第一話 「おはよう」 (2)

 肛門からの排泄音が耳をくすぐる。

 ――糞、か。

 瞼をそっと持ち上げると、目の前に広がるのは茶色。

「おはよう、退屈な世界」

 仰向けのまま僕は呟く。

 写し取ったように同じ顔をした家族たち。

 ドラマの再放送を見るのを繰り返す日常。

 でも、僕はそんな単調さが嫌いではなかった。

 ぎしぎしと痛む体を無理矢理起き上げる。

 さあ、平凡な一日の始まりだ――。

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