千早「闇にささやく者」 (90)

765プロ事務所

千早「本当に貰ってもいいの?」

律子「遠慮せずに持って行って頂戴。どうせ、倉庫整理の時に出てきた古い本だし、売っても買いたたかれるのが落ちでしょうから。それなら、千早がもらってくれた方が本もよろこぶわよ」

千早「ありがとう律子!」ガバッ

律子「ちょ、ちょっと!?千早!?」



765プロ事務所

美希「あふぅ……」ウトウト

テレビ サクジツハッケンサレタ キミョウナスガタヲシタシタイノ モクゲキジョウホウガ ブツギヲヨンデイマス

ガチャッ

千早(事務所の倉庫整理を手伝ってたら、倉庫の中で眠ってた本を大量に貰えるなんて思いもしない幸運だったわ)ホクホク

千早(どれもほしくても絶番になってて諦めてた本ばかり)ウズウズ

千早(あぁ、アイアン・カヴァーンに聖飢魔�にプレスリーに……)ワクワク

バサッ

千早(あら?こんな本あったかしら?紛れ込んでいた?)

千早(っ!?……気味の悪い本ね……これ、本物の皮でできてるのかしら……?『螺湮城本伝』……?)スッ

千早(内容は……中国語かしら?なにが書かれてるかはさっぱりね……)ペラペラ

千早(律子には悪いけど、こんな気味の悪い本、処分しましょう)スッ

春香「ちーはーやーちゃんっ!」ガバッ

千早「ひゃんっ!?」ビクンッ

春香「おはよう!千早ちゃん!!」スリスリ

千早「はっ、春香?!いきなりびっくりしたじゃない!?」

春香「ごめんごめん。事務所に来たら、千早ちゃんが神妙な顔してたからつい抱きついちゃった」グリグリ

千早「と、とにかく、離れて」

春香「えー、恥ずかしがらないでよー」モミモミ

千早「ちょっ、春香っ!///」

春香「えへへっ、冗談だよ。冗談!」

千早「んもうっ///」


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ガチャッ

P「おーい、春香、千早ー」

春香「プロデューサーさんおはようございます」

千早「おはようございますプロデデューサー」

P「二人ともおはよう。ミーティング、そろそろはじめるぞ?」

春香「え、もうそんな時間でしたっけ?」

P「準備できたら教えてくれ」カキカキ

春香「わかりました。千早ちゃん、いこ?」

千早「え、えぇ」

テレビ マチデハ デンショウニノコル クロミサマノケシンデハナイカ トイウイコエモアガッテオリ

美希「すぅ…すぅ……」


P「さて、今度は二人にドキュメンタリーの特番に出演してもらう」

千早「ドキュメンタリーですか…?」

春香「どんな番組なんです?」

P「あぁ、それはほら、あれだよ」スッ

春香「あれって」

テレビ「専門家の話では、水を含んでむくんだ動物の死骸を見間違えたのではないかという声もあり、現在、警察も調査を行っております」

P「題して『真捜2013!幻のUMAを追え!!』だ!」ドン

春香「え…あれをですか」

千早「UMA…ですか……」

P「ん、二人とも不満か?」

千早「いえ、その手の話はあまり信じない主義なので」

P「そうか。でもUMAだからって一概には否定できんぞ!この地球上には未だ人類が発見できていない生き物が数百万種、細菌なども含めると数千万種存在していると言われている。例えば2009年パプアニューギニアの原生林では56種の新種の生物が発見されている。種としては確立されなかった突然変異の生き物なんかも考えれば、その数はさらに増すはずだ!!」グッ

春香「そ、そうなんですか……」

P「そりゃあ、UMAなんて呼ばれる物の多くが眉唾ものだし、実際のところ偽造されたものがほとんどだ。でも今回の件は……」

千早(プロデューサーやけに熱く語ってるわね……)ヒソヒソ

春香(こういうのすごく好きみたいだよ。机の中にそういう本がいっぱい入ってたし……)ヒソヒソ

P「というわけで、二人には番組の中で謎の生物の正体を追ってもらう」

千早「はぁ…」

P「あと、これは参考になりそうな資料だ。まとめといたから目を通しておいてくれ」ドンッ

春香「こ、これ全部ですかっ!?」

千早「すごい、ものすごくわかりやすく情報が整理されてる……」ペラペラ

P「それじゃあ、資料を見ながら撮影日程を確認して行こう」

春香(なんかプロデューサーさんすごく楽しそうだね)ヒソヒソ

千早(えぇ。いつもにもまして目が輝いてるわ)ヒソヒソ

このSSはアイマス×クトクルフのクロスSSです。
作中に一部冒涜的な表現が存在します。苦手な方はご注意ください。
また、作中に多量の百合成分が存在します。アレルギーの方はご注意ください。
私自身、クトゥルフ、アイドルマスター共にまだまだ知識不足なのでおかしな点などありましたら、ご指摘いただけると幸いです。
また、感想やアドバイスなどいただけますと大変うれしいです。
まだまだ未熟者ではありますが、おつきあいただければ幸いです。

撮影当日

P「それじゃあ、予定通り、まずは付近の住民に目撃情報の聞き込み調査だ!」

春香「そのあと、ミクロ様の祀られてるお寺に行くんですよね?」

P「そうだ。それじゃあ、よろしく頼むぞ」

春香 千早「「はい!」」

—————

おっちゃん「間違いない。ありゃ謎の生き物だよ。ここいらには40年以上住んでるけどあんな生き物はいままで一度も見たことなかったよ」

春香「それで、その生き物はどんな姿をしていたんですか?」


——————

主婦「間違いなく見たのよ。水の増えた川の中をカニみたいなハサミがついた大きな死体が流れていったのを」

千早「それは川のどのあたりですか?」

——————
青年「流れてるのを見てさ、思わず写真とっちゃったんだよ」

P ナンダッテッ!!

ハルカ チョット!?プロデューサーサンオチツイテ!!

千早「その写真見せてもらえませんか?」

青年「それがさぁ……」

千早「なにも……写ってないですよね?」

青年「そうなんだよ。何回か撮りなおしたんだけど、なんでかカメラに写らなくてさ」

——————

河原

春香「ここが謎の生物のいた河原かぁ……」

千早「……特に変わった様子はないわね」

P「それじゃあ、すこし河原を探索してみよう!!」ワクワク

春香「ちょっと待ってください!プロデューサーさんっ!!走ったらあぶな、うわっ!?」

ドンガラガッシャーン

千早「春香!?大丈夫?」

春香「あいたたた…また転んじゃった」

千早「まったく。足場悪いんだから少しは落ち着いて」

ガラッ

千早「あら?」

春香「どうしたの?千早ちゃん?」

千早「この石……」

春香「なにその真黒な石?」

千早「わからないわ。はじめて見る。それにこの表面の模様は……?」

春香「これって……」

千早「春香、なにか知ってるの?」

春香「ううん、なんでもないの。なんだろうね、これ」


———————

老婆「ありゃあ、きっとミクロ様の遣いにちげぇねぇよ」

春香「ミクロ様ですか?」

老婆「んだ。この土地で昔から信仰されてるありがてぇ神様だ」

——————

住職「ミクロ様は4代前の住職が九州にある寺の住職を助けたお礼に分社を作らせてもらったのが始まりと聞いています」

春香「そのミクロ様はどこにいるんですか?」

住職「ご神体はこちらです」

千早「これは……箱ですか?」

住職「えぇ、先々代の遺言でミクロ様はこの箱の中から出しちゃいけないことになってるんです」

春香「そうなんですか……」

住職「ただ、中身の話は聞いています」

春香「それはどんなものなんですか?」

住職「こっそり箱を開けた先代の話によると蛸のような姿をした不気味な像だったとか……」

春香「蛸…ですか」

住職「えぇ、だから今回あらわれたカニみたいなハサミを持った生き物はミクロ様の遣いなんじゃないかなんて噂もたってます」

———————


P「とりあえず、今日の撮影はここまでだな」

P「一通り撮り終わったし、2週間後に放送予定だ」

春香「わかりました。プロデューサーさん、お疲れ様でした」

千早「お疲れ様ですプロデューサー」

P「あぁ、お疲れ様」

春香「じゃあ、私帰るね。千早ちゃん、また明日」

千早「えぇ、また明日」

P「俺もそろそろ……」

小鳥「逃がさないですよプロデューサーさん!まだ書類たくさん残ってるじゃないですか!あなたの定時も私と道連れですっ!!」

夕方

コンビニ アリガトウゴザイマシター

千早(日が短くなったわね。暗くなる前に早く帰らないと)

ジジジジ

千早「……」

男「……」


千早「……」スタスタ

男「……」スタスタ

千早(……さっきからあの人ずっとついてきてるような)

千早(気のせい?それともプロデューサーに電話を……)スッ

千早(……迷惑になってしまうかしら)チラッ

千早「……」

千早(やっぱり気のせいだったみたいね)ホッ

男「……」ヌッ

千早「っ!?」ビクッ

男「拾ったものを返してもらおうか」

千早「……っ」グッ

男「早くよこせ」

千早「なにをいってるのかわかりません」

千早(ぷ、プロデューサーに電話をっ!)

男「おいっ!」グイッ

千早(っ!?……いやっ……)

???「お巡りさん!こっちですっ!!」

男「……チッ」ダッ

千早「っ……」

千早(助かった……?)ヘタッ

千早(でも、誰が……?)

春香「大丈夫!?千早ちゃん!!」スッ

千早「はる…か…?」

春香「危ないところだったね。だめだよ、危ないって思ったら大きな声で助け呼ばなきゃ」

千早「春香、どうしてあなた……?帰ったはずじゃ……」

春香「えっと、あはは、帰ろうと思ったんだけど、途中で事故があったみたいで電車止まっちゃって」

春香「それでもし迷惑じゃなかったら千早ちゃんの家に今晩泊めてもらえないかなーって……」

春香「ダメ?」

千早「うっ」

春香「千早ちゃん?」

千早「春香ぁっ!!」ガバッ

春香「よしよし、怖かったね。もう大丈夫。大丈夫だから千早ちゃん」

ちーちゃん……ルルイエ異本の原本やでそれ……

千早宅

千早「その…春香……///」

春香「なに?千早ちゃん」ナデナデ

千早「もう、大丈夫だから///」

春香「遠慮しなくてもいいんだよ?」ナデナデ

千早「そ、その、ずっとこのままっていうのは恥ずかしいというか……///」

春香「大丈夫だよ。恥ずかしがってる千早ちゃんもかわいいから」ナデナデ

千早「それにしたって……これは……///」

春香「いいじゃない。さっきまであんなに泣きつかれたんだから、そう簡単には離せないよ」ナデナデ

千早「そっ、それはあんなことがあって動揺しててっ!!///」

春香「かわいかったなぁ。『今日は一緒にいて…怖くてどうしようもないの……』って顔埋めながら泣く千早ちゃん」ナデナデ

千早「そっ、そんなことっ!?」

春香「言ったよね?」ナデナデ

千早「言った……かもしれないけど……でも」

春香「そんなわがまま言う子はこうだっ!えいっ!」モミッ

千早「ひゃんっ!?は、春香!?///」

春香「えへへ、ひゃんっだって千早ちゃんはかわいいなぁ」ナデナデ

千早「んもうっ……///」



765プロ事務所

ガチャッ

春香「おはようございまーす」

千早「おはようございます」

響「はいさーい!二人ともおはよう!」

春香「あれ?響ちゃん一人?」

響「ぴよ子なら銀行に行ってくるって出かけたぞ。だから自分が留守番」

春香「そっか」

響「今日は二人とも仕事か?」

春香「ううん、千早ちゃんはお仕事だけど私は遊びに来ただけ」

響「そっか」

千早「我那覇さんは今日は私と撮影だったわよね?」

響「そうだぞ。そろそろ行かなきゃいけないのにぴよ子が帰ってこないから困ってたんだぞ」

春香「それじゃあ、私が代わりに留守番しとくね」

響「ありがとう春香。たすかるぞ!」

千早「それじゃあ、撮影いってくるわね」

春香「うん、いってらっしゃい」

昼 駐車場

響『待てっ!このっ!!』ダッ

千早『待ってっ!一人じゃ危険よ!』

響『放してくれ!あいつがっ、逃げちゃうじゃないかっ!!』

千早『っ』パンッ

響『えっ……』ジンジン

千早『落ち着いた?』

響『うん、ごめん』

千早『車に乗って』ガチャッ

響『でも、いいのか?あいつはおまえの……』

千早『あの人の間違いを正すのも私の務めだもの』バンッ

響『………。わかった、ありがとう』バンッ

ブロロロロロ

千早『それじゃあ、いくわよ』

響『うん』

監督「ハイ、カット!おっけーでーす!!」

ガヤガヤガヤ

監督「千早ちゃん、響ちゃんおつかれちゃん。次もよろしくねー」

響「お疲れ様ー!」

千早「お疲れ様です」

スタッフ「我那覇さーん、こっちのチェックいいですかー?」

響「はーい!ちょっといってくるぞ」

千早「いってらっしゃい」

スタッフ「お疲れ様です」

千早「お疲れ様です」

キィィィィィン

千早(……何の音かしら?)

スタッフ「……」ボーッ

千早「あの、大丈夫ですか?」

スタッフ「……えせ」ボソッ

千早「え?」

スタッフ「……拾ったものを速やかに我々に返せ……これは警告だ……」

千早「な、なにを」ゾッ

スタッフ「……我々は事を荒立てるつもりはない……だがこれ以上…我々の存在を広めるというならそれ相応の手段をとらせてもらう……」

千早「い、いったいなにをいってるんですか!?大体、我々って…あなたたちは何者なんですか!?」

スタッフ「……我々は……」

響「千早ーっ!ジュースもらってきたぞー!!」タッタッタ

スタッフ「……チッ」

スタッフ「………」ハッ

スタッフ「あれ?どうしたんだ俺?」

千早「っ!?」

響「千早、どうしたんだ?顔が青いぞ?」

千早「なんでも……なんでもないわ……」

響「なぁ、千早」

千早「……なにかしら?」

響「千早、自分になにかかくしてない?」

千早「そんなこと……ないわよ……本当に何でもないの……」

響「嘘だ」

千早「え?」

響「なんでもないのにそんな顔するわけないぞ」

千早「それは……」

響「自分に言いにくいことなら言わなくてもいいけど、一人で抱え込まないで誰かに相談しらほうがいいと思うぞ。その私達」

響「仲間だからな!」ニコッ

千早「我那覇さん……」

響「い、言いにくい事なら無理して言わなくてもいいんだぞ?でも少しは頼ってほしいかなーって……」

千早「ありがとう我那覇さん。……実は…」

—————————

響「……そんなことがあったのか」

響「ちょっと、そのスタッフ捕まえてどういうつもりか聞きだしてくるぞ」フンス

千早「ま、まって我那覇さん!」

響「止めるな千早。自分許せないぞ!千早をこんなに怖がらせるなんて!」

千早「その…いまはやめてほしいの……」

響「……わかった」

千早「ありがとう」

響「その代わり、帰ったらプロデューサーに相談させてもらうからな」フンス

千早「……わかったわ」

—————————

響「……ってことがあったんだぞ!」

P「間違いないんだな千早?」

千早「……はい。聞き違いではありませんでした」

P「……わかった。俺の方から局の人と警察に連絡をしておく」

千早「警察ですか?」

P「あぁ、ちょっとこれは度が過ぎてる。ストーカーの類にしても悪質だ」

P「俺が家まで送るから今日はゆっくり休んでくれ」

千早「でも……このあとも仕事が」

P「そんな状態で仕事になるとは思えないし、なにより千早の安全が第一だ」

千早「……でも……」

P「千早は心配するな!こういうとき頭を下げる為に俺がいるんだからな!……今日はゆっくり休んでくれ」

千早「プロデューサー……わかりました」

P「よし!それじゃあ、他の仕事もちゃっちゃと片付けるか!」

春香「千早ちゃんがでれない仕事、できるなら私が代わりに出ましょうか?」

響「自分も協力するぞ!今日はもう暇だからな!!」

千早「春香…我那覇さん……ありがとう」

——————

P「なにかあったら、大した用事でなくても電話してきてくれ。なんだったらメールでもいいから」

千早「はい、ありがとうございます」

P「それじゃあ、今日はゆっくり休んでくれ」

千早「はい」

バタン

千早「……」

シーン

千早(休みとはいったものの……まだ眠れる時間じゃないし……)

千早(そいうえばこの間もらってきた本、まだ読んでなかったわね)

ペラペラ

千早「……」ペラッ

千早「……」ペラッ

千早「……」ペラペラ

—————————

千早「……ふぅ」パタン

千早(思わず一気に読んでしまったわ)

千早(アイアン・カーヴァンの歌にあんな解釈があっただなんて……勉強になったわ)

千早(……それにしても……静かね……)

千早(…昨日といい、今日といい、一体なんだっていうの……拾ったものって、あの黒い石のことかしら……?)

千早(………。考え込むのはやめましょう。なにか他の本を読んで気を)

バサッ

千早(あら?本の山が)

千早「っ!?」

『螺湮城本伝』

千早(この本……処分するつもりが間違って持って帰ってきてしまったのね……)

千早(それにしても……すごく気味が悪いわ……でも……)

千早(なんともいえない魅力を感じるのはなぜかしら……?)

千早(内容はやっぱり何が書いてあるのかさっぱりだわ……)ペラペラ

千早(……この挿絵の文字……どこかで……?)

千早「!」ハッ

千早(そうよ、確か、河原で拾った石に同じ模様が!)

ガサガサ

千早(……やっぱり同じだわ……この石と本に何か関係が……?)

千早(調べてみる価値は……ありそうね)

千早(……この間、春香から教わった翻訳ソフトが携帯に……あった)

千早(設定を中国語にして……あら?これはどうすればいいのかしら……?)

千早(え…?あれ……?)

——————


春香『そうそう、そこの設定を中国語にすれば大丈夫だよ』

千早「あ、できたいみたい。ありがとう春香」

春香『ううん、いいよ気にしないで』

春香『お礼は今度会ったときにたっぷりと……』

千早「春香、それどういう意味…」

春香『そりゃ』『ハルカサーンオネガイシマース』

春香『ごめん、千早ちゃんお話はまたあとでね』

千早「えぇ、本当にありがとう」

春香『じゃあ、きるね』

ツーツーツーツ

千早(お礼って……)

千早「……///」カァッ

千早(な、なにを想像してるのよ私は!?///)

千早(と、とにかく始めましょう)

千早(……水没した街……螺湮城……るるいえ?)ペラペラ ピッピッ

千早(……螺湮城の主……来たるもの……九頭龍……死と共に…海底に……眠る……)ペラペラ

千早(……九頭龍の……眷族……大袞……)ペラペラ

千早(魔の……法……)ペラッ

千早(塞壬……セイレーンの……歌……)

千早(これは歌の歌詞かしら?)ペラッ

イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!
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イア!イア!クトゥルフ!!






千早「ッ!?」バサッ

千早(なっ、なに…いまの……?)ゾッ

千早(頭の中に声が……それにいま何かが見えたような……)

千早(……もう、読むのはやめておきましょう……)

千早「………」

ここまでお付き合いいただきありがとうございます。
続きはバイト帰ってきてからなので22時以降の投下になると思います。

感想、アドバイスなどいただけるとうれしいです。


もっとSAN値が下がってもいいのよ

乙。てか、これタイタス・クロウのジジイでも来ないとちーちゃん無傷は絶望的だろ……

クトゥM@Sはいいね


アイマスxラヴクラフトとかあるんかい!
宇宙空間を飛べる翼ってなんかロマンだよね

狂的なはるゆきPを思い出した

ガチャッ

千早「ひっ!?」ビクッ

千早「だ…誰……?」

ガチャッ ガチャガチャガチャッ

千早「っ!?」

ドンドンドン ドンドンドン

千早「いやっ!?」ギュウウッ

???「千早ー?大丈夫かー?」ドンドン

千早「……この声………我那覇さん……?」

響「いやーごめんごめん、自分チャイムを押す癖がなくてな」アハハ

千早「それにしたってもう少しなにかあるでしょう。すごくびっくりしたわ」

響「ごめんだぞ」シュン

千早「まったく……それで我那覇さん、どうしてうちに?」

響「今日あんなことがあったし、千早一人じゃ心細いんじゃないかと思ってさ。迷惑だったか?」ショボン

千早「……そんなことないわ。すごく嬉しい……」

響「そ、そっか!よかったぞ!!」パァァァア

響「あ、そうそう、みんなからお見舞いの品預かってきたんだった」

千早「お見舞いって……別に病気でもないのに」

響「まぁまぁ、みんな千早のことが心配ってことだぞ」

千早「それは嬉しいけど」

響「えっと、これ律子から果物。あとこれがプロデューサーからの栄養ドリンクと雪歩からはお茶だな」

響「ピヨ子のは……なんか一人の時に開けてくれって言ってたぞ。なんだろうなこの袋?細長い卵みたいな形のが入ってるぞ……」

千早「その大きな包みは?」

響「あぁ、これは亜美と真美から。なんか重かったぞ」

千早「なにかしら?」シュルシュル

響「……これって」

千早「どう見ても金属バット…よね……?」

響「こっちはスタンガンが入ってるぞ」

千早「懐中電灯?……なにかすごく大きいけど……眼潰しにってことかしら?」

響「それ自分の地元の米兵さんが持ってたのと同じ奴だぞ」

千早「イタズラってレベルでは済まされないような……」

響「ま、まぁ、それだけ心配してるってことさ!」

—————————

響「おぉ!もうこんな時間か。そろそろ自分も帰らなきゃな」

千早「え」

千早「………そうね」スッ

響「千早……?」

千早「……なんでもないわ」

響「………」

千早「………」

響「あー、そういえば今日は家のみんなと喧嘩してたんだぞ」

千早「え?」

響「だから今日は自分、家には帰りづらいんだったぞ」

千早「我那覇さん……?」

響「千早、悪いんだけど今日一晩だけ泊めてくれないかな?」

千早「そ、それはいいけど、我那覇さんの家のみんなのご飯はどうするの?」

響「それは大丈夫。こんな時の為に、ここに来る前にご飯あげてきてるし、いざとなったらみんな自分で」ハッ

千早「我那覇さん……」

響「あははははっ」

千早「ありがとう」

響「なんくるないさー」

——————

響「……んんっ……」スゥスゥ

千早(話しこんですっかり遅くなってしまったわね)

千早(でも、我那覇さんのおかげで気が楽になったわ……)

千早(明日の仕事もあるし……そろそろ寝ないと……)ウトウト

イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!イア!

千早「っ!?」ゾクッ

千早(……どうしてあんなものが……あの本は一体……)

ガチャン!!

千早「っ!?」

響「……んんっ……なんだ?いまの音?」ボーッ

千早「……わからないわ。風呂場の方からしたみたいだけど……」ヒソヒソ

響「……千早。警察に電話をかけてくれ」ヒソヒソ

千早「わかったわ」ヒソヒソ

響「自分は様子をみてくる」ヒソヒソ

千早「一人じゃ危ないわ!」ヒソヒソ

響「なんくるないさ!自分完璧だからな」ヒソヒソ

千早「でも……」ヒソヒソ

響「あと、これ借りてくぞ」ゴトッ

千早「金属バット……わかったわ。危ないことはしないでね」ヒソヒソ

響「なんくるないさー」ヒソヒソ

千早(警察に電話を……)ピッピッピッ

響「ちょっといってくるぞ」

千早「気をつけて」

ガチャッ

千早「警察ですか?実は家でガラスを割るような音が」

警察『すぐに警官を向かわせます。電話を切らずにそのままお待ちください』

千早「わかりました」


千早(我那覇さん……大丈夫かしら?)


ガチャン


千早「っ!?」ビクッ

コノッ! エイッ!

千早「が、我那覇さん!?」

ウワッ、ナンダコレ!? オイ、ヤメ、ナニヲスルンダッ

ガチャン

千早「我那覇さん!!」バッ

ガチャッ


シーン


千早「誰も……いない……?」

千早「我那覇さん?どこにいったの?」

お付き合いいただきありがとうございます。
バイトの帰りが遅くなってしまい、更新が遅れてしまいました。

>>10さん、>>25さん、>>26さん、>>27さん、>>28さん、>>29さん
皆様、感想ありがとうございます!皆さまのご意見は今後の活力になります!!

それでは本日はここまでとなります。
次回更新は明日の20時ごろになるかと思います。
今後ともお付き合いいただければ幸いです。


これあかんパターンや…

面白くなってきたな
我那覇君ならインスマス面の人たちとも仲良くなれるんだろうか

響がインマウス面になって……うぁあああああああああああ!

おつ

乙に! 乙に!

ここの貴音のスペックによって難易度が変わりそう……
人外超人versionの貴音だったら、眷属どもとやり合っても不思議はない

シーン

千早「きゃっ!?」

バタン

千早(……痛っ……なにかにつまずいた……?でも何に……?)

ゾワッ

千早「なに……っ!?これ……」ゾクッ

千早(……なにこれ……なにかの死体……?これはハサミ……?)

千早(そっ、そうよ。我那覇さんはどこに)

ビュウウウウ

千早(窓ガラスが割られて……まさかここから……?)

千早(でもここはマンションの3階よ……飛び降りるなんて……)

ピンポーン

千早「!?」ビクッ

ケイサツデース! ツウホウヲウケテオウカガイシマシター!!

千早「は、はい、いま開けます」

—————————

警官「っ……!?なんだこれ……」ビクッ

千早「わ、わかりません」

警官「作り物……の割にはよくできてるし、でもこんな生き物見たことないぞ……」

警官「なんなんだよこれ……人くらいの大きさだし、ハサミみたいなのはついてるし……それにこの殻、見た目は蟹みたいなのに触ってみるとキノコみたいな感触だ……」

警官「と、とにかく、現場証拠を!」

警官「カメラか何かありませんか?」

千早「探してきます」

警官「お願いします」

千早(……たしかクローゼットの中に資料用に買ったデジカメが……)ガサガサ

千早(結局、買ったきり使い方がわからなくてそのままになっていたわね……)ガサガサ

ホンブ、ホンブ コチラヤマモトデス ハイ、ハイ ソウナンデス

千早(あった)

警官「ふざけてなんていません!本当なんです!!」

千早「っ!?」ビクッ

警官「あぁ、ごめんね。驚かせちゃったね」

千早「いえ……大丈夫です。あの、これ」

警官「あぁ、ありがとう」

パシャッ

警官「っ……!?どういうことだ……?」

千早「どうか、したんですか?」

パシャッ パシャッ

警官「っ!?」

警官「失礼だけど」

千早「なんでしょうか?」

警官「このカメラ、壊れてたりしないよね?」

千早「そんなことないです!買ったばかりですし……」

警官「……じゃあ、これはどういうことなんだ……」

千早「え?」

警官「これだよ」スッ

千早「っ!?」

千早「なにも……写ってない……?」

警官「そうだ……周りの景色は映ってるのに……この死体だけまるで透明にでもなってるみたいに写っていない……」

警官「……一体どういうことなんだ……」

警官「現場は私達が調べておくから、君は今日は署の方で休んでくれ」

千早「……はい……わかりました」

警官「君の友達の件についても、捜索を行わせるから安心して」

千早「……ありがとうございます」

警官「それじゃあ、署まで送って行こう」

千早「……はい……」

—————————

警察署

千早「……」

コトッ

千早「え?」ハッ

警官「ホットミルク。落ち着くと思ってさ」

千早「あの……ありがとうございます」

警官「なに、気にしないでくれ」

千早「あ、あの」

警官「なにかな?」

千早「その、あのあとどうなったんですか?」

警官「……ちょっと妙なことになった」

千早「え?それって……」

警官「ああ、君の友達については連絡取れたよ。無事に家に戻ってたみたいだ。今度、話を詳しく効かせてもらう」

千早「そうですか。……よかった」

警官「無事で本当によかったよ」

千早「……それじゃあ、なにがあったんですか?」

警官「あぁ……例の死体が消えた」

千早「え?」

警官「あの後、応援に駆けつけた奴らと死体を調べていたら突然、死体が蒸発するみたいに崩れ始めて……跡形も残らずに消えた」

千早「そんな……」

警官「俺も信じられなかったし、他の連中も夢でも見てるみたいだって……」

千早「……」

警官「とりあえず、割れたガラスは補修したし、明日の夜には家に戻れるだろうけど、どうする?怖いようだったらこのままここに泊ってもらっても大丈夫だけど?」

千早「いえ、大丈夫です」

警官「遠慮しなくてもいいんだよ?」

千早「大丈夫です。やっぱり、自分の家の方がいろいろ便利ですし、歌の練習もしたいので……」

警官「そっか」

千早「その、ありがとうございました」

警官「いや、気にしないでくれ。あ、これ俺の携帯。なにかあったら相談してくれていいから」

千早「ありがとうございます」

765プロ 事務所

ガチャッ

千早「……おはようございます」

春香「おはよう、千早ちゃん」

P「おはよう……昨日は大変だったな」

千早「……いえ、大丈夫です」

P「そうか。なにかあったら気軽に相談してくれよ。どんなことでもいいんだ」

千早「わかりました……あの、我那覇さんは?」

P「響なら今日は休みだよ。具合が悪いって連絡があった」

千早「え……」

P「気になるか?」

千早「……いえ……」

P「……」

千早「……」

P「……そういえば、今日は千早は響とレッスンだったな」

千早「え?……確かにそうでしたけど……」

P「響も休みだし、どうする?」

千早「……」

P「どうせ二人そろわないなら今日のレッスンはキャンセルするか」

千早「でも……」

P「千早もまだ本調子じゃないみたいだしな。トレーナーさんには俺から謝っとくよ」

千早「すみません……ありがとうございます」

P「いいって。気にするな。それも仕事のうちだからな」

千早「……はい」

P「どうする?響が心配なら見舞いにでも行くか?」

千早「え?」

P「いまやってる仕事が片付いたらついでに送って行ってやってもいいぞ」

千早「でも」

春香「それじゃあ、私も」

P「春香はこの後俺と仕事だろ」

春香「そうでした」

P「どうする?どうせ春香と現場まで行くから通り道だし」

千早「それじゃあ……お願いします」

春香「それじゃあ、響ちゃんによろしくね」

千早「えぇ、春香も仕事がんばって」

春香「うん!ありがと千早ちゃん」

ブロロロロロロ……

響マンション

千早(えっと……我那覇さんの家は確かマンションの……)

千早(あった、この部屋だわ)

ピンポーン

千早「我那覇さん?いる?千早だけど」

シーン

千早「寝てるのかしら……?」

ガチャッ

千早(開いてる……)

千早(勝手に入るのはまずいわよね……)

千早(でも、もし中で倒れてたりしたら……)グッ

千早「我那覇さん?お邪魔するわよ」

千早(……真っ暗……電気は……)

パチッ

千早(……つかない……?電球が切れてるのかしら……?)

ガチャッ

千早(……真っ暗でよく見えないわ……)

響「……」ボーッ

千早「我那覇…さん……?」

響「なんだ、千早さんだったんですか」ボーッ

千早「……その……体調は大丈夫?」

響「心配をおかけしてすみません。少し落ち着いているのですが、まだ体調が悪くおもてなしすることができません」

千早「……いいのよ。……我那覇さん……」

響「なんでしょうか?」

千早「ほかのみんなはどこにいったのかしら?ペットを飼ってるって聞いていたのだけれど」

響「あぁ、ペット達なら皆健康診断の為に病院に入院しています」

千早「……そう……」

響「……ねぇ、千早さん」

千早「なにかしら?」

響「唐突にこんな話をしたらあなたは驚くかもしれませんが、私達の日常の中には私達が知り得ない、知るべきではない存在が活動していると考えたことはありますか?」

千早「どうしたの?……そんなこと…考えたこともないわ」

響「彼等は私達の常識の及ばないような技術力を持ち、私達が正しいと思っている理論を塗り替えてしまうほどの知識を持っているとしたら?」

千早「いったい何の話を」

響「そして、彼らとともに行動することでその知識を得られるとしたら素晴らしいと思いませんか?それこそ、その素晴らしさの前ではいまの肉体など何の価値も見出し得ない」

千早「………」

響「そんな素晴らしい体験をしたいと、千早さんあなたは考えないですか?」

千早「……あなた、誰?本物の我那覇さんはどこ?」

響「何を言っているんですか?私は我那覇響ですよ。本物も偽物もありません。おかしなことをおっしゃる」

千早「とぼけないで。あなたは、あなた達は我那覇さんに一体何をしたの!?」ドンッ

響「……」

千早「……」ジッ

響「……いいでしょう。正直にお話ししましょう」

千早「……」ゴクッ

ジジジ

???『我々はこの星の生き物ではありません』

千早(っ!?なに、この声?まるで虫が羽をこすり合わせて無理やり声にしてるような……)

???『我々はとある鉱石を採掘するためにこの惑星にユゴスからやってきました』

千早「……ユゴス……?」

???『あなた達の言うところの冥王星ですね。ユゴスは拠点に過ぎず、我々はもっとはるか遠くからやってきたのですが』

千早「……それで、あなた達の目的は?」

???『さっきも申し上げた通り、とある鉱石を掘るためにやってきたんですよ』

???『といっても、我々はこの星の人間にその存在を知られることをよしとしません』

???『ですから、最初は貴方に我々の証拠となるあの石さえ返していただければよかったのです』

???『ですが、あなたは我々の存在を知りすぎてしまった。不運なことにあなたはとてもこの星の多くの人間と接点を持っているようだ』

???『ですから、今後我々の存在を秘匿するためにも、あなたにも協力をしていただく必要がある』

千早「……協力……?」

???『そうです。無論、只でとは言いません。あなたが一生知り得ないであろう我々の叡知の一部をあなたにお見せすることができます』

千早「……」

???『恐れる必要はありません。実際にお見せしましょう』

バサッ

千早(……これは……缶詰……?)

???『そこにある機械と棚にあるB-75という缶を取ってください』

千早(B-75……これかしら……っ!?)

『Hibiki Ganaha』

???『あぁ、私の名前の書いてある缶については気にしないでください』

???『その缶を機械にセットしてください』

千早「……これでいいのかしら?」

???『えぇ、結構です』

ウィン

千早「!?」ビクッ

B-75『はじめまして、如月千早さん』

千早「しゃ、しゃべった……」

B-75『驚かせてしまったことはすみません。でも私は立派な人間なんですよ』

千早「どういう……ことですか?」

B-75『私は彼らに脳を摘出してもらったんですよ』

千早「っ!?脳を……」

B-75『といっても心配しないでください。私の元の体はここから2キロほど離れた場所で元の人間として生活をしています』

千早「……どういうことですか?」

B-75『彼らの技術力を持ってすれば元の肉体を活かしたまま脳を摘出することが可能なんですよ。脳を取りだされた肉体は元の通りの生活を続けます』

B-75『そして、私はこの体のまま彼等と彼方なる宇宙への旅を行い、人類が知り得ない叡知の数々を見ることができるのです』

B-75『あなたはご存知ですか?アインシュタインの理論が間違っているということを。ある物質と力は光より早いのです』

B-75『適切な手段を用いれば時間を移動することすら可能なのです。彼等は人間のそれをはるかに超越した科学力を持っています』

B-75『あなたも私達と一緒に人のみでは決して辿り着くことのできぬ、無限と究極の暗黒に横たわる秘密を。素晴らしい世界の真理を体験したいと思いませんか?』

千早「……そういうことには興味ありません。失礼ですが今日は帰らせていただきます」

???『ここまで聞いていて、そのまま帰れるとでも?』

ズッ

千早「っ……なんですか!どいてください!」バッ

???『逃がすなッ!!』

ガッ

???「」ガシッ

千早「いやっ!?」バッ

警官「がぁっ"!?」

千早「あ、あなたはっ!」

千早(懐中電灯の光が効いてる……?)

千早「どいてくださいっ!!」バッ

???『xaoahjoifdsghojt!?!?hoer!lmg!?』

千早(いまのうちに)ダッ

???『ahfahjuitafaegxzvmcnv,mdbhlewuj!!!!!!』

千早「っ!!」

バタン

公園

千早「はぁはぁ……」

千早(なんとか……逃げ切れた……)

千早(でも……どうしたら…)

春香「あれ?千早ちゃん?」

千早「……春香」

春香「どうしたの?こんなところで?」

千早「春香っ!」ガバッ

春香「ちょ!?千早ちゃんっ!?」

千早「えぐっ……ううっ……」

春香「ち、千早ちゃん、落ち着いて、ほら、外だといろいろあれだから!ね?」

千早「…ぐすっ…」

春香「と、とりあえず、千早ちゃんの家行こう?ね?」

千早「ひぐっ……」コクン

千早宅

春香「……そんなことがあったんだ」

千早「……信じてくれなくてもいいわ……」

春香「……」

千早「……春香?」

春香「……」

千早「その……ごめんなさい、変なこと言ったりして……あんなことがあって、私やっぱりつかれてただけなのかも」

春香「信じるよ」

千早「だから……え?」

春香「私、千早ちゃんの言うこと信じるよ」

千早「春香……」

春香「だって、千早ちゃんがひどい目にあってるんだよ。友達として放っておけないよ」

千早「ありがとう」

春香「光を嫌がったんだよね?」

千早「えぇ、すごく嫌ってるようだったわ」

春香「やっぱり」

千早「え?」

春香「千早ちゃん、そいつらはミ=ゴだよ」

千早「ミ=ゴ?」

春香「うん、人類が生まれる遥か昔に地球の外側からやってきた者達。それがミ=ゴ」

春香「彼等はある鉱石を掘るために地球にやってきて、地球にいた種族を駆逐しながら地球を支配に置いたの」

春香「いまは姿を隠してるけど、人前に時々姿を表して、雪男と勘違いされたり多くの伝承も残ってる」

春香「そして彼等の生まれた世界には光がないの。だから彼等は光を極端に嫌う」

千早「春香……あなたなにを」

春香「とにかく大丈夫。千早ちゃんは、私が必ず守ってみせるから」



春香「ふふふ、ちーはーやーちゃん!」

千早「いやっ…こないで……」

春香「そんなひどいこと言わないでよ」

千早「い、いやっ!?」

春香「こんなもの持ってる千早ちゃんが悪いんだよ…こんなもの持ってるだなんて……」

千早「そっ、それは小鳥さんが……」

春香「言い訳は聞きたくないなぁ」

千早「いやぁっ!?」

春香「大人しく私のマッサージを受けるのだぁっ!」ヴィィィィィィイイイイイン

千早「ちょっ///やめて!春香ぁぁあああ///」

—————————

春香「……すぅ…すぅ……」

千早「……小鳥さんのお見舞いのせいでひどい目にあったわ……///」グッタリ

春香「……でも、千早ちゃんすごくかわいかったよ」

千早「はっ、春香っ!?起きてたの!?///」ビクッ

春香「そんなに驚かなくても……」


ガタン


千早「っ!?」ビクッ

春香「……来たみたいだね」

千早「ど、どうするの?」ヒソヒソ

春香「千早ちゃんはこれ、はい懐中電灯。絶対に離さないでね」

千早「春香はどうするの?」ヒソヒソ

春香「あぁ、私は大丈夫だから」

千早「大丈夫って……どうやって」ヒソヒソ

春香「大丈夫。心配しないで」

千早「……それで、どうするの?」ヒソヒソ

春香「逃げる」

千早「え?」

春香「とりあえず、逃げる」キッパリ

千早「ど、どういうこと!?逃げるなら、わざわざ私の家に隠れなくても」ヒソヒソ

春香「大丈夫だよ。ちゃんと考えてあるから。とにかく今は逃げることが最優先だよ」

千早「……よくわからないけど……わかった。春香を信じるわ」ヒソヒソ

春香「それじゃあ、いくよ」

春香「せーの」

ガチャッ

千早「っ!」バッ

ミ=ゴ『ajgigoljgeiohfajgsnv cmb!?!?!?!?!?!』

春香「今だよ!千早ちゃん!!」

千早「春香っ!」ダッ

ミ=ゴ『hajlgherlghazxcmv!!saldjfs!!!!』

ミ=ゴ『twueoi.zvlahnfeld!!!』

ミ=ゴ『xc,mgreoaiujgeage;akjf』

バンッ

千早「っ!?春香っ!!追って」

春香「千早ちゃん!振り返っちゃダメ!!」

千早「早くっ!階段にっ!!」ダッ

バッ

ミ=ゴ『utgsljblsjvms;lmv;s,veg』

千早「っっつ!?!?!」

春香「待ち伏せてっ!?」

ミ=ゴ『hewotguweiopjgvas;fljw』

千早「いやっ!?」

ドンッ

千早「え?」

千早(なんで私……エレベーターの中に?……誰かに押されて……誰に……?)

春香「千早ちゃん!」

千早「春香!!」

春香「……」ニコッ

千早「え?」

千早「ダメよ!春香っ!!」

春香「私は大丈夫だから、逃げて千早ちゃん。絶対に振り返っちゃダメだよ?」

『閉』

スーッ

バシャッ

千早(はっきりと見えた)

千早(エレベーターが閉まる直前)

千早(ドアの向こう側)

千早(春香の頭があいつらに掴まれるのを)

千早(そして)

千早(春香の頭がある場所が砕けて黒い液体が飛び散ったのを……)

千早「いやぁあああああああっ!?!?!?!」

ポーン

千早(……逃げなきゃ……)

千早(はやく……逃げなきゃ!?)

千早「っ!?」スッ

千早(どこに?どうやって?わからない?わからないわからない!わからない!?)

テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!テケリ・リ!

千早(逃げなきゃ)ゾッ

千早(とにかく逃げなきゃっ!逃げなきゃっ!!)ダッ

千早(逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきゃ逃げなきやッ!!)タッタッタッタ



ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャニゲナキャニケ
ニゲナキャニゲナキャニゲナキャ…………

朝 7695プロ事務所

テレビ サクジツハッセイシタ ジシンノエイキョウデ カイテイガリュウキシテオリ

美希「すぅ…すぅ……」スヤスヤ

千早(……一晩中逃げ回った後、日が昇ってから戻るとそこには無残に破壊されたマンションだけが残っていた)

千早(そこにはあのミ=ゴとかいう宇宙人も、春香の姿も……私が拾った石も跡形もなく消え去っていた)

千早(廊下はまるで特急列車が暴れまわったかのように無残に破壊され、あちらこちらに黒いタールのような液体が飛び散っていた)

千早(近所の人の話によると凄まじい音がした後、廊下に出て見ると破壊された後だけが残っていたのだそうだ)

千早(幸い、破壊されたのは廊下側だけだったので壁に何かがめり込んだ後が残ったりしている以外に私の部屋に被害はなかった)

千早(……一体、あの夜……私が逃げた後、あのマンションでなにがあったっていうの……?)

千早(あのお巡りさんは……我那覇さんは……それに春香は……一体どうなったっていうのよ……)

千早「春香……」

テレビ センモンカニヨルト タイヘウヨウトウタツコンナンテンフキンニ アラタナシマガタンジョウシタカノウセイガ

美希「……はにぃ……」スヤスヤ

ガチャッ


響「はいさーい!おはようだぞ!!」

千早「え?」

響「千早?具合はもう大丈夫か?」

千早「我那覇さん……どうして……?」

響「なにいってるんだ?少し変だぞ千早?」

千早「そんな……でも……」

響「?」

ガチャッ

春香「おはようございまーす!」

千早「春香!?」ビクッ

春香「おはよう、千早ちゃん」

響「はいさーい、春香」

春香「おはよう響ちゃん」

千早「………」ボーゼン

ガチャッ

P「おぉ、みんな早いな。おはよう」

春香「あ、プロデューサーさん!おはようございます!」

響「おはようだぞプロデューサー!」

千早「………」

P「おぉ、そうだ千早」

千早「な、なんでしょう?」ハッ

P「昨日、警察から電話があってな、例の追っかけ警察の方で捕まえたそうだ」

千早「え?」

P「なんか、撮影にスタッフのフリして潜り込んでたみたいでな。監督さんが見つけて警察に引き渡してくれたみたいだ。本人も反省してるしもう大丈夫だと思う」

千早「………わかりました」

P「うん、大事に至らなくてよかった。よし、春香と響、伊織とやよいがきたら次の番組の打ち合わせ始めるから会議室で準備手伝ってくれ」

響「わかったぞー!」

バタン

千早「……春香」

春香「なに?千早ちゃん」

千早「その、昨日のことなのだけれど」

春香「あぁ、そのことならもう大丈夫だよ」

千早「大丈夫っていうと……?」

春香「彼らとは私が『話し合い』で解決したから」

千早「……どういうこと?」

春香「昨日、彼等の指導者に会って話をしたの」

春香「彼等としては鉱石を手に入れるのが最優先事項で、自分達の存在を隠しておくのはその副産物的な目的なの」

春香「だから彼等とは千早ちゃんに彼等の存在をしゃべらないようにすることと例の石を返すことを条件に、今後千早ちゃんに干渉しないことを約束してくれた」

春香「ついでに響ちゃんも元通りにしてもらっちゃった。彼等に関する記憶は残ってないみたい」

春香「彼等も『私達』と揉めるのは避けたいみたいだったしね」

千早「春香……あなたは一体、何者なの?」

春香「……内緒」

千早「……」

春香「私は天海春香。普通のアイドルでどこにでもいる歌が大好きな女の子で、如月千早ちゃんのお友達。それだけじゃダメ……かな?」

千早「……いいえ、そんなことないわ」

千早「あなたは、私の一番大切な親友よ」

春香「千早ちゃん!」ガバッ

千早「はっ、春香!?」

春香「千早ちゃんがそんな風に思っててくれるなんて、私すごくうれしいよっ!!」ギュウッ

千早「ちょっ、春香っ!?くすぐったい!?」

春香「千早ちゃーん!私も千早ちゃんのことが大好きだよーっ!!」スリスリ

ガチャッ

伊織「おはようございまーす……って、あんたらは朝っぱらからなにやってるのよ」

やよい「うっうー!おはようございます!!」

P「お?伊織とやよいも来たか。じゃあ、次の番組の打ち合わせやるぞー」

やよい「うっうー!楽しみです!!」

伊織「次の番組って……」

P「例の高槻ゴールド伝説の特番だ」

伊織「あっ!私そういえば今日は用事がっ」クルッ

ガッ

やよい「ね?」

伊織「……はい」デチョーン

響「プロデューサー準備できてるぞー」

P「おう、ありがとう響。それじゃあ、はじめようか」

伊織「それで、今度はどこに行くのよ?マチュピチュ?アラスカ?それともニューギニア?」

P「聞いて驚くなよ!なんと今回は南極だっ!!」

伊織「」マッシロ

やよい「うっうー!楽しみです!!」

P「題して『高槻ゴールド伝説 南極に眠る幻の山脈を探せ!!』だ!」

春香「ダメです」

P「え?」

春香「そんなのだめです」

P「ダメって…企画書通してるんだけど」

春香「絶対に行きません」

P「チケットも予約を」

春香「キャンセルしてください」

P「あ」

春香「ダメです」


おわり

書き終わった後に改めて考えるとアイマス×クトゥルフSSにかこつけて、はるちはSSを書きたかっただけじゃないかというような気がしてきました。

>>39さん、>>40さん、>>41さん、>>42さん、>>43さん、>>44さん
皆さま、感想ありがとうございました。書く上でのこの上ない活力となりました。
他にもここまで呼んでくださった皆様、まだまだ未熟ではありますが、ここまでおつきいただき、改めてありがとうございました。

よろしければ感想などいただけますと次を書く活力となりますので大変うれしいです。
いつかまた、皆さまに書いたSSを読んでいただければ幸いに思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

閣下「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!(」・ω・)」うー!(/・ω・)/にゃー!」

響「(」・ω・)」うー!(/・ω・)/れっつにゃー!」

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