父「……じゃあ、俺の上から、どけよ、っ」グチュ グチュ
娘「いやいや、力の差ははっきりしている。振りほどけばいいだろう」パンッパンッ
父「ぐ、……っ」
娘「脈打つお父さんを感じるよ。心臓も、ペニスも、びくんびくんと」パンッパンッ
父「は、早く、どけ、どいてくれ」グチュグチュ
娘「お父さん、何度も言うけど、私は結構軽いんだ」
娘「ちょいと押せば、簡単に転がる」
娘「ベッドの上だし、怪我もしないぞ」パンッパンッ
父「……お前は、何故、突然」
父「こんな、真似を」
娘「何度だって気づく機会はあったさ」
娘「ただまあ、父子という立場は厄介だな。愛を幾ら語ろうと、家族愛になってしまう」パンパンパンパン
父「ぐ、ぁっ!?」
娘「だからこうやって体で示す羽目になった」
娘「……ハメる羽目になった、といったほうがお父さん好みかい?」パンパンパンパンパンッ
父「や、め――ッ!」
父「――ぐぅっ!」どぶっ
娘「……ん」キュウッ
父「あ、――あ」どぼっ ごぷっ
娘「随分出るな。いつから我慢していたんだ」
娘「まさか、お母さんと離婚してからずっと?」
父「……」
娘「おやおや、なかなか女々しいものだね」
娘「全く、我が父ながら可愛らしいよ」チュッ
父「……っ」
娘「同時に、お母さんは実に愚かだ」
娘「こんなにも想われていながら、他所へ行ってしまうなんて」
――
父「……誰に、似たのやら」はぁ
娘「そりゃあ、そうだね」
娘「お母さんか、間男のどっちかじゃないかな」
父「……ああ、そりゃそうだ」
父「聞かなきゃよかった」はぁ
娘「こんなに女々しいお父さんから、私のようなけだものが生まれるはずはないからな」
娘「自明のことを聞くとは、聡明なお父さんらしくもない」
父「……言うのも、何だけど」
父「何で、母さんについていかなかったんだ」
娘「だから、言っているだろう」
娘「私はお父さんが大好きだ」
娘「全人類を敵に回してもお父さんを愛し続ける、と言えば惚れてくれるかい?」
父「……狂ってる」
娘「血もつながらない私を受け入れるなんて、お父さんも中々狂ってると思うのだけれど」
父「……ああ、その」
父「……いや、言わないでおく」
娘「なるほど、ならば」
娘「吐くまで性的に拷問するとしよう!」がばぁ
父「いや、流石にもう止めるさ」ビシィッ
娘「あうっ」
――翌日、朝
娘「じゃあお父さん、行ってくるよ」
父「……なんというか、何故平気なんだ」
娘「そりゃあ、私から仕掛けたんだからね。覚悟もできてたし」
父「ああ、もう。何でお前を引き取ってしまったんだ」
娘「寂しいことを言わないでくれよ。その口はいってらっしゃいのキスに使って欲しいものだ」
父「……ほら、遅刻するぞ」
娘「世界の全てを敵に出来るんだ、学校くらいなんだ」
父「……俺としては不真面目な娘はなあ」
娘「そりゃ不味い。今日は諦めることにするよ」
父「そうしてくれると助かる」
――
父「……」カチャカチャカチャ
父「……」カチャ
父(うおぉぉぉぉ、全く書けん)
父(物書きやっててよかった。人目に触れない仕事でよかった)
父(今誰かに見られたら絶対怪しまれるぞこれ)
父(しかしまあ、作業が進まんのも事実)
父(ちょっとベッドで昼寝して――、ベッド?)
父「……ああ、くそ。余計に鮮明に浮かんでる。頭に」
父(っていうか、不味いだろう!)
父(向こうから襲ってきたにしても、無条件で俺は犯罪者になる)
父(いや仮に法で許されても倫理的に不味い)
父(……何より!)
父「何故抵抗できなかった……!」
父(やっぱり雄だからか! 娘でも見境なしか!)
父(……いやまあ、生まれたときから血の繋がりがないことは何となく分かってたけど)
父(そういう問題じゃ無い! その、生物学的にどうであろうと社会的には親子だ)
父「ダメだ、これはダメだ。一回外に出よう。そうしよう」ガタッ
――
父「……」
父(散歩でもして、気を紛らわせようとしたが、まぎれたところでどうしろというのだ)
父(今後するべきこととしたら、今後なんとしてもそういうことは断ること)
父(それと、昨晩の事は隠し通すこと)
父「……でも、無かったことにはならないからな」はぁ
父(娘としてしまったこと。そして、娘が俺に、そういう感情を持っていること)
父「いっそ開き直れたら楽なんだけど」
?「締め切りは無かった事にはなりませんけどね」
父「……編集さん。いつから聞いてました」
編集「無かった事にはならないあたりから」
父「それで、こんな田舎に何の用ですか」
編集「たまには貴方の顔を見て話したかったので」
父「……本心は?」
編集「とっとと新作出せこのグズが」
父「いやほら、スランプというか」
編集「何年続くんですかそれ」
編集「……離婚前までは毎月のように出してたくせに」
父「容赦ないなあ」
編集「いや、そこそこ売れてたからいいんですが」
編集「……夢見がちな純愛物を毎月吐き出すオッサンって中々レアだと思うんですよ」
編集「しかも既婚で」
父「……願望だよ。ただの願望」
編集「はい?」
父「あー、……全部知ってたからな、当時から」
編集「……失礼」
父「いやいや」
父「まあ、そのうちプロット出しますので」
編集「いつまでも待てませんからね。さっさとしてください」
――
父「……よし」
父(編集さんと会ったおかげで頭が仕事に切り替わった)カタカタカタ
父(そういうことにしておこう)カタカタカタ
父「……いや、それでもこれは無いだろう。何だこの話」削除
父(前は、願望そのまま書いてたなあ)
父(死ぬことはあっても、浮気だの寝取り寝取られは無く)
父(ひたすらお互いを愛し続けるお話)
父(……現実、俺のは片想いだったわけだし)
父(……結婚して、安心したのもつかの間)
父(妻が買い物に行っている間、散歩していたら近所のスーパーに妻の車)
父(でも帰ってきたのは遅かったし、何よりレジ袋が違った。それが始まり)
父(今思えば、自分のをそこにおいて他の男の車に拾ってもらったとかだろうな)
父(あー、そうそう。できちゃったとか言われたときは絶望したなあ)
父(たまにやってもゴムつきだったし、何より)
父(……どう足掻いても、俺には子供は出来ないんだよな)
父(その後こっそり検査したけど相変わらずだったし)
父(……そのとき、元妻の胎にいたのが娘)
父(向こうは俺の無精子を知らなかったし、そのまま俺の子供だと押し通そうとしてたな)
父(……なんでこの時点で離婚しなかったんだ)
父(ああ、そうそう)
父(間男との子供が出来ても俺から離れないってことは、その間男が頼りないからとか)
父(娘に罪はないから、養わなきゃとか)
父(そんなくだらないこと考えてたな)
父(……結局、間男は)
父(金持ちの息子で、許婚がいて、でも元妻のことが好きで関係をもって)
父「……ああああ、もう」
父(許婚と別れて家から追い出されて元妻と駆け落ちしようとか!)
父(どう考えても主人公向こうじゃねーか!)ガンッ
父(おかしいだろ!)ガンッ
父(いや身分違いの恋とか書いたことあるけど!)
父(人に迷惑かけてするもんじゃねえだろう!)ガンッ
父(というかお前らの我侭になんでつき合わされなきゃならんのだ!)ガンッ
父(最初から付き合ってればいいだろお前ら!)ガンッ
父(まず何故俺と結婚した!)ガンッ
父「……ああああああ、ぁぁぁぁあ」ぼろっ
父(もう嫌だ)
父(あああああああああああ!)
――
父「っ、ぐ」
父(何か、ぼんやりする)
父(寝てた、のか)
娘「おや、起きたのかいお父さん」
父「……ああ、娘。お帰り」
父(目の前に、娘の顔。……で、俺は上を見ていて)
父「って、何をしている」
娘「無論、膝枕だが」
父「……まあ、いいか」よっこらせ
娘「もう少し寝ていてもいいぞ。寝たふりをしてスカートの中に頭を突っ込んでも構わん」
父「しないから安心してくれ」
父「……ああ、その、一応、ありがとうな」ゴシッ
父(……? 俺の、頬が濡れている)
娘「あ、頬にくっきり涙の後が残っていたのでな」
娘「ちょいと塩分とお父さんを補給させてもらったよ」べーっ
父「前言撤回。そんな子に育てた覚えはない」
娘「それはそうだ。こんな淫乱に育てる父親が居たらそれこそ鬼畜、外道である」
父「……どう反応すればよいのやら」
娘「何も言わずに一方的に陵辱されるというのは?」
父「無いな」
娘「残念」
父(――ああ、でも)
父(そういえば。この子だった)
父(こいつを迎え入れたのは、それだった)フルフルフル
娘「む? なんだじっと見つめて。恋か」
父「……」がしっ
娘「?」
父「ああ、うん。もういいんだ。全部言ってしまえ」ぎゅうっ
娘「お、おいおい。何だデレ期か?」
父「……娘。お前は、あのとき、救いだったんだ」
父「あのとき。……君の母さんと、その相手と、話し合ったとき」
娘「……」
父「母さんは、テーブルを挟んで、浮気相手の隣に座って」
父「俺は一人で、座ってて」
父「――それだけで、頭に何にも入らなくて」
父「寂しくて、悲しくて、辛くて」
父「もう、母さんは、俺の隣には座らないんだなって思うとさ」
娘「……」ギュッ
父「もう、なにもかも、終わってしまったんだなって思えたんだ」
父「……」ふーっ ふーっ
娘「大丈夫。聞いてるよ。お父さんの話を聞いているよ」
父「ああ。ありがとう。ありがとう」
父「……お前の、親権の話になって」
父「向こうは当然、お前を引き取ったつもりで話を進めて」
父「俺も、まあ当然かなって。仕方ないかなって」
父「……でも。お前が」
父「隣に、座ってくれたんだ」
娘「……」ギュッ
父「もう誰も座ってくれないはずの、俺の隣に来てくれたんだ」
……
間男『む、娘。どういうこと、かな』
娘『ん? 私はお父さんと一緒にいるよ』
間男『そうか。よかった。じゃあこっちにおいで』
娘『何を言っている。まさか、種の提供だけで私の父親になったつもりか』
間男『……っ!?』
母『な、何を言ってるの?』
娘『言葉通りだ。私のお父さんはお父さん以外居ないし、お母さんが居なかったところでどうとも思わん』
娘『……いや、むしろそちらのほうが有難いな』
娘『いやだってほら、お父さんと二人きりだぞ』
娘『新婚っぽくて、色々捗る』
母『ふざけないで。大体その君の悪い話し方は何!?』
娘『はっはっは、論点のずらし方が雑だな。全く品を感じない』
母『……!』
母『貴女、その人とは血が繋がってないのよ!?』
母『本当の家族と一緒にいるのが普通よ!』
娘『おいおい、馬鹿を言うな。お母さんとそこの人は血の繋がりはないだろう?』
母『それとこれとは――
娘『同じ話さ。私はお父さんを、性的に愛している』
君→気味
――
父「あの時は、正直唖然としてたけど」
父「ただ俺の隣に来てくれたことが、嬉しくて、嬉しくて」
父「お前に必要とされて、たまらなく嬉しかったんだ」
娘「うん、うん」
父「だから引き取った。念のため弁護士もつけて、裁判でも闘った」
娘「うん、そうだったね」
父「そうやって、お前を勝ち取ったんだ」
父「……娘」
娘「……ん?」
父「お前と、一緒に暮らしたい」
父「これからも、俺の隣に座って欲しい」
娘「当然だ」
娘「……ねがったり、かなったりだ」ぎゅうっ
父「……願わくば、父子として」
娘「やだ」
父「……なら、仕方ないか」ぎゅっ
娘「……、?」
父「娘。お前を、愛するよ」
娘「……!?」びくっ
父「何だ、不服か」
娘「そ、その、愛というのは」
父「親子愛、とは言えないかなぁ」
娘「……」じわっ
父「あ、でもその、性的なのはちょっと、な」
娘「なんだ、くそう」むすっ
娘「……まあ、いいさ」
娘「昨日の性交も、私の好意を伝えるためのものだし」」
父「それなら有難いな。俺にも世間体というものはあるし」
娘「世間を敵に回すくらいで傷つく私ではないのだが」
父「いや、誰とも関われないのは辛いものだと思うぞ」
娘「お父さんと一緒なら、何をされてもどうなっても構わないぞ、私は」
父「それを言えるのは、実際にそうなっていないからだ」
父「俺もそういう経験は無いが、きっと辛いってことは分かる」
娘「……ああ、早く大人になりたい」
父「そのうち分かるようになるさ」
娘「早く魅力的な身体を手に入れて、そんなことも考えられないほどお父さんを悩殺――」
父「おい」
娘「冗談だよ、冗談」くくく
父「……外じゃあそういうのは止めてくれよ?」
娘「ふーむ、お父さんが他の人にとられないようにしたいのだが」
父「あー、安心しろ」スッ
娘「ん? ……むぐっ!?」チュッ
父「……まあ、これで許してくれ」
娘「な、な」かぁぁぁっ
父「あれ?」
娘「……えへへへへへ」にやにや
父(……何だ、初心なのか淫乱なのか分かりはしない)
娘「しょうがないなーお父さんは。私は寛大だからこれくらいで我慢してやろう」にやにや
父(――きっと、俺は隠し通す)
娘「んー、やっぱり足りないかもなー」ちらちら
父(この子を、所謂『普通』に矯正することは出来ないけど)ぎゅっ
娘「ふふ、上出来」にんまり
父(それでも、幸せにすることは出来る)
父(この子が世間を気にすることが出来るようになって、己の恋に罪を感じるようになっても)
父(せめて安心させてやりたい)
娘「……」さすさす
父「そこはダメだ」ぐいっ
娘「ちっ、お堅いことだ。昨晩はこちらを硬くしていたのに」
父「……それは言うな」
娘「なあ、お父さん」
父「うん?」
娘「私達には、まあ、血のつながりは無いが」
娘「私が16になれば、結婚できるのだろうか」
父「あー」
父「……どうなんだろうな」
娘「何だ、お父さんも知らなかったか」
父「知ってたらそれはそれで問題だと思うんだけど」
父「興味があって調べた、って意味だし」
娘「む。となると、むしろ私が知っているべきだったか」
娘「追々調べてみるよ。どうすればお父さんと結婚できるか」
父「……することは決定事項なんだな」
娘「当然。いざとなったら海外も考えてるからな、私は」
父「……あはは」
父「でも、まあ」
父「そんなことしなくても」ぎゅっ
娘「む?」
父「俺はお前のものだし、お前は俺のものだ」
娘「――、は、はは」
娘「――はっはっは、自分の娘をたらしこむなんてとんでもない鬼畜だな」
終われ
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