多々良「榊原君……」スルッ 恒一「多々良さん……」(112)


多々良「ん……はい、どうぞ」

恒一「ありがとう……今日はパンツはグラマラスレイヤードショーツのブラックだね」

多々良「あ…詳しいんですね」

恒一「パンツは好きだから……はい、4000円」

多々良「あ、ありがと……さ、榊原君!あ、あの…」

恒一「なに?」

多々良「…………やっぱり、なんでもない…です」

恒一「そっか、それじゃー僕は行くから…またね!」

多々良「うん、また明日」ニコッ


多々良「……」

多々良(私、多々良恵ですが……榊原君とは同じ同級生です)

多々良(一見彼とは普通の男女に見えるのですが…変わってる所があります)

多々良(それは……下着を売買する仲、という事です)

多々良「……私、なにやってるんだろ」

多々良(……でも、この関係を壊したくはないなぁ)

多々良(もし、「この取引はもうやめましょう」……なんて言ったら……)

多々良「榊原君……」


――――
――


多々良「ただいまー……っと」

多々良「はぁ……」

多々良「…………」トテトテ

ガチャッ

多々良「…………榊原君」

カチッ…

多々良「……あれ、付かないな」

多々良「…ふー」

ガチャッ カチッ……

多々良「あ、付いた」


多々良「……」ピコピコ

多々良(榊原君は私の事、どう思ってるんだろう)

多々良(少しは意識してくれてるのかな……)

多々良(わ、私の下着を夜のおかずにするくらいだし…少しくらいは)

多々良(……)

『やはり狂人であったか。降りかかる火の粉は払わねばなるまい。』

多々良「……」ピコピコ

多々良「……フレイムタイラントで閃かせるのは常識よね」

多々良「……はぁ、明日柿沼さんに相談してみようかな」

ピコーン


 ―次の日―

ガラッ

多々良「……」トテトテ

多々良「おはよ、柿沼さん」

柿沼「あ、めぐちゃん……おはよ」

多々良「んー……」

柿沼「…どうしたの?疲れた顔してるけど」

多々良「ちょっと深夜まで技を…ちょっと色々しててね……」

柿沼「?」

多々良「…柿沼さんってさ、榊原君ってどんな印象?」

柿沼「榊原君……」


恒一『望月君……君、可愛らしい顔してるね』

望月『そ、そんな事ないよ……』

恒一『ふふ……ほら見て、僕のアイスソードを……』

望月『……すごい……犯してでも奪い取る……』

――――――

柿沼「………」

多々良「……柿沼さん?」

柿沼「あっ!えっと……攻め?」

多々良「え?」

柿沼「あ、違うの……その、積極的だよね」

多々良「積極的かぁ……」

多々良(『パンツ売ってくれ』って唐突に言うくらいだから……)


柿沼「あ、でも……格好良いとは思うな」

多々良「んー……」

柿沼「ほら、男子女子にも結構人気あるしさ……」

多々良「人気、ねぇ……」チラッ


中尾「漆黒の闇が俺の体を黒く染める……中尾ダーク」

勅使河原「……30点」 鳴「5点」 赤沢「0点」

恒一「んー……70点」 望月「20点だね」


多々良「はぁ……」

多々良(私もあんな風に喋れたらいいな……)

多々良(でも、この関係をどうやって変えていけばいいんだろ……)


柿沼「めぐちゃん?どうかしたの?」

多々良「あ、ううん…なんでもない」

多々良「それじゃー私、自分の席に戻るね」

柿沼「うん……めぐちゃん」

多々良「ん?」

柿沼「……頑張ってね?」

多々良「……うん」ニコッ

―――――
―――


多々良「ふー……」

多々良「やっと帰れる……」

多々良「……」チラッ

恒一「……」 ガサガサ

多々良(よ、よし……行くわよ、恵)

多々良「あ、あの……榊「こういっちゃーん!」

恒一「綾野さん?」

綾野「こういっちゃんさ、良かったら遊びに行かない?」

恒一「遊びに…って、今日はどこへ行くの?」

綾野「私の服選び!」

恒一「はぁ……また荷物持ちか……」

綾野「まぁまぁ、そう堅い事言わないでよ!ほらいこ!」

恒一「あ、ちょっと!」


多々良「あ……」

多々良「……」ポツン

多々良(……今日は帰ろう)

多々良「………」

トテトテトテトテ

多々良「……私も、綾野さんくらい積極的だったら」

多々良「なーんて…ね」

――――
――


多々良「……」ピコピコ

『な なにをする きさまらー!』

多々良「はいはい、テンプレっと……」

多々良「……榊原君、綾野さんと付き合ってるのかな」

多々良「でも、そんな雰囲気はしないし……」

多々良「…………」

多々良「はぁ……榊原君の周りって結構女の子が居るよね」

多々良「赤沢さんに見崎さん、綾野さんと…最近小椋さんとも話してるよね」

多々良「杉浦さんはなんか違う感じがするな……」

多々良「……でも、私のパンツを夜のおかずにするくらいだし」

多々良「…い、一応……」

多々良「…………………」

乱れ洗濯物仕舞い


多々良「……」

カチャッ

多々良「……たまにはテレビでも見よ」

TV『…ールル ルルル ルールル ルルル ルールールールールールル』

TV『本日のゲストは、中尾順太君です』

TV『どうも…』

多々良「……」ピッ

多々良「……少し寝ようかな」ゴロン

多々良「…………」

――――
――


 ―次の日―

多々良「ふわあ……眠い……」

恒一「大きい欠伸だね、多々良さん」

多々良「ん……昨日はちょっと寝るの遅くて……」

恒一「そうなんだ、意外だね……ちょっと遅くなっちゃったけど、おはよう」

多々良「おは……」

恒一「……」

多々良「……」

多々良「き、きゃあっ!!」

恒一「……多々良さん?」


多々良「も、もう……榊原君はお馬鹿さんです……」プイッ

恒一(お馬鹿さんって……)

恒一「ご、ごめんね…今日は違う道で学校に行こうとしたら、偶然多々良さんが居たんだ」

恒一「だから声掛けようかなって……嫌だったかな?」

多々良「い、嫌じゃないです!!」

恒一「そ、そっか……良かった」

多々良「ちょっとビックリしただけで……」

恒一「多々良さんは早寝早起きってイメージがあるけどなぁ」

多々良「ひ、人を見掛けだけで判断するのは良く無いですよ?」

恒一「あはは、ごめんね」

―――――
―――


ガラッ

勅使河原「お?サカキと多々良か……これはこれは……」

恒一「通学路で会ったんだよね?」

多々良「う、うん……」

勅使河原「ほうほう……サカキはモテモテだなぁ!」

恒一「ちょ、大声でなに言ってるのさ!」

多々良「あ…わ…私席に行く、ね……」 タッタッタ…

鳴「……フンッ!」

勅使河原「なんでっ!?……ゲホッ…」


多々良「……」

多々良(つ、付き合ってるって……思われちゃったかな!)

多々良(で、でも榊原君と私は、その……まだそういう関係じゃないし……)

多々良(……………)

多々良(パンツは売買する関係なんだよね……)

柿沼「めぐちゃん、おはよう」

多々良「ひゃっ!お、おはよう」

柿沼「一緒に登校なんて、随分と大胆だね?」

多々良「あ、あれはその……通学路で偶然会ったの」

柿沼「そっか……偶然じゃなくなるといいね」

多々良「……」コクリ


久保寺「先生、HIPHOPで食べて行こうと思うんです…チェキラ」

多々良「……」ボー

多々良(ダメだ……授業が全然頭に入らないな……)

多々良(……)チラッ

恒一「……やっていけると思う?」カキカキ

望月「無理だね」カキカキ

多々良(……はぁ)

多々良(よ、よし……今日こそ……)

多々良(って言っても、私と恒一君の共通点ってなんだろう……)

多々良(競馬は流石になぁ……ゲームだってやらなそうだし……)

多々良(……………………)

――――――
―――


多々良「さ、榊原君!」

恒一「あ…多々良さん、どうしたの?」

多々良「あの、勉強でわからない所があるんですけど……教えてくれませんか?」

恒一「わからない所……?」

恒一「うん、僕は別にいいよ」

多々良「ほ、ほんとですか!」

恒一「それじゃー図書室にでも行く?」

多々良「は、はい!」

多々良(や、やった!)

―――――
―――


恒一「ここはこうしてね……」

多々良「……」ドキドキ

多々良(榊原君がこんなに近い……)

多々良(うう……集中できない……)

恒一「でもここはこうするより、こうした方が簡単で……」

恒一「……多々良さん?」

多々良「ふ、ふぁい……」

恒一「どうかした?体調悪いの?」

多々良「あ!な、なんでもないです……」


千曳「……甘酸っぱい青春だね」


恒一「ここは……」

千曳「ほら、今日はもう帰りなさい……閉店だよ」

恒一「……っと、もうこんな時間か」

多々良「もう日が暮れてますね……」

多々良(全然頭に入らなかった……)

恒一「それじゃー僕、送って行くよ」

多々良「え……悪いですから……」

恒一「僕じゃ不満だろうけど、流石に一人で帰らせる訳にはいかないからね」

多々良「そっ、そうです、か……それじゃあお言葉に甘えて…///」

恒一「うん、行こうか」

多々良「は、はい」ニコッ


恒一「…………」

多々良「…………」

多々良(な、なに喋ればいいんだろう……)

多々良(話題、話題を…探さないと…)

恒一「多々良さんってさ」

多々良「あ、はい!」

恒一「僕に敬語だけど、どうして?」

多々良「え?あ…あんまり喋ったこと無いですから……」

恒一「そうかなぁ……」

恒一「それじゃーなんか堅いし、今からお互い敬語は無しで!」

多々良「あ、え……い、いいの?」

恒一「うん、嫌かな?」

多々良「う、ううん……嫌じゃない……」


多々良「ここでいいよ、私の家すぐあそこだし」

恒一「そっか、それじゃーまた明日」

多々良「うん…また、明日」

ギュッ

恒一「……多々良さん?」

多々良「……あ」

恒一「袖掴まれたら、帰れないよ?あはは……」

多々良「ご、ごめんね……それじゃーまた明日!」

タッ タッ ラッ … …

恒一「走って行っちゃった……転ばないようにねー!」

―――――
―――


多々良「……榊原君の袖、掴んじゃった……」

多々良「袖……手じゃないんだよね……」

多々良「……はぁ」

多々良「…………」

多々良「…………」ボー

多々良「ゲ、ゲームでもしようかな……」

―――――――
――――
――

『我が力、げんかいまで高め、戦おう。 なんじらの力、見せてみよ! 』

多々良「見せてやる……と」

『勝敗の先に何を感ずるか・・・・ 行くぞ!!』

多々良「たまには違うゲームもいいよね……」ピコピコッ


 ― 次の日 ―

多々良「…………」

恒一「今日も眠そうだね」

多々良「さ、榊原君……今日も違う道から来たんだ」

恒一「うん、また多々良さんが居るかなって…・…また今日も遅くに寝たの?」

多々良「きょ、今日はちゃんと早く寝たよ!」

恒一「なら今日は大丈夫だね」

多々良「もう、いじわる……」

恒一「ははは、ごめん」

多々良(でも、多々良さんが居るかなって……ど、どういう意味なんだろう……)


―――――――
――――
――

多々良「……」

柿沼「今日も榊原君と登校してきたんだ、進展してるね」

多々良「今日もって……偶然だよ」

柿沼「…そうかな?」

多々良「もう……柿沼さん」チラッ

中尾「なぁ……思ったんだけど小尾と大尾は居ないのかな?」

恒一「流石に居ないんじゃないかな……」

赤沢「……寒気してきた」 鳴「……」


多々良「…………」


―――――
―――


多々良「……さて、と」チラッ

中尾「泉美は俺が好き泉美は俺が好き泉美は俺が好き……」ジャラジャラ

恒一「そんな呪文みたいな言葉を唱えても、振り向いてもらえないと思うよ……」

多々良「さ、榊原君」

恒一「ん……多々良さん」

多々良「あ、あの……今日も勉強教えてほしいんだけど…ダメ、かな?」

恒一「僕は大丈夫だよ、じゃー図書室に行こうか」

多々良「う、うん!」

中尾「カーッ!」バッ!!

勅使河原(あいつ、数珠なんて持ってなにしてんだ……?)


今日はお休みです。 ちびき先生より


多々良「あ……」

恒一「今日はやってないみたいだね……」

恒一「どうする?」

多々良「…………さ、榊原君の家でするのは、どうかな……?」

恒一「僕の家……?多々良さんがいいなら、僕は別にいいけど…」

多々良「ほ、ほんとに!?」

恒一「うん、それじゃー行こうか」

多々良「…うん!」


千曳(……私に感謝するんだね、まったく)


 ―榊原家―

恒一「ごめんね、散らかってて……」

多々良「あ…私は気にしないよ?」

多々良(こ、ここが榊原君のお家か……)

恒一「あはは……それじゃ、今日も頑張ろうか」

多々良「うん」

―――――
―――


多々良「んー……」

恒一「……ちょっと休憩しようか」

多々良「え?いいの?」

恒一「無理に勉強しても頭の中に入らないからね」


恒一「多々良さん、どうして急に勉強を?」

多々良「え、えっと……ほ、ほら!そろそろ期末試験だから…」

恒一「テスト前の一週間は部活も遊びも禁止なんて、ひどいよ」

多々良「で、でも……私は悪い気はしないよ?」

恒一「どうして?

多々良「こうして榊原君と居られるし……」

恒一「……」

多々良「あ……」

恒一「多々良さん……」

多々良「……///」ボッ

恒一「……ぼ、僕飲み物持ってくるよ!」


多々良(い、言っちゃった……!)

多々良(どうしよう……どうしよう……)オロオロ

多々良「お、落ち着いて……深呼吸」

多々良「……」スーハースーハー

多々良(あ……榊原君の香り……)

多々良「って!ちがうちがう!!……もう…」

多々良(………………)

多々良「……………よし!」

ガラッ

恒一「お、おまたせ……」

多々良「あ…ありがと……」


恒一「…………」

多々良「…………」

恒一・多々良「「あ、あの!」」

恒一・多々良「「あ……」」

恒一「さ、先どうぞ」

多々良「さ、榊原君こそ、先喋っていいよ?」

恒一「あ、うん……多々良さんは、僕の事……」

多々良「……」

恒一「僕の事、好、き……?」

多々良「……」

多々良「………うん」

多々良「私は、榊原君の事が好きだよ……」


恒一「そ、そっか……僕も多々良さんの事が好きだよ」

多々良「……」

恒一「……」

多々良「……ぷっ」

恒一「え?」

多々良「ごめんね、ちょっとおかしくって……あはは…!」

恒一「ど、どこか変だったかな……?」

多々良「ううん、変じゃないよ……」

多々良「榊原君、私と――――――」

恒一「……うん」

多々良「――――――付き合って下さい」


恒一「……はい」

多々良「……」

恒一「……これからもよろしくね、多々…恵」

多々良「うん、こちらこそよろしく……恒一君」

チュッ

恒一「……」

多々良「……もう1回、しよ?」

恒一「……うん」

―――――――
――――
――


 ―次の日―

 ガラッ

勅使河原「おはようサカキー……って、何手を繋いでんだよ!」

恒一「あはは……」

多々良「や、やっぱり恥ずかしいね……///」

望月「なるほど……」

勅使河原「あれ…なんかデジャヴ……?」

鳴「……」ポカーン

赤沢「……」ポカーン

中尾「……失恋するほど女は綺麗になる、なぁ泉美?」

赤沢「死ね」

中尾「だがそれがいい」ビクンビクン


柿沼「めぐちゃん、おめでとう」

多々良「柿沼さん……ありがと」

勅使河原「おい!いつまで手を繋いでんだてめー!」

恒一「あはは!痛いって」

鳴「ぐぬぬ……」

多々良「……恒一君!」

恒一「?」


―――――私、幸せです。



多々良 END

まぁ小椋さん編のおまけだと思ってくれれば……

あと俺は中尾じゃないけど中尾順太が一番好きだぜ!!

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