恒一「どうせいない者だし赤沢さんに告白してみるか」(247)

恒一「どんな反応するのかな」

【教室】

久保寺「えーですからこの作者の心境は……」

ガラッ

全員「!?」ビクッ

恒一「……」

赤沢(……? 恒一くん?)

杉浦(どうしたのかしら、授業中にいきなり入ってきて)

恒一「……」スタスタ

勅使河原(? あいつ赤沢の席の方に……)

赤沢(え? なんでこっち来るの?)

望月(なにするつもりなんだろう……)

恒一「……」スタスタ…ピタッ

赤沢(な……なんで私の席の目の前に?)

中尾(あいつ一体何をするつもりなんだ……)

恒一「すぅー……」

恒一「――好きだ赤沢さん!!」

赤沢「!?」

杉浦「!?」

綾野「!?」

勅使河原「!?」

中尾「ああっ!!?!?!!?」ガタッ

恒一「世界で一番愛してる!!!!!」

赤沢「!?」

恒一「病院で初めて会った時から気になってたんだ!!」

赤沢「!?!?」

恒一「赤沢さんの綺麗な髪も声も顔も勝気な性格も全部大好きだ!!!!!」

赤沢「!?!?!?」

赤沢(え、な、なに? なにこれ? え? 恒一くんが私を好き?)

赤沢(なに? なんで授業中に突然? え? えええええ?)

中尾「榊原てめ――!!」ガタッ

久保寺「中尾くん、授業中は席を立たないように」

中尾「……はい」ストン

恒一「ふー……」

赤沢「……」

赤沢(……わ、私いま、告白されたのよね? ……恒一くんに)

赤沢(どっどっどうしよう……私どうすればいいの?)

赤沢(まさか恒一くんが私のこと……す、す、す、好きだったなんて)ドキドキ

恒一「……赤沢さんはホント可愛いなあ」ボソッ

赤沢「!!!!!」ビクゥッ

赤沢(そ、そんなこと小声で言わないでよ……! 顔が赤くなっちゃう!)

赤沢「うぅ……」カァアアア…

恒一「……」

赤沢「うっ……」

赤沢(ど、どうしよう……いえ、答えはもう決まってるけど)

赤沢(恒一くんはいまはいない者だから何も返事ができない……)

赤沢(本当ならすぐにでもオッケーしたいのに……災厄のバカ!!)

赤沢(ああ……今すぐにでも私も恒一くんが好きって伝えたい――)

恒一「よし、満足したし帰るか」

赤沢「え?」

恒一「それじゃまた明日ね赤沢さん」

ガラ ピシャンッ

赤沢「……え?」

赤沢「……」ポカーン

杉浦(なんだったのいったい?)

望月(まるで嵐のようだったなあ……)

勅使河原(まさかサカキの奴まで……)

中尾(榊原調子乗りやがってコロスコロスコロスコロス)

赤沢「……」ポカーン

久保寺「……えー、では授業を続けます。前島くんこの126ページの頭から――」

かーちゃん「ごはんよ」

俺「わかった今行く」(PCを閉じながら)

【翌日・教室】

久保寺「では今日は昨日の続きから始めます」

赤沢「……」

赤沢(……昨日のは一体なんだったのよ)

赤沢(恒一くんったら言うだけ言ってさっさと帰るなんて……)イライラ

赤沢(そりゃあ私のせいでいない者にされてるから、返事ができないのはわかってるけど……)

赤沢(だからって……)

ガラッ!

赤沢「!?」ビクッ

恒一「……」

赤沢(こここここ恒一くん!?)

小椋(……また来た)

杉浦(毎回びっくりするような扉の開け方しないでよ……)

恒一「……」スタスタ

赤沢(こっちにくる!!)

勅使河原(また昨日と同じことをする気か……?)

中尾(くそっ……!! どうにかして止めなくては!!!!!)

スタスタ…ピタッ

恒一「……」

赤沢(……な、なに? なんで私の隣に立って……)

恒一「……」スッ

赤沢(!? かっ顔を近づけて……な、なに!? なにするつもりなの!?)

恒一「……」ピタッ

赤沢「……!!」

赤沢(あっ……ちか、近い……)

赤沢(恒一くんの吐息が当たって……くすぐった――)

恒一「……ふぅーっ」

赤沢「ひゃわんっ!?」ビックゥッ

赤沢「は、は、ふわっ……」

赤沢(み、みみみ、耳に息を……!)フルフル

久保寺「……赤沢さん、どうかしましたか」

赤沢「あっ……いっいえっ! なんでもありまひぇん!!」

綾野「ぷっ!」

勅使河原「っ……くふっ……!」

赤沢「あっ……」カァアア

赤沢(うっ、ううう……酷い噛み方した……)

恒一「くっくっ……赤沢さん盛大に噛んじゃったね」

赤沢(……! 誰のせいよ誰の!)

恒一「ふふっ……それにしても、赤沢さんって結構耳弱いのかな?」

赤沢「っ……!」

恒一「……」スッ

赤沢「!!」ビクッ

赤沢(ま、また顔を近づけてきた……)

恒一「……」ピタッ

赤沢(くっ……こ、今度は大丈夫、さっきは不意を突かれただけ)

赤沢(ちゃんと来ることが分かってれば、どうってことない……はず)

恒一「……」

赤沢「……」

恒一「……」

赤沢「……?」

恒一「……」

赤沢「……?」

赤沢(? なんなの、何で何もしな――)

恒一「……泉美」ボソッ

赤沢「!!」ビクッ

恒一「泉美」

赤沢「……!!」

赤沢(な、な、なんで……なんで名前で呼んで……!!)

恒一「好きだよ、泉美」ボソッ

赤沢「!!!!!!」ビクッ ガタン

久保寺「……どうかしましたか赤沢さん」

赤沢「あっ、な、なんでもな――」

恒一「大好きだよ泉美」ボソボソ

赤沢「はうっ!?」ビクッ

赤沢(み、耳元囁かれてくすぐった……いや、そ、それ以前に……)

恒一「泉美の髪って甘いいい香りがするね」ボソボソ

赤沢「っ……!」

恒一「嗅いでると胸が泉美で満たされるみたいで幸せだ」ボソボソ

赤沢「っ……!!!」

恒一「このままずっと泉美の傍に居たいなあ」ボソボソ

赤沢「っ……!!!! ……!!!」ブルブル

赤沢(耳元で……!! そんな甘い台詞……!!)ドキドキドキドキ

赤沢(ああもう……いま絶対に顔真っ赤だ……)バックンバックン

恒一「泉美……」

赤沢(なんなのよもう……次はなにするつもり――)

恒一「よし」スック

赤沢(……え?)

恒一「今日はこのぐらいでいいかな」

赤沢(え? え?)

恒一「それじゃまた明日ね、赤沢さん」

赤沢(えっ、えっ)


スタスタ ガラッ ピシャン

赤沢「……」

勅使河原(またあっさりと帰って行きやがった……)

中尾(くっそ!! くっそ!! 榊原の野郎……!!)

杉浦(鳥肌が立つほど臭い台詞だったわね……)

綾野(いいなぁ……私もあんなこと言ってもらいたいなあ……)

赤沢「……」

赤沢(……ふ、ふふ)

赤沢(ふふふふ……これは私、完全に弄ばれてるわね……)

赤沢(……いいわ、あなたがそういう気ならこっちにだって考えがあるもの)

赤沢(対策係の底力を見せてあげる……)ゴゴゴゴゴ

渡辺(前の席から不審なオーラを感じる……)

前島(隣の席から不審なオーラを感じる……)

久保寺「ではここの文章を赤ざ……佐藤さんお願いします」

佐藤「あ、はい」ガタッ

【また翌日・教室】

久保寺「今日は皆さんに文章の要約の仕方と言うものについて――」

ガラッ

赤沢「!」

恒一「……」

赤沢(来たわね恒一くん……)

恒一「……」スタスタ

望月(今日も来たんだ……)

勅使河原(またかよ)ハァ

杉浦(皆もう慣れてきたみたいね)

スタスタ…ピタッ

恒一「……」

赤沢「……」

赤沢(ふっ……来るなら来なさい、今日は昨日のような醜態は晒さないわ)

恒一「……」スッ

赤沢「!」

恒一「……」ピタ…

赤沢「……」

恒一「……泉美」ボソッ

赤沢「……」

恒一「……? 泉美?」

赤沢「……」ツーン

恒一「あれ……? ねえ、泉美」

赤沢「……」

恒一「……??? ……あっ」

赤沢(……ふっ、どうやら気付いたみたいね)

恒一「……」

赤沢(今日は耳元で囁かれても大丈夫なように……)

赤沢(――耳栓を付けてきたのよ!!)

赤沢(ふふふ……これでもう遅れをとることはないわ)

久保寺「赤沢さん、ここの文章を読んでくれますか」

赤沢(まあ唯一の難点が授業が全く耳に入らないことだけど)

久保寺「赤沢さん聞いてます? ここの文章……」

赤沢(そんな些末なことはこの際どうでもいいわね)

久保寺「赤沢さ……チッ、では風見くんお願いします」

風見「あ、はい」ガタッ

赤沢(ふふふふ……)

恒一「……」

恒一「……」スッ

赤沢「!」

恒一「……」

赤沢「……」

赤沢(……ふっ、もう顔を近づけたところで無駄よ。あなたの声はもう私に届かないもの)

赤沢(ちょっと喋るときの吐息がくすぐったいけど、それぐらい我慢でき――)

恒一「……ペロッ」

赤沢「ふわひゃあっ!!?!?」ガタッ

赤沢「あ、あ、あ……」

久保寺「……赤沢さん、授業中は席を立たないように」

赤沢「うぅうう……!!」ブルブル

久保寺「おい聞いてんのか赤沢」

赤沢(み、耳……いま耳たぶ舐められた……!!)

赤沢(くぅううっ……しかもすごい変な声でたし……なによ『ふわひゃあ』って!!)

恒一「……」ニヤニヤ

赤沢「……!!」

恒一「……やっぱり赤沢さん、耳が弱いんだね?」

赤沢「うぅ……」

恒一「あ、耳栓してるから聴こえないのか……仕方ないなあ」スッ

赤沢「!!」ビクッ

恒一「……」

赤沢「っ……!」

恒一「……ペロッ」

赤沢「はうっ!?」ビクンッ

恒一「おっと」パッ

恒一「赤沢さん敏感すぎだよ、今五センチぐらい飛び上がってたんじゃない?」

赤沢「くぅ……!」

恒一「……しかし、こうも反応がいいともっとやりたくなっちゃうね」スッ

赤沢「っ!!」

恒一「……はむっ」

赤沢「はわんっ!?」

赤沢(み……耳たぶが!!)

恒一「ハムハム……」

赤沢「は、ふっ、ふひゃっ……」

赤沢(ひっ、か、噛まないでっ……!!)

恒一「カミカミ」

赤沢「あうぅううっ……!」

赤沢(く、くすぐったいってレベルじゃない……)

恒一「はむ……カリッ」

赤沢「あうんっ!?」

赤沢(ううっ……やめて……もうやめてぇ……!!)

恒一「カプカプ……」

赤沢「あっ、あうっ、ふうんっ……!!」

赤沢(負けで……私の負けでいいからぁ!!)

恒一「ハム……」

【十分後】

恒一「……ふぅ」スッ

赤沢「はうっ……!」ベチャッ

恒一「いやあ、赤沢さんの耳って美味しいね」

赤沢「はぁー……はぁー……」ガクガク

恒一「……ってもう話せるような状態じゃないみたいだね」

赤沢「はぁ……はぁー……かふっ」ガクガク

恒一「それじゃあね赤沢さん……ま・た・あ・し・た」

赤沢「はぅうぅ……」

スタスタ ガラッ ピシャン

赤沢「……」

小椋(……あいつどういう舌使いしてんのよ)

杉浦(途中からただ喘ぐだけの機械と化してたわね、泉美)

綾野(いいなぁ……私もこういっちゃんの舌で……)

中尾(榊原のやろぉおおおおおおおなんてうらやましぃいいいいいいいいいいいいい)

赤沢「……」チーン

赤沢「……」

赤沢(……くそっ)

赤沢(まさかこんな手で打ってこられるなんて……不覚だわ)

赤沢(クラスの皆の前であんな恥ずかしい声……くっ、ううっ……)グスッ

赤沢(……明日こそ)

赤沢(明日こそは……恒一くんにほえ面かかせてやるわ!!)

赤沢(対策係の名に賭けて!!)

【またまた翌日・教室】

久保寺「なんで毎日の如く国語の授業があるんでしょうねぇ……」

久保寺「まあそれはともかく、今日は古典について――」

ガラッ

赤沢「!」

恒一「……」

全員(またかよ……)

恒一「……」スタスタ

赤沢「……」

赤沢(……ふふ、来ると思ってたわ恒一くん)

恒一「……」スタスタ…ピタッ

赤沢(またこの時間に来ると思って、準備は既に完了してるわよ)

恒一「……えっ」

赤沢(ふふふ……どうやら驚いたようね)

恒一「……」

赤沢(そう……今日は耳全体をガードするため)

赤沢(――ヘッドホンを付けてきたのよ!!)

恒一「うわぁ……」ドンビキ

久保寺「授業に入る前に赤沢さん」

赤沢(ふふっ……これなら舐めることも囁くこともできない)

久保寺「何故授業中なのにヘッドホンを付けてるのですか?」

赤沢(完璧な作戦……)

久保寺「赤沢さん聞いてますか?」

赤沢(また例の如く授業は聴こえないけど、もういいわこの際どうでも)

久保寺「おいふざけんな赤沢ヘッドホン外せ」

赤沢(さあ! どうでてくるの恒一くん!)

久保寺「聞けっつってんだろバカ沢」

恒一「うーん……」

赤沢(ふふふ……悩んでる悩んでる)

恒一「……」

赤沢(そのまま負けを認めなさい! 今日の勝負は私の勝ち――)

恒一「よいしょ」ヒョイッ

赤沢「あっ」

恒一「これでよし」

赤沢「……えっ?」

恒一「駄目だよ赤沢さん、授業中にヘッドホンなんてつけてたら」

赤沢(ちょっ……直接外すのは反則じゃないのぉおおおおおおっ!!?!?!?!?)

赤沢(なんでよ!! それなら昨日だって直接触って耳栓外せばよかったじゃない!!!!!)

恒一「……」

赤沢(これは完全に予想外……!! まさかこんな搦め手でくるなんて……)

恒一「……赤沢さん、マジ可愛いなあ」ボソッ

赤沢(くううう……しかも何か馬鹿にされてるっ……!!)

恒一「さてどうしようか……」

赤沢「!!」

恒一「また耳元で告白しようか、それとも耳たぶを甘噛みしようか」

赤沢「……!!」

恒一「それとも……どうしようかなあ?」

赤沢「っ……!!!!」プルプルプルプル

恒一「……」

赤沢「……」プルプルプル

恒一「……よし、決めた」

赤沢「!!」ビクッ

恒一「……」

赤沢(……な、なに? 何をしてくるつもりなの?)

赤沢(傾向で言うと、日が経つにつれ恒一くんは私に対してどんどん過激なことをしてきている……)

赤沢(昨日は耳を甘噛み……と言うことは、今日はそれ以上のことをしてくる可能性が……)

恒一「……」

赤沢「!!」ビックゥッ!

恒一「……久保寺先生、どうぞ」

赤沢「ふえっ?」

赤沢(え? く、久保寺先生? なんでここで久保寺先生が――)

恒一「どうぞ思いっきり叱ってやってください」

赤沢「……えっ?」

久保寺「……」

赤沢「え?」

久保寺「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴ

赤沢「…………え?」

久保寺「……赤沢さん、起立してください」

赤沢「はっはいぃっ!?」ガタッ

久保寺「……」

赤沢「……」ガタガタガタ

久保寺「……」

赤沢(……なっなんなの……この悪鬼羅刹のようなオーラを撒き散らしてる人は……)

久保寺「…………赤沢さん」

赤沢「ひゃいっ!?」

久保寺「……別に、真面目に授業を受けることを強要しているわけではありません」

赤沢「は、はいっ?」

久保寺「ただ授業を受ける学生として、最低限の礼儀や態度と言うものがあるのはわかりますね?」

赤沢「えっ……」

久保寺「わかりますね?」(重低音)

赤沢「は、はい!!」ビクッ

久保寺「……よろしい、では」スッ

赤沢「え?」

久保寺「歯を食いしばるように」

赤沢「えっ――」


スパーン!!

赤沢「~~~~~!!!!」

久保寺「ふぅ……」

赤沢「っ……!! っ……!!!!!」ブルブルブル

綾野(うひゃ~……いたそぉ……)

勅使河原(生徒名簿で思いっきり頭を……)

望月(凄くいい音なったなあ)

杉浦(頭が空だからあんな音するのかした)

久保寺「はぁ……」(晴れやかな顔)

>>118

× 杉浦(頭が空だからあんな音するのかした)

○ 杉浦(頭が空だからあんな音するのかしら)

赤沢「頭がっ……頭が……!!」

久保寺「……では赤沢さん」

赤沢「くうううっ……!!」

久保寺「赤 沢 さ ん」

赤沢「っ…………は、はいっ」

久保寺「今日のところはもう授業は受けなくてよろしい」

赤沢「……えっ」

久保寺「バケツを持って廊下に立っていなさい」クイッ

【廊下】

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……ううっ」

赤沢(なんで……なんで私がこんな辱めを……)

赤沢(あれもこれも恒一くんのせいよっ……!)

赤沢(うう……バケツ重い……辛い……)

赤沢「……」

赤沢「……」

テク テク テク

赤沢(? 授業中なのに誰かきた……?)

テク テク…

赤沢「……あ」

鳴「……え?」

鳴「……」

赤沢(みっ……見崎鳴!? なっなんでこんな時に……!)

鳴「……」

赤沢(しまった、こいつにこんな失態を見られるなんて……重役出勤なんてしてきてんじゃないわよ!)

鳴「……」ジー

赤沢「っ……」

赤沢(こ、こっち見んな!!)

鳴「……」ジー

赤沢「……」

鳴「……」ジー

赤沢「っ……」

赤沢(い、いつまで見てんのよっ!?)

鳴「……」ジー

赤沢(くっ……こいつ絶対『なにしてんだこいつ』って思ってる……)

鳴「……なにしてんだこいつ」ボソッ

赤沢「!!!!!!!」

鳴「……」

赤沢「……」

鳴「……」スッ

赤沢「……?」

鳴「……えいっ」ツン

赤沢「はふんっ!?」

鳴「えいえい」ツンツン

赤沢「あっ、ちょっ!?」

赤沢(太ももを指で突つくなぁああああああああっ!!!?!?!?)

赤沢(水がっ! バケツの水が零れる!!)

鳴「……ついー」ツイー

赤沢「きゃふっ!?」(おへその辺りを指でなぞんじゃねぇえええええええっ!!!!!)

鳴「むにむに」ムニムニ

赤沢「あうっ!?」(腹の肉を摘まむなぁああああああああああっ!!!)

鳴「もみもみ」モミモミ

赤沢「あっ、やっ、ちょっ……やんっ!?」(胸だけは揉まないでぇえええええ!!!!)

鳴「こちょこちょ」コチョコチョ

赤沢「ちょっわきっ脇だけはやめてやめ……あっ、あはっ、あはははは!!」

鳴「脇が弱点……」コチョコチョコチョコチョ

赤沢「あはっあはははははっ!! や、やめっおねがっ……あははははははっ!!!」

赤沢「おっ、おねがっ、脇だけは――」

鳴「いない者」ボソッ

赤沢「!!!!」ビクッ

鳴「こちょこちょこちょ」コチョコチョコチョ

赤沢「ひうううっふっ、あはっ……くっ、くふっ……!!」ブルブルブル

鳴「こーちょこーちょ」コーチョコーチョ

赤沢「緩急つけっ……はっ、はははははっ、あはっ……!!」

久保寺『おいうっせーぞ赤沢ァ!!!! 廊下で騒いでんじゃねぇっ!!!!!!』

赤沢「すっすみませっ……あははははっ!!!」

鳴「こしょこしょこしょ」コショコショコショ

【十分後】

鳴「……ふぅ」

赤沢「ぜぇー……はぁー……ぜぇー……」

鳴「……」

赤沢「ぜー……ひゅー…………ぜぇー……げほっごほっおえっ!」

鳴「……ちょっとやり過ぎた?」

赤沢「げほっ、けほっ、ぜぇー……げほっげほっ!!」

鳴「ごめんね?」サスサス

赤沢「けふっこほっ……はぁ、はぁー……ありが……とっ」

赤沢「はぁー……はぁー……」

鳴「……もう大丈夫そう?」

赤沢「……ええ――って」

赤沢(なっ、なに私いない者と普通に話してるのよ!? いけないいけない……)

赤沢(今のはノーカンノーカン……ちゃんと無視しなきゃ)

赤沢「……」プイッ

鳴「……」

赤沢「……」

鳴「……こちょこちょ」

赤沢「はうひゃあっ!?」ビクッ

鳴「……声に出しただけだよ?」

赤沢「なっ……~~~~~!!!!」

鳴「それじゃ、私そろそろ行くね」

赤沢(さっさと行けこの眼帯チビ!!!!!!)

鳴「またね」バイバイ

赤沢(もう二度と会いたかないわよ!!!!)

鳴「……~♪」タッ

テク テク テク…

テク テク…

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢(……行ったか)

赤沢「……はぁあああっ……」

赤沢(やばい……足がガクガク言ってる……)

赤沢(思うがままにくすぐっていきやがって……あの眼帯女)

赤沢(なんなの!? いない者になる人は皆こんな風なの!?)

赤沢(くう~……! いつか見てなさいよ――)

ガラッ

恒一「やっ」

赤沢「……えっ」

恒一「さっきまで見崎と居たんでしょ?」

赤沢(な、な、な……)

恒一「随分楽しんでたみたいだね」

赤沢(なんでこのタイミングで教室から出てくるのぉおおおおおっ!!?!?)

恒一「教室まで聞こえてたよ赤沢さんの笑い声。みんなクスクス笑ってたし」

赤沢(くっ……!!)

恒一「いやー、見崎って結構イタズラ好きなんだよね。大変だったでしょ?」

赤沢(大変ってもんじゃないわよ!? 危うくバケツの水をぶちまけるところだったのよ!?)

恒一「それじゃ今度は僕と遊ぼうか!」

赤沢(もういやあああああああああああっ!!!!!!)

赤沢(もうだめ……私はきっとここで死ぬ……)

恒一「……」

赤沢(もしかしてこれも現象……? 現象の一部なの……?)

恒一「……」

赤沢(そうよ、きっとそうよ、こいつらは現象に差し向けられた刺客なんだわ……)

恒一「……と思ったけど」

赤沢(きっとこの後私は恒一くんにあんなことやこんなことされて)

恒一「今日はもういいかな」

赤沢(挙句の果てにそんなこと――って、え?)

恒一「もう赤沢さんの体力も限界そうだしね」

赤沢「えっ?」

恒一「まだやり足りないけど……まあ仕方ないか」

赤沢「……えっ?」

恒一「と言うわけで赤沢さん、また明日」

赤沢「…………えっ?」

恒一「今度はヘッドホンとか持ってきちゃ駄目だよ? それじゃバイバイ」タッ

タッタッタッ…

赤沢「…………」

赤沢「……………………………えっ?」

赤沢「……」

赤沢(……た、助かった? と言うか見逃された?)

赤沢(ど、どういうことなの……まさか恒一くんが……)

赤沢(こんな絶好の獲物を放置して帰宅なんて……)

赤沢(そんな……)

赤沢(……)

赤沢(…………なんで私がちょっと期待してたみたいな感じになってるのよぉ!?)

赤沢「くぅ~~~~っ……!!!」プルプル

赤沢「くそっ……くそっ……」プルプル

赤沢「……」プル…

赤沢「……見てなさいよ」

赤沢「明日……明日こそは絶対……」

赤沢「完璧な対策を考えてきて、恒一くんを見返してやるんだから……!!」

赤沢「私は3年3組の対策係! こんな困難ではくじけないわ!!」

赤沢「明日こそは絶対に勝――――」

恒一「あっ、そうだ赤沢さん!」ピョコッ

赤沢「きゃああああっ!!?!?!?」

赤沢「っ……!! ……!!!!」ドックンドックンドックン

赤沢(な、な、な……)

赤沢(なんでまだ帰ってないのよぉおおおおおっ!?!?!?)

恒一「いやーごめんごめん、ちょっと言い忘れてたことあったの思い出して」

赤沢(い、言い忘れてたことぉ……?)

恒一「ねえ、赤沢さん」スッ

赤沢「っ!!」ビクッ

赤沢(ちょっ、な、なんでまた近づいてきて……)

恒一「……」

恒一「……」

赤沢(近い! 近い! 近いっ……!!)

恒一「……」

赤沢「っ……!!」

赤沢(なんなのよ言い忘れてたことって!? 言うならさっさと――)

恒一「赤沢さん」

赤沢「!!」ビクゥッ

恒一「もし、僕がいない者じゃなくなったら……また告白してもいいかな?」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「………………ふえっ?」

恒一「……じゃ、言いたいことはそれだけだから」スッ

赤沢「えっ、えっ……」

恒一「今度こそじゃあねー」

赤沢「あっ……」

タッタッタ…

赤沢「……」

赤沢(い、今のってどういう……)

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……」

赤沢「……っ!!!!!?!?!?!?」カァアアアアッ

ガシャッ バシャーン!!

赤沢「なっ、なっ、なっ……!!」

赤沢(い、今のって……今のって……!!)

赤沢(そういう……そ、そういうことなの……?)

赤沢(……う、ううう)

赤沢(うううう……顔が熱い……)

キーンコーンカーンコーン

ガラッ

久保寺「赤沢さん、授業は終わりましたのでもう戻ってもいいで……す……よ……」

赤沢「うぅ……」カァアアア

久保寺「……あ?」

赤沢「うぅううぅ……」カァアアアアア

久保寺「おいこら赤沢ぁあああああっ!!?!? なんでバケツの水ぶちまけとんじゃああああああっ!!!?!?!」

赤沢「あうぅううう……」カァアアアアアア

久保寺「聞いてんのかわりゃあああああああっ!!!?!?」

【屋上】

恒一「いやー……赤沢さんってホント可愛いよね」

鳴「そうね」

恒一「明日はどんなことしよっか?」

鳴「うーん……これこれこれとか?」

恒一「いいね、それじゃあそれを応用してこれこれこうとか……」

鳴「流石榊原くんね。ならこうこうこうして――」

恒一「ついでにあれをこうして――」

その後、恒一くんと鳴ちゃんのいない者が解除されるまで

赤沢さんがまともに授業を受けれる日は無かったとさ

めでたし めでたし

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