ゴン「ゴレイヌはいつから念が使えたの?」ゴレイヌ「そうだな…」 (44)

ゴレイヌ「物心ついた頃には使えてたな」

キルア「マジかよ!?」

ゴレイヌ「ああ、マジさ。無自覚の念能力者って奴だったんだろうな」

ゴン「無自覚?」

ゴレイヌ「俺の能力は知っているだろう?」

キルア「ああ。あの白と黒のゴリラだろ」

ゴレイヌ「そいつらには元となったゴリラがいてな、俺の家で飼育していたゴリラだったんだ」

ゴン「へぇ。じゃあ、ゴレイヌの家はゴリラ屋さんだったんだ!」

ゴレイヌ「まあな」

ゴレイヌ「俺は生まれた頃からそいつらと一緒で、まるであいつらは家族の一員・・・いや、家族の一員だったんだ」

キルア「まあ、犬や猫を飼う家も珍しくないしな」

ゴレイヌ「だが、あいつらは突然逝っちまった」

ゴン「えっ!?なんで!?」

ゴレイヌ「ゴリラ風邪をこじらせて・・・な・・・。当時の俺にはそいつらの死が理解できなかった。何故、何で、どうして、ってな」

ゴン「ゴレイ・・・」

ゴレイヌ「そして、そいつらが死んでしばらく経ったあと、俺の前にそいつらが現れたんだ」

キルア「念獣・・・か」

ゴレイヌ「ああ、そうだ。俺が無意識に発現させていたんだろうな。時折現れるそいつらは俺にしか見えず、当時は幽霊なのかとすら思っていた」

ゴン「そうか。念能力を鍛えてない子供の頃だから長時間発現させていられなかったんだね」

ゴレイヌ「それもあるだろうな。そして、そいつらにはある特殊な能力があることを俺は知ることになる」

キルア「位置の入れ替えか」

ゴレイヌ「そうだ。あれは俺が中学に上がった頃の事だ・・・」

女生徒『遅刻遅刻~』タッタッタ

ゴレイヌ『やべぇ、このままじゃ学校に遅刻しちまう!急がねぇと!』タッタッタ

ゴレイヌ「俺は学校に急ぐあまり前方不注意になってたんだな。曲がり角でパンを咥えた女の子が急に出てきて、俺は対応できなかったんだ」

ゴレイヌ(何でパンを咥えてる!?普通にぎりめしだろ!)

ゴレイヌ(いや、違う!速・・・避・・・無理!転ぶ!?無事で!?)

ゴレイヌ(否       死        )

女の子『キャーッ!?』

ゴレイヌ「結果、俺は助かり少女は怪我をした」

キルア「おいおいおい、つまりどうなったんだよ!」

ゴン「念・・・使ったんだね?」

ゴレイヌ「ああ。無意識に俺はブラックゴレイヌと名付けた黒いゴリラを宙に発現させ、少女とブラックゴレイヌの位置を入れ替えたんだ」

キルア「バッ・・・お前、そんな事したら・・・!」

ゴレイヌ「ああ、当時は大騒ぎさ」

大工『今日も朝からえんやこら~っと♪』

大工見習い『親方!空から女の子が!』

女の子『キャーッ!』

大工『大変だ、間に合わん!』

大工見習い『おいらが受け止め・・・』

ドガッ




ゴレイヌ「その事件は映画のネタにされるくらいの影響を世に与えたんだ」

ゴン「あ、もしかしてそれ!」

ゴレイヌ「そう、イチゴ百パーセントだ」

ゴレイヌ「そんときは偶然かな?くらいにしか思わなかったんだが、高校に上がったらまたある事件が起きてな・・・」

キルア「殺したのか?」

ゴレイヌ「おいおい、発想が物騒なんだよ」

ゴン「それで事件っていうのは?」

ゴレイヌ「ああ。高校に上がった俺は、仲間たちとつるむようになって、あるときそいつらから妙な情報を聞いたんだ」

キルア「念がらみか・・・」

ゴレイヌ「いや、そういうのとはちょっと違う。だが、それが事実だとするなら世を揺るがしかねない大変なレベルの情報だった・・・」

ゴン「一体どんな・・・」

ゴレイヌ「高校の近くに、吉野ん家(ヨシノンチ)があるんだが、そいつの家は牛丼屋をしててな。何でも、そいつの店ではサラダもお新香も無料で食べ放題って話だったんだ」

ゴン「食べ盛りな男子高校生にとってはすごいニュースだよ、それ!」

ゴレイヌ「ああ。そして俺はそれを信じ、店へと入った」

ゴレイヌ(確かに目の前にサラダやお新香が無造作に置かれている・・・。牛丼は注文しないと来ないし、これは醤油や七味みたいな感覚で誰でも食えるように置いてあんだな)ガツガツ

ゴレイヌ『ふぅ~、食った食った。会計お願いします』

店員『えっと、牛丼並とサラダ15、お新香3で、お会計は・・・』

ゴレイヌ『なっ・・・!?馬鹿な!?サラダやお新香は無料なんじゃ・・・』

店員『有料ですよ。しめて○○○○ジェニーになります』

ゴレイヌ「その時は頭が真っ白になったね。気付いたら俺は店外に立っていた」

ゴン「ホワイトゴレイヌだ!」

ゴレイヌ「ああ。動物は店内に入れないから、外で立たせておいたホワイトゴレイヌと俺の位置が入れ替わったんだ」

キルア「それにしてもその店、最低だな。詐欺もいいとこじゃねーか!」

ゴレイヌ「ああ、えげつねぇな・・・」

ゴレイヌ「さて、話も長くなっちまったな。ここの会計は俺が持つから先に出てくれよ」

ゴン「ありがとうゴレイヌ」

キルア「サンキュー」

ゴレイヌ「何、いいってことよ」





ゴン「それにしてもあれだけ食べたのにおごってくれるなんてラッキーだったねキルア」

キルア「ああ、そうだな」

ゴレイヌ「気にするな」

ゴン「わっ!?いつの間に!?」

ゴレイヌ「へへっ、まあ気にするな」

キルア(コイツ、念で無銭飲食しやがったな・・・。まあ、別にいいけど)

その後、ゴンたちはキメラアントたちとの戦いに身を投じることとなり、ハンター協会会長が連れた援軍にゴレイヌがいたというのはまた別の話である

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