TV「みんなーっ! 今日はチーナのためにありがとーっ!!」
 \チーナ!/ \チーナ!/ \チーナ!/ \チーナ!/
     \チーナ!/ \チーナ!/ \ガッチーナ!/
 \チーナ!/ \チーナ!/ \チーナ!/ \チーナ!/

結衣「あ、ちなつちゃんだ」

綾乃「へー、ゴールデンの歌番組に出るなんて凄いわね!」

TV「あたーまからーつーまさきまでべびろーっくおーん♪」
   \\\\\ちゃっかり狙うよ!!/////

綾乃「すごい人気ね~」

結衣「うん。相変わらず可愛いなぁちなつちゃんは」

綾乃「」ピクッ

結衣「いや、ちょっと大人っぽくなって前よりも可愛いかも……」フム

綾乃「」ピクピクッッ

ススス...ピトッ

TV「たたーかいはーつーくえのしたべびじゃーっじめーん♪」

結衣「ちゃっかりおしお……き?」

綾乃「……」

結衣「あのー、綾乃?」

綾乃「……なによ」

結衣「いや……どうしたの。急にくっついてきたりして」

綾乃「………………船見さんはデリカシーがないと思うの」

結衣「で、でりかしー?」

綾乃「デリカシーニューデリーよ!」

結衣「ブふっ!」

綾乃「」プンプン

結衣「えっと、綾乃さん。突然デリカシーがないとか言われても困るんだけど……」

綾乃「だって……無神経だわ。隣に、ぉ、奥さん……が、いるのに。TVの向こうのアイドルを褒めるなんて……」

結衣「ぁー…………、…………ぇー?」

綾乃「そりゃあ、私なんて地味だし、頑固者だし、もみあげだし……」イジイジ

結衣「んー……綾乃、綾乃」

綾乃「なによぉ……」グスン

チュッ

綾乃「」

結衣「……これで許していただけますか? お姫様」

綾乃「ヨ、ヨヨヨ、ヨクッテヨッ!?///」カクカク

結衣「そりゃ良かった」

綾乃「ア、ァアアァァァ……アァア……」プシューッ

結衣「(ほっぺにちゅーでこの動揺っぷり……ほんとにお姫様だよ、まったく)」

綾乃「……えへ、えへへっ。ちゅーされちゃった。船見さんにちゅーされちゃったわっ」フワフワ

結衣「そうそう綾乃」

綾乃「なぁに、船見さんっ」ニコニコ

結衣「呼び方。また戻ってるよ?」

綾乃「ぁ……もぉ、少しくらい見逃してくれたっていいじゃない。結衣さんのいじわる」プクー

結衣「ごめんごめん。でも意地悪なんて言わないでよ、可愛い綾乃の為を思って言ってるんだから」

綾乃「かわっ!? ……やっぱりいじわるだわ。それと、女ったらし」

結衣「えー」

綾乃「わ、私に言う分には構わないけれど……他の女の子には言ってないでしょうね?」ジトッ

結衣「………………マ、マッサカー」

綾乃「結衣さん……?」ジトォォォ...

結衣「さ、さーて! お風呂もう沸いてるんだよね!? そろそろ入るから! じゃっ」スタコラー

綾乃「あ、待ちなさい結衣さん! 逃げるなんてブーブーブータンなんだからねーっ!」

                                            ブフッ! ブ、ブーブーブータン...!>

……

ガチャリ

綾乃「ゆ、結衣さーん……」

 結衣「ん? なにー綾乃ー」>【浴室】

綾乃「着替え、持ってきたから置いておくわね?」

 結衣「あーありがとー」>【浴室】

綾乃「じゃ、じゃあ。私リビングに戻るからっ」

 結衣「綾乃ー」>【浴室】

綾乃「なな、なにっ!?」

 結衣「一緒に入らない?」>【浴室】

綾乃「結衣さんのすけべー!」ムキー

 結衣「あはは、冗談だよ冗談ー」>【浴室】

綾乃「もう、結衣さんったら……あら?」

綾乃「これ……なにかしら、結衣さんのワイシャツに汚れが……?」ヒョイッ

綾乃「!!」

綾乃「これ……って……」フラッ

ガタンッ

 結衣「ん? 綾乃ーまだいるのー?」>【浴室】

綾乃「!」

 結衣「綾乃ー?」>【浴室】

綾乃「な、なんでもないわ! 洗面台で顔を見てただけよ! ……も、もう行くわね」

 結衣「わかったー」>【浴室】

綾乃「……」タッ

 結衣「でーあいがしらーみーつめられてたーじーたーじーまーはブふっ!」>【浴室】

書き溜めが、尽きましたゆえ

……

ガチャリ

結衣「お風呂お先ー」ホコホコ

綾乃「……」

結衣「綾乃?」

綾乃「船見さん、そこに座って」

結衣「もー綾乃、また呼び方が」

綾乃「早く座りなさいっ!!」

結衣「は、はいぃ!?」シュバッ

綾乃「……」

結衣「……あの、綾乃……?」

綾乃「このワイシャツ」

結衣「え」

綾乃「口紅ついてる」

結衣「あ゛」

綾乃「……」

結衣「あ……綾、乃?」

綾乃「……」

結衣「えっと、これはね、その……違うんだ!」

綾乃「……」

結衣「なんていうかな……そういう、そう、綾乃の考えてるようなことじゃないんだ。ぜんぜん違うから!」

綾乃「……」

結衣「だから安心して。まずは、落ち着いて、私の話を聞いて? ね?」

綾乃「……」

結衣「……綾乃?」

綾乃「…………結衣さんの、ばかぁ…………」ジワァ...

結衣「ええええええ!?」ビクッ

綾乃「ぅ……ぅぅうううぅ~~~っ……!」ポロポロ

結衣「あああ綾乃!? ごめ、な、泣かないで! お願いっ!」オロオロ

綾乃「だって、だってぇ……結衣さんが……結衣さんがぁぁぁ~……っ」

結衣「だからほんとごめん! と、とにかく泣き止んで!」

綾乃「ぎゅっってしてくれなきゃやだぁ!」

結衣「ハイよろこんでー!」ギュッ

綾乃「ぁ……ぅぅ、ぅぅぅぅぅぅぅぅ……」ギューーー

結衣「……」ギュゥッ...

……

結衣「落ち着いた?」

綾乃「……」コクン

結衣「そう……」

綾乃「」グスッ

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「(気まずい……)」

綾乃「……結衣さん」

結衣「は、はい!」

綾乃「ちゃんと、説明してもらうんだから」

結衣「……はい」

綾乃「……」ジー

結衣「うっ……」

綾乃「…………」ジーー

結衣「(し、視線が痛い)」

綾乃「………………」ジーーー

結衣「(とりあえず誤魔化してみるか……?)」

結衣「えっと、その口紅は私ので偶然ついちゃ」

綾乃「こんな色の口紅なんて結衣さんも私も持ってないじゃない」

結衣「はい」

綾乃「はいじゃないわよ」

結衣「はい。ごめんなさい」

綾乃「……」ゴゴゴゴゴゴ

結衣「(綾乃むっちゃ怖ぃ……)」

綾乃「結衣さん……私に隠し事する気なの……?」ギロリ

結衣「い、いやっ!? そんな、滅相もない……!」

綾乃「じゃあ本当のこと、言えるわよね……?」

結衣「(も、もうダメだ……本当のことを言うしかない)」

結衣「(でも、本当のことを言った所で信じてもらえるかどうか……)」

結衣「(……けど……)」

綾乃「……」グスン

結衣「(言うしか、ない)」

結衣「綾乃。これから私の言うことを、どうか信じて欲しい」キリッ

綾乃「結衣さん……わかった。私、信じるわ」

結衣「ありがとう。じ、実は……」

綾乃「……実は?」ゴクリ



結衣「帰り道に偶然ちなつちゃんと会って立ち話をして『ちなつちゃんは今でも可愛いね』って言ったら興奮したちなつちゃんにキスされそうになった」

綾乃「」

結衣「必死に抵抗したから顔面は死守したんだけど……口紅はその時に着いたんだと思う」

綾乃「」

結衣「それで、すぐマネージャーのあかりに連絡してちなつちゃんを引き取ってもらったんだけど」

綾乃「」

結衣「結局キスはされなかったわけだし、綾乃に無駄な心配をかけるのも悪いと思って……黙ってました」

綾乃「」

結衣「一応これが事の真相なんだけど……し、信じてくれるんだよね、綾乃?」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「」ニコッ

結衣「!」パァッ



綾乃「結衣さんのすけべーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」

結衣「えええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ」

綾乃「結衣さんのばかばかばかばか! フケツ! 信じらんないナイル川よ!」

結衣「ブふっ! い、いや綾乃、ちゃんと私の話を聞いて」

綾乃「聞きたくナイジェリア!」

結衣「ブふぉっ! ちょ、ま、待って綾乃、ほんとに浮気とかじゃないから」

綾乃「いーえ! これはれっきとした浮気浮気ワイキキビーチだわ!」

結衣「ブひゅふっ! ……も、ごめ、かんべん、して……!」

綾乃「うるさいうるさいうるさい! 疑わしきは罰金バッキンガムよ!!」

結衣「……! ! ……!!」ビクンッビクンッ

綾乃「もうっ結衣さん!? 人の話はちゃんと聞きなサイパン!!」

結衣「あ、綾乃こそ怒るならもっとちゃんと怒っブっほふくぅう……っ!」

……

綾乃「落ち着いた?」

結衣「な、なんとか……」ゼヒューゼヒュー

綾乃「……結衣さん、本当に浮気してない?」

結衣「し、してない! 絶対、誓ってもいい!!」

綾乃「ふぅん……」ジトッ

結衣「ぅ……疑わしげな眼差し……」

綾乃「じゃ、じゃあ……確かめさせてもらうわね」

結衣「へ?」

綾乃「……ぇいっ!」

ムギュッ

結衣「わ、綾乃っ?」

綾乃「も、もし結衣さんが浮気してたら、身体から泥棒猫の匂いだするはずだわっ」クンカクンカ

結衣「いや、もうお風呂にも入ったし、着替えちゃったんだけど……」

×匂いだ

○匂いが

綾乃「」クンカクンカ

結衣「ぅひ……綾乃、くすぐったいんだけど」

綾乃「ダメよ! 結衣さんに拒否権なんてないんだから!」

結衣「わ、わかったよ……」

綾乃「」クンカクンカ

結衣「どう? なにか匂う?」

綾乃「………………私の匂いしかしないわ」

結衣「そりゃあ直前に抱きついてるからね……」

綾乃「こ、巧妙な証拠隠滅だわ!!」キリッ

結衣「えー」

綾乃「負けないんだから! 根気よく調査を続ければ、きっと……!」

結衣「ええー」

綾乃「」クンカクンカクンカ

結衣「どーおー? なんかわかったー?」

綾乃「ま、まだよっ」

結衣「この体勢つらいんだけど」

綾乃「まだよ!!」

結衣「はいはい……」

綾乃「」クンカクンカクンカクンカ

結衣「……」

綾乃「くんかくんか、くんかくんか……えへ、結衣さんいい匂い……」

結衣「…………」

綾乃「すんすん……ふゎ、ほぁあああ……///」

結衣「………………」

結衣「……綾乃さぁ」

綾乃「な、なにかしら!?」ドキッ

結衣「もうただ私のこと嗅ぎたいだけとかじゃないよね」

綾乃「ぎくーっ!」

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「……」

綾乃「……」



綾乃「」クンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカクンカ

結衣「オイコラ」ゴツン

綾乃「あたっ!? ゆ、結衣さんがぶったぁ!!」ブワッ

結衣「そりゃぶつわ! 体勢つらいって言ってんだろ!!」

綾乃「な、なによぉ……容疑者が手を上げるなんて前代未聞だわ。一体どういうコートジボワール……」グスン

結衣「ブふっ!」

綾乃「……」ギュッ

結衣「っと……綾乃?」

綾乃「……っ」

結衣「……」

ポム

綾乃「!」

結衣「綾乃、ほんとごめん」ナデナデ

綾乃「……うん……」

結衣「良かれと思って黙ってたんだけど、こんなに泣かれるとは思ってなかったよ」ナデナデ

綾乃「ほんとに吉川さんとは何もないの?」

結衣「ないよ。あと、綾乃こそ間違えてる。今は赤座ちなつちゃんだよ」

綾乃「あ……そうだったわね」

結衣「そうそう。私もちなつちゃんも、こんなに可愛い奥さんがいてW不倫なんて大それたこと出来ないって」

綾乃「……そうかしら」

結衣「オイコラ」

綾乃「だって結衣さん、か弱い女の子を守ってあげるのが趣味なんでしょ?」

結衣「趣味じゃないよ」

綾乃「うそ」

結衣「嘘じゃないよ」

綾乃「私のこと好き?」

結衣「大好きだよ」



チュッ

……

綾乃「お風呂上がったわー」ホコホコ

結衣「んー」ピコピコ

綾乃「あっ、結衣さんまたゲームしてる!」

結衣「んー」ピコピコ

綾乃「どれくらいやってるの?」

結衣「んー………………10分くらいかな」ピコピコ

綾乃「うそばっかり! 私がお風呂に入る前からやってたじゃない!」

結衣「んー」ピコピコ

綾乃「ゲームは一日一時間までよ! さっ、止めて止めて」グイグイ

結衣「ちょ、やーめーろーよー」ピコピコ

綾乃「止めるのは結衣さんの方でしょう!?」ンモー

結衣「んー」ピコピコ

綾乃「もう……」

結衣「」ピコピコ

綾乃「……そのゲーム、面白い?」

結衣「面白いよー」ピコピコ

綾乃「今なにやってるの?」

結衣「ボス戦。結構苦戦してる」ピコピコ

綾乃「そ、そうなのね」

結衣「んー」ピコピコ

綾乃「……わ、私に出来ることってないかしら!?」

結衣「えぇ? あー……応援とか?」

綾乃「お、応援……!」

結衣「」ピコピコ

綾乃「が、がんばれー。がんばれー」ピョコピョコ

結衣「……」

結衣「(なにこの可愛い生き物)」

ズモォォォン...!

結衣「勝てた……」フゥ

綾乃「やったわね結衣さん!」

結衣「うん。綾乃の応援のおかげかな、ありがと」ナデナデ

綾乃「ぁ……ふふ、くすぐったいわ」

結衣「綾乃の髪、お風呂上りでつやつやだ」

綾乃「って、そうだった、ゲームに夢中で髪乾かすの忘れてたわ!」

結衣「私も手伝おうか」

綾乃「ほんと? 助かるわ」

結衣「今日はなんか疲れちゃった。早く乾かして、早く寝よう」

綾乃「私もよ。こういう日はさっさと寝る寝るネーデルランドね!」

結衣「ブふっ!」

……

綾乃「それじゃ、電気消すわね」

結衣「ん、お願い」

パチッ

綾乃「ん、しょ……」モゾモゾ

結衣「おやすみ、綾乃」

綾乃「ええ。おやすみなさい、結衣さん」

……

結衣「……」

綾乃「……」

結衣「綾乃……もう寝た?」

綾乃「……なぁに、船見さん?」

結衣「そっち、いってもいい?」

綾乃「……ええ。おいで」

結衣「ん……」

モゾモゾ...スポッ

綾乃「いらっしゃい、結衣さん」ギュッ

結衣「……お世話になります」ギュー

綾乃「どうしたの?」

結衣「ん……いや、なんていうか……羨ましくて」

綾乃「?」

結衣「」クンカクンカ

綾乃「ひゃっ」

結衣「」クンカクンカ

綾乃「ふ、船見さんっ?」

結衣「人違いだよ」

綾乃「……結衣、さん。急に何を……」

結衣「だから、綾乃ばっかり私の匂いを嗅いで不公平だと思って」

綾乃「ふ、不公平って……」

結衣「」クンカクンカ

綾乃「きゃうッ……もう、甘えんぼなんだから」ナデナデ

結衣「綾乃、すっごくいい匂い」

綾乃「そ、そう? 結衣さんと同じシャンプーよ?」

結衣「じゃあ綾乃自身がいい匂いなんだね」

綾乃「どうかしら、髪の長さも関係してたような……」

結衣「ああ、そっかぁ」

綾乃「結衣さんは髪伸ばしたりしないの?」

結衣「私? 私は……もうずっとこの長さだからなぁ」

綾乃「ロングヘアーの結衣さんも素敵だと思うけど」

結衣「おだてないでよ。照れるからさ」

綾乃「おだててなんかないわ。本心よ」

結衣「またそういう……」モフン

綾乃「あ、結衣さん照れてるー」クスクス

結衣「うっさい」モフモフ

綾乃「ねぇ、結衣さん」

結衣「んー?」モフモフ

綾乃「明日、土曜日よね」

結衣「そうだね」

綾乃「なにか予定は?」

結衣「ないけど」

綾乃「そ、そう。……あの、だったら……」モジモジ

結衣「ん……どっか出かけようか」

綾乃「ぇ、いいの……?」

結衣「もちろん」

綾乃「わぁ……どこに行くっ?」

結衣「どこでもいいよ。綾乃の行きたい所に行こう」

綾乃「えー? そう言われたら迷っちゃうじゃない、結衣さんも一緒に考えてよー」

結衣「え~? 私そういうの苦手なんだけど……」

綾乃「いいからいいから」

結衣「んー……、……あ」

綾乃「なにか思いついた?」

結衣「うん……あー、でもなぁ」

綾乃「なんでもいいのよ? 言って言って」

結衣「………………お弁当」ポソッ

綾乃「お弁当?」

結衣「うん、お弁当作りたい。一緒に」

綾乃「一緒に、お弁当……」

結衣「……」モフン

綾乃「えっと、私は構わないけど……結衣さんはいいの? せっかくのお休みなのに」

結衣「いいに決まってるだろ、私から言い出したんだから」

綾乃「そう? なら……明日はピクニックにしましょうか」

結衣「ピクニック……うん、いいね。楽しそう」

綾乃「ふふ、私も今から楽しくなってきちゃった」

結衣「じゃあ明日は早起きだね」

綾乃「ええ。頑張って美味しいお弁当を作りましょう、結衣さんっ」

結衣「うん。期待してるよ、綾乃」

ギュッ...

……

結衣「ん……」モゾッ

綾乃「すぅ……すぅ……」

結衣「……」ナデナデ

綾乃「ん……えへへ、ふなみさぁん……」

結衣「……」

綾乃「あした、たのしみね……おべんともって、まおうを、たいじー……」ムニャムニャ

結衣「……」クスッ

チュッ

綾乃「んぅ……っ」

結衣「……」



結衣「おやすみ綾乃。また明日も、二人一緒に――」




                      ◆

 

京子「というマンガを描いてみた!!」

結衣「お前は私達にどうなって欲しいんだよ」

綾乃「∵」

おしまい!

こういう設定でもないと結綾なんて書けない
ちなみにマンガの中の京子ちゃんはアルティメットセクシーコマンドー京子として概念的な存在になってるだけだから安心アンコールワットね!

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