「見給え、彼らの満足そうなこの表情を。
聖地巡礼ツアーの帰りのバスの中そのものじゃないか。
黛くん、よく覚えておき給え。
これがこの国の「馴れ合い」という文化の根深さだ。
人間は長い年月飼いならされると斯くも「ダニ」のような生き物になるのだよ。」
キモオタ「なにぃ、俺達のことを言ったのか?」
古美門「他に誰かいますか?自覚すらないとは本当に羨ましい。
コケにされてるのも気づかないまま墓に入れるなんて
幸せな人生だ。」
キモオタ「あんたちょっとヒドイんじゃないか!」
古美門「申し訳ありません。
最初に申し上げた通り、みなさんのような惨めなキモオタどもが大っ嫌いなものでして。」
キモオタ「おい新参、お前なんなんだよ。お前そんなに偉いのか?」
キモオタ「そうよ、古参の人を敬うってことはないの?」
キモオタ「私たちは君の倍はグッズを持っているんだ。」
古美門「倍も持っていらっしゃるのにご自分のことも分かっていらっしゃらないようなので
教えて差し上げているんです。
いいですか。みなさんは一般人に見棄てられた層、「非リア」なんです。
国の発展のためには萌えを貪るだけのキモオタなんて無価値ですからチリトリで集めて端っこに寄せて
パンチラを見せて黙らせているんです。
アニメ業界に寄生する心優しい「ダニ」それが皆さんだ!」
キモオタ「テメーだってダニに寄生しているバイキンじゃねぇか!」
古美門「かつてこの地は、一面にキモオタが広がっていたそうですよ。
どの店でもコアな萌えを扱っていたからだ。
それはそれはおぞましい看板を飾っていたそうです。
それを恐れて人々はいつしかこの地を「アキバ」と呼ぶようになりました。
萌えが浸透してからは一般人に媚びました。
にわかに適した素晴らしいアニメを作ったそうですがリア充の萌え参入によってそれも加速した。
数年前にAKBがやってきましたね。CDを買ってみたら握手権がもらえた。
AKBカフェなどという中身のない立派な箱モノも建ててもらえた。
使いもしないコンドームももらえた。ありがたいですねぇ~。
「アキバ」という古臭い名前を捨てたら「Akiba」というファッショナブルな名前になりました。
なんてナウでヤングでトレンディなんでしょう。
そしていま。
一般人に侵され、リア充に侵され、AKBに侵され、
この土地にももはや住めない可能性だってあるけれど
でも握手権もくれたし、誠意も絆も感じられた。ありがたいことです。
本当によかった、よかった。
これで萌えも燃えも蘇るんでしょう。
コミュ障も治るんでしょう。
リア充はカップルで来続けるけれど、きっともう問題は起こらないんでしょう。
だって絆があるから!!」
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