王様「情報によると城下に勇者と名乗るものが現れたらしいな」
大司祭「ええ、城の占いにの予言で示された通りです」
兵士長「そいつ、強いのか?」
王様「分からん。まだ10代と聞いたが……」
兵士長「はぁ!?糞ガキじゃねえか」
大司祭「占いによる勇者の仲間達も若者のようですが……」
兵士長「10年やそこら体鍛えたからって魔物に通用するわけねーだろ」
王様「そうだな……黒服はどう思う?」
黒服「私ですか?」
大司祭「黒服さんは今日も黒いスーツとシルクハットがお似合いですね」
黒服「それはどうも。これしか持ってないんですよ」
王様「で、お前の意見は?」
黒服「そうですね。では、勇者達の実力を試す……ということでどうです?」
王様「なるほど。シンプルでいいな」
大司祭「どうやって試すんです?」
兵士長「実力を試すっつったらバトルしかねーだろ」
ワクワク
黒服「いいですね。じゃあ我々と戦って勝ったら魔王討伐を許可するというのでは?」
王様「私達とか?」
兵士長「確かに俺らに負けるようじゃ魔王なんて倒しにいく資格ねーな」
兵士長「つーか俺らが倒しに行ったほうが早くね?」
王様「誰かが行かねばならんからな。伝説の勇者の実力次第では考えねばならないな」
大司祭「しかし、我々に本当に勝てるのでしょうか……剣を取っては天下一の兵士長さんに」
大司祭「魔法を極めた黒服さん、そして私と……何代も前から技を受け継いできた王様に勇者達が」
王様「それは戦ってみれば分かるだろう。よし!兵錬場を開けておけ」
兵士長「うぉっし!楽しみだぜ!」
大司祭「勇者達を呼びますか?」
王様「いや、魔王討伐に行くのであれば挨拶に来るだろう、その時話そう」
黒服「私も久しぶりに体を動かせそうで楽しみです」
―――謁見室
勇者「はじめまして。勇者と申します」
魔法使い「魔法使いよ」
僧侶「僧侶です」
戦士「よろしく!」
ペコッ
王様「そんな堅苦しい挨拶はいい」
勇者「そお?よかったー。敬語苦手あんだよね」
王様「急に変わるな……まぁ、いい。随分若いな」
勇者「ああ、15歳です。で、王様。魔王討伐に向かう報告に……」
王様「やはり行く気か。だが、ただで許可するわけにはいかん」
勇者「は?金取るの?」
王様「違う!実力を試させてもらおう」
勇者「実力?いっちゃなんだけど、俺すげー強いよ?」
王様「ほぅ」
勇者「剣の修行もしてたし」
ブンブンッ
勇者「魔法も使える。メラッ!」
ボボゥ
魔法使い「あたしも自信はあるわ」
僧侶「私も回復でしたら……」
戦士「俺より強い奴に会いに行く……」
王様「では勝負しようか」
勇者「はっ?俺と勝負したいって?」
王様「ああ、勝ったほうが魔王を倒しに行く」
―――兵錬場
兵士長「おう!来たか、待ってたぜ」
勇者「ここは?」
王様「兵達の兵錬を行う、まぁ修行場みたいなところだ」
戦士「うわぁ……コロシアムみてー」
勇者「ここで戦うのか?」
王様「そうだ。そちらも4人だから丁度いいな」
大司祭「初めまして」
黒服「よろしく」
勇者「まっ、いいや。俺つえーし。ルールは?」
王様「そうだな。1対1でやりあうか?」
兵士長「ったりめーだろ。男の勝負はガチンコだぜ!」
大司祭「私女なんですけど……」
魔法使い「あたしも」
僧侶「私もです」
兵士長「気にすんな!がははは」
王様「じゃあ、私と勇者。戦士と兵士長。黒服と魔法使い。大司祭と僧侶ってところでいいか?職業も近いからな」
勇者「おっけー」
魔法使い「わかったわ」
僧侶「はい」
戦士「くくくっ、剣の錆にしてくれる」
王様「怪我をしても治療してやるから安心するがいい。武器も魔法も使っていいぞ。ここは頑丈だからな」
兵士長「いよっしゃー。誰からやる?誰からやる?」
王様「そうだな、まずはやはり勇者の実力が知りたいところだな」
勇者「いいぜー。怪我しても怒るなよ」
王様「ははは、私に勝てるような勇者がいるということは喜ばしいことだ。怒るものか」
勇者「よし、じゃあいくか」
ジャキンッ
王様「来い」
ブンッ
勇者「あれ?王様は剣じゃなくてそんな棒なのか?」
王様「剣は王者の持つ武器ではないからな」
勇者「そ、そうなのか?でもそんな鉄の棒っきれで大丈夫か?」
王様「10代前より受け継ぎ、事上磨錬され続けた技がある。遠慮することはない」
勇者「わかった。死んでも怒るなよ!うりゃああ」
ズバッ
王様「ん?」
ギィーン
勇者「うっ、受けただと……」
ググッ
勇者「くそっ、これでどうだ!二段斬り!」
ズババッ
王様「ほっ」
キンキンッ
勇者「防がれた……」
王様「勇者……お前剣を取って何年だ?」
勇者「5年間死ぬ気で修行したんだ!」
ブンッ
王様「うむ……5年でこの実力であれば喜ぶべきだな」
ヒョイ
勇者「ば、馬鹿にするな!」
ズバッ
王様「勇者でなければな!!」
ドスゥ
勇者「うごぁ……」
戦士「うぉっ」
魔法使い「棒が勇者の体を……」
僧侶「貫いた……!」
勇者「と思うだろ?あめぇよ!」
勇者「うぐぐ……」
バタッ
王様「安心しろ。急所ははずしてある」
魔法使い「外してあるって!貫通してんじゃん!」
王様「治療してやれ」
兵士「はっ」
ズルズルッ
王様「残念だ……だが、あれではスライム相手にも苦戦しただろう」
兵士長「だなぁ、腰がはいってねーよ。腰が」
王様「道半ばで死ぬよりはここで実力を知った意味は大きいだろう」
魔法使い「そ、そうかもしれないけど……」
兵士長「よっしゃ!次は俺達だぜ?戦士」
戦士「くっ、勇者の仇……討たせてもらう」
兵士長「いいね、いいねー。そのノリ嫌いじゃねーぜ」
兵士長「さぁて、いくか」
トントン
戦士「おう」
魔法使い「ちょっと!」
兵士長「ん?なんだよ。男の勝負に水刺すなよ」
魔法使い「だって、なんか武器が違いすぎない?」
兵士長「あ?この王者の剣のことか?王様に借りたんだけどな」
魔法使い「戦士は銅の剣よ!ずるいじゃない!」
兵士長「あー、まー、本当の剣士は獲物を選ばないんだけどなー。まぁいいや。ほれっ」
ヒョイッ
戦士「?」
兵士長「それ使っていいぜ」
戦士「こ、この業物をくれるのか!」
王様「やるか!!貸すだけだ!」
戦士「この刃渡り……そして……軽い!」
ブンブンッ
戦士「くくくっ……これで斬って斬って斬って……」
魔法使い「で、兵士長さんは素手?」
兵士長「んーっ、じゃあこの棍棒でいっか」
グッ
兵士長「ほれっ、きな」
戦士「じゃあ、いくぜえええ!どりゃああ!」
ズバッ
兵士長「あー、お前はさっきのよりちょっとは腰が入ってるが、まだまだだなぁ」
ヒョイッ
戦士「ふざけるな!俺は道場で10年修業したんだ!」
ブンブンッ
兵士長「道場?どこの?」
サッサッ
戦士「王国道場だ!田舎のほうのだけどな!」
兵士長「へぇ……じゃあ受身は出来るな。本気でいくぜ」
トントンッ
兵士長「はぁ!」
ダッ
魔法使い「戦士の体が……」
僧侶「真っ二つに……!
兵士長「棍棒パンチ!!」
ドスッ
戦士「うがっ」
兵士長「棍棒キック!」
ドガッ
戦士「うぐっ……ま、まだまだ……」
兵士長「棍棒ヘッドバッド!」
ガンッ
戦士「がっ……頭が……」
兵士長「棍棒スープレックス!!」
ドゴーンッ
戦士「……」
王様「1……2………………10!」
カンカンカーン
魔法使い「棍棒使いなさいよ!!」
兵士長「言っただろう。本当の剣士は剣を選ばないと」
魔法使い「使ってないだけじゃない」
兵士長「まったく嘆かわしい弟子だぜ」
魔法使い「弟子?」
兵士長「ああ、俺が王国道場のトップだからな」
魔法使い「剣が使えないのに?」
兵士長「弟子殺すわけにゃいかねーだろ」
僧侶「戦士さん、しっかり!」
戦士「……」
ピクピクッ
魔法使い「この……」
黒服「次は私達の番ですね。魔法勝負ってところですか」
魔法使い「魔法が使えるような格好には見えないんだけど……」
黒服「あいにくこの服しか持ってませんので」
魔法使い「こっちが2敗しちゃったけど、あと2人勝ったらどうなるのよ」
王様「私達に2勝で引き分けたのなら、まぁ、実力は認めてやろう」
魔法使い「ってことは絶対負けられないってことね……」
黒服「でははじめましょう」
魔法使い「いくわよ!メラッ!」
ボボゥ
黒服「あちちっ」
魔法使い「まだまだいくわよ!」
黒服「ではこちらからもメラをお見舞いしますか」
ジャキンッ
魔法使い「な、なにその黒いの……」
黒服「あ、ゴム弾にしてありますので安心してください。メラッ!」
パンッ
魔法使い「うぐぅ……な、何?当たったの?」
黒服「マヌーサ!」
ポイッ カランカランッ
魔法使い「な、何?その丸くて黒いの……」
黒服「閃光手榴弾です」
カッ
キィーン
魔法使い「目が……耳が……ううっ」
クラクラッ
ザザザッ
魔法使い「ど、どこ?どこにいるの?」
黒服「後ろです。ギラッ!」
グッ
魔法使い「な、何を……」
ビリビリビリビリッ
魔法使い「きゃあああああああ!」
兵士長「あちゃー、きつそうだな。黒服のあの電流流れるギラ効くんだよなー」
大司祭「やっぱり黒服さんの魔法はすごいですねぇ」
>>43
じゃぁおまえかけ
魔法使い「……」
ビクビクッ
黒服「勝ちました」
大司祭「勝負はつきましたが、最後までやりますか」
僧侶「ひぃ!」
ズササッ
大司祭「しかし、そんな実力で魔王を倒そうなんて、なんで思ってしまったんですようね」
ズルズルッ
僧侶「な、なんですそれ?」
大司祭「モーニングスターですよ。まぁ要するに鉄球付きの棒ですけど。私達僧侶が使える数少ない武器ですね」
ニコッ
僧侶「い、いや……」
大司祭「まったく、皆さん冒険者登録したんですよね。いくつまで上げたんですか?レベル」
僧侶「わ、私達……まだ1ですけど」
大司祭「え?そ、それじゃ本当にスライムにも苦戦するくらいじゃないですか!なんて無謀な!」
僧侶「で、でも……」
大司祭「ちなみに私はLV293です」
戦士「俺はLV321」
黒服「ひみつです」
王様「私はLV400だ」
僧侶「ひぃ!」
大司祭「鍛錬というのは時間をかけてじっくりやるものですよ。それを怠って魔王を倒そうとするなんて……」
ズルズルッ
僧侶「ちょ、ちょっと待って下さい……」
ブルブルッ
大司祭「お仕置きですね!」
ブンッ
僧侶「きゃあああ!」
ブチッ
戦士のレベル高くね?
>>58
戦士→兵士長
ごめんなさい
僧侶「……」
ビクンビクンッ
兵士長「ちょっ、やりすぎだろ」
大司祭「すみません。てへっ」ペロッ
黒服「てへぺろじゃないですよ」
大司祭「回復しますね、ついでに他の皆さんも。ホイミ!」
パァァァ
勇者「うぐっ……えっ腹の傷が……」
戦士「ん?」
魔法使い「はっ」
僧侶「し、死んで……ない?頭くっついてます!」
ペタペタ
勇者「一瞬で……治した?」
戦士「すごいな」
僧侶「完敗です」
魔法使い「あたしは何か負けた気がしないんだけど」
王様「残念だ……お前たちには期待していたのだがな」
兵士長「しゃーねーなー。こうなったら俺らでいくしかないか」
黒服「ですね」
大司祭「しかし、それでは城が留守になってしまいますよ。それに政治も……」
王様「そうだな……うむ……」
ジロッ
勇者「?」
王様「お前達、やってみるか?」
勇者「へ?」
無限ループはっじまるよー!
王様「我々で魔王討伐に行ってくるから、代わりに城の仕事やってみるか?」
勇者「えっ、でも……」
兵士長「おっ、いいんじゃねーの?おい、お前も鍛えられるぜ」
バンッ
戦士「いてっ!」
大司祭「そうですね、あれだけやる気があるのであればここを任せてもいいかもしれません」
僧侶「あの……どういう……」
黒服「では、おまかせして行きますか」
魔法使い「ちょっ!」
王様「城の者には説明しておくから、頼んだぞ」
勇者「おい、ちょっと待て!」
―――城下町
王様「城の者が馬を用意してくれたようだが……」
兵士長「んなもんいらねーよ。走った方が速いぜ」
大司祭「まぁ、そうですね」
黒服「確か魔王城は向こうの方角でしたね」
王様「そうだな。では、真っ直ぐ走っていくか」
兵士長「おうよ!男はいつでも一直線だぜ」
大司祭「それはまた大胆な」
兵士長「最初からウダウダ戦争やってねぇで、乗り込んで倒しちまえばよかったんだよ」
王様「まぁ、そういうな。国民も守らねばならん」
兵士長「んー、あいつらで大丈夫かな?」
大司祭「彼らに任せるって兵士長さんも賛成してたじゃないですか」
兵士長「でもなぁ、あいつら腰がなってねーからな」
黒服「腰はもういいでしょう。向かいましょう」
王様「だなっ、パっといってパっと帰ってくれば大丈夫だろう」
大司祭「王様まで適当な……」
兵士長「いよっしゃーついてこい!」
バッ
王様「いくぞ」
バッ
大司祭「わかりましたよ」
黒服「ふふっ」
ババッ
―――城
大臣「勇者殿、こちらの書類を読んで決済を」
勇者「え……」
大臣「勇者殿、他国の外交官が接見をもとめております」
勇者「は?」
大臣「勇者殿。国民からの要望がこれだけありまして」
勇者「うー……」
大臣「勇者殿、これを……」
大臣「勇者殿、あれを……」
勇者「あ゛ーーーーーーーもう!なにこれ!」
勇者「なんで俺が王様の代わりなの!?」
ガクーンッ
大臣「伝説の勇者といえば、まぁ知名度はありますからな」
勇者「はぁ……」
大臣「腐っても勇者ですな、みなさん納得されております」
勇者「腐ってねーよ」
大臣「そうでしたな。まだ生えてさえいないヒヨッコでしたな」
勇者「生えてるよ!ぼーぼーだよ!」
大臣「そうですか、では剣術の稽古の時間です」
勇者「それそれ、そういうの待ってたんだよ!」
ガバッ
大臣「では、兵錬場で私がお相手いたします」
勇者「え?あんた強いの?」
大臣「幼少の頃より王様に手ほどきをしてきましたので、そこそこは」
勇者「へぇー!じゃあいこうぜ!」
―――サハギンの集落
兵士長「うおっ、いっぱいいるな……」
黒服「まだ、こちらに気づいてはいないようですね」
大司祭「まったく、まっすぐ走るからこうなるんですよ、周り道すれば通らなくてよかったのに!」
兵士長「50……100は……いるか?」
大司祭「ですね」
兵士長「めんどくせーし、やっちまうか」
黒服「先は長いことですし、体力は温存しておいたほうがいいでしょう」
大司祭「じゃあ、黒服さんの魔法ではどうです?水辺ですから電流がよく通りますよ」
黒服「ちょっとこの広さじゃ厳しいですね」
王様「あー、もう、私に任せろ!」
大司祭「王様?」
王様「おおおおおおおお」
ゴゴゴゴゴゴゴッ
王様「ギガデイン!!!」
ドガガガン
「グギャアアアアアア!」
王様「よし、全滅だ。いくぞ」
―――兵錬場
戦士「ぜぃ……ぜぃ……勇者、助けてくれぇ」
師範「だらしないぞ!さっさと立ち上がれ!」
戦士「うぐぐっ」
ググッ
師範「兵士長殿の代わりだろう!あと50周追加だ!」
勇者「戦士、なにやってんの?」
大臣「では、勇者殿も一緒に50周ほど走ってもらいましょうか」
勇者「え?剣の稽古じゃないの!?」
大臣「まずは体力です。戦場では体力がなくなったものから死にますからね。逃げられなくて」
勇者「俺は逃げたりしない!」
ドスッ
勇者「うぐっ……杖でみぞおちを……」
大臣「逃げられなきゃ死ぬんですよ。特にあなたみたいな人はね」
勇者「何を!」
大臣「まずは体力です。魔法も剣もそれがなければ続きませんよ」
勇者「くっ……」
大臣「王様は毎日100周は軽く走ってますよ」
勇者「はぁ?無理だろ。毎日なんて!」
大臣「剣の修行をしたといってましたが、毎日どのくらいしてました?」
勇者「道場で2時間くらいかな?」
大臣「それ以外の時間は?」
勇者「そりゃ遊んだり色々」
大臣「全然足りません。王様は寝る以外は仕事と鍛錬です」
グイッ
大臣「さぁ、走って」
勇者「くっそー!」
ダダッ
大臣「終ったらまだ仕事いっぱいありますからねー」
―――ドラゴンの巣
大司祭「だからまっすぐじゃ危ないって言ってるでしょ!馬鹿ですか!あんたら!」
兵士長「50……100は……いるか」
黒服「これは厳しいですね」
大司祭「それ前も聞きましたから!」
兵士長「大丈夫大丈夫!いけるって!」
大司祭「王様も何とか言ってください」
王様「ドラゴンは倒したことがあるが、最上級のモンスターだからな。真正面からつっこめば危ないかもしれん」
大司祭「ですよねー」
王様「黒服、何か作戦はないか?」
黒服「そうですね。ドラゴンといえども生き物。やりようはあるでしょう」
王様「ほぅ」
黒服「まずは私と大司祭さんのαチーム、王様と戦士さんのβシームに分かれます」
黒服「一人はもう一人の援護に回ってください」
黒服「では、いきますよ。βチームで敵の目をひきつけてください」
兵士長「うおっしゃー!」
ダダダッ
王様「私が援護か。まぁ、相手が兵士長ではしかたないか」
ダッ
「!?」
「グワオオオオオオオオン!」
王様「よし!こっちだ!」
「ギャギャア!」
「グルルルルッ」
バサッバサッ
黒服「眼が集まりましたね。王様!兵士長!目と耳を塞いで!」
黒服「マヌーサ!」
ポイッ
カッ
キィーン
「グギャアアアアアアアアア!」
「ギャッ?ギャッ?」
ジタバタ
黒服「眼をつぶしました!今です!」
アルファーときたらブラボーだろ
兵士長「よっしゃー」
ズババッ
「ガアアッ……」
ブシュー
兵士長「いくぜいくぜぇー」
ズバッ
王様「んーっ、あいつは放っておこう」
兵士長「うりゃうりゃー」
ドスtゥ
黒服「王様は右側から回り込んでください。囲まれないように!」
王様「わかった。せいっ!」
ズバッ
黒服「我々は左から回ります。援護頼みますね」
大司祭「はい!」
「グアオオオオ!」
黒服「おっと、そんな大口開けてたら危ないですよ」
ピーンッ
ポイッ
「ング!?」
黒服「イオナズン」
ドゴーン
大司祭「ドラゴンが中から爆発!?」
黒服「ただの手榴弾ですけどね」
兵士長「うりゃりゃー」
ズバズバッ
>>99
ごめんね
黒服「まだ生き残りがちょっといますか」
ターン
ターン
「グッ……」
黒服「ちゃんと頭を撃ち抜いておかないとドラゴンは生命力つよいですからねー」
大司祭「はぁー疲れました」
王様「側近の作戦はいつも冴えてるな」
兵士長「あれ?もう敵いねーの?」
黒服「さて、いきますか。きっと勇者たちも待ちくたびれてますよ」
王様「そうだな」
兵士長「いよっしゃ。まっすぐゴー!」
大司祭「また真っ直ぐ!?」
―――大聖堂
おばあさん「大司祭様、怪我をしてしまいましたのじゃ……どうか……」
僧侶「あの、私大司祭じゃないので……も、もう魔法力が……」
神父「だらしないこと言ってないで、回復回復!」
僧侶「ううっ……ホ、ホイミ」
ホワーン
おばあさん「いっ……大司祭様はもっとやさしくしてくれましたじゃ」
僧侶「ごめんなさい……はぁはぁ」
神父「ほらっ、まだ並ばれてますよ、頑張ってください」
僧侶「ほ、ほんとにこんな人数治してたんですか?大司祭様は……」
神父「ええっ……自分の力が世の中になればと……あなたは違うのですか?」
僧侶「私は……世界が平和になるよう神にお祈りを……」
神父「それで何か変わりましたか?」
僧侶「あぅ……それは……」
神父「お祈りは辛く困っている人がすればいいのです」
僧侶「え?」
神父「あなたはそれを叶えて上げられる人になりなさい」
僧侶「は、はい!神父様!」
神父「では、これが終ったら勇者殿たちと稽古をしてきてください」
僧侶「も、もう無理!無理ですうううううううう!」
―――魔界
コソコソ
兵士長「いよっしゃ!なんとか魔界まで来たな」
大司祭「ちょっと、大声出さないで下さい。周り敵だらけなんですよ。見つかってしまいます」
王様「この岩陰から出たら見つかるかもしれんな……」
大司祭「だから回り道しようっていったんですよ、こんな真正面からって……」
黒服「しかし、あとはあの正面の雪山を登れば魔王城ですよ」
兵士長「いよっしゃ!」
大司祭「だから大声ださないでください」
王様「黒服どうする?」
黒服「もう少しですから走って一気にいっちゃいましょうか」
大司祭「ちょっ!!」
兵士長「そうそう、そういうシンプルなのがいい!」
王様「それで敵はどうする?」
黒服「私がしんがりを勤めます」
ジャキンッ
パラパラッ
大司祭「何をしてるんです?」
黒服「メラでは頭に当てないと倒せませんから、麻酔弾に変えます」
シャキッ
黒服「いきましょうか」
兵士長「一気に走るぜー!」
王様「いくぞ」
大司祭「はぁ……わかりました」
ババババッ
「!?」
「人間?」
「あれ人間じゃね?」
黒服「ラリホー!ラリホー!」
ターン
ターン
「うっ……眠気が」
「ぐっ……」
バタバタッ
「まちやがれええええ」
「グオオオオオオオン!」
大司祭「追ってきますね」
王様「それはそうだろう」
兵士長「走れえええ!」
ダダダッ
黒服「そこっ!そこぉ!」
ターンッ
ターンッ
兵士長「走りながらよく当てるな」
黒服「レーザーサイトがついてますからね」
ターンッ
「がぁ……」
大司祭「大丈夫ですか?」
黒服「ええ、まだイオナズンが結構残ってますから近づいてきたら使います」
―――黒服の部屋
魔法使い「はぁ……暇ねー」
魔法使い「黒服って魔法使いのトップとかじゃなかったのー」
魔法使い「この部屋、机とベッドしかないし……なにこれ」
魔法使い「んっ、窓から……」
魔法使い「あっ、勇者が大臣に追いかけられてる……」
魔法使い「あっ、捕まった……」
魔法使い「楽しそうねー」
魔法使い「こんな何もないところで何やってたのしら……」
魔法使い「それにあの魔法……あんなすごいのどうやって覚えんのよ」
魔法使い「反則だよ……」
魔法使い「やっぱこの開かないドアかな……秘密は」
コンコンッ
魔法使い「カギ穴もないし、開かないし、どうしろってのよ」
ガンッ
「ピーッ!」
ガシャン
魔法使い「ん?何かのスイッチ?」
魔法使い「えーい!押しちゃえ!暇だし!」
ピッピッピッ
魔法使い「開かないなー」
魔法使い「ピッピッピーっと」
ピッピッピッ
ガシャン
魔法使い「あっ……」
魔法使い「え、えっと……」
魔法使い「あれ!?ドアがあいてる!」
魔法使い「これはドロボウが入らないように中を見張らないといけないわね!」
キョロキョロ
魔法使い「お邪魔しまぁす……」
スタスタ
魔法使い「こ、これは……」
―――雪山
ザクザクッ
兵士長「ううーさみぃ」
大司祭「あれだけの敵から逃げられたんだから文句言わないで下さい」
兵士長「なぁ、お前の魔法で天気変えてくれよ」
大司祭「出来ますけど、そんなことしたら雪崩が起きちゃいますよ」
王様「我慢しろ、もうすぐ頂上だ」
ザクザクッ
パァア
黒服「見えましたね」
王様「ああ……あれが魔王城……」
大司祭「こんな雪山に四方囲まれてるなんて……」
兵士長「鉄壁ってやつか?でもどうやって外と移動してるんだ?」
黒服「移動する気がないのかも……」
兵士長「はぁ?」
黒服「魔王はあそこで指示をだしていればいいのですから」
大司祭「なるほど、司令塔がやられては現場が混乱しますからね」
兵士長「ってことは魔王を倒せばもう勝ちってことだよな!」
大司祭「そう簡単なものではないと思いますが……」
ゴゴゴゴゴッ
王様「むぅ……」
大司祭「こ、この魔力は……」
王様「あの城……やっかいだな……」
大司祭「この魔力……魔王でしょうか?」
王様「いや、複数ある……おそらくあの城には……」
兵士長「すげぇのがいっぱいいるってことか……」
大司祭「こ、これ王様よりも……」
王様「ぬぅ……未熟者は私達だったようだな」
兵士長「大丈夫だって!4人で連携すればよ!」
大司祭「魔王だけならまだしも、同等クラスがこれだけいては……」
黒服「そういえば兵士長さんさっき面白いこと言っていましたね?」
兵士長「俺?なんかいったか?」
黒服「これはいけるかもしれません」
王様「何をする気だ?」
黒服「いけるかどうかはわかりませんが、大打撃は与えられるでしょう」
大司祭「いったい何を」
黒服「大司祭さん、あなたがカギですよ」
黒服「準備はいいですか?どうぞ」
『…ザザッ…こちら兵士長。しかしすっげーな、遠くでも声が聞こえるぞ、どうぞ』
『ザッ…こちら大司祭。こんな箱ですごい魔法ですね、どうぞ』
大司祭「いえ、大したことはありませんよ、どうぞ」
『ザザッ……こちら王だ。準備位置についたぞ、どうぞ』
黒服「魔王城の四方の山に頂上につきましたね。渡したメガンテは設置しましたね?」
『ザッ……だいじょうぶだ、問題ない』
黒服「では大司祭さん、お願いします」
『了解です。ザザッ……ラナリオーン!!』
パァア
『お……おお……あったけぇ……晴れた!……ザッ』
ズッズズッ
『はぁああ!』
『お、おい。ちょっと暑くなってきたぞ……』
黒服「ではみなさん伏せてください!メガンテ!」
カチッ
―――魔王城
魔王「むっ、なんか暖かくなったな」
側近「そうですか?」
魔王「暖房いれたのか?」
側近「いえ、何もしてませんが……」
ジリジリ
魔王「ぬぅぅ、あ、暑い!マントなど着ていられるか!」
バサァ
側近「それトレードマークでしょう!脱いだら威厳がなくなっちゃいますよ」
魔王「異常気象か?窓を開け……」
ゴゴゴゴゴゴッ
魔王「な、なんだ?」
側近「地震!?」
ゴゴゴゴゴゴゴッ
魔王「なんか近づいて来ている!?」
側近「これは……雪崩!」
ガシャアアアン!
―――黒服の部屋
勇者「なんだよ、こんなところに呼び出して」
魔法使い「いいから!早く!」
戦士「仕事いっぱいのこってるんだが……」
僧侶「はぁ……やっと休める……」
トコトコ
魔法使い「この扉の奥なんだけど……」
戦士「おいおい、人の部屋あんまりあさるなよ」
僧侶「そうですよ!」
勇者「お前デバガメだったのか」
魔法使い「違うわよ!いいからこっち来て!見つけたの!」
勇者「エロ本を?」
魔法使い「そ、それもあったけど!///」
勇者「あったのかよ」
戦士「どこにあるんだ?」
魔法使い「それはもういいから!こっち」
僧侶「……」
キョロキョロ
魔法使い「僧侶も探さないの!」
僧侶「わ、私は別に……///」
魔法使い「この中よ」
ガシャッ
戦士「うおっ、なんだこりゃ」
勇者「見たこともない道具がいっぱいだ」
僧侶「わぁ……」
キョロキョロ
魔法使い「それよりこれ」
スッ
勇者「なんだそれ?」
魔法使い「黒服の日記みたい」
勇者「いや、日記は見ちゃだめだろ。常識的に」
戦士「だよな、さすがに俺もひく……」
僧侶「魔法使いって……」
魔法使い「いいから見て!」
グイッ
勇者「え?」
戦士「これってやばいんじゃないか?」
僧侶「王様達が……」
魔法使い「早くしないと!」
―――魔王城
兵士長「おおー魔王城が埋まっちまったぜ!がはははは」
大司祭「さすが黒服さんです」
黒服「いえいえ、兵士長さんが天候の話を、大司祭さんが雪崩の話をしてくれたからですよ」
王様「そこからこんな攻め方をするとはな。これではさすがに……」
黒服「ええ、いくら力の強い魔物でも雪に埋まってしまってはどうしようもないでしょう」
兵士長「でも、でかいやつとか生き残ってるんじゃね?」
黒服「いくら大きくても力が強くても雪の下では息ができませんからね」
王様「なるほど」
黒服「息が出来なくて生きていられる生き物はいません」
兵士長「でもこれじゃあ死体が確認できねーなー」
ザクザクッ
魔王「その必要はない……」
兵士長「魔王!」
大司祭「生きていたの!?」
王様「まさか……無傷であれを……」
魔王「がはぁ……はぁ……おのれ……」
ガクッ
黒服「魔王が生きていましたか……ということは……」
側近「はぁはぁ……魔王様しっかり!」
黒服「なるほど……」
大司祭「いったいどうやって……」
魔王「危なかった……一瞬早く側近が窓を割って連れ出してくれなければ……」
側近「それでも雪の衝撃が……ぐぅ……」
兵士長「なんだ虫の息じゃねーか」
魔王「おのれ……卑怯な……」
王様「卑怯?これも兵法というやつだ」
魔王「よく言う……ぐぅ……」
兵士長「よし!やっちまおうぜ!」
ザッ
大司祭「心苦しいですが、これも人々のためです」
ザッ
王様「許せよ」
ザッ
ターン ターン ターン
兵士長「ぐあっ」
大司祭「きゃあ」
王様「ぐふぅ」
魔王「き、貴様……仲間を……」
黒服「魔王、あなたには用はありません」
ターンッ
魔王「がはぁ」
バタッ
黒服「ひさしぶりですね、側近」
側近「な……?」
王様「うぐぐっ、な、何を……黒服」
兵士長「まさかこいつらの仲間……?裏切るのか……」
黒服「仲間?こいつらと?私が?そんなわけないでしょう」
大司祭「か、回復を……」
黒服「まだ動けるんですか。まぁ私をここに連れてきてくれたくらいですからね」
黒服「でも面倒なので寝ててください」
ジャキッ
黒服「ラリホー!」
ターン
大司祭「ううっ……」
パタッ
側近「だ、誰だ」
黒服「まだ分かりませんか?あー、こんなシルクハットで顔を隠してましたね」
クイッ
側近「お前は!封印してやったはず!」
黒服「お久しぶりですね。ほんと、この世界では何千年振りってところですか?」
側近「いったい何をしに……」
黒服「まったく今度は側近ですか?くだらない。こんなゲームの世界で」
王様「うぐぐっ……ゲーム?」
兵士長「な……に……を……」
側近「くだらなくなんかない!」
黒服「くだらないですよ。私ならもっと私のための素晴らしい世界を作ってあげますよ」
側近「そんなだから封じさせてもらったんだ!」
黒服「そうですか、それで?私の肉体は?」
側近「もう……ない。お前はルールを破った!」
黒服「なるほど……ではこの世界で生きるか……またはあなたの肉体を……」
側近「くっ……」
バッ
黒服「おっと!」
ターンッ
側近「ぐあああ!な、何を撃った……」
黒服「逃がしませんよ。簡単な電子ウィルスですよ。これで外には逃げられない」
黒服「ここまで来るまで長かったですからね……あなたの行動は想定済みです」
黒服「この世界であなたは色んな立場になって楽しんでましたが、いつでも身の回りは完璧に守られていた」
黒服「特に今回は側近ですか。周りは強力な魔物だらけ……とても近づけそうにありませんでした」
側近「だからお前は……」
黒服「ええ、育てましたよ。ぽっと出の勇者なんて待っていられません」
黒服「何代にもかけて技を受け継ぎ、鍛え、そして……勝った」
王様「なんだ……と」
兵士長「俺達は自分の意思で……」
黒服「意思などいくらでも操作できますよ。そう、子供のころからでもね」
側近「なぜ素直に楽しまない……弱い勇者が少しずつ成長して魔王を倒す……それがいいんじゃないか」
黒服「甘いんですよ。それにこの世界のルールも。こういった道具も開発できてしまいましたしね」
ジャキッ
黒服「さあ、制御キーを渡してもらいましょうか」
側近「それを使ってどうする気だ」
黒服「そうですね、こんなくだらない世界はなくしてしまいますね」
王様「なっ……」
黒服「もっと殺伐とした私による私のための世界でも作ってみましょうか」
側近「おい!この世界の人間はどうなる!」
黒服「何をいってるんですか?プログラムに感情移入しすぎですよ」
側近「違う!この世界には意思がある!人の中には意思がある!」
黒服「あー、はいはい。いいから制御キー渡してくださいね」
ゴソゴソッ
側近「くっ……」
勇者「待て!」
魔法使い「よかった!間に合った」
僧侶「王様達が!」
戦士「このやろう……」
黒服「なんであなた達がここに……城でたっぷり扱かれているはずなのに」
勇者「てめぇの指示か!このドS!」
戦士「あの扱きで何度気を失ったことか……」
僧侶「あの日記に書いてあったことは本当だったんですね」
黒服「見たんですか?しかし、あれはセキュリティードアの中のはず……」
魔法使い「何か色々やったら開いたの」
黒服「そんないい加減な……」
王様「お前たち……」
兵士長「逃げ……ろ……お前たちでは……」
ガクガク
戦士「兵士長!てめぇ……よくも俺んとこの道場主を!」
僧侶「大司教様!」
ダダッ
僧侶「生きてる……今回復を……」
ターンッ
僧侶「うっ……」
魔法使い「あれは……メラ?」
黒服「ああ、面倒な事しないでくださいよ。メラ?もう呪文一々言うのもめんどくさかったんですから」
ターンッ
勇者「僧侶危ない!」
ドンッ
黒服「ちっ……」
ジャキン
黒服「あれを避けるなんて……成長してる?」
勇者「さんざん扱かれたからな!」
黒服「いや、そもそもこんな魔界の真ん中まであなた達が来られることがおかしい」
勇者「僧侶、大丈夫か?」
僧侶「ええ、掠っただけ……」
黒服「どうやってここまで」
勇者「真っ直ぐきただけだ」
戦士「そうそう、なんか敵まったくいなかったし」
魔法使い「山も雪が解けてて登りやすかったわね」
黒服「ちっ……裏目ですか」
勇者「さあ、覚悟してもらおうか」
黒服「それで?私に勝てると思ったんですか?」
ジャキンッ
勇者「勝てるんじゃない!勝つんだ!」
ブルブルッ
王様「お、お前震えてるぞ……うぐっ」
勇者「大丈夫!武者震いだ!」
戦士「そ、そうだ!俺達なら勝てる!」
魔法使い「魔王に比べれば……あ、あんたなんて」
ガクガク
僧侶「怖くありません!」
黒服「くっくっくっ、どこまでテンプレ通りですか。まったく心が折れない……それが勇者」
側近「当然だ……」
黒服「しかし作り物の勇気です」
側近「違う!」
勇者「いや……作り物かもな……」
側近「勇者!?」
勇者「だけど、作り物でも俺は俺だ!」
現代兵器つえぇwwwwwwwwwwwwwwwwww
勇者「正直お前の日記に書いてあることはよくわかんなかったけど、この世界も俺達も作り物なんだろ」
黒服「そうです」
勇者「で、作った神みたいな連中がお前らってことだ」
黒服「そこのは神のなりそこないですけどね」
勇者「それ読んだ時、マジで怖くなったよ。この世界なくそうっていうんだからさ」
勇者「それに俺自信も作り物だって知ってさ、泣きそうになった」
黒服「安心してください。そんな感情も作り物です」
勇者「でもさ、みんなで一緒に読んだからさ。耐えられたさ。俺には仲間がいる」
戦士「おう!」
僧侶「勇者様」
魔法使い「勇者……」
勇者「でも魔法使いはこれを一人で読んでた……」
勇者「一人で読んで……それでも耐えて俺達に知らせてくれた」
勇者「勇者は心が折れない?違うね、それは魔法使いのことさ!」
魔法使い「うっ……」
勇者「怖かったんだろ。大丈夫だ、俺達がいる」
魔法使い「うんっ……」
ブルブルッ
黒服「あー、もうそういう寒いのいいですから。さっさと眠ってください」
ターンッ
勇者「うぐっ」
黒服「ふふっ……」
勇者「いくぞ!」
ダダッ
黒服「何……?当たったはず!なぜ眠らない!効果発動率100%だぞ!」
勇者「戦士!」
戦士「おう!」
ブンッ
黒服「おわっ!同時に攻撃をするような仕様はないのに!」
魔法使い「メラ!」
ゴゴゥ
黒服「うぐっ……次は私のターンのはずだ!」
ターンッ
僧侶「スクルト!」
キィン
黒服「こちらの攻撃に合わせて防御など……」
側近「仕様を……超えてる?」
黒服「お前たちはレベル1だったはず……なぜ……」
勇者「城でたっぷり鍛えられたからな!」
ズバッ
戦士「仕様?しるか!そんなもん!棍棒パンチ!」
ゴスッ
黒服「うぐっ……」
兵士長「戦士……お前……がふっ……棍棒パンチを覚えたのか……」
黒服「このぉ!手榴弾でも食らえ!」
ピーンッ
魔法使い「メラ!」
ドゴーン!
黒服「がぁ……」
僧侶「大司祭様……私もモーニングスター使えるようになりましたよ!」
ブンッ
グシャア
黒服「……」
側近「これは酷い……」
勇者「倒し……た?」
戦士「や、やったのか?」
ザザッ……ザザザッ……
僧侶「黒服が……消えていきます」
魔法使い「倒した!倒したのよ!」
ピョンピョン
側近「封印プログラムに……戻るのか……黒服」
勇者「そうだ!王様達を!」
僧侶「ホイミ!」
パァアア
王様「うぐぐっ、助かる……」
兵士長「まさかお前たちに助けられるとな……」
勇者「腐っても勇者でしょ?」
王様「誰だそんな酷いことをいうやつは……ははっ」
戦士「勇者ー!んでこいつどうする?」
側近「……」
魔法使い「えっと……神様?」
側近「違う……私は魔王様の側近だ……」
魔法使い「じゃあそれでもいいわ……いろいろ聞きたいから」
勇者「そうそう」
側近「好きにしろ……ん?お前が……勇者?」
勇者「そうだよ。作り物なんだろ?」
側近「私のプログラムと違う……」
勇者「あ、やっぱ俺ら作り物なんだ……って……え?」
側近「ふふふっ、そうか……なるほど……」
勇者「何一人で納得してるんだよ」
グイッ
側近「いたたっ」
勇者「あっ、わりぃ……怪我してるんだったな」
側近「黒服に勝てるわけがないと思ったが……納得だ」
勇者「だからなにが」
側近「バグだ……」
魔法使い「どういうこと?」
側近「私は確かにこの世界を作った……だが……君達は違う」
魔法使い「違うって?」
側近「プログラムを逸脱してる……いや……縛られていない……」
戦士「よくわかんねーよ!」
側近「この世界がどうなるのかはもう私にも分からないってことだよ」
勇者「はぁ!?」
僧侶「なんですかそれ?」
戦士「つまり未来は未定ってことか?んなことあったりまえじゃねぇか!」
魔法使い「そうね……当たり前……それが一番幸せ……」
勇者「魔法使い……」
ギュッ
戦士「まぁいいや。要するにあとはこいつら倒せば終わりってことか?」
側近「好きにしろ……」
勇者「まぁ待て。魔王はまだ生きてんのか?」
側近「おそらく……」
勇者「よし!じゃあやり直しだ!」
戦士「はぁ!?」
僧侶「どうしてですか!?」
勇者「だって俺らまだ魔王倒せるほど強くないしな!」
勇者「黒服には偶然勝ったけど、魔王もついでにってずるくないか?」
魔法使い「ぷっ……勇者らしいね」
戦士「しかたねーなぁ」
僧侶「折角だから顔だけ踏んで行きましょう」
ムギュムギュ
側近「ああ……魔王様になんてことを……これもバグの影響か……」
勇者「で、いいっすか?王様」
王様「勝ったのはお前たちだ。好きに決めろ」
兵士長「くっそー。俺も鍛えなおしだ!」
大司教「いつつ……何があったんです?」
キョロキョロ
勇者「じゃな、今度はズルせずに正面から来るからな」
側近「分かった……だが、待っているがいい」
側近「いずれ魔王様は力を取り戻し、世界を闇で多い尽くすのだ!」
側近「ここで見逃したことを後悔するがいい!はーっはっはっは!」
戦士「なぁ、こいつらやっぱ倒していかねー?」
僧侶「踏んでおきます?」
勇者「ははは!別にいいよ。また鍛えなおしてくるから」
勇者「よし!帰ろう!」
魔法使い「うん!」
ギュッ
側近「帰っちゃいましたね」
魔王「ああ」
側近「気がついてましたか」
魔王「まぁな、だが動けん」
側近「魔王様は治癒力が高いですからもうすぐ動けますよ」
魔王「それはそうだが……お前が神だったとはな……私の天敵ではないか」
側近「神なんかじゃないですよ……ただの側近です」
魔王「なるほど、最後の勇者達への啖呵はなかなか心地よかったぞ」
側近「お褒め与り光栄です」
ペコッ
魔王「我々の心は作り物であったのか……」
側近「昔は……です。今は魔王様の心は魔王様のものです」
魔王「そうだな。ふははっ、しかし面白い人間達だったな」
側近「ええ、まったく」
魔王「また会えるのが待ち遠しいわ」
側近「ですね」
魔王「その時は全力で相手をしてやろう」
側近「そうですか」
魔王「だが、別に殺してしまう必要はないな」
側近「ええ、そんな縛りなどもうないんですから」
魔王「友達に……なれるか?」
側近「魔王様次第かと……」
魔王「顔を踏んだ僧侶の娘……可愛かったな……仲良くなれるか?」
側近「それも魔王様次第かと……」
魔王「ふははは!そうか。ではしばらくの間まっているとするか!」
側近「ですね。でも、とりあえずお城掘り起こさないと……」
側近「ああ、もう全部埋まっちゃって……どれだけかかるやら……」
魔王「ふははっ!側近!任せた!勇者達が来るまでにな」
側近「魔王様も手伝ってくださいよー」
ザクザクッ
おしまい
最後まで読んでくれた方いましたらありがとうございました
それでは
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません