小鞠「桜の木の下で」 (30)
夏海「姉ちゃん、何見てんの?」
小鞠「ビデオ屋で借りてきた青春恋愛映画」
夏海「この前「癒し系感動恋愛映画」で大失敗したのに今度は大丈夫なの?」
小鞠「今度は大丈夫だよ。ほら、ちゃんと告白しているし」
夏海「ふーん」
卓「…」
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小鞠「満開の桜の木の下で告白するって何かドラマチックだよね」
夏海「でも、桜の下って死体が埋まっていると言うし、そんな所で告白したって…」
小鞠「」ギロッ
夏海「撤回します…」
卓「…」
小鞠「おっと、そろそろ時間だ」
小鞠「じゃあ、蛍と一緒に遊んで来るね」
夏海「待ち合わせ場所はどこ?」
小鞠「バス停近くの桜の木の下」
夏海「だから今日は大人っぽい服を着ていたのか」
小鞠「そうよ!私はもう大人だから」
夏海「この前、蛍たちの前でジタバタと駄々をこねていたのに」
小鞠「な、何でそれを知っているのよ」///
夏海「天の声が教えてくれた」
小鞠「はあっ、何それ?」
卓「…」
桜の木の下
小鞠「はあっ、何が天の声よ」
小鞠「私だって恋したいのに…」
小鞠「って、何で夏海が知っているのよ!」///
小鞠「蛍やこのみが漏らすとは思えないし…」
小鞠「」ゾー
小鞠「い、いるわけないよね…」
「桜の下って死体が埋まっていると言うし」
小鞠「」ゾー
サー
小鞠「だ、だ、大丈夫… 風で草が靡いただけだから…」
卓「」コツコツコツコツ
小鞠「だ、誰もいないのに足音が」ブワッ
小鞠「だ、誰か助けてーーー」ダー
ドン
小鞠「あっ」
小鞠「す、すみません」
小鞠「!」
??「あの~大丈夫ですか?」
小鞠「(あの時のお姉さんだ!)」
蛍「あの~」
小鞠「お、お姉さん、お、お久しぶり…」
蛍「(えっ、お久しぶり?)」
蛍「(昨日会ったばかりなのに)」
蛍「お、お久しぶりです」
小鞠「お姉さんは何でここに来たのですか?」
蛍「ここで待ち合わせを…」
小鞠「(まさかお姉さんと再会して同じ場所で待ち合わせをするなんて…)」
小鞠「お姉さんは誰を待っているのですか?」
蛍「とても可愛い人です」ニコッ
小鞠「へぇ~」
小鞠「(さっきまでの顔と違って笑顔になっている)」
蛍「(小鞠先輩と桜の木の下で一緒)」ニコニコ
蛍「(もうちょっとだけここで一緒にいたい)」ニコニコ
小鞠「桜が満開ですね」
蛍「そうですね」
小鞠「お姉さんは桜は好きですか?」
蛍「はいっ!大好きです!」
小鞠「お姉さんは桜の木の伝説を知っていますか?」
蛍「いえ、知りません」
小鞠「満開の桜の木の下で好きな人と告白をすると必ず結ばれるそうです」
蛍「へぇ~」
小鞠「そしてその結ばれる桜の木というのがこの木だそうです」
蛍「へぇ~」
小鞠「…」
蛍「あ、あの、どうしましたか?」
小鞠「わ、わたし…」
「お姉さんの事が大好きです」
小鞠「私、お姉さんみたいなカッコいい大人の女性になるのを目指して…」
蛍「…」ポロポロ
小鞠「お、お姉さん…」
ダキッ
蛍「センパイ…」ポロポロ
小鞠「えっ、先輩ってまさかお姉さんは…」
蛍「はい、蛍です…」ポロポロ
小鞠「えぇぇーー」
蛍「私は転校して来てすぐに先輩の事が好きになり…」ポロポロ
蛍「小さい先輩の姿も可愛い先輩の姿も優しい先輩の笑顔も…」ポロポロ
蛍「怖がりな先輩も見栄っ張りで意地っ張りの先輩も泣き虫の先輩もドジな先輩も…」ポロポロ
蛍「天体観測の時、私を助けてくれたカッコいい先輩も…」ポロポロ
蛍「みんなみんな大好きでした…」ポロポロ
小鞠「蛍…」
蛍「小鞠先輩…」
「私も大好きです」
小鞠「ほたるん…」ポロポロ
蛍「先輩…」ポロポロ
小鞠「」ぐむっ
小鞠「蛍…」
チュッ
蛍「えっ////」
小鞠「蛍…」
「私も大好きだよ」
小鞠「蛍と一緒に駄菓子屋に行った事、無人販売所に行った事、手作りの料理を食べた事…」
小鞠「お花見をした事、夜道を歩いた事、天体観測した事…」
小鞠「そして二人だけの秘密を交わした事…」
小鞠「蛍がここに来てから1年でこれだけの2人だけの濃い思い出が作れたよ」
小鞠「これもみんな蛍のおかげだよ」
蛍「先輩…」ブワー
小鞠「わたし、蛍みたいな女性になりたいんだ」
小鞠「美人でスタイルが良くて料理も何でも出来る大人の女性に」
小鞠「だから、蛍」
「いつまでも私の目標の女性でいてください」
小鞠「そろそろバスが来るね」
蛍「先輩もいつまでも可愛い先輩でいてください」
小鞠「バスに乗る前にもう1回キスしよう」
蛍「はいっ!」
チュッ
チュッ
卓「…」パシャッ パシャッ
夜
小鞠「というわけで私に恋人が出来たんだよね」
小鞠「その恋人が大人で何でも出来てカッコ良くて…」
夏海「へえ」
小鞠「そんでもって私とバスの中でも電車の中でも…」
夏海「ふうん」
夏海「(作り話にしては面白いからもうちょっとだけ聞いてよう)」
卓「…」
卓「…」
蛍「」ニコニコ
蛍「まさかセンパイと恋人になれるなんて…」
蛍母「蛍、帰って来てからずっとニコニコしているわね」
蛍母「よほど幸せな事があったのね」
数日後の早朝
小鞠「」キョロキョロ
小鞠「大丈夫!誰もいないよ」
小鞠「じゃあ、今日も始めよう」
蛍「はいっ」
小鞠「ほたるん…」
蛍「小鞠先輩…」
「大好き!」
チュッ
卓「…」パシャッパシャッ
おしまい
このSSまとめへのコメント
兄ちゃん、その写真をどうするおつもり・・・?