サイタマ「D級ヒーロー?」 (48)
ジェノス「はい。ヒーロー名は『ヅラマント』というそうで。先生宛に手紙が届いています」
サイタマ「ぶ。っはははははは!!ヅラって。ヅラってお前!」
サイタマ「だっせえヒーロー名だな!」
ジェノス「………………」
ジェノス「そうですね」
サイタマ「それよかD級って何だよ。ヒーローはC級が最弱だったんじゃねえの?」
ジェノス「ヒーロー協会による特別措置だそうで。何かしらの特殊な事情によってヒーローになったのだと思われます」
ジェノス「その最弱ヒーローなんですが…」
ジェノス「――先生に、『決闘』を申し出ています」
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ヒーロー協会
偉い人A「ふむ。異例を極めるその能力から鑑みて、特別にD級枠を作ることで、他のヒーローと同一化させないようそこへ配属させる判断を下した、と…」
偉い人A「誰がこの決定を?」
偉い人B「最終決定を下されたのはアマイマスクさんです」
偉い人A「! ……、一体何のおつもりなのだろうか…」
偉い人B「C級に配属させるにも、他のヒーロー、またヒーロー志望者達に対し、こちら側から提示する建前がどうにも成り立たないと言うことで」
偉い人A「ならばそんな者、無理にヒーローにする必要などっ…いや……能力、か…」
偉い人C「面接で彼はこう言っていましたよ」
偉い人C「前にとある人物に命を救われたことがある。その時は怪人に襲われた時だったそうな」
偉い人C「救ってくれたその人物は、そう、リクルートスーツに身を包んだ――」
ヒーロー協会
偉い人A「ふむ。異例を極めるその能力から鑑みて、特別にD級枠を作ることで、他のヒーローと同一化させないようそこへ配属させる判断を下した、と…」
偉い人A「誰がこの決定を?」
偉い人B「最終決定を下されたのはアマイマスクさんです」
偉い人A「! ……、一体何のおつもりなのだろうか…」
偉い人B「C級に配属させるにも、他のヒーロー、またヒーロー志望者達に対し、こちら側から提示する建前がどうにも成り立たないと言うことで」
偉い人A「ならばそんな者、無理にヒーローにする必要などっ…いや……能力、か…」
偉い人C「面接で彼はこう言っていましたよ」
偉い人C「前にとある人物に命を救われたことがある。その時は怪人に襲われた時だったそうな」
偉い人C「救ってくれたその人物は、そう、リクルートスーツに身を包んだ――」
公園
音速のソニック「…この俺に決闘だと? お前がか?」
ヅラマント「アンタはサイタマさんと幾度か拳を交えたと聞いた」
ヅラマント「いずれもアンタの圧倒的敗北だったらしいけど」
ヅラマント「まあいい肩慣らしにはなるかなと思ってさ」
音速のソニック「」ピク
音速のソニック「この俺が、肩慣らし…?」
音速のソニック「く」
音速のソニック「はははははっははははははははは!!!」
ヅラマント「?」
音速のソニック「ヒーローの猿真似も大概にしてもらいたいものだ」
音速のソニック「その格好。そしてヒーロー名。『奴』を真似ているつもりか?」
ヅラマント「? 俺のヒーロー名を知ってるの?」
音速のソニック「ああ。『奴』に勝利するために、情報を独自で収集していたのさ。するとどうだ。誰がどう見てもとあるB級ヒーローを模倣しているとしか思えない装いをした変り種の雑魚が、今まで在りもしなかったD級に特別配属、後に次々と他のヒーローに決闘を申し込んでは」
音速のソニック「負けているそうじゃないか」
ヅラマント「…ああ。そうだ」
ヅラマント「言っている事の大方はそれで間違いない」
ヅラマント「俺は雑魚だ」
ヅラマント「そして何度も敗北を重ねてる」
音速のソニック「…?」
音速のソニック「お前は自分の実力を自覚しているのか……?」
音速のソニック「この俺に勝てると思ってるのか?」
ヅラマント「勝つ」
音速のソニック「…ふん」
音速のソニック「なるほど。肝だけは据わっているらしい。それとも『奴』に似て鈍いだけか?」
音速のソニック「それとも口がでかいだけか…」
音速のソニック「どうだ? 今から蟻と巨象の戦いが始まろうとしている。それも無残で、何を思うまでもない瞬間の出来事だ」
音速のソニック「いい薬だ。無謀や蛮勇はただひたすらに愚かしい行為でしかないと言うことをその身体に教え込んでやろう。あっという間だ、よく記憶するよう気を張っておくといい」
音速のソニック「今からお前は」
ヅラマント「べらべらとうるせえな」
ヅラマント「闘んのか? 闘んねえのか?」
ヅラマント「どっちなんだ?」
音速のソニック(……ッ?)
音速のソニック(何なんだあの自信は? 気迫は? 眼は?)
音速のソニック(本当にただの雑魚か? C~B級相手に連敗記録を更新するこいつが何をここまで虚勢を張れる?)
ヅラマント「…」
音速のソニック(あの眼…)
音速のソニック(どこか…奴に…)
――忙しいって言ってんだろこのボケ。イライラしてんだから邪魔すんじゃねーよ
――殴るぞ
音速のソニック「…、」
音速のソニック「何者だ貴様は?」
ヅラマント「ん? 俺か? そうだな…」
ヅラマント「――サイタマさんに憧れてヒーローになった者だ」
~ワンパンマン 44.9話 『最強と最弱』~
宇宙
???「ボロスが負けた?」
部下A「し、信じられない…」
部下B「この映像記録を見てください…」
???「…圧倒的だ」
部下C「どんな敵も一撃で葬る絶対無敵のヒーローってところか…」
???「こやつの面白いところは単なる強さだけではない」
???「戦いを楽しんでおる」
???「いや…楽しもうとしている」
???「本気を出せばボロスをも一撃で倒せるものを…退屈しのぎのつもりか」
???「大した地球人がいるものだな」
部下A「いかがなさいましょう」
???「…」
???「可愛い我が子が倒されたのだ。仇討ちと行きたいところだが…」
???「ボロスもまた、己より強き者を求めた。その結果として倒されたのだ」
???「さぞ満足したことだろう。自らより圧倒的に強い存在がこの宇宙に存在していたことに」
???「映像には記録されておらんが…奴は笑いながら最期を迎えたろうな」
???「……そう。これは仇討ちでない」
部下B「?」
???「礼だ」
???「息子を満足させたその礼として、奴と戦いに地球へ向かう」
部下C「進路を地球へ変更しろ」
操縦員「はっ」
???「……お前は最強が最強で在り続けるに必要なものは何だと思う?」
部下A「はっ…難解な質問ですね」
部下A「やはり戦いにおいては何より素質…センス……」
部下A「圧倒的な『才能』の前には、いかなる努力も無に帰する」
???「ふむ。間違ってはいない」
???「何故このハゲはこのような強さを手にしたと思う?」
部下A「やはり戦闘の才能を持っていたからかと…」
???「ならば『才能』とは何だと思う?」
???「情報によると、この地球人は成人以降もただの凡人でしかなかった」
???「そのような地球人が何たることか我が息子ボロスを圧倒した。この事実をどう説明する?」
部下A「才能とは生まれ持った下地…芽のようなもの。芽無くしていくら水を注いだところで、何もそこから生まれることはない」
部下A「よってそれを持っていさえすれば、年齢など無関係なのでは…」
???「違うな。そのような大きな芽は早くに発掘されるものだ」
???「若さとは己を見つける期間だ。お前の言うそれが地球上最強クラスの大きさを誇る芽であれば尚の事、彼はリクルートスーツに身を包むことは無かったろう」
???「彼はスーツを脱いだのだ」
???「捨てたのだよ」
???「この意味が分かるか?」
???「ただの凡人が地球上で最強になったという事実にこそ、本質は隠されている」
部下A「はあ…」
???「言葉ひとつで説明できるものではない」
???「しかし一流の存在は皆がそれを持っている」
???「地球人というものは面白い。地球人の価値観というものは実に面白い」
???「その存在に対し、才能という呼称を使う」
???「地球人を最も知らない存在は、地球人やもしれんな」
2、3は重複ですすみません
「――サイタマという男の強さに疑問を持ったことは無いかね?その強さの秘密を暴きたいと思ったことはないかね?」
キング「…………え?」
キング宅
ドッドッドッドッドッドッドッドッ…
キング(何だこいつ…。いつの間に家に入り込んできたんだ?)ドッドッドッドッ
キング(つうか何なの?いきなり不法侵入してきておいて何この骸骨?怪人もとうとう空き巣を働く時代なの?)ドッドッドッドッ
キング(そもそも何で俺を見てビビらないの?こっちの事情知ってるの?)ドッドッドッドッ
キング(…………)ドッドッドッドッ
ドッドッドッドッドッドッドッドッ…
キング「三分だ」ドッドッドッドッ
「何?」
キング「三分待ってやる」
「くはははははは!!」
「そうか貴様は分からないか」
キング「な、ななななn何がだ」ドドドドドドドドドド
「私は怪人ではない。宇宙人だ」
キング(どっちも似たようなモンだと思うんだけど…)ドドドドドドドドドド
「貴様の潜在性くらいは見通せてしまうよ。それどころか君の考えていることも…」
キング(そろそろ警察呼ぼうかな。怖いよこの骨)ドドドドドドドドドド
「ふ。警察など、何の役にも立たない。それに貴様はヒーローだろう?それもこの地球上では最強クラスとされるSクラスの中でも更に頭ひとつ抜けた、地上最強の男、名をキング…」
キング(この変態、心を読んだ!?)ドドドドドドドドドド
「変態ではない」
「私の名はスケルトン。死者を統べる者にして、最強の死者グレイ様の右腕である」
キング(グレイ?グレイって…よくある宇宙人のタイプの…)ドッドッドッドッ
スケルトン「そうだな。貴様のイメージのそれに近い」
キング(もう俺喋る必要ないじゃん)ドッドッドッドッ
スケルトン(好きにするといい。だが数多の雑念ごとこちら側に通達されるために音を発しての意思疎通が好ましい)
キング「そ、そう」ドッドッドッドッ
スケルトン「グレイとは貴様からすれば宇宙人…地球外生命体のひとつのタイプだ」
スケルトン「そしてそのタイプ『グレイ』の、ファーストイグジスタンスであらせられる」
スケルトン「よって名をそのままグレイと呼ぶ。貴様たち人類からすれば途方も無く遥か昔に絶命した、正しく最強の存在なのだ」
キング「その最強の存在の右腕様が俺に何の用なの?」ドッドッドッドッ
スケルトン「我らは常に『最強』を求める」
キング「はあ」ドッドッドッドッ
スケルトン「グレイ様が創り出したひとつの生命…言うなればご子息に値する存在のひとつに、ボロス様というお方がおられた」
スケルトン「ボロス様もまた『最強』を求め銀河中を旅していたところ…」
スケルトン「経緯は耳にしたかもしれないが、サイタマという男に圧倒され、あえなく撃破された」
キング(サイタマ氏すげー)ドッドッドッドッ
スケルトン「知らなかったようだな」
スケルトン「グレイ様は歓喜とも驚嘆とも取れぬ表情を浮かべ、瞬時に判断された」
スケルトン「最強の真意はこの男にこそ隠されている。すぐに地球へ向かう、と」
キング「ふむふむ…」ドッドッドッドッ
キング「俺関係なくない?」ドッドッドッドッ
スケルトン「仮にも地上最強を名乗る男だ…」
キング(名乗ってはいないけど…)ドッドッドッドッ
スケルトン「どちらでもいい」
スケルトン「グレイ様は私の力によってその存在を保っておられる」
スケルトン「だが如何に私とて、その存在は永遠に持続されるものではない。やがて朽ちる。……そこでだ」
スケルトン「必要になるのだよ。グレイ様を現世に召喚するための絶大な『生命エネルギー』が」
スケルトン「我らが最強を求める理由にはそれがある」
スケルトン「彼の強さの秘密はその『生命エネルギー』にこそ隠されていると、我らはほぼ間違いの無い強い仮定として、そう踏んだ。いや、確信した」
スケルトン「地球上最強の男サイタマの生命エネルギーを我らのものとし、グレイ様を蘇らせる計画のために、まずはキング」
スケルトン「その男の友である貴様を利用してやろうということだ」
キング「…………」ドッドッドッドッ
スケルトン「…」
キング「…………」ドッドッドッドッ
スケルトン「…」
キング「なるほど」
キング「概ね、理解した」
キング「…………」ドッドッドッドッ
キング「逃げr」
スケルトン「逃がさん」
ガシッ
キング「や、め」
キング「――ああああああああああああああああッ!!!!!!!!!!!!!!」
サイタマ「――――ッ!!」
サイタマ宅
ジェノス「? 先生?」
サイタマ「……、」
サイタマ「何か悪寒がしなかったかジェノス」
ジェノス「いえ…俺はこの通りサイボーグなんで……」
サイタマ「…、……、」
サイタマ「」バサッ
ジェノス「マントを…。出掛けるんですか?」
サイタマ「ああ。この気持ち悪い感じを抑えんことには、折角の久しい豪勢な夕飯の寿司が不味くなるからな」
サイタマ「お前もこいジェノス」
ジェノス「はい!」
あれサイタマがかっこいい
こいつ偽者じゃね(酷)
>>32
俺も
サイタマ「――――ッ!!」
の後は「屁が出そうで出なかった」とかだと思ったわ。何このイケメンwwwwww
――ゴオオオオオオオオオオッ!!
フブキ「ぐ……ッ」
A市
ワクチンマン「ふははははははは!この程度か!!」
フブキ「私の念動力では…抑え切れない……ッ?」
――ゴオオオオオオオオオオッ!!
フブキ「……」
フブキ「そもそも…こいつは確か、前に正体不明の推定A級ヒーロー複数人によって倒されたはずの怪人じゃない…」
フブキ「記録もあった…報告も聞いた…それなのに、どうし…て」
――ゴオオオオオオオオオオッ!!
ワクチンマン「人間は!根絶やしだァ!!!」
ズシン…ズシン…
B市
フケガオ「きょきょきょきょ!!いいぞ、素晴らしいぞ弟よ!!」
マルゴリ「ぐおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」ズシン…ズシン…!
ドゴォ!ズゴォ!!!
フケガオ「こうなればこの街に留まらず、世界全てをお前の最強の力で壊滅させてやれ!!」
フケガオ「…ん?」
タツマキ「ふん…。緊急招集がかかったと思ったら…どうしてこんな図体だけ馬鹿みたいに大きい雑魚の相手をしなきゃなんない訳?」
ゴウッ!!
マルゴリ「ぐおっ!!?」
――ゴオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!
フケガオ「!? 何だあのチビは!」
マルゴリ「ぬごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!」
タツマキ「どうして私が『戦慄のタツマキ』と呼ばれるか今に体感させてあげる。巨人さん」
――――ドオッ!!!!
Z市南部
クロビカリ「ふむ。なるほど良い肉体をしている」
クロビカリ「地上で最も美しい筋肉を誇るこの俺『超合金クロビカリ』と、地底で最高の肉体を誇るアンタ…地底王とやらで決着を果たす時が来たようだ」
地底王「くくく…」
地低王「まずはこの息子達を倒してから大ぼらは吹いてもらおうか…」
地底人ABCDE…「「「「「さあ、相手をしてやる」」」」」
クロビカリ「……?」
クロビカリ「面白いことを言うじゃないか」
――ドゴォ!!!
地底人A「ぐ…は……っ」ドサリ
地低王「!!?」
クロビカリ「小手調べのつもりか?こっちは退屈な準備運動だぜ」
Z市北部
モスキート娘「ぷはぁ~。何だか生き返った気分だわあ」
モスキート娘「血もこれだけ沢山吸った事だしい…」
モスキート娘「そろそろ腕試しに戦いたいところよねえ?」チラッ
モスキート娘「そろそろ出てきなさいよ」
アトミック侍「…ふん」
アトミック侍「よく俺の気配に気付いたな」
モスキート娘「あなたなかなか良い男だから八つ裂きにするのが勿体無いわあ」
アトミック侍「…おまけに見る目がある。何より良い女だ」
アトミック侍「こいつは強敵だねえ…」ジャキン
モスキート娘「でも頭は残念みたい。惜しいわね」
モスキート娘「――敵の器も測れないなんて」
アトミック侍「まあ見てな…」
アトミック侍「決着は一瞬だ」
進化の家、跡地
阿修羅カブト「お前が復活後、最初の生贄かあ…?」
バング「ふむ…。凄まじいパワーとスピードを兼ね備えていそうじゃな。オーラで分かる」
阿修羅カブト「正直倒される前の記憶が曖昧だ…何で俺が今此処にこうして立ってんのかは知ったことじゃねえ」
阿修羅カブト「あの博士が復活させたのかもしれねえし、びっくりファンタジー現象が起きたのかもしれねえ。ただな、ひとつ確かなことがある」
阿修羅カブト「俺の記憶に焼きついて離れない凄絶な『憎悪感』…これだけはどうしようもねえ」
阿修羅カブト「どこの誰でもいい。一般人だろうがヒーローだろうが、そう」
阿修羅カブト「例えば目の前にいる年老いた爺だって、構わねえ訳だ」
阿修羅カブト「俺は今無性に…誰かを木っ端微塵にしてやりてえのよォ!!!」
バング(言動の意味は理解しかねるが…)
バング(ただならぬ事態にあるのは、確かなようじゃの)
阿修羅カブト「さあさあさあ!今すぐ死んでくれえ!!!」
公園
ヅラマント「…これで98戦0勝98敗、か」
――ふん。どうやら本当に口だけの奴だったようだ。
――失望のあまりやる気がそがれた。蹴りひとつで見逃してやる。
――本当ならこの俺に対し『肩慣らし』と言った罪で命を奪うところだが…。
――貴様の眼から、何か感じるものがあっただけに…、
――非情に『残念』だ。ヒーロー『ヅラマント』
――これからもせいぜい猿真似を続けながら連敗記録を更新するといい。
ヅラマント「……ひとつ、訂正があったんだ」
ヅラマント「せめて…訂正だけでもしてやりたかった」
ヅラマント「『奴』じゃない…『サイタマさん』……だって…」
ヅラマント「……」
このSSまとめへのコメント
つつづきたのむ
おもしろいよ
続きはよ、なんかヅラマント好きだわ
趣味で小説を読んでいる男だww