モバP「モバマス日本神話」 (69)



横山千佳「うーん……」

P「何読んでんだ?千佳」ヒョコッ

千佳「あっ、Pくん!」

P「『高千穂神楽舞』?難しそうな本だな。
  宿題か?」

千佳「うんっ!社会の宿題で、日本のお祭りについてしらべてるんだ。
   千佳はおじいちゃんとこのお祭りにしたの」

P「そういえば千佳は宮崎出身だったな」

千佳「だけど、神さまの名前とか、踊りの意味とかさっぱり分からなくてこまってるんだ」ショボーン

P「なるほどなー。そういう事情なら手伝わないワケにはいかないな」

千佳「ホントに?」

P「ああ。実を言うと、こういうのはちょっと詳しいんだ」



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――――――

むかーしむかし
気の遠くなるような大昔、

イザナギのPという男神と、
イザナミのちひろという女神がおりました。

そのころこの世はふわふわとして形がなく、あいまいなものでした。


P「国を作るのはいいですけどどうしたものですかねえ」

ちひろ「はい!まずは島を作りましょう!」スッ

P「……ってそれ俺の携帯じゃないですか!!」

ちひろ「えーいっ!!」ポーイ

P「あーーーーーーっ!!!」


イザナミは電子の海に電話番号、メールアドレスなど、
イザナギの個人情報を少々ぶっこみ、最初の島(アカウント)をつくりました。
この最初の島をオノコロ島と云いました。


ともあれ、島に無事降り立ったイザナギとイザナミは、
共に国を作っていく神さまを増やそうと考えました。


P「さて、これからどうしましょうね?」

ちひろ「それならガチャですよ!神様をふやすならガチャが一番!!」

P「そ、そっすね」

ちひろ「じゃあまずは私が回してみますね!」

P「あっ」

ちひろ「えいっ!!」ガチャッ







ぴにゃこら太「」





P&ちひろ「「…………」」


見なかったことにしました。


ちひろ「何がいけなかったんでしょう……」

P「うーん……あっ、ちひろさんが回したのがよくなかったんじゃないですか?」

ちひろ「そうかもしれません。じゃあ次はプロデューサーさんが回してください!」ドウゾ

P「よーし行きますよー」

P「うりゃっ」ガチャッ


フーン、アンタガワタシノプロデューサー?


P「やったー!成功ですよ!!」

ちひろ「それじゃあ、この調子でどんどん回しましょう!」

P「うっしゃー!!」ガチャガチャガチャガチャ


こうして、イザナギはガチャをブン回し、
着々と神さまを増やしていきました。


そうして神さまを増やし、国づくりを進めていたある時のことでした。


ボンバーッ!


P「おっ、次は日野カグツチかー」ガチャガチャ

ちひろ「プロデューサーさん……」

P「あれ、どうしたんですかちひろさん。
 何か顔色がよくないですけど……?」

ちひろ「実は……プロデューサーさんとお別れしないといけなくなってしまったんです」ウウッ

P「な、何ですって!?」



ちひろ「もうチュートリアルは終わってしまったので、私は黄泉の国へ行かなくてはなりません」

P「そんな!まだ国づくりは終わっていないんですよ!?」

ちひろ「………ごめんなさい!!」ダッ

P「ちひろさーーーーーーん!!!」カムバーック


こうして、イザナミは死者の住まう黄泉の国へと帰っ……旅立っていきました。
しかし、イザナギはイザナミのことが忘れられず、
イザナミを連れ戻すために自ら黄泉の国へ赴いたのでした。


―――黄泉の国


シブリン……シブリン…

マユー………マユー……



P「ここが黄泉の国……何て陰気な場所なんだ……」ゲホッ


イザナギは黄泉の国をさまよい、
ようやく暗闇の中でイザナミと再開することができました。

P「ちひろさん、探しましたよ!
  さあ、俺と一緒に帰りましょう!」

ちひろ「ああ……プロデューサーさん……」ウウッ

P「………ちひろさん?」

ちひろ「どうして……どうしてもっと早く来てくれなかったんですか…」シクシク

ちひろ「私はこの国の水を飲んでしまいました。もう常世にもどることはできません…」

P「そんなバカな!」

ちひろ「それに、私の姿をあなたに見せる訳には行かないのです……
    ごめんなさい……!」


そう言って、イザナミは暗がりから出てこようとはしません。


しかし、イザナギが諦めることはありません。


P「それならこっちにも考えがあります!」バッ

ちひろ「それは……」

P「修理に出していた携帯電話です!コイツのフラッシュライトで…!」

ちひろ「そんな!それだけは、それだけはやめてください!!」

P「問答無用!!!」ペカー

ちひろ「ああっ!!!」



イザナギの灯した光に照らし出されたのは、


P「あ………」

ちひろ「だから………」



ジャバジャバ



ちひろ「だから見ないでくださいって言ったじゃないですかぁ」ニコォ

P「嘘だぁぁぁぁぁぁ!!!!」


スタドリの瓶に井戸水を注いでいるイザナミの姿でした。



ちひろ「まったく、こんなところまで追って来るなんて想定外でしたが……」

P「そんな……」

ちひろ「これを見られたからには、大人しく返すワケにはいきませんねぇ」スゥ

P「ひっ!」

ちひろ「ヨモツガールズ、カモン!!」

「「「呼んだかしら?」」」

ちひろ「そこの男を捕まえて食べてしまいなさい!!」




高橋礼子「あら、おいしそう……」クスクス

篠原礼「食べちゃっていいの?……うふふ」ジュルッ

三船美優「た、食べちゃうぞー」ガオー



P「…………!!!!」ダッシュ!


イザナミが放った女たちを見て、イザナギは一目散に逃げ出しました!!!



P「食われても本望だが……ここでつかまるワケにはいかないんだ……!!!」ギリギリ




その目には、血の涙が流れていました。


P「おらぁあああああああああああ!!!!」ダダダダッ


「「「まてー♪」」」キャッキャッ


イザナギは葛藤に満ちた全力疾走で、
何とか追っ手を振り切ることができそうでした。


ちひろ「待てコラァァァアアアアアア!!!!」ズドドドド


眼を血走らせて走ってくるイザナミ以外は。

そうして追いかけっこを続けるうち、
イザナギは黄泉の国の出口≪黄泉比良坂≫にたどり着きました。


P「ここを抜ければ………!!」ダダダダッ

ちひろ「逃がすかボケェ!!!」

P「これで……終わりだぁ!!」ゴロゴロー

イザナギは黄泉比良坂を抜けると、
大岩で坂をふさいでしまいました。


P「はぁ………はぁ……」

ちひろ「ぜぇ………ぜぇ………」


そして、かつて夫婦であった二柱の神は、岩を挟んで最後の対面を果たしました。



ちひろ「はぁ、はぁ……ううっ…」グスッ

P「ちひろさん……」

ちひろ「どうして追いかけてきたんですか……」

P「ちひろさん、俺は……」

ちひろ「私の言うことを聞いてくれなかったプロデューサーさんなんて知りません!」



ちひろ「なので、これから私は一日1000モバコイン分のドリンクをプロデューサーさんに売りつけます!!」

P「はぁ!!?」


イザナミは、最後まで少々欲の皮が突っ張っておりました。


ちひろ「ふんっ!」ツーン

P「……分かりました。
  ならば俺は、一日1500モバコインチャージしましょう」

ちひろ「…………」

P「だから……ここでお別れです、ちひろさん」



P&ちひろ「さようなら」



こうして、生者の国と死者の国は永久に分かたれることになったのです。


――――――

P「とまあ、ここまでが国生み神話ってやつだな」

千佳「面白かったー!」

P「そうか?でもこれは前座というか前置きみたいなもんだ」

千佳「そうなの?」

P「ああ。神楽舞で再現されるのはこの続きの『天岩戸神話』ってやつだ」

千佳「じゃあここからが本番だね?」

P「そうそう」

千佳「早く聞かせてー!」ワクワク


――――――



P「あーひどい目に遭った」ヤレヤレ


黄泉の国から命からがら脱出したイザナギは穢れを落とす為、
阿波岐ヶ原で身を清めました。
これを禊といいます。


P「……そういえば、まだガチャ回しきってなかったな」


イザナギは、イザナミが遺したプラチケを全部使ってしまうことにしました。
800枚ほど回したところ、3枚のSRを引き当てました。あんたん死すべし。


高垣楓「アマテラスです」

神崎蘭子「我、神の右目より化生せし夜神なり(ツクヨミです)!!」

姫川友紀「スサノオユッキでーす!」


この三柱の神を三貴子と云いました。


イザナギは、神が住まう天の国・高天原をアマテラスに任せました。


P「それじゃあ楓さん、お願いしますよ」

楓「任せてください♪」ヘヴーン


やっぱりアマテラスは女神でした。

次に、ツクヨミには夜の国を任せました。


P「頼んだぞ、蘭子」

蘭子「ククク……ならば宿命に従い、黄昏の方角を守護せん(はい!夜の国はお任せください)!」


ツクヨミも良い子なので、元気よく返事をしました。
しかし、話の本筋上ツクヨミの出番はここまでになってしまうのでした。


蘭子「ええっ!!?」ガーン



最後に、イザナギはスサノオに海原を任せようとしました。


P「というわけで友紀、お前には海原を…」

友紀「やだ!」

P「えっ」

友紀「やだったらやだ!」


スサノオは首を縦には振りませんでした。


P「どうして嫌なんだ?」

友紀「だって、海原ベ●スターズ弱いんだもん!」

P「ファッキューユッキ」


スサノオは任されるなら強い球団のいるところがいいと駄々をこねました。



P「コラ、あんまりワガママを言うんじゃない」メッ

友紀「ふえーん楓さーん。プロデューサーがいじめるー」エーン

楓「よしよし」ギュッ

友紀「…………フッ」ニヤリ

P「クソガキが…………!!」ギリギリ


こうして、スサノオは姉のアマテラスを頼り、
高天原に身をよせることになりました。


ところが、これが大きな間違いだったのです。


高天原にやってきたスサノオは好き放題やらかしました。


友紀「バッチコーイ!!」キャッキャッ

楓「ここは確か田んぼだったはずだけど……
  ちょっと探訪してきます」


田んぼを埋めてグラウンドにしたり、


友紀「楓さんごめーん!スライディングの練習してたら、
   花瓶倒しちゃった!」テヘペロ

楓「え、ええ……誰にも間違いはあるわよね」



宮殿を水浸しにしたり、それはもうひどい暴れっぷりでした。

最初は笑って許していたアマテラスも、だんだん真顔になることが多くなりました。



調子に乗ったスサノオは、
畑から盗んだジャガイモで投球練習を始めました。


友紀「よーし、つぎはVスライダーだ!……あっ」スポッ


ところが指がスッポ抜け、投げたイモはあらぬ方向へ飛んでゆきました。


ガシャーンッ!!


楓「!!!」ガーン


何ということでしょう、スサノオの投げたイモはアマテラスの私室に飛び込み、
アマテラスが大事に取っておいた純米大吟醸『神濔嶺螺(シンデレラ)』にストライクしてしまいました。


楓「お前は……今までに飲んだ日本酒の本しゅうを覚えているのか……」フラフラ

楓「………ふふっ」フラフラ


ガラガラーーーー
ドーーーーン!!


大事なお酒を台無しにされたアマテラスは、
失意のあまりキレのないダジャレを残し岩屋の中に閉じこもってしまいました。
それまでアマテラスの明るい笑顔に照らされていた高天原は、
永遠の夜が訪れたかのように暗闇に沈んでしまいました。


八百万の神々は、対策を練るために集まって会議を開きました。


東郷あい「まったくどうしたものだろうか……」

木場真奈美「楓くんの気持ちはわかるが、こう暗くては仕事にならない」

あい「ところで、友紀くんは?」

八神マキノ「確保したわ」

友紀「放せー!」ジタバタ


当のスサノオはあまり反省していませんでした。


ああでもない、こうでもないと対策を講じていると、
オモイカネという頭の良い神が手を挙げました。


池袋晶葉「諸君、私にいい考えがあるぞ」フフン


オモイカネは長鳴鳥という鳥をあつめ、
鏡と宝玉で岩屋の周りを飾り付け、
桶を伏せて大きな音が鳴る舞台を作りました。

そこで踊り子・アメノウズメに舞を踊らせたのです。


晶葉「では愛梨くん、たのむぞ」

十時愛梨「はーい♪」ポヨーン

晶葉「うむ。
   さあ諸君、目いっぱい騒げー!」

オオーッ!!

こうして、岩屋の前でどんちゃん騒ぎが始まりました。



愛梨「皆さーん、楽しんでますか―?」ドンドコドンドコ

イエーイ!

愛梨「うふっ、嬉しいです!あっ」ドンドコドンドコ

ブチィッ!!

愛梨「きゃあっ!」ポヨーン

ウヒヒヒ!タマランナー!!

オーッパイ!オーッパイ!!

チョットアツミチャン,コウフンシスギ


ウズメの体を張ったパフォーマンスに、一同大盛り上がり。




楓「…………?
  何の騒ぎかしら……」


その音に、岩屋の中でふて寝していたアマテラスも目を覚ますほどでした。


楓「私がいなくなっても、みんな悲しくないのかしら」

楓「………ちょっとだけ…」コソッ


アマテラスは外の様子を伺う為、
ほんの少しだけ岩屋の戸を開きました。


楓「何かあったの?」

晶葉「やあ高垣さん」

愛梨「実は、楓さんより面白い神さまが現れたので、みんなでお話を聞いているんですー」ポヨヨン

楓「私より面白い?」

愛梨「ほら、みなさん笑ってるでしょう?」


アハハハハ!!
ウッヒョー!!


晶葉「その通り。もはや高垣さんの威光など必要ないということだ」ハハハ

楓「………」ムムッ


普段は温厚なアマテラスもこの発言を見逃すわけにはいきませんでした。


楓「そう………ところで、その私より面白い神さまはどこにいらっしゃるの?」

愛梨「こっちですよー」オイデオイデ


そう言って、アメノウズメはあらかじめ立てかけておいた鏡の方を指差しました。


楓「こう?」ズイッ


鏡に映った自分の姿を、その面白い神さまだと思い込んだアマテラスは、
その姿を見ようと岩屋から少し顔を出しました。



愛梨「もっとこっちです」コッチコッチ

楓「……こう?」ズイイッ


そうして、アマテラスが体ごと乗り出した瞬間、




晶葉「いまだ、諸星くん!!」

諸星きらり「おっつおっつばっちし☆」

きらり「にょわーーっ☆」グイッ

楓「きゃっ!!」


岩屋の陰に隠れていたアメノタヂカラオという力持ちの神が、
アマテラスを岩屋から引きずり出しました。


楓「えっ?えっ??」

晶葉「高垣さんがでてきたぞ!!今だ!岩屋を閉めろ!」

おー!!

晶葉「ついでに縄で封もしておけ!!」

おーっ!!

愛梨「やったぁ!楓さんが帰ってきました!」

バンザーイ!バンザーーイ!!


アマテラスが戻ってきたことで、
高天原に再び光が戻ってきました。


楓「???」



当のアマテラスは未だに事態が呑み込めていませんでした。


こうして、高天原を巻き込んだ騒動は収束しました。

この出来事から先、神域の前には鳥の止まり木が作られるようになりました。
これを鳥居と云います。

また、ここから先は入ってはいけないという目印として、
神聖な場所には縄が張られるようになりました。
これを注連縄(しめなわ)と云います。


あと、騒ぎの原因となったスサノオは高天原を追放されてしまいました。
地上に降りたスサノオは草野球で地元のチームをボコボコにするのですが、
それはまた、別のお話………


友紀「えっ、それだけ!?」



それだけです。


――――――

P「こんな感じのお話だな」

千佳「すごいすごい!本当にあった出来事みたいだね!」

P「ははっ、そうだな。
  どうだ、これで宿題ははかどりそうか?」

千佳「うんっ!ありがとうPくん!」

P「どういたしまして。
  ところで、その高千穂神楽はいつから始まるんだ?」

千佳「うーんとねー、お母さんに聞いたら、11月のちゅーじゅんって言ってた。
   ちゅーじゅんっていつごろ?」

P「おっ、じゃあそろそろ始まってるんじゃないか?」

千佳「本当?じゃあ、今度おばあちゃんの家に行ったら見れるかな?」

P「見れるんじゃないか?……あっ、ここにスケジュール載ってるぞ」

千佳「本当だー!」

(宮崎県高千穂町ホームページ)
http://www.town-takachiho.jp/culture/culture/yokagura.html




P「あっ、もうこんな時間か。そろそろ出ないと」

千佳「えー?もっとお話ししてよー」グイグイ

P「ゴメンな千佳。また時間があるときにな」

千佳「ぶーぶー!」




蘭子「なれば魔の申し子よ、我が絶対零度の呪を伝授しようぞ!!(北欧神話なら任せて、千佳ちゃん)」

P「お、おう……いたのか蘭子」

大西由里子「じゃあギリシャ神話なら任せるじぇ!
      あるところにアポロンという神とアドニスという美少年が……」

P「大西ぃ!!」



おしまい

ひとまずこれにて。
読んでくださってありがとうございます。

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