マミ「思いでのティロ・フィナーレ」(159)
マミ「これでとどめよっ!」
まどか「マミさんっ」
さやか「いっけー!」
マミ「ティロ・フィナーレ!」
まどか「わぁ…!」
さやか「やったー!」
マミ「ふぅ、今日はこんなところね」
さやか「やっぱりマミさんはカッコいいねぇ!」
まどか「うんっ」
マミ「もう、遊びでやってるんじゃないのよ?危機感もちゃんと持ってよね」
さやか「イエース!わかってますって」
まどか「さやかちゃん…」
マミ「ふふっ、本当にわかっているのかしら?」
さやか「えー?本当ですよ?」
マミ「そう、良かった」
まどか「それに、マミさんがカッコいいのはほんとだもん、ね?さやかちゃん」
さやか「オフコース!」
マミ「うふふっ、ありがとう」
さやか「ユーアーウェルカム!」
まどか「てぃひひ!何で英語なの?」
さやか「なんとなくー」
マミ「…」クスッ
マミ(この子達と出会ってから数日…)
マミ(こうやって2人とも私の戦いを見学しに来てくれているわ)
マミ(2人を危険な目に合わせてる…って言うのは自覚しているわ)
マミ(だからもう少し危機感も持ってほしいわ。いざ2人が戦う時が来たら…)
マミ(…でも)
さやか「あははっ!」
まどか「てぃひひっ!」
マミ「…ふっ」
マミ(この子達が戦う時が来ないならそれに越したことは無いわね)
マミ(だから…私が頑張らなくっちゃ!)
マミ(大切な後輩を悲しませたくないものね!)
マミ(それに2人が魔法少女になったとしても、私の役目は変わらないわ)
マミ「ねえ、2人とも。何か願い事は見つかった?」
さやか「いやぁ、まだ…」
まどか「わたしも…」
さやか「だって難しいもんねぇ?」
まどか「うん…」
マミ「そっか、そうよね」
マミ(2人には選択の余地があるんだからね)
さやか「難しいと言えばあれだね!」
マミ「あれ?」
さやか「あれですよ、あれ!必殺技!」
マミ「!」
さやか「ティロ・フィナーレってカッコいいですよね!」
マミ「そうかしら?ありがとう」
まどか「マミさんが考えたんですか?」
マミ「…まあ、そんな感じかしら」
まどか「ティロ・フィナーレかぁ…よく思い付きましたね」
マミ「ふふ、まあね」
さやか「じゃああたし達が魔法少女になった時の為に考えなきゃね!」
さやか「あたし達の必殺技!」
マミ「うふふっ、どうせならカッコいいのにしないとね」
さやか「そうなんだよなぁー、悩むよね、まどか?」
まどか「えっ?わたしは…ちょっと…」
さやか「え?なに?必殺技考えたくないの?」
まどか「ちょっと…ちょっとなんだけどね?」
さやか「うん」
まどか「は、恥ずかしいなぁ…って」
さやか「えぇー?何で?カッコいいのにー!」
まどか「恥ずかしいんだもん…」
マミ「…」ニコニコ
さやか「ちょっ、それにマミさんの前で言わない方がいいよ?」ボソッ
マミ「!」
まどか「えっ?」
さやか「だってほら、まるで必殺技叫んでるマミさんが恥ずかしいって言ってるようなもんじゃん」
マミ「………」
まどか「あっ…!」
マミ「鹿目さん?」
まどか「あっ…その、ご…ごめんなさい」
マミ「うふふっ。いいのよ?気にしてないから」
マミ「それに、必殺技を言っている方が珍しいのよ?」
さやか「えっ?そうなの?」
マミ「うん、どうやら私は少数派みたいね」クスッ
さやか「えぇー?カッコいいのにね、勿体ない」
マミ「それじゃあ美樹さんは必殺技を言ってくれるのかしら?」
さやか「オフコース!カッコいい必殺技で戦っちゃいますからねー!」
マミ「ふふ、頼もしいわね」
まどか「わ、わたしも考えようかな…」
マミ「あら?気にしなくていいのよ?」
さやか「そうそう、恥ずかしがり屋さんのまどかは言わなくてもいいんだよん」
まどか「うぅ…」
マミ「こら、ダメよ?そんなこと言っちゃ」
さやか「イエース」
まどか「もぉ、何でさっきから英語なの?」
さやか「ん?たまにはインテリっぽく見せなきゃなぁーって」
マミ「…別にインテリっぽくないわよ?」
さやか「がーん」
まどか「てぃひひっ」
さやか「うーん…英語はインテリっぽくないのかぁ…」
マミ「そういう訳じゃないんだけれど…」
さやか「そうだ!ティロ・フィナーレって何語なんですか?」
マミ「ティロ・フィナーレ?イタリア語よ?」
さやか「えぇー?イタリア語?すっごい!」
マミ「そう?」
さやか「だってイタリア語だよ?カッコいいじゃん!さすがマミさん!」
マミ「て、照れるわね」テヘティロッ
まどか「何でイタリア語を使おうと思ったんですか?」
マミ「えっ?」
さやか「そんなのカッコいいからに決まってるじゃん」
まどか「あっ、そっかぁ」
マミ「………」
さやか「あ、もうそろそろ家につくね。」
マミ「あら、もうここなのね」
さやか「んじゃマミさん、今日はこの辺で」
まどか「さようなら、マミさん」
マミ「ええ、さようなら」
さやか「さよならー!」
マミホーム
マミ「ただいま」
マミ「…さて、お風呂に入りましょうか」
お風呂
チャポン
マミ「……ふぅ」
マミ「もう一人暮らしになって何年経つのかしら?」
マミ「随分慣れてしまったわ」
マミ「…私は…ひとりぼっちなのかな?」
マミ「………」ブクブク
マミ(学校は、それなりにお友だちもいるわ)
マミ(それに…今は鹿目さんと美樹さんが戦いについてきてくれる…)
マミ(だから、私はひとりぼっち…じゃないのよね?)
マミ「………」ブクブク
マミ(でも…この満たされない気持ちは何なのかしら?)
マミ(私は…)
マミ「…くしゅんっ」
マミ「やだ…風邪かしら?」
マミ「長くお風呂に入りすぎたわね」
マミ「風邪くらい、魔法を使えばすぐに治せるけど…無駄な魔力の消費は抑えていた方が良さそうね」
マミ「これからは鹿目さんや美樹さんも魔法少女になるのかもしれないわ」
マミ「だから、極力魔力は抑えてグリーフシードを節約するべきよね」
マミ「…さてと、上がってお薬飲まなきゃ」
マミルーム
マミ「ふぅ、後は眠るだけね」
マミ「…っていけない!宿題しなきゃ」
マミ「………」カリカリ
マミ「こほんっ」
マミ「ん…やっぱり風邪みたいね」
マミ「明日は休みだし、宿題は明日にして今日は寝ようかな」
マミ「……風邪、ね」
マミ「そう言えば風邪になったのは久しぶりだわ」
マミ「昔は風邪になっても魔法ですぐに治していたからね」
マミ「…魔法少女になる前…特に小さい頃はお母さんがつきっきりで看病してくれたのよね」
マミ「懐かしいなぁ…」
マミ「………」
マミ「……風邪、かぁ」
マミ「そう言えば風邪になったのは久しぶりね」
マミ「昔は風邪になっても魔法ですぐに治していたからね」
マミ「…魔法少女になる前…特に小さい頃はお母さんがつきっきりで看病してくれたのよね」
マミ「懐かしいなぁ…」
マミ「………」
マミ「けほっけほっ」
母「あら?マミちゃんどうしたの?」
マミ「うぅ…頭がいたいよぉ」
母「ちょっとごめんね…」ピトッ
マミ「うぅぅ…」
母「うーん…お熱があるみたいね」
マミ「えぇ?マミ、お熱あるの?」
母「うん、だからお薬飲まなきゃね」
マミ「お薬やだぁー!」
母「お薬飲まないと元気になれないわよ?」
マミ「だってお薬苦いもん…」
母「苦くても我慢しなきゃね」
マミ「うぅ…」
母「そうだわ、頑張ってお薬飲んだらご褒美をあげよっか」
マミ「えっ?ほんとう?」
母「うん、だから頑張って飲むのよ?」
マミ「…うん、マミお薬飲むね」
マミ「んく…んく…」
母「ふふっ、よく出来ました」ナデナデ
マミ「えへへ」
母「それじゃあマミちゃんはお布団で眠ってなさい」
母「眠っていたらきっと元気になるわ」
マミ「うん、眠って風邪さんとバイバイする」
母「ふふ、おやすみ、マミちゃん」
マミ「おやすみ、ママ」
チュンチュン
マミ「すぅすぅ」
マミ「ん…」パチッ
母「あら、おはよう。マミちゃん」
マミ「ママ…?おはよぉ」
母「どう?元気になった?」
マミ「うーん…うん、元気だよっ!」
母「そう、よかった。頑張ったわね、マミちゃん」
マミ「えへへ」
母「それじゃあご褒美あげないとね」
マミ「わーい!」
母「はい、これよ」
マミ「わぁ、ケーキだぁ!」
マミ「いただきまーす!」
母「おいしい?」
マミ「うんっ!」
母「ふふっ、よかった」
マミ「ねえ、ママ?このケーキのお名前って何なの?」
母「それはティラミスよ」
マミ「てぃらみす?」
母「そう、ティラミス」
マミ「かっこいいお名前だね」
母「そうね、それにティラミスには意味があるのよ?」
マミ「意味?」
母「そう、イタリア語で元気付けて。って意味があるの」
マミ「あっ、じゃあマミが元気でるように買ってくれたの?」
母「そうよ、どう?元気でた?」
マミ「うんっ!」
母「うふふっ」
マミ「ねえ、いたりあ語って英語じゃないの?」
母「そうよ、イタリア語と英語は違うものなの」
マミ「英語で元気がでるって何て言うの?」
母「えっ?そうね…チアかな?」
マミ「それじゃあ、てぃらみすの方がカッコいいね!」
母「ふふ、そうだね」
マミ「マミ、いたりあ語のお勉強するー!」
母「あらあら、どうして?」
マミ「だって、いたりあ語かっこいいんだもん!」
母「ふふ、そっか。頑張ってね」
マミ「うん、がんばるー!」
母「ママも応援してるわ」
マミ「えへへ、ママ大好きー!」
マミ「お母さん……」
マミ「ん…」パチッ
マミ「……あの頃の夢、だったのね」
マミ「ふふ、懐かしいなぁ。私にもあんな時期があったのよね」
マミ「けほっけほっ」
マミ「んん…まだ風邪は治ってないみたいね」
マミ「今は…えっ?お昼過ぎ?」
マミ「いけない、眠りすぎてたわ」
ピンポーン
マミ「あら?お客さまかしら?」
マミ「頭が痛いけど…仕方ないわよね」
ガチャッ
マミ「はーい」
さやか「こんにちはー!」
まどか「マミさん、こんにちは」
マミ「あら、美樹さん、鹿目さん」
さやか「えへへ、遊びに来ちゃいました!」
まどか「お邪魔してもいいですか?」
マミ「ええ、いいわよ」
さやか「あっ、でも…大丈夫ですか?」
マミ「えっ?何が?」
さやか「いや、その…寝起きっぽいから」
マミ「あっ?ご、ごめんなさい…ついさっきまで寝ちゃってて」
まどか「じゃあ…」
マミ「でも大丈夫よ。さあ、上がって?」
さやか「それじゃお言葉に甘えて、おじゃましまーす」
まどか「おじゃまします」
マミ「ちょっと待ってて?美味しい紅茶を入れてくるわ」
さやか「いつもすみませんねぇ」
まどか「ありがとうございます、マミさん」
マミ「うふふっ、待っててね」
さやか「…ね、寝起きのマミさんってさ、ちょっと新鮮だよね」
まどか「うん、髪も下ろしてるから印象変わるよね」
さやか「そうだね」
ガシャン
まどか「きゃっ?」
さやか「わわわっ?」
マミ「いたた…」
まどか「ま、マミさん大丈夫ですか?」
マミ「え、ええ…ちょっと手が滑っちゃって…」
さやか「ありゃりゃ、割れちゃってるよ…」
マミ「ごめんね、今片付けるから…」
マミ「うっ…」フラッ
さやか「あぶないっ!」ガシッ
まどか「だ、大丈夫?」
マミ「だ…大丈夫、よ」
さやか「ちょっ?マミさん熱い!」
まどか「えっ?」
マミ「うぅ…」
まどか「ほ、ほんとだ、お熱があるよ!」
マミ「大丈夫…大丈夫だから」
さやか「わわわ、無理しちゃダメですよ?マミさん!」
マミ「でも…」
さやか「片付けはあたしがやっとくから、まどかはマミさんを!」
まどか「うんっ!」
マミ「美樹さん…鹿目さん…ごめんなさい」
まどか「大丈夫ですか?肩貸した方がいいよね?」
マミ「でも…」
まどか「はい、行きましょう」
マミ「…ありがとう」
マミルーム
まどか「マミさん、寒くないですか?」
マミ「ええ、大丈夫よ。ありがとう」
まどか「どうしよう…病院に行った方がいいよね?」
さやか「うん、そうだね」
マミ「ううん、病院は大丈夫よ…お薬もあるし」
まどか「でもっ…」
マミ「心配してくれてありがとう、でも大丈夫だから」
さやか「うーん…マミさんがそう言うなら仕方ないか」
マミ「ごめんね」
まどか「…じゃあ、何か買って来ようよ!」
さやか「ん、そだね。飲み物とか色々ね」
マミ「そんな、悪いわ…」
まどか「ううん、今だけでもマミさんの役に立ちたいし…ね、さやかちゃん」
さやか「うん、だから遠慮なんていりませんよ?」
マミ「…ありがとう」
まどか「何か食べたいものありますか?」
マミ「そうね…」
さやか「何でもいいですよ?」
マミ「…ティラミス」ボソッ
さやか「えっ?ティロ?」
マミ「あっ…な、何でもないわ」
まどか「ティラミスですね?わかりました!」
さやか「あっ、ティラミスか」
マミ「…で、でも」
まどか「行こっ?さやかちゃん」
さやか「うん、行こ行こ」
マミ「あっ…」
まどか「マミさんは眠っててくださいね?」
さやか「無理しちゃダメですよ?」
マミ「……うん、わかったわ。ありがとう」
まどか「えへへ、いってきます」
さやか「いってきまーす」
マミ「いってらっしゃい」
マミ「…ありがとう、2人とも」
マミ「ふふっ、誰かに看病してもらうのなんて何年ぶりかしら?」
マミ「嬉しいなぁ…ありがとう、鹿目さん、美樹さん」
マミ「…でもなんで私に良くしてくれるのかしら?」
マミ「私が先輩だから…?」
マミ「………」
まどか「魔法少女でも風邪はひくんだね」
さやか「だねぇ、まぁ魔法少女と言っても人間だしさ」
さやか「その辺は普通の人間と変わらないんじゃないの?」
さやか「不死身ってわけでもないんだし」
まどか「そっかぁ、そうだね」
まどか「…あれ?ほむらちゃんだ」
さやか「あ、ほんとだ」
まどか「ほむらちゃーん」
ほむら「…鹿目まどか、美樹さやか」
さやか「そんなとこで何してんの?」
ほむら「別に、たまたま通りかかっただけよ」
さやか「あっそう」
ほむら「あなた達は何をしているの?」
まどか「マミさんのお見舞いかな」
ほむら「…?巴マミのお見舞い?」
まどか「うん、マミさんお熱があるみたいなんだ」
ほむら「………?」
ほむら(なぜ巴マミが…風邪なら魔法で…)
まどか「だからマミさんに色々買ってあげなきゃいけないの」
まどか「良かったら、ほむらちゃんも一緒に行かない?」
ほむら「…いえ、遠慮しておくわ」
まどか「……そっか」
さやか「んじゃ行こっか、まどか」
まどか「う、うん…ばいばい、ほむらちゃん」
ほむら「さようなら」
さやか「……くぅー!相変わらずつれないやつぅ!」
まどか「あはは…でも仕方ないよ」
さやか「そおー?」
まどか「うん、それよりも早く買いに行こうよ」
さやか「んー、わかってるって」
マミホーム前
ほむら「巴マミ…」
ほむら(なぜ風邪を…?)
ほむら(魔法が使えない事情があるとでも言うの?)
ほむら(例えば…グリーフシードがなくなったとか?)
ほむら(だとすれば…)
ほむら「………よし」
ほむら「時間停止」
ガチャッ
ほむら「ドアは開いているのね」
ほむら「魔法少女とは言え、巴マミも中学生なんだから戸締まりはきちんとしないと危ないのに…」
ほむら「仕方ないわ、後ほ私が戸締まりをしておくしかないわね」
ほむら「それよりも…」
マミ「」
ほむら「…巴マミ、こうして見るとやっぱり中学生なのね」
ほむら「さて、ここに来たのはいいけど…どうしよう」
ほむら「何も考えていなかったわ」
ほむら「本人に話しかけると面倒なことになりそうだし…」
ほむら「ここは、私の勘に頼るしかなさそうね」
ほむら「んと…」ガサゴソ
ほむら「これだけあれば大丈夫かしら?」
ほむら「うん、大丈夫よね」ファサッ
マミ「」
ほむら「巴マミ……」
ほむら「色々あったけど、先輩…そして仲間だった時間軸があったのは確かよ」
ほむら「これはその時のお礼…とは言えないけど、受け取って欲しいわ」
ほむら「…さようなら」
マミ「」
ほむら「さてと、後は戸締まりを…あっ」
ほむら「私が戸締まりしたら、私も外に出られないじゃない…」
ほむら「それに、まどか達も帰ってくるのよね?」
ほむら「なら、戸締まりはしなくても…でも、万が一のことがあったら…」
ほむら「巴マミは魔法少女だから大丈夫だとは思うけど…でも万が一…ないとは思うけど」
ほむら「もしものことがあったら…」
ほむら「うーん………」
ほむら「……仕方ないわね」
まどか「ちゃんと買えたよね?」
さやか「うん、えーと?」
さやか「アイスよし!ポカリアスよし!バランスメイトよし!」
さやか「とりあえずこんなもんかな?後は…玉ねぎとか?」
まどか「玉ねぎ?何に使うの?」
さやか「ほら、首にまくと良いって言うじゃん」
まどか「玉ねぎ首にまくって…アスランじゃないんだから」
さやか「アスラン?なにそれ?もうやめるんだ?」
まどか「えっ?ほら、首に数珠つけてる…」
さやか「ん?……それ、アシュラじゃないの?」
まどか「え?あっ…!」
さやか「あははっ!まどかってほんとバカ!」
まどか「うぅ…」
さやか「まっ、間違いなんて誰にもあるさ!気にしない気にしない」
まどか「…うん、そうだね」
さやか「うんうん」
まどか「って!違うよぉ!」
さやか「えっ?何が?」
まどか「何で玉ねぎを首にまくの?それってネギじゃないの?」
さやか「えっ?ん?……あぁ!」ポン
さやか「あはは!やっちゃったぜ!」
さやか「あたしってほんとバカ!」
まどか「もぉー!さやかちゃんが変な間違いするからいけないんだよ?」
さやか「はいはい、ごめんね。んじゃ帰ろっか」
まどか「ティラミス買ってないよ?」
さやか「あー…うん、忘れてないよ」
まどか「…」ジトー
さやか「あはは…」
まどか「もう、早くケーキ屋さんに行くよ?」
さやか「それにしても、何でティラミスなんだろうね?」
まどか「好きだからじゃないの?」
さやか「んー、そりゃそっか」
まどか「ほら、行こっ?」
さやか「うん!」
マミ「すぅ…すぅ…」
マミ「ただいま、ママ」
母「お帰りなさい、マミちゃん」
母「今日は何をして遊んだの?」
マミ「えへへ、魔法少女ごっこだよ」
母「魔法少女?」
マミ「そうだよ。マミがね、魔法少女に変身してお友だちを守るんだよ!」
母「ふふっ。そうなんだ、楽しかった?」
マミ「うんっ!」
マミ「でもね?お友だちに『マミちゃんはひっさつわざがない』って言われたの」
母「必殺技?」
マミ「うん、良いお名前が思い付かないの…」
母「うーん…そうねぇ…魔法少女なんでしょ?」
マミ「うん」
母「なら…アイスストーム、ダイアキュートとかは?」
マミ「うーん…マミはね鉄砲で戦うの?」
母「えっ、鉄砲?魔法じゃないの?」
マミ「ううん、魔法の鉄砲だよ」
母「なんで?」
マミ「かっこいいから!」
母「ふふっ、そっか」
マミ「えへへ」
母「そうね…どんな時に必殺技を使うの?」
マミ「最後だよ、悪い人をやっつけるの」
母「最後…ならラストシューティングかな?」
マミ「らすとちゅーちんぐ?」
母「ふふ、どう?かっこいい?」
マミ「んーちがう」
母「あらっ…頭がやられても大丈夫そうな名前なんだけどなぁ」
マミ「?」
母「あっ、何でもないよ」
マミ「ママ、らすとちゅーちんぐは、いたりあ語なの?」
母「ううん、英語よ?」
マミ「いたりあ語なら何て言うの?」
母「えっ?イタリア語?」
マミ「うんっ」
母「え…なんだろう?フィナーレ…?」
マミ「ひなーれ?」
母「うーん…ちょっと調べてみるね」
マミ「わかったー」
母「最後の銃撃…よね?えーと…」
マミ「…」ワクワク
母「あった、これは…て、ティロ…?」
マミ「てぃろ?」
母「うん、ティロ・フィナーレね」
マミ「てぃろひなーれ!」
母「ふふっ、どう?今度はかっこいい?」
マミ「うん、かっこいい!」
母「そう、良かったね」
マミ「えへへ、てぃろひなーれ!」
母「気に入ったみたいね」
マミ「ママ、悪い人が来たらマミがてぃろひなーれでマミを守ってあげるね!」
母「ふふ、ありがとう。頼もしいわ」
マミ「てへへっ」
母「でもね?ママだけじゃなくて、みんなも守らなきゃね」
マミ「うんっ、ママもパパもお友だちも、マミがてぃろひなーれで守ってあげるの」
母「うふふっ、頑張ってね?」
マミ「うん、がんばるー!」
母「それじゃあママと約束しよっか?」
マミ「やくそく?」
母「うん、マミが大きくなった時、大切なお友だちが困っていたら助けてあげてね」
母「そして、そのお友だちと仲良くするのよ?」
マミ「うん、やくそくするー!」
マミ「マミ、お友だちを守って仲良くするね!」
母「ふふ、いいこいいこ」
マミ「えへへ」
まどか「もう買い忘れたものはないよね?」
さやか「うん、ばっちりよ!」
まどか「それじゃあ帰らなきゃ」
さやか「うん」
さやか「あと少しだね」
まどか「うん…あれ?ほむらちゃんだ」
さやか「うわ、また出たよ」
ほむら「………鹿目まどか、美樹さやか」
さやか「で、なに?マミさんに用でもあんの?それともあたし達に?」
まどか「さやかちゃん…」
ほむら「あなた達に忠告しておくわ」
さやか「なに?また魔法少女になるなとか?」
ほむら「…そうじゃないわ」
さやか「じゃあ何さ?」
ほむら「戸締まりはしっかりしておきなさい」
さやか「はぁ?」
まどか「あっ…」
ほむら「魔法少女とは言え、巴マミは中学生よ?万が一のことが起こったらいけないわ」
さやか「…あ」
ほむら「次からは気を付けなさい」
さやか「…う、うん。ごめん」
まどか「もしかして、ほむらちゃんが見守っててくれたの?」
ほむら「………」
シュンッ
まどか「あっ…」
さやか「き、消えた!?」
まどか「ほむらちゃん…」
さやか「これも魔法なの?」
まどか「うん、たぶんそうだよ」
さやか「それよりも、まさかあいつがマミさんを見守ってたって言うの?」
まどか「うん、絶対そうだよ」
さやか「……意外だなぁ」
まどか「ほむらちゃん、ありがとう」
さやか「あいつ、良いやつなのか、そうじゃないのか分かんないんだよねぇ」
まどか「ほむらちゃんは悪い子なんかじゃないよ?良い子だよ」
さやか「なんで分かるの?」
まどか「わたしも、ほむらちゃんとあんまり話したこと無いけど…」
まどか「でも、なんとなく分かるの」
さやか「ふーん?まぁ良いやつに越したことは無いんだけどね」
さやか「…もっと話してくれれば色々分かるのにさ」
まどか「さやかちゃん…」
さやか「それなら友だちにだって…」
まどか「うん…そうだね」
さやか「まぁこの話はまた今度!早くマミさん家行こっ!」
まどか「…うん」
マミホーム
まどか「おじゃまします」
さやか「次からは気を付けなきゃね」
まどか「うん。マミさんはまだ眠ってるのかな?」
さやか「寝てるんじゃないの?」
マミルーム
まどか「失礼しまーす…」
マミ「すぅ…すぅ…」
さやか「やっぱ寝てるね」
まどか「うん」
マミ「お母さん…」
まどか「!」
さやか「マミさん…」
マミ「…ん?」パチッ
まどか「あっ…」
マミ「あら…鹿目さん…美樹さん…?」
さやか「ごめんなさい、起こしちゃいましたね」
マミ「ん…」
まどか「マミさん、ティラミス買って来ましたよ」
マミ「ティラミス…?あっ!」
マミ「ご、ごめんなさい…寝ぼけてて…」
まどか「あっ、いえ、そんな…」
マミ「買ってきてくれたのね?ありがとう」
さやか「熱はどうですか?」
マミ「…うん、お陰さまで随分楽になったわ」
さやか「そっか、よかった」
まどか「でもまだ安静にしとかないと…」
マミ「ふふ、そうね」
さやか「あたしティラミスの準備してくるねー」
まどか「うん、お願い」
マミ「美樹さん、ありがとう」
まどか「わたしは…あれ?」
マミ「どうしたの?」
まどか「マミさん、グリーフシード置きっぱなしですよ?」
マミ「えっ?グリーフシード?」
まどか「ほら、こんなところに」
マミ「あれ?なんでそんなところに…?見せて?」
まどか「はい」
マミ「…?このグリーフシードは見覚えないわ」
まどか「えっ?」
マミ「これも、これも、これも…私は知らない…」
マミ「これは一体…?」
まどか「あっ、もしかして…」
マミ「!」
まどか「そのグリーフシードはほむ…」
マミ「暁美さん、来てくれたのね」
まどか「えっ?なんでわかったんですか?」
マミ「ふふ、ほらこの髪の毛」
まどか「あっ、それって…」
マミ「うん、これは間違いなく暁美さんのものだわ」
まどか「ほむらちゃん…!」
マミ「でも、どうして暁美さんが?」
さやか「さっきあいつと会ったときにマミさんのこと話したから…かな?」
さやか「なんでグリーフシード持ってきたのかは知らないけどさ」
まどか「きっと、ほむらちゃんなりのお見舞いなんじゃないかな?」
マミ「…そっか、ありがとう」
マミ「暁美さん…!」
さやか「…不器用なやつ、もっと話してくれてもいいのにさ」
さやか「それなら、あたしだって…」
マミ「そうね、もっとお話しできれば暁美さんとも仲良くなれると思うわ」ニコニコ
さやか「あはは、嬉しそうですね」
マミ「うん、嬉しいわ。だってあの暁美さんが私のところに来てくれたんだからね」
まどか「ほむらちゃん、ずっとマミさんのこと見守っててくれたんですよ」
マミ「えっ?そうなの?」
さやか「まあ、本人は何も話さなかったから本当かどうかは分からないけどね」
まどか「でもっ」
さやか「うん、わかってる」
マミ「今度、改めて暁美さんとお話ししたいわ」
マミ「お礼しなきゃね!」
まどか「うん、わたしもお話ししたいなぁ、きっとお友だちになれると思うもん」
さやか「…ま、あたしもついでに、一応」
まどか「てぃひひ!素直じゃないんだから」
さやか「い、いいじゃん別に!」
マミ「うふふっ」
さやか「それよりも、ほらっティラミスですよ」
マミ「わざわざごめんなさい」
まどか「良いんですよ、いつものお礼です」
マミ「ありがとう、嬉しいわ」
さやか「はい、どうぞ」
マミ「うん、いただきます」
まどか「美味しいですか?」
マミ「うん…」
さやか「あれ?マミさん?」
マミ「………」ポロポロ
まどか「ど、どうしたんですか?美味しくなかったの?」
マミ「…ううん、とっても美味しいわ」
さやか「じゃあ何で?」
マミ「ちょっと懐かしくってね」
まどか「懐かしい?」
マミ「うん、昔を思い出したの」
マミ「小さい頃にね、私が病気になった時はよくお母さんがティラミスを買ってくれたのよ」
さやか「あっ、だからティラミス食べたかったんだ!」
マミ「ええ、懐かしくってついね」
マミ「……それに、誰かに看病してもらったのも久しぶりでね」
まどか「マミさん…」
マミ「私、ずっとひとりぼっちだったから…だから、今とっても幸せなの」
マミ「でも、今はもうひとりぼっちじゃないのよね?」
マミ「鹿目さんと美樹さんが看病してくれて…暁美さんもお見舞いに来てくれたんだもの」
さやか「マミさん…!」
マミ「ありがとう、鹿目さん、美樹さん」
マミ「私、今凄く幸せよ!」
まどか「えへへ、ありがとうございます」
さやか「てへっ、嬉しいね」
マミ「ふふっ」
まどか「マミさん…わたし、さやかちゃんと考えたんです」
マミ「えっ?」
まどか「わたし達、まだ叶えたい願いも、魔法少女になる決心もつけられないんです」
マミ「…そうよね、無理して契約する必要なんて無いもの」
まどか「でも、マミさんの側にいることはできるから…だから」
マミ「!」
さやか「だから、あたし達マミさんを精一杯支えたいんです!」
さやか「それくらいしか出来ないけど…でもっ!マミさんの力になりたい!」
さやか「いつか魔法少女になった時も、ずっとマミさんと一緒に…!」
マミ「美樹さん…鹿目さん…」
まどか「全然役に立てないかもしれないけど…わたし、少しでも役に立てたらなって」
まどか「マミさん…ダメですか?」
マミ「ううん、ダメだなんてそんなっ」
マミ「すっごく嬉しいわ…!ありがとう!」
まどか「マミさん…!」
マミ「あなた達は最高の後輩よ!」
さやか「最高の後輩…か」
マミ「えっ?」
さやか「えっ?あ…う、嬉しいんですけど、マミさんにとってあたし達は…その」
さやか「後輩で、友だちじゃないのかな…って」
マミ「…!」
さやか「あはは…」
まどか「マミさん…」
マミ「……そうよね、後輩よりも大切なものだもんね」
マミ「ごめんなさい、美樹さん、鹿目さん」
マミ「あなた達は、最高のお友だちよ!」
まどか「えへへ、マミさん!」
さやか「そうこなくっちゃ!」
マミ「うふふっ」
マミ(そうよね…私はひとりぼっちなんかじゃない)
マミ(だって、私のことを想ってくれるお友だちがいるんだものね)
マミ(私、本当に幸せよ!)
マミ(鹿目さんに、美樹さん…きちんと話し合えば暁美さんとだって)
マミ(それに…佐倉さんとも、またいつかは…!)
マミ(だから私、これからも頑張らなくっちゃ!)
その後
まどか「がんばれー!マミさーん!」
さやか「いっけー!」
マミ(まだ私はお母さんとお父さんに会いにはいけないわ、ごめんなさい)
マミ(お母さん、私…約束したよね?)
マミ(私が大切なお友だちを守るって)
マミ(だから、またいつか会うその日まで待ってて)
マミ(私はまだまだ死ぬわけにはいかないもの)
マミ(大切なみんなを守るために)
マミ(この幸せな気持ちを守るために)
マミ(そして、ずっと仲良しでいるために!)
マミ(だから私はこれからも戦うわ)
マミ(お母さんが考えてくれた、この思いでの必殺技でね)
マミ「ティロ・フィナーレ!」
おわり
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