少年「ねぇ!?ねぇ!?ねぇ!?何で石像なのに喋れて動けるの!?」
ガーゴイル「ガーゴイルだからだね」
少年「ガーゴイルって何!?」
ガーゴイル「うーん……魔物みたいな物かね?」
少年「すっげー!オレ本物の魔物初めて見たよ!」
ガーゴイル「そりゃ良かったね」
少年「それでさ、それでさぁ!何で魔物がこんな森の中の人もいない教会にいるの!?もしかして魔物軍団の根城なの!?」
ガーゴイル「いや、私はここを守るために作れられたからな、人がいなくなっても離れる気になれないんだ」
少年「そーなんだ!じゃあさ!じゃあさ!ここに秘密基地作ったら守ってくれる!?」
ガーゴイル「……まあ別にいいが…私がいることをあんまり広めてくれるなよ?私は静かに暮らしたいんでね」
少年「秘密基地なんだから広めないよ!秘密なんだから!」
ガーゴイル「……そうですか」
………
少年「おはよう!ガーゴイル!」
ガーゴイル「…ずいぶんとまあ大荷物だね」
少年「ここはボロボロだからね、大改築しなきゃ!」
ガーゴイル「改築はいいけど倒壊だけは勘弁してくださいね」
少年「任せなって!オレの父ちゃんは大工なんだぜ?」
ガーゴイル「そうですか」
………
少年「ふぅ…こんなもんかな?」
ガーゴイル「…床の穴に板を滅多打ちしただけじゃないか」
少年「うるさいなぁ、こういうのは少しづつやってくものなの!明日が壁で明後日が天井なの!」
ガーゴイル「足場とかはどうするのかね?」
少年「はしごがあれば何とかなるはず!」
ガーゴイル「はぁ…」
少年「今日はもう帰るね!バイバイ!」
………
少年「すっげー!天井も壁も直ってる!」
ガーゴイル「床もね」
少年「ガーゴイルがやってくれたの?」
ガーゴイル「怪我でもされたらたまらないからね」
少年「ありがとー!よーし!さっそく宝物を運んでこようっと!」
ガーゴイル「宝物?」
少年「秘密基地には宝物があるものなんだぜ?特別にガーゴイルにも見せてあげるよ!」
………
少年「えっーとねぇ、これが川で拾った綺麗な石でね、これが道に落ちてた何かのネジで……」
ガーゴイル「ガラクタばかりじゃないか」
少年「もしかしたら何かの役に立つかもしれない、って思うと捨てられないんだ」
ガーゴイル「この丸めた紙も?」
少年「あっ、それはゴミだね、いらないや」
ガーゴイル「教会に捨てるな」
少年「ガーゴイルの宝物はないの?」
ガーゴイル「あるよ、とても大切なものだ」
少年「『この教会を守る使命』とかじゃないよね?」
ガーゴイル「違うよ、ほらこれだよ」
少年「手紙?」
ガーゴイル「この教会に人がいた頃、僧侶さんにとある人物に渡すように頼まれてたんだけど……」
少年「来なかったの?」
ガーゴイル「ああ」
少年「なんでその手紙が宝物なの?」
ガーゴイル「私たちにとっては主からの預かり物は宝物なんだ、信頼の証だからね」
少年「へぇ~、ところで何年前に渡されたの?」
ガーゴイル「……ちょうど40年前だったかな」
少年「…ガーゴイルって何歳なの?」
ガーゴイル「この教会よりちょっと年上だ」
………
ガーゴイル「そろそろ暗くなってきたから帰ったほうがいいんじゃないか?」
少年「え~?もうちょっと遊びたいのに……」
ガーゴイル「夜の森を甘く見ないほうがいいよ、夜行性の獣と会いたいのなら別だけど」
少年「あー……それは怖いかも…」
ガーゴイル「もしかしたら魔物も出るかもしれないよ?」
少年「魔物なら歓迎するなぁ、見てみたいし」
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