――男子寮――
エレン「zzz…………」パチリ
エレン「…………」ムクリ
エレン「美味そうなメシの匂いがして昼寝から覚めたら、腹にかけた覚えのない毛布が」
エレン「炊いた覚えのない蚊取り線香も」
エレン「窓には直射日光を遮る緑のカーテンが」
エレン「……またあいつの仕業か」
――食堂――
エレン「……とまぁ、そんなことがあったんだが、またお前男子寮に忍び込んだだろ」
ミカサ「確かに男子寮に忍び込むことは多々あるけど、それは私じゃない」
アルミン(2人共さり気にすごい事言ってるなぁ)
ライナー「ちょっと待て、ついこの前俺の身にも同様の出来事があったんだ。あれはてっきりベルトルトがしたものと思っていたが」
ベルトルト「僕もだ。あれはてっきりライナーがしてくれたものと思っていたが」
エレン「ライナーやベルトルトの身にも同様の出来事が起こっていたとなると、ミカサの仕業という線はまず無いな」
マルコ「ごめんそれ僕がやっtアルミン「わかったよエレン、それは妖怪の仕業だ」
エレン「妖怪?」
マルコ「」
アルミン「先日読んだ本にあったんだ。昼寝をしているといつの間にか入り込んでいる半身半獣の妖怪」
アルミン「お腹を冷やさないよう毛布をかけてやり、蚊取り線香を焚き、日光が直接当たらないように庭に緑のカーテンを作る」
アルミン「起きる時間が近づくと、口からおいしい晩ご飯の匂いを出して、心地よく目覚めさせる」
アルミン「目を覚ますと消えてしまうが、食卓には夕食が用意されている」
アルミン「味はとてもおいしく、食べると出世する」
アルミン「そりゃただのオカンじゃないかと本に向かってツッコミを入れたけど、エレンやライナー達の身に起きたことを鑑みるに、どうやらその妖怪は実在するらしい」
エレン「……で、なんていう名前なんだ? その妖怪は」
アルミン「うまづら」
ライナー「は?」
アルミン「『うまづら』っていうんだ。その半身半獣の妖怪の名前」
エレン「うまづら、かよ……」
ライナー「うまづら、なぁ……」
ベルトルト「うまづら、ねぇ……」
コニー「うま……」
サシャ「……づら」
一同「…………」ジーッ
ジャン「ちょっと待て何故一斉にオレを見る」
コニー「すげぇなジャン、お前実は妖怪だったんだな。まさか人間に紛れて訓練兵になるとはな」
ライベルアニユミル(ギクリ)
ジャン「イヤイヤ普通は誰か親切な奴がしてくれたって考えるだろ? 例えばマルコとかさぁ」
アルミン「そりゃまあ、そう考えるのが妥当なところだけど。マルコとか」
ライナー「マルコならこの一連の痒いところに手が届くサービスも納得だが……なんせ俺らは兵士といえどもまだまだ夢見たいお年頃」
ベルトルト(ああ今日のライナーは兵士モードなんだ)
ユミル「夢見たっていいじゃない」
クリスタ「いいじゃない!」
ミカサ「そんな訳でうまづら、エレンのお世話をしてくれてありがとう。お陰でエレンが気持ちよく昼寝できた」
ジャン「ミカサから礼を言われるのは嬉しいがこの状況下でどんな顔をしていいのか分からない
ジャン「つーかオレじゃねぇし! そもそも妖怪じゃねぇし!」
サシャ「えー、本当にジャンじゃないんですか? ……ちょっと、私に向かって息を吐いてみてください」
ジャン「あぁ? まぁいいけどよ」ハー
サシャ「フンフン……口からおいしい晩ご飯の匂い! 断言します、ジャンこそがうまづらです!!」
ジャン「そりゃ今まさに食ってるんだから匂いくらいするだろうがよ!」
ユミル「ちなみに今日の夕食当番は?」
ジャン「オレ」
ユミル「思い出すんだ……ライナーとベルトルさんがうまづらの世話になった日の夕食当番は?」
ライベル「えーと、確か……ジャンだ」
ユミル「これで話は全て繋がった。やっぱりジャンこそがうまづらだ」
ジャン「うまづらうまづら連呼すな!!」
ライナー「よーしお前ら今日の夕食は心して食え! なんせうまづらジャンの作ったメシだからな、食えば出世するぞ!!」
一同「うおおおおお! ありがとううまづらジャン!!」ガツガツ
ジャン「アカン……否定すればするほどドツボにはまっていく……」
マルコ「(もう今更僕だなんて言えない)ありがとううまづらジャン!!」モリモリ
アルミン「かくしてジャンは本人の思いをよそに妖怪うまづらとして崇め奉ることとなった」
アルミン「後に超大型巨人が再度出現し、エレンがエレンゲリオンと化した際にジャンもうまづらの巨人に変身しないかなと妙な期待をかけられるのだが、それはまた別の話」
おしまい
ちなみに元ネタはこちら
http://hamusoku.com/archives/8115899.html
変換ミス
×崇め奉る
○崇め奉られる
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