やすな「くそっ、よりによってやすなと入れ替わるなんて」(157)

―放課後―

ソーニャ「そろそろ帰るか」

ソーニャ「……」

ソーニャ「いつまでそうしてるつもりだ」

やすな「ナンノコトカナー」

ソーニャ「とぼけるな。なんでコソコソ隠れたりしてるんだ」

やすな「だって、こないだは結局ソーニャちゃんの家まで行けなかったんだよ?」

ソーニャ「別にいいじゃないか」

やすな「よくない! というわけで、今日こそ連れてって」

ソーニャ「いやだ。近いうちに仕事があるんだよ。その下準備も整えておかないといけないしな」

やすな「また殺し屋の仕事? そんなの聞いたら、邪魔しない訳にはいかないじゃん!」

ソーニャ「声がでかい! それに、何回も言うけど、お前には関係ないだろ」

やすな「関係あるよ! もう今夜はソーニャちゃんを帰さないからね」

ソーニャ「離せバカ」

やすな「やだ」

ソーニャ「このっ!」ブンッ

やすな「あっ」

ソーニャ「わ……あぶな」ガシッ

ゴロゴロゴロゴロ

ソーニャタチガカイダンカラオチタゾー

「う……いった」

「……保健室か? 私は、確か…」

「そうだ、やすな! あいつと一緒に階段から転げ落ちたんだ! やすなは大丈夫なのか……」

「やっと目が覚めたんですね~」

シャッ

「あぎり。お前が運んできてくれたのか?」

あぎり「違いますけど、そんなとこです~」

「そうか。ところで、やすなはどうした? 先に帰ったのか?」

あぎり「えぇ?」

「えじゃない。別状が無ければいいが、もし打ち所が悪かったらしんぱ……じゃない、ややこしい話になったら困るからな」

あぎり「…えーと……」

「なんだよ。まさか、病院沙汰に」

あぎり「……この鏡をご覧あれー」

「鏡がどうしたと……」

あぎり「……」

「……」

あぎり「……ソーニャ?」

やすな「ちょ、ちょっと待て。わた、私今やすなになって」

「ふああ……んっと」

やすな「!!」

あぎり「どうしましょう」

やすな「夢じゃない……嘘だろ……」

「あれ、ソーニャちゃんは? おーい、ソーニャちゃーん」

あぎり「お目覚めのようですね~」

やすな「バカ! まだ何もまとまってないだろ!」

「あっ、あぎりさん。ソーニャちゃん見ませんでしたか?」

やすな(私よりまず自分の体を心配しろよ)

あぎり「ソーニャはですねぇ、この鏡の中にいまーす」

「……そ、ソーニャちゃん!? いつの間に鏡に閉じ込められちゃったの!?」

あぎり「大丈夫ですよー。この魔法は、王子様のキスで簡単に解けますから~」

「じゃあ、王子様じゃないけど、私が…」

やすな「おいっ!」

あぎり「あ」

「……」

やすな「…し、しまっ」

「きゅう」

あぎり「あらー、また眠ってしまいましたねー」

やすな「……どうしてこうなった」

―夜:あぎりの家―

「うん……」

あぎり「あ、おはようございますー」

「…あれ、ここ、たしかあぎりさんの家じゃ」

あぎり「そうですよぉ」

「なんか変な夢を見てたみたいなんです。私とソーニャちゃんが入れ替わっちゃったりしてて」

やすな「おい、飯買ってきt」

「……」

やすな「……お前、やすなだな?」

ソーニャ「…そ、ソーニャ、ちゃん…?」

あぎり「困りましたねぇ」

ソーニャ「どうしよう」

やすな「さっき階段から落ちたのがきっかけなら、またやってみれば治るんじゃないか」

ソーニャ「そんな痛そうなのやだよぉ」

やすな「そんなこと言ってる場合か。あぎり、ちょっと階段借りるぞ」

ソーニャ「け、怪我しちゃったらどうすんの!」

やすな「お前の体だから別にいい」

ソーニャ「ひどい! じゃあ私だってソーニャちゃんのパンツ見たりするから」

やすな「よせ!」バシッ

ソーニャ「あれ、痛くない」

やすな「くそっ、なんだこのひ弱な体は」

ソーニャ「はっはっは、どうやら形成逆転のようだねソーニャくん!」

やすな「」ガシッ

ソーニャ「いたいいたい!」ギリギリ

やすな「技術は肉体関係なく使えるからな」

あぎり「ソーニャ」

やすな「ん?」

あぎり「とりあえず、学生生活はしばらくこのままでもいいかもしれないけど」

やすな「ちっともよくない」

あぎり「任務……どうするの?」

やすな「あっ」

ソーニャ「?」

やすな「いいかやすな。今回のターゲットはな、某社の重役」

ソーニャ「え、もしかしてそれって」

やすな「……仕方ないだろ。お前が私の代わりに任務をこなすんだ」

ソーニャ「無理無理無理無理! ぜーったい無理! ソーニャちゃんがやってよ!」

やすな「この体でやれるか!」

ソーニャ「さっき『技術は肉体関係ない』って言ってたじゃん!」

やすな「そういう意味じゃない。もしこの体で暗殺をしたのがバレたら、危ないのはお前だぞ」

あぎり「まぁ、そうですねぇ。組織からしてみれば、どこの誰とも知れない人間に獲物を横取りされたわけですから」

ソーニャ「そ、そんなぁ」

やすな「そんなの嫌だろ。だからお前が、『ソーニャ』がやらなきゃならないんだよ」

ソーニャ「……その任務って、いつ取りかかる予定なの?」

やすな「3日後の夜8時……ちょうど72時間後だ」

ソーニャ「じゃあ、それまでになんとか元に戻るしかないよ!」

あぎり「そういうことになりますね」

ソーニャ「まだ何にもしてないのに、諦めるなんてダメ! 痛いのも我慢するから、一緒に頑張って方法を探そうよ」

やすな「……そう、だな」

ソーニャ「ね。大丈夫、きっとすぐ元に戻れるって。もしかしたら、明日起きたら治ってるかもよ? ちゅーしたら呪いが解けるとか」

やすな「せやぁっ!」グイッ

ソーニャ「極ってるから……ソーニャちゃんの本体に著しい破損が予想されるから」

あぎり「あの~」

やすな「ん」

あぎり「そろそろご飯にしませんか?」

ソーニャ「そういえば、もうこんな時間かぁ」

やすな「焼きそばパンは私が貰うから、後は適当に分けろ」

ソーニャ「ソーニャちゃん! 私の体なんだから、ちゃんと野菜も食べて!」

やすな「キャベツとかニンジンが入ってるから大丈夫だ」

ソーニャ「また屁理屈言ってー」

やすな「そのセリフ、お前には言われたくなかった」

ソーニャ「ごちそうさま!」

やすな「じゃあ、これからのことだが」

やすな「私がやすなの家に行くのは当然として、お前はどうするんだ?」

ソーニャ「家に帰るよ」

やすな「私の?」

ソーニャ「私のに決まってるじゃん」

あぎり「確かに、二人一緒なら何か思いついたときにもすぐに試せますからねぇ」

ソーニャ「まあ私は、ソーニャちゃんの家が分かるならソーニャちゃんちに寝てもいいけど」

やすな「お前の家にしよう」

―やすなの家―

やすな「た、ただいまー」

ソーニャ「大丈夫、お父さんもお母さんも今日は帰るの遅いから」

やすな「そ、そうか」

ソーニャ「ソーニャちゃんはお風呂派? シャワー派?」

やすな「私はいつもシャワーだ。湯船に浸かったことはほとんどない」

ソーニャ「じゃあお風呂入れるね」

やすな「なんでそうなる」

ソーニャ「せっかくのお泊まりなんだし、普段出来ないことを体験させてあげようかと」

やすな「今日は疲れたんだよ。早く布団に入りたい」

ソーニャ「だったらなおさらだよ! ゆっくりお風呂に入って、日頃の疲れを癒さなきゃ」

やすな「……勝手にしてくれ」

ソーニャ「お風呂沸いたよ」

やすな「先に入っていいぞ」

ソーニャ「え? 一緒に入るんじゃないの?」

やすな「お前……」

ソーニャ「そんな目で見ないで下さい……」

やすな「さっさとしろ」

ソーニャ「仕方ない、一人でソーニャちゃんの体にいろいろするか」

やすな「!!」

ソーニャ「さあどうする、ソーニャ!」

やすな「くっ……」

―お風呂―

ソーニャ「こっちの方が良かったって。ソーニャちゃんが一人でいる間にお母さんたちが帰ってくるよりさ」

やすな「……」ぶくぶく

ソーニャ「ところでソーニャちゃん」

やすな「……なんだよ」

ソーニャ「この目隠しはいつになったら外れるのかな?」

やすな「風呂上がりには取ってやる」

ソーニャ「お風呂で目隠しなんて、転んだりしたらどうなると思ってるの!」

やすな「大丈夫だろ、お前なら」

ソーニャ「今はソーニャちゃんの体なんだけど」

ソーニャ「ねえねえソーニャちゃん」

やすな「今度はなんだよ」

ソーニャ「体を洗いたいんだけど」

やすな「勝手に……いや待て。私に洗わせろ」

ソーニャ「やっぱりね」

やすな「……」ゴシゴシ

ソーニャ「あ゛ー……もっと力を入れてくれたまえよソーニャくん」

やすな「こうかぁ!?」ガシガシ

ソーニャ「ああ、そのくらい」

やすな「く、全力なのにこの程度か……」

ソーニャ「ふうむ、もう少し丁寧に頼む――あれ?」

やすな「やめた。自分でやれ」

ソーニャ「あれあれ? いいのかなー? じゃあ遠慮なく」

やすな「お前の体がどうなるか、よく考えて洗えよ?」

ソーニャ「はっ」ピタッ

やすな「あーあ、湯船も案外悪くないなー」

ソーニャ「くそう! くそう!」

―やすなの部屋―

やすな「へぇ、結構片付いてるな」

ソーニャ「当たり前じゃん。ところで、ソーニャちゃんの寝床だけど」

やすな「ああ、それは布団でも大丈夫だ」

ソーニャ「……それがね、お客さん用の布団という布団にカビが生えてて…」

やすな「えっ」

ソーニャ「明日お母さんに頼んで洗濯しといてもらうから、今夜だけ同じベッドでもいいかな?」

やすな「」

やすな「おい、もうちょっと詰めろ」

ソーニャ「もう無理だよ」

やすな「毛布くらい無かったのか!」

ソーニャ「タオルケットくらいしか……」

やすな「……まあいい。やっと休めるな」

ソーニャ「……」

やすな「……」

ソーニャ「ソーニャちゃん」
やすな「やすな」

『!』

やすな「な、なんだ。お前から言えよ」

ソーニャ「……あのさ、もしも、どうやっても、私たちが元に戻れなかったら」

ソーニャ「……頑張って、殺し屋になるから」

やすな「!」

ソーニャ「本当は嫌だけど、ソーニャちゃんが『折部やすな』としてまた殺し屋になったりしたら、お母さんたちも悲しむと思うし……」

ソーニャ「それに、ソーニャちゃんに人殺しなんてさせるくらいなら、私がやる」

やすな「……お前には無理だ」

ソーニャ「練習すれば出来るよ。ソーニャちゃんの体だし…」

やすな「……」

ソーニャ「うん……それだけ。で、ソーニャちゃんの話は?」

やすな「…何だったかな。忘れた」

ソーニャ「そう……分かった、おやすみ。ソーニャちゃんも早く寝てね」

やすな「ああ」

やすな(もし、私たちが元の体に戻れなかったら)

やすな(多分やすなは死ぬことになる)

やすな(どんな理由であれ、組織からの任務はこなさなきゃならない。それが出来ない奴には『死』だ)

やすな(いくら蓄えがあったって、あいつ一人で組織から逃げ切れるはずもない)

やすな(一方私は、多少の息苦しさは感じるとしても、組織との手も切れてなんの問題もない生活を送ることができる)

やすな(足がつくとしたらあぎりだが、仮に組織に報告されたとして、私なら逃げ延びられる可能性はある)

やすな(死ぬのは、あいつ一人……)

やすな(いや)

やすな(あいつがいなくなったら、私だって……)

やすな(……なに考えてるんだ私は。もう寝よう)

それから2日間――

やすな「もっと引っ張れやすな!」

彼女らは考えられるだけの解決法を試した

ソーニャ「もっと赤くした方がいいかな?」

しかし、そのいずれも二人を治すには至らず

あぎり「ショック療法ですー」
毛虫『恐縮です』
やすニャ「わーっ!」



とうとう、要人暗殺決行日の前夜を迎えた

―夜:やすなの部屋―

やすな「……で、ターゲットの帰宅ルートが…」

ソーニャ「……はぁ、はぁ…」

やすな「大丈夫か、やすな?」

ソーニャ「…ソーニャ、ちゃん……」ブルブル

ソーニャ「…怖いよ、どうしよう、ソーニャちゃん…」

やすな「……私がやるか?」

ソーニャ「……だめ…私、が…やらなきゃ……」

やすな「…そうだな、やすな。大丈夫、この計画なら、必ず逃げ切れる。帰ってきたら、今度こそ元に戻れる方法を探そう。時間はたっぷりあるんだ」

ソーニャ「……帰って、これたら」

やすな「なんだ?」

―翌朝:やすな家前―

やすな「……行ってくるね」

ソーニャ「ああ。心配なことがあったら、すぐに連絡をよこせよ。いつでも出てやるから」

やすな「うん」

ソーニャ「……じゃあ、また後でな」

やすな「……うん、またね」

ソーニャ「……」

>>76>>81の間に



ソーニャ「………やっぱり、その時に言う」

やすな「そうか……」

ソーニャ「…もう、寝るね。明日は朝から準備があるんでしょ?」

やすな「ああ」

ソーニャ「……おやすみ」

やすな「……おやすみ、やすな」

―夜:ソーニャの家―

やすな(それなりの企業の人間だから、もし殺されたらニューステロップくらいは出るはずだ)

やすな(あるいはTwitterで流れるか……いずれにしろ、成否はすぐに伝わる)

やすな(あとは、やすな……)

  KMB緊急ニュース速報

やすな「!!」

  K県M市で発砲事件 一名死亡

やすな「や……やった!」

パッ

キャスター「番組の途中ですが、ニュースをお伝えいたします」

キャスター「先ほどK県M市の某社前にて、何者かによる発砲事件が発生しました」

キャスター「犯人と思われる人物は捕まっていません。付近にお住まいの方はしっかりと戸締まりをし、事件現場周辺を通行中の方は、速やかにその場を離れて下さい」

やすな(ここまでやれば、あとは組織がもみ消してくれる。大丈夫だやすな。お前の心の傷も、私が一生かけたって癒してやる)

キャスター「……えー只今入ってきた情報です。犯人が出頭した模様です」

やすな「……え?」

キャスター「……はい、ニュースを続けてお伝えいたします。先ほど、K県M市で起きた発砲事件で、現場に駆けつけた警察官に対し私が犯人だと話す女性が――」

やすな「嘘だ」

やすな「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ」

prrrr!

やすな「なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで」

prrrr!

やすな「は」

ピッ

やすな「あぎり」

あぎり『ニュース……もうご覧に?』

やすな「なんで、なんであいつ助かったのに成功したのになんで」

あぎり『落ち着いて下さい、ソーニャ。まだ情報が錯綜している状態』

ピッ

やすな「」

やすな「」

やすな「」

やすな「ばいばい

――
M市狙撃事件のソーニャ容疑者は、その後の調べにより過去の要人殺害事件にも関与していた可能性が浮上。しかし、事件内容と本人の証言が一致しないことや、現場に残された証拠品などから、検察はこれらの事件については不規則処分とする。
狙撃事件についてはソーニャ容疑者に9年の実刑判決が下った。

――
9年後

「折部家……と、ここだ」

「懐かしいなあ、全然変わってないや」

「え? うん、大丈夫だよ」

「『折部やすな』は、ここに眠ってるはず」

「いや、やっと眠れるのかな」

「まあいいや。じゃあ、痛くないように殺してね」

「ただいま、ソーニャちゃん」

パン



BAD END

>>76からの分岐



―深夜:やすなの部屋―


     やすな
      ↓
      〇
ソーニャ| ̄ ̄ ̄|

  ↓ |   |
  〇 |ベッド|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄床


やすな「うーん……うーん…」ゴロン


      ←
    〇
    | ̄ ̄ ̄|
    |   |
  〇 |ベッド|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄床

ソーニャ「むにゃ……ちっ」ゴロン

    〇
    | ̄ ̄ ̄|
  → |   |
   〇|ベッド|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄床


やすな「うん……そっちのソーニャちゃんはぁ……あんまり痛くないほうだから…」ゴロン


    ←
   〇
    | ̄ ̄ ̄|
    |   |
   〇|ベッド|
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄床

やすな「――うわぁっ!?」

ソーニャ「ぐふぅっ!」

やすな「」

ソーニャ「」

あさ


やすな「」

ソーニャ「」

やすな「はっ」

やすな「……そうだ、今日は、私…」

やすな「…起きてよ、ソーニャちゃん。学校遅刻……」

やすな「……あれ?」

ソーニャ「う……なんか、すごいお腹痛い…」

やすな「ソーニャちゃん! 見てみて!」

ソーニャ「後で……あれ? やすな?」

やすな「元に戻れたよ、私たち!」

ソーニャ「……お、おう」

やすな「あれ、なんかあんまり嬉しそうじゃない? もしかして夢じゃないかとか思ってる?」

ソーニャ「いや、唐突すぎて」

やすな「ほっぺ叩いて痛かったら現実だからね、せーnはひぃん!」

ソーニャ「なるほど、この手応えは……」

やすな「いたぁい…でも夢じゃなかった……」

ソーニャ「ああっ!」

やすな「どしたの?」

ソーニャ「私が私に戻ったんだから、こんなことしてる場合じゃない! さっさと準備に――」

やすな「」グッ

ソーニャ「なんだよ?」

やすな「あのね、ソーニャちゃん。私、昨日まで『生きる為に人を殺さなきゃならない』っていう立場にいてね」

やすな「私は初めてでソーニャちゃんはベテランだから、恐怖心とかはともかく、ソーニャちゃんも『好きで殺し屋なんてしてるんじゃない』って所は私と変わらないとおもったんだ」

やすな「だから……前みたいに殺し屋なんてやめろって、あんまり強く言えないけど」

ソーニャ「……」

やすな「……私、働くよ!」

ソーニャ「」キョトン

ソーニャ「なにいってんだお前?」

やすな「学校卒業したら、すぐ仕事探す。ううん、今からアルバイトもする。それで、私がソーニャちゃんを養ってあげるの」

ソーニャ「はぁ?」

やすな「ソーニャちゃんは家にいて、好きなだけTV見ててもいいし、どっか遊びに行っててもいいよ。ご飯の支度もお風呂の準備も、ぜーんぶ私がやる。だから」

やすな「……ね」

ソーニャ「……バカだな」

グイッ

やすな「ちょちょ、ソーニャちゃん?」

ソーニャ「お前の稼ぎだけで、私を養えるわけないだろ」

やすな「そんなことない…」

ソーニャ「それに」

ソーニャ「……もう、私一人じゃダメなんだ」

やすな「え?」

ソーニャ「怖かったんだよ、お前がいなくなるのが」

ソーニャ「こういうことがなかったら、考えもしなかっただろうけど……お前が私を心配する気持ちが、少し分かった気がする。少しだけな」

やすな「ソーニャちゃん」

ソーニャ「……この間、お前に言えなかったこと」

ソーニャ「思い出したよ、やすな」スッ

やすな「ソーny」

ソーニャ「…………」

やすな「…………ん」

ソーニャ「…ぷは」

やすな「……ソーニャちゃん、意外と大胆なのね」

ソーニャ「う、うるさい」

やすな「まあいいや! これでソーニャちゃんは殺し屋辞めて、私と末永く幸せに」

ソーニャ「殺し屋辞めるなんて、私は一言も言ってないぞ」

やすな「えっ」

ソーニャ「そもそも、お前に食べさせてもらうなんて屈辱以外の何物でもない」

ソーニャ「じゃあ、そろそろ行くか」

やすな「待ってソーニャちゃん!」

ソーニャ「ええい、離せ!」

やすな「」チュ

ソーニャ「」

やすな「今のは、行ってらっしゃいのちゅーだからね」

ソーニャ「……ど、ど」

やすな「?」

ソーニャ「どんだけドーン!!」

やすな「どっせぇぇーい!」


HAPPY END

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