[みなみけ] 保坂「行くぞ、アツコ!」 アツコ「は、はい。」 (202)

みなみけのSSです。

以前投稿した作品も良ければ読んでいただけると幸いです。

[みなみけ] ハルオ『ん?』保坂『む?』藤岡『え?』マコト『へ?』
[みなみけ] ハルオ『ん?』保坂『む?』藤岡『え?』マコト『へ?』 - SSまとめ速報
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藤岡『‥‥』 春香『‥‥』
藤岡『‥‥』 春香『‥‥』 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1382719373/l50)


どちらも続きものではないです。

基本携帯から投稿するので、IDがコロコロ変わります。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1382961267

高校

速水「保坂?」

保坂「ん、なんだ速水か。」

速水「なんだとは失礼ね。あら?何を持っているの?」

保坂「これか?うむ、どこから話せばいいだろうか。そうだ、時は去年のクリスマスまで遡る…おれは雪の中サンタの衣装に身を包み、子供達に笑顔を届けるためケーキを売っていた。」

速水「長くなりそうね。いいから貸して。」

保坂「む、何をする?」

速水「こ、これはあの遊園地のチケット。しかも4枚。」

保坂「そうだ、それはあの遊園地のチケット。しかも4枚だ。」

速水「保坂、何故あなたがこんなものを?」

保坂「時は去年のクリスマスまで遡る…おれは雪の中…」

速水「どうやって手に入れたかはもういいから。これをどうするつもりなのか聞いてるのよ。」

保坂「どうするだと?決まっているじゃないか。南春香とその子供達と一緒に遊園地へ行くのだ。これから南春香のクラスに行き、このチケットを渡す。」

速水(こ、これはまずいわ。これまで保坂は春香ちゃんと話したことが一度もない。そんな保坂が突然『子供達と共に遊園地に行こう』なんて言った日には、春香ちゃんは恥をかき、保坂は学校中の笑い者だわ。これは、私がなんとかしないと。)

保坂「もう用がないなら、おれは行くぞ。」

速水「待ちなさい、保坂。」

保坂「なんだ?」

速水「保坂、ここの遊園地には行ったことがあるの?」

保坂「いや、今回が初めてだ。」

速水「それじゃダメね。」

保坂「な、なに?」

速水「ここの遊園地はとても人気だから回り方をしっかり把握していないと、春香ちゃんを喜ばすことはできないわ。」

保坂「何をバカな…愛の力さえあればそんなもの…」

速水「そう。なら愛の力で頑張れば?」

サッ シュッ

速水「ちょ…ちょっと保坂?私が立ち去ろうとしたからって、スカートの裾を引っ張らないで貰えるかしら?」

保坂「む、何故そんなに丁寧に説明する?」

速水「絵がなくて分かりにくいと思ったからよ。それに保坂、これは私たちがやるネタじゃないわ。私のパンチラにも需要はないし、第一あなたがやったらただの変態よ。」

保坂「なっ、おれが変態だと?それは聞き捨てならんな。世界で一番紳士な男、それが保坂だ。」

速水「それで、何かしら?」

保坂「うむ…」

速水「遊園地の回り方を教えてほしいの?」

保坂「いや、そういう訳ではないが、速水の言うことも一理あると思ってな。」

速水「そういう訳でしょ。一回無駄な抵抗を入れるのはやめなさい。」

保坂「…」

速水「確か、あの遊園地はアツコが詳しかったはずよ。」

保坂「アツコか…よし、早速聞いてこよう。」

速水「待ちなさい保坂。」

保坂「まだ何かあるのか?」

速水「あなた、何か勘違いしてるわ。」

保坂「なに?おれが勘違いだと?」

速水「そうよ。あの遊園地についてアツコに聞いただけで、本当に春香ちゃんを楽しませるデートができると思っているの?」

保坂「おれの愛があればそんなもの…」

速水「それはもうさっきやったでしょ。いい保坂?あなたはあの遊園地に行ったことがない。それに女の子とデートしたこともない。」

保坂「何故決めつける?」

速水「じゃぁあるの?」

保坂「いや、ないが。」

速水「だから一回無駄な抵抗ををするのはやめなさい。」

保坂「…」

速水「いい保坂?もう一度言うわよ。あなたはあの遊園地に行ったことがない。女の子とデートしたこともない。」

保坂「何故繰り返す?」

速水「だから、あなたはアツコと遊園地に行って、一緒に回りながら色々教えてもらうの。」

保坂「ふむ、確かにそれならば一石二鳥だ。しかし…」

速水「しかし?」

保坂「南春香という心に決めた人物がいるにも関わらず、他の女性と遊園地でデートというのは…」

速水「保坂、アツコはバレー部の後輩よ。部活の仲間同士で遊園地に行くことはデートではないわ。」

保坂「そうか。部活の仲間同士ならばデートではないか。よし、そうと決まれば早速アツコを誘ってこよう。」

速水「待って保坂、あなたが行くと話がややこしくなるわ。」

保坂「ややこしくなるだと?」

速水「えっと…あっそうだ。アツコの近くには春香ちゃんがいるかもしれないわ。」

保坂「む、確かに、いくら部活の仲間同士とはいえ、あまり南春香に知られたいものではないな。よし、速水。お前が誘っておいてくれ。」

速水「えぇ、じゃぁチケットを3枚渡して。」

保坂「3枚だと?アツコだけなのだから1枚でいいだろう?」

速水「保坂…私は部活の仲間同士で遊園地に行くのはデートではないと言ったけど、二人っきりで行くのはデートになってしまうわ。だから私とマキも付いていくの。向こうに行ってから別れたとしても、それはみんなで行ってる中でたまたま別れたのだからデートにはならないわ。」

保坂「なるほど。すまない速水、色々と考えてくれて。ところで、さっき『あっ、そうだ。』と言っていたが、何か思いついたのか?」

速水「そういう小さい事は気にしないのよ。保坂あなたは器の大きな人間でしょ?」

保坂「そうだ、おれは宇宙一器の大きい男、保坂だ!アハハ アハハ アハハハハ…」

次の休み 遊園地 入口付近

速水「マキ、アツコおはよー!」

マキ「あっ速水先輩、おはようございます。」

アツコ「おはようございます。」

マキ「今日はチケットもらっちゃって、ありがとうございます。本当にどこで手に入れたんですか?」

速水「あぁ、そうね。まだ話していなかったわね。」

アツコ マキ「?」

速水「実は…」カクカク シカジカ

アツコ「えっえぇぇぇ!?私が保坂先輩と!?」

マキ「きもちわるい。」

速水「そうなの、だからアツコ頑張って!」

アツコ「む、無理です。保坂先輩と二人なんて…」

速水「可哀想だけど、これは保坂が暴走してバレー部の評判を落とさないためでもあるの。つまり、先輩命令よ。」

マキ「速水先輩、さすがにアツコが可哀想です。」

速水「なら、マキが代わりに行ってもいいのよ?」

マキ「アツコ!バレー部の為に頑張って!」

アツコ「そ、そんなー。」

速水「ほら、アツコ、保坂はもうあそこにいるわ。行ってきなさい。」

アツコ「えっもうですか?先輩とマキは?」

速水「私とマキは後ろから見張ってるから安心して。」

アツコ「絶対付いてきて下さいよ。」

速水「分かってる分かってる、さ、頑張っていきましょう!」

テクテクテク

アツコ「あ、あの保坂先輩…」

保坂「アツコか。無理を言ってすまない。今日はよろしく頼む。」

アツコ「い、いえ無理なんて。むしろチケットを頂いてありがとうございます。こちらこそ、よろしくお願いします。」

保坂「うん、そう言ってくれるとおれとしても助かる。よし…」

アツコ「…?」

保坂「行くぞ、アツコ!」

アツコ「は、はい。」

書きためはまだありますが、もっとよく考えて書きたいので今日はここで止めます。

あと、書いてて今回はそんなにギャグ要素多くない気がします。過度な期待はしないでください笑

遊園地

保坂「さて、早速だかアツコ、遊園地の説明を頼む。」

アツコ「はい、この遊園地は、『春』『夏』『秋』『冬』の4つの島に別れていて、それぞれその季節感を楽しめるようになっています。特に実際の季節と同じ島はイベントなども沢山行われているので、とても人気です。」

保坂「なるほど。つまり、今は南春香の春の島が一番人気ということか。」

アツコ「そうですね。春香の島ではないですけど。」

保坂「では、まず南春香の島へ行くのだな?」

アツコ「いえ、春香の島、じゃなくて、春の島へは夜のパレードの時間に行きます。」

保坂「ん?何故だ?」

アツコ「はい、夜のパレードは人が集中するので、その隙に春の島を回ります。」

保坂「なるほど、しかしそれではパレードを見れないんじゃないか?」

アツコ「そうなんですが、春の島の観覧車は遊園地中が見渡せるようになっていて、夜だとパレードの光と相まってとても綺麗な景色が見られるんです。」

保坂「ふむ、確かにそれならばパレードも見たことになるな。アツコやはりお前と来て正解だった。おれは良い後輩を持って幸せだ。」バサ

アツコ「あ、ありがとうございます。(ぜ、全然脱ぐタイミングじゃない…//)」

保坂「さて、アツコ、どこから回る?」

アツコ「そうですね、まずは冬の島のジェットコースターから行きましょう。」

保坂「よし…」

アツコ「…?」

保坂「行くぞ、アツコ!」

アツコ「は、はい。(マキ達ちゃんと付いてきてくれてるよね?)」

IDコロコロ変わるんなら酉つけろ

マキ「あっ先輩移動しましたよ。」

速水「本当だ、どこに行くのかしら?」

マキ「確か初めはジェットコースターって言ってたと思います。」

速水「ジェットコースター、私達も行きましょうか。」

冬の島 ジェットコースター乗り場

保坂「さすがに並んでいるな。」

アツコ「そうですね、この遊園地の乗り物は2時間待ちが普通ですから。(そうだった…ここの遊園地は基本的に待ち時間だからずっと会話してないと…保坂先輩とそんなに会話持つかな…うぅ…)」


保坂「時にアツコ…お前、好きな男はいないのか?」

>>28
すいません、酉の存在を知りませんでした。

これで大丈夫ですか?

アツコ「えっ、えっ、す、好きな人ですか?い、いませんよ。急にどうしたんですか?」

保坂「そうか。いや、お前にそういう男がいるとしたら、今の状況はお前にとってあまり良いものではないと思ってな。」

アツコ「あ、あぁそうですよね。(保坂先輩…一応そういうことも考えてくれてるんだ…やっぱり、マキが思ってるより…)」

保坂「南春香というものが有りながら、おれはアツコと二人で遊園地に来ている。そんなおれを、いや、おれとアツコをあの人は許してくれるだろうか…」

アツコ「えっ?」

保坂「心優しいあの人のことだ、きっと許してくれるのだろう。だが、心の底ではどう思っているだろう?その時、南春香はアツコのことをどう思う?」

アツコ「えっ、えっと、あの?」

『おいおい、なんだ?』ヒソヒソ

『浮気中ってことか?』ヒソヒソ

『えっ修羅場来るの?』ヒソヒソ

保坂「アツコ…お前には本当に迷惑をかけるな…すまん、おれが未熟なばっかりに…」

『うわ、やっぱりそうなんだ』ヒソヒソ

『あの女の子も…コソコソ』ヒソヒソ

アツコ「い、いえ、迷惑だなんて…(…恥ずかしいよ…やっぱり保坂先輩だ…)」

マキ「なんか回りが二人を注目してますよ。」

速水「うーん、この距離からだと聞き取れないけど… おそらく保坂が何か言って回りに注目されちゃったのね。」

マキ「きもちわるい。」

速水「マキ、あなたは保坂が嫌いなの?」

マキ「別にそういう訳じゃありません。ただ、きもちわるいんです。」

保坂「ようやく順番か。」

アツコ「そうですね。(なんとかここまで会話が繋がった。)」

保坂「む、このジェットコースターは想像していたものと少し違うな。」

アツコ「はい、これは一般的に想像されるジェットコースターとは少し違うと思います。ここは冬の島なので、氷山の上からこの大きいソリのようなものに乗って、下まで落ちていく形式のジェットコースターです。」

保坂「なるほど。しっかりと考えられているな。」

アツコ「イメージとしては、某探偵漫画の映画、『瞳の中の暗〇者』に出てくる、トロピ〇ルランド内のあれです。」

保坂「ふむ…あれか。しかし、そのイメージは非常にマニアックだな。」

アツコ「えぇ、まぁ、でも再放送何回もしてますから…分かる人だけ分かってくれれば良いです。」

保坂「よし…」

アツコ「…?」

保坂「行くぞ、アツコ!」

アツコ「は、はい。」

マキ「あれ?なんか、珍しくアツコが話した言葉に保坂先輩が困った顔してましたよ。」

速水「たぶん、アツコが何かこの遊園地に関するマニアックなことでも言ったんでしょ?」

マキ「マニアックなことって何ですかね?」

速水「『need not to know』 これだけ言えばマキなら分かるわよね?」

マキ「 『need not to know』…知る必要のないこと…そんな…」

今日はここで、止めます。

明日には完結させられればと思っています。

見てくれてありがとうございました。

保坂「最初はただのソリ滑りかと思って甘く見ていたが、なかなかスリリングだったじゃないか。」

アツコ「えぇ、そうですね。(最近前よりもスリリングになったって聞いてたけど、これは…うぅ…気持ち悪い…)」

保坂「む、どうしたアツコ?」

アツコ「あ、いえ、何でもありません。」

保坂「何でもないわけないだろ、顔色が悪いぞ。」

アツコ「実は、少し気持ち悪く…」

保坂「何、それは大変じゃないか。よし…」

オヒメサマダッコ

アツコ「…え?(保坂先輩…//)」

保坂「誰か、この子が急病なんです。救急車を…!」

アツコ「えぇぇぇ!?だ、大丈夫です。少しベンチで休んでいれば良くなりますから。(…やっぱり保坂先輩だ…)」

保坂「そうか、ならばそこのベンチで休もう。」

アツコ「あ、あの…?」

保坂「どうした?」

アツコ「自分で歩けますから…」

保坂「ハハハ、そんなことは気にしなくて良いぞ。この保坂、100人乗っても大丈夫だ。アハハ アハハ アハハハハ」

アツコ(そ、そういうことじゃ…でも、保坂先輩の胸、暖かい…)

マキ「きもちわるい!」

速水「あれ?マキ酔ったの?」

マキ「いえ、何となく、きもちわるい感じがしたんです。」

速水「ふーん。」

マキ「あ!」

速水「どうしたのマキ?」

マキ「楽しみ過ぎて、アツコ達を見失いました。」

速水「あら…」

すいません、キリの良いところまで書きたかったので、書いてしまいました。


ここで本当に止めます。

冬の島 ベンチ

保坂「アツコ、お茶を買ってきたぞ。」

アツコ「あ、ありがとうございます。」

保坂「…」

アツコ(こうして黙っていると、保坂先輩…普通にカッコいいんだけど…)

保坂「ブツブツ…そこで南春香が転びそうになるわけだ…ブツブツ…おれと南春香は…」

アツコ(やっぱり変かも…)

保坂「ん?どうした、アツコ?少しは良くなったか?」

アツコ「あっはい。もう大丈夫です。」

保坂「では、次はどこに行く?」

アツコ「お昼ですから、秋の島でご飯にするのはどうですか?」

保坂「よし…」

アツコ「…?」

保坂「行くぞ、アツコ!」

アツコ「は、はい。」

春の島

マキ「完全に見失いましたね。」

速水「そうね…」

春香「あれ?マキと速水先輩?」

マキ「えっ春香?」

マコト「あっチビ女!」

マキ「うるさい、あんた、相変わらず胸無いわね…」

マコト「お、おれはまだ成長期なんだ!」

速水「えっと、春香ちゃん、どうしてここにいるの?あと、この子は誰かしら?」

マキ「むむむ…」

マコト「むー」

春香「はい、この子はマコちゃんって言って、夏奈の後輩です。」

速水「なるほど、夏奈ちゃんの…通りで…」ニヤリ

春香「どうしました?」

速水「いや、何でもないの、こっちの話。それで、春香ちゃんはどうしてこの子とここにいるの?」

春香「はい、今日はみんなで来たんですが…」

---回想---

千秋「絶対に秋の島のジェットコースターだ。」

内田「違うよ、冬の島のジェットコースターだよ!」

春香(私、ジェットコースターはあんまり得意じゃないのよね。)

冬馬「おれはどっちでもいいぞ。」

吉野「私もどっちでもいいよ。」

千秋「じゃぁ秋の島に決定だな。」

内田「なんでよー絶対冬の島だよ。」

夏奈「まぁまぁ、揉めるのはやめなさいよ。どうせこの人数で一緒に回るのは大変なんだから二手に別れるのはどうだろう?」

千秋 内田「二手?」

夏奈「そう、秋のジェットコースター組と冬のジェットコースター組。」

内田「賛成ー!」

千秋「うむ、それなら各々回りたいところを回れるな。夏奈たまにはやるじゃないか。」

マコト「お、おれジェットコースターは苦手だな…」

春香「…!じゃぁマコちゃんは私と一緒に回りましょう。」

マコト「えっいいんですか?」

春香「良いのよ、乗りたくないものに乗ってもつまらないでしょ?」

マコト「ありがとうございます春香さん!」

吉野「あれ?なんでマコちゃん顔赤くなってるの?」

マコト「えっと…それは…」

千秋「マコちゃん…気にするな。ジェットコースターが苦手でもいいじゃないか。そんなに恥ずかしがることじゃないぞ。」

吉野「…」

マコト「そ、そうだね。恥ずかしくないよね!ありがとう千秋!」

夏奈「じゃぁ、私は内田と吉野を連れて冬の島に行ってくるよ。藤岡には千秋と冬馬を頼んでいいか?」

藤岡「分かったよ南!千秋ちゃん、冬馬よろしくね。」

千秋「うむ、藤岡が一緒なら安心だ。」

藤岡「よし、トウマ、秋の島まで競争だ!」

冬馬「よしきた。」

千秋「お、おい私を置いていくなー」

夏奈「よし!内田、吉野!こっちも行くぞー!」

内田「おー!」

吉野「おー!」ニコニコ


春香「じゃぁ私たちも行きましょうか。」

マコト「は、はい、春香さん」


---回想終了---

春香「…という訳です。」

速水「なるほどね。」

春香「ところで、アツコは一緒じゃないんですか?」

速水「あっ、えっと、アツコは…ちょっとはぐれちゃってね。今探していたところなの。」

春香「えっ、大丈夫ですか?私も探すの手伝いますよ。」

速水「いいのいいの、春香ちゃんはその子と回ってるんだから。アツコのことは私とマキに任せて。」

春香「そうですか…?」

速水「ほら、マキ。そろそろ行くわよ。」

マキ「は、はい。また今度会いましょう。」

マコト「おう!」

速水「ねぇねぇ、ちょっと良いかしら?」

マコト「えっおれですか?」

マキ 春香「?」

速水「春香ちゃんにバレないといいわね。」

マコト「えっ…!」

速水「ふふ、それだけ。じゃぁ春香ちゃんとのデート楽しんでね。」

マコト「あ、あの…」

速水「春香ちゃんまたね。」

マキ「あっ先輩待ってください。」

テクテク テクテク

春香「私たちも行こうか?…ん?どうしたのマコちゃん?」

マコト「…」

秋の島 フードコート

保坂「おぉ…和食 洋食 中華…なんでも揃っているじゃないか。」

アツコ「はい、秋の島は別名『食の島』と呼ばれるほど食に力を入れています。」

保坂「よし、アツコはこの席で待っていろ。おれが買って来よう。」

アツコ「あっ…はい。」

冬馬「いやー秋の島のジェットコースターは面白かったな。」

千秋「そうだろう、そうだろう。この遊園地は冬の島のジェットコースターの方が有名だが、通は秋の島のジェットコースターを選ぶ。」

冬馬「さすが千秋だな。ところでおれもう腹ペコだよ。」

千秋「それに関しても抜かりはない。秋の島は別名『食の島』と呼ばれるほど食に力を入れている。そしてここが秋の島のフードコートだ。」

冬馬「おぉ!さすが千秋!抜かりがないな!」

千秋「それほどでもあるよ。」

藤岡「じゃぁおれが席取っておくから、二人は何か買ってきていいよ。」

冬馬「よし、おれはピザにしよう!藤岡の分も買ってくるよ!」

藤岡「ありがとうトウマ!」

千秋「さて…私は何にしようか…中華か…パスタもいいな…うーむ、多すぎて悩んでしまう。ん?財布はどこだ?あれ?あれ?」

保坂「おい、探してるのはこれか?」

千秋「おぉ、それだ。どこのどなたか知りませんがありがとうございます。」

保坂「何、礼など必要ない。店主、カレーを二皿頂こう。」

千秋「ん?カレー?お前は、カレーの妖精…」



ルンタッタ ルンタッタ ルンタッタ ルンタッタ…

保坂「すべては愛のターメリック ハラハラ ハラペーニョ」

保坂「泣かれちゃいやだもん シナモン カルダモン 無理か パプリカ コリコリ コリアンダー」

ルンタッタッタッタッタ

保坂「錯乱して サフラン ちょこっとチョコレート 今更 ガラム マサラン 」

保坂「でも明日があるもん シナモン カルダモン おししいカレーの」

ルンタッタ ルンタッタ ルンタッタ ルンタッタ

千秋「すべては愛の ターメリック ハラハラ ハラペーニョ」

千秋「泣かれちゃいやだもん シナモン カルダモン 無理か パプリカ コリコリ コリアンダー」

ルンタッタッタッタッタ

千秋「錯乱して サフラン」

千秋「ちょこっとチョコレート」
保坂「ちょこっとチョコレート」

千秋「チョコはうまいぞー」
保坂「今更 ガラム マサラン」

千秋「でも明日があるもん シナモン カルダモン おししいカレーの」
保坂「でも明日があるもん シナモン カルダモン おいしいカレーの」



保坂 千秋「出来上あーがーりッ」

千秋「一皿頂こう。」

店主「まいど」

千秋「おい、カレーの妖精。」

保坂「…ん?」

千秋「お前は何者なんだ?」

保坂「おれか?おれは…ふっ…君がおれをカレーの妖精と呼ぶならば、おれはカレーの妖精だ。それ以上でも以下でもない。では、急ぐのでこれで失礼する。」

千秋「…ありがとう、カレーの妖精。」

保坂「待たせたな、アツコ。」

アツコ「いえ、あっカレーですか?」

保坂「そうだ、ここのカレーはたくさんの調味料をふんだんに使った、おれも認めるカレーだ。さぁ、冷めないうちに食べろ。」

アツコ「はい、いただきます。」

保坂「アツコ。」

アツコ「はい…?」

保坂「どうやらおれは、カレーの妖精らしい。」

アツコ「…?」

春の島

速水「それにしても、春香ちゃんが今日来てるのは誤算だったわね。」

マキ「そうですね。言ってくれれば私も一緒に来たのに。」

速水「マキ、今はそんなことどうでもいいの。大切なのは、保坂と春香ちゃんが鉢合わせしてしまわないことよ。」

マキ「どういうことですか?」

速水「いいマキ?保坂の隣には誰がいる?」

マキ「アツコですね。」

速水「じゃぁ保坂の好きな人は誰?」

マキ「春香ですね。」

速水「でも、春香ちゃんが遊園地に二人でいる保坂とアツコを見たらどう思う?」

マキ「付き合ってるって思いますね。って、アツコが可哀想!」

速水「そうよ。アツコも可哀想だけど、春香ちゃんに他の女の子とデートしているところを見られた保坂がどういう行動に出るか…もはや予測不能よ。」

マキ「考えただけで…きもちわるい。」

速水「だからマキ、とにかく春香ちゃんと保坂を会わせちゃダメよ。」

マキ「えっと、具体的にはどうするんですか?」

速水「とりあえず、保坂達を探して、春香ちゃんが来てることを知らせるのよ。」

マキ「分かりました。」

速水「じゃぁ保坂達を探しましょう。」

秋の島 フードコート

保坂「さて、アツコ。この後はどこに行く?」

アツコ「そうですね、夏の島のお化け屋敷なんてどうですか?カップルで行くにはちょうど良いですよ。」

保坂「ふむ、カップルか…」

アツコ(あっ私何言ってるんだろ…別に今日のはデートじゃないんだから…)

保坂「良いじゃないか。」

アツコ「えっ?」

保坂「お化け屋敷…まさにおれと南春香のためにあるような場所だ。」

アツコ「あっ…えっと…そうですね…」

保坂「よし…」

アツコ「…?」

保坂「行くぞ、アツコ!」

アツコ「…はい。」

冬の島 ジェットコースター

夏奈「いやー楽しかったな。」

内田「うん、前よりもスリリングになってて面白かったー!」

吉野「あれ?何か落ちてるよ?」

内田「なんだろー?…人形?」

夏奈「うーん、この人形…どこかで見たことあるな…」

吉野「クマ…だよね?」

夏奈「あぁ…それはそうなんだが…誰かが持ってるのを見たような…」

内田「えっ夏奈ちゃん知ってるの?」

夏奈「うーん…そんな気がするんだけど…」

夏の島 お化け屋敷 待機列

保坂「ところでアツコ、ここのお化け屋敷には来たことがあるのか?」

アツコ「はい、何回か。」

保坂「それでは面白さも半減してしまわないか?」

アツコ「いえ、ここのお化け屋敷は先日改装したばかりなので、以前と内容も変わっていると思います。」

保坂「そうか、それなら良かった。」

アツコ「あの…」

保坂「なんだ?」

アツコ「なんでそんなに気を使ってくれるんですか?今日は春香と行くための下見なんですよね?」

保坂「…確かに…今日は南春香とのデートの下見で来ている。それはデート当日に南春香を笑顔にしたいからだ。だが、今、目の前にいる女性を笑顔に出来なくて、南春香を笑顔に出来るだろうか?否、できるわけがない。だからアツコ、約束しよう、おれは今日、お前を目一杯笑顔にすると。」

アツコ「は、はい…ありがとうございます。」

春の島 フードコート

マコト「春香さん、この桜餅美味しいです!」

春香「そうね。ここの桜餅が美味しいって聞いてたから秋の島じゃなくて春の島に来たけど、すごく美味しいね。」

マコト「さすが春香さん。」

春香「あら?マコちゃん、ほっぺにあんこがついちゃってるわよ。」

マコト「えっどこですか?」

春香「ここよ、ここ。今取ってあげるね。」

マコト「あ、あの顔が…ちか…」

ヒョイ ペロ

春香「うん、美味しい。あら?マコちゃん?」

マコト「はわわわ//」

夏の島 お化け屋敷 館内

お化け『ワッ!!』

アツコ「キャーー!」

ギュッ

保坂「…」

アツコ「あっ保坂先輩…すいません…」

保坂「ふっ…何を恥ずかしがる。人間誰しも怖いものはある。」

アツコ「保坂先輩は怖くないんですか?」

保坂「そうだな。おれは怖くない。」

アツコ「やっぱり作り物だからですか?」

保坂「それは違うぞアツコ。おれは本物のお化けだって怖くはない。」

アツコ「そう…なんですか?」

保坂「そうだ。むしろ本当に怖いのは、いつだって人間だ。人間同士で奪い合い、騙し合い、蔑み合う…しかし、だからこそ愛が必要で、また、生まれるのだ。そう…おれの南春香への想いはもはや必然。そう思わないか、アツコ?」

アツコ「は、はぁ…(また春香の話…)」

冬の島 お土産屋

夏奈「うーん、ケイコにはこのお面でいいか…リコは…」

内田「吉野は誰かにお土産買っていくの?」

吉野「うーん、そうだね…マコト君に買っていった方がいいかな?」

内田「マコト君はいらないでしょ。」

吉野「えっなんで?」

内田「だってマコト君も…ハッ」

吉野「マコト君も…?」

内田「あー確かマコト君も近いうちに行くって言ってた気がしたから…」

吉野「あれ?そうだっけ?私聞いてないよ。」

内田「た、確か吉野がいなかった時だったと思うよ。ね、夏奈ちゃん。」

夏奈「ん?あぁそうだったね。」

吉野「なんで夏奈ちゃんが知ってるの?マコト君、千秋の家に来たの?」

内田「あっ…えっと…それは…」

夏奈「違うぞ吉野。私と内田が公園でたこ焼きを食べているときに、たまたまあいつが通りかかったんだ。」

内田「そ、そうなんだよ吉野。これで納得したでしょ?」

吉野「ふーん。」

夏の島 お化け屋敷 出口

アツコ「あ、あの…」

保坂「ん、どうしたアツコ?」

アツコ「さ、さっき…中で…抱きついてしまってすいません。」

保坂「それは気にするなと言ったはずだ。人間誰しも怖いものはある…それを恥じる必要などない。」

アツコ「い、いえ。そうじゃなくて…」

保坂「なに、違うのか?」

アツコ「いえ…なんでもないです…」

保坂「そうか…ブツブツ…南春香が胸に入ってくる訳だ…おれはそっと抱きしめる訳だ…」

アツコ(やっぱり春香とのデートのこと…)

保坂「アツコ、疲れていないか?」

アツコ「え?特に疲れ…」

保坂「そうか?何か浮かない顔をしているぞ。やはり、少し休もう。よし、そこのベンチで座っていろ。飲み物を買ってくる。」

アツコ「あ、あの…行っちゃった。」

アツコ(…)

男1『ねぇねぇお姉ちゃんひとり?』

男2『おれ達と遊ぼうよ。』

アツコ「えっ…あの…私…」

男1『いいじゃん、どうせつまんない男と来てるんだろ?』

男2『おれたちと一緒の方が楽しいよ。』

グイ

アツコ「あ、あの…やめてください。」

男1『いいから行こうぜ。』

保坂「おい。」

男1『ん?』

男2『あ?』

保坂「その子から手を離せ。」

アツコ(あっ…)

男2『なんだおめー?』

保坂「おれか?おれは保坂だ。」

男1『保坂だかトサカだか知らねえけど、お前に用はねえんだよ。』

男2『スッこんでろ。』

保坂「そうはいかんな。その子は今調子が悪いんだ。そっとしておいてくれないか。」

男1『調子が悪い?知るか。いいから行こうぜ。』

グイ

アツコ「キャッ…」

保坂「おい…止めろと言っているのが聞こえなかったのか。」

男1『うるせ……え…?』

保坂「ギロリ」

男2『ヒッ…』

保坂「もう一度言おう。その子から手を離せ。」ギロリ

男1 2『ヒィィィ…すいませんでしたぁぁ』

シュー スタスタ

保坂「大丈夫か、アツコ?」

アツコ「は、はい。ありがとうございます…//」

保坂「いや、おれが目を離したばっかりに怖い思いをさせてしまった。すまない。」

アツコ「いえ…本当に…大丈夫ですから。(保坂先輩…)」

春の島 観覧車

冬馬「うおーたっけー!」

藤岡「遊園地全部が見渡せるね。」

冬馬「おい、千秋も見てみろよ…って千秋、なんで真ん中に座って目を瞑ってるんだ?」

千秋「うるさい!私は今眠いから寝てるんだ。別に怖いからじゃないからな!」

冬馬「なんだ、そのばればれの言い訳は…」

藤岡「じゃぁ千秋ちゃん、おれの膝の間においでよ。それなら怖くないだろ?」

千秋「む…別に怖い訳じゃないが、藤岡がそこまで言うなら膝の間に行ってやろうか。」

冬馬「あっ千秋だけずりーぞ。」

千秋「ここは私の指定席なんだから、とやかく言われる筋合いはない。」エッヘン

夏の島 ベンチ

保坂「さて、アツコ次はどこに行く?」

アツコ「えっと…夜は春の島の観覧車に乗るので、それまでの時間で丁度良いのは…うーんと…」

保坂「…夜の観覧車というのは、そんなに良いものなのか?」

アツコ「はい。さっきも言いましたが、パレードの光と遊園地の夜景が相まって、とても綺麗なんです。カップルなら絶対に行くべきです。」

保坂「そうか、それは楽しみだ。」

アツコ(保坂先輩…普通に笑ってる…なんか…)

アツコ「…えっ…あれ?」

保坂「ん?どうした?」

アツコ「あれ?…ない…なんで? 」

保坂「何か無くしたのか?」

アツコ「はい…ここに付けてたクマの人形を…」

保坂「む…あれか…」

アツコ「どこで落としたんだろう…」

保坂「あれは…大切なものだったのか?」

アツコ「…前におと…!いえ…そんなに大したものじゃ…」

保坂「本当か?」

アツコ「はい。それよりも、次どこに回るかって話でしたよね?」

保坂「…ん?あぁ…」

マキ「あっいましたよ。」

速水「やっほー保坂、アツコ。」

アツコ「あれ、マキ?速水先輩?」

マキ「アツコ会いたかったよ。どこもきもちわるくなってない?大丈夫?」

アツコ「大丈夫だよ。」

マキ「そっか、それなら良かった…って、ここに付けてたクマの人形は?」

アツコ「あぁ、なんか落としちゃったみたいで。」

マキ「えぇ、アツコあんなに大切にしてたじゃん!?」

アツコ「べ、別にいいの。」

マキ「とりあえず、落とし物で届いてないか確認してこよ。」

アツコ「う、うん。」

保坂「…」

アツコ「と、ところで、何か用だったんですか?」

マキ「そうだった。実は、」

速水「…春香ちゃんがこの遊園地に来てるわ。」

保坂「!?」

アツコ「えっ春香が?」

速水「そうよ。だから…」

保坂「アツコ!」

アツコ「は、はい?」

保坂「観覧車の時間は何時だ?」

アツコ「えっ?えっと、19時ですけど…」

保坂「よし、ここから19時までは自由行動だ。マキ達と行動していろ。」

アツコ「え、保坂先輩は…?」

保坂「…ブツブツ…待っていろ…今すぐ…」

シュー タッタッタッ

アツコ「あ、保坂先輩…」

速水「ちょ、保坂。」

マキ「きもちわるい!」

冬の島 氷の舘(迷路)

春香「分かれ道…どっちかな?」

マコト「おれに任せてください春香さん!」

春香「マコちゃん?」

マコト「(ここは、母親譲りのカンの良さで!)うーん…右です!」

春香「じゃぁ右に行こうか。」

テクテクテクテク

マコト「あっ… 」

春香「行き止まり。」

マコト「す、すいません春香さん。」

春香「ふふ、いいのよ。さ、引き返しましょう?」

マコト「は、はい!」

春香「ブルブル」

マコト「どうかしましたか春香さん?」

春香「いや、何か得体の知れないものが近づいてくる感じがしたんだけど…気のせいみたい。」

マコト「大丈夫です春香さん!春香さんはおれが守ります!」

春香「ありがと、マコちゃん。」

落とし物センター

マキ「人形無かったね…」

アツコ「しょうがないよ。」

速水「ねぇ、あの人形って、そんなに大切なものだったの?」

マキ「話せば長くなるんですけど、アツコには幼馴染みの男の子がいましてね。」

アツコ「…」

速水「それでそれで?」

マキ「はい、その子とアツコは凄い仲が良かったんですよ。でも、その子中学を卒業するときに引っ越してしまいまして。」

速水「つまり、その子からの…?」

マキ「そうなんです。その子から別れ際に『これ、おれだと思って大切にして。いつか、必ず迎えに来るから…おれ…実は…アツコが…』」

アツコ「ちょ、ちょっとマキ!話を作らないで。」

速水「えっ?今の作り話なの?」

マキ「まぁ、最後の『』の部分は…」

速水「じゃぁその子からもらったってところは本当なのね?」

アツコ「は、はい…」

マキ「そうなんですよ。本当に大切なものなのに、なんで無くなった時に保坂先輩に大したものじゃないなんて言ったのよ?」

アツコ「そ、それは…」

マキ「そこは、『私の彼氏がくれたものです。』って言わなきゃ。」

アツコ「だから彼氏じゃないって!べ、別にもし拾われてたら後でここに届いてるから良いと思ったの。それだけだよ…」

夏の島 お化け屋敷

夏奈「全く、内田は見ていて飽きないなぁ。」

内田「なにさ、夏奈ちゃんだって怖がってたくせに!」

夏奈「な、なにぉぉ。私は怖がってないぞ!」

内田「うそだ!怖がってたよ!ね、吉野?」

夏奈「怖がってない!なぁ吉野?」

・・・

内田「あれ?」

夏奈「吉野…?」

吉野「ワッ!」

夏奈 内田「ギャァァ!?」

吉野「ニコニコ」

春の島 フードコート

速水「それにしても、保坂はどこに行ったんだろうね?」

マキ「どうせ、春香を探して遊園地中を探し回ってるんですよ。って、それじゃ春香が危ない!」

速水「大丈夫よ、マキ。こんな広いところで春香ちゃんを見つけるのは難しいし、仮に見つけられたとしても、春香ちゃんの横には…えっと、まこちゃんだっけ?」

マキ「はい。」

速水「…がいたでしょ?それを見て、『おれの南春香に対する愛は山よりも大きく、谷よりも深い…しかし今、南春香は友達と幸せそうに笑っている。南春香が笑っていられるならば、おれはそれでいい…そこにおれの付け入る隙などないのだ…』とか言って帰ってくるわよ。」

マキ「きもちわるい!」

速水「それは私のことかな?」

マキ「どっちもです!」

速水「ちょっと、マキ、わたしま…」

マキ「でも、保坂先輩なら友達とかいてもズガズガ入ってきそうだけどね。アツコはどう思う?」

速水「ちょっと、聞い…」

アツコ「マキが思ってるほど、保坂先輩は無神経じゃないと思うけど…」

速水「アツコ…あな…」

マキ「ほぇ?どうしたのアツコ。何かあったの?」

アツコ「べ、別に何もないよ。そう思っただけ。」

速水「もういいわ…」

冬の島 ジェットコースター

千秋「いやーやっぱりジェットコースターは冬の島だな。」

冬馬「あぁ、冬の島のジェットコースターは面白いな。でも、千秋さっき、通は秋の島って…」

千秋「トウマ…今それが重要か?」

冬馬「うーん、まぁ面白かったからいっか!」?

藤岡「二人とも、そろそろパレードが始まる時間だよ。」

千秋「む、もうそんな時間か。」

冬馬「なぁ千秋、パレードはどこで始まるんだ?」

千秋「トウマ、お前そんなことも知らないのか。いいか、ここの遊園地は19時から春、夏、秋、冬全ての島で一斉にパレードが始まるんだ。そしてそれらが島を一周してパレードは終了する。」

冬馬「島を一周?それはすごいな。」

千秋「うむ、だいたい1時間くらいは行われている。」

冬馬「1時間か…中の人も大変だな。」

千秋「ん?中の人?」

冬馬「えっだってあれは着ぐるみで…」

藤岡「トウマ…中の人なんていないよ。」

冬馬「えっあれは着ぐる…」

藤岡「いいから。さっ、行くよ。」

冬馬「ふ、ふじおかー」

テクテクテクテク

千秋「中の人とは何なのだ…?…ん?あれ?あれ?トウマ?藤岡?おーい…」

ザワザワザワザワ

千秋「はぐれてしまったか…この人混みの中で探すのは大変だな…」

ドン

千秋「いだ…って…あれ?」

春の島 観覧車

アツコ「…」

マキ「保坂先輩来ないね。」

速水「おかしいわね。保坂は約束だけは守る男なんだけどね。」

アツコ「…」

マキ「まだ春香のこと探してるんですかね?きもちわるい。」
?
速水「うーん、春香ちゃんのことになると保坂は何をしでかすか予測不可能だから。」

マキ「もう3人で乗っちゃいましょうよ!アツコだって保坂先輩と乗らないですむんだし。ね、アツコもそっちの方が良いよね?」

アツコ「えっと…もう少しだけ待っても…いいかなって…」

マキ「アツコどうしちゃったの?保坂先輩からきもちわるい何かが移ったの?」

アツコ「そういうのじゃないよ…ただ…」?

マキ「ただ…?」

アツコ「ううん、なんでもない。」?

15分後

マキ「遅い!もうパレード終わっちゃうよ!」

速水「そうね、 保坂…あなたは何をやっているの? 」

アツコ「…」

マキ「もう乗っちゃいましょう!パレード終わっちゃいますよ!」

速水「うーん、来ないんだし、しょうがないわね。」

マキ「ほら、アツコ行くよ。」

アツコ「う、うん…(保坂先輩…)」

夏の島

マコト「春香さん!パレード綺麗ですね!」

春香「そうだね。すごい綺麗。」

秋の島

夏奈「それ、目隠しー」

内田「夏奈ちゃん見えないよー」

吉野「ふふ、綺麗だね。」

冬の島

藤岡「トウマいたか?」

冬馬「こっちはいなかった。」

藤岡「くそ、おれが付いていながら…千秋ちゃん…無事でいて…」

千秋「おい、藤岡。私なら大丈夫だ。

藤岡「千秋ちゃん!」
冬馬「千秋!」

千秋「全く探したぞバカヤロー。」

藤岡「ごめんね、おれが目を離したばっかりに。ケガとかしてないかい?怖くなかったかい?」

千秋「大丈夫だ。ケガはしてない。それに、怖くもなかった。何故なら、カ…」

冬馬「千秋!見ろよ!あれすげーぞ!」

千秋「ん?あぁ…綺麗だな。」

春の島 観覧車

マキ「うわー綺麗。」

アツコ「…」

速水「アツコ、大丈夫?さっきから元気ないけど?」

アツコ「あ、はい…」

マキ「やっぱり人形無くしたのショックなんでしょ?」

アツコ「う、うん。まぁ…」

マキ「分かるよ。何せ初恋の相手からのプレゼントだもんね。うん。」

アツコ「…」

マキ「…あれ、ツッコミは…?」

遊園地 出口(入口)付近

内田「あっ春香ちゃん!」

春香「あら、楽しかった?」

内田「うん、すっごく楽しかったよ!ね、吉野?」

吉野「うん、楽しかったね。マコちゃんは?」

マコト「おれも楽しかったぞー!」

夏奈「春香はマコちゃんの相手大変だっただろ?」

春香「あら?そんなことないわよ。マコちゃんは、しっかりエスコートしてくれたわよ。ね、マコちゃん?」

マコト「は、はい…//」

吉野「あれ、マコちゃんなんで顔赤くなってるの?」

マコト「こ、これは…」

冬馬「あーもうみんないるぞ!」

夏奈「おっうるさいのが帰ってきた。」

内田「夏奈ちゃんは人のこと言えないよ。」

夏奈「なにー?内田のくせに生意気な。こうしてやるー」

ホッペツネー

内田「か、かなひゃん、いはいよー」

千秋「全く、お前らはどこに行ってもバカヤローだな。」

春香「冬馬も千秋も楽しかった?」

冬馬「あぁ、楽しかったぞ。」

千秋「楽しかったです、春香姉様。」

春香「藤岡君。」

藤岡「はい?」

春香「二人の面倒見てくれてありがとね。」

藤岡「いえ、面倒なんて。二人ともいい子ですから、おれも本当に楽しかったです。」

春香「ふふ、そっか。ほら、夏奈…藤岡君帰ってたわよ。」

夏奈「おぉ、藤岡、お疲れさま。お互いガキの面倒を見るのは疲れたな!」

内田「藤岡君は面倒見てたんだろうけど、夏奈ちゃんは全然面倒見てなかったじゃん。」?

千秋「うむ、藤岡はしっかりしてくれたが、夏奈は内田と同じレベルだ。そこのグループはむしろ吉野が面倒を見ていたんじゃないのか?」

夏奈「なにをー!」?

吉野「ニコニコ」

マキ「あっ春香だ!おーい、春香!」

春香「…!マキ、速水先輩、アツコも。良かった、アツコ見つかったんだね。」

アツコ「見つかった?」

速水「あぁなんでもない、こっちの話。」

マキ「春香達も楽しめたみたいだね。」

春香「うん、おかげさまで。あれ?アツコはなんか元気ないけど?」

マキ「そうなのよ、アツコったら…」

夏奈「あっ!アツコ!このクマの人形、アツコのじゃないか?」

アツコ「あっこの人形…!」

マキ「えっ夏奈ちゃん、これどこで拾ったの?」

夏奈「確か、冬の島のジェットコースターの近くだったかな。」

マキ「良かったね、アツコ。」

アツコ「うん…」

マキ「アツコったら、この人形無くしてすごい落ち込んでたんだよ。」

春香「あぁ、その人形って…」

マキ「そうそう。まぁ返ってきて良かったじゃん、クマの人形。これで気分スッキリだね。」

アツコ「う、うん。」

千秋「なんだ?アツコもクマの人形を探していたのか?」

夏奈「『も』って、他にも誰かクマの人形を?」

千秋「うむ、カレーの妖精がクマの人形を探していた。」

夏奈「カレーの妖精?」

マキ「なんだそりゃ。」

アツコ(…カレーの…妖精…)

千秋「うむ、あれはパレードが始まる直前、藤岡達とはぐれた時だ。」

---回想---

千秋「はぐれてしまったか…この人混みの中で探すのは大変だな…」

ドン

千秋「いだ…って…あれ?」

保坂「ん?」

千秋「お前は、カレーの妖精。」

保坂「あぁ、君か。また会ったな。」

千秋「ん?カレーの妖精、汗をたくさんかいているようだが、何かあったのか?」

保坂「あぁ、いきなり不躾な質問で悪いが、クマの人形を見なかったか?」

千秋「クマの人形?すまん、見ていないな。」

保坂「そうか…」

千秋「大切なものなのか?」

保坂「そうだな…君になら話してもいいか…おれには愛する人がいる。今日ここに来たのも、その人が笑顔になれるようにするためだ。しかし、今日のおれには、その愛すべき人よりももっと笑顔になってほしい人がいる。おれはその人の前で絶対に笑顔にすると約束した。だから、その人が無くした人形を…おれには大したものじゃないと言っていた人形を…その人の無くした笑顔を、取り戻さなくてはいけないのだ。だが、もう約束の時間だ。情けないがおれは手ぶらでその人の所に戻らねばならない。」

千秋「そうか…そんなに大切なものなら…見つかるといいな…」

保坂「うむ、ところで君はこんなところで何をしている?」

千秋「あっ…私は藤岡達とはぐれて…」

保坂「なに?それはいかん。一緒に探そう。」

千秋「で、でもカレーの妖精には約束の時間が…」

保坂「ふっ…目の前で困っている女の子を見捨ててまで約束を果たしても、彼女はきっと喜んではくれないだろう。そしてもちろん、おれにそんなつもりはない。さぁ行くぞ。」


---回想終了---

千秋「だから、カレーの妖精のおかげで藤岡達と合流できたのだ。」

夏奈「なるほどなー。カレーの妖精っていうのは、いい奴じゃないか!」

マキ「なんかしゃべり方が引っ掛かるけど、いい人ね。」

アツコ「…」

千秋「ん、アツコ…?ちょっといいか?」

アツコ「…え?」

グイグイ

千秋「アツコはカレーの妖精を知っているのか?」

アツコ「…うん…」

千秋「カレーの妖精は一体何者なんだ!?」

アツコ「私にも良く分からないの…」


(『どうやらおれは、カレーの妖精らしい』)

アツコ「いつも、どんどん先に行っちゃって…」


(『行くぞ、アツコ!』)

アツコ「だから…人に勘違いされやすくて…」


(『お前には本当に迷惑をかけるな…すまん、おれが未熟なばっかりに…』)

アツコ「人の話を聞いてなくて…」


(『誰か、この子が急病なんです。救急車を…!』)

アツコ「でも…私のことを守ってくれて…」


(『その子から手を離せ。』)

アツコ「すごい…一途な人…」


(『南春香を笑顔に出来るだろうか?否、できるわけがない。』)

アツコ「…」


千秋「ど、どうしたアツコ?泣いてるのか?」

アツコ「…違うの…泣いてないよ…」


千秋「ん…?」


アツコ「だって…今日は、本当に楽しかったから…」

千秋「そう…なのか?」

アツコ「…うん。」

千秋「アツコは…カレーの妖精が好きなのか?」

アツコ「うん。大好き…!」

千秋「アツコ…」

マキ「あっ、アツコがやっと笑顔になった!千秋ちゃんと何話したのよー?」

アツコ「ふふ、内緒。」

夏奈「いやいや、やっぱりクマの人形を見つけた私が…」

内田「えー!?人形を見つけたのは私だよ?」

夏奈「なにをー」

ワイワイ ガヤガヤ

春香「千秋が、アツコを笑顔にしてくれたの?」

千秋「いえ、春香姉様…私じゃありません。おそらく…」


(『だからアツコ、約束しよう、おれは今日、お前を目一杯笑顔にすると。』)


千秋(ありがとう…カレーの妖精…)










終わりです。少し時間が空いてしまいましたが、最後まで読んでいただきありがとうございました。
今まではそれなりに原作の雰囲気を保てたと思っているのですが、今回は原作の雰囲気が出ていた自信がありません。
正直保坂を常に出しておくのはきついですね。
何か意見がありましたら今後の参考にしたいので、是非コメントお願いします。


>>1よこれが抜けてるぞ


保坂「ふむ。アツコはもう速水達と帰ってしまったか。申し訳ない事をしたな。今度詫びを入れておかねば…。しかしこの遊園地は素晴らしい!俺と南春香のデート場所に相応しい遊園地だ!ふふふ。今日は南春香も笑って幸せな時間を娘達と過ごしていたのだろう。待っていろ南春香!次は必ず俺が!この保坂が!貴女と娘達を!この遊園地で!とびっきりの笑顔を!与えてやろう!あはは、あはは、あはははは!あはは!あはは!あはははは!あはは!あはは!あはははは!はっはー!!」

警備員「あ、あの~、もうここ閉鎖するんで~(なんで脱いでんだよこの人…)」

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