宗介「765プロ…?」(392)
書き溜めはしてある
出来はいまいち
良かったら覗いてくれ
マデューカス『そうだ。旧友からの頼みでな。君には明日からの一ヶ月間を765プロのプロデューサーとしてアイドルたちの育成をしてトップアイドルにしてもらう。』
宗介「はっ、了解しました。しかし中佐殿、自分には千鳥かなめの護衛という任務があるのですが。」
マデューカス『それなら問題ない。君の代わりにウェーバー軍曹を派遣しておく手はずになっている。君はプロデューサーの仕事に専念してくれ。他に何か質問はあるかね?』
宗介「中佐殿、765プロとは一体なんの組織ですか?」
マデューカス『それについての情報は資料を読んでくれたまえ。そろそろ君の自宅に物資が届くはずだ。』
宗介「了解しました。」
ピンポーン
マデューカス『どうやら届いたようだな。それでは健闘を祈る。』
通信を切り、相良宗介は玄関に向かった。覗き穴から外を見ると、見知った人物が立っていた。警戒を解き、施錠を解除する。ドアを開けると金髪の美青年が立っていた。
クルツ「よう、ソースケ久しぶり。」
宗介「クルツか。上がってくれ。」
クルツ「おっじゃま~。って相変わらず殺風景なお部屋で…」
宗介「早速で悪いがクルツ、資料を見せてくれ。」
クルツ「へいへい。ほら、この中に必要なもんは入ってるから勝手に見てちょーだい。」
クルツは寝転がり、その隣のやや大きめのキャリーバッグを指差す。
宗介はキャリーバッグを開けると、仏頂面を少し歪め、クルツに向き直った。
宗介「クルツ、なぜスーツが入っているんだ?」
クルツ「なぜって、俺に言われても知らねーよ。俺はマオからバッグ渡されただけだし。お前、なんの任務に就くんだ?」
宗介「うむ、確か…765プロという軍事組織でプロデューサーになり、アイドルをトップアイd
クルツ「はあ!?765プロ?765プロって言ったかお前!?」
宗介の言葉を遮り、大声を上げるクルツ。
宗介「肯定だ。だがクルツ、大声を上げるな。近所迷惑だぞ。」
クルツ「お前にだけは言われたくねえよ!…はあ、なんでお前ばっかりそんな楽しそうな任務が来るんだよ…」
宗介「その様子だと765プロを知っているようだな。一体765プロとはどんな軍事組織なんだ?」
クルツ「バーカ!765プロっていえば今『竜宮小町』でブレイクし始めてる芸能プロダクションだろうが。」
宗介「『竜宮小町』?聞いたことがないな。新型のAS(アーム・スレイブ)の名前か?」
クルツ「ちげえよ!!アイドルだよ、アイドル!!」
宗介「そうだ、アイドルとはなんだ?」
クルツ「あ~面倒くさい。ほれ、これ見りゃわかるだろ。」
クルツはキャリーバッグの中に大量に入っていたDVDを1枚取り出し、ポータブルDVDプレーヤーに入れる。
数秒後、画面には『竜宮小町』が映っていた。
クルツ「はあ~、あずささんのおっぱいたまらねえな~って言ってる場合じゃねえな。いいかソースケ、この三人が『竜宮小町』ってグループのアイドルなんだ。」
宗介「なるほど、しかし見たところ彼女たちはサングラスをかけた男と談笑しているようなのだが、雑談をするのがアイドルの仕事なのか?」
クルツ「んなわけあるか。アイドルっていうのは歌や踊りですべての人に夢や希望を与える仕事なんだよ。タ○リとのトークは仕事の一環にすぎないの。ちょっと跳ばすぞ。」
そう言うと、クルツは早送りをした。数秒後には場面が切り替わり、『竜宮小町』がきらめくステージに立っている所が映っていた。
クルツ「お、ちょうどだ。見てみろソースケ、これを見たらお前もはまっちまうかもしれねえぞ。」
宗介「…」
宗介は数秒画面を無表情で凝視していたが、『竜宮小町』が歌いだすと表情を変え画面に顔を近づけた。
宗介「なんということだ…」
クルツ「おっ、ソースケもうはまったのか?誰だ?誰がいいんだこのムッツリめ!」
とクルツが茶化すが宗介の耳には届いていないようだ。そうこうしている内に曲は終わり、画面は真っ暗になった。
クルツ「いや~やっぱ最高だね『竜宮小町』は。好きすぎて俺もうCD5枚も買っちゃったからな~。どうだソースケ、アイドルがどういうものかわかっただろ?」
喜々と語るクルツに対し、宗介の顔面は蒼白である。
宗介「ああ、問題ない。理解したぞ、クルツ。アイドルとは、歌や踊りで民間人を洗脳し、自身の操り人形として戦場に投入させる催眠兵器のことだな。」
クルツ「全然違う!」
宗介「しかし現に先ほどの映像では観客と見受けられる男たちが一糸乱れぬ統率で掛け声や手振りをしていたぞ。あれを洗脳と言わずしてなんというのだ?」
クルツは大きく肩を落とし呆れ顔でため息をつく。
クルツ「(…もうこいつに説明すんのめんどいから、放置するか。) あ~そうだよそうだよ。765プロっていうのは催眠兵器を養成する場所で、お前はそいつらを育成する教官として働くんだよ。トップアイドルってのはその中でも最高の催眠兵器のことを言うの。わかったか。」
宗介「なるほど。つまり俺が彼女たちを催眠兵器として育て上げていけば、結果としてミスリルの軍事力の増長に繋がるのだな。」
宗介は一人納得したような顔をしている。
クルツ「ソーダヨ ソースケハリコウダナー」
一方のクルツは完全に匙を投げており、765プロのアイドルたちの情報が記されている資料を眺めている。
クルツ「うお~、やっぱりみんな可愛いな。中でもあずささんはダントツで美人だな~。おっぱい揉みしだきて~。お、ソースケ見てみろよ、この子カナメに似てるぞ。」
「カナメ」に反応した宗介が資料を見てみると、青い長髪の少女の写真があった。
宗介「…ふむ、確かに千鳥にそっくりだ。だが似ているがどこかが違うような…」
クルツ「あ~、そりゃあまあそうだろうな。この子胸囲が72センチしかないみたいだし。」
宗介「なるほど、胸囲か。」
千早「へっくし!!…風邪かしら?」
クルツ「まあ、カナメの護衛は俺に任せてくれ。あ、その代わり、『竜宮小町』のサインを貰ってきてくれよ。ちゃんと、クルツ君へって書いてもらってな。」
宗介「了解した。」
と宗介は何かを思い出し、急にダラダラと汗をかき出した。
クルツ「どうした?」
宗介「…三日後に古文のテストがあることを忘れていた。」
クルツ「なんだそんなことか。安心しろ、いざって時には俺が変装をしてテストをうk
宗介「遠慮する。」
クルツの台詞を遮断し、携帯をいじって電話をかける。
prrrr
宗介「千鳥か?俺だ、相良宗介だ。」
千鳥「何よ、あんたが電話かけてくるなんて珍しいわね。」
電話の相手は宗介の護衛対象の千鳥かなめだった。
宗介「大変恐縮なのだが、俺の頼みを聞いて欲しい。」
千鳥「な、何よ改まって…。ま、まあどうしてもって言うなら聞いてあげてもいいけど。」
クルツ「(テンプレ通りのツンデレ、ごちそうさまです。)」
宗介「実は明日から一ヶ月の間、新しい任務に就くことになった。その間学校は休む。そこでそのことを先生に伝えて欲しい。」
千鳥「…はあ?なにそれ、そんなの自分で言いなさいよ!バカソースケ!!」ブッ、ツーツーツー
宗介「切られてしまった。」
クルツ「そりゃそうだろ。」
翌日 ー765プロ社長室ー
社長「いやー君が相良君だね。話はマデューカスから聞いているよ。うん、いい面構えだね~、君ならたった一ヶ月だけでも彼女達をトップアイドルへと導けるだろう。期待しておくよ。」
宗介「はっ、光栄であります社長殿!」
社長「うんうん、いい声だ。それじゃ後でアイドルの娘たちに挨拶をしてもらって、その後から仕事にしよう。それまでは適当にくつろいでいてくれたまえ。」
宗介「はっ、失礼します!」
回れ右をして社長室を出ると、宗介は深く息を吐き出した。
宗介「(なんというプレッシャーだ…気を抜けば殺されていたな…!!あれは恐らくガウルン以上の威圧感だ。やはり恐ろしいところだな、765プロ…!…しかし、なぜ全身黒っぽかったのだろうか?)」
などと考え事をしていると事務所の扉が開いた。
ガチャッ
小鳥「おはようごz
宗介「誰だ貴様!」カチャッ
腰から銃を取り出し、扉から出てきた人物に反射的に構える。
小鳥「ピヨッ?!」
宗介「両手を挙げて後ろを向け!」
小鳥「ピ、ピヨッーーー!!」
宗介「もう一度だけ言う、両手を挙げて後ろを向け!さもなければ撃つぞ!」
小鳥は言われたとおり手を挙げ後ろを向いた。
宗介「そのまま壁に手を付け腰を引け!」
小鳥「は、はいぃぃぃぃ!」
小鳥が言われた通りに壁に手を付け腰を引くと、宗介は小鳥の腰に銃を突きつけ、そのままボディチェックを始めた。
宗介「貴様何者だ?」サワサワ
小鳥「な、765プロのものですぅ…」
宗介「ふん、その手は効かんぞ。俺は昨日でこの事務所のアイドル達の情報は全て把握したが、貴様のような女の情報はどこにもなかった。」サワサワ
小鳥「わ、私、事務員です…」
宗介「」
慌てて資料を確認すると、確かに事務員の紹介欄に目の前の女性の情報が記載されていた。
宗介「し、失礼しました!音無殿!」
宗介は銃を腰に収め、慌てて敬礼する。
小鳥「うぅ…怖かったよう…まさか日本で銃を向けられるなんて…」グスッ
宗介「申し訳ありません。自分は本日より765プロに配属することになった相良宗介であります。どうかこの度の無礼をお許しください。」
小鳥「うう…(あれ?よく見るとこの人イケメンじゃない。キ、キターーー!!!これを逆手にとって脅せばあわよくば…ぐへへ…)」
そうこうしていると、再び事務所のドアが開いた。
宗介「誰だ?!」カチャッ
律子「きゃあ!?」
悲鳴を上げる女性の顔を見て宗介は銃を下ろし、敬礼をした。
宗介「おはようございます、秋月殿!自分は本日より765プロに配属されることになった相良宗介であります!」
呆然としていた律子だったが、数秒後には状況を飲み込んだらしかった。
律子「は、はあ。わ、私は秋月律子です。『竜宮小町』のプロデューサーをやっています。よ、よろしく。ところであなた、いきなり人に銃口を向けるなんt
ガチャッ
カチャッ
春香「おはようご…キャアアアアアアアアア!!!!!」
宗介「誰だ!きさm
律子「いい加減にしなさい!!」
銃を向ける宗介の頭に律子の拳が入った。
同時刻 ー都立神代高校2年4組教室ー
恭子「おはよーかなちゃん。」
千鳥「あ、おはよー恭子。」
恭子「あれ、今日は相良君来てないの?」
千鳥「あのバカは今日から一ヶ月間バイトで休むってさ。」(朝クルツから聞いた)
恭子「そうなんだ。なんのバイトなの?」
千鳥「765プロでプロデューサーとして働くんだってさ。」
恭子「え?765プロってあの765プロ?」
千鳥「そ、あの。『竜宮小町』の765プロだってさ。」
恭子「すごいねー相良君!あれ?でも相良君ってテレビとか見るの?アイドルのこととか知らないんじゃないかな。」
千鳥「そこなのよねー。あのバカのことだからアイドルに対して『誰だ貴様!!』とか言って平気で銃口向けそうだから、いつニュースになるか気が気じゃないのよ。」
恭子「え~?いくら相良君でもさすがにそれはないよ~」
千鳥「まあ、そーよね。いくらあのバカでもそれはないわよね~」
HAHAHAHAHAHAHA…
一時間後 ー765プロー
律子「まったく…いい加減にしてください!!事務所のドアが開くたびに銃口向けるなんてあなたどんな教育受けてきたんですか?!アイドルのトラウマになったらどうするんですか?!」
仁王立ちする律子の前には、正座して説教されている宗介の姿があった。
宗介「申し訳ありません、秋月殿!以後気をつけます!」
説教をされていてもその姿はへこたれることはなく、むしろ凛々しささえ感じさせた。
律子「はあ、もういいです。今度からは気をつけてください…。さて、みんな揃ったわね。」
後ろを向くと所属アイドル達の姿があった。朝から銃口を向けられるというハプニングを体験した彼女たちは皆ぐったりしており、中には気絶しているものまでいる。
律子「お待たせみんな。今から新しいプロデューサーを紹介するからこっちに来て。あ、真は雪歩を起こしてあげて。」
彼女たちは、先ほど自分たちに銃口を向けた相手に恐る恐る近づき、距離にすると5cmほど宗介との距離を縮めた。
律子「まあ、怖がるのも無理ないか…じゃあ、改めて紹介するわね。こちらが今日から我が765プロの新人プロデューサーとして配属された、相良君よ!!さあ、自己紹介どうぞ。」
宗介「相良宗介だ。プロデューサー経験はないが、心配はいらない。俺が必ず君たちをトップアイドル(洗脳兵器)へと導いてみせる。約束しよう。」
律子「おお!これは頼もしいわね。何か質問があれば自由に訊いていいわよ。」
全員「………」
765プロが沈黙に包まれた。
律子「(誰も質問しない…こうなったら私が!)は、はーい!プロデューサーって若く見えますけど何歳なんですかー?」
宗介「はっ、自分は17歳であります!秋月殿!」
宗介の回答に高校生組が反応した。
春香「えっ?あの、17歳ってことは高校生…ですよね?」
宗介「肯定だ。俺は都立神代高校に通っている高校2年生だ。」
真「2年生って僕や雪歩より1つ下じゃないか。」
宗介「肯定だ。」
素人ではない。プロデューサーだ
千早「高校生がプロデューサーなんてできるのかしら。」
宗介「問題ない。プロデューサーとして必要な情報は全て頭に叩き込んである。俺も出来る限りのことはするが、トップアイドルになれるかどうかはお前たちのがんばり次第だ。」
律子「ちょ、ちょっと待って。17歳ってことは車の免許持ってないんじゃないの?!」
宗介「その点は心配無用です、秋月殿。(ミスリルから)支給された免許があるため普通自動車から大型バスまで運転できます。」
律子「そ、そう…(免許の支給ってなに?訊きたいけど怖いから訊かない方がいいわね。)」
亜美「ね→兄ちゃん、さっきの銃亜美に貸して→」
真美「あっ、ずるいよ亜美。兄ちゃん、真美にも貸して→」
宗介「いいだろう。だが危険だからセーフティーは解除するなよ。」
亜美・真美「やった→!!」
キャッキャ ウフフ
雪歩「な、なんでモデルガンを持ち歩いているんですかぁ?」
宗介「資料によると芸能界というところは、いつなにが起こるかわからない非常に危険な戦場だとあったからな。備えあれば憂いなしというわけだ。」
と宗介はドヤ顔で説明する。
律子「あの~、念のため聞いておきますけど、あの銃ってもちろん偽物ですよね。」
宗介「………もちろんであります。」
律子「亜美、真美!今すぐ銃をこっちn
律子の声を遮って銃声が響き、次いでガラスの割れる音が765プロ内にけたたましく響いた。
宗介「伏せろ!!!」
宗介の声に反応しその場にいた者は頭をかばい必死に伏せる。
一同「キャアアアア!!!」
悲鳴が消え、一転して静かになる事務所。銃声のした方に行くと亜美と真美が呆然と立っていた。
亜美・真美「に、兄ちゃん…」
宗介「怪我はないか?」
亜美・真美「う、うん…でも事務所の窓が…」
宗介「心配することはない。お前たちが無事なら大丈夫だ。さあ、銃をこちらに渡すんだ。」
亜美・真美「兄ちゃん…はい、返すね。」
宗介「よし、これにて一件落着だ。もうこんな危険なことはするんじゃないぞ。」
律子「そもそもあんたがそんな物騒なものを持ち込んだのが悪いんだろうが!!!」
スパーン!!!!
ハリセンの快音が事務所に響いた。
数時間後 ーオーディション会場ー
宗介「ここがオーディション会場とやらか。」
―回想―
律子「私は『竜宮小町』の取材があってそちらに顔を出さなければいけないので今日は面倒を見られません。他の子達はレッスンなんですけど、雪歩だけオーディションがあるので連れて行ってもらえますか?」
宗介「了解であります!秋月殿!」
律子「もし何かわからないことがあったらすぐに連絡してください。それと、絶対にトラブルは起こさないでくださいね?」
宗介「はっ、お任せ下さい!」
―回想終わり―
雪歩「………」
宗介「(萩原雪歩。資料によると極度の男性恐怖症とあったな。プロデューサーとしてはオーディションの時は話しかけて緊張をほぐしてやると良い、とマニュアルにはあったが、男性恐怖症の女に話しかけてもいいものだろうか。)」
雪歩「(うう、こ、怖いよぅ。なんで数時間前に銃口向けた人と一緒に行動しなきゃいけないの…?それにこの人ずっと無言だし…何考えてるかわからないよぅ。真ちゃん助けて!!)」
気まずい空気がいつまでも続くかと思われたとき、二人の前に立ちふさがる人物が来た。
ひかり「あら、あんた765プロのやつじゃない。」
今人気急上昇中のアイドルグループ『新刊少女』のひかりが現れた。
ひかり「あんたも受けるの?オーディション。」
雪歩「は、はいぃ…」
強気なひかりに対し、雪歩はおどおどと弱気な姿勢を見せる。
ひかり「ぷっ、あはははは。あんたみたいなちんちくりんなのが受けるんだ。マジでウケるね。時間の無駄だから帰ってレッスンしていたほうがいいんじゃないの~?」
雪歩「………」
ひかりの罵倒に雪歩は何も言い返せず、ただ拳を強く握り締めるしかできなかった。
宗介「(この女、確か『新刊少女』のひかりだったな。映像で見た性格とは全く違って醜悪な性格のようだな…使い分けが手慣れているとこから見るに、スパイの訓練でも受けているのだろうか?)」
などと考える宗介をよそに、ひかりの罵倒はなおも続いている。
宗介「(ふむ、マニュアルによるとここらへんで止めるとパーフェクトコミュニケーションになるらしいな。では、この女がアクションを起こしたら止めてみるか。)」
と宗介が決めたその時、ひかりがアクションを起こした。
ひかり「おい、黙ってないでなんか言えって。」
ひかりが雪歩を突き飛ばそうとして手を伸ばす。しかし、もう少しで雪歩の肩に手が届く寸前で宗介に腕を掴まれた。掴まれたと思った瞬間には腕を捻られ、そのまま肩を極められしまい、気がつくと身動きが取れない状態で壁に押し付けられていた。
宗介「我が社のアイドルに何をするつもりだ。」
宗介の質問には答えず、ひかりは身を捩ってなんとか拘束から逃れようとしている。
ひかり「うるさい!離せ!!」
宗介「…もう一度訊こう。貴様、我が社のアイドルに何をするつもりだ。」
ゴリッ
ひかり「ッ!!!!!」
ひかりは背中に突きつけられる重く冷たい感触を察し、全身から血の気が引くのを感じた。
ひかり「た、助けて…」
異常を感じたギャラリーが集まりだし事態が大事になりつつあった。
雪歩「ぷ、プロデューサー!私なら大丈夫ですから、は、離してあげてくださいぃ!」
宗介は雪歩を一瞥すると、ひかりの拘束を解き、何事もなかったかのように雪歩の後ろに付いた。
拘束を解かれたひかりは、その場にぺたんと座りこむと泣き出してしまった。
事態を見守っていたギャラリーは散っていったが、代わりにどたどたと走る足声が近づいてきた。
新刊P「おい、大丈夫かひかり!!!」
ひかり「ぁ…ぷろ…っく…デューサー…」
新刊Pはこちらを睨みつけるとそのままこちらに向かって近づいてきた。鬼のような形相に恐れをなした雪歩はすかさず宗介の後ろに隠れる。
新刊P「おいお前!一体どこの事務所だ?!うちのアイドルに手をあげやがって、許さねえぞ!」
今にも宗介に掴みかからんばかりの勢いで詰め寄る新刊P。だが、一方の宗介は全く動じず冷静である。
宗介「何を言っている?先に手を出したのはそちらだ。こちらは正当防衛として対処しただけだ。」
新刊P「何言ってやがる!現にこうしてうちのアイドルが泣いてるじゃねえか!被害者はこっちだろ!来い!オーディション失格にしてやる!!」
新刊Pの脅しに反応した宗介は、ほんの少しだけ眉をひそめる。
宗介「それは困る。彼女たちをトップアイドルにするのが俺の任務だ。それを邪魔しようとするのなら、仕方がない…」
そう言うと宗介はおもむろに胸ポケットから一枚の写真を取り出し新刊Pに突きつけた。新刊Pはその写真を見ると、真っ赤な顔を真っ青に変える。
新刊P「い、一体どこでこれを?!」
宗介「機密事項だ。俺はこのことを口外する気はない。が、もし貴様がこれ以上俺の任務の邪魔をするというのなら、うっかり週刊誌などに流出してしまうかもしれない。」
新刊Pは悔しそうに顔を歪ませると壁を殴りつけた。その音に反応し、後ろの雪歩が身を震わす。
新刊P「ぐぬぬ…貴様、覚えておけよ!!ほら立てひかり、行くぞ!!」
新刊Pはひかりの手を掴み無理やり立たせて連れて行った。
宗介「赤くなったり青くなったり忙しいやつだ。」
雪歩「あ、あのぅ…プロデューサー」
すごすごと後ろから雪歩が顔を出す。
宗介「なんだ?」
雪歩「あ、あの、ありがとうございますぅ!私のこと助けてくれて…私、プロデューサーのこと怖い人だと思ってましたけど、本当はいい人なんですね!!今日のオーディションはプロデューサーのために頑張りますぅ!」
宗介「そうか、頑張ってくれ。」
雪歩「は、はい!!」
テッテレーテレテレッテレー
パーフェクトコミュニケーション
宗介「(よし、パーフェクトだ。)」
数十分後 ―控え室―
宗介「(さて、では俺もそろそろ動き出すか)雪歩、俺は少し席を外す。その間イメージトレーニングや調整をしておくんだぞ。」
雪歩「は、はい!」
―会場内男子トイレ―
男子トイレに一人の男が入ってきた。それは、今回のオーディションの審査員だった。
審査員「~♪」
審査員が鼻歌交じりで陽気に用を足していると、個室トイレのドアが静かに開いた。
宗介「…」
宗介は音も無く審査員の背後に忍び寄ると、審査員の首筋に抜き身のナイフを添えた。
宗介「動くな。」
審査員「ひぃっ!?」
宗介「声をあげず、顔はそのままで、ゆっくりと後ろに下がるんだ。」
審査員を個室に誘導すると、宗介は審査員に手錠をし、アイマスクをつけ、ガムテープで口を塞いだ。その動作は一切の無駄がなく手馴れた手口である。
審査員「ん゛ー!ん゛ー?!」
宗介「安心しろ、殺しはしない。俺はあんたと交渉しに来ただけだ。」
審査員「ん゛ー?!」
宗介「なに簡単なことだ。今人気の『新刊少女』のひかりを、今回のオーディションで落とすだけだ。あとは普通に審査してくれればいい。どうだ、簡単だろう?」
審査員「ん゛ー!」コクコク
宗介「よし、交渉は成立だ。ただ、もし貴様が気の迷いを起こし、俺との交渉を反故にした場合は…どうしようか。ああ、そうだ、お前には確か妊娠中の嫁がいたな。」
「嫁」という言葉が出た瞬間、審査員は今までで一番の反応を示した。
審査員「!」
宗介「確か、先月から育児休暇を取っており、今の時間帯は自宅で安静にしているはずだな。」
審査員は顔面を蒼白にしブルブルと震えている。
宗介「そういえば、あそこは最近強盗事件が多発している地域だったな。もし、今こうしている間に自宅が襲われでもしたら…。ああ、すまん、話が逸れたな。さて、保護にされたらどうしようか?」
宗介は審査員のガムテープを剥がす。
審査員「わかった!ひかりを落とす!だから、だから嫁にだけには…手を出さないでくれぇ…!」
審査員はそう言うとしくしくと泣き出してしまった。
宗介「その言葉が聞きたかった。」
テッテレーテレテレッテレー
パーフェクトコミュニケーション
宗介「(よし。)」グッ
―控え室―
雪歩「あ、お、おかえりなさいプロデューサー。」
宗介の姿を見た雪歩は表情を柔らかくして宗介に近寄る。
宗介「どうだ、準備は出来たか?」
雪歩「はい、大丈夫です!」
宗介「そうか。普段通りにやればうまくいくだろう。緊張せずに臨むんだ。」
雪歩「はい、わかりました!」
控え室のドアが開き、スタッフからオーディションの開始が告げられた。
宗介「よし、行って来い!」
―オーディション終了後―
雪歩「プロデューサー!オーディション受かりましたー!」
走ってくるなり雪歩は宗介に報告をした。その表情は今日一番の輝きである。それにつられてか宗介も柔らかな笑を浮かべている。
宗介「それは何よりだ。」
雪歩「私みたいなちんちくりんがドラマの主演になれるなんて夢にも思ってませんでした…これはプロデューサーのおかげですぅ!」
宗介「何をいっている?俺は何もしていない。これは雪歩の実力で掴んだ結果だ。(確かマニュアルだとここで頭を撫でてやれば良いと書いてあったな…よし。)」
宗介は雪歩に近づき、頭を撫でた。雪歩は一瞬びくりと体を震わせたが、それ以降は顔を真っ赤にしながらもおとなしく撫でられていた。
宗介「(もうそろそろ手を離すか…)よし、それでは事務所へ帰投して音無殿と秋月殿に報告をしよう。」
雪歩「は、はいぃ…」プシュー
宗介「?どうした、顔が真っ赤だぞ。熱でもあるのか?」
顔を近づけようとする宗介だったが、雪歩は慌てて手を顔の前に出してそれを防いだ。
雪歩「だ、だだだ大丈夫ですぅ!早く事務所に戻りましょう?!」
宗介「?そうか。ならいいが…(しまった、頭を撫でるのは失敗だったか?これではバッドコミュニケーションに…!)」
テッテレーテレテレッテレー
パーフェクトコミュニケーション
宗介「(マニュアル…やはり本物だったか…!!)」
宗介は翌日から、支給されたプロデュースマニュアルと、権力者たちの表に出るとまずい情報を駆使し、今まででは考えられないほどの量の仕事とオーディションの合格をアイドルたちに提供した。
アイドルたちは、表向きは敏腕プロデューサーの宗介の頑張りに答えようと、与えられた仕事にひたむきに取り組んだ。もともとの実力があった彼女たちは世間に出るきっかけを得ると、瞬く間に世間に認知され始めていった。
2週間後 ―765プロ―
宗介「みんな、集まってくれ!」
宗介が一声かけると竜宮小町を除いたアイドルたちが宗介のもとに集まった。
この2週間の内にアイドルたちは宗介に対して絶大なる信頼をおくようになっていた。
春香「どうしたんですか、プロデューサーさん?」
宗介「今日はお前たちにいい報告がある。」
「いい報告」という言葉に彼女たちは瞳を輝かせ宗介の言葉を待つ。
宗介「3日後に行われるロック・フェスティバル、通称『夏フェス』とやらに我々765プロが参加することが急遽決まった。」
宗介の「いい報告」を聞いた彼女たちは、数秒の間をおいて騒ぎ始めた。
真「な、夏フェスってあの夏フェスですか?!」
真が興奮した様子で宗介に尋ねる。宗介は冷静に答えを返す。
宗介「『あの』と言われてもわからないが、夏フェスというものに出ることは間違いない。」
千早「も、もちろん歌えるんですよね?」
宗介「ああ。だが、歌えるのは全員で一曲だけだ。そこで、何を歌いたいかお前たちに聞きたいのだが…」
やよい「あの、その前にちょっと訊いてもいいですか?」
宗介「なんだ?言ってみろ。」
やよい「なんで急に私たちが参加できるようになったんですか?」
騒いでいた彼女たちだったが、やよいの疑問に同調したのか問いに対する宗介の回答に耳を傾けることにした。
宗介「…音無殿から聞いた話だと、参加予定のグループがなんらかのことが原因で解散してしまったようだ。そのため1グループ分の空きができたから、今勢いのある765プロにオファーが来た。という理由だそうだ。」
やよい「なるほど納得ですー!」
雪歩「あの、竜宮小町じゃなくて私たちでいいんですか?」
宗介「ああ、ちょうどライブの日とブッキングしてしまっているからな。だが、これは竜宮小町を出し抜くチャンスでもあることは確かだ。」
黒井「765プロは卑怯な手段で仕事を取っているんだ!」
宗介「…他に何か質問がある者はいるか?」
宗介の問いかけにアイドルたちは首を横に振る。
宗介「よし、質問がないようなら今からみんなで早急に歌う曲を決めてくれ。ただし、仕事が入っている者は仕事に遅れないように行動しろ。解散!」
宗介が手を叩くとアイドルたちは曲決め作業に没頭した。宗介はその様子を見つつ、何かに思案を巡らせていた。
宗介「(確かにオファーが急すぎるな。理由としては納得できるが、なにか嫌な胸騒ぎがする…念のためミスリルに情報を回してもらうか。)」
3日後 ―夏フェス会場―
やよい「うっうー!人がいっぱいいますー!!」
会場には見渡す限りに人が詰め込まれており、猛暑と相まって異常な熱気を放っている。元気なやよいや真、涼しげな千早に対しほかのアイドルたちは暑さにやられたのか少しぐったりしている。
春香「う゛ぅ~、暑すぎるよ~」
真「ほら春香そんなところで寝てないで早く打ち合わせしようよ!」
春香「ちょっと待ってよ…せめてあと10分だけ休ませて…」
真「何言ってるんだよ?!僕たちの初ステージなんだからもっと気合入れないと!ほらプロデューサーも何か言ってやってくださいよ!…ってプロデューサーどうかしましたか?」
宗介「…いや、問題ない。真、無理な調整はかえって逆効果になる可能性がある。不満だとは思うが10分だけみんなを休ませてやってくれ。」
真「う~プロデューサーがそう言うなら仕方ないですね…じゃあ僕その間にいろいろ見てきますね!」
そう言うと真は走ってどこかへ行ってしまった。
宗介「(やはり嫌な胸騒ぎがする。あれからオファーをよこした961プロについてミスリルに調査させたが、全く情報が見あたらなかった…
唯一わかったことは961プロも夏フェスにアイドルグループを参加させているということだけだ…確か『ジュピター』と『プロジェクト・フェアリー』だったな…念のため少し偵察をしてくるか。)」
アイドルたちには挨拶廻りをしてくるという口実をつけて宗介は961プロの控えブースへと偵察に向かった。
ー961プロブース近くー
宗介「どうやらあそこのようだな…」
宗介が物陰から961プロのブースを覗くと『ジュピター』と『プロジェクト・フェアリー』と見られるグループが待機しているのが確認できた。
宗介「(あれが961プロのアイドルグループか…あの茶髪の女の雰囲気は凄まじいが、それ以外はそれほどの実力があるとは思えない…念のため誰か縛り上げて情報を聞き出すか。)」
宗介が監視を続けていると、男性グループと思われる内の一人が席を離れて出ていった。それを見計らい行動を起こそうとしたとき、宗介の後頭部に硬いもの押し付けられた。
あとどのくらい?
宗介「っ!!!」
???「貴様、こんなところでぬぅわにをしている?」
宗介「(くそ、いつのまに…)」
???「貴様、見たところ業界の人間のようだな。他所の偵察とは…どこの事務所だ?」
宗介「…765プロの者だ。」
???「765プロだとぉ?貴様こちらを向け。」
宗介は言われるがまま声のする方へ向き直る。すると目の前には765プロの社長と同じような全身が黒っぽい男が立っていた。
>>106
今3分の1くらい
宗介「(こいつ…!!社長と同じ…なんて威圧感だ…くっ、睨まれるだけで気を失いそうだ…!!)」
男は宗介の体を舐めるように観察すると、不敵な笑みを浮かべた。
???「ふん、貴様ぬぅわかぬぅわかいい面構えをしているな。なるほど…あいつが気にいるわけだ。貴様、名は?」
宗介「相良宗介だ。(こいつ、何を言っている…あいつとは社長のことか…?まさかこいつは?!)」
黒井「相良宗介か、良い名だ。私は黒井嵩男だ。961プロの社長をやっている。」
宗介「…俺をどうする気だ。」
黒井「もちろんペナルティを与えるさ。悪い子にはお仕置きをしなければならないからな。だが、貴様が我が961プロの従順な犬になるというのなら、今回の件は不問にしてやろう。どうだ?」
宗介「…断る。」
黒井「ふん、まあそうだろうな。では残念だがお仕置きだ。」
黒井は銃口を宗介の眉間に突きつける。あと引き金を少し引くだけで宗介は死ぬ。
宗介「(どうやらここまでか…)」
黒井「…と、思ったがやはりやめよう。」
黒井は構えていた銃を下ろし、腰に収めた。
宗介「…見逃すということか?」
黒井「わざわざフェスに足を運んでもらったんだ。貴様もアイドルたちの活躍を見ずに死ぬのは本望ではないだろう?」
宗介「肯定だ。」
黒井「ただ、勘違いするなよ。今後別の形でペナルティを与える予定には変わりはないがな。心変わりしたらいつでも961プロに来い。私の手足としてこき使ってやる。フゥーハハハハハ!!」
黒井は高笑いをしながら961プロのブースへと消えていった。その場に残された宗介は、極度の緊張から解放されたためかバタリと倒れ気を失ってしまった。
5分後 ー765プロのブースー
宗介「(…ここは…そうだ…俺は961プロに………!)」
我に返った宗介が目を覚まして体を起こすと、765プロのアイドルたちが宗介に気がつき集まってきた。
春香「プロデューサー!もう大丈夫なんですか?!」
アイドルたちは心配そうに宗介を見ている。
宗介「ああ、問題ない。どうやら心配をかけたようだな。」
真美「ホントだよ→!雪ぴょんなんて兄ちゃんが倒れてるときずっと泣いてたんだよ。」
雪歩「ま、真美ちゃん!」
慌てる雪歩の反応に思わずみんなが笑った。
宗介「ありがとう、雪歩。しかし、俺はどうやってここまで来たんだ?」
真美「まこちんが兄ちゃんをおんぶして運んで来てくれたんだよ→」
見ると真はドヤ顔で胸を張っている。
真「ぶらぶらと探索してたらプロデューサーが倒れているのを見つけたんで、慌てて背負って連れてきたんですよ。どうです、僕偉いでしょう?」
宗介「そうだったのか。真、ありがとう。礼を言うぞ。」
真「えへへ。でも、なんであんなところで倒れていたんですか?」
宗介「…オファーをしてくれた961プロに挨拶をしようと思った所で目眩がしてな、どうやら俺も暑さにやられてしまったようだ。」
その時宗介は「961プロ」という言葉に彼女たちが反応し、表情を曇らせたのを見逃さなかった。
宗介「…961プロについて何か知っているのか?」
重い沈黙が数秒続いたあと、千早が重い沈黙を破って話し始めた。
重い沈黙が数秒続いたあと、千早が重い沈黙を破って話し始めた。
千早「…961プロには、以前まで765プロにいた星井美希というアイドルがいるんです。美希は紛れもなく天才と呼べる、ほかのアイドルと一線を画す才能を持っていました。
実際、竜宮小町が売れる前は、美希一人の力で765プロは成り立っていたんです。でも、ある日突然961プロに移籍するといって765プロから姿を消したんです…今は961プロの『プロジェクト・フェアリー』というユニットで活動をしています。」
宗介にとってこの情報は初耳だった。ミスリルから支給された資料にもそのようなことは記載されていなかった。恐らく黒井社長の手により抹消されたのだろう。
ブース内には変わらず思い空気が漂う。そう空気を破り、春香が発言する。
春香「確か今日は美希も来てるんだよね?美希に私たちのステージを見てもらおうよ!」
真「そうだね…ってそうだ、のんきに話してる場合じゃないよ!早く調整しないと!」
真の言葉でアイドルたちは我に帰り、散っていった。
―本番5分前―
宗介はステージの袖で待機しながら、会場に不審者がいないか観察している。宗介の隣にはアイドルたちが緊張した面持ちで出番を待っている。見てみるとみんな顔面の様子がおかしい。
宗介「(こんなに緊張している彼女たちがいずれはこの大観衆を洗脳する軍事兵器になるのか…末恐ろしいが胸が熱くなるのも事実だ…)」
宗介の視線に気づいたやよいが訝しげな顔を向ける。
やよい「どうしたんですかプロデューサー?」
宗介「いや…お前たちの行く末を早く見てみたいと思っていた。想像していたんだ、お前達がステージに立ち、歌って踊って、大衆を歓喜させている光景を、な。」
やよい「…わかりました!私、プロデューサーにその光景を見せられるように頑張ります!」
春香「私も頑張ります!」
千早「ええ、私も美希に胸を張れるように精一杯歌うわ。」
真美「真美はこのセクチ→ボディで観客をメロメロにしちゃうもんね→!」
真「僕はダンスで会場中の注目を独り占めしちゃいますからね!」
雪歩「わ、私も失敗しないように頑張りますぅ!」
先ほどまで緊張していた彼女たちの姿はそこにはなく、輝くステージに思いを馳せている少女たちの姿があった。
宗介「お前たち…ならば俺に見せてみろ!お前たちの真価を!」
一同「はい!!」
宗介「行け!!」
宗介が叫ぶとアイドルたちは輝くステージに向かって走っていった。
彼女たちの走っていく姿を見ていた宗介の肩に手が添えられる。
宗介「っ!!」
慌てて横を見ると、黒井が気配もなく立っていた。
黒井「そう睨むなよ。ほら、彼女たちのステージが始まるぞ。」
黒井は顎でアイドルを指すが、宗介は視線をそらさず黒井をにらみ続けている。
宗介「貴様、なぜここに?」
黒井「おいおい、オファーをしたのは私だぞ。見物しにきたのだよ。ここは特等席だからな。ほら見ろよ、始まるぞ。」
宗介は視線を逸らし、ステージへと向ける。全員が配置につき、今まさしく始まるところだった。
ARE YOU READY!!
I'M LADY!!
始めよう
やれば出来るきっと
絶対私NO.1
宗介「よし、出だしは完璧だ。(客の洗脳もまずまずだ。)」
黒井「ふむ、だがいつまで続くかな。」
宗介「どういう意味だ?」
黒井「そう慌てるなって。そのうち分かるんだから。」
宗介「質問に答えろ!!」
宗介は思わず声を荒げる。
しかし、黒井は何も答えようとせずステージを見ている。焦燥感にかられた宗介が腰の銃に手を伸ばそうとしたが、あっけなく手をつかまれてしまった。
歌で洗脳とかおそろしあ
黒井「おいおい、そんな無粋なものを出そうとするんじゃない。」
宗介「くっ!」
黒井はやれやれといった風に頭を振るうと、不敵な笑みを浮かべた。
黒井「今からペナルティを与える。」
宗介「なんだと…?」
黒井「だーかーらーペナルティだって。さっき見逃してあげた分を、今この場で使うんだよ。彼女たちに協力してもらって。」
宗介「どういうことだ?!」
黒井「まあ、厳密に言うと貴様らにオファーをした時点で何らかのアクションを起こすことは決定していた。最近の貴様らはチョロチョロとこざかしかったからな。」
このソースキーちゃんもかなりえげつないことやってるけどな
下手したらアニメの黒井より黒いぞ
黒井「だが、貴様が不貞を行ったおかげでペナルティのいい口実ができた。命が助かったことに比べれば、これから起こることは些細なことだろう。」
聴こえてくる曲はサビの手前に差し掛かっていた。ステージを見ると、アイドルたちは全力で歌い、踊っており、それに共鳴するように観客も大きな盛り上がりを見せていた。
黒井「…そろそろだな。目に焼き付けるがいい、最高のショーをな!」
宗介が黒井の言葉の意味を聞こうと思った矢先、黒井の腕が高く上がった。その瞬間、ステージで響いていた音が、突然消えた。大音量の音楽に替わって不意に現れた沈黙は、一瞬で会場全ての者を混乱に陥れた。その中には、宗介も含まれていた。
宗介「な…」
宗介は言葉にならない声を上げ、口をパクパクさせている。しかし、それ以上にステージ上のアイドルたちは混乱している。
今日が人生初のステージである彼女たちが、このようなアクシデントに上手く立ち振るうことなど出来るわけがない。
困惑した表情を浮かべた彼女たちの顔は、沈黙が続く中で変わっていき、ついに泣きだしてしまう者まで現れた。
会場には沈黙の代わりに観客のどよめきが広がりつつあった。隣では黒井が高笑いをしている。
黒井「フゥーハハハ!!!どうだ、最高のステージだろう?」
泣いてるアイドルハァハァ ウッ!
宗介は黒井の胸倉を掴んだ。が、気がつくと地面に転がされていた。数秒遅れて肺に衝撃が来て、呼吸が出来なくなる。
その様子を黒井は相変わらずニヤニヤと不敵な笑みを浮かべて見ていた。
黒井「おいおい、感情に任せて私を攻撃する前に、あそこで立ち尽くしている彼女たちを助けてやったらどうだ?プロデューサー殿?まあ、もう手遅れだろうがな。フゥーハハハ!!」
宗介がよろよろと立ち上がったとき、再び大音量の音が鼓膜を揺らした。黒井が表情を歪ませる。
黒井「なんだ、予定よりも修復が早かったな。まあ、どの道あいつらのアイドル生命は今日で終わりだ。なかなか楽しいショーを見せてもらったよ。ありがとう、アデュー☆」
黒井はそう言うと高笑いをしながら会場を後にした。残された宗介はただ呆然と、曲の再開に対応できずにステージで泣きじゃくる彼女たちを眺めていた。
2時間後 ―車内―
車内の空気は重い。泣き声こそ聞こえなくなったものの、依然として空気は張り詰めており、いつ誰がまた泣き出してもおかしくない状態だった。
黒井が去った後、呆然としていた宗介は数秒後に駆けつけたスタッフの声で我に返った。
曲が終わっても袖に帰ってこない彼女たちを戻すため、宗介は手持ちのスモークグレネードをステージに向かってばらまき、会場が煙に包まれている間に全員を袖に退避させた。
その後泣きじゃくる彼女たちをブースへ戻すと、宗介は主催者のところへ謝罪をしに行った。
意外なことに主催者側は「初ステージでのアクシデントだから仕方がない。」とすんなりと許してくれた。許してくれたのは事務所としては利益ではあった。しかし、一方でアイドルたちの心の傷という不利益を抱えたのも事実であった。
宗介が765プロの控えブースに戻ると、見慣れない少女の姿があった。
その少女は異常なオーラをまとっていた。端的に言うと、少女には「華」があった。
宗介「(こいつは確か…さっき961プロのブースにいたアイドルだな。)」
少女は宗介に気づき、宗介の顔を見るとそばにいた千早に話しかけた。
美希「千早さん、この人誰?ミキ知らないの。」
千早「…彼は私たちのプロデューサーよ。プロデューサー、彼女がさっき話した星井美希です。」
話しかけられた千早は暗い表情のまま質問に答え、宗介に美希を紹介した。
宗介「(こいつが星井美希か。なるほど、確かにうちのアイドルにはない華を持っているな。)」
宗介は挨拶しようと手を差し伸べる。
宗介「俺は765プロのプロデューサー、相良宗介だ。よろしく。」
美希「うん、よろしくなの。で、その手はなに?」
宗介「?挨拶だ。基本だろ?」
美希「なんでSランクアイドルのミキが三流プロダクションのプロデューサーと握手なんかしなきゃならないの?」
そう言うと美希は宗介と手を叩き落とした。
宗介「(下手に刺激すると暴徒を招集するかもしれないな、ここは穏便に済ませるか…)なるほど、確かにそうかもしれないな。ではこの手は引こう。」
宗介は大人しく差し出した手を引く。
宗介「それで、961プロのSランクアイドル、星井美希が三流プロダクションに一体なんの用だ?」
>うちのアイドルにはない華を持っているな
ソースケェ・・・
宗介の問いかけに美希は笑みを広げて答える。
美希「感想を言いに来たの!」
宗介「感想だと?」
美希「うんなの、さっきのみんなのステージが超面白かったって言いにきたの!」
美希の言葉に、顔を伏せて泣いていたアイドルたちが顔を上げる。
美希「曲が止まった時のみんなの慌てふためく顔、最高だったの!しかも、雪歩ややよいに至っては泣いてるもんだからさらに笑っちゃったの!」
そう言うと美希はその場面を思い出したのか突然笑い出した。静かなブース内に美希の笑い声が響き渡る。
美希の笑い声に耐えかねてとうとう真が立ち上がった。
真「美希、いい加減にしてよ!なんでそんなひどいことを言うんだ?!僕たちついこの間まで一緒に頑張っていた仲間じゃないか?その仲間の失敗を笑うなんて…」
美希は苦しそうにひいひいという笑いを止めると、表情を一転させて真顔になって真に向き合った。
美希「だから三流だって言ってるの。真くん、ミキたちはアイドルなの。喰うか喰われるかの世界に仲間なんて存在しないの。わかる?」
真は驚いた顔で美希を見ている。
美希「ぷっ!真くん、そんな顔でミキを笑わせようとしたらダメなの…」
堪えきれずに再び笑い出す美希。真はブルブルと震えている。
美希「ふぅ…そんなんじゃみんないつまで経っても底辺ランクのアイドルだよ?いい加減お友達ごっこはやめにして、こっちの世界にきなよ。そんな意識じゃまたアクシデントが起きた時に醜態を晒すことになるの。」
真の拳が机を叩いた。真は顔を真っ赤にして呼吸を荒くしている。
真「だから…今はその失敗について触れるなって言っているだろ…」
美希「あんなのでビクビクしてたらこれから先やっていけないと思うの。でもミキ的には今のみんなの実力がわかったいい機会だと思うな。まあ、なにが言いたいかっていうと、みんなアイドル辞めたほうがいいと思うよ……」
真は力なく椅子に座ると机に突っ伏して泣き始めた。他のアイドルたちも泣き声こそ抑えているが涙を流して美希を見ている。
美希「あ~あ、また泣いちゃったの。やっぱりみんなには向いてないの…ねえプロデューサーさん、ミキにそんな物騒なもの向けるの、やめてくれない?」
宗介は美希に銃口を向けていた。
宗介「今の発言を取り消せ。」
美希「嫌なの、だってホントのことだもん。」
宗介「ならば、力尽くでも…」
宗介が美希に近づこうとしたとき、背中に今日三度目の悪寒を感じた。宗介が振り向くと黒井が立っていた。
黒井「アイドルに銃口を向けるとは、やはり三流はやることが汚い。」
いつの間にか黒井は宗介の銃を奪っていていた。その銃を後ろに投げ捨てる。
美希「ハニー!!」
美希は嬉しそうな声を上げると黒井の許へ走り抱きついた。
黒井「駄目じゃないか、こんな三流の吹き溜まりに来ては。三流になったらどうする?」
黒井の言葉に美希はふくれっ面で答える。
美希「むー、美希はSランクだから大丈夫なの。それに、三流になっても美希ならすぐ一流になれるから安心してハニー!」
黒井「それもそうだな。さあ、そろそろ時間だ。ステージでお前の力をみんなに見せつけてくるんだ。」
美希「はいなの!!」
そう言うと美希は765プロのブースからスキップをして出て行った。
黒井「貴様等も見るがいい。我が961プロのステージを。トップアイドルというものがどういうものかその目に焼き付けるがいい。フゥーハハハ!!!」
黒井は高笑いをしてブースを去っていった。
>>1は美希が嫌い
黒井の言うとおり、961プロのステージは凄まじいものだった。
美希の言ったことを痛感したのか、ステージを見た後、彼女たちは再び泣き声を上げた。
そして現在に至るまで彼女たちは車内でも泣き続け、先程になってやっと泣き止んだのだった。
運転している宗介は表情を歪ませ、自らの行動を省みていた。
宗介「(俺が迂闊だった…ミスリルの情報網をかいくぐるような事務所に対して単独潜入するべきではなかった…!!俺の過信のせいで彼女たちは本来負うはずのない傷を負ってしまったんだ…。
初戦での大敗はショックが強すぎる。新兵なら辞職していてもおかしくはない…恐らく、彼女たちはもう軍事兵器にはなれない…)」
今、宗介の頭には「任務失敗」の四文字が浮かんでいる。
>>166
好きだよ、響の次くらいに
宗介「任務失敗…か…」
宗介がぽつりと呟いた時、その場に合わない大きな声が、沈黙の漂う車内の空気を切り裂いた。
雪歩「プロデューサー!お話がありますぅ!!」
宗介は声に驚き一瞬だけ雪歩を見る。周りのアイドルたちも何事かと注目している。
普段であればここで尻込みをする雪歩だったが、今の雪歩は動じない。見ると瞳には今までとは違い、覚悟を宿しているのがわかった。
雪歩が話そうとしていることが重大なことだと察すると、宗介は黙って車を路肩に停めた。
宗介「それで、話とは?」
雪歩「プロデューサー、私を鍛えてください!」
予想外の回答が返ってきた。ほかのアイドルたちも目を丸くしている。
宗介「…なぜ、鍛えて欲しいんだ?」
雪歩「さっきのアクシデントが起きたとき、私パニックになっちゃって何もできませんでした…出来たことと言えば泣くことだけです…」
宗介「仕方がないだろう。お前たちは今日が初戦だったんだ。あんなアクシデントには対応できなくて当然だ。」
雪歩「アクシデントに対応できないような人が、トップアイドルの器量を持っているはずがありません!!」
雪歩は拳を強く握り締めブルブルと震えている。
雪歩「私、悔しいんです…あの場で泣くことしか出来なかったことが…美希ちゃんの言葉に何も言い返すことの出来なかったことが…
今のままじゃ、またあんなアクシデントが起きた時も泣いちゃうと思います…だから、私は変わらなくちゃいけないんです!
そうじゃないと私、きっとトップアイドルになんてなれません…また…美希ちゃんに笑われちゃいます…プロデューサーお願いです、どんな特訓でも耐えますから私を強くしてください!!」
そう言うと雪歩は頭を下げた。宗介は数秒考え込んだあと雪歩に尋ねた。
宗介「お前の熱意はわかった。しかし、どんな特訓にも耐えると言ったな?その言葉に嘘偽りはないか。」
雪歩は顔を上げまっすぐ宗介を見つめる。その瞳は宗介が目を逸らしてしまいそうになるほどの力を帯びていた。
雪歩「はい、トップアイドルになるためなら耐えてみせます!」
宗介「…よし、では仕事は全てキャンセルして明日から特訓を始める。」
雪歩「わかりました、プロデューサー!」
真「あ、あのプロデューサー!」
今まで沈黙を守っていた真が声を上げる。
宗介「なんだ?」
真「ぼ、僕にも特訓させてください!僕も変わりたいんです!お願いします!!」
真は先程の雪歩と同じように頭を下げた。
宗介「俺の特訓は厳しいぞ。それでもお前は弱音を吐かず付いてこられるのか?」
真「トップアイドルになるためなら、なんだってやってやりますよ!」
宗介「…わかった。他に特訓を受けたい者はいるか?もちろん強制はしない。アイドル生命を絶つかもしれない厳しい特訓になるからな。だが、それを受け入れられる覚悟があるという者は手を上げろ。」
ラグビー部再来か
宗介が言い終わる前には、その場にいた全員の手が上がっていた。
彼女たちの瞳には涙の跡は微塵も残ってはおらず、そこには覚悟だけが確かに存在していたのだった。
宗介「ふん、馬鹿な奴らだ…」
宗介は目頭を手で隠し、そう呟くといつもの顔に戻り声を荒げた。
宗介「では明朝、〇五〇〇時に765プロに集合だ!遅れるんじゃないぞクズども!」
一同「Sir!Yes,sir!!」
四日後 ―とある山道―
亜美「ね→律っちゃん、ホントにこんな山奥に真美たちがいるの→?」
律子「たぶんね…プロデューサーから渡されたレーダーによると、もう少し進んだ先にいるみたいよ。」
伊織「ったく、なんでこの伊織ちゃんがこんな獣道を歩かなきゃいけないのよ?こんなことならホテルで待っていればよかったわ!」
あずさ「まあまあ、そう言わないで伊織ちゃん。みんな特訓を頑張っているんだから私たちもこれくらい頑張らなきゃ、ね?」
雪歩「殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ」
竜宮小町と律子の4人は、宗介の渡したレーダーを頼りにして、アイドルたちの特訓を視察しにとある山の奥深くまで来ていた。
伊織「それにしても、なんでこんな山奥で特訓なんてするのよ…都内のスタジオとか借りれば済む話じゃない。」
あずさ「そうねえ。でも、きっとプロデューサーさんのことだからなにか考えがあるんじゃないかしら?」
亜美「兄ちゃんに考えんてあるのかな→?もしかしたら兵隊さんみたいな特訓してるかもしれないよ→」
伊織「さすがにそれはないでしょ。」
律子「はぁ…もし考えがあったら仕事を全部キャンセルなんてしないわよ…」
あずさ「あ、今プロデューサーさんの声が聞こえましたよ。」
耳を澄ませてみると確かに宗介の声が聞こえた。
宗介「このクズども!のろのろ走るんじゃない!!」
亜美・律子・伊織「」
律子「…私、疲れてるのかしら。今『このクズども!のろのろ走るんじゃない!!』っていう台詞が聞こえてきたんだけど…」
伊織「ぐ、偶然ね…私も全く同じ台詞が聞こえたわ。」
亜美「これはひょっとすると…予感的中ですかな?」
あずさ「あらあらまあまあ」
律子「とりあえず行ってみましょう!」
そうこうしていると一行は山道を抜け、開けた空間に出た。
そこには確かに宗介とアイドルたちの姿があった。しかし、律子が想像していた特訓風景とは全く異なる光景がそこにはあった。
アイドルたちは野戦服を纏い、舗装されていない地面を、丸太を担いでとろとろと走っている。彼女たちの顔は憔悴しきっており、いつ死んでもおかしくないほどだった。
宗介「まったく、何たる様だ!貴様らは最低の蛆虫だ!この宇宙で最も劣った生き物だ!」
宗介は腕を組んで、走っているアイドルたちに激を飛ばしている。
(゜Д゜)
宗介「いいか、蛆虫共!俺の楽しみはお前たちの苦しんだ顔を見ることだ!ジジイの交尾みたいにヒイヒイ言いよって、みっともないとは思わんのか!金玉があるならここで千摺りをこいてみろ!!」
その様子を見ていた律子たちは絶句してしまっていた。
亜美「…兄ちゃん、オゲレツ…」
伊織「なによこれ…」
あずさ「あらあら…プロデューサーさ~ん、女の子に金玉はないんですよ~。」
律子「そういう問題じゃありません!!あと大きな声でそういうこと言わないでください!」
亜美「あ、真美が!」
見ると、真美が倒れて泣いていた。亜美は咄嗟に真美の許へ行こうとしたが、あずさがその手を掴み妨げる。
亜美「あずさお姉ちゃん?!離してよ!真美が…!」
あずさ「亜美ちゃん、邪魔しちゃダメよ?ここはプロデューサーさんにまかせましょう?きっとなにか考えがあるはずよ。」
亜美「…うん、わかった…」
宗介は倒れている真美に近づく。
真美「うぅ…もうダメだよ…ぐすっ…疲れたよぅ…ひっく…帰りたいよぅ…」
宗介「また貴様か。所詮貴様の覚悟などその程度のものだ!」
亜美「」
宗介「まあ、貴様がここでトップアイドルの夢を諦めて帰るというなら俺は止めん。
家に帰って好きなだけ親に甘えるがいい。
だが、お前がそうやって甘えている間にも妹の亜美はトップアイドルの階段を上り続けていくだろう。貴様は世間から『落ちこぼれの姉』というレッテルを一生貼られて生きて行くんだ。両親もさぞやお前のことを疎むことだろうな。」
真美は泣き顔をさらにクシャクシャにして宗介の激を聞いている。
真美「兄ちゃん…ひっ…ひどいよ…そこまで言わなくてもぉ…」
宗介「何度でも言ってやる。お前は『落ちこぼれの姉』だ!違うと思うならガッツを見せろ!丸太を担いであと10往複だ!」
真美はよろよろと立ち上がると、涙を拭き、何度も「ちくしょう」と呟くと丸太を担ぎ再び走り始めた。
フルメタルジャケットを思い出した
あずさ「あら、真美ちゃん元気になったわねぇ。」
走る真美の姿を見ていた宗介は、4人が来ていることに気づくと、駆け寄ってきた。
宗介「ご苦労様です、秋月殿!道には迷われませんでしたか?」
律子「え、ええ、まあ…って、プロデューサーなんですかさっきの罵詈雑言は?!泣いてる真美に対してあんな言い方しなくてもいいでしょう?!」
亜美「そうだよ兄ちゃん!真美がかわいそうだよ!」
律子と亜美はかなりお冠の様子である。
宗介「申し訳ありません。ですが、あれは真美のやる気を引き出すためには仕方ないのです。自分も心を痛めています…」
宗介が少し寂しげな顔をするのを見て、律子と亜美は何も言えなくなってしまった。
伊織「っていうかあんたなにレディに向かって下品なこと口走ってるのよ!」
顔を真っ赤にしている伊織に対し、宗介はキョトンとしている。
宗介「下品?なにがだ?」
あずさ「金玉とか千摺りのことですよ。」
宗介「ああ、あれはこれに書いてあったんだ。」
このあずささんは非処女
>あずさ「金玉とか千摺りのことですよ。」
あずささんなんでそんな言葉がスラっと出るんですか
宗介は胸ポケットから一冊の手帳を取り出した。
表紙には「マオ姐さんの海兵隊罵り手帳“新兵訓練編”」と書いてある。
律子「あの、これは一体…?」
宗介「自分の同僚から借りたものであります。あらゆる性格や場面に応じた叱咤激励が収録されているので重宝しております。」
宗介の回答に律子は頭を抱えている。
伊織「海兵だかなんだか知らないけど、こんなんで効果はあるわけ?」
宗介「問題ない。少なくとも気迫と自信はつく。彼女たちの弱点は歌唱力やダンスの上手さ、ヴィジュアルといったもの以前の問題だ。」
律子「はぁ…確かにみんなメンタルは弱いですけど、こんな荒療治しなくても…」
あずさ「あのプロデューサーさん、みなさんお腹すいてらっしゃいませんか?私たちお昼ご飯を作ってきたんです。」
あずさは背負っていたバッグからおにぎりを取り出す。しかし、宗介はなにやら渋い顔をしている。
律子「どうしたんですか。もうお昼は食べちゃいましたか?」
宗介「いえ、今食事を与えて良いものかと考えております。」
亜美「え→?亜美たちせっかく早起きして作ったんだよ→?」
伊織「そうよ!せっかくこの伊織ちゃんが作ってきてあげたんだから食べなさいよね!捨てたりしたら承知しないわよ!」
宗介「そうだな。ではお言葉に甘えさせていただこう。」
そう言うと宗介は走っているアイドルたちの方に向きを変える。
アイドルたちの顔は先ほどよりもげんなりしているように見える。とろとろと走る彼女たちに向かって宗介が叫ぶ。
宗介「喜べ貴様ら!秋月殿と天下の竜宮小町が食事を持って来てくださった!32時間ぶりのメシだぞ!!メニューを終えたものから食ってよし!!」
「食事」という言葉に反応したアイドルたちは、さきほどの様子からは考えられないスビードで我先にと走り出した。
律子・伊織・亜美「さ、32時間?!」
あずさ「あらあら」
30分後、食事を終えるとすぐに特訓は開始された。差し出された食事を一心不乱に貪る彼女たちの姿を見た4人は話しかけることができないまま、ただ見ていることしかできなかった。
丸太を担いで走る訓練は終わり、その後は泥の中を背面で匍匐する特訓や、銃剣で巻藁を刺す特訓、アイドル同士が棒で殴りあう特訓などが行われ、その間宗介は終始激を飛ばしていた。
宗介「いいか、今の貴様らは人間以下だ! 名も無き精子だ!俺の訓練に生き残れたその時、貴様らは初めて兵器となる!それまで貴様らはおフェラ豚同然の存在だ!」
律子「」
宗介「俺は貴様らを憎み、軽蔑している。俺の仕事はお前たちの中からふにゃちん野郎を見つけ出し切り捨てることだ!勝利の足を引っ張るはみちん野郎は容赦せんから覚えておけ!!」
あずさ「あらあら、女の子にちん○はついてないんですけどねぇ。」
宗介「笑うことも泣くことも許さん!貴様らは人間ではない、殺戮のためのマシーンだ!殺さなければ存在する価値はない!隠れてマスをかいているのがお似合いのチンカス野郎に過ぎん!」
伊織「」
宗介「わざと負けて目立ちたいか!痛いふりをして同情を惹きたいか!この負け犬根性のごみ溜め野郎共が!パパの作ったシーツのシミになって、ママのお腹に残ったのがお前等だ!!」
亜美「」
まんこバージョンにしてください!
宗介「とろとろ走るなこのメス豚!泣き言を言うならこの場でケツにションベン流し込むぞ!」
あずさ「まあまあ」
一通りの訓練を終えると、宗介はマイクを彼女たちに渡す。
マイクを受け取った彼女たちは目を怪しく輝かせ、一心不乱にマイクを磨いている。
わろた
宗介「貴様らの彼氏はそのマイクだけだ!貴様らみたいな腐れまん◯にはイケメンの彼氏など必要ない!そのマイクを黒光りするちん◯だと思って精一杯磨いてやれ!!」
千早「とっても大きいわよ、ゆう…」
雪歩「ぴかぴかにしてあげるからね、真ちゃん…」
伊織「マイクに話しかけてる…」
ラグビー部みたいになっちまうのか・・・
そうして全行程が終わる頃には、高かった日は傾き始めていた。帰り支度を済ませた律子たちの前には宗介と疲弊しているアイドルたちが休めの状態で並んでいる。
律子「じゃあ、私たちはそろそろ帰りますけど、くれぐれも怪我はさせないでくださいよ。」
宗介「はっ、尽力いたします!」
律子「それと、一週間後には事務所対抗の運動会があるので、忘れないで出てきてくださいね。」
宗介「了解しました。その時は生まれ変わったこいつらを大衆に見せつけてやります!」
伊織「やよい…無茶しないでよ?あんたになにかあったら家族が困るんだからね…やよい?」
やよい「………」
伊織の問いかけに対してもやよいは反応しない。
宗介「高槻、発言を許可する。」
やよい「ありがとうございます、軍曹殿!」
宗介からの許可にやよいは敬礼を返す。
やよい「伊織ちゃん、自分はトップアイドル(殺戮兵器)になるために頑張ね!」
伊織「ちょ、ちょっとやよい何言ってんのよ?」
やよい「………」
やよいはまた反応しなくなってしまった。
亜美「真美、頑張ってね…」
真美「………」
宗介「真美、発言を許可する。」
真美「ありがとうございます、軍曹殿!」
弥生と同じように敬礼を返す。
真美「亜美、お姉ちゃんは『落ちこぼれ』じゃないってことを、世間に見せつけられるように頑張るから待ってて。」
亜美「真美…」
あずさ「じゃあみなさん、頑張ってくださいね~」
宗介「全員、敬礼!!」
宗介の号令にアイドルたちは一糸乱れぬ動きで敬礼をする。その姿に見送られ、一抹の不安を抱えながら一行は帰っていった。
律子「運動会…荒れそうね…」
一週間後 ―某スタジアム―
律子の不安を表すかのように、空は雲に覆われ今にも雨が降り出しそうである。会場はドーム状のスタジアムであるため雨でも心配はないが、その天気が律子の不安を一層煽る。
会場内の765プロの待機場所には律子と竜宮小町の3人が準備をしていた。
伊織「みんな遅いわね…」
律子「携帯にも出ないし…何やってるのよ~!」
予定の時刻になっても宗介たちは会場に現れない。このままでは開会式に間に合わなくなってしまう。
イライラしている律子たちの許へ美希が近づいてきた。
マイクオナニーって結構よさそう。スピーカーにつないだらグチュグチュいじる音が大音量できけるぜ!
亜美「あ、ミキミキだ!!久しぶり、どしたの?」
美希「やっほー亜美、ほかの皆は来てないの?」
亜美「ん→、来るはずなんだけど…まだきてない…」
美希「ふーん。逃げちゃったんじゃない?」
亜美「それはないと思うけど…」
あずさ「あ、来ましたよ。」
ざわ
ざわ
ざわ
あずさの指した方向を見ると、確かに宗介たちが入場してきていた。律子は大声で宗介を呼ぶ。
律子「プロデューサー!こっちです!早く準備してください!」
律子の声に気づいた宗介たちはこちらに向かって走ってきた。
宗介率いるアイドルたちが律子の前に並ぶ。
亜美「なんか…おかしくない?」
伊織「ええ…私の目がおかしくなったのかしら?」
伊織は目をゴシゴシと擦る。
あずさ「あらあら、みんな随分大きくなったわね~」
アイドルたちの体型は、一週間前に見たものとは比べものにならないほど大きくなっているのが纏っている野戦服の上からでもわかった。身長も伸びており、やよいらしき人物に至っては身長が190cmほどある。
先ほどまで怒っていた律子も、アイドルたちのあまりの変化に戸惑いを隠せずにいる。
律子「あ、あの、だ、大丈夫なの、はるか?」
春香「はっ、自分は大丈夫であります!秋月殿!!」
律子「アイドルとして大丈夫じゃないでしょ、これ…」
美希「な~んだ、逃げなかったんだね。」
美希が雪歩らしき人物に近づく。
マッチョになったらアイドル生命終わってまうwww
>やよいらしき人物に至っては身長が190cmほどある。
>やよいらしき人物に至っては身長が190cmほどある。
うわぁぁぁぁっぁあぁああああぁぁjかおfkをえあjふぁ
アイドルは、見た目が命
美希「今日もまた失敗して、美希のことい~っぱい笑わせて欲しいの!期待してるからね?雪歩!」
美希に期待をかけられた雪歩と思われる人物は表情を変えず無言の姿勢を崩さない。
その様子に美希はあからさまに不機嫌になる。
美希「せっかくSランクアイドルのミキが話しかけてるんだから、反応しろよ。ねえやよい?」
やよいらしき人物(187cm)「………」
美希「ふ~ん、やよいまで無視するんだ。もうミキ怒ったの。今日はミキたちが徹底的に潰してあげるから覚悟してね。」
一同「………」
美希は反応をしない彼女たちに舌打ちをすると、961プロの待機場所へと戻っていった、
亜美「な、なんか変な雰囲気だね…」
アナウンス『各事務所の方々にお知らせします。10分後に開会式を行いますので、準備をしてください。』
律子「プロデューサー!早く所定の体操服に着替えてさせてきてください!」
宗介「心配は無用です、秋月殿。」
そう言い宗介はアイドルたちの前に立ち大きく息を吸った。
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ノ ァ'´⌒ヽ ,
( (iミ//illi))) | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ l
)ノ`リ・ω・ノ( l ・・・・・・・・・・・・
_, ‐'´ \ / `ー、_ _ノ l
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'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
ヽ、 ー / ー 〉
`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-く
待て・・・変装したラグビー部かもしれん
美希「」ガクガクブルブル
雪歩「チッ、まだ生きてやがる」
宗介「いいか!!今この時を持って、貴様等は蛆虫を卒業する!貴様らはアイドルだ!!」
一同「Sir,Yes sir!」
突然始まった儀式に、会場はなにごとかと注目をしている。
宗介「貴様らはこらから最大の試練と闘う。全てを得るか、地獄へ落ちるかの瀬戸際だ。どうだ!楽しいか!!」
一同「Sir,Yes sir!」
宗介「よし、先頭準備!!」
宗介の掛け声でアイドルたちは野戦服を脱ぎ捨てた。
野戦服の下にはしっかりと今回の運動会用の体操服を着込んでいる。しかし、何よりも会場中の目を惹きつけたのは、彼女たちの改造された肉体であった。
それは、鎧と行っても過言ではないほどにパンプアップされた筋肉で、千早と思われる人物ですら胸囲があずさほどに膨れ上がっていた。
Dあるもん
宗介「野郎共!!俺たちの特技はなんだ!!」
一同「殺せ!殺せ!殺せ!」
伊織「」
宗介「この試合の目的はなんだ!!」
一同「殺せ!殺せ!殺せ!」
律子「」
洗脳兵器を洗脳してどうするんですか宗介さん
宗介「俺たちは765プロを愛しているか!!アイドルを愛しているか!!」
一同「Gnug ho!! Gung ho!! Gung ho!!」
亜美「」
宗介「よし開会式だ!!」
一同「うおーーーー!!」
観客「」
あずさ「あらあら、すごい気合。楽しくなりそうね。」
そして運動会が始まった。
ゼノグラへの伏線か
竜宮小町率いる765プロは、特訓を受けたアイドルたちの活躍により圧倒的なポイントを稼いで前半を終えた。
前半を終えて未だに他の事務所に負傷者が出ていないのは奇跡と言えた。
だが、見方を変えると嵐の前の静けさのようにも捉えられた。
―昼休み―
律子「みんな、このまま行けば優勝できるわよ!!」
亜美「でもでも、テレビ的にはつまらないよね→?」
伊織「確かに…このままダントツで勝ってもつまらないわね…」
律子「こら、亜美も伊織もそういうこと言わない!」
亜美・伊織「はぁ~い…」
律子と亜美たちのやり取りを見ていたあずさは宗介の近くに行くと、声を小さくして話しかけた。
あずさ「プロデューサーさん、ちょっとお話が。」
宗介「なんだ?」
あずさ「このままの調子で勝ち続けると、今後765プロにお仕事が来なくなるかもしれませんから、後半は少しだけ手を抜くようにお願いできませんか?」
宗介「仕事がこなくなるのは厄介だな…仕方がない、用件を飲もう。」
あずさ「うふふっ、ありがとうございます。」
さすがあずささんやで
あずさの助言により、後半は他の事務所に得点が入るようになり、終盤に近づくと2位の961プロとの差は僅か5点差に迫っていた。
宗介「いよいよ次の競技が最後の種目だ!!最後は、騎馬戦チャンバラだ。出場選手は雪歩、やよい、真の三名だ。出し惜しみはするな!思いっきりやってこい!!さあ行け!」
雪歩・やよい・真「Sir,Yes sir!」
―961プロ陣営―
響「なあ美希、ホントに765プロを狙うのか?」
美希「うん、さっきミキを怒らせたから後悔させに行くの!」
響「う~ん、自分は止めといたほうがいいと思うぞ…」
美希「行くったら行くの!」
響「(自分はまだ死にたくないぞ…)貴音はどう思う?」
騎馬戦って普通4人1組じゃね?
貴音「高みを目指す上で倒さなければならないというのなら、倒すべきかと…」
美希「ぜぇ~ったいに倒さなきゃいけないの!」
貴音「わかりました。では、参りましょうか。」
響「(まじかよ…まあ、チャンバラで叩かれるのは美希だし…なんくるないさー)」
三人は決戦場に向かった。
逝ったな…
亜美と真美はこれで2人同時に番組に出ても大丈夫だな
響フラグ立てすぎ
>>302
抜かった
三人組で作れる騎馬を想像して下さい
司会『さあいよいよ最終種目「騎馬戦チャンバラ」です!ルールは簡単、各騎馬の騎乗者の頭についている風船を割ればいいだけ!!最後まで残っていたチームにポイントが入ります!今回のポイントは…な、な、なんと1万ポイント!!
つまり勝ったチームが優勝です。健闘を祈ります!!』
亜美「まあ、お約束だよね→」
司会『さあ、それでは騎馬を作ってください!』
司会の掛け声で騎馬が次々と作られる。765プロの騎馬は、騎乗者がやよい(187cm)で、真と雪歩が馬という構造になっている。
>>307
こいつらがガチムチなままASに乗ってスパロボに参戦したら怖いだろうが
>>314
誤爆先からくんなwww
騎馬が作り終わり、あとは銃声を待つだけの状態となる。会場中には緊張が漂い、一秒一秒が永遠に感じるほどである。
そして、とうとうその時がやってきた。
司会『それでは参りましょう!「騎馬戦チャンバラ」レディーゴー!!!』バン!!!
銃声と同時に歓声と雄叫びが会場を埋め尽くす。
765プロの騎馬は開始直後から戦場を縦横無尽に駆け、ほかの事務所の騎馬を次々に撃破、もとい破壊していく。
765プロによって破壊された騎馬を構成していた者たちは、もれなくどこかしらの骨がおかしな方向へと曲がっていた。
おいおい
ついに負傷者が
>宗介「この試合の目的はなんだ!!」
一同「殺せ!殺せ!殺せ!」
>>321
負傷で済むといいな
戦術を見ると、真と雪歩が馬になっている人物の足をローキックで執拗に攻め、騎乗者が体制を崩したところに、やよいが風船ごと頭をチャンバラで殴る。という反則ギリギリの戦術だった。
やよいに殴られた騎乗者のヘルメットは粉々になっており、頭蓋骨の形が少し変わっている。
その戦術の被害者は刻一刻と増えていき、戦場には負傷した選手が散乱している状態である。まさに、地獄絵図。
やよい「どこだ…?どこにいやがる?」
真「あのクソ茶髪ビッチは…?!」
雪歩「出てこい、ブッ殺してやる!!」
殺戮兵器と化す765プロの目標の961プロの騎馬は、開始位置から動かずに待機していた。
美希「どうせ765プロが残るんだから、待っていればいずれは戦えるの。ミキって天才なの!」
響「なあ、やっぱり自分あんなのと戦うの嫌だぞ…」
貴音「響、あれは乗り越えなければならない壁なのです。あれを倒さずして前には進めませんよ。」
響「え~…(あいつら超足蹴ってるじゃん…怪我したくないのに…)」
そうこう言っているうちに残っているのは765プロと961プロの騎馬だけになっていた。
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)ノ`リ・ω・ノ( l どこだ…?どこにいやがる?l
_, ‐'´ \ / `ー、_ _ノ l
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'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
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)ノ`リ・ω・ノ( l どこだ…?どこにいやがる?l
_, ‐'´ \ / `ー、_ ._ノ l
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'い ヾ`ー~'´ ̄__っ八 ノ
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`ヽ-‐'´ ̄`冖ー-く
ずれすぎわろす
美希「ほら、もう戦うしかないの。逃げたら世間の笑いものになっちゃうよ?」
貴音「響、行きましょう。決戦の時です。」
美希と貴音に促され響は渋々覚悟を決める。
響「わかったさー(労災効くかな…)」
やよい「見つけた…!!」
真「ああ…見つけた…!!」
雪歩「見つけたぞ!!」
やよい・真・雪歩「ブッ殺してやる!!!」
響にげてええええええええええ
765プロの騎馬は、961プロの騎馬を捕捉すると魚雷の如く突っ込んでくる。
そのあまりの気迫に、響はおろか、貴音と美希までも戦慄してしまい動けなくなってしまう。
響「こ、殺される…」
貴音「な、なんと面妖な…」
美希「い、いやだ、死にたくない…死にたくないよ…!!響、貴音、は、早く逃げるの!!」
ねぇ...
この子達もう可愛くないの?
春香「殺れー!やよいー!!」
真美「ブチ殺せー!!」
千早「ビッチの脳漿をぶちまけろー!!」
騎馬は目の前まで迫ってきていて、それら6つの瞳には殺気が漲っている。
美希は世界がスローモーションになるのを感じた。
やよいがゆっくりとチャンバラを上段に構え、ゆっくりと振り下ろす。
チャンバラはだんだんと美希の頭にチャンバラは近づいていく。美希はそれを避けようとするが、体がうまく動かない。
やよい「うっうー。Sランクだろうと殺せば死ぬ。俺たちと変わらない!」
ええい!
黒井社長は何をしている!?
ちょーすけ「ねーちゃんカッケー!」
美希「(あ…死ぬ…)」
そしてとうとうチャンバラが美希の頭に触れたとき、美希は痛みを感じる暇もなく意識を失った。
やよい「くそっ!まだ生きてやがる…」
司会『終了~!!優勝は765プロです!!」
会場から溢れんばかりの拍手が聞こえた。
765プロは961プロを倒し、見事優勝を勝ち取ったのだ。
以後、プロジェクト・フェアリーはこの敗戦のショックから立ち直れず、長期に渡って芸能活動を休止、実質解散となる。
後にこの試合は「765プロの悪夢」として語り継がれ、しばらくの間アイドル業界では765プロが恐怖の代名詞となった。
特訓により開花した彼女たちは、社長の立案により「最終兵器系アイドル」というジャンルを確立し、その珍しさから世間に注目を浴びることになり、トップアイドルへの階段を三段飛ばしで駆け上がっていくことになるが、それは別の話である。
律子「これでよかったんでしょうか…つい数日前までは優しい女の子達だったのに…」
宗介「戦いとはいつも虚しいものです。彼女たちは身をもって自分に教えてくれました。」
律子「って、あんたがきれいにまとめようとするな!!」
会場にハリセンの音が響き渡った。
―終劇―
木星「あれ・・・?俺たちは?」
黒井「私の余りある力はどうすれば」
以上で終わりです。
初SSだったので色々至らぬ点があったと思いますが、このスレを開けていただいた方々にはお礼を申し上げます。ありがとうございました。
乙
マイクオナニーシーンマダー?
乙
次も期待するぜ
乙
面白かった
久しぶりにフルメタss見た気がする
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