さやか「杏子に猫耳がはえた……」(119)

さやか「かわいい!」

杏子「なんだよこれ……」

さやか「はーい杏子ちゃんこっち向いてねー」パシャッ

杏子「撮んなバカ!」

さやか「壁紙に登録しとこう」ムイムイ

杏子「おいこら」

杏子「つうかなんなんだよホントこれ。取れないし」ギュム

杏子「いてえ」

さやか「ほら、杏子。にゃあんってやって、にゃあんって」

杏子「にゃ、にゃあん♪ ってやらせんな!」

さやか「いいよー次、上目遣いいってみようかー」

杏子「やらねえっつってんだろ!」

さやか「じゃあロッキー没収ね」パッ

杏子「ちょ、なんでそうなる!? 返せ!」

杏子「ったく……ぽりぽり」ピコピコ

さやか「猫耳うごいてるーっ! かわいいかわいいかわいい!」

杏子「うっせえな!」

まどか「杏子ちゃん!」バタンッ

杏子「ま、まどか!? なんでここに」

さやか「さやかちゃんが呼んだのだー。ここあたしの部屋ですし?」

まどか「ネコミミ杏子ちゃん……可愛いっ」ハァハァ

ほむら「落ち着きなさいまどか。不用意に近づいてはだめよ。ひっかかれるわ」

杏子「ほむらもかよ!」

さやか「や、ほむらは呼んでないけど」

まどか「うわはぁふぁさふぁさしてるぅ~っ」

さやか「マミさんから返信ないな……」

杏子「なくていいよ! 講習で忙しいんじゃねえのか!」

まどか「杏子ちゃん!」

杏子「な、なんだよまどか……」

まどか「しっぽは! しっぽはないの!?」ハァハア

杏子「ねえよ! ほらっ」クルッ

ほむら「はえてるじゃない」ギュムッ

杏子「はぎゃわぁっ!」

杏子「ほむら、てめえっ!」

まどか「しっぽも可愛いよう」スリスリ

杏子「ちょ、ちょっとまどか。くすぐったいからやめてくれ……」

まどか「えっ! くすぐったいの!?」

ほむら「これ切ったらどうなるのかしら」

まどか「じゃあもっと強くすればいいの? そのほうが気持ちいい?」ハァハァ

杏子「気持ちいいってなんだよ……」ゲンナリ

さやか「カメラ借りてきたーさぁさぁ撮影会のはじまりだよー」

杏子「バカやろう!」

まどか「さやかちゃん、レフ板もつよ」

ほむら「あのしっぽどこからはえてるのかしら」

杏子「ちょっと待ってくれよ。とりあえずこれを消す方法を考えよう。な?」

さやか「バカ杏子!」

まどか「杏子ちゃんのばか!」

ほむら「それを けすなんて とんでもない!」

杏子「えっ」

QB「愛玩動物として代表的な猫の特徴を追加することで、杏子の魅力をさらに向上させることが可能というのが僕の仮説だ」

QB「もともと杏子は猫のような性質を持っていた。そのためにその効果は倍増となるようだね」

QB「そんな素晴らしいものを消すなんて、もったいないじゃないか」

QB「ボクと契約して、猫耳少女になっ――」バチュン

ほむら「くたばりなさい」

まどか「ひ、ひどいよほむらちゃん! なにも殺さなくても……」

さやか「あーいいねーその表情。拗ねた感じがいいよー可愛いよー」パシャパシャ

杏子「か、可愛いとかいうのやめろよ……」

まどか「杏子ちゃんたら赤くなっちゃって!」ハァハァ

ほむら「まどか。鼻血が出ているわよ」

マミ「待たせたわね! 私よ!」

さやか「遅いですよマミさーん」

杏子「まっマミ! こ、これはだな……」

マミ「遅れてごめんなさいね。これを作ってたのよ」ファサ

まどか「メイド服! マミさんすごい!」

ほむら「なん……だと……?」

さやか「いや早すぎるでしょ!」

マミ「実はこれリボンなのよ」マミーン

ほむら「器用にもほどがあるわ。巴マミ」

杏子「おまえ勉強しろよ! 受験だろ!」

マミ「もういや……重積分と化学式に悩まされるのはいやぁっ」ブルブル

ほむら「謝りなさい佐倉杏子。さぁはやく」

杏子「え、な、なんかごめんな、マミ……」

マミ「……ゃない……」

杏子「え?」

マミ「これを着て女豹のポーズをするしかないじゃない!」

杏子「こ、これでいいのかよー……」メヒョウ

まどか「いい! すごくイイよ杏子ちゃん!」ダバダバ

ほむら「まどか。よだれがでているわ」

さやか「あ、しっぽ立ててね。そうそう!」パシャパシャ

マミ「素敵よ、佐倉さん……!」ムフー

杏子「な、なぁもういいだろ? これなんとかしようってば」

まどか「涙目上目遣いッはぁーッん!」ビクビク

さやか「最高のシャッターチャンスを逃さない魔法少女カメラ☆マギカさやかちゃん!」パシャパシャ

マミ「やはり……佐倉さんは原石……! 磨けばきっと、アレキサンドライトにも劣らない輝きを放つわ!」

ほむら「それで、どうしてこんなものがはえたの。佐倉杏子」ムンズ

杏子「いたた痛いってほむら」

まどか「…ふぅ。どうやったら元に戻るのかなぁ」

さやか「まどかまどか。ほれ、にゃーっていう杏子」チラ

まどか「きゃあーっ可愛い可愛い!」

杏子「それ消せさやかあっ!」

マミ「さすがね美樹さん。5000でどうかしら」ティロッ

さやか「マミさんにだったらタダでいいに決まってるじゃないですか!」

まどか「さ、さやかちゃん! わたしも、それが欲しいなって」

さやか「はいはい並んでねー。あ、ほむらは5000ね」

ほむら「いらないわ」

杏子「話きいてくれ……」グス

さやか「いっしょにでかけて、お昼ご飯食べたら杏子が眠いって言うから、帰ってきて寝てたんですよ」

まどか「二人で寝てたんだよね? えへへっ」

ほむら「あなた達、そこまで関係が進んでいたのね」

マミ「え? どういうこと?」

杏子「一緒じゃねえから! こいつは机にこうやって寝てたの!」ツップシ

さやか「いやーごめん。寝付けなくてベッドいっちゃった」テヘッ

まどか「やぁん添い寝ってことだよね!」ハァハァ

ほむら「木間市の塔が高くなるわね……」

マミ「それで起きたら猫耳がはえていた、と」

さやか「そうなんですよ。あ、ちょっと買出しいってきます」

マミ「それなら私も同行するわ。美樹さん」

杏子「いやアタシ放置かよ……」

まどか「だいじょうぶだよ杏子ちゃん! わたしが撮ってあげるからね!」

まどか「んっと、これ、どうやって使うのかな?」

ほむら「ここを覗いて、ここを押せばいいのよ」

まどか「あはっ! 杏子ちゃんみーつけたっ!」

杏子「ち、近い近い! まどか近いって!」

ほむら「まどかが近づくことを嫌がるなんて、佐倉杏子、あなたはどれだけ愚かなの」ムンズ

杏子「だから耳を掴むなって!」

ほむら「いますぐ×××てあげるわ。佐倉杏子……!」フゥーッ

杏子「ひゃわっ! みみっ息! ふきかけんな! はひゃうっ!」ビクッビクッ

まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャカシャ

ほむら「………」フゥーッ

杏子「ふにゃあっ! やめろって!」

まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャ

QB「実に興味深いね。属性と呼ばれるある種の記号性が複合的に働きかけることで相手の感情を高ぶらせる」

QB「これは新しいエネルギー源の候補たり得るね。お手柄だよ佐倉杏子」

杏子「あうぅ……」

まどか「そんなことをいうなんて、やっぱりあなたはわたしたちの敵なんだね」カシャカシャカシャカシャ

QB「どういうことだい? まどか」

まどか「猫耳の素晴らしさっていうのは、エネルギーとして消費できるものじゃないってことだよ」カシャカシャカシャカシャカシャ

QB「たしかに猫耳は素晴らしいよ、まどか。たとえフェイクを装着しているだけでも、そのものの魅力を引き上げることができる」

QB「ボクが思うに、猫耳が果たす役割はいくつかに分類できる」

QB「ひとつは単純な魅力の付加だ。猫耳があるだけで、外見的な猫の魅力を当該対象に追加することができる」

QB「次に、性質的な効果だ。一般的な猫の特徴と当該対象の性質的な特徴が一致ないし共通している場合、その魅力は飛躍的に増加する」

QB「そしてもっとも重視すべきなのがギャップとよばれるものだ」

QB「当該対象の心的特徴項目が、一般的な猫の特徴と乖離している場合、つまりギャップがある場合、その魅力は爆発的に向上する」

QB「可愛いなんていうのは控えめな表現さ。その魅力ならひと一人の一生を狂わせることすら可能だろう」

QB「いつもは強気で意地っ張りな杏子が、猫耳をつけることによってその心的特徴項目が反転し、大きなギャップによる魅力を作り出している」

QB「この考えから、特にギャップによる魅力の相転移が起き、感情エネルギーを励起すると結論できるんだ」

まどか「………」カシャカシャカシャカシャカシャ

QB「聞いているかい、まどか」

まどか「……はぁ」

まどか「キュウべぇは大事なことをわかってないよ」

QB「なんだって?」

まどか「難しい話なんていらないんだよ。必要なのはひとことでいいの」

まどか「猫耳カワイイ!」

ほむら「猫耳カワイイ!」

QB「わけがわからないよ」

ほむら「聞くだけの事は聞いたわ。消えなさい」

QB「やれやれ」ヌルリ

杏子「はぁ……はぁ……、もう、気が、はぁ、済んだか……?」クタリ

まどか「うん! 最高だよ杏子ちゃん!」

杏子「終わりな……約束だぞ……」

まどか「うん!」

さやか「ただいまーっ!」

マミ「ちょっと時間がかかっちゃったわね」

まどか「おかえりー」

ほむら「何を買ってきたのかしら」

さやか「お? 杏子ちゃんなにやらお疲れですなー」

杏子「へっ……。ヨユーだばーか……」

マミ「美樹さん美樹さん。アレの出番よ」

さやか「ああ! そうですね!」

まどか「アレ?」

さやか「じゃーん。ネコジャラシー」

マミ「途中でたくさん生えてるのを見つけてね」

さやか「ほーら杏子猫ちゃん。ネコジャラシだよーっ」ピロピロ

杏子「!」ガバッ

さやか「ほれほれ」プラプラ

杏子「にゃあーっ!」ガバッ

さやか「うわあっちょちょっと杏子!」ジタバタ

ほむら「百合を越えて木間市の塔が天空に近づく……」

マミ「あらあら。佐倉さんったら完全に猫ちゃんじゃない」マミーン

まどか「………」パシャパシャパシャパシャパシャパシャ

杏子「にゃあっ! ふにゃあ!」ジタバタ

さやか「わあーっ誰か助けてよ!?」ジタバタ

ほむら「………」ヒョイ ポイ

杏子「にゃあ……」

杏子「!」

杏子「い、今のは違っ! 違うんだ!」

まどか「これのどこが違うの?」チラッ

杏子「~~~~っ! う、嘘ついたな、まどか! もう撮らないっていったじゃねーか!」

まどか「そんなこといってないよ? 前半戦が終わりって言ったの」

ほむら「なにそれこわい」

さやか「杏子……、はやくどいてくれない……?」グッタリ

マミ「佐倉さんのなかの獣が目を覚ます……!」

杏子「なにいってんだマミ」

ほむら「妄言もほどほどにしなさい患者」

マミ「なっなによ! ほら美樹さん、最終兵器よ!」

さやか「えーあたしもうイヤ。ほれまどか。これをやろう」ポイッ

まどか「わっ、っと、ん? なにかな?」マドマド

マミ「獣を呼び起こす禁忌の薬品よ」

杏子「あー? なんだそれ。粉?」

ほむら「ああ、まどか。カメラを預かっておくわ」ヒョイ

まどか「んーと、袋、開けてみるね」パカッ

杏子「チョコレートの粉みたいだな」

杏子「!!!」

杏子「ま、まどか……」ゴロゴロ

まどか「な、なにかな杏子ちゃん」

杏子「それ、それを、」ニジリ

まどか「こ、これ?」

杏子「それを、よこせえっ!」ガバッ

まどか「わあっ杏子ちゃん!」ボフッ

マミ「ああ……ついに召還されてしまったわ。心を惑わす獣《リ・ヴィニア・ハルケン》が……」マミマミ

ほむら「まどか! ちょっと杏子!」

杏子「にゃあーにゃあん」スリスリ

まどか「きょっ杏子ちゃん、くすぐったいよう!」

さやか「動画で撮っとこう」ジー

杏子「ふみゃあ。にゃるにゃる……」ペロペロ

まどか「んッ! な、舐めちゃだめだよ……!」

ほむら「このビッチ猫! なに発情しているの!?」ガシッ

杏子「にゃああああっ!?」

さやか「ありゃりゃ。しっぽが弱いみたいだね」

ほむら「ペロッ。これは……マタタビ!」バーロー

杏子「ふにゃあぁ……」ハァハァ

まどか「た、助かった……?」

さやか「いやーすごいねマタタビって。あんなんになるんだ」

マミ「恐るべき威力ね。これが裏の世界大戦の折に使用されていたというのね……」

ほむら「杏子?」グイッ

杏子「にゃはあぁぁぁんっ!」ビクビクッ

まどか「ほむらちゃん! 杏子ちゃんが苦しそうだよ!」ハァハァ

さやか「まどかや。なんであんたも苦しそうなのさ」

マミ「まさか……伝染するというの!?」マミーン

まどか「なにやってるのさやかちゃん! 早く撮ってよ!」

さやか「ええっ? もういいじゃん後でからかうにはじゅうぶんすぎるくらいだよ?」

まどか「なにいってるのさやかちゃん」

さやか「えっ?」

まどか「猫耳の可愛さは無限大! だからどれだけ撮っても撮りすぎるということはないんだよ!」キリッ

さやか「」

ほむら「これ面白いわね……」ギュムギュム

杏子「にゃあぁ……はぁん……」ゴロゴロ

ほむら「付け根のほうが反応がいいわね……」サワサワ

杏子「ふみゃ!? にゃ、にゃあん、にゃあああああああああんっ!」ビクビクビクッ

マミ「逝ってしまったわ、円環の理に導かれて……」

マミ「逝ってしまったわ、円環の理に導かれて……」ティロッ

ほむら「大切なことなので二回言いました」

杏子「はぁ……はぁ……」

杏子「んぇ……?」

さやか「正気に戻ったみたいだね。よかったよかった」

まどか「だ、だいじょうぶ? 杏子ちゃん」

マミ「佐倉さん。誰しも己の心の中に獣を封印しているものよ。案ずることはないわ」

ほむら「なんか手が痒い」

杏子「………?」ボーッ

杏子「……!」

さやか「あ、思い出した?」

杏子「ぅ、」カァ

まどか「杏子ちゃん?」

杏子「うぎにゃああああああああっ!」バサッ ボスン

ほむら「ふとんにくるまって隠れてしまったわね」

マミ「恥じることはないわ佐倉さん。私たち、仲間でしょう!」

さやか「そうだよ杏子! 可愛かったよ!」

杏子「ううぅ、やめろバカぁ……っ!」

まどか「300枚強か……。100枚くらいまで厳選して……」

ほむら「もうこんな時間ね」ホム

まどか「えっ? わぁあ帰らなきゃ! 怒られちゃう!」マドマド

マミ「それじゃあ私たちは帰りましょう」

ほむら「佐倉杏子の世話は任せたわ。美樹さやか」

さやか「えっ? これ放置?」

杏子「ブツブツ……」

マミ「放置じゃないわ、美樹さん。大切な使命をあなたに託すの。きっとあなたならやり遂げられると信じているから!」

ほむら「なんにせよここはあなたの家だわ」

まどか「さやかちゃんカメラ預かっていくね!」

さやか「えっ、ちょっとっ」

マミ「暁美さん、買い物して帰らない?」

ほむら「しかたないわね。そうしましょう」

まどか「それじゃまたね! さやかちゃん!」ノシノシ

マミ「予言するわ、美樹さん。今宵の選択があなたを大きく左右すると。それじゃあまた会いましょう」マミーン

QB「そうだね。この宇宙を救えるかどうかは君にかかっているといっていい」

ほむら「くたばりなさい」グチャ

さやか「部屋を汚さないで!」

QB「その反応は……理不尽だ……、ぐはっ」

杏子「………」

さやか「みんな帰っちゃった」

さやか「杏子ー? そろそろ出てきなよー」

杏子「さやかぁ……」モジモジ

さやか「はいはい」

杏子「ふ、服とって……」

さやか「え? メイド服着てるんでしょ?」

杏子「マミのやろう……、魔力が切れてリボンに戻っちまってんだよ!」

さやか「」

さやか「え……、じゃあなに、あんた今全裸なの?」

杏子「ぜっ全裸じゃねえっ! り、リボンがある、から……」

さやか(なんだこれ。なんだこの状況)

杏子「だっだから、アタシの服、取ってくれよ……」

さやか「う、うん。ちょっと待って」ハタ

さやか「ていうかあたし部屋の外に出てるからそのうちに着ちゃってよ。それでいいでしょ?」

杏子「あ、ああ。そうだな。悪いな」

さやか「じゃあ、えっと、終わったら呼んでね」ガチャ バタン

杏子「おう」

ゴソゴソ…

さやか「下着まで作っちゃうなんて、マミさんやりすぎだよ……」

マミ『甘いわね美樹さん。私は、満足していないのよ?』テレパシー

さやか『うわっ! びっくりした!』

マミ『ヘッドドレスをすっかり忘れていたわ! 私としたことが……』テヘペロマミン

杏子「さやかーいいぞー」

さやか「はーい」

マミ『お邪魔したわね。あとは若い二人に任せて、っと』

さやか『マミさん、ほむらをほったらかしにしないであげてください』

ほむら『そんなことされていないわ。マミが買うのが遅いだけよ』

マミ『だって暁美さんお惣菜だけじゃない!』

ほむら『きんぴらごぼうは美味しいわ』

さやか『あーはいはいはい仲がよろしいことで。それじゃね!』

杏子「さやかー?」

さやか「ごめんごめん」ガチャリ

さやか「あーご飯どうしよっか。ここで食べるしかないよね」

杏子「そ、そうだな……」ピコピコ

さやか(耳が動いてる……)

さやか「じゃ、ちょっと持ってくるよ。待ってて」ガチャ

杏子「あいよー」

杏子(………)

杏子(……むずむずする)ムズムズ

杏子(……まだあの粉のにおいが残ってんだな……)キュンキュン

杏子「………」ハァハァ

杏子(ちょ、ちょっとだけ……)モジ

まどか『杏子ちゃーん!』

杏子「!」ビクッ

まどか『杏子ちゃん、ちょっといいかな?』

杏子『な、なんだよ。早く帰れよ』

まどか『あのね、今日の写真のなかで杏子ちゃんのお気に入りがあったら聞いておこうかと思って』

まどか『ちなみに今は晩御飯食べてるんだよ』

杏子『ご飯に集中しろ!』

杏子『つーか写真は全部消せ! 頼むから!』

ほむら『うんそれムリ♪』

杏子『割り込んでくるんじゃねえっ!』

さやか「そのてーをつーかむからー♪」ガチャ

さやか「ヘイお待ちぃ!」

杏子「あ、ああ。ありがと」モジ

さやか「うん」

さやか(なんかさっきからやけに杏子が色っぽいんだけど)

さやか「いただきまーす」パン

杏子「主よ。今日も無事に一日を終えることができ、感謝します」

さやか「ぜんぜん無事じゃないとさやかちゃんは思うのでした」パクパク

杏子「茶々いれてんじゃねー」パクパク

さやか「杏子」

杏子「あん?」ピコ

さやか「杏子はあたしのパジャマでだいじょうぶだよね?」

杏子「え。それは、泊まってっていいってことか?」

さやか「そりゃそうでしょ」ケラケラ

さやか「そんな耳としっぽで外出歩けないって」

杏子「あ、そ、そうか。なんか忘れてた」ピコピコ

さやか「ずいぶん馴染んでんね。もういっそそういうキャラってことにすれば?」モグモグ

杏子「阿呆。あぁこの麩の炒め物うまいな」

さやか「フーチャンプルーね。というかあんたタマネギは平気なの?」

杏子「食い物を粗末にするわけには……」グギギ

さやか「ごちそーさまでしたー」

杏子「ご馳走様でした」

QB「ボクの分は残っていないのかい?」

杏子「さらっと出てくんなコイツ……」

さやか「ねぇキュウべぇ。杏子の耳がはえた原因ってわからないの?」

QB「有力な仮説としては、魔力の過充填だろうね」

杏子「かじゅうてん?」ピコ

QB「君たちの魔法少女としての生活は、最近じつに安定しているといっていい。魔獣との戦闘も少ないし、ソウルジェムが濁るようなこともない」

QB「だから、魔力が使われずに溜め込まれ続け、溢れたぶんが杏子のそれのように付属感覚器官として現出したんだろう」

さやか「なにそれ。じゃああたしらにも猫耳がはえる可能性があるってこと?」

QB「猫耳とは限らないね。武器や魔法少女服と同じで、それぞれの願いや心の形に応じて構成されるんじゃないかな」

QB「杏子の場合は、それが猫耳だったというだけさ」

さやか「ふうん」

QB「ちなみにさやかは自己治癒魔法が常駐してるから過充填にはならないと思うよ」

さやか「べ、べつにあたしはいいよ」

さやか「猫耳なら恭介もほにゃららとか思ってないし!」

杏子「なんだ? そんじゃ魔法を使えばこいつも消えるんだな?」

QB「前例がないから、ボクにできるのは仮説を提示することくらいだ。確証はないね」

杏子「相変わらず微妙に使い物にならねーな」

QB「シツレイな」

杏子「とりあえず試すか」ピコピコ

さやか「いやいやちょっと待ってよ。あたしの部屋でなんの魔法を使う気なのさ」

QB「杏子。君は固有魔法を使っていないから、基本的に魔力の消耗が少ないんだよ。だからゴブシャァ」

杏子「「使えばいーんだろ」」

マミ『必殺! ロッソ・ファンタズマ!』マミッ

杏子『やめろ!』

さやか「これが杏子の固有魔法なんだ。あれ、こっちには猫耳はえてないんだね」

杏子'「あたしは幻影だからな」シュン

杏子「まだダメなのか? もっと多くすればいいのか?」

さやか「知んないよ。キュウべぇ死んでるし」

杏子「ったく使えねーヤツだ」

杏子「よっ、と」ブンシン

ほむら『必殺! ロッソ・ファンタズマ! 地獄の劫火に焼かれて死ぬがいい!』

杏子『うっせえ! なんか付け足してんじゃねえよ!』

さやか「うわー杏子で部屋がいっぱいだ」

杏子''「もうちょっと広けりゃあと何人かはいけたんだけどな」

杏子'''「まぁそんなにいらねーだろ」

杏子「これでどうだ?」シュン

さやか「うん、まだあるね」

杏子「あーもーなんだよー」ガリガリ

杏子「おらっ」ブンシン

まどか『ひ、必殺! ろ、ロッテ・ファンタオレンジ……? えっと、む、め、目の付け所が、シャープでしょ?』

杏子『まどかなにやってんだ』

さやか「あ、分身に猫耳がついてる」

杏子''「にゃあ」

杏子'''「さやかぁにゃあん」ゴロゴロ

さやか「わーお」

杏子「ちょ、ちょっと待て! どういうこと!?」シュン

QB「簡単に言えば、杏子。君が猫耳を、自分の一部だと認識し始めているということボグジュァ」

杏子「や、やばいじゃねーか……!」プルプル

さやか(あたしの部屋血まみれなんだけど)

杏子「だ、だめだ。これいじょういけない」

さやか(しっぽを足の間に挟んでる……なんか可愛いな)

さやか「まぁじゃあ今日はとりあえず寝ちゃおっかー」

さやか「今日はもう遅いし、明日もっかい考えようよ」

杏子「そ、そうだな! そうしよう!」プルプル

さやか「ほら、ふとん入って」

杏子「おう……」ギュッ

さやか「? どうしたのさ」

杏子「う、うるさいな。ちょっとくらい、いいだろ」ギュウ

さやか「あーはいはい。じゃ、おやすみ、杏子」

杏子「うん。おやすみ、さやか」

チュンチュン

さやか(どうしよう)

杏子「さやかぁ……にゃあん……」スリスリ

さやか(寝ている杏子に抱きしめられている上にすりすりされている……)

杏子「ふにゃあ……みゅう……」スリスリ

さやか(どうしようもないねこれは……二度寝するか)

杏子「ん……んあ? あれ? コーラから生まれたペンギンは?」

さやか「なにいってんのさ。おはよう」

杏子「あぁ、おはよう」

さやか「あのさ、放してもらっていいかな?」

杏子「? ……!? わひゃあっ」

杏子「う、わ、悪い……」

さやか「いやいいけどさ。ってあれ?」

杏子「な、なんだよ」

さやか「杏子あんた! 猫耳なくなってんじゃん!」

杏子「マジか!?」サワサワ

杏子「な、ない! ないぞ! しっぽも、……ない! やった!」ピョンピョン

さやか「寝たら消えちゃったのかなぁ」

杏子(寝てる間に魔力を使ったのかな……?)

さやか「ま、なんにせよよかったね、杏子!」

杏子「ああ!」

マミ「私もケモミミがはえたわ!」マミン

まどか(たぬき……)

さやか(たぬきだ……)

ほむら(たぬきね……)

杏子(たぬきじゃねえか……)





おしまい

ありがとねー

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