純一「ギクッそ、それは……」
美也「へぇ。にぃには、どうして落ちてたのか知ってるんだ」
純一「い、いや。知らない。み、美也の、と、友達のじゃないの?」
美也「この間掃除したばっかりだよ」
美也「……みゃーのベッドで、誰と、なにしたの?」
純一「いや、違うんだ。その……」
美也「……」ジトー
純一「……ぼ、僕がこの間みゃーのベッドで寝転んだんだ!!」
美也「へ?」
純一「だからその髪は、たぶん僕のだよ、ごめん」
美也「ど……どうしてそんな嘘つくの!?これどう見ても、女の子のじゃん!!」ビシッ
純一「い、いや……それは……」
女装が趣味なんだ!
ほらウィッグ!
美也「なに!?はっきりいってよ!みゃーのベッドで!何をしたの!!?」
純一「えっと……」
美也「言えないようなこと!?言えないような……やらしいことしたんでしょ!!」
純一「その……」
美也「サイテー!サイテーにぃに!変態!不潔!どうして」
美也「どうして……みゃーのベッドで……そんなこと……」
>>13
落ちを先に言われた……
展開の選択肢
1、このまま、実は女装でした、で女装したにぃにと、みゃーが
いちゃいちゃする話
2、本当に誰か別のヒロインの髪。名前明記。
純一「だ、だから……そう!女装だよ!美也の部屋で女装して、ベッドに寝転んだら、かつらの髪が……」
美也「か、かつら?」
美也「……」ジー
美也「これがぁ?」
純一「う、うん」
美也「女装?」
純一「うん……」
美也「……じゃあかつら見せて」
純一「え゙」
純一「え、えーっと……す、捨てちゃった、かな」
美也「……やっぱり嘘じゃん」
純一「い、いや!ほんとだって」
美也「……もういい。にぃにのこと、見損なったよ!!」
純一「美也……」
美也「ってことが昨日あってさー」
七咲「そ、そうなんだ……」
美也「信じらんない。たとえ、やらしいことしてないとしても、私の部屋に勝手に別の女の子と上がり込むなんてさ」
七咲「……」
中多「で、でも……なにか……事情があったのかも」
美也「どんな事情?それに、それなら言えるはずじゃん」
中多「そ、それは……」
七咲「……」
美也「?どうしたの?逢ちゃん」
七咲「へ!?な、なにが?」
美也「ぼーっとしてるから」
七咲「え、えっと」
美也「逢ちゃん……私の話聞いてた?」
七咲「も、もちろん。聞いてたよ」
美也「じゃあ、逢ちゃんも信じられないと思うよね?」
七咲「う、うん……そうだね」
美也「まったく。ほんとに誰となにしたんだろ」
中多「先輩は……付き合ってる人、いるのかな」
美也「うーん……いるっぽいんだよね。まだ教えてくれないけど」
七咲「……」
七咲(それってやっぱり……この間の)
純一「ねえ、逢。ここ、どこだと思う?」
七咲「え?えっと、先輩の家、じゃないんですか?え、そ、外には出てないんですよね?」目隠しプレイ中
純一「ははっ、もちろんだよ。靴はいたりはしなかったでしょ?」
七咲「え、えっと」
七咲(扉の外には出たみたいだから、先輩の部屋じゃない)
七咲(階段も降りてない)
純一「……時間切れだよ。逢」トンッ
七咲「え」バサッ
七咲「べ、ベッド……?」
純一「ここはね。美也の部屋……さ」
七咲「み、美也ちゃんの?」
純一「うん。そのベッドで、美也は毎日寝起きしているんだ」
七咲「そ、そうなんですか……え、でも、なんでここに」
純一「……興奮しない?」
七咲「え」
純一「友達の部屋で、するのって」
七咲「ええ!?」
七咲(先輩の馬鹿……あんなことするから……)
七咲(掃除、しっかりできてなかったんだ……)
「――ちゃん」
七咲(先輩、またしようなんて言ってたけど……これじゃあ)
美也「逢ちゃん?」
七咲「へ?あ……ご、ごめんね。そうだね、しんじ」
美也「?チャイム鳴ったから教室戻ろうって話だったんだけど」
七咲「え゙」
七咲「そ、そうだったね」
七咲「い、いこっか」
美也「……」ジー
美也(にぃにが彼女できたのは、多分クリスマスぐらい……)
美也(逢ちゃんが、やたらにぃにと仲良くなってたのもその辺……)
美也(しかも、最近逢ちゃんは付き合い悪い……別の誰かと、いつも予定があるみたいに)ハッ
美也「もしかして!」ガタッ
先生「……どうした、橘」
美也「え」
先生「今は授業中なんだが」
美也「あ、その……すみません///」
中多(美也ちゃん……)
美也(紗江ちゃん。えへ、やっちゃった)
七咲(美也ちゃん?)
美也(あ、逢ちゃん……)サッ
七咲(え……目線、反らされた……?)
七咲「み、美也ちゃん」
美也「……なに?」
七咲「えっと、さっきは、その、どうしたのかなって。授業中に急に立ってたから」
美也「あ、あれは……別に……なんでもないよ。逢ちゃんには関係ないし」
七咲「え」
関係ないし
関係ないし
関係ないし
美也「……逢ちゃん。今日もお昼部活の友達と?」
七咲「え、う、うん」
七咲(とにかく、先輩と話さないと)
美也「へえ。そーなんだ」
純一「……はぁ」
梅「おいおい大将。今日何度目だい?」
純一「え?何が?」
梅「ため息だよ。今日は多いぞ。朝からずーっと暗い顔してさ」
純一「ああ……ちょっとな」
梅「彼女と喧嘩でもしたのかい?」
純一「そんなんじゃないよ……はぁ」
梅「おいおいやっとお昼だってーのに、そんな暗くてどうするんだよ。なんなら、俺がおごって」
純一「梅原……」
七咲(先輩……)コッソリ
純一「あ」
梅「もしくは、この秘蔵のお宝本を」
純一「ご、ごめん梅原!また今度おごってくれ」ダッ
梅「?急に走り出して、いったい何事だい」
七咲「ここなら、大丈夫でしょうか」
純一「このポンプ小屋なら、たぶんね」
七咲「……」
純一「……」
純一「えっと……聞いた?」
七咲「はい……」
純一「美也のやつ……もう言いふらして」
七咲「先輩」ジトー
純一「……はい。ごめんなさい。調子に乗った僕が悪かったよ」
七咲「そうですよ。あんな、いないからって、美也ちゃんの部屋で……///」
純一「……」
七咲「もう。先輩のせいで、今日は美也ちゃんの前で顔から火が出るかと思いました」
純一「……」
七咲「しばらくは――」
純一「七咲だって、興奮してたくせに」
七咲「う……そ、そんなこと」
純一「いいや。してたね。美也の服着た時とか」
七咲「あ、あれは……先輩が変なこと言うから」
純一「美也は明日、その制服を来て学校に行くんだよ」
七咲「い、言い直さないでください!」
純一「……ねえ、どうだった?」
七咲「な、何がですか」
純一「顔から火が出そうって、そのくらい興奮しちゃったってこと?」
七咲「や、やめてください……」
純一「美也の前で、美也の制服を見て、美也の部屋でした時のことを思い出して?」
七咲「そ、そんな……」
純一「七咲……これからしばらくは、放課後は会わないほうがいいよね」
七咲「そ、そうですね」
純一「じゃあ……」
七咲「や、やめてください……わ、私は今後の事を話し合おうと思って……」
純一「でも、だからってわざわざポンプ小屋まで来る必要、あったかな?」
七咲「だ、だから……」
パキッ
七咲「!」
純一「逢……」
七咲「ど、どいてください」ドンッ
純一「え」
純一「うわわわわ」ドテッ
七咲「っ!」ガチャッ
七咲「いない……?誰も?」
純一「いたたた。どうしたんだい?」
七咲「先輩」
純一「なに?」
七咲「やっぱり、しばらくは学校でも合うの控えたほうがいいと思います」
純一「ええ!」
七咲「……はぁ。美也ちゃんのことがなければ、いっそ付き合ってるって言ってもいいんですけど」
七咲「先輩のせいで、そんなこと言ったら、美也ちゃん許してくれないでしょうし」
純一「うう、全部僕のせいなんだ」
七咲「当然です」
ごめん。ちょくちょく先輩が七咲って呼んじゃってるね。
七咲「じゃあ、もうここから別れましょう」
純一「逢……せめて、その……」
七咲「……」
純一「ほ、ほら。しばらくがいつになるかわからないし」
七咲「……はい」キス体勢
純一「逢……」
七咲「……」
サワサワ
七咲「……先輩?」ペシン
純一「ご、ごめん」
塚原「あら?今日は彼氏は待っててくれないの?」
七咲「つ、塚原先輩!彼氏って」
塚原「見てたらばればれじゃない。いい加減、教えてくれないのかなーって思ってたんだけど」
七咲「……///」
七咲「ほ、他の人の前では言わないでくださいね」
塚原「どうして?恥ずかしいの?かわいいね、逢は」
七咲「うう///」
美也「あーいちゃん 」
七咲「」
塚原「あら、こんにちは」
七咲「み、美也ちゃん!?」
美也「逢ちゃんと一緒に帰ろうと思って、待ってたんだー」
七咲「そ、そーなんだ」
塚原「へえ。今日は妹さんの」
七咲「し、失礼します!いこ、美也ちゃん!」
美也「あ、待ってよー」
塚原「あらあら」クスクス
七咲「はぁはぁ」
美也「はぁはぁ。どうしたの?逢ちゃん」
七咲「え」
美也「急に走り出すから」
美也「私、もう少し先輩と話してから帰りたかったなー」
七咲「えっと、ご、ごめんね。き、今日は……早く帰ってご飯作らないといけないから」
美也「え、そうなの」
七咲「う、うん。だから、美也ちゃんともあんまりおしゃべりしたり寄り道は」
美也「そっかー。残念だなー」
七咲「じゃあ」
美也「……逢ちゃん。最近付き合い悪いよね」
七咲「え……」
美也「あ、ううん。なんでもない。じゃあね」
七咲「う、うん」
美也「ただいまー」
トントントン
純一「お、遅かったな」
美也「……」プイッスタスタスタ
純一「ま、待て美也!これを見ろ!」
美也「なに?」チラッ
美也「」
純一「こ、これが!昨日言ってたかつらだ!」
純一「さ、さらに!ちょっと待ってろよ」
数分後
美也「」
純一「こ、この格好で……その、女の子の部屋で過ごしたくて……その……」
美也「……変態」
純一「へ、変態……」
純一「ま、待ってくれ!僕は変態じゃなくて紳士――」
美也「……」スタスタスタ
ガチャッ
バタン
美也「っっっ!!!」
美也「な、なにあれ!!?」バンバンバン
美也「に、にぃにが!にぃにが!あんな服!!!」
美也「あは、あははは、お腹痛い!ぜんっぜん似合ってないしぷふふふふふふ」
美也「か、かつらまで!い、いきできない」
美也「はあ、おかしかった……」
美也「……」
美也「……あんなことまでして、隠したいこと、したんだ」
美也「素直に言って、謝ってくれればいいのに……」
美也「逢ちゃんも逢ちゃんだよ。正直に言ってくれれば……みゃーだって」
美也「はあ、なんかもう、怒ってたのどうでもよくなっちゃった」
美也「でも、またこんなことあったらやだし……」
美也「……ちょっと、二人をこらしめてみようかな」
美也「よーし」
美也「やるぞー」オー!
コンコン
美也「ビクッは、はーい」
純一「美也?さっきのはな」
美也「うっさい、変態にぃに」
美也(あ、そうだ)
美也「ほんとに許してほしい?」
純一「!う、うん!」
美也「じゃあ、みゃーがにぃにの部屋をノックしたら、ちょっと待ってまたみゃー部屋に来て」
純一「?わかったよ」
美也「あ!またさっきの格好でね!にしし」
純一「ええ!?」
美也「……許してほしくないの?」
純一「わ、わかったよ……」
美也「じゃあ、後でねにしし」
純一「?」
だって……ほんとは女装橘さんで長いかつらのはずだったんだもの……
コンコン
純一「き、きた!じ、じゃあ……ちょっと待って」
コンコン
純一「み、美也?」
美也「にしし、入っていいよー」
純一「(機嫌、直ったのか?)じ、じゃあ。入るぞ」ガチャッ
パシャッパシャッ
純一「うわ!」
美也「もう!に、じゃなかった、ねぇね!顔隠しちゃダメ!」
純一「ええ!か、カメラ!?」
美也「にしし、ほらほら、かわいいポーズとって!ね、ねぇね!」
純一「か、かわいいポーズ!?」
パシャッパシャッ
美也「ふぅ、このくらいでいいかな」
純一「……そ、その写真は、どうするんだい?」
美也「え?んー、どうしよかっなー」
美也「明日、みんなに見せようかなー」
純一「ええ!そ、それだけは……」
美也「じゃあ、ほんとのこと言ってよ」
純一「う……だ、だから僕は」
美也「女装大好き?」
純一「う、うん……」
美也「ふーん……」
美也「じゃあ、女装だったとしても、みゃーのベッドににぃには寝転がったんだよね」
純一「う、うん」
美也「……許して欲しかったら、しばらくはみゃーの言うこと聞いて」
純一「……はい」
美也「じゃあ、今日はこのくらいでいいや」
純一「え、えっと……」
美也「……勝手に出てけば」
純一「ご、ごめんな。美也……」
美也(謝るくらいなら、ほんとのこと言ってよ)
数日後
美也「じゃじゃーん」
中多「どうしたの?美也ちゃん」
七咲「写真……?」
美也「にしし、見てみて」
中多「あ、せんぱ……い……」
七咲「え」
美也「すごいでしょー」
中多「」
七咲「先輩の……女装写真……?」
美也「そう!お兄ちゃんってば、この間許しくれーこの格好でーって来たから、写真撮ってやった」
七咲「へ、へー」
中多「」ブルブル
七咲(先輩……ここまで体はって……)
美也「まあ、ほんとは女装じゃないんだろうけど、ここまでするなんてねー」
七咲「……」
中多「」ブルブル
美也「いったい、誰のこと庇ってるんだろうねー」
七咲「……」
七咲(先輩……私のために……)
美也「まあ、ほんとのこと言うまでは、しばらくにぃにには、女装させちゃおっかなーって」
中多「み、美也ちゃん!」
美也「へ」ビクッ
七咲「」ビクッ
中多「焼き増ししてもいい!?」
美也「や、焼き増し?い、いいけど……」
中多「あ、あと……先輩に女装させる時は……私も……呼んで?」
美也「う、うん」
七咲「……」
美也「あ、逢ちゃんも来る?」
七咲「え……?わ、私は……」
美也「実際に見ると、ほんとに面白いよ?にぃにの女装」
純一「……」ソワソワ
梅「今日はまたどうした、大将」
純一「え、な、なにが?は、まさか」
梅「あん?いや、やたらそわそわしてるからさ」
純一「あ、ああ、ちょっと」
梅「またかよ。だから、何度も言うけどよ、なんでも相談していいんだぜ?」
純一「ああ、ありがとう……」
純一「……」
純一(あの写真を取られてから数日……美也は、もう現像したんだろうか……)
純一(少なくとも、梅原や、僕の友達はまだ見てないようだし、無差別にばらまかれてもいないようだけど……)
純一(あー、気になるなー……ん?)
七咲「……」コッソリ
純一(逢?どうして……)ガタッ
梅「大将?」
純一「ごめん、ちょっとトイレ!」
梅「……青春かねえ」
校舎裏
純一「ど、どうしたんだい、逢」
七咲「先輩……私見ました」
純一「え゙。も、もしかして……」
七咲「はい……女装写真を……」
純一「そっか……見ちゃったか……」
純一「幻滅させちゃったかな……」
七咲「そんな!だって先輩は、私が美也ちゃんと喧嘩しないように……」
純一「……ははっ、いいんだよ。元はといえば、僕が悪かったんだし」
純一「幻滅か……今さらだよね。調子にのって、逢にはあんなことさせて」
七咲「……先輩。やっぱり、正直に言ったほうが」
純一「でも……言える?美也のベッドであんなことしちゃったなんて……」
七咲「それは……」
純一「だから、いいよ。美也は、僕が女装すれば許してくれそうだしね」
七咲「先輩……」
七咲(先輩の女装……)ブルッ
純一「だから、美也が全部許してくれるまで、僕が女装し続けるよ。そして……いっそ女装を極めてみせる」
七咲「」ブルブル
純一「ん?逢?」
七咲「い……いえ……なんでも……ぷっ」
純一「……」
純一「はーい、純子でぇーす」ウラゴエ
七咲「」ブフッ
七咲「せ、先輩!!」
純一「ははっ、ごめんごめん」
純一「ま、逢はそう深刻にならないで」
純一「そうやって笑っていてよ」
七咲「でも……」
純一「大丈夫」
七咲「え」
純一「心配しなくても、いくら女装したって、心まで女の人になったりしないよ」
七咲「え、いえ、私が心配してるのは」
純一「ははっほら、授業始まるよ」
七咲「あ……先輩」
落ちが決まらない……
後日
美也「というわけで、今日はお兄ちゃんに女装してもらいまーす!」
中多「お、おー」
七咲「……」
純一「……」
純一「み、美也?なんで二人もいるんだ……?」
美也「なに?やなの?なんでも言うこと聞いてくれるんでしょ?」
純一「……はい」
美也「じゃあまずはー」
中多「み、美也ちゃん……私も
服持ってきたの……」
美也「え、ほんとー。見せてー」
純一「はぁ……」
七咲「先輩……」
美也「ほらお兄ちゃん、決まったからこれ着て」
純一「はーい……」
美也「今日はこのくらいかなー」
中多「いっぱい……写真撮れた」
七咲「お疲れさまです、先輩」
純一「うん……」
美也「じゃあ次は」
純一「またやるのか……」
美也「当然でしょ。そうだ、女装して町歩いてみるっていうのはどう?」
中多「え……」
七咲「え」
純一「……」
中多「それは……さすがに……」
七咲「美也ちゃん……」
純一「……」
美也「まあ、にぃにが嫌なら、ほんとのこと言ってくれたら、やめてもいいけどー」
純一「……やるよ」
七咲「先輩……」
中多「先輩が、女装して町を……」
純一「それで、いつやるんだ」
美也「そ、そうだね。じゃあ今度の……」
純一「わかった」
七咲「先輩……」
中多「あの……じゃあ、その時のお洋服、選んでもいい、ですか?」
美也「そうだねー」
七咲「……」
中多「ばいばい、美也ちゃん。さようなら、先輩」
七咲「失礼します」
美也「ばいばーい」
純一「じゃあね」
美也「……さあて、また今度もよろしくね、にぃに」
純一「はいはい」
ガチャッ
七咲「あの……」
美也「あれ?逢ちゃん?」
純一「逢……?」
七咲「……」
美也「どうしたの?」
七咲「ごめんなさい……」
純一「ハッあ、逢!」
七咲「美也ちゃん」
美也「……なあに?」
七咲「先輩と……付き合ってるのは、私なんだよ」
美也「……」
純一「逢……」
七咲「ずっと黙ってて、ごめんね。一番最初に、言うべきだったよね」
純一「ち、違うんだ美也。僕が、しばらく黙っていようって」
七咲「いいんです、先輩。理由なんて、美也ちゃんには関係ないですし」
美也「やっぱり、逢ちゃんだったんだ」
七咲「うん」
美也「逢ちゃん」
七咲「……」
美也「良かったね。ふつつかな兄ですが、よろしくお願いします」
七咲「美也……ちゃん……ごめん、ごめんね!」
美也「もういいよ……正直に言ってくれれば」
美也「それで、私の部屋で、何をしたの」
美也「正直に言ってくれるんだよね?」
七咲「……実は」
純一「その……」
美也「」
美也「そ、そんなことしたの!!?」
純一「う、うん……」
七咲「///」
美也「……呆れた」
美也「逢ちゃんが、ちょっと照れてるのは気になるけど」
美也「つまり、私の部屋まで逢ちゃんを連れてって」
美也「そ、その……そそそ、そういうことを、しようとしたのは、にぃに、なんだね」
純一「ま、まあ……」
美也「……にぃにには、罰を受けてもらいます」
純一「はい……」
美也「逢ちゃんも」
七咲「はい……」
美也「じゃあ、その罰はね」
純一「……」ゴクリッ
七咲「……」ゴクリッ
純一「女装した上に目隠しなんて……」
七咲「私ができるだけ、人通りのなさそうな道を選びますから……」
純一「うん、頼んだよ。逢」ギュッ
七咲「……///」
美也「じゃあ、お二人さんいってらっしゃーい」
中多「き、気を付けて……」
七咲「先輩、じゃあ、歩きますよ」
純一「う、うん」
美也『いい、逢ちゃん。お兄ちゃんに、この中から適当に台詞を言ってね』
七咲(うう……)
純一「ははっ、目が見えない状態で外を歩くと、さすがに怖いね……」
七咲「先輩……」
純一「え、なに?」
七咲「み、みんな、純子ちゃんのことを見てますよ……」
純一「じゅ……?って、え?人いるの?」
七咲「ふ、ふふふ、ええ。いますよ。指差してる人もいます」
純一「そ、そうなんだ……」
七咲「あ」
純一「な、なに?」
七咲「いえ、今知り合いがいたような気が」
純一「ええ!?し、知り合い?僕も知ってる?」
七咲「は、はい」
純一「べ、別の道行かない?」
七咲「え?どうしてですか?いっそ見せましょうよ」
純一「い、いや、ダメだよ!」
七咲「純子ちゃん」
純一「え」
七咲「あまり大きな声を出すと、注目されますよ。それに、女言葉を話さないと」
純一「お、女言葉……?」
七咲「はい」
純一「こ……こう、かしら?」
七咲「ぷふっ、え、ええ。いいです」
美也「ぷぷぷ、に、にぃに……」
中多「……先輩がんばって」REC
純一「な、なんか、すごい恥ずかしいんだけど……」
七咲「まあ、罰ですからね」
純一(うう、目は見えないし。しかも女装だし……なんか視線は感じるし、なんだろう、この状況……)
七咲「あ、風が」
純一「え」ブワサー
七咲「せ、先輩!スカート押さえて!」
純一「え、え?まさか……」
七咲「ええ……モロでした」
純一「ええ!?」
純一「み、見た?」
七咲「え、ええ……下着は男物なんですね」
純一「そ、そりゃあね」
プッ
純一「ひっ、い、今、笑い声が」
七咲「え、えーっと、はい……笑われてます」
純一「そんな……」
七咲「先輩……」
七咲(恥じらう姿がかわいい……)
中多「」ハァハァハァ
美也「うえー。やなパンチラー」
純一「ま、まだ続けなくちゃいけないの?」
七咲「はい。決められた時間まで、まだかなりありますし」
純一「え、もう一時間は歩かなかった?」
七咲「まだ二十分です」
純一「そんな……」
「あれ、もしかして……」
純一「え、き、聞き覚えのある声が……」
誰がいい?
直下
棚町「ええええええ!?も、もしかて、じ、純一!!?」
純一「か、薫!?薫なのか!?」
棚町「ぶふっ、ひひ、な、なにその格好」
純一「い、いや、これはだな」
七咲「先輩、女言葉」ボソッ
純一「ええ!?」
七咲「実は、美也ちゃんからの指示なんです。お願いします」
純一「……か、薫には関係ないでしょ!」
棚町「へ?い、今の」
純一「な、なによ!」
棚町「ひ、ひー、ひひひ、だ、だめ……いきできない……」
田中「どうしたのー?」
純一「げ、この声は」
棚町「あ、恵子ー、ちょ、ちょっとこっち来て」
田中「なになにー?」
田中「え、この人誰?」
棚町「よーく顔見てごらんなさい、ぷぷぷ」
純一「……」ドキドキ
田中「目隠ししてるけど……え、た、橘くん?」
棚町「ぶふっ、そ、そうなのよ、ひひひ。ほ、ほら純一、なんかしゃべりなさい」
純一「……」
田中「え?え?なんで橘君が?え?」
田中「え、えっと……し、趣味は人それぞれ」
純一「ち、ちがうん」
美也「……」ジー
純一「違うのよ田中さん!」
田中「よ?」
棚町「」
純一「こ、これにはふかーいわけがあるのよ!」
田中「へ……へー」目線反らし
棚町「はー……はー……」
七咲「あの……」
田中「あれ?あなた」
七咲「すいません。私たち、そろそろ」
純一(やっと解放――)
棚町「あ!ちょっと待って!」
七咲「……な、なんですか?」
棚町「カメラ持ってくるから、ちょーっち待ってくんない?」
純一「だ、駄目に決まってるでしょ!!」
上の美也のカットインは、実際に橘さんに見えたわけじゃなくて、
どこかで監視しているはずって思い出した描写で
棚町「ええー、いいじゃんちょっとぐらいー」
純一「駄目ったら駄目よ!」
棚町「ぷっ、け、けちー」
純一「じゃあ、私たちは行くから」
田中「う、うん。さようなら」
田中(違う意味でもさようなら、橘君)
純一「あ、このことは、絶対に誰にも言わないでよ!」
棚町「えー」
純一「薫!」
棚町「はいはい」
純一「はあ、ひどい目にあった……」
七咲「大変でしたね……」
純一「これで僕のあだ名は、明日からオカマ野郎だ……ふふふ」
七咲「先輩……」
純一「あ、時間は?」
七咲「まだまだです……」
純一「はぁ……こうなったらもうやけよ!さあ逢!ちゃっちゃといきましょう!」
七咲「は、はい」
美也「あ、ちょっと待って」
純一「え?美也?」
七咲「どうしたの?」
美也「にしし、お着替えたーいむ!今度はこれに着替えて。あ、目隠し取っていいから、そこの公園のトイレでね」
純一「ぷはぁ」
純一「あー、目が見えないだけなのにすごく疲れた……」
中多「先輩、お疲れさまです……どうぞ」
純一「あ、ありがとう。中多さん」ゴクゴク
美也「ほらにぃに!早く早く!」
純一「せ、急かすなよ」
純一「おい……これって」
美也「うん。うちの制服」
純一「まさか……」
美也「次は学校ね!」
純一「だ、駄目に決まってるだろ!!」
美也「……変態。お父さんとお母さんに」
純一「わ、わかったよ!」
美也「はい、目隠し」
純一「目隠しまだやるのか……」
純一「ね、ねえ逢?」
七咲「は、はい……」
純一「ひ、人の声が増えてきてない?」
七咲「は、はい。下校時刻のピークは過ぎてますが、それでも生徒がけっこういますので……」
純一「が、学校まではあとどのくらいかしら?」
七咲「もうすぐですね……」
純一「そ、そう……」
純一(うう、どうかばれませんように!!)
純一(かつらと目隠しで、そう簡単にはわからない……はず!)
「あれ?」
純一(あ、終わった)
誰がいい?
直下
絢辻「あなた……」
純一「な、七咲、早く進んで」ボソボソ
七咲「は、はい」ボソボソ
絢辻「ちょっと待ちなさい」
純一「な、なんでしょう」ウラゴエ
絢辻「あなた、なんで目隠しをしているの?危ないわよ」
純一「い、いえ、これはその……」ウラゴエ
絢辻「あと、あなたみたいな生徒、うちにいたかしら?見覚えがないんだけれど」
純一「転入したばかりなんですぅ」ウラゴエ
七咲「あ、あの、私たち急ぎますので」
絢辻「……そう」
純一「ご、ごきげんよう」ウラゴエ
絢辻「ごきげんよう、橘君」
純一「」
純一「き、気づいてたの!?」
絢辻「ええ。一目で気づいたわよ」
純一「じゃあなんで」
絢辻「面白そうだったから、つい」
純一「ひどいよ、絢辻さん……」
絢辻「そんなことより、なんて格好をしているの、橘君」
純一「こ、これはその、やむにやまれぬ事情がありまして……」
絢辻「へぇ。私てっきり、あなたの趣味なのかと思ったわ」
純一「違うよ!!」
絢辻「まあ、どっちでもいいけど」
純一「よくないよ……」
絢辻「その格好で学校に行く気?死ぬわよ(社会的に)」
純一「……でも、私には行かなきゃいけない理由があるのよ!!」
絢辻「そ、そうなんだ」
絢辻「気を付けてね。あと、あなたも」
七咲「私ですか?」
絢辻「よくわからないけど、がんばってね」
七咲「は、はい。ありがとうございます」
絢辻「それじゃあ」
純一「う、うん。さようなら、絢辻さん」
純一「はー、さすが絢辻さんだなあ。まったく笑わなかったよ。薫とは大違いだな」
絢辻「……」キョロキョロ
絢辻「(割愛)」
七咲「先輩、やっと学校につきましたよ」
純一「そ、そっか。じゃあかえ」
美也「ダメダメ。一周してきて。そしたら、帰っていいから」
純一「美也!?またお前はどこから……」
美也「私たち、ずーっと見てるからね」
中多「ビデオにも、撮ってます」
純一「え!?き、聞いてないぞ!!」
美也「はいはい、早く行ってらっしゃーい」
美也「ほら、逢ちゃん」
七咲「う、うん」
純一「くそー!」
美也「女の子は糞なんていわなーい」
絢辻さんに出会ってこの程度で済んだことに感謝すべき
純一「はあ……」
七咲「せ、先輩。もう少しですから」
純一「うん……でもどうせまた誰か」
「あ」
純一「やっぱり……」
誰?
直下
>>200
絢辻さんを攻略してなかったことが逆に救われた
梨穂子「あれー?あなた」
純一「……」
梨穂子「うーん?あのー、私の勘違いかもしれないんだけど、あなた」
純一「そうだよ!僕だよ!!」
梨穂子「わわわ、や、やっぱり純一だー」
純一「……」
梨穂子「でも純一、どうして女の子の格好をしてるの?」
純一「なんだっていいだろ……」
梨穂子「えー、気になるよー」
七咲「先輩」ボソッ
七咲「美也ちゃんが……」ボソボソ
純一「はぁ……」
純一「とにかく、私は急いでいるから、じゃあね、梨穂子」
梨穂子「私?ぷぷ、なにそれ。言葉まで女の子ごっこ?」
純一「だから、気にしないでって」
梨穂子「でも純一、結構似合ってるね。その格好」
純一「え」
中多「……」コクコクコク
梨穂子「かわいいよ、純一」
純一「へ、変なこと言うなよ///」
七咲「……」ムッ
七咲「そうですね。先輩、結構似合ってて可愛いですよ」
純一「あ、逢?」
梨穂子「うんうん。また今度他の服を来ているところも見たいなあ」
純一「たぶん、もう着ない……」
梨穂子「えー、もったいないよー」
七咲「先輩、今度私と二人きりの時に」
純一「わ、わかったわよ。考えておくから……」
七咲「え」
梨穂子「やったー」
純一「ほら、七咲。行こう?」
七咲「あ、はい」
梨穂子「じゃあねー」
純一「はいはい」
七咲「先輩」
純一「なにかしら?」
七咲「もしかして……癖になってますか?」
純一「え゙、そ、そんなことないわよ」
七咲「あやしい……」
純一「ほ、ほら。早く行こう?一周ってまだなの?」
七咲「あ、いえ。もう少しで終わりですね」
純一「よーし、じゃあ」
「あら、あなた」
森島「逢ちゃんじゃない」
七咲「も、森島先輩……」
森島「ねえ、響見なかった?ずっと探して」
純一「……」
森島「あなた……」
純一「……」
森島「どうして目隠ししているの?」
純一「……」
七咲「い、いえ、これは……」
森島「んー?ていうかあなた。見たことあるような……」
ごめんなさい。森島先輩で確定です。
あとスト子は攻略してないので除外になります。
塚原「はるか!」
森島「あ、響ちゃん!」
塚原「もう、こんなところいたの?教室で待っててって」
塚原「あれ?七咲?」
七咲「は、はい……」
塚原「どうしたの?部活休みなのにこんな遅くまで」
七咲「い、いえ……わ、忘れ物をしたので、一度帰ったんですけど、戻ってきたんです」
塚原「へぇ」
塚原「あれ?そっちの子は」
純一「……」
森島「あ、そうそう。この子、さっきから目隠しして声も聞かせてくれないの。きっととってもシャイなのね」
森島「逢ちゃんのお友だち?」
塚原「……」ジー
純一「……」
純一(な、なんだろう。見えないはずなのに、突き刺さるような視線を感じるぞ)
塚原「あなた」
純一「」ビクッ
塚原「もし何かの罰ゲームだったりしたらだけど、目隠しは危険よ」
純一「……」コクコク
塚原「七咲も、止めてあげないと」
七咲「す、すいません……」
塚原「事故が起きてからじゃ遅いのよ」
七咲「は、はい」
塚原「高校生にもなって、こういう悪ふざけは」
七咲「……」
純一「ち、違うんです!!」
塚原「え」
森島「わーお」
純一「これには深いわけが……七咲は悪くないんです!!」
塚原「た……橘君!?」
森島「えー、あなただったの!?あは、すごーい!ベリーキュート!似合ってるわよ!」
純一「あ、やば」
森島「なあに?どうしたの?なんで女子の制服着てるのかしら?」
純一「え、えーっと……」
塚原「」絶句
純一「こ、これにはふかーいわけが……」
塚原「ば、罰ゲーム?」
七咲「……」
純一「似たようなものです……」
森島「あ、そうだ!これからうちに来ない!?きっと橘君に似合う服がたくさんあるから!」
塚原「ちょっと……黙ってて、はるか……」クラクラ
塚原「趣味……ではないのよね?」
純一「も、もちろんです!」
塚原「……行きすぎた恋人同士の、その、そういうのでも、ないのね?」
七咲「は、はい!ありえません!」
森島「え?そうなの?二人ってそうだったの?」
塚原「……」
純一「……」
七咲「……」
森島「そういえば、さっきからずーっと手を繋いでて、二人ともかわいいカップルね!」
塚原「もう何も聞かないから……気を付けてね」
純一「はい……」
七咲「はい……」
森島「ええ、もう終わりなのー?残念」
塚原「橘君……」
純一「あ、はい?」
塚原「あなたには、七咲のこと任せてもいいって思っているんだから、あまり変なことはしないように」
純一「は、はい」
森島「そうよ!男の子はナイトなんだから、しっかり女の子を守らないと!あ、でも今は二人ともプリンセスね!」
純一「はあ」
七咲「じ、じゃあ、失礼します」
純一「失礼します」
塚原「さようなら」
森島「じゃあねー」
純一「最後に、一番の大物に捕まってしまった……」
七咲「そうですね……」
純一「はあ、これで僕の知り合いでも、見られたくない人たちにはほとんど出会ったよ……」
七咲「御愁傷様です……」
純一「なんかもう、どうでもうよくなってきた……」
七咲「……」
純一「でも、それだけのこと、しちゃったってことかな」
七咲「先輩……」
純一「これからは、もっとちゃんと付き合っていこう」
七咲「先輩……」
美也「反省したようじゃな……」
純一「美也!」
美也「もう、目隠しをとってよいぞよ」
七咲「ぞよ?」
美也「わしは、それを二人に知って欲しかったのじゃ……」
美也「今日のことを乗り越えて、二人は、かけがいのない宝物が手に入れたはずじゃ」
美也「それを大事にするのじゃよ」
美也「あと、妹の美也ちゃんも大切にするように」
美也「さらばじゃ!」
純一「……」ポカーン
七咲「……」ポカーン
純一「えっと……終わり?」
七咲「みたいですね」
純一「帰ろっか」
七咲「はい……でも」
純一「でも?」
七咲「あの、先輩の着替えって」
純一「あ!美也!」
シーン
七咲「行っちゃったみたいですね……」
純一「女装したまま帰るのか……」
エピローグ
純一「逢……どうかな」
七咲「はい、似合ってます」
純一「そ、そうかな……」
七咲「先輩。背は高いですけど、お化粧したら結構女の子に見えますね」
純一「そ、そう?」
七咲「はい。じゃあ」スッ
純一「あ……」
七咲「ふふふ。まったく、目隠しプレイがそんなに好きなんですか?これじゃあ、女の子に見えませんよ?」
純一「だって……」
七咲「ほんとにもう、先輩は変態ですね」
七咲「美也ちゃんがこれを知ったら、また怒られますよ」
純一「ま、また……」
七咲「でも、もうこれじゃあ罰ゲームになりませんね」クスクス
純一「あ、逢……早く……お願い」
おわり
久々にアマガミSSを完結できました。
お疲れさまです。
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