あかね「最近うちの妹を誑かしてる子がいるみたいなの」(122)

ともこ「えっ」

あかね「吉川さん、なにか知らないかしら?」ニコニコ

ともこ「……えーっと」

ともこ「知らない、かな……」

あかね「ほんとに?」ズイッ

ともこ「は、は、はい……っ!」

ともこ「(赤座さん、近い近い近い近いっ……!)」

あかね「……そう」

ともこ「えぇ……」ホッ

あかね「あかり、いつもちなつちゃんがどうって話してるから……」

ともこ「!?」ビクッ


ちなつ「……お、お姉ちゃん、話ってなに?」

ともこ「いいからそこに座って!」バンッ

ちなつ「は、はいっ!」

ともこ「ちなつ、正直に話してね」

ちなつ「うん……」

ともこ「あかりちゃんとは、どういう関係?」

ちなつ「……」

ちなつ「……」カアァッ

ともこ「」

ともこ「(えっ、どういう関係なの!?)」

ちなつ「ど、どういう関係もなにも、そんなやましいこととか……!」

ともこ「やましいっ!?」

ちなつ「やましくないっ、絶対やましくなんかないよ!」

ともこ「そ、そう……」

ちなつ「そんな悪いことなんてしてないし、ど、同意の上で……」

ともこ「(なにをしてるの、なにをしてるっていうの……!?)」

ちなつ「そ、それよりなんなのよ突然そんなこと!」

ともこ「えっ」

ちなつ「なんでお姉ちゃんがあかりちゃんの話なんか!」

ちなつ「だいたいあかりちゃんって馴れ馴れしく呼ばないの!」

ともこ「は、はい……」

ちなつ「いくらお姉ちゃんでもあかりちゃんは渡さないよ!」

ともこ「え、えぇ……」

ともこ「私が欲しいのはあかりちゃんじゃなくって赤座さ……」

ともこ「え?」

ちなつ「え?」

ともこ「今あかりちゃんは渡さないって……」

ちなつ「言ってない言ってない!」カアッ

ちなつ「そういうお姉ちゃんだって私が欲しいのは赤座さんって……」

ともこ「違う違う!」カアッ

ちなつ「……」

ともこ「……」

ちなつ「わ、私そろそろ寝るね」

ともこ「えぇ、おやすみちなつ」

ちなつ「おやすみ」

バタン

ともこ「……」

ともこ「……」フルフル

ともこ「(ちょっと待って姉妹そろって赤座さん!?)」

ともこ「!」ハッ

あかね『ちなつちゃんとあかりがどういう関係なのか、調べておいてくれないかしら』

ともこ「(赤座さんにはなんて報告すればいいのかしら……!)」

―――――
 ―――――
次の日
大学構内

あかね「……それで」

ともこ「え、えぇ……」

あかね「吉川さん、なにか飲む?」

ともこ「あ、じゃあ温かいコーヒー……」

あかね「私も同じものにしよっと」

ポチッ
ズーガラガッシャン

あかね「あ、間違えてブラック押しちゃったんだけど、吉川さん大丈夫?」

ともこ「大丈夫、ありがとう」

あかね「ちなみに妹さんは?」ニコニコ

ともこ「え」

あかね「ちなつちゃん」

ともこ「えっと……ブラックも、飲めると思うけど」

あかね「ふふっ、そう」ストンッ

あかね「吉川さんも隣、座って?」

ともこ「……えぇ」スト、ン

あかね「あかりとは趣味が違うみたいね」ニコニコ

ともこ「そ、そうみたい……」

あかね「そんな二人なのに、本当にすごく仲良しみたいで」

ともこ「え、えぇ……」ビクッ

あかね「私、すごく気になっちゃうの」

ともこ「うん……」

あかね「吉川さんも、気にならない?」ソッ

ともこ「!」

あかね「ちゃんと、聞いてくれたと思うけど……」

ともこ「(ど、どうしてこんなに顔を近付けてくるの赤座さんは……!)」

ともこ「え、えぇ、一応……」カアッ

あかね「吉川さん、顔赤いけど」

ともこ「なんでもないわ!」

あかね「そう?」キョト

ともこ「えっと……その」

あかね「えぇ」ニコニコ

ともこ「ちなつと、あかりちゃんは……」

あかね「きゃっきゃうふふ?」

ともこ「えっ」

あかね「……ではないわよね?」ニコニコ

ともこ「(赤座さんの笑顔が少しこわい……!)」

ともこ「そ、そうではないと、思う……けど」

あかね「……そうなの」

ともこ「えぇ……」

ともこ「(納得……してはくれてないのかな)」

あかね「……それなら吉川さん」

ともこ「えっ、はい」

あかね「今度、日曜日にあかりがちなつちゃんとお出かけするみたいだから」

ともこ「は、はい?」

あかね「着いて行ってみましょうか」ニコッ

――――― ――

ともこ「……」ドキドキ

ともこ「あ、あれってやっぱり……」

ともこ「(赤座さんと一緒にお出かけできるってこと!?)」

ともこ「やった……やったわ私!」

トントン、

ともこ「はい?」

ちなつ「お姉ちゃん、あのね、もしデートに行くとしたらどっちの服がいいと思う?」ガチャッ

ともこ「え、っと……」

ともこ「こっち、かしら……」

ちなつ「やっぱりお姉ちゃんもそう思う!?ありがと!」

バタンッ

ともこ「(……目的はちなつたちの尾行だけど)」


日曜日

ちなつ「いってきまーす!」

ガチャッ
バタバタ...

ともこ「(ちなつ、行ったわ……)」

ともこ「私も……」スーハー、スーハー、

ともこ「(髪型よし、服装よし……!)」

ガチャッ

ともこ「いってきま……」

あかね「おはよう、吉川さん」

ともこ「……おはよう」

ともこ「(ど、どうして赤座さんが家の前に!?)」

あかね「それじゃあ行きましょうか」

ともこ「えぇ……」

ともこ「(ちょっと待って私!これってデートみたいじゃ……!)」

ともこ「(舞い上がっちゃだめってわかってるけど……!)」

あかね「今日はいい天気でよかったわ」

ともこ「……そ、そういえばどこに行くの?」

あかね「え?」

ともこ「え?」

あかね「……えっと」

ともこ「……もしかして、あかりちゃんたちがどこへ行くか」

あかね「……」

ともこ「……」

あかね「けどまだ中学生なんだから、そんなに遠くへは行っていないはずよ!」

ともこ「そ、そうね……」

あかね「えぇ、だからちょっと急ぎましょうか」

ともこ「えっ、赤座さん――」

あかね「きっと二人とも、駅に向かったはずだから」グイッ

ともこ「(手、掴まれて……)」カアッ

風呂ってきま
すぐ戻る

――――― ――


ともこ「はあ、はあ……」

あかね「……ふう、間に合ったみたいね」

ともこ「えぇ……」

ともこ「(ちなつの隣に居るのが、あかりちゃんね――)」

ともこ「(たまにちなつが話していたとおりの子だわ……)」

あかね「電車、乗りましょうか」

ともこ「あ、うん……」

ともこ「(手、離されちゃった……)」

スーッ
ガシャン

ともこ「(……はあ、電車に乗ってようやく落ち着いたわ)」

ともこ「(ちなつたち、どこへ行くのかしら)」

ガタタン
ゴトトン、

あかね「……ふふっ、やっぱりまだ電車に乗りなれてないのね」

ともこ「え」

あかね「あかりたち」

ともこ「あ、ほんと……」

ともこ「(まだ中学生になったばかりだものね、同級生の子だけで電車に乗ることなんて滅多にないし)」

ともこ「(けど、それより……)」

あかね「……」ニコニコ

ともこ「(赤座さんは、いつも素敵な笑顔だけど……)」

ともこ「(……あかりちゃんを見る目、すごく優しい)」

ともこ「(きっと、本当にあかりちゃんのことが大切で――)」

『次はー、なもり町、なもり町です。お出口は――』

ガタタン、ゴトトン、ガタタッ...

ともこ「あっ」フラッ

あかね「!」ストンッ

ともこ「……」

あかね「……危なかった」ニコッ

ともこ「ご、ごごごごめんなさいっ」バッ

ともこ「(よろけて赤座さんのほうに倒れこんじゃうなんて……!)」

あかね「あ、あかりたち、ここで降りるみたい」

スーッ
ガシャン

ともこ「えっ、ほんと……」

あかね「私たちも降りましょうか」

ともこ「えぇ……」ホッ

トトト...

あかね「あまりこの駅で降りたことないけど、結構人いるのね」キョロキョロ

ともこ「迷子になっちゃいそう……」

ともこ「(ちなつたちは)」

ともこ「!」ハッ

あかね「あかりたちはどこへ行ったのかしら……」

ともこ「(手、手なんか繋いじゃって……!)」

あかね「吉川さん?」

ともこ「(とりあえず、赤座さんが見たらどんなことになるかわからないわ……!)」

ともこ「(なんとか見せないようにしなきゃ……!)」

ともこ「あああ赤座さん、あかりちゃんたち、あのお店入って行ったのが見えたわ!

あかね「どのお店?」

ともこ「えっとえっと……!」

ともこ「(とりあえず気を逸らして――って、ほんとにそのお店行っちゃうの!?)」

あかね「……」ニコニコ

ともこ「……」チラッ

あかね「とても仲がいいみたいね」

ともこ「え、えぇ……」

あかね「……私たちも行きましょうか」

ともこ「お、同じお店に?」

あかね「えぇ、もちろん」

トトト...

ともこ「(うぅっ……!)」

ともこ「(こうなったらもう、とことん赤座さんとちなつたちを見守るしかないわ……!)」

―――――
 ―――――

あかね「見付からないようにしなきゃね」コソッ

ともこ「えぇ……」

ともこ「(ちなつたち、服を見てるみたいね……)」

ともこ「(ちなつったら、ほんとに楽しそう……あかりちゃんに似合ってるって言ってもらって
     照れちゃってるわ……私の妹ながら可愛い……)」

あかね「吉川さん」

ともこ「えっ、はい!」

あかね「吉川さん、この服いいと思わない?」

ともこ「あ、あかりちゃん?」

あかね「じゃなくって吉川さん」

ともこ「私?」ドキッ

あかね「似合うと思うんだけど」

ともこ「……そ、そうかな」

あかね「えぇ、すごく似合ってる」

ともこ「あ、ありがとう……」

ともこ「(私の趣味とは少し違うけど、赤座さんに言われたら……)」

あかね「ふふっ、こうしてたら私たちもデートみたいに思われるかしらね」

ともこ「で、デート!?」

あかね「しーっ」

ともこ「あっ……」

ともこ「(きゅ、急に赤座さんがデートって言うから……)」ドキドキ

あかね「そろそろ違うところへ行くみたいね、行きましょうか」

ともこ「……えぇ」

ともこ「(どうしよう、デートなわけじゃないのに)」

ともこ「(心臓がうるさい……)」

あかね「ふふっ、あの二人、中学生らしくていいわね」

ともこ「えっ」

ともこ「……そうね」

ともこ「(色んなお店、冷やかすだけ冷やかして)」

ともこ「(ちなつはきっと、あかりちゃんのことが好きなのね)」

ともこ「(……ちょっと羨ましいかも)」

ともこ「(でも……私も少し、自惚れていいのかしら)」

――――― ――

あかね「あ、もうお昼みたい」

ともこ「そういえば……」

あかね「やっぱりご飯はファストフードみたいね」クスッ

ともこ「中学生なんてそれが精一杯だものね」

あかね「私たちもなにか食べとく?」

ともこ「結構歩いたからお腹減っちゃったかも……」

あかね「ふふっ、そうね」

――――― ――

ともこ「チーズバーガーのセットを二つ」

店員「ありがとうございましたー」

あかね「あ」

ともこ「え?」

あかね「あかりたち、お店で食べるわけじゃないみたい」

ともこ「外かしら……」

あかね「ふふっ、優雅なランチタイムね」

ともこ「私たちは」

あかね「中で食べときましょうか、あかりたちが見えないわけでもないし」

ポスッ

あかね「吉川さんはこっち」

ともこ「あ、うん……」

ともこ「(赤座さんの隣……こういうお店のカウンターってなんだか距離が近いような気が
     するのはどうしてかしら……)」

あかね「いただきます」パチンッ

ともこ「あっ、いただきます」パチンッ

ともこ「(ちゃんといただきますするなんて……ちょっと意外かも)」

ともこ「(って、あかりちゃんも……ちなつも釣られちゃってるわ)」クスッ

ともこ「(けどベンチの距離感がなんとも微妙な……!もうちょっと近付いたって
    いいんじゃ……!あ、でも赤座さんがみてるから……)」

あかね「ふふっ、青春ねぇ」

ともこ「そ、そうねっ」ビクッ

ともこ「(ああ、ちなつを応援したいけど……!)」

ともこ「(って、なにやってるのあの二人は!?)」

ともこ「(本当のカップルみたいじゃない……!も、もうそうなのかもしれないけど!)」

あかね「……」ニコニコ

ともこ「あ、赤座さん!」ハッ

あかね「え?」

ともこ「えっとえっと!」アワアワ

ゴトンッ

ともこ「あっ」

ともこ「(ジュースが!)」

ピシャーッ

あかね「だ、大丈夫?」

ともこ「(なんてベタな……服は濡れなかったけど手もベタベタ)」

あかね「ちょっと待って、拭かなきゃ」ズイッ

ともこ「え、赤座さん……」

ともこ「(って、私ったらなに考えてるの!はしたないわ……!)」

あかね「ハンカチ」キュッ

あかね「洗いに行ったほうが早いけど、とりあえず」

ともこ「あ、ありがとう……」

ともこ「(赤座さんの手が私の手に……!)」

あかね「ふふっ、ちゃんと気をつけなきゃ」

ともこ「え、えぇ……」カアアッ


ともこ「(はあ……さっき一瞬恋人繋ぎされたのかと思っちゃったわ……)」

ともこ「(……恋人)」

あかね「ごめんなさい、お待たせ」

ともこ「あっ、うん」

あかね「あかりたちは」

ともこ「まだ本屋さんにいるみたい」

あかね「そう、よかった」

ともこ「……えぇ」

あかね「……」

あかね「吉川さん、どうかした?」

ともこ「えっ、ど、どうして?」

あかね「なんとなく、かしら」

ともこ「えっと……」

ともこ「(ちなつたちのこととそれから私たちのこと、考えて少しナイーブになってたなんて
     言えるわけなんてないし……)」

ともこ「(恋人になってくださいなんて……そんなの)」

あかね「……言えないことならいいんだけど」

ともこ「ご、ごめんなさい……」

あかね「謝ることじゃないわ、私も人に言えないようなこと、たくさんあるもの」

ともこ「そ、そっか……」

あかね「えぇ」

ともこ「(赤座さんのこと、そういうことも含めてなんでも知りたいと思っちゃうのはきっと
     私のわがままよね)」

ともこ「(……気持ちも伝えられない私が)」

あかね「あ、あかりたち」

ともこ「へ」

あかね「そろそろ帰るみたい」

ともこ「そういえば、もう夕方なのね」

あかね「今日は一日、とっても早かった気がするわ」

ともこ「……私も」

あかね「なら良かった」

ともこ「(……今日が終わらないでほしいな、なんて)」

ともこ「(ちなつたちには、悪いけど)」

ともこ「(だって今日が終わったら、赤座さんとまた二人で遊びに来れるはずなんてないもの)」

あかね「私たちも出ましょう」

ともこ「……」コクッ

―――――
 ―――――

トトト...

ともこ「(こうして妹の背中を見て歩くのって久し振りかも……)」

ともこ「(ちなつもだんだん、大人になっていくのよね……)」

ともこ「(大人に……って)」

あかね「……あかり」

ともこ「(あかりちゃんを引き寄せてこんな道端でなななななにを……!)」

あかね「……」ニコニゴゴゴゴッ

ともこ「!?」

ともこ「(あ、赤座さんの表情が固まってる……!)」

ともこ「(やっぱり怒ってるのかしら……)」

ともこ「(すごく割って入りたそうにしてる……けど、でも)」

ともこ「あ、あの!赤座さん!」

あかね「……え?」

ともこ「も、もう二人を追いかけるのはやめましょう」

あかね「……」

ともこ「(うっ)」

ともこ「(けど私、怯んじゃだめ……!)」

ともこ「あかりちゃんも、ちなつも、幸せそうだし……」

あかね「えぇ」

ともこ「私たちは、姉として見守るべきじゃないかなって……!」

ともこ「(こうして二人で一緒に居られるのは嬉しかった)」

ともこ「(今日が終わってほしくない)」

ともこ「(でも……)」

ともこ「(妹を追いかける理由で、一緒にはいたくない!)」

あかね「……吉川さん」

ともこ「あかりちゃんは、きっとちなつが幸せにします」

あかね「……」

ともこ「だから、ちなつを許してあげて、ほしいなって……」

あかね「……私もそこまで姉バカじゃないもの」

ともこ「えっ?」

あかね「あかりが幸せそうだって、ちゃんとわかったから……もう平気」

あかね「言われなくても、安心してちなつちゃんにあかりを任せられるわ」ニコッ

ともこ「赤座さん……」

あかね「それにね、私の目的はあかりのことだけじゃなかったから」

ともこ「へ?」

あかね「吉川さんと同じ時間、過ごせてよかったわ」

ともこ「……赤座さん」

あかね「……その、吉川さん」

ともこ「は、はいっ」

あかね「来週も、良かったら一緒に、どこかへ、出掛けない?」

ともこ「えっ……」

あかね「だ、だめかしら……」

ともこ「そ、その、だめなんかじゃなくって……!」

ともこ「……嬉しい」カアッ

あかね「……」

あかね「良かった」ホッ

ともこ「(……妹たちにはまだまだ及ばないけど)」ドキドキ

あかね「ありがとう、吉川さん」

ともこ「わ、私こそ!」

あかね「」

ともこ「」

あかね・ともこ「……」プッ

ともこ「(――確実に、進めてる)」

終わり

本日はこれで最後のスレあかとももっと流行るべき
あと、あかり×ともこやあかね×ちなつもありだと思うつまり赤座吉川姉妹結婚しろ
最後まで見てくださった方ありがとうございました

それではまた

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