え？

秀吉「それにしてもワシと明久の名前が出ていたようじゃが…」

秀吉「姉上はいったいどんな夢をみとったのじゃ」

優子「…」

優子「わ、私も覚えてないわよ」

優子「吉井君と秀吉が付き合ってるとかじゃない？」

秀吉「なっ！？」

秀吉「姉上、冗談が過ぎるぞ」

優子「…」

優子「あーアンタのせいで寝覚め最悪よ」

秀吉「ワシはなにもしてないが」

優子「それでもよ」

秀吉「…姉上は理不尽なのじゃ」

優子「なんか言った？」

秀吉「なにも」

秀吉「そうじゃ姉上」

優子「なに」

秀吉「今日、明久の家で鍋パーティをやるのじゃが」

秀吉「もちろん姉上も誘われておるんじゃよな」

優子「え？」

秀吉「ん？」

優子（うっそ、私誘われてないんだけど…）

秀吉「どうしたのじゃ？」

優子「何でもないわよ」

秀吉「で、姉上は行くのかの？」

優子「え、えぇもちろんじゃない」

秀吉「今日は確か各自素材を持ち寄る話になってるから姉上と被らぬよう気をつけねば」

優子（まぁ代表に連絡しておけば大丈夫よね）

優子「あんたは何を持って行く気？」

秀吉「ワシは白菜じゃが」

優子「まぁ無難ね」

秀吉「まぁ無難なものを持って行かぬといろいろ大変じゃから…」

優子「？」

優子「闇鍋でもないのに何を言ってるのよ」

秀吉「…」

秀吉「姉上は何も知らないからそんなことを言えるのじゃ」

秀吉「それに最悪闇鍋になるから覚悟しておいたほうが…」

優子「意味わかんない」

優子（闇鍋ねぇ）

優子（吉井君に…）

優子（はっ！…何変なこと考えちゃってんだろ）

秀吉「おっとワシは皆と待ち合わせをしてるからもう行くの」

優子「はぁ？まだ朝じゃない」

秀吉「いろいろと準備があるのでな」

優子「そう」

優子「で、いつから鍋やるのよ」

秀吉「？」

秀吉「事前にメールが回っておるはずじゃが…18時からじゃ」

優子「そ、ありがと」

…

優子（確かここが吉井君の…）

ﾋﾟﾝﾎﾟﾎﾟﾎﾟﾎﾟｰﾝ

「はーい」

ｶﾞﾁｬ

瑞希「いらっしゃい？今日はどうしたんですか？」

優子「え？あぁ、今日はお招きありがとう」

瑞希「はぁ…」

翔子「……伝えるの忘れてた」

優子「ちょ、代表！」

翔子「……ごめん、優子」

瑞希「でも、人数が増えるのは楽しいですから」

優子「ありがと」

瑞希「さぁ上がってください」

優子「はい」

優子「あれ？秀吉達は？」

愛子「男の子達はみんなで買い出しだよ」

瑞希「飲み物とかを買いに行ってくれてるんです」

優子「そうなんだ」

愛子「優子はなに持ってきた？」

優子「私はお豆腐」

愛子「姉妹そろって普通だね」

優子「いや、秀吉は弟だから」

翔子「……え？」

愛子「え？」

瑞希「え？」

美波「え？」

優子「島田さんいたんだ」

美波「え？」

明久「ただいまぁ」

瑞希「あ…か、帰ってきたみたいですね」

明久「飲み物とかこれくらいあれば足りるよね？」

翔子「……余裕」

愛子「それにしても凄い量買ってきたね」

康太「…念のため」

愛子「なんの？」

康太「…」

雄二「ん、まぁ気にしなくていい」

翔子「……雄二、なにか隠してる」

雄二「…」

雄二「みんなの命を守るためだ」

翔子「……雄二、嬉しい」

翔子「……私も雄二を一生守る」

明久「よかったね」

明久「そうそう、今日は普通に座るだけじゃつまらないから」

明久「クジで席順決めるよ」

瑞希（明久君の横を確実にとれない！？）

美波（アキの横…）

翔子（…）

愛子「うわぁ、なんか凄い熱気」

優子「…そうね」

明久「愛を知るって大変だ」

雄二「男はいくつも恋をする。だが愛する女は１人しか選ばない」

康太「…………出逢いは偶然、恋は必然」

瑞希「出逢ってしまった少年少女」

美波「絡んでしまった運命の糸」

翔子「……ときにそれは絹のように柔く」

愛子「ときにそれは鋼のごとく強靭で」

秀吉「愛が生まれ、鼓動が始まる」

優子「私の体温が、──すこし上がる」

ほ

～～明久サイド～～


姫路｢くじ引きなら運任せですよね……じゃあ皆さん、私の席も決めておいてください｣

明久｢ほえ？姫路さんはくじを引かないの？｣

姫路｢はい、私は皆さんが席を決めている間に…………｣

あ、マズい。とてつもなく嫌な予感がする。

良い予感が当たった試しはないけど悪い予感に限って……

姫路｢お鍋の準備をしておきますから｣

｢｢｢それはしなくていいんじゃないかなっ！？｣｣｣

すごい、こんな危機的状況で全員の声が重なるなんて！

優子｢え？え？みんな何でそんなに……｣

玲｢アキくんのお友達は元気でいいですね｣

状況を理解できてない人も二人くらいいたけれど。

雄二｢待て姫路！お前は料理しなくていいと思うぞ！｣

土屋｢…………（ｺｸｺｸｺｸ）｣

必死で提案する雄二とその提案に必死で賛同するムッツリーニ……二人とも命懸けだ。

だって下手をすれば文字通り、『必（ず）死（ぬ）』ことになりかねないからね。

姫路｢え？どうしてですか？｣

秀吉｢ひ、姫路は料理を作る立場であることが多いじゃろう？たまには作られる立場になるのも一興ではないか？｣

明久｢そうだね！今回は僕たちが作らせてもらおうかな！｣

お願いだ姫路さん！ここは一つ……投げかけた僕らの想いを受け止めて……

姫路｢大丈夫です！私、お料理大好きですから｣

まさかのキャッチ・アンド・リリース！？

翔子｢……瑞希、遠慮しなくていい｣

工藤｢そ、そうそう！あー、何だかボクも料理作りたくなってきちゃったなー！｣

美波｢ほ、ほら瑞希！料理は他人に任せて席決め席決め！｣

まだだ、まだ終わりじゃない！僕たちに援軍がやってきた！

あの三人も前回の闇鍋で酷い目にあってるからなぁ……今回は意識を飛ばさずに鍋をつつきたいんだと思う。

姫路｢うーん……でも……｣

しめた！姫路さんの決意が揺らぎ始めてる！このまま押し切れば何とかなるかもしれない！

玲｢分かりました、では折衷案で……前回と同じように私と瑞希さんの二人で料理をしましょう｣

｢｢｢…………｣｣｣

延命を懇願する僕たちに対して死刑宣告が下された。

ぐっばい希望に満ち溢れた未来、ようこそ絶望しか見えない世紀末。

・・・

雄二｢……どうする、明久｣

明久｢……覚悟を決めるしかないんじゃない｣

秀吉｢い、嫌じゃー！ワシはまだまだこの世でやりたいことがたくさんあるのじゃ！｣

土屋｢…………まだ死ぬことが確定したわけじゃない、今回は工藤愛子がいる｣

そう、前回と違って今回は姫路さんと姉さんに加わって工藤さんも料理をすることになった。

工藤さんがどの程度料理ができるかは分からないけれど……

雄二｢それでも……料理に使っちゃならないものの判断ならつくはずだ｣

翔子｢……愛子は料理も出来る、心配ない｣

美波｢そ、そうよね！心配しすぎよね！｣

やれやれ……まったくみんなは料理くらいで大袈裟だなぁ。大丈夫に決まってるじゃないか！

…………と、心から思いたい。

優子｢ね、ねえ秀吉……なんでみんなはこんなに怯えてるの？｣

秀吉｢そうか……姉上は知らんのじゃな……｣

優子｢何を？もしかして姫路さん、料理が苦手だとか？｣

秀吉｢…………姉上｣

優子｢ん？｣

秀吉｢色々と目に付く部分はあっても姉上は……良き姉じゃった……！｣

優子｢なんで『料理が苦手なの？』って質問の答えが今生の別れの挨拶になるのよ！？｣

明久｢木下さん、知らないほうが良いこともこの世にはあるんだ……｣

優子｢待って！どうして馬鹿で有名な吉井君がこの世の理まで達観しちゃってるの！？｣

秀吉｢姉上……知らぬまま逝けるほうが幸せじゃ｣

優子｢分からない！アタシには秀吉が何を言ってるのかが全然分からない！｣

木下さんがパニックになっている一方、調理場からは姫路さんたちの声が聞こえてくる。

どんな状況になってるんだろう……


｢すみません工藤さん、サラダ用に野菜を切ってもらえませんか？｣

｢ま、待って姫路さん！その手に持ってる漂白剤は何に使うつもりっ！？｣

｢えっと、サラダ用のホワイトドレッシングを－－－｣


明久｢さらばだっ！！｣

｢｢｢逃がすかぁっ！！｣｣｣

くっ！素早い！！

雄二｢よぉ、どこに行くんだ明久｣

秀吉｢ワシら仲間を差し置いての単独行動はいかんなぁ｣

土屋｢…………抜け駆けは許さない｣

明久｢ひ、酷いじゃないかみんな！｣

雄二｢酷いもクソもあるかぁ！ここまで来たら一蓮托生だ馬鹿！！｣

秀吉｢むしろ、ここまで来て一人逃げ出すほうが薄情ではないかのう？｣

そんな……友よ！なぜ君たちは悪魔に魂を売ったのか！？

土屋｢…………それにまだ大丈夫、工藤愛子がギリギリのラインで奮闘している｣

明久｢…………｣

確かに。さっきの漂白剤も入れる前に何とか工藤さんがストップをかけていた。

この調子で料理に使っちゃいけないものを選別していけば多分一撃必殺の域には達しないんじゃないかな……？

いや、あながちそうとも言えないかもしれないけれど……

明久｢わ、分かったよ……もうちょっとだけ様子を見てみるから｣

いや、でもちょっと怖がりすぎてるだけなのかもしれない。

工藤さんが姫路さんに目を光らせていてくれれば越えちゃいけないラインは守られる気がする。

ちょっと味付けに難があるくらいなら僕はいくらでも食べられる。

明久｢ははっ！なーんだ、ビクビクしちゃって僕は馬鹿みたいじゃないか｣


｢瑞希さん、料理を作るからには栄養バランスにも気を付けなければいけませんよ｣

｢そうですね……鉄分が足りないかもしれません｣

｢鉄分……でしたらこの包に｣

｢どうやっても包丁じゃ鉄分は補給を出来ないと思うんだけど！？｣


ダッ！（←僕が全力で走り出した音）

ガシッ！（←みんなが僕に掴みかかった音）

明久｢離して！！今聞こえちゃいけない会話が聞こえてきたんだって！！｣

しまった、完全に忘れていた！工藤さんが相手にしなきゃならないのは姫路さんだけじゃない……姉さんもだ！

断言出来る、手が回るわけがない！

明久｢逃げなきゃ！みんな逃げようって！！｣

秀吉｢そうじゃな……明久、みなで川を渡って逃げよう……｣

それ三途の川だよね！？逃げるって何！この世から！？

雄二｢くそっ、やっぱ一人じゃ無理か……翔子！手伝いに行ってやってくれ！｣

そう、姫路さんと姉さんはキッチンに僕たちを入れてくれなかった。

なんでも、『キッチンは女の子の戦場』らしい……

その点、女の子の霧島さんが手伝うって言うのなら姉さんたちもやぶさかにはしないと思う。

優子｢行ってあげたら代表？よく分からないけれど、愛子も大変そうだし……｣

｢……たる哉……らむとす……｣

優子｢…………代表？｣

翔子｢悠々たる哉天壌……遼々たる哉古今……五尺の小躯を以て此大をはからむとす……｣

優子｢ちょ、ちょっと代表？｣

翔子｢…………万有の真相は唯一言にして悉す……曰く－－－『不可解』－－－｣

優子｢それ藤村操の辞世の句じゃない！？しっかりしてよ代表！！｣

霧島さんはよく分からないけとを呟きながら

雄二｢ま、待て翔子！何で俺の首を絞めに掛かる！？｣

雄二にスリーパーホールドを仕掛けていた。すごい、綺麗に決まってるじゃないか。

翔子｢我この恨を懐て煩悶、終に死を決す｣

雄二｢何の話だ！？正気に戻れ翔子！｣

翔子｢既に巌頭に立つに及んで、胸中何等の不安あるなし……｣

雄二｢俺は不安しかないんだが！？ちょっと待……くぺっ｣

……雄二には悪いけれどあんまり同情は出来ない。だって……

ここで気を失っておいたほうが幸せかもしれないから。

土屋｢これまでか……｣

ダメだ、もうこの状況で打つ手段なんか一つも…………！

明久｢…………いや、まだある！｣

そうだ、なんで気がつかなかったんだ……工藤さんが手が回らなくても、霧島さんが乱心してても……

もう一人料理の出来そうな女の子がいるじゃないか！

さあ、叫ぼう！その人の名前を！僕たちの運命を背負うその人の名前を！

明久｢出番だよ！木下さん！｣

優子｢へっ！？｣

はよ

明久｢お願い！もう木下さん以外に料理が出来る女の子がいな肩の関節が引きちぎれるかのように痛いぃぃぃ！！｣

美波｢ウチがいるでしょう馬鹿！｣

明久｢み、美波じゃ姫路さんと姉さんを抑えるのは厳しいんじゃないかと思って……｣

美波｢う……｣

基本的に美波は物事をはっきり言えるけど……ああいう混乱した場に放り込んだら、どうなっちゃうか分からない。

それならＡクラスを霧島さんと共にまとめてる木下さんのほうがいいと思う。

優子｢え……えっと？何をしろって……？｣

木下さんにしてほしいこと、それはたった一つだけ

明久｢僕たちを生かしてください｣

優子｢何の話！？｣

遅いと俺が>>41辺りから続き書いちゃうぞ

>>91
任せた

ここまで書かれたら書きづらいからいいっす